JP2008120875A - セルロースアシレートフィルム、光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のセルロースアシレートフィルムは、アシル基がアセチル基とプロピオニル基またはブチリル基であり、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度の合計をYとしたとき、下記式(A)及び(B)を満たすことを特徴とする。 式(A) 2.30≦X+Y≦2.85
式(B) 0.10≦Y≦0.50
【選択図】なし
Description
これに対して、特許文献1ではアセチル基の置換度Xとプロピオニル基またはブチリル基の置換度Yが下記式(I)〜(K)の関係を満たすセルロースアシレートを用いることで、上記問題を解決している。
式(I) 2.55≦X+Y≦2.85
式(J) 1.75≦X≦2.15
式(K) 0.60≦Y≦0.80
しかし、上式を満たすセルロースアシレートフィルムは、レターデーションの発現性を向上させるために延伸倍率を高めるとヘイズが上昇し、液晶パネルのコントラストの低下が生じるという問題があった。
式(L) 2.4≦X+Y≦2.8
式(M) 0.3≦X≦2.0
しかし、溶融流延法では溶液流延法よりも高温で加熱するため、可塑剤、レターデーション発現剤等の添加剤が分解するという問題があった。
〔1〕
アシル基がアセチル基とプロピオニル基またはブチリル基であり、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度の合計をYとしたとき、下記式(A)及び(B)を満たすセルロースアシレートを含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(A) 2.30≦X+Y≦2.85
式(B) 0.10≦Y≦0.50
〔2〕
棒状または円盤状化合物からなるレターデーション発現剤を少なくとも一種含有していることを特徴とする〔1〕に記載のセルロースアシレートフィルム。
〔3〕
溶液流延法によって製造したことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のセルロースアシレートフィルム。
〔4〕
下記式(C)及び(D)を満たすことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(C) 30nm≦Re≦100nm
式(D) 70nm≦Rth≦300nm
(式中、Reは波長590nmの光に対する25℃60%RHの該フィルムの面内レターデーション値であり、Rthは波長590nmの光に対する25℃60%RHの該フィルムの厚み方向のレターデーション値である。)
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
〔6〕
偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは〔5〕に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
〔7〕
液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が〔6〕に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
まず、本発明に用いられるセルロースアシレートについて説明する。
(置換度)
本発明で用いるセルロースアシレートは下記式(A)及び(B)を満足する。
式(A)2.30≦X+Y≦2.85
式(B)0.10≦Y≦0.50
アシル基の総置換度が2.85を超える、またはプロピオニル化度あるいはブチリル化が0.50を超えると、セルロースアシレートの自由体積が増大し、分子鎖の絡み合いが減少するため、延伸によるセルロースアシレートの分子鎖、レターデーション発現剤の配向が進みにくくなり、位相差の発現性が低下する。また、フィルムの熱による膨張の割合も著しく高くなる。
式(A1)2.50≦X+Y≦2.75
式(B1)0.20≦Y≦0.50
式(A2)2.60≦X+Y≦2.70
式(B2)0.25≦Y≦0.40
セルロースアシレートを合成する際のセルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。
セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる処理(活性化)を行っておくことが好ましい。活性化剤として好ましくは、酢酸、プロピオン酸、または酪酸であり、特に好ましくは酢酸である。活性化剤の添加量は好ましくは5%〜10000%であり、より好ましくは10%〜2000%、さらに好ましくは30%〜1000%である。添加方法は噴霧、滴下、浸漬などの方法から選択できる。活性化時間は20分〜72時間以下が好ましく、特に好ましくは20分〜12時間である。活性化温度は0℃〜90℃が好ましく、20℃〜60℃が特に好ましい。さらに活性化剤に硫酸などのアシル化の触媒を0.1質量%〜10質量%加えることもできる。
セルロースとカルボン酸の酸無水物とをブレンステッド酸またはルイス酸(「理化学辞典」第五版(2000年)参照)を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜22のものを用いることができる。特に好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。酸無水物はセルロースの水酸基に対して1.1〜50当量添加することが好ましく、1.2〜30当量添加することがより好ましく、1.5〜10当量添加することが特に好ましい。
アシル化触媒には、ブレンステッド酸またはルイス酸を使用することが好ましく、硫酸または過塩素酸がより好ましく、硫酸が特に好ましい。好ましい添加量は原料セルロースに対して0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
アシル化溶媒としてカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、炭素数2〜7のカルボン酸であり、特に好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸である。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
アシル化剤は、セルロースに対して一度に添加してもよいし、分割して添加してもよい。また、アシル化剤に対してセルロースを一度に添加してもよいし、分割して添加してもよい。アシル化の反応熱による温度上昇の制御と分子量の調整のために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。アシル化剤の温度は−50℃〜50℃が好ましく、より好ましくは−30℃〜40℃、特に好ましくは−20℃〜35℃である。反応の最低温度は−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましく、−20℃以上が特に好ましい。反応の最高温度は50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、35℃以下が特に好ましい。アシル化の反応時間は0.5時間〜24時間が好ましく、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜8時間が特に好ましい。
アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。反応停止剤は酸無水物を分解するものであればよく、水、アルコール(炭素数1〜3のもの)などが挙げられ、中でも水とカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)との混合物がさらに好ましい。水とカルボン酸との組成は、水が好ましくは5質量%〜80質量%、さらに好ましくは10質量%〜60質量%、特に好ましくは15質量%〜50質量%である。
アシル化反応の停止時あるいは停止後に中和剤を添加して、酸触媒を部分的あるいは完全に中和してもよい。中和剤の好ましい例としては、アンモニウム、有機4級アンモニウム、アルカリ金属、2族の金属、3〜12族金属、または13〜15族元素の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、水酸化物または酸化物などを挙げることができる。特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩または水酸化物である。中和剤は、粉末で加えても、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に溶解して添加しても良い。
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させることが好ましい。この後、残存する酸触媒を前記の中和剤を用いて完全に中和し、部分加水分解を停止させることが好ましい。
セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを除去または削減する目的として、アシル化工程から再沈殿工程の間のいずれかにおいて、セルロースアシレートを含む反応溶液をろ過することが好ましい。ろ過に用いるフィルターの保留粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下であり、更に好ましくは、0.5μm以上40μm以下であり、特に好ましくは、1μm以上30μm以下である。フィルターの保留粒子径が0.1μmより小さいと、ろ過圧の上昇が著しく、実質的に工業的な生産が困難である。また、保留粒子径が40μmより大きいと、異物の除去が十分にできない場合がある。また、濾過は2回以上繰り返してもよい。
セルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)水溶液と混合し再沈殿させる。再沈殿は連続式、バッチ式のいずれでもよい。
再沈殿後、洗浄処理することが好ましい。洗浄は水または温水を用い、pH、イオン濃度、電気伝導度、元素分析等で洗浄終了を確認することができる。
洗浄後のセルロースアシレートは、安定性の向上のために、弱アルカリ(Na、K、Ca、Mg等の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物)の水溶液で処理することが好ましい。
50〜160℃でセルロースアシレートの含水率を2質量%以下にまで乾燥することが好ましい。
以下に本発明に用いられるレターデーション発現剤について説明する。
本発明に用いられるレターデーション発現剤は、セルロースアシレートフィルムに添加した際に下記数式(1)および(2)を満たすことが好ましい。
数式(1)(Re(A)−Re(0))/A≧1.0
数式(2) 0.01≦A≦30
ここで、数式(1)は原料セルロースアシレートを100質量部、トリフェニルホスフェートを12質量部及びレターデーション発現剤を数式(2)で表されるA質量部のみを含有するセルロースアシレートフィルムを用いて15%の固定一軸延伸を後述するガラス転移温度で施した場合に得られる波長590nmにおけるReを表し、
Re(A):レターデーション発現剤をA%含有したフィルムのRe(nm)
Re(0):レターデーション発現剤含有しないフィルムのRe(nm)
A:フィルム原料セルロースアシレートを100質量部としたときのレターデーション発現剤の質量(%)、である。
少なくとも2つ以上の芳香環を有する化合物は一様配向した場合に正の光学的に正の1軸性を発現することが好ましい。
少なくとも2つ以上の芳香環を有する化合物からなるレターデーション発現剤の分子量は、300ないし1200であることが好ましく、400ないし1000であることがより好ましい。
一般式(I):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(I)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、環骨格にヘテロ原子を有していてもよい芳香環基である。
本明細書において、環骨格にヘテロ原子を有していてもよい芳香環基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
アルキル置換アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
、L1、L2は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表す。複数のAr2及びL2は、それぞれ、同一であっても異なっていても良い。
ル基または芳香族ヘテロ環)を表し、L2、L3は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
Ar1及びAr3としての一価の芳香環基は、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
を表し、L2、L3は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、複数のAr2及びL2は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。
2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR47−(R47は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR47−、−NR47SO2−、および−NR47CO−である。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2-エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、
以下に一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
少なくとも3つの置換基を有する環状化合物は一様配向した場合に光学的負の1軸性を発現することが好ましい。
少なくとも3つの置換基を有する環状化合物からなるレターデーション発現剤の分子量は、300ないし1000であることが好ましく、350ないし800であることがより好ましい。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が少なくとも3つの置換基を有する環状化合物として好ましく用いられる。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミド基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
R12は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
X11は、各々独立に、単結合または−NR13−を表す。ここで、R13は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
X11が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
R13が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
R13が表す芳香族環基および複素環基は、R12が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR12の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
(2)3−エトキシカルボニルフェニル
(3)3−ブトキシフェニル
(4)m−ビフェニリル
(5)3−フェニルチオフェニル
(6)3−クロロフェニル
(7)3−ベンゾイルフェニル
(8)3−アセトキシフェニル
(9)3−ベンゾイルオキシフェニル
(10)3−フェノキシカルボニルフェニル
(11)3−メトキシフェニル
(12)3−アニリノフェニル
(13)3−イソブチリルアミノフェニル
(14)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(15)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(16)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(17)3−メチルフェニル
(18)3−フェノキシフェニル
(19)3−ヒドロキシフェニル
(21)4−ブトキシフェニル
(22)p−ビフェニリル
(23)4−フェニルチオフェニル
(24)4−クロロフェニル
(25)4−ベンゾイルフェニル
(26)4−アセトキシフェニル
(27)4−ベンゾイルオキシフェニル
(28)4−フェノキシカルボニルフェニル
(29)4−メトキシフェニル
(30)4−アニリノフェニル
(31)4−イソブチリルアミノフェニル
(32)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(33)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(34)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(35)4−メチルフェニル
(36)4−フェノキシフェニル
(37)4−ヒドロキシフェニル
(39)3,4−ジブトキシフェニル
(40)3,4−ジフェニルフェニル
(41)3,4−ジフェニルチオフェニル
(42)3,4−ジクロロフェニル
(43)3,4−ジベンゾイルフェニル
(44)3,4−ジアセトキシフェニル
(45)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(46)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(47)3,4−ジメトキシフェニル
(48)3,4−ジアニリノフェニル
(49)3,4−ジメチルフェニル
(50)3,4−ジフェノキシフェニル
(51)3,4−ジヒドロキシフェニル
(52)2−ナフチル
(54)3,4,5−トリブトキシフェニル
(55)3,4,5−トリフェニルフェニル
(56)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(57)3,4,5−トリクロロフェニル
(58)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(59)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(60)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(61)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(62)3,4,5−トリメトキシフェニル
(63)3,4,5−トリアニリノフェニル
(64)3,4,5−トリメチルフェニル
(65)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(66)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(68)3−エトキシカルボニルフェニル
(69)3−ブトキシフェニル
(70)m−ビフェニリル
(71)3−フェニルチオフェニル
(72)3−クロロフェニル
(73)3−ベンゾイルフェニル
(74)3−アセトキシフェニル
(75)3−ベンゾイルオキシフェニル
(76)3−フェノキシカルボニルフェニル
(77)3−メトキシフェニル
(78)3−アニリノフェニル
(79)3−イソブチリルアミノフェニル
(80)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(81)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(82)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(83)3−メチルフェニル
(84)3−フェノキシフェニル
(85)3−ヒドロキシフェニル
(87)4−ブトキシフェニル
(88)p−ビフェニリル
(89)4−フェニルチオフェニル
(90)4−クロロフェニル
(91)4−ベンゾイルフェニル
(92)4−アセトキシフェニル
(93)4−ベンゾイルオキシフェニル
(94)4−フェノキシカルボニルフェニル
(95)4−メトキシフェニル
(96)4−アニリノフェニル
(97)4−イソブチリルアミノフェニル
(98)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(99)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(100)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(101)4−メチルフェニル
(102)4−フェノキシフェニル
(103)4−ヒドロキシフェニル
(105)3,4−ジブトキシフェニル
(106)3,4−ジフェニルフェニル
(107)3,4−ジフェニルチオフェニル
(108)3,4−ジクロロフェニル
(109)3,4−ジベンゾイルフェニル
(110)3,4−ジアセトキシフェニル
(111)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(112)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(113)3,4−ジメトキシフェニル
(114)3,4−ジアニリノフェニル
(115)3,4−ジメチルフェニル
(116)3,4−ジフェノキシフェニル
(117)3,4−ジヒドロキシフェニル
(118)2−ナフチル
(120)3,4,5−トリブトキシフェニル
(121)3,4,5−トリフェニルフェニル
(122)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(123)3,4,5−トリクロロフェニル
(124)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(125)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(126)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(127)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(128)3,4,5−トリメトキシフェニル
(129)3,4,5−トリアニリノフェニル
(130)3,4,5−トリメチルフェニル
(131)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(132)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(134)4−ブチルフェニル
(135)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(136)4−(5−ノネニル)フェニル
(137)p−ビフェニリル
(138)4−エトキシカルボニルフェニル
(139)4−ブトキシフェニル
(140)4−メチルフェニル
(141)4−クロロフェニル
(142)4−フェニルチオフェニル
(143)4−ベンゾイルフェニル
(144)4−アセトキシフェニル
(145)4−ベンゾイルオキシフェニル
(146)4−フェノキシカルボニルフェニル
(147)4−メトキシフェニル
(148)4−アニリノフェニル
(149)4−イソブチリルアミノフェニル
(150)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(151)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(152)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(153)4−フェノキシフェニル
(154)4−ヒドロキシフェニル
(156)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(157)3−(5−ノネニル)フェニル
(158)m−ビフェニリル
(159)3−エトキシカルボニルフェニル
(160)3−ブトキシフェニル
(161)3−メチルフェニル
(162)3−クロロフェニル
(163)3−フェニルチオフェニル
(164)3−ベンゾイルフェニル
(165)3−アセトキシフェニル
(166)3−ベンゾイルオキシフェニル
(167)3−フェノキシカルボニルフェニル
(168)3−メトキシフェニル
(169)3−アニリノフェニル
(170)3−イソブチリルアミノフェニル
(171)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(172)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(173)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(174)3−フェノキシフェニル
(175)3−ヒドロキシフェニル
(177)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(178)2−(5−ノネニル)フェニル
(179)o−ビフェニリル
(180)2−エトキシカルボニルフェニル
(181)2−ブトキシフェニル
(182)2−メチルフェニル
(183)2−クロロフェニル
(184)2−フェニルチオフェニル
(185)2−ベンゾイルフェニル
(186)2−アセトキシフェニル
(187)2−ベンゾイルオキシフェニル
(188)2−フェノキシカルボニルフェニル
(189)2−メトキシフェニル
(190)2−アニリノフェニル
(191)2−イソブチリルアミノフェニル
(192)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(193)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(194)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(195)2−フェノキシフェニル
(196)2−ヒドロキシフェニル
(198)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(199)3,4−ジフェニルフェニル
(200)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(201)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(202)3,4−ジメチルフェニル
(203)3,4−ジクロロフェニル
(204)3,4−ジベンゾイルフェニル
(205)3,4−ジアセトキシフェニル
(206)3,4−ジメトキシフェニル
(207)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(208)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(209)3,4−ジフェノキシフェニル
(210)3,4−ジヒドロキシフェニル
(212)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(213)3,5−ジフェニルフェニル
(214)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(215)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(216)3,5−ジメチルフェニル
(217)3,5−ジクロロフェニル
(218)3,5−ジベンゾイルフェニル
(219)3,5−ジアセトキシフェニル
(220)3,5−ジメトキシフェニル
(221)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(222)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(223)3,5−ジフェノキシフェニル
(224)3,5−ジヒドロキシフェニル
(226)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(227)2,4−ジフェニルフェニル
(228)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(229)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(230)2,4−ジメチルフェニル
(231)2,4−ジクロロフェニル
(232)2,4−ジベンゾイルフェニル
(233)2,4−ジアセトキシフェニル
(234)2,4−ジメトキシフェニル
(235)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(236)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(237)2,4−ジフェノキシフェニル
(238)2,4−ジヒドロキシフェニル
(240)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(241)2,3−ジフェニルフェニル
(242)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(243)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(244)2,3−ジメチルフェニル
(245)2,3−ジクロロフェニル
(246)2,3−ジベンゾイルフェニル
(247)2,3−ジアセトキシフェニル
(248)2,3−ジメトキシフェニル
(249)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(250)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(251)2,3−ジフェノキシフェニル
(252)2,3−ジヒドロキシフェニル
(254)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(255)2,6−ジフェニルフェニル
(256)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(257)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(258)2,6−ジメチルフェニル
(259)2,6−ジクロロフェニル
(260)2,6−ジベンゾイルフェニル
(261)2,6−ジアセトキシフェニル
(262)2,6−ジメトキシフェニル
(263)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(264)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(265)2,6−ジフェノキシフェニル
(266)2,6−ジヒドロキシフェニル
(268)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(269)3,4,5−トリフェニルフェニル
(270)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(271)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(272)3,4,5−トリメチルフェニル
(273)3,4,5−トリクロロフェニル
(274)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(275)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(276)3,4,5−トリメトキシフェニル
(277)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(278)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(279)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(280)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(282)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(283)2,4,6−トリフェニルフェニル
(284)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(285)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(286)2,4,6−トリメチルフェニル
(287)2,4,6−トリクロロフェニル
(288)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(289)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(290)2,4,6−トリメトキシフェニル
(291)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(292)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(293)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(294)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(296)ペンタクロロフェニル
(297)ペンタメトキシフェニル
(298)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(299)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(300)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(301)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(302)3−メトキシ−2−ナフチル
(303)1−エトキシ−2−ナフチル
(304)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(305)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(306)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(307)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(308)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(309)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(310)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(312)2−メトキシ−1−ナフチル
(313)4−フェノキシ−1−ナフチル
(314)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(315)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(316)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(317)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(318)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(319)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(320)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(321)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(322)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(324)エチル
(325)ブチル
(326)オクチル
(327)ドデシル
(328)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(329)ベンジル
(330)4−メトキシベンジル
(332)フェニル
(333)ブチル
一般式(V)
以下に一般式(V)で表される化合物について説明する。
R4、R5、R6、R7、R8及びR9が各々表す置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
前記セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートフィルムを通常作製する方法であればいずれの方法においても製造することができる。しかし、溶融流延法では高温が必要とされるため、可塑剤、レターデーション発現剤等の添加剤が分解するという問題がある。このため本発明のフィルムはソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造することができる。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアシレートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤添加による効果が発現し、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)を抑制する観点から、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
延伸時の雰囲気温度は110℃以上150℃以下が好ましく、115℃以上140℃以下がさらに好ましく、120℃以上135℃以下が最も好ましい。
フィルムの幅手方向への延伸速度は、50%/min〜300%/minが好ましく、100%/min〜400%/minがさらに好ましく、100%/min〜300%/minが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度の測定はJIS規格K7121記載の方法によりおこなうことができる。
本発明のセルロースアシレ-トフィルムのガラス転移温度は80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上170℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度は可塑剤、溶剤等の低分子化合物を含有させることにより低下させることが可能である。
また、セルロースアシレートフィルムの厚み(乾燥膜厚)は、120μm以下であり、20〜100μmが好ましく、30〜90μmがより好ましい。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(21)及び数式(22)よりRthを算出することもできる。
数式(21):
数式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
数式(22):
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
Re及びRthが上記範囲であると、VAモード液晶表示装置の光学補償シートとして用いた場合に、色味、視野角、コントラストに優れ、好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。
25℃10%RHにおけるRe値と25℃80%RHにおけるRe値の差ΔRe(Re10%RH−Re80%RH)が0〜20nmであることが好ましい。より好ましくは0〜15nmであり、さらに好ましくは0〜10nmである。
また、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜25nmである。
セルロースアシレートフィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は一定温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出したものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃80%RHにおける平衡含水率は6重量%以下が好ましく、4重量%以下がさらに好ましく、3.5重量%以下が最も好ましい。
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法により、各試料の透湿度を測定し、面積1m2あたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出する。
セルロースアシレートフィルムの透湿度は様々な方法により調節可能である。
セルロースアシレートフィルムに疎水性化合物を添加し、セルロースアシレートフィルムの含水率を低下させることにより透湿度を低下させることができる。また、透湿度は製膜時に搬送方向及び/あるいは幅方向に延伸し、セルロースアシレートの分子鎖の配向を密にすることによっても低下させることが可能である。
JIS Z 0208、条件Aの方法で測定した本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、20g/m2以上250g/m2以下が好ましく、40g/m2以上225g/m2以下がさらに好ましく、100g/m2以上200g/m2以下が最も好ましい。
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。額縁状の透過率上昇を防止するために、セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることが更に好ましく、10×10-5/%RH以下とすることが最も好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1 )にして、長さ(L1 )を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1 -L0 )/L0 }/(R1 -R0 )
上記残留溶剤量を制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することができる。
残留溶剤量は、一定量の試料をクロロフォルムに溶解し、ガスクロマトグラフ(GC18A、島津製作所(株)製)を用いて測定した。
これらの疎水基を有する化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜30質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
セルロースアシレートフィルムの寸度変化率はピンゲージにより一定温度での経時前後の寸度変化を測定し、下記式により算出することができる。L1を経時前の寸度、L2を経時後の寸度とし、
寸度変化率(%)=[(L2−L1)/L1]×100
本発明のセルロースアシレートフィルムの90℃24hr経時での寸度変化率は、−0.5%以上0.5%以下が好ましく、−0.3%以上0.3%以下がさらに好ましく、−0.2%以上0.2%以下が最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムの弾性率は引っ張り試験により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムは幅方向あるいは流延方向の少なくとも1つの方向が1.0GPa以上6.0GPa以下が好ましく、2.0Gpa以上5.5GPa以下がさらに好ましく2.5Gpa以上5.0GPa以下が最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は60×10-8cm2/N以下が好ましく、20×10-8cm2/Nがさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。
サンプルフィルムの流延方向(MD)および横方向(TD)に、5mm幅×20mm長さのサンプル片を採取した。線熱膨張係数はTMA(Thermomechanical Analysis)(理学電械(株)製、TMA8310)を用いて、100ml/min窒素雰囲気中に、フィルムの厚みに応じて20mN〜200mNの範囲内で定引張荷重法にて測定を行った。測定温度は20℃〜140℃の温度範囲、昇温速度は3℃/minとした。線熱膨張係数(CTE)は下式に示すように25℃〜80℃の間の平均膨張係数として求めた。
CTE=(L 80 −L 25 )/(L 25 ×(T 80 −T 25 )) (ppm/℃)
(式中、L 80 は80℃におけるサンプル片の長さ、L 25 は25℃におけるサンプル片の長さ、T 80 は80℃の測定温度、T 25 が25℃の測定温度を表す。)
線熱膨張係数は、40ppm/℃以上70ppm/℃以下が好ましく、40ppm/℃以上65ppm/℃以下がさらに好ましく、40ppm/℃以上60ppm/℃以下が最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜0.80%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.60%であり、0.01〜0.30%であることがさらに好ましい。ヘイズが0.80%以上になるとパネルに貼り合わせたときに明るさが低下するため好ましくない。
ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
セルロースアシレートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7-333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光子との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
偏光板は、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを少なくとも一方に用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
また、本発明の偏光板は、60℃95%RHに500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量ΔCT(%)、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たしている。
(k)−10.0≦ΔP≦0.0
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
この要件を満たすことによって偏光板の使用中あるいは保管中の安定性が確保される。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(シャープ技報第80号11頁)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年))が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明の光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
セルロース(綿花リンター)200質量部に酢酸200質量部を噴霧した後、2時間室温で保存した。別途、酢酸518質量部、無水酢酸783質量部、プロピオン酸611質量部、プロピオン酸無水物688質量部、硫酸10質量部の混合物を調整し、−10℃に冷却後に、前記前処理を行ったセルロースと反応容器内で混合した。
反応混合物の濃度を10℃以下に1時間保持した後、反応温度を27℃まで上昇させ、4.5時間反応させた。反応容器に50%酢酸水溶液733質量部を添加し、内温を60℃に上昇させて、3時間攪拌した。酢酸マグネシウム4水和物と酢酸と水とを等重量ずつ混合した溶液を131質量部添加し、30分間攪拌した(中和工程)。25%酢酸水溶液を激しく攪拌しながら反応液を混合してセルロース アセテートプロピオネートを沈殿させた後、70℃の温水にて、洗浄液のpHが6−7になるまで十分に洗浄を行った。更に、0.002%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌する処理を行った後に脱液した。得られたセルロースアセテートプロピオネートは、70℃で乾燥させた。1H−NMRおよびGPCの測定から、得られたセルロースアセテートプロピオネートはアセチル化度2.00、プロピオニル化度0.60、全アシル置換度2.60、数平均分子量112000、重量平均分子量292000であった。
<セルロースアシレート溶液Aの調製>
上記で合成したセルロースアセテートプロピオネートおよび下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度2.0、プロピオニル化度0.6の
セルロースアセテートプロピオネート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 0.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アシル化剤の組成および部分加水分解の条件を変更することにより、合成例1と同様にして表1に記載のセルロースアシレートを合成した。更に、延伸倍率を表1の内容に変更した以外はセルロースアシレートフィルム1と同様にしてセルロースアシレートフィルム2〜11を作製した。
表1
表2
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤A 14.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートのアシル基置換度を変更した以外はセルロースアシレートフィルム11と同様にしてセルロースアシレートフィルム12〜19を作製した。
表3
(鹸化処理)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。次に、作製したセルロースアシレートフィルム11を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。セルロースアシレートフィルム11の遅相軸および偏光膜の透過軸が平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を実施例4と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記偏光膜の反対側に貼り付けた。このようにして、偏光板1を作製した。
セルロースアシレートフィルム11のかわりにセルロースアシレートフィルム12〜15を用いた以外は実施例4と同様にして偏光板2〜5を作製した。
(液晶表示装置の作製)
市販のVAモード液晶テレビLC-37GE2(シャープ(株)製)の液晶セルのバックライト側の偏光板を剥がし、粘着剤を介して、上記で作製した偏光板1をセルロースアシレートフィルム1が液晶セル側となるように貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向であったため、バックライト側の偏光板の透過軸は左右方向とし、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置1を作製した。
偏光板1のかわりに偏光板2〜5を用いた以外は実施例6と同様にして液晶表示装置2〜5を作製した。
測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、黒表示におけるカラーシフトおよびコントラスト比を算出した。その結果を表3に示した。黒表示におけるカラーシフトおよび視野角について下記に説明する。
黒表示において、液晶セルの法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向(方位角45度)に視角を倒した場合の色度の変化Δxθ、Δyθは、極角0から60度の間で常に下記数式(a)および(b)を満たすことが好ましい。
数式(b): 0≦Δyθ≦0.1
[式中、Δxθ=xθ−xθ0、Δyθ=yθ−yθ0であり、(xθ0、yθ0)は黒表示における液晶セル法線方向で測定した色度、(xθ、yθ)は黒表示における液晶セル法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向に極角θ度まで視角を倒した方向で測定した色度]
また、液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、さらに前記方向を基点とし該法線を中心として360度回転させて色度を測定した場合における色度変化Δxφ、Δyφは方位角0から360度の間で常に下記数式(c)および(d)を満たすことが好ましい。
数式(d): −0.02≦Δyφ≦0.1
[式中、Δxφ=xφ−xφ0、Δyφ=yφ−yφ0であり、(xφ0、yφ0)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒して測定した色度、(xφ、yφ)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、該法線方向を中心として方位角φの方向から測定した色度]
方位角45度・極角60度におけるコントラスト比(CR@φ=45/Θ=60)が大きいほど視野角が広いことを意味する。
黒表示におけるカラーシフトおよびコントラスト比測定結果を表4に示す。比較例として、偏光板を剥がす前のLC-37GE2の測定結果も示す。
表4
Claims (7)
- アシル基がアセチル基とプロピオニル基またはブチリル基であり、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度の合計をYとしたとき、下記式(A)及び(B)を満たすセルロースアシレートを含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(A) 2.30≦X+Y≦2.85
式(B) 0.10≦Y≦0.50 - 棒状または円盤状化合物からなるレターデーション発現剤を少なくとも一種含有していることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 溶液流延法によって製造したことを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 下記式(C)及び(D)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(C) 30nm≦Re≦100nm
式(D) 70nm≦Rth≦300nm
(式中、Reは波長590nmの光に対する25℃60%RHの該フィルムの面内レターデーション値であり、Rthは波長590nmの光に対する25℃60%RHの該フィルムの厚み方向のレターデーション値である。) - 請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
- 偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項5に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が請求項6に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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