JP4547115B2 - 光学補償フィルムの製造方法 - Google Patents
光学補償フィルムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4547115B2 JP4547115B2 JP2001259724A JP2001259724A JP4547115B2 JP 4547115 B2 JP4547115 B2 JP 4547115B2 JP 2001259724 A JP2001259724 A JP 2001259724A JP 2001259724 A JP2001259724 A JP 2001259724A JP 4547115 B2 JP4547115 B2 JP 4547115B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- stretching
- cellulose acetate
- mass
- ring
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 Cc1ccc(*)cc1 Chemical compound Cc1ccc(*)cc1 0.000 description 12
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29K—INDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
- B29K2001/00—Use of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives, e.g. viscose, as moulding material
- B29K2001/08—Cellulose derivatives
- B29K2001/12—Cellulose acetate
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polarising Elements (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテートからなる光学補償フィルム(特にλ/4板)の製造方法に関する。さらにこの製造方法で作製した光学補償フィルムおよびそれを適用した画像表示装置(反射型または半透過型液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏光板および光学補償シート(位相差板)からなり、透過型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置し、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光板の順に配置する。
【0003】
液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基盤および棒状液晶性部分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
偏光板は、一般に、偏光膜と透明保護膜とからなっており、この偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することにより得られる。この偏光膜の両側に二枚の透明保護膜を貼りつけた構成を有する。
【0004】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。
その中でλ/4板は、液晶表示装置用の光学補償フィルムや、有機EL表示用の反射防止膜など多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
【0005】
特開平5−27118号および同5−27119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた光学補償フィルムが開示されている。二枚のフイルムのレターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれば、光学補償フィルムは理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板として機能する。特開平10−68816号公報に、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる光学補償フィルムが開示されている。 特開平10−90521号公報にも、二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる光学補償フィルムが開示されている。しかしながら、二枚の光学補償フィルムの貼り合せは膜厚が厚くなる、コストが高いなどの課題があり、一枚で広い波長領域にわたりλ/4を実現する光学補償フィルムが望まれていた。
【0006】
これに対し、特開平2000−137116号公報、およびWO00/65384には、一枚のポリマーフィルムで測定波長が短いほど位相差が小さくなる光学補償フィルム、円偏光板、および反射型液晶表示装置への適用に関しての記載がある。上述のλ/4板の視野角特性を制御するパラメータとして(nx−nz)/(nx−ny)で定義される数値が採用されている(以後NZファクターと記載する。またnx、ny、nzはそれぞれ面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、厚み方向の屈折率を表す)。WO00/65384では好ましい範囲として1≦NZ≦2であることを記載している。
【0007】
このNZファクターは制御できることが好ましい。なぜなら、画像表示装置が液晶表示装置である場合、液晶パネルによって液晶セルの複屈折(Δn)が異なり、Δnの角度依存性が液晶パネルによって異なるために、NZファクターが制御できれば、光学補償フィルムのReを変えることなく視野角特性を最適化できるからである。
しかしながら、NZファクターは三方向の屈折率で定義された値であるため延伸倍率と関連しており、縦延伸倍率が大きくなり一軸延伸に近づくにつれて大きい値から1に近づく。WO00/65384公報の実施例に記載された自由幅一軸延伸方法でλ/4板を作製すると、λ/4のレターデーションを実現する延伸倍率が破断伸度の関係から決まるため、NZファクターも一義的に決まってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、NZファクターを制御でき、視野角特性に優れた光学補償フィルム(特に、広い波長領域で位相差がλ/4であるλ/4板)を製造する方法、特にレターデーションを変化させずにNZファクターを制御し、視野角特性を改良することができる光学補償フィルムを製造する方法を確立することにあり、それにより、視野角特性に優れたλ/4板、円偏光板、およびそれを用いた画像表示装置、特に反射型または半透過型液晶表示装置、および有機エレクトロルミネッセンス等を用いる画像表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(17)により達成された。
(1)セルロースアセテートフィルムを延伸する光学補償フィルムの製造方法において、セルロースアセテートが酢化度57.0%乃至62.5%であり、延伸するセルロースアセテートフィルムの含水率を2.0質量%以上20.0質量%以下にすることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
(2)延伸により、波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)を20nm≦Re550≦2000nmとすることを特徴とする(1)に記載の光学補償フィルムの製造方法。
(3)延伸により、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであり、Re590−Re450≧2nmとすることを特徴とする(1)または(2)に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0010】
(4) 延伸直後のセルロースアセテートフィルムの含水率が2.0質量%以上20.0質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)に記載の製造方法。
(5) 延伸時にフィルムを固定する固定部材間の距離をLとし、その固定部材間と垂直な方向をWとし、延伸時のフィルム形状のアスペクト比をL/Wとしたときのアスペクト比L/Wが0.1≦L/W≦2であることを特徴とする(1)〜(4)に記載の製造方法。
(6) 該延伸が水中で実施されることを特徴とする(1)〜(5)に記載の製造方法。
(7) 該延伸が空気中で実施されることを特徴とする(1)〜(5)に記載の製造方法。
(8) 該延伸が相対湿度60%以上100%以下の水蒸気中で実施されることを特徴とする(1)〜(5)に記載の製造方法。
(9) 該延伸が50℃以上150℃以下で実施されることを特徴とする(1)〜(8)に記載の製造方法。
(10) 該延伸が1.1倍以上2.0倍以下で実施されることを特徴とする(1)〜(9)に記載の製造方法。
【0011】
(11) 該延伸が1秒以上30秒以下で実施されることを特徴とする(1)〜(10)に記載の製造方法。
(12) 面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関係を満足する光学補償フィルムの(1)〜(11)に記載の製造方法。
(13) 該フィルムのヘイズ値が0%以上2%以下であることを特徴とする(1)〜(12)に記載の製造方法。
【0012】
(14) 該セルロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むことを特徴とする(1)〜(13)に記載の光学補償フィルムの製造方法。
(15) (1)〜(14)に記載の製造方法により製造した光学補償フィルム。
(16) (1)〜(14)に記載の製造方法により製造したいずれかの1枚の光学補償フィルムと偏光膜又は偏光板を積層したことを特徴とする円偏光板。
(17) (1)〜(14)に記載の製造方法により製造した光学補償フィルムまたは、(16)に記載の円偏光板を少なくとも1枚以上用いたことを特徴とする画像表示装置。
なお、本発明は上記(1)〜(14)に関するものであるが、参考のためその他の事項、例えば上記(15)〜(17)に記載の事項等についても記載した。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、酢化度57.0%〜62.5%のセルロースアセテートフイルムに水分を積極的に含水させ、延伸処理を行うことで、NZファクターを制御できることを見いだし、本発明の光学物性を達成するものである。以下に実施方法の詳細について記述する。
【0014】
[含水率]
セルロースアセテートフィルムは室温で含水率が1.8%である。通常、このようなセルロースアセテートフィルム(原反)に対してガラス転移点(Tg)程度に昇温させることで延伸可能な状態とし、延伸を行う。このようなTg程度、例えば130℃にすると含水率は更に低下し、0.4質量%となる。本発明はこのようなセルロースアセテートフィルム(原反)を延伸前に含水させることで、セルロースアセテートフィルムの含水率を2.0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上18.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以上16.0質量%以下とすることを特徴としている。
【0015】
含水率はフィルム中に含まれる水の質量分率(%)であり、実際には水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサンプル量をF(mg)とすると、含水率(質量%)=0.1×(W/F)で表される。
延伸時のセルロースアセテートフィルムの含水率を2.0質量%以上20.0質量%以下にすることは、セルロースアセテートフィルムのガラス転移温度(Tg)を130℃(含水率0.4質量%)から75℃(含水率5.5質量%)へ低下させることになり、通常の延伸温度(130℃)より低い温度で均一な延伸が可能となる。なお、含水率5.5質量%のセルロースアセテートフィルムのTgは、銀製密封パン(70μl)中に水を入れセルロースアセテートフィルムを浸漬させて、温度変調型DSC(TAインスツルメント社製DSC2910)を用いて測定したものである。
【0016】
[セルロースアセテートフィルム]
本発明のセルロースアセテートフィルムとしては、酢化度が57.0%乃至62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が58.0%乃至62.0%であることが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
【0017】
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
光透過率が80%以上であるセルロースアセテートフィルムを用いる事が好ましい。
【0018】
[延伸方法]
延伸時におけるフィルムの含水率を制御するため、延伸前に該フィルムを水中に浸漬してもよいし、或いは恒温高湿にて調湿してもよいし、またこれら2つを併用して用いてもよい。水槽へ浸漬する場合、水の温度は50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上95℃以下が更に好ましく、70℃以上90℃以下が特に好ましい。浸漬時間は5秒以上10分以内が好ましく、10秒以上8分以内が更に好ましく、20秒以上6分以内が特に好ましい。恒温高湿で調湿する場合、温度は50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上140℃以下が更に好ましく、70℃以上120℃以下が特に好ましい。相対湿度は60%RH以上100%RH以下が好ましい。
【0019】
これらの浸漬、水蒸気曝気に用いる水は実質的に水であれば良い。実質的に水とは60質量%以上が水からなるものを指し、水以外に下述の有機溶剤、可塑剤、界面活性剤等を含んでも良い。好ましい有機溶剤として炭素数が1から10の水溶性有機溶剤が挙げられる。但し、より好ましくは90質量%以上が水であり、更に好ましくは95%質量%以上が水であり、最も好ましいのは、純水を用いたものである。以下に記述で用いられる水についても実質的に水であればよい。
【0020】
延伸時の雰囲気は空気中、水蒸気中、水中のいずれであってもよい。
延伸時の雰囲気が空気中とは、温度を制御し湿度は制御していない雰囲気中での延伸を指している。延伸時温度は50℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃であることがさらに好ましく、65℃以上110℃以下であることが特に好ましい。
延伸時の雰囲気が水蒸気中とは、恒温高湿であること又は、水蒸気をフィルムにあてることを指している。延伸時温度は50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上140℃以下が更に好ましく、70℃以上130℃以下が特に好ましい。相対湿度は60%RH以上100%RH以下が好ましい。このようにすることでセルロースアセテート中の含水率は2.0質量%以上20.0質量%以下に保持される。含水率が2.0質量%より小さくなると延伸時において破断伸度は小さく、切れ易くなり、波長550nmで測定した時のレターデーションRe550はλ/4に到達しない。
【0021】
延伸時の雰囲気が水中とは、フィルムを水槽へ浸漬させながら延伸することを指している。水の温度は50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上98℃以下が更に好ましく、65℃以上95℃以下が特に好ましい。浸漬時間は0.5秒以上10分以内が好ましく、1秒以上8分以内が更に好ましく、1秒以上7分以内が特に好ましい。
【0022】
延伸時にフィルムを固定する固定部材間の距離をLとし、その固定部材間と垂直な方向をWとし、延伸時のフィルム形状のアスペクト比をL/Wとすると、アスペクト比は0.05以上4以下が好ましく、0.1以上3以下が更に好ましく、0.1以上2以下が特に好ましい。
【0023】
延伸直後の含水率を2.0質量%以上20.0質量%以下に保つことは、フィルムが均一に延伸なされるためには必須である。延伸直前のゾーンでフィルムの含水率を2.0質量%以上、20.0質量%以下に制御しているため、含水率が2.0質量%以下だと破断伸度は小さくなり、所望の厚みで正面レターデーションをλ/4領域まで出すことができない。
ここで、延伸直後の含水率とは、延伸工程を終えた直後のフィルムの含水率を指している。
また、延伸工程を経た後、巻き取り部位に至るまでにフィルムに付着している水分を除去してもよい。エアナイフ方式、ブレード方式など公知の方法を用いることができる。
【0024】
延伸は、縦、横いずれの方向に行っても良く、これらを組み合わせても良い。
縦とはフィルム製造時の流延方向を、横とはその流延方向に対して垂直の方向を指している。なかでも好ましいのが縦あるいは横の1軸延伸であり、さらに好ましいのが縦の1軸延伸である。
延伸方法はゾーン法、ロール法、テンター法、など公知の方法で行なうことが出来る。クリップ間延伸法で行なっても良い。クリップ間延伸法とは、長方形のフィルムの両端をクリップのような固定部材で滑らないように固定し、フィルムを延伸する方法である。また、ロール法延伸も好ましい。ロール延伸は1段でも多段でも良い。パラレル配置でもよいしクロス配置でもよい。ロールは特に制限は無いが、ジャケットロール、エキスパンダロールが好ましく用いられる。
【0025】
好ましい延伸倍率は1.1倍以上2.0倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.9倍以下、さらに好ましくは1.2倍以上1.8倍以下である。延伸は1段で行っても良く、多段で行っても良い。多段で行なう場合は各延伸倍率の積がこの範囲にはいるようにすれば良い。
延伸速度は10%/分以上1000%/分以下、より好ましくは20%/分以上800%/分以下、さらに好ましくは30%/分以上700%/分以下である。
延伸している時間は1〜30秒、より好ましくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒である。
【0026】
本発明のフィルムの延伸前の厚みは40μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以上280μm以下、さらに好ましくは50μm以上250μm以下である。延伸前の好ましいフィルム幅は5cm以上3m以下であり、より好ましくは8cm以上2.5m以下、さらに好ましくは10cm以上2m以下である。
【0027】
[フイルムのレターデーション]
レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、光学補償フィルムの面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、光学補償フィルムの厚さ(nm)である。
本発明の光学補償フィルムの波長550nmで測定したレターデーションRe550は20nm以上2000nm以下であり、40nm以上500nm以下が好ましく、80nm以上300nmがより好ましい。
【0028】
特に、本発明のセルロースアセテートをλ/4板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであり、そして、Re590−Re450≧2nmの関係を満足する。Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
【0029】
また、本発明のセルロースアセテートをλ/2板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が120乃至270nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が200乃至340nmであり、そして、Re590−Re450≧4nmの関係を満足する。Re590−Re450≧10nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧20nmであることが最も好ましい。
【0030】
[NZファクター]
本発明に用いられるセルロースアセテートフィルムは1枚で下記式を満足することができる。
1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦3
式中、nxは、光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、光学補償フィルムの面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈折率である。好ましくは1.1以上2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下であり、特に1.5以上2.5以下のとき本発明の方法は有効である。
【0031】
[ヘイズ]
光学補償フィルムのヘイズは下記の式にしたがって算出され、ヘイズは2.0%以下が好ましく、1.0%以下がさらに好ましく、0.6%以下が最も好ましい。
ヘイズ(HZ)=拡散(D)/全透過率(T)×100 (%)
【0032】
以上のような光学的性質を有するセルロースアセテートフィルムは、以下に述べる材料により製造することができる。
【0033】
[レターデーション制御剤]
各波長におけるレターデーション値を調整するため、レターデーション制御剤をセルロースアセテートに添加するのが好ましい。
レターデーション制御剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜25質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜20質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上のレターデーション制御剤を併用してもよい。
【0034】
レターデーション制御剤は、210〜360nmの波長領域に最大吸収波長を有することが好ましい。また、レターデーション制御剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション制御剤は、少なくとも二つの「芳香族環」を有する化合物を用いることが好ましい。この「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
【0035】
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環であり、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0036】
芳香族環の具体例として、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
これらの芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
このようなレターデーション制御剤は、下記(イ)板状化合物、(ロ)棒状化合物のいずれを用いても良い。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
【0037】
(イ)板状化合物
この化合物には2対上の芳香族環を含むが、これらの二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)が、結合関係は(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0038】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
【0039】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0040】
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
【0041】
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
【0042】
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0043】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。
アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0044】
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
【0045】
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
レターデーション制御剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。このような板状のレターデーション制御剤の具体例は国際特許出願公開WO00/65384号等に記載されている。
【0046】
(ロ)棒状化合物
本発明では、250nmよりも短波長側に吸収極大を有する棒状化合物をレターデーション制御剤として用いることも好ましい。
レターデーション制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することがさらに好ましい。
【0047】
棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC 2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。
【0048】
棒状化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
(I)Ar1 −L1 −Ar2
式(I)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0049】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N'−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0050】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0051】
式(I)において、L1 は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることがさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
【0052】
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。
【0053】
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
【0054】
式(I)の分子構造において、L1 を挟んで、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
(II)Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2
式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
【0055】
式(II)において、L2 およびL3 は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
L2 およびL3 は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0056】
式(II)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。
以下に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0057】
【化1】
【0058】
【化2】
【0059】
【化3】
【0060】
【化4】
【0061】
【化5】
【0062】
【化6】
【0063】
【化7】
【0064】
【化8】
【0065】
【化9】
【0066】
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)とを、以下に示す。
【0067】
【化10】
【0068】
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0069】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0070】
(具体例のスペクトル測定)
前記のレターデーション制御剤(10-trans)の紫外・可視領域(UV−vis)スペクトルを測定した。レターデーション制御剤(10-trans)を、テトラヒドロフラン(安定剤(BHT)なし)に溶解し、濃度が10-5mol/dm3 になるように調整した。このように調整した溶液を、測定機(日立製作所(株)製)で測定したところ、吸収極大を与える波長(λmax )は220nmであり、そのときの吸光係数(ε)は15000であった。同様に、レターデーション制御剤(29-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax )は240nmであり、そのときの吸光係数(ε)は20000であった。同様に、レターデーション制御剤(41-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax )は230nmであり、そのときの吸光係数(ε)は16000であった。
【0071】
本発明のレターデーション制御剤は、単独で用いても、2種類上の化合物を混合して用いてもよい。
【0072】
[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
本発明のセルロースアセテートフィルムの製造を、セルロースアセテートを例に具体的に説明する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0073】
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
【0074】
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0075】
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
【0076】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
【0077】
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0078】
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。セルロースアセテートの有機溶媒として、メチレンクロリドを用いるのが一般的である。しかしながら、メチレンクロリドは地球環境、作業環境上有害なため、使用しないことが望まれている。メチレンクロリドを用いない有機溶媒系では通常の溶解法では溶解させることが困難であり、その場合、冷却溶解法が有効である。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0079】
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0080】
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0081】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
【0082】
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0083】
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
【0084】
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0085】
また、調整したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて1または2層以上の流延でフィルム化すべく、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを作製してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0086】
セルロースアセテート溶液は、2層以上の複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルム流延方法でもよい。
【0087】
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号に記載されている方法である。
流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアセテート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアセテート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらにこのセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0088】
単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多い。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0089】
セルロースアセテートフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
【0090】
セルロースアセテートフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0091】
セルロースアセテートフィルムには、製造時のハンドリング性向上のために、片面または両面にマット剤とポリマーを含有するマット層を設けてもよい。マット剤およびポリマーについては特開平10−44327に記載されている素材を好適に用いることができる。マット剤はドープに混合して用いてもよい。
【0092】
また、セルロースアセテート溶液には、必要に応じて更に種々の添加剤を溶液の調製前から調製後のいずれの段階で添加してもよい。添加剤としては、紫外線吸収剤、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などである。
【0093】
さらに、剥離時の荷重を小さくするために剥離促進剤を添加してもよい。それらは、界面活性剤が有効でありリン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号などに記載されている。
【0094】
[セルロースアセテートフィルムの表面処理]
セルロースアセテートフィルムには、表面処理を施してもよい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。
フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg以下とすることが好ましい。
【0095】
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を実施することが特に好ましく、さらに好ましくはアルカリ処理である。
アルカリ処理では、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
【0096】
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。これらのアルカリ溶液は水溶液でも良く、有機溶剤でも良い。有機溶剤の場合、低級アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数が1から5のアルコールあるいはグリコールであり、より好ましくはエタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールである。さらに好ましくはiso-プロパノール、プロピレングリコールである。これらは混合して使用しても良い。さらに水や界面活性剤を添加しても良い。
好ましい例として下記溶液にアルカリを溶解したものを挙げることができる。
iso-プロパノール/プロピレングリコール/水(70/15/15:体積比)
iso-プロパノール/水(85/15:体積比)
iso-プロパノール/プロピレングリコール(85/15:体積比)
iso-プロパノール
これらのアルカリ溶液に浸漬しても良く、塗布(バー塗布、カーテン塗布等)しても良い。
【0097】
本発明では、セルロースアセテートフイルムとその上に設けられる層(接着層、配向膜、あるいは光学異方性層)との接着を改善するために、特開平7−333433号公報に記載のような接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層の厚みは0.1乃至2μであることが好ましく、0.2μ乃至1μであることがさらに好ましい。
【0098】
[偏光板]
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、上記のセルロースアセテートフィルムを用いることができるし、本発明の光学補償フィルムを用いてもよい。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイルムを用いてもよい。また、両側とも通常のセルロースアセテートフイルムを用いてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
【0099】
このような偏光膜として用いるポリマーフィルムは、その一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの保持手段の軌跡L1及びポリマーフィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(1)を満たし、かつポリマーフィルムの支持性を保ち、揮発分率が5%以上の状態を存在させて延伸したのち、収縮させながら揮発分率を低下させることで製造することができる。
式(1) |L2−L1|>0.4W
【0100】
図1に斜め延伸により45°に配向が傾斜した偏光膜を作製する装置の概略平面図を示す。(a)が原反フィルムを矢印(イ)方向に導入する工程、(b)が幅方向延伸工程、(c)が延伸フィルムを次工程に(ハ)方向に送る工程である。フィルムは(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点ではいま一方のフィルム端は保持されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B1点は実質保持開始点にはあたらない。実質保持開始点はフィルム両端が初めて保持される点で定義し、これはより下流側の保持開始点A1と、A1から導入側フィルムの中心線21に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡23と交わる点C1の2点で示される。この点を起点とし、両端の保持手段を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸方向となる。図2のようにAnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。実質保持解除点は、より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られるフィルムの中心線22に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡14または24と交わる点Ayの2点で定義される。最終的な延伸方向の角度は、実質的な延伸工程の終点での左右保持手段の行程差Ay−Ax(すなわち|L1−L2|)と、実質出口幅Ay−Cx(すなわちW)の比率で決まる。ここで、延伸方向が次工程への搬送方向に対しなす傾斜角θは
tanθ=(Ay−Cx)/( Ay−Ax)
すなわち tanθ=|L1−L2| /W
で表される。 図の上側のフィルム端は、Ay点の後も28まで保持されるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向延伸は発生せず、28は実質保持解除点ではない。
【0101】
以上のように、実質保持開始点とは左右各々の保持手段への単純な噛み込み点ではなく、より下流側の噛み込み点を一点とし、いま一点は左右の実質保持開始点を結ぶ直線が、保持工程に導入されるフィルムの中心線と略直交するものとして定義されるものである。同様に実質保持解除点とは、より上流側の離脱点を一点とし、いま一点は左右の実質保持解除点を結ぶ直線が、次工程に送り出されるフィルムの中心線と略直交するものとして定義されるものである。略直交とは、フィルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを表す。
【0102】
テンター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約により、しばしば導入側からみて左右保持手段に初めて保持される位置、あるいは次工程側から見て左右保持手段から離脱する位置に前後差が生ずるが、上で定義する実質保持開始点〜実質保持解除点間の行程が上記式(1)の関係を満たしていれば、任意の前後差を付けることができる。
【0103】
上記において、得られる延伸フィルムにおける配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、実質的左右保持手段の行程差|L1−L2|の比率で制御、調整することができる。偏光板、位相差膜ではしばしば長手方向に対し45゜配向したフィルムが求められるが、45゜に近い配向角を得るためには、0.9W<|L1−L2|<1.1Wで有ることが望ましく、0.97W<|L1−L2|<1.03Wであることがさらに好ましい。
【0104】
セルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸の関係を適用される液晶表示装置の種類により異なるが、反射型または半透過型液晶表示装置の場合は、実質的に45度となるように配置することが好ましい。
【0105】
[液晶表示装置]
上記のセルロースアセテートフィルムからなる光学補償フィルム、または上記のセルロースアセテートフィルムを用いた偏光板(円偏光板)は、液晶表示装置に有利に用いられる。液晶表示装置としては、透過型、反射型、半透過型のいずれで用いても構わないが、特に反射型、半透過型が好ましい。
【0106】
図2は、本発明の反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
図2に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(1)、反射電極(2)、下配向膜(3)、液晶層(4)、上配向膜(5)、透明電極(6)、上基板(7)、λ/4板(8)、そして偏光膜(9)からなる。
下基板(1)と反射電極(2)が反射板を構成する。下配向膜(3)〜上配向膜(5)が液晶セルを構成する。λ/4板(8)は、反射板と偏光膜(9)との間の任意の位置に配置することができる。
カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。カラーフィルター層は、反射電極(2)と下配向膜(3)との間、または上配向膜(5)と透明電極(6)との間に設けることが好ましい。
【0107】
図2に示す反射電極(2)の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光膜の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けてもよい。
【0108】
液晶セルは特に限定されない。用いられる液晶表示モードは何を用いても構わないが、好ましくはTN(twisted nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence) 、OCB(Optically Compensatory Bend)型であることが好ましい。
【0109】
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであることが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさらに好ましい。
STN型液晶セルのツイスト角は、180乃至360゜であることが好ましく、220乃至270゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。
【0110】
HAN型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレチルト角が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至1.0μmであることが好ましく、0.3乃至0.8μmであることがさらに好ましい。液晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であってもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0111】
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625および特公平7−69536号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した液晶セルが含まれる。具体的には、MVA(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845、SID99、Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206及び特開平11−258605号公報記載)、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14記載)、PVA(Asia Display98、Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383記載)、Para-A(LCD/PDP International‘99で発表)、DDVA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838記載)、EOC(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319記載)、PSHA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081記載)、RFFMH(Asia Display98、Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)375記載)、HMD(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)702記載)が含まれる。その他に(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(IWD’98、Proc.of the 5th Inter. Display Workshop.(予稿集)(1998)143記載))も含まれる。
【0112】
OCBモードでは棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させる配向モードの液晶セルを用いたものである。この結果自己光学補償能を有する。詳細は米国特許4583825,同5410422号に記載されている。
ECBモードでは水平に液晶を配向させていることが特徴であり、特開平5−203946号に詳細が記載されている。
反射型および半透過型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも、用いることができる。ノーマリーホワイトモードの方が好ましい。
【0113】
[タッチパネル・有機EL表示装置への応用]
タッチパネルは、特開平5−127822号、特願2000−236797号等に記載のものに応用することができる。また、有機EL表示素子には、特開平11−305729号、同11−307250号、特開2000ー267097号に記載のもの等に応用することができる。
【0114】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0115】
(ヘイズの測定)
作製したセルロースアセテートフィルム(光学補償フィルム)について、ヘイズ計(NDH 1001−DP、日本電色工業(株)製)を用いて、ヘイズを測定した。ヘイズは任意の5点の測定値の平均値を採用した。
【0116】
(含水率の測定)
含水率はカールフィッシャー法にて、下記のように測定した。
▲1▼サンプル(0.9m×4.5cmを2枚)秤量する。
・サンプルが濡れている場合は、表面の水分を速やかに拭う。
・サンプリング後、直ちに磨り栓の付いたガラス瓶に入れ水分計のところまで運び、サンプリング後3分以内に測定する。
▲2▼下記水分型を用い、測定する。
・気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃にてサンプル中の水分揮発させ水分計に導入する。
・水分計:カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA−03型)を用い、測定する。
▲3▼含水率の計算
水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサンプル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W/F)
【0117】
(レターデーション、NZファクターの測定)
光学補償フィルムのレターデーション、NZファクターは下記のように測定した。
▲1▼Re450、Re550、Re590
自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値を測定した。
▲2▼NZファクター((nx−nz)/(nx−ny))
自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用い、フィルム面に対し垂直方向、40度、−40度傾斜した方向から波長550nmでレターデーションを測定し、各々Re(0)、Re(40)、Re(-40)を求めた。これから、遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算した。
【0118】
(セルロースアセテートフィルム1の作製)
下記の組成でセルロースアセテート溶液を調製した。
【0119】
【表1】
【0120】
【化11】
【0121】
このレターデーション制御剤の紫外・可視領域(UV−vis)スペクトルを前述の測定に準じて行ったところ、吸収極大を与える波長(λmax )は230nmであり、そのときの吸光係数(ε)は16000であった。
【0122】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフイルムをバンドから剥離し、100℃で10分間乾燥した後、130℃で20分間乾燥し、セルロースアセテートフィルム1を得た。溶剤残留量は0.1質量%であった。膜厚は130μmであった。
【0123】
(セルロースアセテートフィルム2の作製)
下記の組成でセルロースアセテート溶液を調製した。
【0124】
【表2】
【0125】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフイルムをバンドから剥離し、100℃で10分間乾燥した後、130℃で20分間乾燥し、セルロースアセテートフィルム2を得た。溶剤残留量は0.1質量%であった。膜厚は130μmであった。
【0126】
(セルロースアセテートフィルム3の作製)
下記の組成でセルロースアセテート溶液を調製した。
【0127】
【表3】
【0128】
【化12】
【0129】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフイルムをバンドから剥離し、100℃で10分間乾燥した後、130℃で20分間乾燥し、セルロースアセテートフィルム3を得た。溶剤残留量は0.1質量%であった。膜厚は130μmであった。
【0130】
(セルロースアセテートフィルム4の作製)
下記の組成でセルロースアセテート溶液を調製した。
【0131】
【表4】
【0132】
レターデーション制御剤はセルロースアセテートフィルム1で使用の化合物と同じ化合物を用いた。上記セルロースアセテートは6位のアセチル基が2位、3位のアセチル基に比べて多く置換されていて、6位、2位、3位の酢化度はそれぞれ20.5%、19.9%、19.9%であった。
【0133】
溶解方法は下記に従う(冷却溶解法)。すなわち溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後、−70℃まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。
【0134】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフイルムをバンドから剥離し、100℃で10分間乾燥した後、130℃で20分間乾燥し、セルロースアセテートフィルム4を得た。溶剤残留量は0.1質量%であった。膜厚は130μmであった。
【0135】
(含水予備実験1)
上記で作製したセルロースアセテートフィルム1を80℃の恒温水槽に浸漬し、浸漬時間とフィルムの含水率の関係を調べたところ、浸漬時間0分、1分、2分、4分、8分、20分に対して含水率は1.89質量%、3.78質量%、4.21質量%、4.53質量%、4.79質量%、4.83質量%であった。作製したセルロースアセテートフィルム2〜4に対しても浸漬時間と含水率を調べたところ、同様な傾向がみられた。
【0136】
(含水予備実験2)
作製したセルロースアセテートフィルム1を80℃95%RHの恒温高湿槽に入れた後、調湿時間とフィルムの含水率の関係を調べたところ、調湿時間0分、1分、2分、4分、8分、20分に対して含水率は1.89質量%、2.91質量%、3.25質量%、3.54質量%、3.57質量%、3.56質量%であった。作製したセルロースアセテートフィルム2〜4に対しても浸漬時間と含水率を調べたところ、同様な傾向がみられた。
【0137】
[実施例1]
(光学補償フィルム1の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を80℃の恒温水槽に5分浸漬し、含水率を4.63質量%とした後に、90℃の空気恒温槽に入れ、すぐに42.5%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、アスペクト比(L/W)は0.8、延伸時間は9秒であった。延伸直後の含水率は4.7質量%であった。
その後80℃の恒温槽で3分乾燥し、25℃60%RHで2時間以上調湿し、光学特性を測定した結果を表5に示す。延伸後膜厚は115μmであった。
【0138】
[実施例2]
(光学補償フィルム2の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を80℃の恒温水槽に5分浸漬し、含水率を4.63質量%とした後に、70℃95%RHの恒温高湿槽に入れ、すぐに35%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、延伸のアスペクト比(L/W)は0.8、延伸時間は7秒であった。延伸直後のフィルムの含水率は4.8質量%であった。その後そこから取り出し、80℃の恒温槽で3分乾燥した後に、25℃60%RH下で2時間以上調湿し、光学特性を測定した。結果を表5に示す。延伸後膜厚は117μmであった。
【0139】
[実施例3]
(光学補償フィルム3の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を80℃の恒温水槽に5分浸漬し、含水率を4.63質量%とした後に、70℃95%RHの恒温高湿槽に入れ、すぐに42.5%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、延伸のアスペクト比(L/W)は1.0、延伸時間は9秒であった。延伸直後のフィルムの含水率は4.8質量%であった。その後そこから取り出し、80℃の恒温槽で3分乾燥した後に、25℃60%RH下で2時間以上調湿し、光学特性を測定した。結果を表5に示す。延伸後膜厚は115μmであった。
【0140】
[実施例4]
(光学補償フィルム4の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を80℃95%RHの恒温高湿槽に5分入れて、含水率を3.55質量%とした後に、45.0%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、延伸のアスペクト比(L/W)は1.0、延伸時間は9秒であった。延伸直後のフィルムの含水率は4.8質量%であった。この間のフィルムの含水率は3.7質量%であった。その後そこから取り出し、80℃の恒温槽で3分乾燥した後に、25℃60%RH下で2時間以上調湿し、光学特性を測定した。結果を表5に示す。延伸後膜厚は115μmであった。
【0141】
[実施例5]
(光学補償フィルム5の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を80℃95%RHの恒温高湿槽に5分入れて、含水率を3.55質量%とした後に、120℃の高圧水蒸気に2秒曝しながら45.0%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、延伸のアスペクト比(L/W)は1.0、延伸時間は9秒であった。延伸直後のフィルムの含水率は3.7質量%であった。その後そこから取り出し、80℃の恒温槽で3分乾燥した後に、25℃60%RH下で2時間以上調湿し、光学特性を測定した。結果を表5に示す。延伸後膜厚は115μmであった。
【0142】
[参考例1]
(光学補償フィルム6の作製)
製膜して得たセルロースアセテートフィルム1を130℃の恒温槽に5分入れ、含水率を0.4質量%とした後に37%延伸した。延伸はクリップ間延伸法を用い、延伸のアスペクト比(L/W)は3.3であった。25℃60%RH下で2時間以上調湿し、光学特性を測定した。結果を表5に示す。延伸後膜厚は115μmであった。
【0143】
【表5】
【0144】
同様に製膜して得たセルロースアセテートフィルム2〜4に対しても上記実施例1〜5の方法と同様にして光学補償フィルムを得たが、上表と全く同じであった。
【0145】
[実施例6]
(円偏光板の作製)
PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し図2の如く屈曲させ、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)、同様に片側ケン化処理した実施例4の光学補償フィルム4をそれぞれ上記偏光膜に接着面を向け、ロールtoロールで積層して円偏光板を得た。同様に光学補償フィルム4を同様に片面ケン化処理した実施例5の光学補償フィルム5に変更した以外は同様にして円偏光板を得た。
得られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、いずれも広い波長領域(450〜590nm)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
【0146】
[実施例7]
(TN型反射型液晶表示装置の作製)
ITO透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製した。
【0147】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、実施例6で作製した2種の円偏光板(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光膜)をそれぞれセルロースアセテートフイルム側から貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5Vとして目視で評価を行ったところ、白表示においても、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコントラスト比が25であり、コントラスト比10となる視野角は、いずれも上下120゜以上、左右120゜以上であった。また、60℃90%RH 500時間の耐久テストでも表示上、何の問題も発生しなかった。
【0148】
[実施例8]
(STN型反射型液晶表示装置の作製)
ITO透明電極を設けたガラス板と、平坦なアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−150、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。6.0μmのスペーサを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セルを作製した。
【0149】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、内部拡散シート(IDS、大日本印刷(株)製)と、実施例6で作製した円偏光板を、この順序でそれぞれ粘着を介して、偏光板が最外層となるように貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、55Hzの矩形波電圧を印加した。黒表示2.0V、白表示2.5Vとして目視で評価を行ったところ、白表示においても黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に測定器(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコントラスト比が8であり、コントラスト比3となる視野角は、上下90゜、左右105゜であった。
【0150】
[実施例9]
(VA型液晶表示装置)
図3は、VA型液晶表示装置の基本的構成を示す断面図である。図3に示すように、VA型液晶表示装置は下から順に、下側ガラス基板(30)、絶縁膜(39)、薄膜トランジスタ(38)、反射板(36)、下側配向膜(35)、液晶(40)、上側配向膜(34)、ITO透明電極(33)、オーバーコート層(32)、カラーフィルター(31)、上側ガラス基板(41)からなる。
【0151】
ITO透明電極(33)を設けたガラス基板(41)と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極(35)〜(39)を設けたガラス基板(30)とを用意した。上側配向膜(34)、下側配向膜(35)にはそれぞれ垂直配向膜(RN783、日産化学(株)製)を用意し、ラビング処理を行った。1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、Δn=0.08、Δε=−4の液晶(メルク社製)を真空注入法により注入し、液晶層(40)を形成した。このようにして、ツイスト角が45゜、Δndの値が135nmのVA型液晶セルを作製した。
【0152】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、ガラス基板側から、実施例4で作製した光学補償フィルム、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)をこの順で粘着剤を介して積層した。光学補償フィルムと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。実施例4の光学補償フィルム4を用いたものは、全て上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。また、実施例4で作製した光学補償フィルム4の代わりに実施例5の光学補償フィルム5を用いても同様に、上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。しかし、参考例1で作製した光学補償フィルム6を用いた場合では、上下視野角、左右視野角いずれも140度以下であった。
【0153】
同様に、VA型液晶セルを作製し、ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、実施例6で作製した円偏光板を光学補償フィルムがガラス基板側になるように、粘着剤を介して貼り付けた。上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。
このように、液晶セルの複屈折(Δn)の角度依存性が液晶パネルによって異なり、単に、Reを調整するだけでは視野角特性を最適化することができず、光学補償フィルムのReを変えることなく、NZファクターをも制御することが重要であることがわかる。
【0154】
[実施例10]
(ECB型液晶表示装置)
特開平11−316378の実施例1に従い、第2透明支持体を実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5とした。但し、これと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。これを用いて特開平11−316378の実施例6に従いECB型液晶表示素子を作成した。本発明を用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。しかし、参考例1で作製した光学補償フィルム6を用いたものではいずれも100度以下であった。
【0155】
[実施例11]
(有機ELを用いた表示装置)
実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5を特開2000−267097に従い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機能層付き)/偏光膜/光学補償フィルム/有機EL素子/反射電極の構成とした。偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸との角度は45°となるように配置した。目視にてその色味の評価を実施したところ、特に黒表示時における着色が少なく、それによりコントラストが高く、視認性に優れることが確認できた。
【0156】
[実施例12]
(反透過型製品への実装)
サイバーショット(Sony社製)の液晶表示部の液晶セルの上側部分の偏光板、λ/2板、λ/4板を剥がし、ガラス基板側から、実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5(λ/4板)、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)をこの順で粘着剤を介して積層した。光学補償フィルムと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5を用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。
【0157】
[参考例2]
上記実施例12と同様にして、参考例1で作製した光学補償フィルム6を実装した。上下視野角100度、左右視野角100度と実施例12に比べ視野角は劣っていた。
【0158】
[実施例13]
(反射型液晶表示装置への実装)
タッチパネル付き反射型液晶表示装置(シャープ社製、ザウルス)でタッチパネル/偏光板/光学補償フィルム/液晶セルの偏光板と光学補償フィルム部分を剥がして、実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)に置き換えた。この際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせ、コントラストが最大となるように貼り合わせた。作製した液晶表示装置にて、実施例4、5の光学補償フィルム4、5を用いたものは上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。
【0159】
[参考例3]
上記実施例13と同様にして、参考例1で作製した光学補償フィルム6を実装した。上下視野角100度、左右視野角100度と実施例13に比べ視野角は劣っていた。
【0160】
【発明の効果】
本発明により視野角特性に優れた一枚型広帯域の光学補償フィルム(特にλ/4板)を製造することができる。また、該光学補償フィルムと偏光膜を用いて作製した円偏光板は、反射型または半透過型液晶表示装置、さらには有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置に、特に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6で使用のポリマーフィルムの斜め延伸装置を示す概略平面図である。
【図2】 本発明の反射型液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図3】 実施例9で使用のVA型液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
(イ) フィルム導入方向
(ロ) 次工程へのフィルム搬送方向
(a) フィルムを導入する工程
(b) フィルムを延伸する工程
(c) 延伸フィルムを次工程へ送る工程
A1 フィルムの保持手段への噛み込み位置とフィルム延伸の起点位置(右)
B1 フィルムの保持手段への噛み込み位置(左)
C1 フィルム延伸の起点位置(左)
Cx フィルム離脱位置とフィルム延伸の終点基準位置(左)
Ay フィルム延伸の終点基準位置(右)
|L1−L2| 左右のフィルム保持手段の行程差
W フィルムの延伸工程終端における実質幅
θ 延伸方向とフィルム進行方向のなす角
21 導入側フィルムの中央線
22 次工程に送られるフィルムの中央線
23 フィルム保持手段の軌跡(左)
24 フィルム保持手段の軌跡(右)
25 導入側フィルム
26 次工程に送られるフィルム
27’、27 左右のフィルム保持開始(噛み込み)点
1 下基板
2 反射電極
3 下配向膜
4 液晶層
5 上配向膜
6 透明電極
7 上基板
8 λ/4板
9 偏光膜
30 ガラス
31 カラーフィルター
32 オーバーコート層
33 透明電極(ITO)
34 上側配向膜
35 下側配向膜
36 反射板
37 金属反射電極
38 TFT(薄膜トランジスタ)
39 絶縁膜(SHA膜)
40 液晶
Claims (14)
- セルロースアセテートフィルムを延伸する光学補償フィルムの製造方法において、セルロースアセテートが酢化度57.0%乃至62.5%であり、延伸するセルロースアセテートフィルムの含水率を2.0質量%以上20.0質量%以下にすることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
- 延伸により、波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)を20nm≦Re550≦2000nmとすることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 延伸により、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであり、Re590−Re450≧2nmとすることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 延伸直後のセルロースアセテートフィルムの含水率が2.0質量%以上20.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の製造方法。
- 延伸時にフィルムを固定する固定部材間の距離をLとし、その固定部材間と垂直な方向をWとし、延伸時のフィルム形状のアスペクト比をL/Wとしたときのアスペクト比L/Wが0.1≦L/W≦2であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が水中で実施されることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が空気中で実施されることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が相対湿度60%以上100%以下の水蒸気中で実施されることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が50℃以上150℃以下で実施されることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が1.1倍以上2.0倍以下で実施されることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の製造方法。
- 該延伸が1秒以上30秒以下で実施されることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の製造方法。
- 面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関係を満足する光学補償フィルムの請求項1〜11いずれか1項に記載の製造方法。
- 該フィルムのヘイズ値が0%以上2%以下であることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載の製造方法。
- 該セルロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むことを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259724A JP4547115B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 光学補償フィルムの製造方法 |
PCT/JP2002/008749 WO2003018672A1 (en) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | Method for producing optical compensating film, optical compensating film, circularly polarizing plate, and liquid crystal display |
TW091119731A TWI307431B (en) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | Method for producing optical compensating film, optical compensating film, circularly polarizing plate, and liquid crystal display |
CNB028166906A CN1239582C (zh) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | 光学补偿薄膜的生产方法、光学补偿薄膜、圆形偏振片以及液晶显示器 |
US10/486,089 US7099082B2 (en) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | Method for producing optical compensating film, optical compensating film, circularly polarizing plate, and liquid crystal display |
EP02767872A EP1421138A1 (en) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | Method for producing optical compensating film, optical compensating film, circularly polarizing plate, and liquid crystal display |
KR1020047003023A KR100863165B1 (ko) | 2001-08-29 | 2002-08-29 | 광학적 보상 필름의 제공 방법, 광학적 보상 필름, 원형편광 플레이트 및 액정 디스플레이 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259724A JP4547115B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 光学補償フィルムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003062899A JP2003062899A (ja) | 2003-03-05 |
JP4547115B2 true JP4547115B2 (ja) | 2010-09-22 |
Family
ID=19087049
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001259724A Expired - Fee Related JP4547115B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 光学補償フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4547115B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005082706A (ja) * | 2003-09-09 | 2005-03-31 | Konica Minolta Opto Inc | セルロースエステルフィルム、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム並びに反射防止フィルム、偏光板、表示装置 |
JP4807939B2 (ja) * | 2004-05-21 | 2011-11-02 | 富士フイルム株式会社 | セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法 |
KR101196268B1 (ko) * | 2004-05-21 | 2012-11-05 | 후지필름 가부시키가이샤 | 셀룰로오스아실레이트 필름 및 그 제조 방법 |
JP2009149720A (ja) * | 2007-12-19 | 2009-07-09 | Konica Minolta Opto Inc | セルロースエステルフィルムの製造方法 |
KR101352529B1 (ko) * | 2008-07-10 | 2014-01-15 | 에스케이이노베이션 주식회사 | 셀룰로오스아세테이트 필름 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6374443A (ja) * | 1986-09-18 | 1988-04-04 | ヘキスト・アクチエンゲゼルシヤフト | 再生セルロースの非補強フイルム及びその製法 |
JPH04152125A (ja) * | 1990-10-16 | 1992-05-26 | Fuji Photo Film Co Ltd | 写真感光材料用支持体の製造方法 |
JPH0671744A (ja) * | 1992-07-01 | 1994-03-15 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | カルボキシメチルセルロースフィルムの延伸方法 |
JPH1160807A (ja) * | 1997-08-26 | 1999-03-05 | Konica Corp | セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム |
JP2000510784A (ja) * | 1997-03-21 | 2000-08-22 | レンツィング アクチェンゲゼルシャフト | セルロース管状フィルム製造装置及びその方法 |
WO2000065384A1 (fr) * | 1999-04-21 | 2000-11-02 | Fuji Photo Film Co., Ltd. | Plaque de contraste de phase comprenant une feuille de film d'ester de cellulose contenant un compose aromatique |
JP2000517262A (ja) * | 1997-04-25 | 2000-12-26 | レンツィング アクチェンゲゼルシャフト | セルロース成形品の製造方法 |
JP2001091743A (ja) * | 1999-09-22 | 2001-04-06 | Fuji Photo Film Co Ltd | 位相差板および円偏光板 |
-
2001
- 2001-08-29 JP JP2001259724A patent/JP4547115B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6374443A (ja) * | 1986-09-18 | 1988-04-04 | ヘキスト・アクチエンゲゼルシヤフト | 再生セルロースの非補強フイルム及びその製法 |
JPH04152125A (ja) * | 1990-10-16 | 1992-05-26 | Fuji Photo Film Co Ltd | 写真感光材料用支持体の製造方法 |
JPH0671744A (ja) * | 1992-07-01 | 1994-03-15 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | カルボキシメチルセルロースフィルムの延伸方法 |
JP2000510784A (ja) * | 1997-03-21 | 2000-08-22 | レンツィング アクチェンゲゼルシャフト | セルロース管状フィルム製造装置及びその方法 |
JP2000517262A (ja) * | 1997-04-25 | 2000-12-26 | レンツィング アクチェンゲゼルシャフト | セルロース成形品の製造方法 |
JPH1160807A (ja) * | 1997-08-26 | 1999-03-05 | Konica Corp | セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム |
WO2000065384A1 (fr) * | 1999-04-21 | 2000-11-02 | Fuji Photo Film Co., Ltd. | Plaque de contraste de phase comprenant une feuille de film d'ester de cellulose contenant un compose aromatique |
JP2001091743A (ja) * | 1999-09-22 | 2001-04-06 | Fuji Photo Film Co Ltd | 位相差板および円偏光板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003062899A (ja) | 2003-03-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100863165B1 (ko) | 광학적 보상 필름의 제공 방법, 광학적 보상 필름, 원형편광 플레이트 및 액정 디스플레이 | |
JP4195252B2 (ja) | セルロースアシレートフイルムの延伸方法および位相差板の製造方法 | |
JP4074762B2 (ja) | 光学補償フィルムおよびその製造方法、円偏光板、画像表示装置 | |
JPWO2002046809A1 (ja) | セルロースエステルフイルム、配向膜および液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層を有する光学補償シート | |
JP2002014230A (ja) | 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2002090536A (ja) | 偏光板および液晶表示装置 | |
JPWO2002035263A1 (ja) | ポリマーフイルムと偏光膜とからなる偏光板 | |
JP4248779B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
JP4460792B2 (ja) | Vaモードの液晶表示装置用光学補償シートおよびvaモードの液晶表示装置 | |
JP4547115B2 (ja) | 光学補償フィルムの製造方法 | |
JP2001100039A (ja) | セルロースエステルフイルム、光学補償シートおよび楕円偏光板 | |
JP4199496B2 (ja) | 偏光板を取り付けた画像表示装置 | |
JP2002267847A (ja) | 位相差板、円偏光板および反射型液晶表示装置 | |
JP2003344660A (ja) | 位相差板およびその製法方法並びにそれを用いた円偏光板、液晶表示装置 | |
JP2003262721A (ja) | ポリマーフィルム、ならびにそれを用いた円偏光板および画像表示装置 | |
JP2002127244A (ja) | 熱可塑性フイルム、位相差板、円偏光板および液晶表示装置 | |
JP2002022959A (ja) | 位相差板および円偏光板 | |
JP4714389B2 (ja) | 光学補償フィルムの製造方法 | |
JP2003294943A (ja) | 偏光板、画像表示装置および防湿層付きポリマーフイルム | |
JP4719402B2 (ja) | 画像表示装置 | |
JP2002131540A (ja) | 熱可塑性フイルム、位相差板、円偏光板および液晶表示装置 | |
JP2002071955A (ja) | 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2003248117A (ja) | 位相差板、円偏光板および液晶表示素子のそれぞれの製造方法 | |
JP4067722B2 (ja) | 楕円偏光板の製造方法 | |
JP2003260715A (ja) | セルロースアシレートフイルムの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060324 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061124 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070816 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071108 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071115 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071122 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100325 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100330 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100526 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100615 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100705 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4547115 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |