JP4714389B2 - 光学補償フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、延伸セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルム(特にλ/4板)の製造方法、この製造方法で作製した光学補償フィルムおよびそれを用いた偏光板、さらにはそれを適用した画像表示装置(反射型または半透過型液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置など)に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏光板および光学補償シート(位相差板)からなり、透過型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置し、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光板の順に配置する。
【0003】
液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基盤および棒状液晶性部分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
偏光板は、一般に、偏光膜と透明保護膜とからなっており、この偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することにより得られる。この偏光膜の両側に二枚の透明保護膜を貼りつけた構成を有する。
【0004】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。
その中でλ/4板は、液晶表示装置用の光学補償フィルムや、有機EL表示用の反射防止膜など多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
【0005】
特開平5−27118号および同5−27119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板が開示されている。
二枚のフィルムのレターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれば、位相差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板として機能する。
【0006】
特開平5−27118号および同5−27119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた光学補償フィルムが開示されている。二枚のフィルムのレターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれば、光学補償フィルムは理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板として機能する。特開平10−68816号公報に、特定波長においてλ/4となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる光学補償フィルムが開示されている。特開平10−90521号公報にも、二枚のポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる光学補償フィルムが開示されている。しかしながら、二枚の光学補償フィルムの貼り合せは膜厚が厚くなる、コストが高いなどの課題があり、一枚で広い波長領域にわたりλ/4を実現する光学補償フィルムが望まれていた。
以上のポリマーフィルムとしては、ポリカーボネートのような合成ポリマーの延伸フィルムが使用されていた。
【0007】
これに対し、特開平2000−137116号公報、およびWO00/65384には、一枚のポリマーフィルムで測定波長が短いほど位相差が小さくなる光学補償フィルム、円偏光板、および反射型液晶表示装置への適用に関しての記載がある。上述のλ/4板の視野角特性を制御するパラメータとして(nx−nz)/(nx−ny)で定義される数値が採用されている(以後NZファクターと記載する。またnx、ny、nzはそれぞれ面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、厚み方向の屈折率を表す)。WO00/65384では好ましい範囲として1≦NZ≦2であることを記載している。
【0008】
WO00/65384公報の実施例に記載された自由幅一軸延伸方法でλ/4板を作製すると、λ/4のレターデーションを実現する延伸倍率が破断伸度の関係から決まるため、NZファクターも一義的に決まってしまう。このNZファクターは制御できることが好ましい。なぜなら、画像表示装置が液晶表示装置である場合、液晶パネルによって液晶セルの複屈折(△n)が異なり、△nの角度依存性が液晶パネルによって異なるために、NZファクターが制御できれば、光学補償フィルムのReを変えることなく視野角特性を最適化できるからである。
しかしながら、NZファクターは三方向の屈折率で定義された値であるため延伸倍率と関連しており、縦延伸倍率が大きくなり一軸延伸に近づくにつれて大きい値から限りなく1に近づいていく。1に近づくにつれ、斜め方向からの視野角が小さく成りやすく改良が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、NZファクターが大きく、視野角特性に優れた光学補償フィルム(特に、広い波長領域で位相差がλ/4であるλ/4板)を工業規模で安定して製造する方法を提供することにある。特に、本発明の目的は、レターデーションを変化させずにNZファクターを制御し、視野角特性を改良することができる光学補償フィルムを工業規模で安定して製造する方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、上記方法で製造された光学補償フィルムを用いた偏光板、ならびにこれら光学補償フィルムや円偏光板を用いた画像表示装置、特に反射型または半透過型液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス等を用いる画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記1〜1により達成された。
1.延伸されたセルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの製造方法において、含水率が2.0質量%以上10.0質量%以下のセルロースアシレートフィルムを、少なくとも2対のニップロールを用い、それぞれのニップロールの回転速度に差を持たせることでニップロール間のセルロースアシレートフィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する工程を含むことを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
2.延伸前にセルロースアシレートフィルムを水中に浸漬および/または水蒸気に曝して含水させた後、延伸することを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.延伸時のセルロースアシレートフィルムの表面に実質的に水膜が形成されていないことを特徴とする上記1または2に記載の製造方法。
4.該セルロースアシレートフィルムの幅をW(cm)、ニップロール間距離をL(cm)としたときに、アスペクト比L/Wが0.5≦L/W≦2であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.延伸温度が50℃以上150℃以下であり、かつ延伸温度に1℃以上20℃以下の温度分布を付与して延伸することを特徴とする上記1〜4に記載の製造方法。
6.延伸直後のフィルムの含水率が2.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7.相対湿度70%以上100%以下の雰囲気下で延伸することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の製造方法。
8.水中で延伸することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の製造方法。
9.延伸時間が1〜30秒であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の製造方法。
10.セルロースアシレートの酢化度が、57.0乃至62.5%であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の製造方法。
11.セルロースアシレートが、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を、セルロースシレート100質量部に対して0.01乃至10質量部の割合で、含んでいることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の製造方法。
12.光学補償フィルムの波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)が、80nm≦Re550≦330nmであることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の製造方法。
13.光学補償フィルムの幅方向および長手方向の波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)の分布がいずれも10%以下であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の製造方法。
14.光学補償フィルムのヘイズ値が0%以上2%以下であることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の製造方法。
15.光学補償フィルムの波長450nm、550nm、650nmで測定したレターデーション値Re450、Re550、Re650が、0.5<Re450/Re550<0.98および1.01<Re650/Re550<1.35の関係を満たすことを特徴とする上記1〜14のいずれかに記載の製造方法。
16.光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関係を満たすことを特徴とする上記1〜15のいずれかに記載の製造方法
【0011】
【発明の実施の形態】
発明者らの鋭意研究により、同じReでNZファクターを制御する手法、すなわち、積極的にnx−nzを制御するための工業的手法を見出した。これにより、同じReを与えるフィルムで、NZファクターの大きなフィルムを得ることが可能となり広い視野角が得られた。これは下記する延伸方法で達成することができる。
即ち、セルロースアシレートフィルムの代表例であるセルロースアセテートフィルムは室温で含水率が1.8質量%である。通常、このようなセルロースアセテートフィルム(原反)に対してガラス転移点(Tg)程度に昇温させることで延伸可能な状態とし、延伸を行う。このようなTg程度、例えば130℃にすると含水率は更に低下し、0.4質量%となる。本発明はこのようなセルロースアセテートフィルム(原反)を延伸前に含水させることで、セルロースアセテートフィルムの含水率を2.0質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上8.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以上6.0質量%以下とすることを特徴としている。
以下にフィルムの調製から順を追って説明を加える。
【0012】
[セルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルが挙げられる。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。低級脂肪酸の炭素原子数は、2(セルロースアセテートに対応)、3(セルロースプロピオネートに対応)または4(セルロースブチレートに対応)であることが好ましく、セルロースアセテートがより好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
【0013】
セルロースアセテートの中で好ましいのが、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースであり、より好ましいのが、酢化度が57.0乃至62.5%であるセルロースアセテートである。さらに好ましいのが酢化度が59.0乃至62.5%のセルロースアセテートである。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)で示される分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
また、このようなセルロースアシレートフィルムフィルムの光透過率は80%以上であることが好ましい。
【0014】
[レターデーション制御剤]
各波長におけるレターデーション値を調整するため、レターデーション制御剤をセルロースアシレートに添加するのが好ましい。
レターデーション制御剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜8.0質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上のレターデーション制御剤を併用してもよい。
【0015】
レターデーション制御剤は、210〜360nmの波長領域に最大吸収波長を有することが好ましい。また、レターデーション制御剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション制御剤は、少なくとも二つの「芳香族環」を有する化合物を用いることが好ましい。この「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
【0016】
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環であり、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0017】
芳香族環の具体例として、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
これらの芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
このようなレターデーション制御剤は、下記(イ)板状化合物、(ロ)棒状化合物のいずれを用いても良い。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
【0018】
(イ)板状化合物
この化合物には2対上の芳香族環を含むが、これらの二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)が、結合関係は(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0019】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
【0020】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二つ以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0021】
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
【0022】
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
【0023】
上記置換基のアルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0024】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。
アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0025】
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
【0026】
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
【0027】
レターデーション制御剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。このような板状のレターデーション制御剤の具体例は国際特許出願公開WO00/65384号等に記載されている。
【0028】
(ロ)棒状化合物
本発明では、250nmよりも短波長側に吸収極大を有する棒状化合物をレターデーション制御剤として用いることも好ましい。
レターデーション制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することがさらに好ましい。
【0029】
棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。
【0030】
棒状化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
式(I):Ar1 −L1 −Ar2
上記式(I)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0031】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0032】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が挙げられる。
アルキル置換アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。
アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0033】
式(I)において、L1 は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることがさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
【0034】
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。
【0035】
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
【0036】
式(I)の分子構造において、L1 を挟んで、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
式(II):Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2
上記式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
【0037】
式(II)において、L2 およびL3 は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
2 およびL3 は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0038】
式(II)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。
以下に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0039】
【化1】
Figure 0004714389
【0040】
【化2】
Figure 0004714389
【0041】
【化3】
Figure 0004714389
【0042】
【化4】
Figure 0004714389
【0043】
【化5】
Figure 0004714389
【0044】
【化6】
Figure 0004714389
【0045】
【化7】
Figure 0004714389
【0046】
【化8】
Figure 0004714389
【0047】
【化9】
Figure 0004714389
【0048】
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)とを、以下に示す。
【0049】
【化10】
Figure 0004714389
【0050】
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0051】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0052】
(具体例のスペクトル測定)
前記のレターデーション制御剤(10-trans)の紫外・可視領域(UV−vis)スペクトルを測定した。レターデーション制御剤(10-trans)を、テトラヒドロフラン(安定剤(BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン)なし)に溶解し、濃度が10-5mol/dm3 になるように調整した。このように調整した溶液を、測定機(日立製作所(株)製)で測定したところ、吸収極大を与える波長(λmax )は220nmであり、そのときの吸光係数(ε)は15000であった。同様に、レターデーション制御剤(29-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax )は240nmであり、そのときの吸光係数(ε)は20000であった。同様に、レターデーション制御剤(41-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax )は230nmであり、そのときの吸光係数(ε)は16000であった。
【0053】
本発明のレターデーション制御剤は、単独で用いても、2種類上の化合物を混合して用いてもよい。
【0054】
[セルロースアシレートフィルムの製造]
本発明のセルロースアシレートフィルムはソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、フィルムポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルム(原反)を製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0055】
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0056】
セルロースアシレート溶液は一般的な方法で調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。その他、ハロゲン化炭化水素を有機溶媒として用いない方法も可能であり、それについては後述するが、公開技報2001−1745号に記載の技術が挙げられる。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
【0057】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0058】
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。セルロースアセテートの有機溶媒として、メチレンクロリドを用いるのが一般的である。しかしながら、メチレンクロリドは地球環境、作業環境上有害なため、使用しないことが望まれている。メチレンクロリドを用いない有機溶媒系では通常の溶解法では溶解させることが困難であり、その場合、冷却溶解法が有効である。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましく、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0059】
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0060】
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は、冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0061】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0062】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する手段について更に詳細に説明する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0063】
また、調整したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延でフィルム化すべく、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0064】
ここで得られたセルロースアシレート溶液は、2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を流延するが、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
【0065】
或いは2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号に記載されている方法である。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく、特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらにこのセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)の溶液を同時に流延することも実施しうる。
【0066】
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0067】
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
【0068】
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムには、製造時のハンドリング性向上のために、片面または両面にマット剤とポリマーを含有するマット層を設けてもよい。マット剤およびポリマーについては特開平10−44327に記載されている素材を好適に用いることができる。
【0069】
[延伸方法]
本発明は、延伸前にセルロースアシレートフィルムの含水率を2.0質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上8.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以上6.0質量%以下とすることを特徴としている。
セルロースアシレートフィルムは、室温で含水率が1.8質量%で、通常、このようなセルロースアシレートフィルム(原反)に対してガラス転移点(Tg)程度に昇温させることで延伸可能な状態とし、延伸が行われる。このようなTg程度、例えば130℃にすると含水率は更に低下し、0.4質量%となる。
本発明では、このようなセルロースアシレートフィルム(原反)を延伸前に含水させることで、セルロースアシレートフィルムの含水率を上記範囲にすることができる。
【0070】
含水は、延伸前に該セルロースアシレートフィルムを水中に浸漬および/または水蒸気に曝し含水させた後、延伸することで達成できる(水浴法)。水中に浸漬する場合、水温は60℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは70℃100℃以下、さらに好ましくは80℃以上100℃以下である。この温度の水を張った水槽に設置したロール間を0.1分から20分間、より好ましくは0.2分から10分間、さらに好ましくは0.5分から5分間、セルロースアシレートフィルムを搬送させることで含水させることができる。
あるいは、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上140℃以下、さらに好ましくは75℃以上130℃以下で、相対湿度70%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは85%以上100%以下の水蒸気に、0.1分から20分、より好ましくは0.2分から10分、さらに好ましくは0.5分から5分間曝す方法(水蒸気法)で含水させることができる。これは、このような水蒸気を満たした部屋の中にロールを設置し、この間をセルロースアシレートフィルムを搬送させることで含水させることができる。
【0071】
これらの浸漬、水蒸気曝気に用いる水は実質的に水であれば良い。実質的に水とは60質量%以上が水からなるものを指し、水以外に有機溶剤、可塑剤、界面活性剤等を含んでも良い。好ましい有機溶剤として炭素数が1から10の水溶性有機溶剤が挙げられる。しかし、好ましくは90質量%以上が水であり、更に好ましくは95%質量%以上が水であり、最も好ましいくは純水を用いたものである。
上記水浴法と水蒸気法は、組みあわせて実施しても良く、単独で用いても良い。中でも好ましいのが、水蒸気法単独で実施する方法である。
【0072】
このようにして含水させたセルロースアシレートフィルムを延伸する前に、このフィルム表面に実質的に水膜が形成されていないようにすることは本発明において重要である。上述の含水処理で、表面に水膜が形成されやすいが、これが残っていると延伸で用いるニップロールの間でスリップし、所望の倍率に延伸できないばかりか、擦り傷が発生し易いためである。
本発明でいう「実質的に水膜が形成されていない」とは、フィルム上に濾紙を押し当て、濾紙が吸水した面積を計測し、全面積の30%以下である状態を指す。
このような水膜の除去は、含水処理後にエアナイフから吹き出す気体を用いて表面の水分を吹き飛ばすことが好ましく用いられる。この際、エアナイフから吹き出す気体が乾燥空気であると、フィルム中の水分が揮散し易いため、相対湿度70%以上100%以下の空気を吹き付けることが好ましい。また、ゴムブレード等で表面の水をかき取っても良く、吸水性の布を表面に被覆したロールと接触させることで拭き取っても良い。これらは単独で実施しても良く、組み合わせて実施しても良い。中でも好ましいのが、エアナイフによる方法である。
このような水膜の除去も相対湿度70%以上100%以下の雰囲気としたケーシング内で実施するのが好ましい。このケーシング内の温度も60℃以上150℃以下にされていることが好ましい。
【0073】
上述の方法で含水率を2.0質量%以上10.0質量%以下としたセルロースアシレートフィルムを、1.1倍以上2倍以下、より好ましくは1.2倍以上1.8倍以下、さらに好ましくは1.3倍以上1.7倍以下に延伸する。このような延伸は、2対以上、より好ましくは2対以上8対以下、さらに好ましくは2対以上6対以下のニップロールを用いて延伸する。2対のニップロールでの延伸は1段延伸であり、3対以上のニップロールを用いる場合は多段延伸となる。延伸は対となるニップロールにニップ圧をかけ、対となるニップロール間のセルロースアシレートフィルムをそれぞれのニップロールの回転速度に差を持たすことでフィルムは延伸される。具体的には、フィルムの搬送方向において出口側(下流側)のニップロール回転速度を入り口側(上流側)のニップロールの回転速度より高くすることでニッポロール間のフィルムが引っ張られ延伸される。
【0074】
このニップロールは2本のロールから形成されるが、片方あるいは両方がゴムで被覆されていることが好ましい。本発明では延伸フィルム中の含水率が高く、スリップし易いため、ゴムで被覆したものを用いるのが好ましい。ゴムの材質は天然ゴム、合成ゴム(ネオプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム)が挙げられる。好ましい被覆ゴムの厚みは1mm以上50mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以上40mm以下、さらに好ましくは3mm以上30mm以下である。
ニップロールの直径は5cm以上100cm以下が好ましく、より好ましくは10cm以上50cm以下、さらに好ましくは15cm以上40cm以下である。
このようなニップロールは中空にして内部から温調できるようにしたものも好ましい。
【0075】
ニップロールの間隔は、アスペクト比L/W(延伸するセルロースアシレートフィルムの幅をW(cm)とニップロール間距離L(cm)の比)が0.5≦L/W≦2であることが好ましく、より好ましくは0.7≦L/W≦1.8、さらに好ましくは0.9≦L/W≦1.6である。ニップロールが3対以上存在する場合には、それぞれの2対間のL/Wを平均すればよい。通常アスペクト比は2を越える領域で用いるのが一般的であるが、本発明では上記含水率に加えて、この小さいアスペクト比は、NZファクター適切な値とする上で重要である。
【0076】
ニップロールのニップ圧は、1m幅当たり0.5t以上20t以下が好ましく、1t以上10t以下がより好ましく、2t以上7t以下が更に好ましい。
本発明では、延伸が50℃以上150℃以下、より好ましくは60℃以上140℃以下、さらに好ましくは70℃以上130℃以下で実施するのが好ましい。
温度は、幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは2℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上15℃以下である。
本発明のような含水率を有するフィルムは、ガラス転位温度(Tg)が低下しており、弱い応力で延伸することができるが、ネックインを生じやすく、延伸ムラを発生し易い。これを防ぐため、下記のように温度分布を付与することが有効である。
【0077】
▲1▼長手方向の温度分布
ニップロール延伸では、上流側のニップロール出口(即ち延伸開始点)に応力が集中し易く、ここで集中的に延伸され、均一延伸されにくい。即ち、全領域にわたって均一延伸するため、延伸部の平均温度(即ち延伸部の長手方向中央の温度)より、上流側ニップロール直後の温度を、上記の温度だけ低くすることが好ましい。このような温度分布は、上流側のニップロールを温調ロールとしこの温度を下げることでも実施できるし、長手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0078】
▲2▼幅方向の温度分布
本発明のような小さなアスペクト比での延伸では、幅方向で延伸ムラが発生し易い。即ち、両端が中央部に比べ延伸されやすい。従って、両端の温度を幅方向中央部に比べ上記の温度だけ高くすることが好ましい。このような温度分布は、幅手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0079】
このような延伸は1〜30秒、より好ましくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒で実施されることが好ましい。
さらに本発明では、延伸直後のフィルムの含水率が2.0%以上10.0%以下、より好ましくは2.3%以上8.0%以下、さらに好ましくは2.8%以上5.0%以下である。即ち、延伸中に表面積が増加することでフィルム中の水分が蒸発し易く含水率が低下し易い。このような延伸中の含水率の低下は、延伸中に破断し易く好ましくない。これを防ぐため、下記方法を用いることができる。
【0080】
▲1▼延伸を相対湿度70%以上100%以下、より好ましくは75%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下で実施する。
このような高湿度な空気中での延伸は、延伸ゾーンに水蒸気あるいは加湿空気を導入することで達成できる。
▲2▼延伸を水中で実施する。
ニップロールを水中設置し、ニップロール間のセルロースアシレートフィルムを水中に浸積することで実施することができる。この時、水温を上述の延伸温度にすることが好ましい。
これらの方法でより好ましいのが▲1▼である。
【0081】
本発明のフィルムの延伸前の厚みは50μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上280μm以下、さらに好ましくは70μm以上250μm以下である。延伸後の厚みは40μm以上250μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以上230μm以下、さらに好ましくは60μm以上200μm以下である。延伸前の好ましいフィルム幅は60cm以上3m以下であり、より好ましくは70cm以上2.5m以下、さらに好ましくは80cm以上2m以下である。
延伸後、乾燥することが好ましく、好ましい乾燥温度は40℃以上150℃以下、さらに好ましくは50℃以上130℃以下、さらに好ましくは60℃以上120℃以下であり、好ましい乾燥時間は10秒以上20分以下、より好ましくは20秒以上10分以下、さらに好ましくは30秒以上7分以下である。
乾燥は延伸に引き続き搬送しながら実施するのが好ましく、好ましい搬送張力は1kg/m以上50kg/m以下であり、より好ましくは3kg/m以上30kg/m以下であり、さらに好ましくは5kg/m以上20kg/m以下である。
【0082】
本発明の実施態様の構成例を図1から図5に示した(括弧の中の数字は図に付けた数字に対応する)。これらの中で図1、2の構成がより好ましく、図2の構成がさらに好ましい。
図1は、水に含漬し含水させたあと、水蒸気中で延伸する場合である。送出しロール1から出されたフィルムは、水槽2中を搬送され、本発明の含水率にする。水温は上記したように加熱されていることが好ましい。この後延伸ゾーンの中に導入され、エアナイフ3でフィルム表面の水膜を除去した後、2対のニップロール4間で延伸される。
具体的には、巻き取り側(出口側)のニップロール回転速度を送り出しロール側(入り口側)のニップロールの回転速度より高くすることでニッポロール間のフィルムが引っ張られ延伸される。この時、延伸ゾーン内には、スチームの吹き出し口5があり、延伸ゾーン内を上記の湿度に保っている。スチームの吹き出し口5は延伸ゾーンの中で複数存在させることで延伸ゾーン内の湿度を更に安定にすることもできる。また延伸ゾーンの中にはヒーター(図示せず)を設置し、所定の温度に制御することができる。延伸の後、乾燥ゾーン6を通過させた後、巻き取りロール7に巻き取る。
【0083】
図2、5は、水蒸気で含水させた後、水蒸気で延伸する場合である。ロールから送りだされたフィルムに水蒸気を吹き付け口9から吹き付けて含水させる。以降は図1と同様である。
図3は水に含漬し含水させたあと、水中で延伸させるものである。図1と同様にして含水させた後、水槽8中に設置したニップロールを用い延伸する。この水温は上記したように加温させておくことが好ましい。延伸後は、図1と同様に乾燥し巻き取る。
図4、6は水蒸気で含水させた後、水中で延伸させるものである。図2と同様にして含水させた後、図3と同様に延伸する。延伸後は図1と同様に乾燥し巻き取る。
【0084】
[セルロースアシレートフィルムの表面処理]
セルロースアシレートフィルムには、表面処理を施してもよい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をガラス転位温度(Tg)以下とすることが好ましい。
【0085】
これらの処理の中で、本発明の光学補償フィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を実施することが特に好ましく、さらに好ましいのがアルカリ処理(アルカリ鹸化)である。
アルカリ鹸化は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。これらのアルカリ溶液は水溶液でも良く、有機溶剤でも良い。有機溶の場合、低級アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数が1から5のアルコールあるいはグリコールであり、より好ましくはエタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールである。さらに好ましくはiso−プロパノール、プロピレングリコールである。これらは混合して使用しても良い。さらに水や界面活性剤を添加しても良い。
【0086】
好ましい例として下記溶液にアルカリを溶解したものを挙げることができる。
iso−プロパノール/プロピレングリコール/水(70/15/15:体積比)
iso−プロパノール/水(85/15:体積比)
iso−プロパノール/プロピレングリコール(85/15:体積比)
iso−プロパノール
これらのアルカリ溶液に浸漬しても良く、塗布(バー塗布、カーテン塗布等)しても良い。
本発明では、セルロースアシレートフィルムとその上に設けられる層(接着層、配向膜、あるいは光学異方性層)との接着を改善するために、特開平7−333433号公報に記載のような接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層の厚みは0.1μm乃至2μmであることが好ましく、0.2μm乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0087】
[セルロースアシレートフィルムのレターデーション]
本発明のセルロースアシレートフィルムをλ/4板として使用する場合は、波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)が80nm乃至200nmであり、より好ましくは90nm乃至170nm、さらに好ましくは110nm乃至150nmである。
本発明のセルロースアシレートフィルムをλ/2板として使用する場合は、波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)が200nm乃至330nmであり、より好ましくは220nm乃至310nmであり、さらに好ましくは240乃至290nmである。
λ/4板、λ/2板として使用する場合、いずれも、波長450nm、550nm、650nmで測定したレターデーション値Re450、Re550、Re650の比がそれぞれ、
0.5<Re450/Re550<0.98
1.01<Re650/Re550<1.35
を満たすことが好ましい。
より好ましくは、
0.6<Re450/Re550<0.95
1.05<Re650/Re550<1.3
さらに好ましくは、
0.7<Re450/Re550<0.9
1.1<Re650/Re550<1.25
を満たすことである。
【0088】
レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、光学補償フィルム(位相差板)の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、光学補償フィルム(位相差板)の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、光学補償フィルム(位相差板)の厚さ(nm)である。
本発明の光学補償フィルムは、1枚で下記式を満足することが好ましく、
1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3
より好ましくは
1.4<(nx−nz)/(nx−ny)≦2.5
さらに好ましくは
1.55<(nx−nz)/(nx−ny)≦2
を満たすことである。
式中、nxは、光学補償フィルム(位相差板)の面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈折率である。
本発明の光学補償フィルムのヘイズ値HZは0%以上2%以下であることが好ましく、より好ましくは0%以上1.5%以下、さらに好ましくは0%以上1%以下である。
【0089】
[偏光板]
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、本発明の光学補償フィルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
本発明の光学補償フィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸の関係は、適用される液晶表示装置の種類により異なるが、本発明の反射型液晶表示装置の場合は、実質的に45度となるように配置することが好ましい。
【0090】
[液晶表示装置]
本発明のセルロースアセテートフィルムからなる光学補償フィルム、または本発明のセルロースアセテートフィルムからなる光学補償フィルムを用いた偏光板(円偏光板)は、液晶表示装置に有利に用いられる。液晶表示装置としては、透過型、反射型、半透過型のいずれで用いても構わないが、特に反射型、半透過型が好ましい。
図7は、反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
図7に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板11、反射電極12、下配向膜13、液晶層14、上配向膜15、透明電極16、上基板17、λ/4板18、そして偏光膜19からなる。
下基板11と反射電極12が反射板を構成する。下配向膜13〜上配向膜15が液晶セルを構成する。λ/4板18は、反射板と偏光膜19との間の任意の位置に配置することができる。
【0091】
カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層(図示せず)を設ける。カラーフィルター層は、反射電極12と下配向膜13との間、または上配向膜15と透明電極16との間に設けることが好ましい。
図7に示す反射電極12の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は、表面に凹凸構造を導入する代わりに、偏光膜の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フィルムを取り付けてもよい。
【0092】
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(twisted nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Verticaly Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence) 、OCB型(Optically Compensatory Bend)であることが好ましい。
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであることが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさらに好ましい。
STN型液晶セルのツイスト角は、180乃至360゜であることが好ましく、220乃至270゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。
HAN型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレチルト角が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至1.0μmであることが好ましく、0.3乃至0.8μmであることがさらに好ましい。液晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であってもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0093】
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報および特公平7−69536号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した液晶セルが含まれる。具体的には、MVA(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845、SID99、Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206および特開平11−258605号公報記載)、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14記載)、PVA(Asia Display98、Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383記載)、Para-A(LCD/PDP International‘99で発表)、DDVA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838記載)、EOC(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319記載)、PSHA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081記載)、RFFMH(Asia Display98、Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)375記載)、HMD(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)702記載)が含まれる。その他に(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(IWD’98、Proc.of the 5th Inter. Display Workshop.(予稿集)(1998)143記載))も含まれる。
【0094】
OCBモードでは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させる配向モードの液晶セルを用いたものである。この結果自己光学補償能を有する。詳細は米国特許4583825,同5410422号に記載されている。
ECBモードでは水平に液晶を配向させていることが特徴であり、特開平5−203946号に詳細が記載されている。
【0095】
反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。ノーマリーホワイトモードの方が好ましい。
【0096】
[タッチパネル・有機EL表示装置への応用]
タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特願2000−236797号明細書等に記載ものに応用することができる。また、有機EL表示素子には、特開平11−305729号、同11−307250号、特開2000ー267097号の各公報に記載のもの等に応用することができる。
【0097】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0098】
[各種測定方法]
(1)含水率
カールフィッシャー法にて、下記のように測定した。
▲1▼サンプル(0.9m×4.5cmを2枚)秤量する。
・サンプルが濡れている場合は、表面の水分を良く拭う。
・サンプリング後、直ちに磨り栓の付いたガラス瓶に入れ水分計のところまで運び、サンプリング後3分以内に測定する。
▲2▼下記水分型を用い、測定する。
・気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃にてサンプル中の水分揮発させ水分計に導入する。
・水分計:カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA−03型)を用い、測定する。
▲3▼含水率の計算
水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサンプル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W/F)
【0099】
(2)セルロースアシレートフィルム上の水膜
延伸直前のセルロースアシレートフィルム上に濾紙を押し当てる。吸水して濾紙の色の変わった部分の面積を算出し、全体の面積で割り、百分率で表す。
【0100】
(3)レターデーション、NZファクターの測定
▲1▼ Re550、Re650、Re450
自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から波長450nm、550nmおよび650nmにおけるレターデーション値Re450、Re550、Re650を測定する。
▲2▼NZファクター((nx−nz)/(nx−ny))
エリプソメーター(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用い、フィルム面に対し垂直方向、40度、−40度傾斜した方向から550nmでレターデーションを測定し、各々Re(0)、Re(40)、Re(−40)を求めた。これらから、遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算する。
【0101】
(4)アセチル置換度
Polymer Journal 17. 1065-1069(1985)に記載の方法で13C−NMRスペクトルから測定した。
【0102】
実施例1
1.位相差板(セルロースアセテート延伸フィルム)の作成
(1)組成
下記組成のセルロースアセテートドープ(高濃度溶液)を作成した。なお、レターデーション制御剤(少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物)は、下記構造式の化合物を用いた。
棒状化合物
【0103】
【化11】
Figure 0004714389
【0104】
板状化合物
【0105】
【化12】
Figure 0004714389
【0106】
(イ)メチレンクロリド(MC)系
セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5質量部
メチレンクロリド 565.6質量部
メタノール 49.2質量部
レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0107】
(ロ)酢酸メチル(MA)系
セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 118質量部
トリフェニルホスフェート 9.19質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.60質量部
トリベンジルアミン 2.36質量部
酢酸メチル 530質量部
エタノール 99.4質量部
ブタノール 33.1質量部
レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0108】
(2)溶解
MC系は常温溶解法、MA系は冷却溶解法を用いて溶解し、ドープを作成した。
(a)常温溶解法
溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物を還流冷却機を有する混合タンク中で50℃において撹拌しながら溶解した。
(b)冷却溶解法
溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後−70℃の温度まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。
【0109】
(3)製膜
下記2方式から選択し製膜し、表1に記載した。
(イ)単層製膜
上記方法により得られた溶液(ドープ)を、濾紙(安積濾紙(株)製No.244)およびネル製の濾布で濾過した後、定量ギアポンプで加圧ダイに送液し、有効長6mのバンド流延機を用いて、乾燥、延伸後の最終膜厚が表2に記載の厚みになるように流延した。バンド温度は0℃とした。乾燥のため2秒間風に当て、フィルム中の揮発分が50質量%になったときに、フィルムをバンドから剥ぎ取り、さらに100℃で3分、130℃で5分、そして160℃で5分、フィルムを固定せず自由に収縮させて段階的に乾燥して、残りの溶剤を蒸発させ1%以下にした。
【0110】
(ロ)積層製膜
三層共流延ダイを用い、内層から上記組成のドープを、両側に10質量%に溶剤量を増加し希釈したドープを、金属支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥して、本発明の三層構造のセルロースアセテートフィルム積層体(内層の厚さ:各表面層の厚さ=8:1)を製造した。乾燥は70℃で3分、130℃で5分した後、ガラス板からフィルムを剥ぎ取り、そして160℃、30分で段階的に乾燥して溶剤を蒸発させセルローストリアセテートフィルムを得た。
この後、これらの両端15cmずつトリミングし、両端に高さ50μm幅1cmのナーリング(厚みだし加工)を行い、幅1.5m、長さ3000mの未延伸セルロースアセテートフィルムを得た。なお、ここでトリミングしたセルロースアセテートフィルム屑は、粉砕した後未使用セルロースアセテートと混合し再使用される(全セルロースアセテート中30質量%これを混合した)。
【0111】
(4)延伸
図1〜6に示した製造装置で2対以上のニップロールを用い、出口側のニップロールの回転速度と入り口側のニップロールの回転速度に差を持たせることでニップロール間のセルロースアシレートフィルムを表1記載の条件で延伸を行い、光学補償フィルム(位相差フィルム)を得た。
延伸前の含水は、浸漬法あるいは水蒸気法から選択した前者は90℃の温水浸漬し、後者は120℃の水蒸気に曝し、表1記載の含水率とした。
用いたニップロールが2対の場合は一段延伸を示し、3対以上の場合は多段延伸を示す。多段延伸の場合、連続してタンデムに配置し、これらの各延伸倍率の積を表1に記載した。なお、格段の倍率は、全て均等に成るようにした。
【0112】
延伸温度は下記のように温度差を付与した。なお、多段延伸の場合は、各段全て同じ温度条件とした。
MD方向:(入口側〜出口側ニップロール中間点の温度)−(入口側ニップロール直後の温度)
TD方向:(TD方向両端部の平均温度)−(幅方向中央部の温度)
ニップロールは、全て直径30cmのものを用い、対を成すニップロールの片一方のロールを厚み10mmのゴムで被覆されているものを用いた。
延伸後は、いずれも80℃で10kg/mの張力で搬送しながら3分間乾燥した後、両端にナールを付け巻き取った。
延伸後のフィルムの幅はいずれも1.2mであった。
【0113】
【表1】
Figure 0004714389
【0114】
(5)光学補償フィルム(位相差フィルム)の評価
このようにして得たセルロースアセテートフィルムの光学特性を表2に示した。Re550については、延伸幅の中央部と端部(両端の平均値)について測定し、これ以外については全て中央部の測定値を示した。
なお、表2には下記で作製したTN型、STN型、HAN型の液晶表示装置のコントラスト比および視野角の評価結果を合わせて示した。
【0115】
【表2】
Figure 0004714389
【0116】
(6)円偏光板の作成
▲1▼偏光膜の作製
平均重合度4000、ケン化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をバンド流延、乾燥し、バンドから剥ぎ取り、ドライで流延方向に延伸してそのままヨウ素0.5g/l、ヨウ化カリウム50g/lの水溶液中に30℃にて1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/l、ヨウ化カリウム60g/lの水溶液中に70℃にて5分間浸漬し、さらに水洗層で20℃、10秒間水洗して、さらに80℃で5分間乾燥して長尺偏光膜(CHM−1)を得た。フィルムは幅1290mm、厚みは20μmであった。
【0117】
▲2▼光学補償フィルムの鹸化
下記鹸化液を上記光学補償フィルムの片面に60℃において#3バーで塗布し、30秒後に水洗、乾燥した。
鹸化液:iso−プロパノール/プロピレングリコール/水(70/15/15:体積比)にKOHを溶解し、1.5規定としたもの
【0118】
▲3▼円偏光板の作製
上術の光学補償フィルム(位相差板)、上述の偏光膜、および市販のセルロースアセテートフィルム(フジタック 富士写真フイルム製)をこの順にロールtoロールで積層して円偏光板を得た。位相差板は、接着面が鹸化面となるようにした。なお、最も光学特性の差の出やすい、延伸フィルムの両端部から切り出したサンプルを用いた。
得られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、本発明の位相差フィルムを用いたものは、いずれも広い波長領域(450〜590nm)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
【0119】
(7)TN型反射型液晶表示装置の作製
ITO透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。3.4μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セル(対角12インチ)を作製した。
【0120】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、上述の円偏光板(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光膜)をセルロースアセテートフィルム側から貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5Vとして目視で評価を行ったところ、白表示においても、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定し、正面からのコントラスト比、コントラスト比3となる視野角を表2に記載した。本発明では、光学特性の差の出やすい両端のフィルムを用い、比較的大きな画面(対角12インチ)を用いて評価したにも拘わらず、全画面内に於いて良好な画像が得られた。
【0121】
(8)STN型反射型液晶表示装置の作製
ITO透明電極を設けたガラス板と、平坦なアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−150、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。6.0μmのスペーサを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セル(対角12インチ)を作製した。
【0122】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、内部拡散シート(IDS、大日本印刷(株)製)と、上述の円偏光板を、この順序でそれぞれ粘着を介して、偏光板が最外層となるように貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、55Hzの矩形波電圧を印加した。黒表示2.0V、白表示2.5Vとして目視で評価を行ったところ、白表示においても黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定し、正面からのコントラスト比、コントラスト比3となる視野角を表2に記載した。
本発明では、光学特性の差の出やすい両端のフィルムを用い、比較的大きな画面(対角12インチ)を用いて評価したにも拘わらず、全画面内に於いて良好な画像が得られた。
【0123】
(9)HAN型反射型液晶表示装置の作製
ITO透明電極を設けたガラス基板と、平坦なアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。ITO透明電極を設けたガラス基板の電極側に、ポリイミド配向膜(SE−610、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。アルミニウム反射電極を設けたガラス基板の電極側に垂直配向膜(SE−1211、日産化学(株)製)を形成した。アルミニウム反射電極上の配向膜にはラビング処理を行わなかった。4.0μmのスペーサを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。基板の隙間に、液晶(ZLI−1565、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてΔndの値が519nmのHAN型液晶セル(対角12インチ)を作製した。
【0124】
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、上述の円偏光板を、粘着剤を介して貼り付けた。さらにその上に光拡散膜(ルミスティ、住友化学(株)製)を貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に55Hzの矩形波電圧を印加した。黒表示0.8V、白表示2.0Vとして目視で評価を行ったところ、白表示においても、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定し、正面からのコントラスト比、コントラスト比3となる視野角を表2に記載した。
本発明では、光学特性の差の出やすい両端のフィルムを用い、比較的大きな画面(対角12インチ)を用いて評価したにも拘わらず、全画面内に於いて良好な画像が得られた。
【0125】
(10)VA型液晶表示素子の作成
特願平2000−58686号明細書の実施例1に従い、本発明の光学補償フィルム1〜12を用い透明支持体を作成し、同実施例3に従い偏光板を作成し、さらに同実施例5に従いVA型液晶表示素子を作成した。但し、光学補償フィルムと偏光膜を張り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように張り合わせた。本発明の光学補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。比較例1,2の光学補償フィルム用いたものは、いずれも140度以下であった。
【0126】
(11)ECB型液晶表示素子の作成
特開平11−316378の実施例1に従い、第2透明支持体を本発明の光学補償フィルム1〜12とした。但し、これと偏光膜を張り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように張り合わせた。これを用いて同実施例6に従いECB型液晶表示素子を作成した。本発明の光学補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。比較例1、2の光学補償フィルムを用いたものは、いずれも100度以下であった。
【0127】
(12)有機ELを用いた表示装置、タッチパネルの作成
特開平5−127822号の図1の構成に従ってタッチパネルに本発明1の光学補償フィルムを使用した。本発明では、良好な視野角が得られたが、比較例では不十分であった。
特開平11−305729号の実施例1の有機ELに本発明の光学補償フィルム1〜12および比較例1,2の光学補償フィルムを使用した。本発明の光学補償フィルムでは、良好な視野角が得られたが、比較例の光学補償フィルムでは不十分であった。
【0128】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、NZファクターが大きく、視野角特性に優れた光学補償フィルム(特に、広い波長領域で位相差がλ/4であるλ/4板)を工業規模で安定して製造することができる。特に、レターデーションを変化させずにNZファクターを制御し、視野角特性を改良することができる光学補償フィルムを工業規模で安定して製造することができる。
また、本発明の方法で製造された光学補償フィルムやこの光学補償フィルムを用いた偏光板を備えた画像表示装置、特に反射型または半透過型液晶表示装置および有機エレクトロルミネッセンス等を用いる画像表示装置は、視野角特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】延伸前に浸漬にて含水させ水蒸気中で延伸する工程の概略図である。
【図2】延伸前に水蒸気にて含水させ水蒸気中で延伸する工程の概略図である。
【図3】延伸前に浸漬にて含水させ水中で延伸する工程の概略図である。
【図4】延伸前に水蒸気にて含水させ水中で延伸する工程の概略図である。
【図5】延伸前に水蒸気にて含水させ水蒸気中で延伸する工程の概略図である。
【図6】延伸前に水蒸気にて含水させ水中で延伸する工程の概略図である。
【図7】VA型液晶表示装置の基本構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 送出しロール
2 水槽
3 エアナイフ
4 ニップロール
5 スチームの吹き出し口
6 乾燥ゾーン
7 巻き取りロール
8 水槽
9 蒸気吹き付け口
11 下基板
12 反射電極
13 下配向膜
14 液晶層
15 上配向膜
16 透明電極
17 上基板
18 λ/4板
19 偏光膜

Claims (16)

  1. 延伸されたセルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの製造方法において、
    含水率が2.0質量%以上10.0質量%以下のセルロースアシレートフィルムを、少なくとも2対のニップロールを用い、それぞれのニップロールの回転速度に差を持たせることでニップロール間のセルロースアシレートフィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する工程を含むことを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  2. 延伸前にセルロースアシレートフィルムを水中に浸漬および/または水蒸気に曝して含水させた後、延伸することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 延伸時のセルロースアシレートフィルムの表面に実質的に水膜が形成されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 該セルロースアシレートフィルムの幅をW(cm)、ニップロール間距離をL(cm)としたときに、アスペクト比L/Wが0.5≦L/W≦2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 延伸温度が50℃以上150℃以下であり、かつ延伸温度に1℃以上20℃以下の温度分布を付与して延伸することを特徴とする請求項1〜4に記載の製造方法。
  6. 延伸直後のフィルムの含水率が2.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 相対湿度70%以上100%以下の雰囲気下で延伸することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 水中で延伸することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  9. 延伸時間が1〜30秒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. セルロースアシレートの酢化度が、57.0乃至62.5%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. セルロースアシレートが、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を、セルロースシレート100質量部に対して0.01乃至10質量部の割合で、含んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 光学補償フィルムの波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)が、80nm≦Re550≦330nmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 光学補償フィルムの幅方向および長手方向の波長550nmで測定したレターデーション値(Re550)の分布がいずれも10%以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 光学補償フィルムのヘイズ値が0%以上2%以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 光学補償フィルムの波長450nm、550nm、650nmで測定したレターデーション値Re450、Re550、Re650が、0.5<Re450/Re550<0.98および1.01<Re650/Re550<1.35の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法
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