JP2003090915A - 光学補償フィルムの製造方法、光学補償フィルム、円偏光板および画像表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムの製造方法、光学補償フィルム、円偏光板および画像表示装置

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JP2003090915A JP2001285104A JP2001285104A JP2003090915A JP 2003090915 A JP2003090915 A JP 2003090915A JP 2001285104 A JP2001285104 A JP 2001285104A JP 2001285104 A JP2001285104 A JP 2001285104A JP 2003090915 A JP2003090915 A JP 2003090915A
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    • B29K2001/00Use of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives, e.g. viscose, as moulding material
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    • B29K2001/12Cellulose acetate

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Abstract

(57)【要約】 【課題】NZファクターが大きく、視野角特性に優れた
光学補償フィルムを工業規模で安定して製造する方法、
この方法で製造された光学補償フィルム、この光学補償
フィルムを用いた偏光板、これら光学補償フィルムある
いは偏光板を備えた画像表示装置を提供する。 【解決手段】含水率が2.0質量%以上10.0質量%
以下のセルロースアシレートフィルムを、少なくとも2
対のニップロールを用い、それぞれのニップロールの回
転速度に差を持たせることでニップロール間のセルロー
スアシレートフィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸す
る工程を含む延伸されたセルロースアシレートフィルム
からなる光学補償フィルムの製造方法、この方法で製造
された光学補償フィルム、およびこれを用いた偏光板、
これら光学補償フィルムあるいは偏光板を備えた画像表
示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸セルロースア
シレートフィルムからなる光学補償フィルム(特にλ/
4板)の製造方法、この製造方法で作製した光学補償フ
ィルムおよびそれを用いた偏光板、さらにはそれを適用
した画像表示装置(反射型または半透過型液晶表示装
置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用い
た表示装置など)に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏
光板および光学補償シート(位相差板)からなり、透過
型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に
取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セル
と偏光板との間に配置し、反射型液晶表示装置では、反
射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の
偏光板の順に配置する。
【0003】液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入
するための二枚の基盤および棒状液晶性部分子に電圧を
加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性
分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Tw
isted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、F
LC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Opti
cally Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted
Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型につ
いては、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様
々な表示モードが提案されている。偏光板は、一般に、
偏光膜と透明保護膜とからなっており、この偏光膜は、
一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染
料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸
することにより得られる。この偏光膜の両側に二枚の透
明保護膜を貼りつけた構成を有する。
【0004】光学補償シートは、画像着色を解消した
り、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用
いられている。その中でλ/4板は、液晶表示装置用の
光学補償フィルムや、有機EL表示用の反射防止膜など
多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。
しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/
4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
【0005】特開平5−27118号および同5−27
119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈
折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フ
ィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた
位相差板が開示されている。二枚のフィルムのレターデ
ーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれ
ば、位相差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ
/4板として機能する。
【0006】特開平5−27118号および同5−27
119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈
折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フ
ィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた
光学補償フィルムが開示されている。二枚のフィルムの
レターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4
であれば、光学補償フィルムは理論的には、可視光域の
全体にわたりλ/4板として機能する。特開平10−6
8816号公報に、特定波長においてλ/4となってい
るポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波
長においてλ/2となっているポリマーフィルムとを積
層させて、広い波長領域でλ/4が得られる光学補償フ
ィルムが開示されている。特開平10−90521号公
報にも、二枚のポリマーフィルムを積層することにより
広い波長領域でλ/4を達成できる光学補償フィルムが
開示されている。しかしながら、二枚の光学補償フィル
ムの貼り合せは膜厚が厚くなる、コストが高いなどの課
題があり、一枚で広い波長領域にわたりλ/4を実現す
る光学補償フィルムが望まれていた。以上のポリマーフ
ィルムとしては、ポリカーボネートのような合成ポリマ
ーの延伸フィルムが使用されていた。
【0007】これに対し、特開平2000−13711
6号公報、およびWO00/65384には、一枚のポ
リマーフィルムで測定波長が短いほど位相差が小さくな
る光学補償フィルム、円偏光板、および反射型液晶表示
装置への適用に関しての記載がある。上述のλ/4板の
視野角特性を制御するパラメータとして(nx−nz)
/(nx−ny)で定義される数値が採用されている
(以後NZファクターと記載する。またnx、ny、n
zはそれぞれ面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸
に垂直な方向の屈折率、厚み方向の屈折率を表す)。W
O00/65384では好ましい範囲として1≦NZ≦
2であることを記載している。
【0008】WO00/65384公報の実施例に記載
された自由幅一軸延伸方法でλ/4板を作製すると、λ
/4のレターデーションを実現する延伸倍率が破断伸度
の関係から決まるため、NZファクターも一義的に決ま
ってしまう。このNZファクターは制御できることが好
ましい。なぜなら、画像表示装置が液晶表示装置である
場合、液晶パネルによって液晶セルの複屈折(△n)が
異なり、△nの角度依存性が液晶パネルによって異なる
ために、NZファクターが制御できれば、光学補償フィ
ルムのReを変えることなく視野角特性を最適化できる
からである。しかしながら、NZファクターは三方向の
屈折率で定義された値であるため延伸倍率と関連してお
り、縦延伸倍率が大きくなり一軸延伸に近づくにつれて
大きい値から限りなく1に近づいていく。1に近づくに
つれ、斜め方向からの視野角が小さく成りやすく改良が
望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、NZ
ファクターが大きく、視野角特性に優れた光学補償フィ
ルム(特に、広い波長領域で位相差がλ/4であるλ/
4板)を工業規模で安定して製造する方法を提供するこ
とにある。特に、本発明の目的は、レターデーションを
変化させずにNZファクターを制御し、視野角特性を改
良することができる光学補償フィルムを工業規模で安定
して製造する方法を提供することにある。本発明のさら
なる目的は、上記方法で製造された光学補償フィルムを
用いた偏光板、ならびにこれら光学補償フィルムや円偏
光板を用いた画像表示装置、特に反射型または半透過型
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス等を用い
る画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記1
〜19により達成された。 1.延伸されたセルロースアシレートフィルムからなる
光学補償フィルムの製造方法において、含水率が2.0
質量%以上10.0質量%以下のセルロースアシレート
フィルムを、少なくとも2対のニップロールを用い、そ
れぞれのニップロールの回転速度に差を持たせることで
ニップロール間のセルロースアシレートフィルムを1.
1倍以上2倍以下に延伸する工程を含むことを特徴とす
る光学補償フィルムの製造方法。 2.延伸前にセルロースアシレートフィルムを水中に浸
漬および/または水蒸気に曝して含水させた後、延伸す
ることを特徴とする上記1に記載の製造方法。 3.延伸時のセルロースアシレートフィルムの表面に実
質的に水膜が形成されていないことを特徴とする上記1
または2に記載の製造方法。 4.該セルロースアシレートフィルムの幅をW(c
m)、ニップロール間距離をL(cm)としたときに、
アスペクト比L/Wが0.5≦L/W≦2であることを
特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。 5.延伸温度が50℃以上150℃以下であり、かつ延
伸温度に1℃以上20℃以下の温度分布を付与して延伸
することを特徴とする上記1〜4に記載の製造方法。 6.延伸直後のフィルムの含水率が2.0質量%以上1
0.0質量%以下であることを特徴とする上記1〜5の
いずれかに記載の製造方法。 7.相対湿度70%以上100%以下の雰囲気下で延伸
することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の製
造方法。 8.水中で延伸することを特徴とする上記1〜6のいず
れかに記載の製造方法。 9.延伸時間が1〜30秒であることを特徴とする上記
1〜8のいずれかに記載の製造方法。 10.セルロースアシレートの酢化度が、57.0乃至
62.5%であることを特徴とする上記1〜9のいずれ
かに記載の製造方法。 11.セルロースアシレートが、少なくとも二つの芳香
族環を有する芳香族化合物を、セルロースシレート10
0質量部に対して0.01乃至10質量部の割合で、含
んでいることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記
載の製造方法。 12.光学補償フィルムの波長550nmで測定したレ
ターデーション値(Re550)が、80nm≦Re5
50≦330nmであることを特徴とする上記1〜11
のいずれかに記載の製造方法。 13.光学補償フィルムの幅方向および長手方向の波長
550nmで測定したレターデーション値(Re55
0)の分布がいずれも10%以下であることを特徴とす
る上記1〜12のいずれかに記載の製造方法。 14.光学補償フィルムのヘイズ値が0%以上2%以下
であることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載
の製造方法。 15.光学補償フィルムの波長450nm、550n
m、650nmで測定したレターデーション値Re45
0、Re550、Re650が、0.5<Re450/
Re550<0.98および1.01<Re650/R
e550<1.35の関係を満たすことを特徴とする上
記1〜14のいずれかに記載の製造方法。 16.光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率n
x、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み
方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx
−ny)≦3の関係を満たすことを特徴とする上記1〜
15のいずれかに記載の製造方法。 17.上記1〜16のいずれかに記載の製造方法で製造
された光学補償フィルム。 18.上記17に記載の光補償フィルムと、偏光膜を貼
り合わしたことを特徴とする偏光板。 19.上記17に記載の光学補償フィルムまたは上記1
8に記載の偏光板を用いたことを特徴とする画像表示装
置。
【0011】
【発明の実施の形態】発明者らの鋭意研究により、同じ
ReでNZファクターを制御する手法、すなわち、積極
的にnx−nzを制御するための工業的手法を見出し
た。これにより、同じReを与えるフィルムで、NZフ
ァクターの大きなフィルムを得ることが可能となり広い
視野角が得られた。これは下記する延伸方法で達成する
ことができる。即ち、セルロースアシレートフィルムの
代表例であるセルロースアセテートフィルムは室温で含
水率が1.8質量%である。通常、このようなセルロー
スアセテートフィルム(原反)に対してガラス転移点
(Tg)程度に昇温させることで延伸可能な状態とし、
延伸を行う。このようなTg程度、例えば130℃にす
ると含水率は更に低下し、0.4質量%となる。本発明
はこのようなセルロースアセテートフィルム(原反)を
延伸前に含水させることで、セルロースアセテートフィ
ルムの含水率を2.0質量%以上10.0質量%以下、
より好ましくは2.5質量%以上8.0質量%以下、さ
らに好ましくは3.0質量%以上6.0質量%以下とす
ることを特徴としている。以下にフィルムの調製から順
を追って説明を加える。
【0012】[セルロースアシレートフィルム]本発明
のセルロースアシレートフィルムとしては、セルロース
の低級脂肪酸エステルが挙げられる。低級脂肪酸とは、
炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。低級脂肪酸の
炭素原子数は、2(セルロースアセテートに対応)、3
(セルロースプロピオネートに対応)または4(セルロ
ースブチレートに対応)であることが好ましく、セルロ
ースアセテートがより好ましい。セルロースアセテート
プロピオネートやセルロースアセテートブチレートのよ
うな混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
【0013】セルロースアセテートの中で好ましいの
が、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースで
あり、より好ましいのが、酢化度が57.0乃至62.
5%であるセルロースアセテートである。さらに好まし
いのが酢化度が59.0乃至62.5%のセルロースア
セテートである。酢化度とは、セルロース単位質量当た
りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−
817−91(セルロースアセテート等の試験法)にお
けるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロース
エステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であ
ることが好ましく、290以上であることがさらに好ま
しい。また、本発明に使用するセルロースアシレート
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるM
w/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子
量)で示される分子量分布が狭いことが好ましい。具体
的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7である
ことが好ましく、1.3乃至1.65であることがさら
に好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好まし
い。また、このようなセルロースアシレートフィルムフ
ィルムの光透過率は80%以上であることが好ましい。
【0014】[レターデーション制御剤]各波長におけ
るレターデーション値を調整するため、レターデーショ
ン制御剤をセルロースアシレートに添加するのが好まし
い。レターデーション制御剤は、セルロースアシレート
100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で
使用することが好ましく、0.05〜8.0質量部の範
囲で使用することがより好ましく、0.1〜7.0質量
部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上
のレターデーション制御剤を併用してもよい。
【0015】レターデーション制御剤は、210〜36
0nmの波長領域に最大吸収波長を有することが好まし
い。また、レターデーション制御剤は、可視領域に実質
的に吸収を有していないことが好ましい。レターデーシ
ョン制御剤は、少なくとも二つの「芳香族環」を有する
化合物を用いることが好ましい。この「芳香族環」は、
芳香族炭化水素環に加えて芳香族性ヘテロ環を含む。芳
香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)で
あることが特に好ましい。
【0016】芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ
環であり、5員環、6員環または7員環であることが好
ましく、5員環または6員環であることがさらに好まし
い。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有す
る。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫
黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性
ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール
環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール
環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン
環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0017】芳香族環の具体例として、ベンゼン環、フ
ラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、
チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリ
ジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−
トリアジン環が好ましい。これらの芳香族環の数は、2
〜20であることが好ましく、2〜12であることがよ
り好ましく、2〜6であることが最も好ましい。このよ
うなレターデーション制御剤は、下記(イ)板状化合
物、(ロ)棒状化合物のいずれを用いても良い。これら
は単独で用いても、混合して用いても良い。
【0018】(イ)板状化合物 この化合物には2対上の芳香族環を含むが、これらの二
つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場
合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を
介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、ス
ピロ結合は形成できない)が、結合関係は(a)〜
(c)のいずれでもよい。
【0019】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。
【0020】(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素
原子間の結合であることが好ましい。二つ以上の単結合
で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂
肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合す
ることが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニ
レン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH
−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ま
しい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。な
お、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよ
い。
【0021】c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0022】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0023】上記置換基のアルキル基の炭素原子数は、
1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも
鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特
に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロ
キシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ
基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル
基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−
ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチ
ル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチ
ルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8
であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状ア
ルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に
好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していて
もよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび
1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数
は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル
基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アル
キニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換
基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニ
ル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0024】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0025】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
【0026】脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃
至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例
には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カル
ボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイ
ル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好まし
い。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバ
モイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族
置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例に
は、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイ
ルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、
2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド
基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複
素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれ
る。
【0027】レターデーション制御剤の分子量は、30
0乃至800であることが好ましい。このような板状の
レターデーション制御剤の具体例は国際特許出願公開W
O00/65384号等に記載されている。
【0028】(ロ)棒状化合物本発明では、250nm
よりも短波長側に吸収極大を有する棒状化合物をレター
デーション制御剤として用いることも好ましい。レター
デーション制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少
なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少な
くとも二つの芳香族環を有することがさらに好ましい。
【0029】棒状化合物は、直線的な分子構造を有する
ことが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最
も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的で
あることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結
晶構造解析または分子軌道計算によって求めることがで
きる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC200
0、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化
合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求め
ることができる。分子構造が直線的であるとは、上記の
ように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造に
おいて、分子構造の角度が140度以上であることを意
味する。
【0030】棒状化合物としては、下記式(I)で表さ
れる化合物が好ましい。 式(I):Ar1 −L1 −Ar2 上記式(I)において、Ar1 およびAr2 は、それぞ
れ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族
基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリー
ル基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環
基を含む。アリール基および置換アリール基の方が、芳
香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも
好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には
不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環ま
たは7員環であることが好ましく、5員環または6員環
であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般
に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素
原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子ま
たは硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例
には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾ
ール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチア
ゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン
環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジ
ン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−
トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環として
は、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール
環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、
トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラ
ジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0031】置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ
環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、B
r、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミ
ノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミ
ノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スル
ホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−
メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N
−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキル
スルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N
−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモ
イル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチ
ルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’
−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチ
ル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘ
キシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニ
ル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニ
ル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、
ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基
(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキ
シ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘ
プチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基
(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボ
ニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカ
ルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシ
カルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、
ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基
(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチル
チオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、
アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホ
ニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プ
ロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホ
ニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、ア
ミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシル
アミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基
(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0032】置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ
環基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シア
ノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置
換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ア
ルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基
およびアルキル基が挙げられる。アルキル置換アミノ
基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアル
キルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置
換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル
基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カ
ルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニト
ロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、
スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイ
ド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル
基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、ア
ミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル
部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原
子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル
基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカル
ボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0033】式(I)において、L1 は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO
−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二
価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有して
いてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシ
レンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ま
しい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基
の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アル
キレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ま
しく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至1
0であることがさらに好ましく、1乃至8であることが
さらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好まし
い。
【0034】アルケニレン基およびアルキニレン基は、
環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐
を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさら
に好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭
素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至
8であることがより好ましく、2乃至6であることがさ
らに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好まし
く、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も
好ましい。
【0035】組み合わせからなる二価の連結基の例を示
す。 L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O− L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO− L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O− L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO− L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O− L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
【0036】式(I)の分子構造において、L1 を挟ん
で、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上
であることが好ましい。棒状化合物としては、下記式
(II)で表される化合物がさらに好ましい。 式(II):Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2 上記式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞ
れ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例
は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
【0037】式(II)において、L2 およびL3 は、そ
れぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−および
それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結
基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を
有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直
鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基
の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1
乃至8であることがより好ましく、1乃至6であること
がさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好
ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)である
ことが最も好ましい。L2 およびL3 は、−O−CO−
または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0038】式(II)において、Xは、1,4−シクロ
へキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下
に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】具体例(1)〜(34)、(41)、(4
2)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉
炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜
(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子
構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何
異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例
(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)と
を、以下に示す。
【0049】
【化10】
【0050】前述したように、棒状化合物は直線的な分
子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型
の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)および
(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の
異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトラ
ンス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体につい
ては、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいず
れでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビ
ニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様
の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0051】溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大
吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状
化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、
文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、
Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979
年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111
ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989
年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(199
1年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92
巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40
巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16
号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0052】(具体例のスペクトル測定)前記のレター
デーション制御剤(10-trans)の紫外・可視領域(U
V−vis)スペクトルを測定した。レターデーション
制御剤(10-trans)を、テトラヒドロフラン(安定剤
(BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン)なし)に溶解
し、濃度が10-5mol/dm3 になるように調整し
た。このように調整した溶液を、測定機(日立製作所
(株)製)で測定したところ、吸収極大を与える波長
(λmax )は220nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は15000であった。同様に、レターデーショ
ン制御剤(29-trans)では、吸収極大を与える波長
(λmax )は240nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は20000であった。同様に、レターデーショ
ン制御剤(41-trans)では、吸収極大を与える波長
(λmax )は230nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は16000であった。
【0053】本発明のレターデーション制御剤は、単独
で用いても、2種類上の化合物を混合して用いてもよ
い。
【0054】[セルロースアシレートフィルムの製造]
本発明のセルロースアシレートフィルムはソルベントキ
ャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキ
ャスト法では、フィルムポリマー材料を有機溶媒に溶解
した溶液(ドープ)を用いてフィルム(原反)を製造す
る。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、
炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至
12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン
化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エ
ーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有してい
てもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基
(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のい
ずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用い
ることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のよ
うな他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能
基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれ
かの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0055】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0056】セルロースアシレート溶液は一般的な方法
で調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。その他、ハロゲン化炭化水素を有機溶媒として用
いない方法も可能であり、それについては後述するが、
公開技報2001−1745号に記載の技術が挙げられ
る。セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に1
0乃至40質量%含まれるように調整する。セルロース
アシレートの量は、10乃至30質量%であることがさ
らに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任
意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0
乃至40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪
拌することにより調製することができる。高濃度の溶液
は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的に
は、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入
れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、か
つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌す
る。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは
60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至1
10℃である。
【0057】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0058】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。セルロースアセテートの有機
溶媒として、メチレンクロリドを用いるのが一般的であ
る。しかしながら、メチレンクロリドは地球環境、作業
環境上有害なため、使用しないことが望まれている。メ
チレンクロリドを用いない有機溶媒系では通常の溶解法
では溶解させることが困難であり、その場合、冷却溶解
法が有効である。なお、通常の溶解方法でセルロースア
セテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によ
ると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。冷却
溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシ
レートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシ
レートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含ま
れるように調整することが好ましく、10乃至30質量
%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には
後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0059】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
【0060】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始し
てから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値
である。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は、冷却、加温の操作を繰
り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視に
より溶液の外観を観察するだけで判断することができ
る。
【0061】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアシレート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒
により異なる。
【0062】調製したセルロースアシレート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシ
レートフィルムを製造する手段について更に詳細に説明
する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒
を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、
固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整する
ことが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状
態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト
法における流延および乾燥方法については、米国特許2
336310号、同2367603号、同249207
8号、同2492977号、同2492978号、同2
607704号、同2739069号、同273907
0号、英国特許640731号、同736892号の各
明細書、特公昭45−4554号、同49−5614
号、特開昭60−176834号、同60−20343
0号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド
上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風
に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムを
ドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から1
60℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤
を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−
17844号公報に記載がある。この方法によると、流
延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能であ
る。この方法を実施するためには、流延時のドラムまた
はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが
必要である。
【0063】また、調整したセルロースアシレート溶液
(ドープ)を用いて2層以上の流延でフィルム化すべ
く、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレート
フィルムを作製してもよい。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となる
ように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバ
ンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。
【0064】ここで得られたセルロースアシレート溶液
は、2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を流延
するが、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場
合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延
口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延
させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例え
ば特開昭61−158414号、特開平1−12241
9号、特開平11−198285号、などに記載の方法
が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシ
レート溶液を流延することによってもフィルム化するこ
とでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭
61−94724号、特開昭61−947245号、特
開昭61−104813号、特開昭61−158413
号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施で
きる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘
度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロー
スアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロ
ースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレー
トフィルム流延方法でもよい。
【0065】或いは2個の流延口を用いて、第一の流延
口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体
面に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィ
ルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20
235号に記載されている方法である。流延するセルロ
ースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセ
ルロースアシレート溶液でもよく、特に限定されない。
複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるため
に、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、そ
れぞれの流延口から押出せばよい。さらにこのセルロー
スアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染
料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収
層、偏光層など)の溶液を同時に流延することも実施し
うる。
【0066】従来の単層液では、必要なフィルム厚さに
するためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶
液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシ
レート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障
となったり、平面性が不良であったりして問題となるこ
とが多かった。この解決として、複数のセルロースアシ
レート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の
溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良
化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、
濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負
荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高め
ることができる。
【0067】セルロースアシレートフィルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェー
ト(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(B
DP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含
まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステ
ルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エ
ステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエ
チルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフ
タレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)および
O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含ま
れる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン
酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジ
ブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フ
タル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、D
OP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DE
PおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セ
ルロースアシレートの量の0.1乃至25質量%である
ことが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに
好ましく、3乃至15質量%であることが最も好まし
い。
【0068】セルロースアシレートフィルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。セルロースアシレートフィルムには、製
造時のハンドリング性向上のために、片面または両面に
マット剤とポリマーを含有するマット層を設けてもよ
い。マット剤およびポリマーについては特開平10−4
4327に記載されている素材を好適に用いることがで
きる。
【0069】[延伸方法]本発明は、延伸前にセルロー
スアシレートフィルムの含水率を2.0質量%以上1
0.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上
8.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以上
6.0質量%以下とすることを特徴としている。セルロ
ースアシレートフィルムは、室温で含水率が1.8質量
%で、通常、このようなセルロースアシレートフィルム
(原反)に対してガラス転移点(Tg)程度に昇温させ
ることで延伸可能な状態とし、延伸が行われる。このよ
うなTg程度、例えば130℃にすると含水率は更に低
下し、0.4質量%となる。本発明では、このようなセ
ルロースアシレートフィルム(原反)を延伸前に含水さ
せることで、セルロースアシレートフィルムの含水率を
上記範囲にすることができる。
【0070】含水は、延伸前に該セルロースアシレート
フィルムを水中に浸漬および/または水蒸気に曝し含水
させた後、延伸することで達成できる(水浴法)。水中
に浸漬する場合、水温は60℃以上100℃以下が好ま
しく、より好ましくは70℃100℃以下、さらに好ま
しくは80℃以上100℃以下である。この温度の水を
張った水槽に設置したロール間を0.1分から20分
間、より好ましくは0.2分から10分間、さらに好ま
しくは0.5分から5分間、セルロースアシレートフィ
ルムを搬送させることで含水させることができる。ある
いは、好ましくは60℃以上150℃以下、より好まし
くは70℃以上140℃以下、さらに好ましくは75℃
以上130℃以下で、相対湿度70%以上100%以
下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好
ましくは85%以上100%以下の水蒸気に、0.1分
から20分、より好ましくは0.2分から10分、さら
に好ましくは0.5分から5分間曝す方法(水蒸気法)
で含水させることができる。これは、このような水蒸気
を満たした部屋の中にロールを設置し、この間をセルロ
ースアシレートフィルムを搬送させることで含水させる
ことができる。
【0071】これらの浸漬、水蒸気曝気に用いる水は実
質的に水であれば良い。実質的に水とは60質量%以上
が水からなるものを指し、水以外に有機溶剤、可塑剤、
界面活性剤等を含んでも良い。好ましい有機溶剤として
炭素数が1から10の水溶性有機溶剤が挙げられる。し
かし、好ましくは90質量%以上が水であり、更に好ま
しくは95%質量%以上が水であり、最も好ましいくは
純水を用いたものである。上記水浴法と水蒸気法は、組
みあわせて実施しても良く、単独で用いても良い。中で
も好ましいのが、水蒸気法単独で実施する方法である。
【0072】このようにして含水させたセルロースアシ
レートフィルムを延伸する前に、このフィルム表面に実
質的に水膜が形成されていないようにすることは本発明
において重要である。上述の含水処理で、表面に水膜が
形成されやすいが、これが残っていると延伸で用いるニ
ップロールの間でスリップし、所望の倍率に延伸できな
いばかりか、擦り傷が発生し易いためである。本発明で
いう「実質的に水膜が形成されていない」とは、フィル
ム上に濾紙を押し当て、濾紙が吸水した面積を計測し、
全面積の30%以下である状態を指す。このような水膜
の除去は、含水処理後にエアナイフから吹き出す気体を
用いて表面の水分を吹き飛ばすことが好ましく用いられ
る。この際、エアナイフから吹き出す気体が乾燥空気で
あると、フィルム中の水分が揮散し易いため、相対湿度
70%以上100%以下の空気を吹き付けることが好ま
しい。また、ゴムブレード等で表面の水をかき取っても
良く、吸水性の布を表面に被覆したロールと接触させる
ことで拭き取っても良い。これらは単独で実施しても良
く、組み合わせて実施しても良い。中でも好ましいの
が、エアナイフによる方法である。このような水膜の除
去も相対湿度70%以上100%以下の雰囲気としたケ
ーシング内で実施するのが好ましい。このケーシング内
の温度も60℃以上150℃以下にされていることが好
ましい。
【0073】上述の方法で含水率を2.0質量%以上1
0.0質量%以下としたセルロースアシレートフィルム
を、1.1倍以上2倍以下、より好ましくは1.2倍以
上1.8倍以下、さらに好ましくは1.3倍以上1.7
倍以下に延伸する。このような延伸は、2対以上、より
好ましくは2対以上8対以下、さらに好ましくは2対以
上6対以下のニップロールを用いて延伸する。2対のニ
ップロールでの延伸は1段延伸であり、3対以上のニッ
プロールを用いる場合は多段延伸となる。延伸は対とな
るニップロールにニップ圧をかけ、対となるニップロー
ル間のセルロースアシレートフィルムをそれぞれのニッ
プロールの回転速度に差を持たすことでフィルムは延伸
される。具体的には、フィルムの搬送方向において出口
側(下流側)のニップロール回転速度を入り口側(上流
側)のニップロールの回転速度より高くすることでニッ
ポロール間のフィルムが引っ張られ延伸される。
【0074】このニップロールは2本のロールから形成
されるが、片方あるいは両方がゴムで被覆されているこ
とが好ましい。本発明では延伸フィルム中の含水率が高
く、スリップし易いため、ゴムで被覆したものを用いる
のが好ましい。ゴムの材質は天然ゴム、合成ゴム(ネオ
プレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、シリコンゴ
ム、ウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロ
プレンゴム)が挙げられる。好ましい被覆ゴムの厚みは
1mm以上50mm以下が好ましく、より好ましくは2
mm以上40mm以下、さらに好ましくは3mm以上3
0mm以下である。ニップロールの直径は5cm以上1
00cm以下が好ましく、より好ましくは10cm以上
50cm以下、さらに好ましくは15cm以上40cm
以下である。このようなニップロールは中空にして内部
から温調できるようにしたものも好ましい。
【0075】ニップロールの間隔は、アスペクト比L/
W(延伸するセルロースアシレートフィルムの幅をW
(cm)とニップロール間距離L(cm)の比)が0.
5≦L/W≦2であることが好ましく、より好ましくは
0.7≦L/W≦1.8、さらに好ましくは0.9≦L
/W≦1.6である。ニップロールが3対以上存在する
場合には、それぞれの2対間のL/Wを平均すればよ
い。通常アスペクト比は2を越える領域で用いるのが一
般的であるが、本発明では上記含水率に加えて、この小
さいアスペクト比は、NZファクター適切な値とする上
で重要である。
【0076】ニップロールのニップ圧は、1m幅当たり
0.5t以上20t以下が好ましく、1t以上10t以
下がより好ましく、2t以上7t以下が更に好ましい。
本発明では、延伸が50℃以上150℃以下、より好ま
しくは60℃以上140℃以下、さらに好ましくは70
℃以上130℃以下で実施するのが好ましい。温度は、
幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発
明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。
好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは
2℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上15℃
以下である。本発明のような含水率を有するフィルム
は、ガラス転位温度(Tg)が低下しており、弱い応力
で延伸することができるが、ネックインを生じやすく、
延伸ムラを発生し易い。これを防ぐため、下記のように
温度分布を付与することが有効である。
【0077】長手方向の温度分布 ニップロール延伸では、上流側のニップロール出口(即
ち延伸開始点)に応力が集中し易く、ここで集中的に延
伸され、均一延伸されにくい。即ち、全領域にわたって
均一延伸するため、延伸部の平均温度(即ち延伸部の長
手方向中央の温度)より、上流側ニップロール直後の温
度を、上記の温度だけ低くすることが好ましい。このよ
うな温度分布は、上流側のニップロールを温調ロールと
しこの温度を下げることでも実施できるし、長手方向に
沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源
や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用い
ることで達成できる。
【0078】幅方向の温度分布 本発明のような小さなアスペクト比での延伸では、幅方
向で延伸ムラが発生し易い。即ち、両端が中央部に比べ
延伸されやすい。従って、両端の温度を幅方向中央部に
比べ上記の温度だけ高くすることが好ましい。このよう
な温度分布は、幅手方向に沿って設置した分割熱源(I
Rヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設け
た熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0079】このような延伸は1〜30秒、より好まし
くは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒で実施さ
れることが好ましい。さらに本発明では、延伸直後のフ
ィルムの含水率が2.0%以上10.0%以下、より好
ましくは2.3%以上8.0%以下、さらに好ましくは
2.8%以上5.0%以下である。即ち、延伸中に表面
積が増加することでフィルム中の水分が蒸発し易く含水
率が低下し易い。このような延伸中の含水率の低下は、
延伸中に破断し易く好ましくない。これを防ぐため、下
記方法を用いることができる。
【0080】延伸を相対湿度70%以上100%以
下、より好ましくは75%以上100%以下、さらに好
ましくは80%以上100%以下で実施する。このよう
な高湿度な空気中での延伸は、延伸ゾーンに水蒸気ある
いは加湿空気を導入することで達成できる。 延伸を水中で実施する。ニップロールを水中設置し、
ニップロール間のセルロースアシレートフィルムを水中
に浸積することで実施することができる。この時、水温
を上述の延伸温度にすることが好ましい。これらの方法
でより好ましいのがである。
【0081】本発明のフィルムの延伸前の厚みは50μ
m以上300μm以下が好ましく、より好ましくは60
μm以上280μm以下、さらに好ましくは70μm以
上250μm以下である。延伸後の厚みは40μm以上
250μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以
上230μm以下、さらに好ましくは60μm以上20
0μm以下である。延伸前の好ましいフィルム幅は60
cm以上3m以下であり、より好ましくは70cm以上
2.5m以下、さらに好ましくは80cm以上2m以下
である。延伸後、乾燥することが好ましく、好ましい乾
燥温度は40℃以上150℃以下、さらに好ましくは5
0℃以上130℃以下、さらに好ましくは60℃以上1
20℃以下であり、好ましい乾燥時間は10秒以上20
分以下、より好ましくは20秒以上10分以下、さらに
好ましくは30秒以上7分以下である。乾燥は延伸に引
き続き搬送しながら実施するのが好ましく、好ましい搬
送張力は1kg/m以上50kg/m以下であり、より好ま
しくは3kg/m以上30kg/m以下であり、さらに好ま
しくは5kg/m以上20kg/m以下である。
【0082】本発明の実施態様の構成例を図1から図5
に示した(括弧の中の数字は図に付けた数字に対応す
る)。これらの中で図1、2の構成がより好ましく、図
2の構成がさらに好ましい。図1は、水に含漬し含水さ
せたあと、水蒸気中で延伸する場合である。送出しロー
ル1から出されたフィルムは、水槽2中を搬送され、本
発明の含水率にする。水温は上記したように加熱されて
いることが好ましい。この後延伸ゾーンの中に導入さ
れ、エアナイフ3でフィルム表面の水膜を除去した後、
2対のニップロール4間で延伸される。具体的には、巻
き取り側(出口側)のニップロール回転速度を送り出し
ロール側(入り口側)のニップロールの回転速度より高
くすることでニッポロール間のフィルムが引っ張られ延
伸される。この時、延伸ゾーン内には、スチームの吹き
出し口5があり、延伸ゾーン内を上記の湿度に保ってい
る。スチームの吹き出し口5は延伸ゾーンの中で複数存
在させることで延伸ゾーン内の湿度を更に安定にするこ
ともできる。また延伸ゾーンの中にはヒーター(図示せ
ず)を設置し、所定の温度に制御することができる。延
伸の後、乾燥ゾーン6を通過させた後、巻き取りロール
7に巻き取る。
【0083】図2、5は、水蒸気で含水させた後、水蒸
気で延伸する場合である。ロールから送りだされたフィ
ルムに水蒸気を吹き付け口9から吹き付けて含水させ
る。以降は図1と同様である。図3は水に含漬し含水さ
せたあと、水中で延伸させるものである。図1と同様に
して含水させた後、水槽8中に設置したニップロールを
用い延伸する。この水温は上記したように加温させてお
くことが好ましい。延伸後は、図1と同様に乾燥し巻き
取る。図4、6は水蒸気で含水させた後、水中で延伸さ
せるものである。図2と同様にして含水させた後、図3
と同様に延伸する。延伸後は図1と同様に乾燥し巻き取
る。
【0084】[セルロースアシレートフィルムの表面処
理]セルロースアシレートフィルムには、表面処理を施
してもよい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グ
ロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または
紫外線照射処理を実施する。フィルムの平面性を保持す
る観点から、これら処理においてセルロースアシレート
フィルムの温度をガラス転位温度(Tg)以下とするこ
とが好ましい。
【0085】これらの処理の中で、本発明の光学補償フ
ィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光
膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を
実施することが特に好ましく、さらに好ましいのがアル
カリ処理(アルカリ鹸化)である。アルカリ鹸化は、フ
ィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中
和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ま
しい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水
酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃
度は0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.
5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカ
リ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40
℃乃至70℃がさらに好ましい。これらのアルカリ溶液
は水溶液でも良く、有機溶剤でも良い。有機溶の場合、
低級アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数が1
から5のアルコールあるいはグリコールであり、より好
ましくはエタノール、n−プロパノール、iso−プロ
パノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレ
ングリコールである。さらに好ましくはiso−プロパ
ノール、プロピレングリコールである。これらは混合し
て使用しても良い。さらに水や界面活性剤を添加しても
良い。
【0086】好ましい例として下記溶液にアルカリを溶
解したものを挙げることができる。 iso−プロパノール/プロピレングリコール/水(70/1
5/15:体積比) iso−プロパノール/水(85/15:体積比) iso−プロパノール/プロピレングリコール(85/15:
体積比) iso−プロパノール これらのアルカリ溶液に浸漬しても良く、塗布(バー塗
布、カーテン塗布等)しても良い。本発明では、セルロ
ースアシレートフィルムとその上に設けられる層(接着
層、配向膜、あるいは光学異方性層)との接着を改善す
るために、特開平7−333433号公報に記載のよう
な接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層の厚みは
0.1μm乃至2μmであることが好ましく、0.2μ
m乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0087】[セルロースアシレートフィルムのレター
デーション]本発明のセルロースアシレートフィルムを
λ/4板として使用する場合は、波長550nmで測定
したレターデーション値(Re550)が80nm乃至
200nmであり、より好ましくは90nm乃至170
nm、さらに好ましくは110nm乃至150nmであ
る。本発明のセルロースアシレートフィルムをλ/2板
として使用する場合は、波長550nmで測定したレタ
ーデーション値(Re550)が200nm乃至330
nmであり、より好ましくは220nm乃至310nm
であり、さらに好ましくは240乃至290nmであ
る。λ/4板、λ/2板として使用する場合、いずれ
も、波長450nm、550nm、650nmで測定し
たレターデーション値Re450、Re550、Re6
50の比がそれぞれ、 0.5<Re450/Re550<0.98 1.01<Re650/Re550<1.35 を満たすことが好ましい。 より好ましくは、 0.6<Re450/Re550<0.95 1.05<Re650/Re550<1.3 さらに好ましくは、 0.7<Re450/Re550<0.9 1.1<Re650/Re550<1.25 を満たすことである。
【0088】レターデーション値(Re)は、下記式に
従って算出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、光学補償フィルム(位相差板)の面内の
遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;ny
は、光学補償フィルム(位相差板)の面内の遅相軸に垂
直な方向の屈折率であり;そして、dは、光学補償フィ
ルム(位相差板)の厚さ(nm)である。本発明の光学
補償フィルムは、1枚で下記式を満足することが好まし
く、 1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3 より好ましくは 1.4<(nx−nz)/(nx−ny)≦2.5 さらに好ましくは 1.55<(nx−nz)/(nx−ny)≦2 を満たすことである。式中、nxは、光学補償フィルム
(位相差板)の面内の遅相軸方向の屈折率であり;ny
は、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であ
り;そして、nzは、厚み方向の屈折率である。本発明
の光学補償フィルムのヘイズ値HZは0%以上2%以下
であることが好ましく、より好ましくは0%以上1.5
%以下、さらに好ましくは0%以上1%以下である。
【0089】[偏光板]偏光板は、偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護
膜として、本発明の光学補償フィルムを用いることがで
きる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフ
ィルムを用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、
二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が
ある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポ
リビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光
膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当
する。本発明の光学補償フィルムの遅相軸と偏光膜の透
過軸の関係は、適用される液晶表示装置の種類により異
なるが、本発明の反射型液晶表示装置の場合は、実質的
に45度となるように配置することが好ましい。
【0090】[液晶表示装置]本発明のセルロースアセ
テートフィルムからなる光学補償フィルム、または本発
明のセルロースアセテートフィルムからなる光学補償フ
ィルムを用いた偏光板(円偏光板)は、液晶表示装置に
有利に用いられる。液晶表示装置としては、透過型、反
射型、半透過型のいずれで用いても構わないが、特に反
射型、半透過型が好ましい。図7は、反射型液晶表示装
置の基本的な構成を示す模式図である。図7に示す反射
型液晶表示装置は、下から順に、下基板11、反射電極
12、下配向膜13、液晶層14、上配向膜15、透明
電極16、上基板17、λ/4板18、そして偏光膜1
9からなる。下基板11と反射電極12が反射板を構成
する。下配向膜13〜上配向膜15が液晶セルを構成す
る。λ/4板18は、反射板と偏光膜19との間の任意
の位置に配置することができる。
【0091】カラー表示の場合には、さらにカラーフィ
ルター層(図示せず)を設ける。カラーフィルター層
は、反射電極12と下配向膜13との間、または上配向
膜15と透明電極16との間に設けることが好ましい。
図7に示す反射電極12の代わりに透明電極を用いて、
別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせ
て用いる反射板としては、金属板が好ましい。反射板の
表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野
角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹
凸構造(特許275620号公報記載)を導入すること
が好ましい。反射板の表面が平坦である場合は、表面に
凹凸構造を導入する代わりに、偏光膜の片側(セル側あ
るいは外側)に光拡散フィルムを取り付けてもよい。
【0092】液晶セルは特に限定されないが、より好ま
しくはTN(twisted nematic )型、STN(Supper T
wisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nem
atic)型、VA(Verticaly Allignment)型、ECB型
(Electricaly Controlled Birefrigence) 、OCB型
(Optically Compensatory Bend)であることが好まし
い。TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜
であることが好ましく、50乃至90゜であることがさ
らに好ましく、60乃至80゜であることが最も好まし
い。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み
(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μm
であることが好ましく、0.2乃至0.4μmであるこ
とがさらに好ましい。STN型液晶セルのツイスト角
は、180乃至360゜であることが好ましく、220
乃至270゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈
折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn
d)の値は、0.3乃至1.2μmであることが好まし
く、0.5乃至1.0μmであることがさらに好まし
い。HAN型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質
的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレチルト角
が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層の屈折率
異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)
の値は、0.1乃至1.0μmであることが好ましく、
0.3乃至0.8μmであることがさらに好ましい。液
晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であっ
てもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0093】VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時
に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VA
モードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無
印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的
に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開
平2−176625号公報および特公平7−69536
号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VA
モードをマルチドメイン化した液晶セルが含まれる。具
体的には、MVA(SID97、Digest of tech. Pape
rs(予稿集)28(1997)845、SID99、Di
gest of tech.Papers(予稿集)30(1999)20
6および特開平11−258605号公報記載)、SU
RVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号
(1999)14記載)、PVA(Asia Disp
lay98、Proc.of the 18th Inter. Display res. Co
nf.(予稿集)(1998)383記載)、Para-A
(LCD/PDP International‘99
で発表)、DDVA(SID98、Digest of tech. Pa
pers(予稿集)29(1998)838記載)、EOC
(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29
(1998)319記載)、PSHA(SID98、Di
gest of tech. Papers(予稿集)29(1998)10
81記載)、RFFMH(Asia Display9
8、Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿
集)(1998)375記載)、HMD(SID98、D
igest of tech. Papers(予稿集)29(1998)7
02記載)が含まれる。その他に(3)棒状液晶性分子
を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時に
ねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモ
ード)の液晶セル(IWD’98、Proc.of the 5th I
nter. Display Workshop.(予稿集)(1998)143
記載))も含まれる。
【0094】OCBモードでは、棒状液晶性分子を液晶
セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)
配向させる配向モードの液晶セルを用いたものである。
この結果自己光学補償能を有する。詳細は米国特許45
83825,同5410422号に記載されている。E
CBモードでは水平に液晶を配向させていることが特徴
であり、特開平5−203946号に詳細が記載されて
いる。
【0095】反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時
に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモ
ードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示
であるノーマリーブラックモードでも用いることができ
る。ノーマリーホワイトモードの方が好ましい。
【0096】[タッチパネル・有機EL表示装置への応
用]タッチパネルは、特開平5−127822号公報、
特願2000−236797号明細書等に記載ものに応
用することができる。また、有機EL表示素子には、特
開平11−305729号、同11−307250号、
特開2000ー267097号の各公報に記載のもの等
に応用することができる。
【0097】
【実施例】以下に本発明の実施例を記載するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0098】[各種測定方法] (1)含水率 カールフィッシャー法にて、下記のように測定した。 サンプル(0.9m×4.5cmを2枚)秤量する。 ・サンプルが濡れている場合は、表面の水分を良く拭
う。 ・サンプリング後、直ちに磨り栓の付いたガラス瓶に入
れ水分計のところまで運び、サンプリング後3分以内に
測定する。 下記水分型を用い、測定する。 ・気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃に
てサンプル中の水分揮発させ水分計に導入する。 ・水分計:カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA
−03型)を用い、測定する。 含水率の計算 水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサン
プル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W
/F)
【0099】(2)セルロースアシレートフィルム上の
水膜 延伸直前のセルロースアシレートフィルム上に濾紙を押
し当てる。吸水して濾紙の色の変わった部分の面積を算
出し、全体の面積で割り、百分率で表す。
【0100】(3)レターデーション、NZファクター
の測定 Re550、Re650、Re450 自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)
を用いて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から波
長450nm、550nmおよび650nmにおけるレ
ターデーション値Re450、Re550、Re650
を測定する。 NZファクター((nx−nz)/(nx−ny)) エリプソメーター(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)
製)を用い、フィルム面に対し垂直方向、40度、−4
0度傾斜した方向から550nmでレターデーションを
測定し、各々Re(0)、Re(40)、Re(−4
0)を求めた。これらから、遅相軸方向の屈折率nx、
面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向
の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)
の値を計算する。
【0101】(4)アセチル置換度 Polymer Journal 17. 1065-1069(1985)に記載の方法で
13C−NMRスペクトルから測定した。
【0102】実施例1 1.位相差板(セルロースアセテート延伸フィルム)の作
成 (1)組成 下記組成のセルロースアセテートドープ(高濃度溶液)
を作成した。なお、レターデーション制御剤(少なくと
も二つの芳香族環を有する芳香族化合物)は、下記構造
式の化合物を用いた。 棒状化合物
【0103】
【化11】
【0104】板状化合物
【0105】
【化12】
【0106】 (イ)メチレンクロリド(MC)系 セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 100質量部 トリフェニルホスフェート 10質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート 5質量部 メチレンクロリド 565.6質量部 メタノール 49.2質量部 レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載 シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0107】 (ロ)酢酸メチル(MA)系 セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 118質量部 トリフェニルホスフェート 9.19質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート 4.60質量部 トリベンジルアミン 2.36質量部 酢酸メチル 530質量部 エタノール 99.4質量部 ブタノール 33.1質量部 レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載 シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0108】(2)溶解 MC系は常温溶解法、MA系は冷却溶解法を用いて溶解
し、ドープを作成した。 (a)常温溶解法 溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加
し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得ら
れた膨潤混合物を還流冷却機を有する混合タンク中で5
0℃において撹拌しながら溶解した。 (b)冷却溶解法 溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加
し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得ら
れた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で
−30℃まで冷却、その後−70℃の温度まで冷却し6
時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化が
ある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50
℃まで加温しドープを得た。
【0109】(3)製膜 下記2方式から選択し製膜し、表1に記載した。 (イ)単層製膜 上記方法により得られた溶液(ドープ)を、濾紙(安積
濾紙(株)製No.244)およびネル製の濾布で濾過した
後、定量ギアポンプで加圧ダイに送液し、有効長6mの
バンド流延機を用いて、乾燥、延伸後の最終膜厚が表2
に記載の厚みになるように流延した。バンド温度は0℃
とした。乾燥のため2秒間風に当て、フィルム中の揮発
分が50質量%になったときに、フィルムをバンドから
剥ぎ取り、さらに100℃で3分、130℃で5分、そ
して160℃で5分、フィルムを固定せず自由に収縮さ
せて段階的に乾燥して、残りの溶剤を蒸発させ1%以下
にした。
【0110】(ロ)積層製膜 三層共流延ダイを用い、内層から上記組成のドープを、
両側に10質量%に溶剤量を増加し希釈したドープを、
金属支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延
膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥して、本発明の三層構造
のセルロースアセテートフィルム積層体(内層の厚さ:
各表面層の厚さ=8:1)を製造した。乾燥は70℃で
3分、130℃で5分した後、ガラス板からフィルムを
剥ぎ取り、そして160℃、30分で段階的に乾燥して
溶剤を蒸発させセルローストリアセテートフィルムを得
た。この後、これらの両端15cmずつトリミングし、
両端に高さ50μm幅1cmのナーリング(厚みだし加
工)を行い、幅1.5m、長さ3000mの未延伸セル
ロースアセテートフィルムを得た。なお、ここでトリミ
ングしたセルロースアセテートフィルム屑は、粉砕した
後未使用セルロースアセテートと混合し再使用される
(全セルロースアセテート中30質量%これを混合し
た)。
【0111】(4)延伸 図1〜6に示した製造装置で2対以上のニップロールを
用い、出口側のニップロールの回転速度と入り口側のニ
ップロールの回転速度に差を持たせることでニップロー
ル間のセルロースアシレートフィルムを表1記載の条件
で延伸を行い、光学補償フィルム(位相差フィルム)を
得た。延伸前の含水は、浸漬法あるいは水蒸気法から選
択した前者は90℃の温水浸漬し、後者は120℃の水
蒸気に曝し、表1記載の含水率とした。用いたニップロ
ールが2対の場合は一段延伸を示し、3対以上の場合は
多段延伸を示す。多段延伸の場合、連続してタンデムに
配置し、これらの各延伸倍率の積を表1に記載した。な
お、格段の倍率は、全て均等に成るようにした。
【0112】延伸温度は下記のように温度差を付与し
た。なお、多段延伸の場合は、各段全て同じ温度条件と
した。 MD方向:(入口側〜出口側ニップロール中間点の温
度)−(入口側ニップロール直後の温度) TD方向:(TD方向両端部の平均温度)−(幅方向中
央部の温度) ニップロールは、全て直径30cmのものを用い、対を
成すニップロールの片一方のロールを厚み10mmのゴ
ムで被覆されているものを用いた。延伸後は、いずれも
80℃で10kg/mの張力で搬送しながら3分間乾燥
した後、両端にナールを付け巻き取った。延伸後のフィ
ルムの幅はいずれも1.2mであった。
【0113】
【表1】
【0114】(5)光学補償フィルム(位相差フィル
ム)の評価 このようにして得たセルロースアセテートフィルムの光
学特性を表2に示した。Re550については、延伸幅
の中央部と端部(両端の平均値)について測定し、これ
以外については全て中央部の測定値を示した。なお、表
2には下記で作製したTN型、STN型、HAN型の液
晶表示装置のコントラスト比および視野角の評価結果を
合わせて示した。
【0115】
【表2】
【0116】(6)円偏光板の作成 偏光膜の作製 平均重合度4000、ケン化度99.8mol%のPV
Aを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液を
バンド流延、乾燥し、バンドから剥ぎ取り、ドライで流
延方向に延伸してそのままヨウ素0.5g/l、ヨウ化
カリウム50g/lの水溶液中に30℃にて1分間浸漬
し、次いでホウ酸100g/l、ヨウ化カリウム60g
/lの水溶液中に70℃にて5分間浸漬し、さらに水洗
層で20℃、10秒間水洗して、さらに80℃で5分間
乾燥して長尺偏光膜(CHM−1)を得た。フィルムは
幅1290mm、厚みは20μmであった。
【0117】光学補償フィルムの鹸化 下記鹸化液を上記光学補償フィルムの片面に60℃にお
いて#3バーで塗布し、30秒後に水洗、乾燥した。 鹸化液:iso−プロパノール/プロピレングリコール/
水(70/15/15:体積比)にKOHを溶解し、1.
5規定としたもの
【0118】円偏光板の作製 上術の光学補償フィルム(位相差板)、上述の偏光膜、
および市販のセルロースアセテートフィルム(フジタッ
ク 富士写真フイルム製)をこの順にロールtoロール
で積層して円偏光板を得た。位相差板は、接着面が鹸化
面となるようにした。なお、最も光学特性の差の出やす
い、延伸フィルムの両端部から切り出したサンプルを用
いた。得られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、
本発明の位相差フィルムを用いたものは、いずれも広い
波長領域(450〜590nm)において、ほぼ完全な
円偏光が達成されていた。
【0119】(7)TN型反射型液晶表示装置の作製 ITO透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形
成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを
用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリ
イミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を
形成し、ラビング処理を行った。3.4μmのスペーサ
ーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重
ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度
で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙
に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、
液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70
゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セル(対角1
2インチ)を作製した。
【0120】ITO透明電極を設けたガラス基板の側
に、上述の円偏光板(表面がAR処理された保護膜を積
層した偏光膜)をセルロースアセテートフィルム側から
貼り付けた。作製した反射型液晶表示装置に、1kHz
の矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.
5Vとして目視で評価を行ったところ、白表示において
も、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレ
イが表示されていることが確認できた。次に、測定機
(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝
度のコントラスト比を測定し、正面からのコントラスト
比、コントラスト比3となる視野角を表2に記載した。
本発明では、光学特性の差の出やすい両端のフィルムを
用い、比較的大きな画面(対角12インチ)を用いて評
価したにも拘わらず、全画面内に於いて良好な画像が得
られた。
【0121】(8)STN型反射型液晶表示装置の作製 ITO透明電極を設けたガラス板と、平坦なアルミニウ
ム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガ
ラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE
−150、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理
を行った。6.0μmのスペーサを介して二枚の基板を
配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビ
ング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向
きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−297
7、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このよ
うにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791n
mのSTN型液晶セル(対角12インチ)を作製した。
【0122】ITO透明電極を設けたガラス基板の側
に、内部拡散シート(IDS、大日本印刷(株)製)
と、上述の円偏光板を、この順序でそれぞれ粘着を介し
て、偏光板が最外層となるように貼り付けた。作製した
反射型液晶表示装置に、55Hzの矩形波電圧を印加し
た。黒表示2.0V、白表示2.5Vとして目視で評価
を行ったところ、白表示においても黒表示においても、
色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていること
が確認できた。次に、測定機(EZcontrast160D、El
dim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定
し、正面からのコントラスト比、コントラスト比3とな
る視野角を表2に記載した。本発明では、光学特性の差
の出やすい両端のフィルムを用い、比較的大きな画面
(対角12インチ)を用いて評価したにも拘わらず、全
画面内に於いて良好な画像が得られた。
【0123】(9)HAN型反射型液晶表示装置の作製 ITO透明電極を設けたガラス基板と、平坦なアルミニ
ウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。ITO
透明電極を設けたガラス基板の電極側に、ポリイミド配
向膜(SE−610、日産化学(株)製)を形成し、ラ
ビング処理を行った。アルミニウム反射電極を設けたガ
ラス基板の電極側に垂直配向膜(SE−1211、日産
化学(株)製)を形成した。アルミニウム反射電極上の
配向膜にはラビング処理を行わなかった。4.0μmの
スペーサを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うよう
に重ねた。基板の隙間に、液晶(ZLI−1565、メ
ルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにし
てΔndの値が519nmのHAN型液晶セル(対角1
2インチ)を作製した。
【0124】ITO透明電極を設けたガラス基板の側
に、上述の円偏光板を、粘着剤を介して貼り付けた。さ
らにその上に光拡散膜(ルミスティ、住友化学(株)
製)を貼り付けた。作製した反射型液晶表示装置に55
Hzの矩形波電圧を印加した。黒表示0.8V、白表示
2.0Vとして目視で評価を行ったところ、白表示にお
いても、黒表示においても、色味がなく、ニュートラル
グレイが表示されていることが確認できた。次に、測定
機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射
輝度のコントラスト比を測定し、正面からのコントラス
ト比、コントラスト比3となる視野角を表2に記載し
た。本発明では、光学特性の差の出やすい両端のフィル
ムを用い、比較的大きな画面(対角12インチ)を用い
て評価したにも拘わらず、全画面内に於いて良好な画像
が得られた。
【0125】(10)VA型液晶表示素子の作成 特願平2000−58686号明細書の実施例1に従
い、本発明の光学補償フィルム1〜12を用い透明支持
体を作成し、同実施例3に従い偏光板を作成し、さらに
同実施例5に従いVA型液晶表示素子を作成した。但
し、光学補償フィルムと偏光膜を張り合わせる際、偏光
膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度にな
るように張り合わせた。本発明の光学補償フィルムを用
いたものは、全て上下視野角160度以上、左右視野角
160度以上の良好な視野角を得た。比較例1,2の光
学補償フィルム用いたものは、いずれも140度以下で
あった。
【0126】(11)ECB型液晶表示素子の作成 特開平11−316378の実施例1に従い、第2透明
支持体を本発明の光学補償フィルム1〜12とした。但
し、これと偏光膜を張り合わせる際、偏光膜の吸収軸と
光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように張り
合わせた。これを用いて同実施例6に従いECB型液晶
表示素子を作成した。本発明の光学補償フィルムを用い
たものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角1
15度以上の良好な視野角を得た。比較例1、2の光学
補償フィルムを用いたものは、いずれも100度以下で
あった。
【0127】(12)有機ELを用いた表示装置、タッ
チパネルの作成 特開平5−127822号の図1の構成に従ってタッチ
パネルに本発明1の光学補償フィルムを使用した。本発
明では、良好な視野角が得られたが、比較例では不十分
であった。特開平11−305729号の実施例1の有
機ELに本発明の光学補償フィルム1〜12および比較
例1,2の光学補償フィルムを使用した。本発明の光学
補償フィルムでは、良好な視野角が得られたが、比較例
の光学補償フィルムでは不十分であった。
【0128】
【発明の効果】本発明の方法によれば、NZファクター
が大きく、視野角特性に優れた光学補償フィルム(特
に、広い波長領域で位相差がλ/4であるλ/4板)を
工業規模で安定して製造することができる。特に、レタ
ーデーションを変化させずにNZファクターを制御し、
視野角特性を改良することができる光学補償フィルムを
工業規模で安定して製造することができる。また、本発
明の方法で製造された光学補償フィルムやこの光学補償
フィルムを用いた偏光板を備えた画像表示装置、特に反
射型または半透過型液晶表示装置および有機エレクトロ
ルミネッセンス等を用いる画像表示装置は、視野角特性
に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】延伸前に浸漬にて含水させ水蒸気中で延伸する
工程の概略図である。
【図2】延伸前に水蒸気にて含水させ水蒸気中で延伸す
る工程の概略図である。
【図3】延伸前に浸漬にて含水させ水中で延伸する工程
の概略図である。
【図4】延伸前に水蒸気にて含水させ水中で延伸する工
程の概略図である。
【図5】延伸前に水蒸気にて含水させ水蒸気中で延伸す
る工程の概略図である。
【図6】延伸前に水蒸気にて含水させ水中で延伸する工
程の概略図である。
【図7】VA型液晶表示装置の基本構成を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 送出しロール 2 水槽 3 エアナイフ 4 ニップロール 5 スチームの吹き出し口 6 乾燥ゾーン 7 巻き取りロール 8 水槽 9 蒸気吹き付け口 11 下基板 12 反射電極 13 下配向膜 14 液晶層 15 上配向膜 16 透明電極 17 上基板 18 λ/4板 19 偏光膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 11:00 11:00 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA03 BA06 BA07 BB49 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FC07 KA01 KA02 LA19 4F210 AA01 AM26 AR06 AR11 QA03 QC02 QD19

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸されたセルロースアシレートフィル
    ムからなる光学補償フィルムの製造方法において、 含水率が2.0質量%以上10.0質量%以下のセルロ
    ースアシレートフィルムを、少なくとも2対のニップロ
    ールを用い、それぞれのニップロールの回転速度に差を
    持たせることでニップロール間のセルロースアシレート
    フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する工程を含む
    ことを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 延伸前にセルロースアシレートフィルム
    を水中に浸漬および/または水蒸気に曝して含水させた
    後、延伸することを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 延伸時のセルロースアシレートフィルム
    の表面に実質的に水膜が形成されていないことを特徴と
    する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該セルロースアシレートフィルムの幅を
    W(cm)、ニップロール間距離をL(cm)としたと
    きに、アスペクト比L/Wが0.5≦L/W≦2である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 延伸温度が50℃以上150℃以下であ
    り、かつ延伸温度に1℃以上20℃以下の温度分布を付
    与して延伸することを特徴とする請求項1〜4に記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 延伸直後のフィルムの含水率が2.0質
    量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 相対湿度70%以上100%以下の雰囲
    気下で延伸することを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 水中で延伸することを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 延伸時間が1〜30秒であることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】セルロースアシレートの酢化度が、5
    7.0乃至62.5%であることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】セルロースアシレートが、少なくとも二
    つの芳香族環を有する芳香族化合物を、セルロースシレ
    ート100質量部に対して0.01乃至10質量部の割
    合で、含んでいることを特徴とする請求項1〜10のい
    ずれかに記載の製造方法。
  12. 【請求項12】光学補償フィルムの波長550nmで測
    定したレターデーション値(Re550)が、80nm
    ≦Re550≦330nmであることを特徴とする請求
    項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 【請求項13】光学補償フィルムの幅方向および長手方
    向の波長550nmで測定したレターデーション値(R
    e550)の分布がいずれも10%以下であることを特
    徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 【請求項14】光学補償フィルムのヘイズ値が0%以上
    2%以下であることを特徴とする請求項1〜13のいず
    れかに記載の製造方法。
  15. 【請求項15】光学補償フィルムの波長450nm、5
    50nm、650nmで測定したレターデーション値R
    e450、Re550、Re650が、0.5<Re4
    50/Re550<0.98および1.01<Re65
    0/Re550<1.35の関係を満たすことを特徴と
    する請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 【請求項16】光学補償フィルムの面内の遅相軸方向の
    屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyお
    よび厚み方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)
    /(nx−ny)≦3の関係を満たすことを特徴とする
    請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項1〜16のいずれかに記載の製造
    方法で製造された光学補償フィルム。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の光補償フィルムと、
    偏光膜を貼り合わしたことを特徴とする偏光板。
  19. 【請求項19】請求項17に記載の光学補償フィルムま
    たは請求項18に記載の偏光板を用いたことを特徴とす
    る画像表示装置。
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