JP2002090536A - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

偏光板および液晶表示装置

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JP2002090536A
JP2002090536A JP2000281412A JP2000281412A JP2002090536A JP 2002090536 A JP2002090536 A JP 2002090536A JP 2000281412 A JP2000281412 A JP 2000281412A JP 2000281412 A JP2000281412 A JP 2000281412A JP 2002090536 A JP2002090536 A JP 2002090536A
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cellulose acetate
liquid crystal
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polarizing plate
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JP2000281412A
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Yoji Ito
洋士 伊藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広視野角で正面コントラストが優れた液晶表
示装置を提供する。 【解決手段】 偏光膜およびその両側に配置された二枚
の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一
方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセ
ルロースアセテート、およびセルロースアセテート10
0質量部に対して少なくとも二つの芳香族環を有する芳
香族化合物を0.01乃至20質量部の範囲含み、Re
レターデーション値が20乃至70nmの範囲にあり、
そして、Rthレターデーション値が70乃至400nm
の範囲にあるセルロースアセテートフイルムからなり、
さらに、セルロースアセテートフイルムの遅相軸と偏光
膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置され、透
過率が30乃至50%の範囲にあり、偏光度が90乃至
100%の範囲にある偏光板を液晶表示装置に利用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ートフイルムを有する偏光板、およびそれを用いた液晶
表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートフイルムは、その
強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いら
れている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な
写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテ
ートフイルムは、液晶表示装置にも用いられている。セ
ルロースアセテートフイルムには、他のポリマーフイル
ムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション
値が低い)との特徴がある。従って、光学的等方性が要
求される用途、例えば偏光板には、セルロースアセテー
トフイルムを用いることが普通である。液晶表示装置の
光学補償シート(位相差フイルム)には、逆に光学的異
方性(高いレターデーション値)が要求される。従っ
て、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフイル
ムやポリスルホンフイルムのようなレターデーション値
が高い合成ポリマーフイルムを用いることが普通であ
る。
【0003】以上のように光学材料の技術分野では、ポ
リマーフイルムに光学的異方性(高いレターデーション
値)が要求される場合には合成ポリマーフイルムを使用
し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求さ
れる場合にはセルロースアセテートフイルムを使用する
ことが一般的な原則であった。欧州特許0911656
A2号明細書には、従来の一般的な原則を覆して、光学
的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデ
ーション値を有するセルロースアセテートフイルムが開
示されている。このセルロースアセテートフイルムを偏
光板と液晶セルの間に挿入することにより表示品位の高
い液晶表示装置の得られることが記載されている。さら
に、特開平7−191217号公報、およびに同欧州特
許0911656A2号明細書には、透明支持体上にデ
ィスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した
光学補償フイルムを直接偏光板の保護フイルムとして用
いることで液晶表示装置を厚くすることなく、表示品位
の高い液晶表示装置の得られることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、液晶表示装置を
テレビ画像の表示に用いる傾向が高まっている。前記の
液晶表示装置をこのような応用に利用する場合の問題点
は、視野角およびコントラスト比がCRTに比べればま
だ劣っており、さらに改善する必要があることである。
本発明の目的は、液晶セルを光学的に補償できるセルロ
ースアセテートフイルムを偏光膜の片側に配置し、視野
角だけでなく、コントラスト比も向上した表示品位の高
い液晶表示装置を提供することである。別の本発明の目
的は、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏光
板に光学補償機能を追加することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者の鋭意研究によ
り、コントラスト比については、液晶表示装置に用いる
偏光板の透過率および偏光度に相関のあることがわかっ
た。詳細は後述するが、偏光板の透過率を上げ、さらに
偏光度を上げることでコントラスト比が飛躍的に向上す
ることが判明した。本発明の目的は、下記(1)〜
(4)の偏光板、下記(5)〜(6)の液晶表示装置に
より達成された。 (1)偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保
護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一方が、酢
化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセルロース
アセテート、およびセルロースアセテート100質量部
に対して少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合
物を0.01乃至20質量部の範囲含み、下記式(I)
により定義されるReレターデーション値が20乃至7
0nmの範囲にあり、そして、下記式(II)により定義
されるRthレターデーション値が70乃至400nmの
範囲にあるセルロースアセテートフイルムからなり、さ
らに、セルロースアセテートフイルムの遅相軸と偏光膜
の透過軸とが実質的に平行になるように配置され、透過
率が30乃至50%の範囲にあり、偏光度が90乃至1
00%の範囲にあることを特徴とする偏光板: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
て、dは、フイルムの厚さである]。
【0006】(2)前記のセルロースアセテートフイル
ムが、3乃至100%の範囲の延伸倍率で延伸された延
伸物であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。 (3)前記の芳香族化合物が、少なくとも一つの1,
3,5−トリアジン環を有することを特徴とする(1)
に記載の偏光板。 (4)前記のセルロースアセテートフイルムが、共流延
法により製膜されていることを特徴とする(1)に記載
の偏光板。
【0007】(5)液晶セルおよびその両側に配置され
た二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置
であって、液晶セルと偏光膜の間の透明保護膜のうちの
少なくとも一方が、酢化度が59.0乃至61.5%の
範囲にあるセルロースアセテート、およびセルロースア
セテート100質量部に対して少なくとも二つの芳香族
環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部の範
囲含み、下記式(I)により定義されるReレターデー
ション値が20乃至70nmの範囲にあり、そして、下
記式(II)により定義されるRthレターデーション値が
70乃至400nmの範囲にあるセルロースアセテート
フイルムからなり、さらに、セルロースアセテートフイ
ルムの遅相軸とセルロースアセテートフイルムに隣接す
る偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置さ
れ、偏光板の透過率が30乃至50%の範囲にあり、偏
光度が90乃至100%の範囲にあることを特徴とする
液晶表示装置: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
て、dは、フイルムの厚さである]。 (6)液晶セルが、OCBモード、VAモードまたはT
Nモードの液晶セルである(5)に記載の液晶表示装
置。
【0008】なお、本明細書において、「実質的に平
行」とは、厳密な角度よりも±5゜未満の範囲内である
ことを意味する。この範囲は、±4゜未満であることが
好ましく、±3゜未満であることがさらに好ましく、±
2゜未満であることが最も好ましい。また、本明細書に
おいて、「遅相軸」は屈折率が最大となる方向を、そし
て「透過軸」は透過率が最大となる方向をそれぞれ意味
する。
【0009】
【発明の効果】本発明者は、従来の厚み以下で副作用な
しに液晶セルを光学的に補償し、さらにコントラスト比
を向上させる偏光板を提供することに成功した。セルロ
ースアセテートフイルムへの添加剤(具体的には、二つ
の芳香族環を有する芳香族化合物)の種類と量あるいは
製造条件(例えば、フイルムの延伸条件)を調節するこ
とによって、Reレターデーション値が20乃至70n
mであり、Rthレターデーション値が70乃至400
nmであるセルロースアセテートフイルムが得られる。
このセルロースアセテートフイルムを用いた偏光板は、
液晶セルを光学的に充分に補償して視野角特性を向上さ
せることができる。また、上記のセルロースアセテート
フイルムを用いた偏光板の透過率と偏光度を調整するこ
とにより、液晶表示装置の視野角特性のみならず、コン
トラスト比も向上させることができる。
【0010】偏光板の保護膜は、一般にセルロースアセ
テートフイルムからなる。上記のセルロースアセテート
フイルムを偏光板の一方の保護膜とすることで、偏光板
の構成要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償
機能を追加できる。本発明の偏光板は、VA(Vertical
ly Aligned)型、OCB(Optically Compensated Ben
d)、TN(Twisted Nematic)型の液晶表示装置、およ
び反射型液晶表示装置に、特に有利に用いることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の偏光板は、光学的異方性
のセルロースアセテートフイルムを偏光膜の一方の面に
貼り合わせ、そして、他方の面に保護フイルムを貼り合
わせることにより作製することができる。まず最初に、
本発明の偏光板に用いる(光学的異方性)セルロースア
セテートフイルムについて説明する。
【0012】[フイルムのレターデーション]本発明で
は、セルロースアセテートフイルムのReレターデーシ
ョン値を20乃至70nmの範囲に、そして、Rthレタ
ーデーション値を70乃至400nmの範囲に調節す
る。液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセ
テートフイルムを使用する場合、フイルムのRthレター
デーション値は70乃至250nmの範囲にあることが
好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性セルロー
スアセテートフイルムを使用する場合、フイルムのRth
レターデーション値は150乃至400nmの範囲にあ
ることが好ましい。なお、セルロースアセテートフイル
ムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028
乃至0.020の範囲にあることが好ましい。また、セ
ルロースアセテートフイルムの厚み方向の複屈折率
{(nx+ny)/2−nz}は、0.001乃至0.
04の範囲にあることが好ましい。
【0013】[セルロースアセテート]本発明では、酢
化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセルロース
アセテートを使用する。酢化度とは、セルロース単位質
量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、AST
M:D−817−91(セルロースアセテート等の試験
法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セ
ルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250
以上であることが好ましく、290以上であることがさ
らに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエス
テルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
るMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分
子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なM
w/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが
好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ま
しく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0014】[レターデーション上昇剤]セルロースア
セテートフイルムのレターデーションを調整するため、
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレタ
ーデーション上昇剤として使用する。芳香族化合物は、
セルロースアセテート100質量部に対して、0.01
乃至20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セ
ルロースアセテート100質量部に対して、0.05乃
至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1
乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好まし
い。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香
族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、
芳香族性ヘテロ環を含む。
【0015】芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、
ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ
環は、5員環、6員環または7員環であることが好まし
く、5員環または6員環であることがさらに好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原
子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、
オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、
イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フ
ラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピ
リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,
5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベン
ゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサ
ゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾー
ル環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環およ
び1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族
化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環
を有することが特に好ましい。
【0016】芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2
乃至20であることが好ましく、2乃至12であること
がより好ましく、2乃至8であることがさらに好まし
く、2乃至6であることが最も好ましい。二つの芳香族
環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)
単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合
する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は
形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれ
でもよい。
【0017】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、イン
ドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾ
チオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール
環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベン
ゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメ
ン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キ
ナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジ
ン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、
フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フ
ェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン
環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、ア
ズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベン
ゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリア
ゾール環およびキノリン環が好ましい。 (b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合
であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族
環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非
芳香族性複素環を形成してもよい。
【0018】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0019】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0020】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0021】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0022】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置
換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ま
しい
【0023】[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイ
ルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃
至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルお
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選
ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンお
よびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテ
ル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O
−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上
有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を
有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0024】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0025】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
【0026】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0027】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
【0028】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
【0029】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0030】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0031】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープには、前記のレター
デーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープ
は、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させて
フイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が1
8乃至35%となるように濃度を調整することが好まし
い。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げて
おくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流
延および乾燥方法については、米国特許2336310
号、同2367603号、同2492078号、同24
92977号、同2492978号、同2607704
号、同2739069号、同2739070号、英国特
許640731号、同736892号の各明細書、特公
昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60
−176834号、同60−203430号、同62−
115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面
温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延するこ
とが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥す
ることが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバ
ンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次
温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させるこ
ともできる。以上の方法は、特公平5−17844号公
報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取り
までの時間を短縮することが可能である。この方法を実
施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温
度においてドープがゲル化することが必要である。
【0032】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフ
イルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となる
ように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバ
ンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、
支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口か
らセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させ
て、それらを積層させながらフイルムを作製してもよ
い。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−
122419号、および特開平11−198285号の
各明細書に記載の方法を用いることができる。また、2
つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延するこ
とによりフイルム化してもよい。例えば、特公昭60−
27562号、特開昭61−94724号、特開昭61
−947245号、特開昭61−104813号、特開
昭61−158413号、および特開平6−13493
3号の各明細書に記載の方法を用いることができる。ま
た、特開昭56−162617号明細書に記載の、高粘
度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロー
スアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセ
ルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセ
テートフイルムの流延方法を用いてもよい。
【0033】また2個の流延口を用いて、第一の流延口
により支持体に成型したフイルムを剥ぎ取り、支持体面
に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フイ
ルムを作製することもできる。詳しくは、特公昭44−
20235号明細書に記載されている。流延する複数の
セルロースアセテート溶液は、同一の溶液でもよいし、
異なるセルロースアセテート溶液でもよい。複数のセル
ロースアセテート層に機能を持たせるためには、その機
能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流
延口から押し出せばよい。さらに、セルロースアセテー
ト溶液を、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電
防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層
など)と同時に流延することもできる。
【0034】ドープを単層流延することによるフィルム
化の方法においては、必要なフイルム厚さにするために
高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押し出す
必要がある。その場合、セルロースアセテート溶液の安
定性が悪く固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面
性が不良となったりして問題となることもある。セルロ
ースアセテート溶液を複数の流延口から流延することに
より、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことが
でき、平面性も良化し優れた面状のフイルムが作製でき
る。さらに、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いる
ことで乾燥負荷を低減でき、フイルムの生産スピードを
高めることができる。
【0035】セルロースアセテートフイルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
【0036】セルロースアセテートフイルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
【0037】セルロースアセテートフイルムは、さらに
延伸処理によりレターデーションをを調整することがで
きる。延伸倍率は、3乃至100%の範囲にあることが
好ましい。本発明のセルロースアセテートフイルムを延
伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅
相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリッ
プ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくする
ことが好ましい。
【0038】[セルロースアセテートフイルムの表面処
理]セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましく利用される。フイルムの平面性を保持
する観点から、これら処理においてセルロースアセテー
トフイルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体
的には150℃以下とすることが好ましい。
【0039】セルロースアセテートフイルムの表面処理
は、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカ
リ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化
処理を実施することが特に好ましい。表面エネルギーは
55mN/m以上であることが好ましく、60乃至75
mN/mの範囲にあることが更に好ましい。以下、アル
カリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。アルカリ鹸化
処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸
性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われる
ことが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウ
ム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イ
オンの規定濃度は、0.1乃至3.0Nの範囲にあるこ
とが好ましく、0.5乃至2.0Nの範囲にあることが
さらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃
の範囲にあることが好ましく、40乃至70℃の範囲に
あることがさらに好ましい。
【0040】固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と
応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に
記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により
求めることができる。本発明のセルロースアセテートフ
イルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体
的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセル
ロースアセテートフイルムに滴下し、液滴の表面とフイ
ルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフイル
ム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義
し、計算によりフイルムの表面エネルギーを算出でき
る。
【0041】[偏光板の作製]本発明の偏光板は、上記
のようにして作製されたセルロースアセテートフイルム
を偏光膜の一方の面に貼り合わせ、そして、他方の面に
保護フイルムを貼り合わせることにより作製することが
できる。偏光膜に用いるポリマーとしては、ポリビルア
ルコール(以下、PVAと記載する)が好ましく用いら
れる。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したもの
であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン
酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニ
ルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、ア
セトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキ
シアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることが
できる。
【0042】PVAのケン化度は特に限定されないが、
溶解性等の観点から80乃至100mol%の範囲にあ
ることが好ましく、90乃至100mol%の範囲にあ
ることが特に好ましい。また、PVAの重合度は特に限
定されないが、1000乃至10000の範囲にあるこ
とが好ましく、1500乃至5000の範囲にあること
が特に好ましい。
【0043】PVAを染色して偏光膜が得られる。染色
は、気相または液相吸着により行われる。液相で染色を
行う例としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPV
Aフイルムを浸漬させる方法が挙げられる。水溶液中
の、ヨウ素の含有量は0.1乃至20g/l、ヨウ化カ
リウムの含有量は1乃至100g/l、ヨウ素とヨウ化
カリウムの質量比は1乃至100の範囲にあることが好
ましい。染色時間は30乃至5000秒、溶液温度は5
乃至50℃の範囲にあることが好ましい。染色方法とし
ては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あ
るいは噴霧など任意の手段で行うことができる。染色
は、PVAの延伸工程の前後いずれで行っても良いが、
適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工
程前に液相で染色することが特に好ましい。
【0044】ヨウ素の他に二色性色素で染色することも
好ましい。二色性色素の具体例としては、アゾ系色素、
スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメ
タン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チア
ジン系色素、およびアントラキノン系色素等の色素系化
合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましい
が、この限りではない。また、これらの二色性分子にス
ルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導
入されていることが好ましい。
【0045】二色性分子の具体例としては、例えば、シ
ー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダ
イレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オ
レンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シ
ー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイ
レクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド
83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.ア
イ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイ
レクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー
90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.
アイ.アシッド.レッド37等が挙げられる。さらに、
特開平1−161202号、特開平1−172906
号、特開平1−172907号、特開平1−18360
2号、特開平1−248105号、特開平1−2652
05号、および特開平7−261024号の各公報に記
載の色素等を二色性分子の具体例として挙げることがで
きる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ
金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられ
る。これらの二色性分子は2種以上を配合することによ
り、各種の色相を有する偏光膜を製造することができ
る。偏光膜を用いた偏光板(もしくは偏光素子)の偏光
軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色
を呈するように各種の二色性分子を配合したものが偏光
板単独での透過率、偏光率とも優れており好ましい。
【0046】PVAを延伸して偏光膜を製造する過程で
は、PVAを架橋させる添加物を用いることが好まし
い。特に本発明で用いる斜め延伸法を用いる場合、延伸
工程出口でPVAが十分に硬膜されていないと、工程の
テンションでPVAの配向方向がずれてしまうことがあ
る。従って、延伸前の工程あるいは延伸工程において、
PVAを架橋剤溶液に浸漬またはPVAに架橋剤溶液を
塗布して架橋剤を含ませることが好ましい。架橋剤とし
ては、米国再発行特許第232897号明細書に記載の
ものが使用できるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられ
る。
【0047】また、PVA,ポリ塩化ビニルを脱水、脱
塩素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結
合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製
造にも、本発明で用いる延伸法を適用することができ
る。
【0048】偏光板の保護フイルムの種類は特に限定さ
れず、透過率が80%以上、ヘイズが3.0%以内であ
れば良い。具体的には、セルロースアセテート、セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート
等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオ
レフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いること
ができる。保護フイルムとして使用するポリマーとして
は、セルローストリアセテートが特に好ましい。また、
ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、
ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン
類も好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−1
10402号および特開平11−293116号の各明
細書に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料な
どを用いることができる。
【0049】液晶表示装置のコントラスト比を高める観
点から、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度は
高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nm
の光において、30乃至50%の範囲にあることが好ま
しく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好まし
く、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光度は、波長550nmの光において、90乃至10
0%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の
範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の
範囲にあることが最も好ましい。
【0050】偏光板の透過率を上げるには、セルロース
アセテートフイルムの透過率を上げる、あるいは、偏光
膜とセルロースアセテートフイルムを一体化する接着剤
の屈折率を調節すればよい。セルロースアセテートフイ
ルムの透過率を高くするには、厚みを薄くする、あるい
はヘイズを低下させればよい。セルロースアセテートフ
イルムの厚みは、10乃至150μmの範囲にあること
がが好ましく、20乃至100μmの範囲にあることが
さらに好ましく、30乃至90μの範囲にあることが最
も好ましい。セルロースアセテートフイルムのヘイズ
は、0.01乃至2.0%の範囲にあることが好まし
く、0.01乃至1.0%の範囲にあることがさらに好
ましく、0.01%乃至0.5%の範囲にあることが最
も好ましい。
【0051】偏光膜と保護フイルム、あるいは、偏光膜
と光学的異方性セルロースアセテートフイルムを貼り合
わせる接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(ア
セトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキ
シアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物
水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲に
あることが特に好ましい。接着剤の屈折率は、セルロー
スアセテートフイルムとの屈折率差が小さいことが好ま
しく、その差が0.1以下であることが好ましく、0.
05以下であることがさらに好ましく、0.01以下で
あることが最も好ましい。
【0052】偏光板の偏光度を上げるには、セルロース
アセテートフイルムの遅相軸と、偏光膜の透過軸もしく
は吸収軸との角度のズレを小さくすることが好ましい。
この角度のズレは、3度以下であることが好ましく、
1.5度以下であることがさらに好ましく、1.0度以
下であることが最も好ましい。また、前記の様に、偏光
膜自身の偏光度を向上させることも好ましい。また、作
製したセルロースアセテートフイルムの遅相軸と偏光膜
の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
【0053】[液晶表示装置]上記のセルロースアセテ
ートフイルムを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透
過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示
装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏
光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶
を担持している。一方、あるいは双方の偏光板に本発明
の偏光板を用いればよい。この際には、偏光板の(光学
的異方性)セルロースアセテートフイルムが液晶セル側
になるよう配置する。液晶セルは、OCB、VAモード
またはTNモードであることが好ましい。
【0054】OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分
子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対
称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであ
る。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置
は、米国特許4583825号、同5410422号の
各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セル
の上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配
向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そ
のため、この液晶モードは、OCB(Optically Compens
atory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モー
ドの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0055】本発明の偏光板をOCBモードの液晶表示
装置の場合、偏光板に用いるセルロースアセテートフイ
ルム上に円盤状化合物、もしくは棒状液晶化合物を含む
光学異方性層を有していても良い。光学異方性層は、円
盤状化合物(もしくは棒状液晶化合物)を配向させ、そ
の配向状態を固定することにより形成する。円盤状化合
物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化
合物には、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合
物を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得る
ことができない光学的性質を有するポリマーフィルム
(光学補償シート)を製造することができる。円盤状化
合物を用いたポリマーフイルムについては、特開平6−
214116号公報、米国特許5583679号、同5
646703号、西独特許公報3911620A1号の
各明細書に記載がある。
【0056】VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時
に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VA
モードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無
印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的
に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開
平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野
角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(M
VAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tec
h. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配
向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させる
モード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論
会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)
SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインター
ナショナル98で発表)が含まれる。
【0057】TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時
に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60乃
至120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セ
ルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用さ
れており、多数の文献に記載がある。
【0058】
【実施例】[実施例1] (セルロースアセテートフイルムの作製)下記の組成物
をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、
各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製し
た。
【0059】 ──────────────────────────────────── セルロースアセテート溶液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部 メタノール(第2溶媒) 54質量部 1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部 ────────────────────────────────────
【0060】別のミキシングタンクに、下記のレターデ
ーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質
量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しなが
ら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーシ
ョン上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してド
ープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、
セルロースアセテート100質量部に対して、5.5質
量部であった。
【0061】
【化1】
【0062】得られたドープを、バンド流延機を用いて
流延した。残留溶剤量が15質量%のフイルムを、13
0℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横
延伸して、セルロースアセテートフイルム(KH−1
1)を製造した。作製したセルロースアセテートフイル
ム(厚さ80μm)について、エリプソメーター(M−
150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nm
におけるReレターデーション値およびRthレターデー
ション値を測定した。また、自動複屈折計(KOBRA
−21ADH、王子計測機器(株))で軸ずれ角度を測
定した。各々の測定は幅方向10点で行い、平均値を求
めた。遅相軸角度については標準偏差も求めた。結果は
第1表に示す。
【0063】(偏光板の作製)延伸したポリビニルアル
コールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製したセル
ロースアセテートフイルムを偏光膜の片側に貼り付け
た。作製したセルロースアセテートフイルムの遅相軸と
偏光膜の透過軸とは平行になるように配置した。作製し
たセルロースアセテートフイルムの遅相軸と、偏光膜の
透過軸との角度は0.1゜であった。市販のセルロース
トリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富
士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビ
ニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼
り付けた。市販のセルローストリアセテートフイルムの
遅相軸と偏光膜の透過軸とは、直交するように配置し
た。このようにして偏光板を作製した。
【0064】[実施例2] (セルロースアセテートフイルムの作製)セルロースア
セテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶
液56質量部を混合してドープを調製し(セルロースア
セテート100質量部に対して、レターデーション上昇
剤7.8質量部を使用し)、延伸倍率を12%に変更し
た以外は、実施例1と同様にセルロースアセテートフイ
ルム(KH−21)を作製た。作製したセルロースアセ
テートフイルム(厚さ70μm)について、エリプソメ
ーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波
長550nmにおけるReレターデーション値およびR
thレターデーション値を測定した。また、自動複屈折計
(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸
ずれ角度を測定した。各々の測定は幅方向10点で行
い、平均値を求めた。遅相軸角度については標準偏差も
求めた。結果は第1表に示す。
【0065】さらに、作製したセルロースアセテートフ
イルムを、1.5Nの水酸化カリウム溶液(40℃)に
5分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥し
た。このセルロースアセテートフイルムの表面エネルギ
ーを接触角法により求めたところ、68mN/mであっ
た。このセルロースアセテートフイルム上に、下記の組
成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml
/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃
の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテー
トフイルムの遅相軸(波長632.8nmで測定)と4
5゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0066】 ──────────────────────────────────── 配向膜塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部 水 371質量部 メタノール 119質量部 グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部 ────────────────────────────────────
【0067】
【化2】
【0068】(光学異方性層の形成)配向膜上に、下記
の円盤状(液晶性)化合物41.01g、エチレンオキ
サイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セ
ルロースアセテートブチレート(CAB551−0.
2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロー
スアセテートブチレート(CAB531−1、イースト
マンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガ
キュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感
剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4
5gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布
液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠
に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、円
盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/
cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合
物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このよう
にして、光学異方性層を形成した。このようにして光学
異方性層付きセルロースアセテートフイルム(KH−2
2)を作製した。波長546nmで測定した光学異方性
層のReレターデーション値は38nmであった。ま
た、円盤面とセルロースアセテートフイルムとの間の角
度(傾斜角)は平均で40゜であった。
【0069】
【化3】
【0070】(偏光板の作製)延伸したポリビニルアル
コールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製したセル
ロースアセテートフイルムをその遅相軸が偏光膜の透過
軸と平行になるように片側に貼り付けた。作製したセル
ロースアセテートフイルム(KH−21)の遅相軸と、
偏光膜の透過軸との角度は0.4゜であった。市販のセ
ルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80
UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行
い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の
反対側に貼り付けた。更に、作製した光学異方性層付き
セルロースアセテートフイルム(KH−22)を、セル
ロールアセテートフイルム(KH−21)側にその遅相
軸が互いに平行となるように粘着剤を介して貼り合わせ
た。このようにして偏光板を作製した。
【0071】[実施例3] (セルロースアセテートフイルムの作製)セルロースア
セテート100質量部に対して、レターデーション上昇
剤6.0質量部を使用し、延伸倍率を30%に変更した
以外は、実施例1と同様にセルロースアセテートフイル
ム(KH−31)を作製した。作製したセルロースアセ
テートフイルム(厚さ80μm)について、エリプソメ
ーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波
長550nmにおけるReレターデーション値およびR
thレターデーション値を測定した。また、自動複屈折計
(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸
ずれ角度を測定した。各々の測定は幅方向10点で行
い、平均値を求めた。遅相軸角度については標準偏差も
求めた。結果は第1表に示す。さらに、作製したセルロ
ースアセテートフイルムを、2.0Nの水酸化カリウム
溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純
水で水洗、乾燥した。このセルロースアセテートフイル
ムの表面エネルギーを接触角法により求めたところ、6
3mN/mであった。 (偏光板の作製)得られたセルロースアセテートフイル
ムを用いる以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製
した。作製したセルロースアセテートフイルムの遅相軸
と、偏光膜の透過軸との角度は0.3゜であった。
【0072】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── フイルム レターデーション上昇剤 延伸倍率 Re Rth 軸ズレ 標準偏差 ──────────────────────────────────── 実施例1 5.5質量部 25% 40nm 130nm 0.5゜ 0.3゜ 実施例2 7.8質量部 12% 20nm 110nm 0.3゜ 0.5゜ 実施例3 6.0質量部 30% 50nm 130nm 1.0゜ 0.4゜ ────────────────────────────────────
【0073】(偏光板の評価)測定器(MCPD、大塚
電子製)を用いて、実施例1から3で作製した偏光板の
偏光度、および透過率を測定した。結果を第2表に示
す。測定波長は視感度の最も高い550nmで行った。
偏光度の測定、および計算式は液晶デバイスハンドブッ
ク(日本学術振興会第142委員会著)の263〜26
7頁に詳細が記載されている。
【0074】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 偏光板 透過率 偏光度 ──────────────────────────────────── 実施例1 43% 99.9% 実施例2 44% 99.5% 実施例3 41% 99.8% ────────────────────────────────────
【0075】[実施例4]垂直配向型液晶セルを使用し
た液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)
に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シ
ートを剥がし、代わりに実施例1で作製した偏光板を、
セルロースアセテートフイルム(KH−11)が液晶セ
ル側となるように粘着剤を介して一枚、観察者側に貼り
付けた。また、バックライト側には、市販の偏光板(H
LC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)を一枚
貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、
そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向に
なるように、クロスニコル配置とした。作製した液晶表
示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、E
LDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示
(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第3
表に示す。また、作製した液晶表示装置の正面コントラ
スト比は、250であった。
【0076】[比較例1]垂直配向型液晶セルを使用し
た液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)
について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDI
M社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)
までの8段階で視野角を測定した。結果を第3表に示
す。また、液晶表示装置の正面コントラスト比は、20
0であった。
【0077】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲) 表示装置 透過軸方向 透過軸から45゜の方向 ──────────────────────────────────── 実施例4 >80゜ >80゜ 比較例1 >80゜ 44゜ ──────────────────────────────────── (註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
【0078】[実施例5] (ベンド配向液晶セルの作製)ITO電極付きのガラス
基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラ
ビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビ
ング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャッ
プを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.13
96の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を
注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。作製したベン
ド配向セルを挟むように、実施例2で作製した偏光板を
二枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対
面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異
方性層のラビング方向とが反平行となるように配置し
た。液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表
示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとし
た。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比と
して、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社
製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)まで
の8段階で視野角を測定した。結果を第4表に示す。ま
た、作製した液晶表示装置の正面コントラスト比は、2
40であった。
【0079】
【表4】 第4表 ──────────────────────────────────── 液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲) 表示装置 上 下 左右 ──────────────────────────────────── 実施例5 80゜ 80゜ 80゜ ──────────────────────────────────── (註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
【0080】[実施例6]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例3で作
製した偏光板を、セルロースアセテートフイルム(KH
−31)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観
察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観
察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バック
ライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、ク
ロスニコル配置とした。作製した液晶表示装置につい
て、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社
製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)まで
の8段階で視野角を測定した。結果を第5表に示す。ま
た、作製した液晶表示装置の正面コントラスト比は、2
70であった。
【0081】[比較例2]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)につい
て、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社
製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)まで
の8段階で視野角を測定した。結果を第5表に示す。ま
た、液晶表示装置の正面コントラスト比は、200であ
った。
【0082】
【表5】 第5表 ──────────────────────────────────── 液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲) 表示装置 上 下 左右 ──────────────────────────────────── 実施例6 18゜ 23゜ 77゜ 比較例2 15゜ 25゜ 37゜ ──────────────────────────────────── (註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1/12 C08L 1/12 G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 9:00 B29L 9:00 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BA28 BA29 BA30 BA37 BB03 BB19 BB33 BB43 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 HA07 LA17 LA19 4F071 AA09 AC02 AC19 AF31Y BB02 BC01 4F205 AA01 AB19 AC01 AG03 AH42 GA07 GB02 GB26 GE24 GF24 4J002 AB021 EA056 EA066 EL066 EL076 EL096 EU026 EU046 EU056 EU116 EU136 EU146 EU166 EU176 EU186 EU226 EV306 EV326 FD020 GP00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光膜およびその両側に配置された二枚
    の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一
    方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセ
    ルロースアセテート、およびセルロースアセテート10
    0質量部に対して少なくとも二つの芳香族環を有する芳
    香族化合物を0.01乃至20質量部の範囲含み、下記
    式(I)により定義されるReレターデーション値が2
    0乃至70nmの範囲にあり、そして、下記式(II)に
    より定義されるRthレターデーション値が70乃至40
    0nmの範囲にあるセルロースアセテートフイルムから
    なり、さらに、セルロースアセテートフイルムの遅相軸
    と偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置さ
    れ、透過率が30乃至50%の範囲にあり、偏光度が9
    0乃至100%の範囲にあることを特徴とする偏光板: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
    あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
    り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
    て、dは、フイルムの厚さである]。
  2. 【請求項2】 前記のセルロースアセテートフイルム
    が、3乃至100%の範囲の延伸倍率で延伸された延伸
    物であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 【請求項3】 前記の芳香族化合物が、少なくとも一つ
    の1,3,5−トリアジン環を有することを特徴とする
    請求項1に記載の偏光板。
  4. 【請求項4】 前記のセルロースアセテートフイルム
    が、共流延法により製膜されていることを特徴とする請
    求項1に記載の偏光板。
  5. 【請求項5】 液晶セルおよびその両側に配置された二
    枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に
    配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置であ
    って、液晶セルと偏光膜の間の透明保護膜のうちの少な
    くとも一方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲
    にあるセルロースアセテート、およびセルロースアセテ
    ート100質量部に対して少なくとも二つの芳香族環を
    有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部の範囲含
    み、下記式(I)により定義されるReレターデーショ
    ン値が20乃至70nmの範囲にあり、そして、下記式
    (II)により定義されるRthレターデーション値が70
    乃至400nmの範囲にあるセルロースアセテートフイ
    ルムからなり、さらに、セルロースアセテートフイルム
    の遅相軸とセルロースアセテートフイルムに隣接する偏
    光膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置され、
    偏光板の透過率が30乃至50%の範囲にあり、偏光度
    が90乃至100%の範囲にあることを特徴とする液晶
    表示装置: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
    あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
    り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
    て、dは、フイルムの厚さである]。
  6. 【請求項6】 液晶セルが、OCBモード、VAモード
    またはTNモードの液晶セルである請求項5に記載の液
    晶表示装置。
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