JP2003215337A - 光学補償フィルムおよびその製造方法、円偏光板、画像表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムおよびその製造方法、円偏光板、画像表示装置

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JP2003215337A JP2002011886A JP2002011886A JP2003215337A JP 2003215337 A JP2003215337 A JP 2003215337A JP 2002011886 A JP2002011886 A JP 2002011886A JP 2002011886 A JP2002011886 A JP 2002011886A JP 2003215337 A JP2003215337 A JP 2003215337A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用環境で色味の変化が少なく、かつ場所に
よる色味のむらを発生せず、視野角の大きい光学補償フ
ィルム、特に一枚型広帯域λ/4板と、その製造方法を
提供し、さらには円偏光板、画像表示装置などを提供す
る。 【解決手段】 波長550nmで測定したレターデーシ
ョンが30nm以上300nm以下であって、(A)2n
m/%rh以下であるレターデーションの湿度変化率、
(B)少なくとも一方が7.5×10-3%/%rh以下で
あるMD、TD湿度寸法変化率、(C)0.35%/分以
下である脱湿速度、(D)1.5nm/℃以下であるレタ
ーデーションの温度変化率、および(E)少なくとも一方
が3.5×10-4%/℃以下であるMD、TD熱膨張係
数から選ばれた少なくとも一つの物性を有する光学補償
フィルムと、その製造方法、および該光学補償フィルム
を用いた円偏光板、画像晶表示装置など。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ートを始めとするポリマー素材からなり、優れた諸物性
を有する光学補償フィルムに関し、さらには円偏光板、
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)
素子を用いた表示装置、タッチパネル等に関する。
【0002】
【従来の技術】λ/4板は、反射防止膜や液晶表示装置
に関連する多くの用途を有しており、既に実際に使用さ
れている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定
波長でλ/4やλ/2を達成しているものが大部分であ
った。特開平5−27118号および同5−27119
号の各公報には、レターデーションが大きい複屈折性フ
イルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルム
とを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差
板が開示されている。二枚のフイルムのレターデーショ
ンの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれば、位相
差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板と
して機能する。
【0003】特開平10−68816号公報に、特定波
長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、そ
れと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となって
いるポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域で
λ/4が得られる位相差板が開示されている。特開平1
0−90521号公報にも、二枚のポリマーフイルムを
積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる
位相差板が開示されている。国際公開WO00/267
05号には変成ポリカーボネイトを延伸したλ/4位相
差板が開示されている。これらのλ/4位相差板をいろ
いろな環境で使用したところ、色味の変化が発現し改善
が望まれていた。さらにこのような色味の変化は幅方向
で分布があり、これが色味のむらとなり改善が望まれて
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
環境で色味の変化が少なく、かつ場所による色味のむら
を発生せず、視野角の大きい光学補償フィルム、特に一
枚型広帯域λ/4板、さらには円偏光板、およびそれを
用いた画像表示装置、およびそれらを工業規模で安定し
て製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(15)により達成された。 (1)波長550nmで測定したレターデーションが3
0nm以上300nm以下であって、(A)2nm/%r
h以下であるレターデーションの湿度変化率、(B)少な
くとも一方が7.5×10-3%/%rh以下であるM
D、TD湿度寸法変化率、(C)0.35%/分以下であ
る脱湿速度、(D)1.5nm/℃以下であるレターデー
ションの温度変化率、および(E)少なくとも一方が3.
5×10-4%/℃以下であるMD、TD熱膨張係数から
選ばれた少なくとも一つの物性を有することを特徴とす
る光学補償フィルム。 (2)波長550nmで測定したレターデーション値、
Re550が30nm以上300nm以下であって、
(a)Re550の湿度変化率、(b)MD、TD湿度寸
法変化率、(c)脱湿速度、(d)Re550の温度変化
率、(e)MD、TD熱膨張係数から選ばれた少なくと
も一つの物性の幅方向のばらつきが30%以下であるこ
とを特徴とする光学補償フィルム。 (3)前記(A)〜(E)の各物性から選ばれた少なくとも一
つの物性の幅方向のばらつきが30%以下であることを
特徴とする光学補償フィルム。 (4)前記(A)〜(C)の各物性を兼ね備えて有することを
特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の
光学補償フィルム。 (5)前記(D)、(E)の各物性を兼ね備えて有することを
特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の
光学補償フィルム。 (6)前記光学補償フィルムの厚さが、50μm以上3
00μm以下であることを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。 (7)波長550nmで測定したレターデーション値、
Re550が80nm≦Re550≦330nm、ヘイズ値
HZが0%以上2%以下であり、前記波長550nmで
測定したレターデーション値、Re550に対する、波長
450nmで測定したレターデーション値、Re450、
および波長650nmで測定したレターデーション値、
Re650の比が、それぞれ0.5<Re450/Re550
<0.98、1.01<Re650/Re550<1.35
であり、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸
に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nz
が、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関
係を満足することを特徴とする上記(1)〜(6)のい
ずれか一つに記載の光学補償フィルム。 (8)前記光学補償フィルムのポリマー素材が、セルロ
ースアセテートであることを特徴とする上記(1)〜
(7)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。 (9)前記ポリマー素材のセルロースアセテートが、そ
の酢化度が57.0乃至62.5%であり、かつ該セル
ロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二
つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至10
質量部含むことを特徴とする上記(8)に記載の光学補
償フィルム。
【0006】(10)波長550nmで測定したレター
デーションが30nm以上300nm以下の光学補償フ
ィルムの製造方法において、下記(a)〜(g)から選ばれた
少なくとも一つの未延伸フィルムの延伸に係わる条件を
満たして未延伸フィルムの延伸が行われることを特徴と
する光学補償フィルムの製造方法。 (a) 降伏応力が4.5kg/mm2以上10kg/mm
2以下の未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸
する。 (b) 破断伸度が20%以上100%以下の未延伸フィ
ルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する。 (c) 未延伸フィルムを、含水率2%以上10%以下
で、Tg−60℃以上Tg−20℃以下で1.1倍以上2
倍以下に多段延伸する。 (d) 未延伸フィルムを延伸した後、50℃以上150
℃以下で、0.5分以上60分以下、30%rh以下
で、2kg/m以上20kg/m以下の張力で搬送しな
がら再度延伸する。 (e) 未延伸フィルムを、2段以上10段以下の多段
で、1.1倍以上2倍以下に延伸し、最後段の延伸倍率
がその前段の倍率より低くなるように延伸する。 (f) 未延伸フィルムの幅をW、ニップロール間距離をL
としたときに、未延伸フィルムをアスペクト比が0.3
≦L/W≦2で1.1倍以上2倍以下に延伸した後、50
cm以下の間隔で配置した2本以上のロールに通すこと
により延伸する。 (g) 未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸し
た後、冷却速度0.1℃/分以上2℃/秒以下、または
好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以下、または
さらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下で冷却
する。
【0007】(11)波長550nmで測定したレター
デーションが30nm以上300nm以下であって、
(イ)レターデーションの湿度変化率が2nm/%rh以
下である特性、(ロ)脱湿速度が1.5%/日以下である
特性、および(ハ)レターデーションの温度変化率が1n
m/℃以下である特性から選ばれた少なくとも一つの特
性を有する円偏光板。 (12)前記(イ)〜(ハ)の各特性を兼ね備えて有するこ
とを特徴とする上記(11)に記載の円偏光板。 (13)上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の光
学補償フィルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と実質
的に45°となるように貼り合わされたことを特徴とす
る円偏光板。 (14)上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の光
学補償フィルム、および上記(11)〜(13)のいず
れか一つに記載の円偏光板の少なくともいずれか一方を
用いたことを特徴とする画像表示装置。 (15)上記(14)に記載の画像表示装置が反射型液
晶表示装置、有機EL素子を用いた表示装置、またはタ
ッチパネル付き画像表示装置であることを特徴とする上
記(14)に記載の画像表示装置。
【0008】
【発明の実施の形態】発明者の鋭意研究により、レター
デーションの環境依存性を小さくし、上記本発明の課題
を解決する手法を見出した。即ち、環境変化に対応する
ために、レターデーションの湿度変化率、湿度寸法
変化率、脱湿速度、レターデーションの温度変化
率、熱膨張係数をそれぞれ小さくし、本発明の範囲に
することで上記本発明の課題を達成できることを見出し
た。
【0009】上記は、未延伸フィルムの降伏応力が5
kg/mm2以上10kg/mm2以下、より好ましくは
6kg/mm2以上9kg/mm2以下、さらに好ましく
は6.5kg/mm2以上9.5kg/mm2以下の原反
を延伸することで達成できる。即ち延伸は降伏応力を越
えて実施されるが、本発明の上記降伏応力とすることで
分子鎖を配向させることにより分子の運動性を規制し、
湿度でレターデーションが変動するのを防止している。
これによりレターデーションの湿度変化を2nm/%r
h以下、より好ましくは1nm/%以下、さらに好まし
くは0.7nm/%rh以下、特に好ましくは0.5n
m/%rh以下にすることができる。上記は、未延伸
フィルムの破断伸度が20%以上100%以下、より好
ましくは25%以上80%以下、さらに好ましくは30
%以上70%以下の原反を延伸することで達成できる。
即ち本発明のものは適度に分子間の絡み合いが生成して
おり、これが吸湿により光学補償フィルムが膨張し、レ
ターデーション発現性が変化するのを防止しているため
と予想される。これにより湿度寸法変化率を7.5×1
-3%/%rh以下、より好ましくは7×10-3%/%
rh以下、さらに好ましくは6×10-3%/%rh以
下、特に好ましくは5×10-3%/%rh以下にするこ
とができる。上記は、含水率2%以上10%以下でT
g−60℃以上Tg−20℃以下で多段延伸することで達
成される。より好ましくは含水率2.5%以上8%以下
でTg−60℃以上Tg−30℃以下で2〜10段延伸す
る。さらに好ましくは含水率3%以上6%以下でTg−
60℃以上Tg−40℃以下で2〜7段延伸する。但し
最後段の延伸倍率はその前の倍率より低くする必要があ
る。このような湿度存在下で延伸することで、あらかじ
め水による構造変化を小さくすることができ、水の出入
りを遅くできるためと予想できる。さらに最後段の倍率
を低くし、急激に延伸応力を開放しない方が、この構造
をより形成しやすい(急激な応力の開放のショックでこ
の構造を乱し易い)と推定される。これにより脱湿速度
を0.35%/分以下、より好ましくは0.3%/分以
下、さらに好ましくは0.2%/分以下、特に好ましく
は0.15%/分以下にすることができる。
【0010】上記は、アスペクト比が0.3≦L/W≦
2、より好ましくは0.4≦L/W≦1.5、さらに好ま
しくは0.5≦L/W≦1で延伸した後、50cm以下の
間隔で配置した2本以上のロールを通すことで達成され
る。延伸は2対以上のニップロールを用い、入口側の周
速より出口側の周速を大きくすることで達成されるが、
このニップロール間距離をL、延伸前の光学補償フィル
ムの幅をWとした場合アスペクト比はL/Wで表される。こ
のようにニップロール間隔の狭いところで延伸すること
でネックイン(幅方向の収縮)を抑制し、幅方向にもよ
り緊張した分子構造を形成できる。さらに延伸後に間隔
の狭いロール間を通すことで、ロールとフィルムの摩擦
で幅方向の収縮を抑制し、より緊張した分子構造を形成
するため、レターデーションの温度変化を小さくできる
ものと推定する。この結果レターデーション温度変化率
を1.5nm/℃以下、より好ましくは1nm/℃以
下、さらに好ましくは0.8nm/℃以下、特に好まし
くは0.6nm/℃以下にすることができる。上記
は、延伸後の冷却速度を0.1℃/分以上2℃/秒以
下、より好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以
下、さらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下で
行うことで達成される。即ち延伸後に急冷するとフィル
ム内部の残留応力が残りやすく、これが熱膨張を助長す
るためと予想される。従って本発明の範囲で冷却するの
が好ましい。これによりMD、TDの少なくとも一方の
熱膨張係数が3.5×10-4%/℃以下、より好ましく
は3×10-4%/℃以下、特に好ましくは2.5×10
-4%/℃以下、さらに好ましくは2×10-4%/℃以下
とすることができる。
【0011】上記からの物性値の幅方向の分布を小
さくするとして好ましくは、延伸後50℃以上150℃
以下で10秒以上10分以下、より好ましくは60℃以
上140℃以下で20秒以上7分以下、さらに好ましく
は70℃以上120℃以下で30秒以上5分以下熱処理
を行うことで達成される。即ちこの間に焼き鈍しのよう
に幅方向の物性むらを均一化させるものと推定される。
この間の搬送張力は2kg/m以上20kg/m以下で行うの
が好ましい。さらに、これらのからの物性を有する
光学補償フィルムの波長550nmで測定したレターデ
ーションは30nm以上300nm以下が好ましく、よ
り好ましくは70nm以上250nm以下、さらに好ま
しくは100nm以上200nm以下である。以下にフ
ィルムの調製から順を追って説明を加える。
【0012】[ポリマー素材]本発明で用いるフィルム
のポリマー素材としては、100μmに製膜した時の光
線透過率が85%以上の熱可塑性ポリマーを用いるのが
好ましい。さらにガラス転位温度(Tg)が100℃以
上300℃以下のものが好ましい。さらにより良好な平
面性を得るために溶液流延製膜できるものが好ましい。
これらを満足するものとしてセルロースアセテートに代
表されるセルロースアシレート、ポリノルボルネン、ポ
リカーボネイト、ポリアリレート、ポリエーテルスルフ
ォン等が上げられる。またこれらの変成物も好ましく用
いられる(例えばポリカーボネイトにフルオレン基を導
入したWO00/26705号に記載の化合物)。これ
らのなかで、より好ましいのがセルロースアシレート、
ポリノルボルネン、ポリカーボネイトおよびこの変成物
であり、さらに好ましいのがセルロースアセテート、ポ
リカーボネイトの変成物である。なかでも好ましいのが
セルロースアシレートフイルムである。本発明で用いる
セルロースアシレートフイルムとして、セルロースの低
級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、
炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数
は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロ
ピオネート)または4(セルロースブチレート)である
ことが好ましい。セルロースアセテートが特に好まし
い。セルロースアセテートプロピオネートやセルロース
アセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用
いてもよい。これらの中でより好ましいのがトリアセチ
ルセルロース、ジアセチルセルロースであり、とくに好
ましいのが、酢化度が57.0乃至62.5%であるセ
ルロースアセテートである。さらに好ましいの酢化度が
58.0乃至62.0%のセルロースアセテートであ
る。酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸
量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91
(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル
化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘
度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ま
しく、290以上であることがさらに好ましい。また、
本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは
重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が
狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値として
は、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃
至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至
1.6であることが最も好ましい。
【0013】[レターデーション上昇剤]各波長におけ
るレターデーション値を調整するため、レターデーショ
ン制御剤をセルロースアシレートに添加するのが好まし
い。レターデーション制御剤は、ポリマー素材100質
量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で使用する
ことが好ましく、0.05〜8.0質量部の範囲で使用
することがより好ましく、0.1〜7.0質量部の範囲
で使用することがさらに好ましい。二種類以上のレター
デーション制御剤を併用してもよい。
【0014】レターデーション制御剤は、210〜36
0nmの波長領域に最大吸収波長を有することが好まし
い。また、レターデーション制御剤は、可視領域に実質
的に吸収を有していないことが好ましい。レターデーシ
ョン制御剤は、少なくとも二つの「芳香族環」を有する
化合物を用いることが好ましい。この「芳香族環」は、
芳香族炭化水素環に加えて芳香族性ヘテロ環を含む。芳
香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)で
あることが特に好ましい。
【0015】芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ
環であり、5員環、6員環または7員環であることが好
ましく、5員環または6員環であることがさらに好まし
い。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有す
る。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫
黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性
ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール
環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール
環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン
環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0016】芳香族環の具体例として、ベンゼン環、フ
ラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、
チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリ
ジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−
トリアジン環が好ましい。これらの芳香族環の数は、2
〜20であることが好ましく、2〜12であることがよ
り好ましく、2〜6であることが最も好ましい。このよ
うなレターデーション制御剤は、下記(イ)板状化合
物、(ロ)棒状化合物のいずれを用いても良い。これら
は単独で用いても、混合して用いても良い。
【0017】(イ)板状化合物 この化合物には2対上の芳香族環を含むが、これらの二
つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場
合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を
介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、ス
ピロ結合は形成できない)が、結合関係は(a)〜
(c)のいずれでもよい。
【0018】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。
【0019】(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素
原子間の結合であることが好ましい。二つ以上の単結合
で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂
肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合す
ることが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニ
レン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH
−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ま
しい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。な
お、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよ
い。
【0020】c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0021】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0022】上記置換基のアルキル基の炭素原子数は、
1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも
鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特
に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロ
キシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ
基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル
基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−
ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチ
ル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチ
ルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8
であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状ア
ルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に
好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していて
もよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび
1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数
は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル
基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アル
キニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換
基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニ
ル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0023】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0024】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
【0025】脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃
至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例
には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カル
ボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイ
ル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好まし
い。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバ
モイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族
置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例に
は、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイ
ルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、
2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド
基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複
素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれ
る。
【0026】レターデーション制御剤の分子量は、30
0乃至800であることが好ましい。このような板状の
レターデーション制御剤の具体例は国際特許出願公開W
O00/65384号等に記載されている。
【0027】(ロ)棒状化合物 本発明では、250nmよりも短波長側に吸収極大を有
する棒状化合物をレターデーション制御剤として用いる
ことも好ましい。レターデーション制御剤の機能の観点
では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有す
ることが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有する
ことがさらに好ましい。
【0028】棒状化合物は、直線的な分子構造を有する
ことが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最
も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的で
あることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結
晶構造解析または分子軌道計算によって求めることがで
きる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC200
0、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化
合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求め
ることができる。分子構造が直線的であるとは、上記の
ように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造に
おいて、分子構造の角度が140度以上であることを意
味する。
【0029】棒状化合物としては、下記式(I)で表さ
れる化合物が好ましい。 式(I):Ar1 −L1 −Ar2 上記式(I)において、Ar1 およびAr2 は、それぞ
れ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族
基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリー
ル基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環
基を含む。アリール基および置換アリール基の方が、芳
香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも
好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には
不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環ま
たは7員環であることが好ましく、5員環または6員環
であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般
に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素
原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子ま
たは硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例
には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾ
ール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチア
ゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン
環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジ
ン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−
トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環として
は、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール
環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、
トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラ
ジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0030】置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ
環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、B
r、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミ
ノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミ
ノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スル
ホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−
メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N
−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキル
スルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N
−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモ
イル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチ
ルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N'
−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチ
ル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘ
キシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニ
ル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニ
ル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、
ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基
(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキ
シ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘ
プチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基
(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボ
ニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカ
ルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシ
カルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、
ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基
(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチル
チオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、
アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホ
ニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プ
ロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホ
ニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、ア
ミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシル
アミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基
(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0031】置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ
環基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シア
ノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置
換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ア
ルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基
およびアルキル基が挙げられる。アルキル置換アミノ
基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアル
キルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置
換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル
基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カ
ルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニト
ロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、
スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイ
ド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル
基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、ア
ミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル
部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原
子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル
基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカル
ボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0032】式(I)において、L1 は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO
−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二
価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有して
いてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシ
レンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ま
しい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基
の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アル
キレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ま
しく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至1
0であることがさらに好ましく、1乃至8であることが
さらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好まし
い。
【0033】アルケニレン基およびアルキニレン基は、
環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐
を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさら
に好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭
素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至
8であることがより好ましく、2乃至6であることがさ
らに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好まし
く、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も
好ましい。
【0034】組み合わせからなる二価の連結基の例を示
す。 L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O− L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO− L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O− L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO− L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O− L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
【0035】式(I)の分子構造において、L1 を挟ん
で、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上
であることが好ましい。棒状化合物としては、下記式
(II)で表される化合物がさらに好ましい。 式(II):Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2 上記式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞ
れ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例
は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
【0036】式(II)において、L2 およびL3 は、そ
れぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−および
それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結
基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を
有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直
鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基
の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1
乃至8であることがより好ましく、1乃至6であること
がさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好
ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)である
ことが最も好ましい。L2 およびL3 は、−O−CO−
または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0037】式(II)において、Xは、1,4−シクロ
へキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下
に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0038】
【化1】
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】具体例(1)〜(34)、(41)、(4
2)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉
炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜
(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子
構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何
異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例
(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)と
を、以下に示す。
【0048】
【化10】
【0049】前述したように、棒状化合物は直線的な分
子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型
の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)および
(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の
異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトラ
ンス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体につい
ては、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいず
れでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビ
ニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様
の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0050】溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大
吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状
化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、
文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、
Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979
年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111
ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989
年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(199
1年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92
巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40
巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16
号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0051】(具体例のスペクトル測定)前記のレター
デーション制御剤(10-trans)の紫外・可視領域(U
V−vis)スペクトルを測定した。レターデーション
制御剤(10-trans)を、テトラヒドロフラン(安定剤
(BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン)なし)に溶解
し、濃度が10-5mol/dm3 になるように調整し
た。このように調整した溶液を、測定機(日立製作所
(株)製)で測定したところ、吸収極大を与える波長
(λmax)は220nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は15000であった。同様に、レターデーショ
ン制御剤(29-trans)では、吸収極大を与える波長
(λmax)は240nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は20000であった。同様に、レターデーショ
ン制御剤(41-trans)では、吸収極大を与える波長
(λmax)は230nmであり、そのときの吸光係数
(ε)は16000であった。
【0052】本発明では、レターデーション制御剤は、
単独で用いても、2種類上の化合物を混合して用いても
よい。
【0053】[製膜] ドープの調製 ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造す
ることが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマ
ー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフ
イルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至1
2のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素
原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むこと
が好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状
構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエス
テルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−C
OO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶
媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール
性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種
類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子
数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内で
あればよい。
【0054】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0055】一般的な方法で流延用ポリマー溶液(ドー
プ)を調製できる。溶液の調製は通常のソルベントキャ
スト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実
施することができる。溶解には有機溶媒としてハロゲン
化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好
ましい。溶解するポリマー量は、溶液中に10乃至40
質量%、より好ましくは10乃至30質量%である。こ
の有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を
添加しておいてもよい。溶液は、常温(0乃至40℃)
でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製する
ことができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下
で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒と
を加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温におけ
る沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱し
ながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であ
り、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好まし
くは80乃至110℃である。
【0056】ポリマーフイルムには、機械的物性を改良
するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を
添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステ
ルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エス
テルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)
およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれ
る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルお
よびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステ
ルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチル
フタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフ
タレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)および
O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含ま
れる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン
酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジ
ブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フ
タル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、D
OP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DE
PおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、ポ
リマーの量の0.1乃至25質量%であることが好まし
く、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3
乃至15質量%であることが最も好ましい。ポリマーフ
イルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分
解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、ア
ミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開
平3−199201号、同5−1907073号、同5
−194789号、同5−271471号、同6−10
7854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量
は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%で
あることが好ましく、0.01乃至0.2質量%である
ことがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満で
あると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添
加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止
剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合があ
る。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒ
ドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(T
BA)を挙げることができる。
【0057】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0058】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。これはフィルムのポリマー素材としてセルロー
スアシレートを用いた場合、特に有効である。冷却溶解
法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有
機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることが
できる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレート
を溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速
に均一な溶液が得られるとの効果がある。冷却溶解法で
は最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを
撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの
量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるよう
に調整することが好ましく、10乃至30質量%である
ことがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。次に、混合物を
−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10
℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好まし
くは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例え
ば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却し
たジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中
で実施できる。このように冷却すると、セルロースアシ
レートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、4
℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上である
ことがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最
も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、100
00℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技
術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限
である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と
最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な
冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0059】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0060】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアシレート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0061】流延 調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャ
スト法によりポリマーフイルムを製造する。ドープは、
ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイ
ルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃
至35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておく
ことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延お
よび乾燥方法については、米国特許2336310号、
同2367603号、同2492078号、同2492
977号、同2492978号、同2607704号、
同2739069号、同2739070号、英国特許6
40731号、同736892号の各明細書、特公昭4
5−4554号、同49−5614号、特開昭60−1
76834号、同60−203430号、同62−11
5035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度
が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが
好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥するこ
とが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンド
から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度
を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることも
できる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に
記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまで
の時間を短縮することが可能である。この方法を実施す
るためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度に
おいてドープがゲル化することが必要である。また、調
整したポリマー溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延
でフィルム化すべく、ソルベントキャスト法によりポリ
マーフイルムを作製してもよい。ドープは、ドラムまた
はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成
する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%とな
るように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。
【0062】ここで得られたポリマー溶液は、2層以上
の複数のセルロースアシレート溶液を流延するが、複数
のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の
進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロ
ースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層さ
せながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61
−158414号、特開平1−122419号、特開平
11−198285号、などに記載の方法が適応でき
る。また、2つの流延口からポリマー溶液を流延するこ
とによってもフィルム化することでもよく、例えば特公
昭60−27562号、特開昭61−94724号、特
開昭61−947245号、特開昭61−104813
号、特開昭61−158413号、特開平6−1349
33号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56
−162617号に記載の高粘度セルロースアシレート
溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み
込み、その高,低粘度のセルロースアセテート溶液を同
時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でも
よい。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口
により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面
に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィル
ムを作製することでもよく、例えば特公昭44−202
35号に記載されている方法である。流延するポリマー
溶液は同一の溶液でもよいし、異なるポリマー溶液でも
よく特に限定されない。複数のポリマー層に機能(例え
ば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション
層、UV吸収層、偏光層など)を持たせるために、その
機能に応じたポリマー溶液を、それぞれの流延口から押
出せばよい。また、製造時のハンドリング性向上のため
に、片面または両面にマット剤とポリマーを含有するマ
ット層を設けてもよい。マット剤およびポリマーについ
ては特開平10−44327に記載されている素材を好
適に用いることができる。
【0063】従来の単層液では、必要なフィルム厚さに
するためには高濃度で高粘度のポリマー溶液を押出すこ
とが必要であり、その場合ポリマー溶液の安定性が悪く
て固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良
であったりして問題となることが多かった。この解決と
して、複数のポリマー溶液を流延口から流延することに
より、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことがで
き、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できる
ばかりでなく、濃厚なポリマー溶液を用いることで乾燥
負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高
めることができる。
【0064】このように流延したポリマーを本発明で
は、降伏応力が5kg/mm2以上10kg/mm2
下、より好ましくは6kg/mm2以上9kg/mm2
下、さらに好ましくは6.5kg/mm2以上9.5k
g/mm2以下にすることが好ましい。即ちこのような
降伏応力はフィルム中に形成される結晶量により制御さ
れる。溶液流延法では溶剤存在下で溶液結晶化が進むた
め、残留溶剤量とその時の温度により制御される。即ち
このような物性を達成するには、バンドあるいはドラム
から剥取った時の残留溶剤を10%以上50%以下、よ
り好ましくは10%以上45%以下、さらに好ましくは
10%以上40%以下とした後、100℃以上150℃
以下で10分以上200分以下、より好ましくは20分
以上120分以下熱処理するのが好ましい。このとき、
残留溶剤の蒸発潜熱によりフィルムの温度が低下し易い
ため、大量の送風を行うことが好ましく、フィルム面上
で1〜10m/秒の風速で送風することが好ましい。さ
らにフィルムの破断伸度が20%以上100%以下、よ
り好ましくは25%以上80%以下、さらに好ましくは
30%以上70%以下にすることが好ましい。これは上
記熱処理中の搬送張力により制御でき、好ましい張力は
2kg/m以上20kg/m以下であり、より好ましくは3kg
/m以上18kg/m以下、さらに好ましくは4kg/m以上
16kg/m以下である。さらに熱処理後に水蒸気に曝す
のも好ましい。好ましい水蒸気温度は100℃以上16
0℃以下、より好ましくは110℃以上150℃以下、
さらに好ましくは115℃以上145℃以下、処理時間
は0.2秒以上30秒以下であり、より好ましくは0.
5秒以上20秒以下であり、さらに好ましくは0.7秒
以上15秒以下である。本発明の流延速度は3m/分以
上100m/分以下が好ましく、より好ましくは5m/
分以上80m/分以下であり、さらに好ましくは10m
/分以上70m/分以下である。
【0065】[延伸方法]延伸前に上記方法で製膜した
ポリマーフィルムの含水率を2%以上10%以下、より
好ましくは2.5%以上8%以下、さらに好ましくは3
%以上6%以下とする。ポリマーフィルムへの含水は、
延伸前に該ポリマーフイルムを水中に浸漬してもよく、
水蒸気に曝しても良い。水中に浸漬する場合、水温は6
0℃以上100℃が好ましく、より好ましくは70℃1
00℃以下、さらに好ましくは80℃以上100℃以下
である。これを張った水槽内を搬送させながら0.1分
から20分、より好ましくは0.2分から10分、さら
に好ましくは0.5分から5分間、ポリマーフィルムを
搬送させることで含水させることができる。水蒸気に曝
す場合は、60℃以上150℃以下、より好ましくは7
0℃以上140℃以下、さらに好ましくは75℃以上1
30℃以下で、相対湿度70%以上100%以下、より
好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは
85%以上100%以下の水蒸気に、0.1分から20
分、より好ましくは0.2分から10分、さらに好まし
くは0.5分から5分間、ポリマーフィルムを曝す。こ
れは上記条件の水蒸気を満たした部屋の中を搬送させる
ことで含水させることができる。これらの浸漬、水蒸気
曝気に用いる水は実質的に水でれば良い。実質的に水と
は60wt%以上が水からなるものを指し、水以外に有
機溶剤、可塑剤、界面活性剤等を含んでも良い。好まし
い有機溶剤として炭素数が1から10の水溶性有機溶剤
が挙げられる。但し、最も好ましいのは、純水を用いた
ものである。このような方法は、組みあわせて実施して
も良く、単独で用いても良い。中でも好ましいのが、水
蒸気法単独で実施する方法である。
【0066】このようにして含水させたポリマーフィル
ムを延伸する前に、このフィルム表面に実質的に水膜が
形成されていないようにすることは本発明において好ま
しい。上述の含水処理で、表面に水膜が形成されやすい
が、これが残っていると延伸で用いるニップロールの間
でスリップし、所望の倍率に延伸できないばかりか、擦
り傷が発生し易いためである。本発明でいう「実質的に
水膜が形成されていない」とは、フィルム上に濾紙を押
し当て、濾紙が吸水した面積を計測し、全面積の30%
以下である状態を指す。このような水膜の除去は、含水
処理後にエアナイフから吹き出す気体を用いて表面の水
分を吹き飛ばすことが好ましく用いられる。この際、エ
アナイフから吹き出す気体が乾燥空気であると、フィル
ム中の水分が揮散し易いため、相対湿度70%以上10
0%以下の空気を吹き付けることが好ましい。また、ゴ
ムブレード等で表面の水をかき取っても良く、吸水性の
布を表面に被覆したロールと接触させることで拭き取っ
ても良い。これらは単独で実施しても良く、組み合わせ
て実施しても良い。中でも好ましいのが、エアナイフに
よる方法である。このような水膜の除去も相対湿度70
%以上100%以下の雰囲気としたケーシング内で実施
するのが好ましい。このケーシング内の温度も60℃以
上150℃以下にされていることが好ましい。
【0067】上述の方法で含水率を2%以上10%以
下、より好ましくは含水率2.5%以上8%以下、さら
に好ましくは含水率3%以上6%以下としたポリマーフ
ィルムを、Tg−60℃以上Tg−20℃以下、より好ま
しくはTg−60℃以上Tg−30℃以下、さらに好まし
くはTg−60℃以上Tg−40℃以下で延伸する。この
ような延伸は、断熱材で作ったケーシング内に2対以上
のニップロールを設置し、この中に所定の温湿度に調製
した風を導入することで達成できる。温湿度の調製は、
水蒸気と外気を混合することで調製でき、さらにこれに
ヒーターを用いて調整しても良い。延伸中の温度は、幅
方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発明
では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。好
ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは2
℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上15℃以
下である。延伸の際幅方向の中央部は両端に規制され延
伸されにくいが、端部は一方しか規制されておらず延伸
により配向が進みやすい。この対策として、両端の温度
を中央部より上記のように高くすることが好ましい。こ
れにより幅方向の物性値の分布を小さくできる。延伸は
多段で行うことが好ましく、より好ましくは2段から1
0段であり、さらに好ましくは2段から7段である。延
伸は入口側(前段)のニップロールの回転数より出口側
(後段)のニップロールの回転数を速くすることで実施
できる。後段の回転速度(ロール直径に回転数をかけた
もの)の前段の回転速度の比を延伸倍率とする。多段延
伸の場合、格段の延伸倍率の積を延伸倍率とするが、好
ましい延伸倍率は1.1倍以上2倍以下、より好ましく
は1.2倍以上1.8倍以下、さらに好ましくは1.3
倍以上1.7倍以下である。このような多段延伸は3対
以上のニップロールをタンデムに配置して実施する。こ
れらは連続して実施してもよく分割して実施しても良い
が、より好ましいのが連続で実施するものである。多段
延伸ではこれらの延伸倍率を独立に設定できるが、ポイ
ントは最後段の延伸倍率をその前段の倍率より低くする
ことである。より好ましくは、最大延伸倍率の後、2段
以上にわたり徐々に延伸倍率を低下させるものである。
これにより急激に延伸応力を開放しないことがポイント
である。このような多段延伸の合計時間は1〜30秒、
より好ましくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20
秒で実施されることが好ましい。延伸に用いるニップロ
ールは2本のロールから形成されるが、片方あるいは両
方がゴムで被覆されていることが好ましい。本発明では
延伸フィルム中の含水率が高く、スリップし易いため、
ゴムで被覆したものを用いるのが好ましい。ゴムの材質
は天然ゴム、合成ゴム(ネオプレンゴム、スチレン-ブ
タジエンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴ
ム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム)が挙げられる。
好ましい被覆ゴムの厚みは1mm以上50mm以下が好
ましく、より好ましくは2mm以上40mm以下、さら
に好ましくは3mm以上30mm以下である。ニップロ
ールの直径は5cm以上100cm以下が好ましく、よ
り好ましくは10cm以上50cm以下、さらに好まし
くは15cm以上40cm以下である。このようなニッ
プロールは中空にして内部から温調できるようにしたも
のも好ましい。
【0068】本発明ではニップロールの間隔は、アスペ
クト比L/W(延伸するポリマーフイルムの幅をWとニップ
ロール間距離Lの比)が0.3≦L/W≦2であることが好
ましく、より好ましくは0.4≦L/W≦1.5、さらに
好ましくは0.5≦L/W≦1である。通常アスペクト比
は2を越える領域で用いるのが一般的であるが、本発明
ではにニップロール間隔の狭いところで延伸することで
ネックイン(幅方向の収縮)を抑制し、幅方向にもより
緊張した分子構造を形成することが特徴である。多段延
伸の場合、このようなアスペクト比は各段において実施
することが好ましい。
【0069】ニップロールのニップ圧は、1m幅当たり
0.5t以上20t以下が好ましく、1t以上10t以
下がより好ましく、2t以上7t以下がさらに好まし
い。本発明では、延伸が50℃以上150℃以下、より
好ましくは60℃以上140℃以下、さらに好ましくは
70℃以上130℃以下で実施するのが好ましい。温度
は、幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、
本発明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好まし
い。好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好まし
くは2℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上1
5℃以下である。また、延伸は、1〜30秒、より好ま
しくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒で実施
されることが好ましい。本発明におけるような含水率を
有するフィルムは、ガラス転位温度(Tg)が低下して
おり、弱い応力で延伸することができるが、ネックイン
を生じやすく、延伸ムラを発生し易い。これを防ぐた
め、下記のように温度分布を付与することが有効であ
る。
【0070】長手方向の温度分布 ニップロール延伸では、上流側のニップロール出口(即
ち延伸開始点)に応力が集中し易く、ここで集中的に延
伸され、均一延伸されにくい。即ち、全領域にわたって
均一延伸するため、延伸部の平均温度(即ち延伸部の長
手方向中央の温度)より、上流側ニップロール直後の温
度を、上記の温度だけ低くすることが好ましい。このよ
うな温度分布は、上流側のニップロールを温調ロールと
しこの温度を下げることでも実施できるし、長手方向に
沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源
や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用い
ることで達成できる。
【0071】幅方向の温度分布 本発明におけるような小さなアスペクト比での延伸で
は、幅方向で延伸ムラが発生し易い。即ち、両端が中央
部に比べ延伸されやすい。従って、両端の温度を幅方向
中央部に比べ上記の温度だけ高くすることが好ましい。
このような温度分布は、幅手方向に沿って設置した分割
熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し
口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0072】延伸後50cm以下、より好ましくは40
cm以下、さらに好ましくは30cm以下の間隔で配置
した2本以上、より好ましくは2本以上10本以下、さ
らに好ましくは3本以上8本以下のロールを通すこと
で、さらに幅方向の収縮を抑制し幅方向にもより緊張し
た分子構造を形成することができる。このような延伸後
50℃以上150℃以下で10秒以上10分以下、より
好ましくは60℃以上140℃以下で20秒以上7分以
下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下で30秒
以上5分以下熱処理を行うことで達成される。この熱処
理は低湿で行うのが好ましく、30%rh以下の度が好
ましく、より好ましくは20%rh以下、さらに好まし
くは10%rh以下である。即ちこの間に焼き鈍しのよ
うに幅方向の物性むらを均一化さるのが狙いである。こ
の間の搬送張力は2kg/m以上20kg/m以下で行うのが
好ましい。
【0073】このような延伸・熱処理に引き続き、ゆっ
くり冷却することが好ましく、好ましい冷却速度は0.
1℃/分以上2℃/秒以下、より好ましくは0.3℃/
分以上1.5℃/秒以下、さらに好ましくは0.5℃/
分以上1℃/秒以下である。延伸後に急冷するとフィル
ム内部の残留応力が残りやすく、これが熱膨張を助長す
るためである。ここでいう冷却速度とは、延伸温度から
延伸温度−50℃の間の平均速度を指す。このような徐
冷は温度勾配をつけた複数のケーシングの中を通すこと
でも、温度勾配を付けたケーシング内(例えば入口側、
出口側に送風口を設け、入口側から高温、出口側から低
温の風を吹き込む)を通すことで達成できる。延伸後の
好ましいフィルム幅は0.6m以上5m以下であり、よ
り好ましくは1.1m以上4m以下、さらに好ましくは
1.2m以上3m以下である。このような幅することで
より延伸を均一にすることができ、幅方向の物性の分布
を小さくできる。これは、延伸中、中央部は両端に拘束
され延伸方向に応力が働くが直交方向にも応力が働く。
一方、両端部では片端が拘束されないため、中央部に比
べ直交方向の応力が弱い。この差が物性値の差となる。
この両端部の比率はフィルム幅が狭いとき大きくなりや
すく、幅方向の分布が大きくなる。従って本発明ではこ
のような範囲が好ましい。延伸に用いる延伸前のフィル
ムの厚みは60μm以上400μm以下が好ましく、より
好ましくは70μm以上350μm以下、さらに好ましく
は80μm以上300μm以下である。延伸後の厚みは5
0μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは6
0μm以上250μm以下、さらに好ましくは70μm以
上200μm以下である。
【0074】[ポリマーフイルムのレターデーション]
このような延伸によりレターデーションを30nm以上
300nm以下とすることができる。ここでいうレター
デーションとは面内方向に波長550nmで測定した値
を指す。ポリマーフイルムをλ/4板として使用する場
合は、80nm以上200nm以下が好ましく、より好
ましくは90nm以上170nm以下、さらに好ましく
は110nm以上150nm以下である。λ/2板とし
て使用する場合は、200nm以上300nm以下であ
り、より好ましくは220nm以上295nm以下であ
り、さらに好ましくは240nm以上290nm以下で
ある。λ/4板、λ/2板として使用する場合、いずれ
も、波長450nm、550nm、650nmで測定した
レターデーション値Re450、Re550、Re650の比
がそれぞれ0.5<Re450/Re550<0.98、1.01
<Re650/Re550<1.35であることが好ましい。より
好ましくは0.6<Re450/Re550<0.95、1.05
<Re650/Re550<1.3、さらに好ましくは0.7<Re4
50/Re550<0.9、1.1<Re650/Re550<1.25で
ある。このような波長依存性は、上述のレターデーショ
ン上昇剤の添加量を制御することで達成できる。これら
のレターデーション値(Re)は、下記式に従って算出
する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内
の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、
位相差板の厚さ(nm)である。さらに本発明に用いら
れるポリマーフイルムは下記式を満足することが好まし
く、 1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3 より好ましくは 1.4<(nx−nz)/(nx−ny)≦2.5 さらに好ましくは 1.55<(nx−nz)/(nx−ny)≦2 である。式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の
屈折率であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直
な方向の屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈
折率である。本発明に用いられるポリマーフイルムのヘ
イズ値HZは0%以上2%以下であることが好ましく、よ
り好ましくは0%以上1.5%以下、さらに好ましくは
0%以上1%以下である。
【0075】[ポリマーフイルムの表面処理]ポリマー
フイルムには、表面処理を施してもよい。具体的方法と
しては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、
酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施す
る。フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理
においてポリマーフイルムの温度をガラス転位温度(T
g)以下とすることが好ましい。これらの処理の中で、
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接
着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を実施する
ことが特に好ましく、さらに好ましいのがアルカリ処理
(アルカリ鹸化)である。この方法はポリマーフィルム
がセルロースアシレートフイルムの場合に特に有効であ
る。アルカリ鹸化は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸
漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイク
ルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、
水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げら
れ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nで
あることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであること
がさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90
℃の範囲が好ましく、40℃乃至70℃がさらに好まし
い。これらのアルカリ溶液は水溶液でも良く、有機溶剤
でも良い。有機溶の場合、低級アルコールが好ましく、
より好ましくは炭素数が1から5のアルコールあるいは
グリコールであり、より好ましくはエタノール、n-プロ
パノール、iso-プロパノール、ブタノール、エチレング
リコール、プロピレングリコールである。さらに好まし
くはiso-プロパノール、プロピレングリコールである。
これらは混合して使用しても良い。さらに水や界面活性
剤を添加しても良い。好ましい例として下記溶液にアル
カリを溶解したものを挙げることができる。 iso-プロパノール/プロピレングリコール/水(70/15/1
5:体積比) iso-プロパノール/水(85/15:体積比) iso-プロパノール/プロピレングリコール(85/15:体積
比) iso-プロパノール これらのアルカリ溶液に浸漬しても良く、塗布(バー塗
布、カーテン塗布等)しても良い。本発明では、ポリマ
ーフイルムとその上に設けられる層(接着層、配向膜、
あるいは光学異方性層)との接着を改善するために、特
開平7−333433号公報に記載のような接着層(下
塗り層)を設けてもよい。接着層の厚みは0.1乃至2
μであることが好ましく、0.2μ乃至1μであること
がさらに好ましい。
【0076】[円偏光板]円偏光板は、偏光板と上記方
法で延伸したポリマーフィルムからなる光学補償フィル
ムを組み合わせることで達成できる。即ちガラス基板上
に上記光学補償フィルムを粘着剤を用いて貼り付け、こ
の光学補償フィルムの延伸軸と偏光板の透過軸が45度
になるように張り合わせる。この結果、この円偏光板の
レターデーションが30nm以上300nm以下で、レ
ターデーション湿度変化率が2nm/%rh以下、より
好ましくは1nm/%rh以下、さらに好ましくは0.
8nm/%rh以下、特に好ましくは0.7nm/%r
hh以下、脱湿速度が1%/日以下、より好ましくは
0.8%/日以下、さらに好ましくは0.7%/日以
下、レターデーション温度変化率が1.5nm/℃以
下、より好ましくは1nm/℃、さらに好ましくは0.
8nm/℃以下、特に好ましくは0.7nm/℃以下と
することができる。ここでいう脱湿速度とは円偏光板全
体に含まれる水分の変化率を指す。即ち25℃60%r
hで1日以上調湿した上記光学補償フィルムと偏光板を
ガラスに貼り付けたものの水分を測定し、この後25℃
10%rhに移し1日後の含水率を測定し、その差を指
す。また、この円偏光板のレターデーションが30nm
以上300nm以下で、レターデーションの湿度変化
率、脱湿速度、および/またはレターデーションの温度
変化率の幅方向のばらつきが40%以下、好ましくは3
0%以下とすることができる。これらのばらつきは上記
物性を満たした上であることが望ましい。このような円
偏光板を達成する上でのポイントは本発明の光学補償フ
ィルムを用いることと、粘着剤の厚みを10μm以上5
0μm以下、より好ましくは12μm以上40μm以下、
さらに好ましくは15μm以上30μm以下のものを用い
ることにある。粘着剤の組成はアクリレート系のものが
好ましい。これにより、温湿度変化で発現する光学補償
フィルムの寸法変化とガラス基板の寸法変化の差で発生
する応力を緩和する上に、水分の透過速度を制御し本発
明の達成することを助ける。
【0077】偏光板は偏光膜およびその両側に配置され
た二枚の透明保護膜からなるが、さらに本発明の偏光板
は、少なくとも一方の保護膜として、上記のポリマーフ
ィルムを用いることができる。この場合も偏光板の透過
軸と光学補償フィルムの延伸軸を45度になるように配
置し、ガラス基板上に粘着剤、上記偏光膜を貼り付ける
ことで達成できる。通常、偏光板はMD方向に延伸した
偏光膜(ヨウ素や二色性染料をポリビニルアルコール系
ポリマー等のバインダーに分散させたもの)を用いる
が、本発明では偏光板は長手方向(MD)に対し透過軸
が45度のものが好ましい。このような偏光膜は以下の
ように達成される。一方端の実質的な保持開始点から実
質的な保持解除点までの保持手段の軌跡L1および偏光
膜のもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解
除点までの保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持
解除点の距離Wが、下記式(A)を満たし、かつ偏光膜
の支持性を保ち、揮発分率が5%以上の状態を存在させ
て延伸したのち、収縮させながら揮発分率を低下させる
ことで製造することができる。 式(A) |L2-L1|>0.4W
【0078】図1に斜め延伸により45°に配向が傾斜
した偏光膜を作製する装置の概略平面図を示す。図1に
おいて、(a)が原反偏光膜を矢印(イ)方向に導入す
る工程、(b)が幅方向延伸工程、(c)が延伸偏光膜
を次工程に(ハ)方向に送る工程である。偏光膜は
(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左
側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点で
はいま一方の偏光膜端は保持されておらず、幅方向に張
力は発生しない。つまり、B1点は実質保持開始点には
あたらない。実質保持開始点は偏光膜両端が初めて保持
される点で定義し、これはより下流側の保持開始点A1
と、A1から導入側偏光膜の中心線21に略垂直に引い
た直線が、反対側の保持手段の軌跡23と交わる点C1
の2点で示される。この点を起点とし、両端の保持手段
を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1は
A2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…
Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が
通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸
方向となる。図1に示すようにAnはCnに対し次第に
遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に
傾斜していく。実質保持解除点は、より上流で保持手段
から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られる偏光
膜の中心線22に略垂直に引いた直線が、反対側の保持
手段の軌跡14または24と交わる点Ayの2点で定義
される。最終的な延伸方向の角度は、実質的な延伸工程
の終点での左右保持手段の行程差Ay-Ax(すなわち
|L1-L2|)と、実質出口幅Ay-Cx(すなわち
W)の比率で決まる。ここで、延伸方向が次工程への搬
送方向に対しなす傾斜角θは tanθ=(Ay-Cx)/(Ay-Ax) すなわち tanθ=|L1-L2| /Wで表される。
図の上側の偏光膜端は、Ay点の後も28まで保持さ
れるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向
延伸は発生せず、28は実質保持解除点ではない。
【0079】以上のように、実質保持開始点とは左右各
々の保持手段への単純な噛み込み点ではなく、より下流
側の噛み込み点を一点とし、いま一点は左右の実質保持
開始点を結ぶ直線が、保持工程に導入される偏光膜の中
心線と略直交するものとして定義されるものである。同
様に実質保持解除点とは、より上流側の離脱点を一点と
し、いま一点は左右の実質保持解除点を結ぶ直線が、次
工程に送り出される偏光膜の中心線と略直交するものと
して定義されるものである。略直交とは、フィルムの中
心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点
を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを表す。テン
ター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとす
る場合、レール長などの機械的制約により、しばしば導
入側からみて左右保持手段に初めて保持される位置、あ
るいは次工程側から見て左右保持手段から離脱する位置
に前後差が生ずるが、上で定義する実質保持開始点、実
質保持解除点間の行程が上記式(A)の関係を満たして
いれば、任意の前後差を付けることができる。上記にお
いて、得られる延伸偏光膜における配向軸の傾斜角度
は、(c)工程の出口幅Wと、実質的左右保持手段の行
程差|L1-L2|の比率で制御、調整することができ
る。偏光板、位相差膜ではしばしば長手方向に対し45
゜配向した偏光膜が求められるが、45゜に近い配向角
を得るためには、0.9W<|L1-L2|<1.1W
で有ることが望ましく、0.97W<|L1-L2|<
1.03Wであることがさらに好ましい。
【0080】[画像表示装置(同表示素子、パネルを含
む)]上記のポリマーフィルムからなる光学補償フィル
ム、または上記の円偏光板は、液晶表示装置に有利に用
いられる。液晶表示装置としては、透過型、反射型、半
透過型のいずれで用いても構わないが、特に反射型、半
透過型が好ましい。図2は、本発明における反射型液晶
表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図2に示
す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(1)、
反射電極(2)、下配向膜(3)、液晶層(4)、上配
向膜(5)、透明電極(6)、上基板(7)、λ/4板
(8)、そして偏光膜(9)からなる。下基板(1)と
反射電極(2)が反射板を構成する。下配向膜(3)、
上配向膜(5)が液晶セルを構成する。λ/4板(8)
は、反射板と偏光膜(9)との間の任意の位置に配置す
ることができる。カラー表示の場合には、さらにカラー
フィルター層を設ける。カラーフィルター層は、反射電
極(2)と下配向膜(3)との間、または上配向膜
(5)と透明電極(6)との間に設けることが好まし
い。図2に示す反射電極(2)の代わりに透明電極を用
いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み
合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反
射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射され
て視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表
面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入す
ることが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は
(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光膜の片側
(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けて
もよい。液晶セルは特に限定されない。用いられる液晶
表示モードは何を用いても構わないが、好ましくはTN
(twisted nematic)型、STN(Supper Twisted Nema
tic)型、またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)
型、VA(Vertically Allignment)型、ECB型(Elect
ricaly Controlled Birefrigence)、OCB(Opticall
y Compensatory Bend)型であることが好ましい。
【0081】TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至
100゜であることが好ましく、50乃至90゜である
ことがさらに好ましく、60乃至80゜であることが最
も好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の
厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5
μmであることが好ましく、0.2乃至0.4μmであ
ることがさらに好ましい。STN型液晶セルのツイスト
角は、180乃至360゜であることが好ましく、22
0乃至270゜であることがさらに好ましい。液晶層の
屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δ
nd)の値は、0.3乃至1.2μmであることが好ま
しく、0.5乃至1.0μmであることがさらに好まし
い。HAN型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質
的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレチルト角
が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層の屈折率
異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)
の値は、0.1乃至1.0μmであることが好ましく、
0.3乃至0.8μmであることがさらに好ましい。液
晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であっ
てもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0082】VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時
に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VA
モードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無
印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的
に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開
平2−176625号および特公平7−69536号公
報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモー
ドをマルチドメイン化した液晶セルが含まれる。具体的
には、MVA(SID97、Digest of tech.Papers
(予稿集)28(1997)845、SID99、Dige
st of tech. Papers(予稿集)30(1999)206
および特開平11-258605号公報記載)、SUR
VAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1
999)14記載)、PVA(Asia Displa
y98、Proc. of the 18th Inter.Display res. Conf.
(予稿集)(1998)383記載)、Para-A(LC
D/PDP International‘99で発
表)、DDVA(SID98、Digest of tech. Papers
(予稿集)29(1998)838記載)、EOC(S
ID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1
998)319記載)、PSHA(SID98、Digest
of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081
記載)、RFFMH(Asia Display98、P
roc. of the 18thInter. Display res. Conf.(予稿集)
(1998)375記載)、HMD(SID98、Dige
st of tech. Papers(予稿集)29(1998)702
記載)が含まれる。その他に(3)棒状液晶性分子を電
圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじ
れマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモー
ド)の液晶セル(IWD’98、Proc. of the 5th In
ter. Display Workshop.(予稿集)(1998)143記
載))も含まれる。OCBモードでは棒状液晶性分子を
液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的
に)配向させる配向モードの液晶セルを用いたものであ
る。この結果自己光学補償能を有する。詳細は米国特許
4583825,同5410422号に記載されてい
る。ECBモードでは水平に液晶を配向させていること
が特徴であり、特開平5−203946号に詳細が記載
されている。反射型および半透過型液晶表示装置は、印
加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマ
リーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、
高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも、
用いることができる。ノーマリーホワイトモードの方が
好ましい。
【0083】[タッチパネル・有機EL表示装置への応
用]タッチパネルは、特開平5−127822号、特願
2000−236797号等に記載のものに応用するこ
とができる。また、有機EL表示素子には、特開平11
−305729号、同11−307250号、特開20
00−267097号に記載のもの等に応用することが
できる。
【0084】[本発明の測定方法] (1)レターデーション 光学補償フィルムのレターデーション 25℃60%rhにおいて1日調湿した後、自動複屈折
計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて位
相差測定モードで、サンプルフィルム表面に対し垂直方
向から550nm波長のレターデーション値を測定し
た。また450nm、650nmのレターデーションも
同様に測定しR450,R650とした。 光学補償フィルムのレターデーションの湿度変化率 上記方法で光学補償フィルムを25℃60%rhで測定
し、これをRe(60%)とする。このフィルムを25℃1
0%rhに3時間調湿した後、この雰囲気中で550n
mのレターデーションを測定しRe(10%)とする。これ
らから下記式に従い求める。 レターデーション湿度変化率=(Re(10%)とRe(60%)
の差の絶対値)/50 光学補償フィルムのレターデーション温度変化率 光学補償フィルムを40℃60%rhで上記方法で55
0nmのレターデーションを測定し、これをRe(40℃)
とする。このフィルムを10℃60%rhに3時間放置し
た後、この雰囲気中で550nmのレターデーションを
測定しRe(10℃)とする。これらから下記式に従い求め
る。 レターデーション温度変化率=(Re(10℃)とRe(40
℃)の差の絶対値)/30 円偏光板のレターデーション 25℃10%rhの調湿時間を2週間にした後、自動複
屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用い
て、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から550n
m波長のレターデーション値を測定した。但し測定は、
装置に付いている偏光子のうち1枚を取り除き偏光板モ
ードで測定した。 円偏光板のレターデーション湿度変化率 上記方法で円偏光板のレターデーションを25℃60%
rhで測定し、これをRe(60%)とする。このフィルム
を25℃10%rhに2週間調湿した後、この雰囲気中
で550nmのレターデーションを測定しRe(10%)と
する。これらから下記式に従い求める。 レターデーション湿度変化率=(Re(10%)とRe(60%)
の差の絶対値)/50 円偏光板のレターデーション温度変化率 円偏光板を30℃60%rhで上記方法で550nmの
レターデーションを測定し、これをRe(30℃)とする。
このフィルムを10℃60%rhに3時間放置した後、
この雰囲気中で550nmのレターデーションを測定し
Re(10℃)とする。これらから下記式に従い求める。レ
ターデーションの測定は上記光学補償フィルムのレター
デーション レターデーション温度変化率=(Re(10℃)とRe(30
℃)の差の絶対値)/20 光学補償フィルムのNZファクター((nx−nz)
/(nx−ny)) エリプソメーター(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)
製)を用い、フィルム面に対し垂直方向、40度、−4
0度傾斜した方向から550nmでレターデーションを
測定し、各々Re(0)、Re(40)、Re(-40)を求めた。これか
らでまた、遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂
直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求
め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算した。
【0085】(2)光学補償フィルムの湿度寸法変化率 25℃60%rhにおいて1日調湿した後、20cm基長の
ピンゲージを用いて測長し、これをL(60%)とする。こ
のフィルムを25℃10%rhに3時間調湿した後、この
雰囲気中で10%rhでの寸法を測定しL(10%)とした。
これらから下記式に従い求める。 湿度寸法変化率=(L(10%)とL(60%)の差の絶対値)/
50 (3)光学補償フィルムの脱湿速度 25℃60%rhにおいて1日調湿した後、下記方法で含
水率を測定し、これをW(60%)とする。このフィルムを
25℃10%rhに移し10分後に含水率をはかり、これ
をW(10%)とした。これらから下記式に従い求める。 脱湿速度=(W(10%)とW(60%)の差の絶対値)/10 ※含水率の測定法(カールフィッシャー法) サンプル(0.9m×4.5cmを2枚)を秤量する。
これを直ちに磨り栓の付いたガラス瓶に入れ封入し3分
以内に下記方法で測定する。 ・気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃に
てサンプル中の水分を揮発させ水分計に導入する。 ・水分計:カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA
−03型)を用い、測定する。 ※含水率の計算 水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサン
プル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W
/F)
【0086】(4)光学補償フィルムの熱膨張係数 光学補償フィルムを下記方法でTMA(Thermal Mechani
cal Analysis)測定する。 TNA測定:チャック間=25.4mm、昇温条件=25
℃から60℃まで2℃/分で昇温、サンプル幅=3mm、
張力=0.04N これを下記式を用いて算出する。 熱膨張係数=100×(30℃と60℃の寸法差の絶対値
(mm))/(25.4×30) (5)幅方向のばらつき 光学補償フィルムまたは円偏光板全幅にわたり10等分
した点で、上記(1)〜(5)の物性値をはかり、最大
値と最小値の差を、10点の平均値で割り百分率であら
わしたものとする。 (6)アセチル置換度 Polymer Journal 17. 1065-1069(1985)に記載の方法で1
3C−NMRスペクトルから測定した。 (7)ヘイズ値 ヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工
業(株)製)を用いて測定した。
【0087】
【実施例】以下に本発明の実施例を記載するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。 1.光学補償フィルムの作成 (1)組成 セルロースアシレートフイルム 下記組成のセルロースアセテートドープ(高濃度溶液)
を作成した。なお、レターデーション発現剤(少なくと
も二つの芳香族環を有する芳香族化合物)は、下記構造
式の棒状化合物(化11)および板状化合物(化12)
を用いた。(表1にはTACと記入)
【0088】
【化11】
【0089】
【化12】
【0090】 (イ)メチレンクロリド(MC)系 セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 100質量部 トリフェニルホスフェート 10.0質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート 5.0質量部 メチレンクロリド 565.6質量部 メタノール 49.2質量部 レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載 シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部 (ロ)酢酸メチル(MA)系 セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 118質量部 トリフェニルホスフェート 9.19質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート 4.60質量部 トリベンジルアミン 2.36質量部 酢酸メチル 530質量部 エタノール 99.4質量部 ブタノール 33.1質量部 レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載 シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0091】(2)溶解 MC系は常温溶解法、MA系は冷却溶解法を用いて溶解
し、ドープを作成した。 (a)常温溶解法 溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加
し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得ら
れた膨潤混合物を還流冷却機を有する混合タンク中で5
0℃において撹拌しながら溶解した。 (b)冷却溶解法 溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加
し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得ら
れた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で
−30℃まで冷却、その後表1記載の温度まで冷却し6
時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化が
ある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50
℃まで加温しドープを得た。 変性ポリカーボネイト WO 00/26705の実施例1に従い調整した。
(表1には変成PCと記入)
【0092】
【表1】
【0093】(3)製膜 (3-1)流延 下記2方式から選択し製膜し表1に記載した。 (イ)単層製膜 上記方法により得られた溶液(ドープ)を、濾紙(安積
濾紙(株)製No.244)およびネル製の濾布で濾過した
後、定量ギアポンプで加圧ダイに送液し、有効長6mの
バンド流延機を用いて流延した。 (ロ)積層製膜 三層共流延ダイを用い、内層から上記組成のドープを、
両側に10%に溶剤量を増加し希釈したドープを、金属
支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延膜を
支持体から剥ぎ取り、乾燥して、本発明の三層構造の積
層体(内層の厚さ:各表面層の厚さ=8:1)を製造し
た。 (3-2)剥取り・乾燥 流延後、表1記載の残留溶剤となったところで、流延膜
を支持体から剥取った。なお、残留溶剤とは、はぎとっ
た直後のサンプルの質量(W0)と、これを140℃2
0分乾燥させた後のサンプル質量(W1)から、下記式に
従い求める。 残留溶剤(質量%)=100×(W0−W1)/W0 この剥取り直後に表1記載の温度・時間・乾燥風速・搬
送張力で乾燥する。この後、表1に記載の温度・時間で
水蒸気に曝した。この後、これらの両端15cmずつト
リミングし、両端に高さ50μm幅1cmのナーリング
(厚みだし加工)を行い、長さ3000mの未延伸フイ
ルムを得た。なお、ここでトリミングしたフイルム屑は
粉砕した後、未使用のポリマー原料と混合し再使用され
る(全ポリマー中30質量%これを混合した)。このよ
うにして得た未延伸フィルムの破断伸度、降伏応力は表
1に示した。なお、これらの値は下記の方法で測定し
た。 ・ 25℃60%に3時間以上調湿した後、同じ温湿度
でチャック間10cm、幅1cmのサンプルを10mm/分で
引っ張り測定する。この時、チャックで把持される部分
にはセロテープ(登録商標)を1重巻き付け、チャック
部の凹凸で引っ張り試験中に破断するのを防ぐ。 ・ 3回繰り返し測定し、サンプルの破断長の平均を求
め破断伸度とした。 ・ 1mm〜3mm延伸したところの応力-歪み曲線の
外挿線(弾性部)と、7mm〜10mm延伸したところ
の応力-歪み曲線の内挿線(平坦部)の交点の応力を降
伏応力とした。併せて、市販のタックフィルム(富士写
真フイルム(株)製フジタッククリアー)を比較例−3
として掲載した。
【0094】(4)延伸 表2記載の条件で多段延伸を行い、光学補償フィルム
(位相差フィルム)を得た。延伸前の含水は、浸漬法あ
るいは水蒸気法から選択した前者は90℃の温水浸漬
し、後者は120℃の水蒸気に曝し、表2記載の含水率
とした。延伸温度は表2のように幅方向で温度差を付与
した。なお、多段延伸の場合は、格段全て同じ温度条件
とした。ニップロールは、全て直径30cmのものを用
い、対を成すニップロールの片一方のロールを厚み10
mmのゴムで被覆されているものを用いた。
【0095】
【表2】
【0096】(5)光学補償フィルム(位相差フィル
ム)の評価 このようにして得た光学補償フイルムの特性を表3に示
した。
【0097】
【表3】
【0098】(6)円偏光板の作成 偏光膜の作製 PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム
4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さ
らにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬
後、図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に
延伸し、テンターを延伸方向に対し図2の如く屈曲さ
せ、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた
後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬
送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィル
ムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす
角は、46°であった。ここで|L1−L2|は0.7
m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係に
あった。テンター出口における実質延伸方向Ax-Cx
は、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45
゜傾斜していた。 さらに、PVA((株)クラレ製P
VA-117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理
した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルロース
トリアセテート、レターデーション値3.0nm)、同
様に片側ケン化処理した上記全水準の光学補償フィルム
をそれぞれ上記偏光膜に接着面を向け、ロールtoロール
で積層して円偏光板を得た。このようにして得た円偏光
板の特性を表4に記載した。
【0099】
【表4】
【0100】[TN型反射型液晶表示装置の作製]ITO
透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形成され
たアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意し
た。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド
配向膜(SE-7992、日産化学(株)製)を形成
し、ラビング処理を行った。1.7μmのスペーサーを
介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ね
た。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で
交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙
に、液晶(MLC-6252、メルク社製)を注入し、
液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70
゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製し
た。ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、上記円
偏光板(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光
膜)をそれぞれセルロースアセテートフイルム側から貼
り付けた。作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの
矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5
Vとして目視で評価を行ったところ、本発明では白表示
においても、黒表示においても、色味がなく、ニュート
ラルグレイが表示されていることが確認できた。次に、
測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて
反射輝度のコントラスト比を測定したところ、正面から
のコントラスト比が25であり、コントラスト比10と
なる視野角は、本発明ではいずれも上下120゜以上、
左右120゜以上であった。これらの特性は10〜40
℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0101】[STN型反射型液晶表示装置の作製]IT
O透明電極を設けたガラス板と、平坦なアルミニウム反
射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス
基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE-1
50、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行
った。6.0μmのスペーサを介して二枚の基板を配向
膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング
方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを
調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI-2977、メ
ルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにし
てツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのS
TN型液晶セルを作製した。ITO透明電極を設けたガ
ラス基板の側に、内部拡散シート(IDS、大日本印刷
(株)製)と、上記方法で作製した円偏光板を、この順
序でそれぞれ粘着を介して、偏光板が最外層となるよう
に貼り付けた。作製した反射型液晶表示装置に、55H
zの矩形波電圧を印加した。黒表示2.0V、白表示
2.5Vとして目視で評価を行ったところ、本発明では
白表示においても黒表示においても、色味がなく、ニュ
ートラルグレイが表示されていることが確認できた。次
に測定器(EZcontrast160D、Eldim社製)を用い
て反射輝度のコントラスト比を測定したところ、本発明
では正面からのコントラスト比が8であり、コントラス
ト比3となる視野角は、上下90゜、左右105゜であ
った。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%
rhの間で全く変化が無かった。
【0102】[VA型液晶表示装置]VA型液晶表示装置
は下から順に、下側ガラス基板、絶縁膜、薄膜トランジ
スタ、反射板、下側配向膜、液晶、上側配向膜、ITO
透明電極、オーバーコート層、カラーフィルター、上側
ガラス基板からなる。ITO透明電極を設けたガラス基
板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を
設けたガラス基板とを用意した。上側配向膜、下側配向
膜にはそれぞれ垂直配向膜(RN783、日産化学
(株)製)を用意し、ラビング処理を行った。1.7μ
mのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい
合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、1
10゜の角度で交差するように、基板の向きを調節し
た。基板の間隙に、Δn=0.08、Δε=-4の液晶
(メルク社製)を真空注入法により注入し、液晶層を形
成した。このようにして、ツイスト角が45゜、Δnd
の値が135nmのVA型液晶セルを作製した。ITO
透明電極を設けたガラス基板の側に、ガラス基板側か
ら、上記光学補償フィルム、市販の偏光板(HLC2-
5618HCS、(株)サンリッツ製)をこの順で粘着
剤を介して積層した。光学補償フィルムと偏光膜を貼り
合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相
軸とが45度になるように貼り合わせた。本発明の光学
補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角160度
以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。
同様に、VA型液晶セルを作製し、ITO透明電極を設
けたガラス基板の側に、上記円偏光板を光学補償フィル
ムがガラス基板側になるように、粘着剤を介して貼り付
けた。上下視野角160度以上、左右視野角160度以
上の良好な視野角を得た。これらの特性は10〜40℃
10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0103】[ECB型液晶表示装置]特開平11−31
6378の実施例1に従い、第2透明支持体を実施例4
で作製した本発明の光学補償フィルム4とした。但し、
これと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学
補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わ
せた。これを用いて特開平11-316378の実施例
6に従いECB型液晶表示素子を作製した。本発明の光
学補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角120
度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得
た。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%r
hの間で全く変化が無かった。
【0104】[有機ELを用いた表示装置]本発明の光学
補償フィルムを特開2000-267097号公報に従
い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機
能層付き)/偏光膜/光学補償フィルム/有機EL素子
/反射電極の構成とした。偏光膜の透過軸と光学補償フ
ィルムの遅相軸との角度は45°となるように配置し
た。目視にてその色味の評価を実施したところ、特に黒
表示時における着色が少なく、それによりコントラスト
が高く、視認性に優れることが確認できた。これらの特
性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変
化が無かった。
【0105】[反透過型製品への実装]サイバーショット
(Sony社製)の液晶表示部の液晶セルの上側部分の
偏光板、λ/2板、λ/4板を剥がし、ガラス基板側か
ら、本発明の光学補償フィルム(λ/4板)、市販の偏
光板(HLC2-5618HCS、(株)サンリッツ
製)をこの順で粘着剤を介して積層した。光学補償フィ
ルムと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学
補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わ
せた。実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5
を用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視
野角115度以上の良好な視野角を得た。これらの特性
は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化
が無かった。
【0106】[反射型液晶表示装置への実装]タッチパネ
ル付き反射型液晶表示装置(シャープ社製、ザウルス)
でタッチパネル/偏光板/光学補償フィルム/液晶セル
の偏光板と光学補償フィルム部分を剥がして、本発明の
光学補償フィルム、市販の偏光板(HLC2-5618
HCS、(株)サンリッツ製)に置き換えた。この際、
偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度
になるように貼り合わせ、コントラストが最大となるよ
うに貼り合わせた。本発明の光学補償フィルムを用いた
ものはいずれも上下視野角120度以上、左右視野角1
15度以上の良好な視野角を得た。これらの特性は10
〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無か
った。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、使用環境で色味の変化
が少なく、かつ場所による色味のむらを発生せず、視野
角の大きい光学補償フィルム、特に一枚型広帯域λ/4
板、さらには円偏光板、およびそれを用いた反射型液晶
表示装置等、およびそれらを工業規模で安定して製造す
る方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光膜を作製する装置の概略平面図である。
【図2】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【符合の説明】
(イ) フィルム導入方向 (ロ) 次工程へのフィルム搬送方向 (a) フィルムを導入する工程 (b) フィルムを延伸する工程 (c) 延伸フィルムを次工程へ送る工程 A1 フィルムの保持手段への噛み込み位置とフィル
ム延伸の起点位置(右) B1 フィルムの保持手段への噛み込み位置(左) C1 フィルム延伸の起点位置(左) Cx フィルム離脱位置とフィルム延伸の終点基準位
置(左) Ay フィルム延伸の終点基準位置(右) |L1-L2| 左右のフィルム保持手段の行程差 W フィルムの延伸工程終端における実質幅 θ 延伸方向とフィルム進行方向のなす角 21 導入側フィルムの中央線 22 次工程に送られるフィルムの中央線 23 フィルム保持手段の軌跡(左) 24 フィルム保持手段の軌跡(右) 25 導入側フィルム 26 次工程に送られるフィルム 27、27’ 左右のフィルム保持開始(噛み込み)点 28、28’ 左右のフィルム保持手段からの離脱点 1 下基板 2 反射電極 3 下配向膜 4 液晶層 5 上配向膜 6 透明電極 7 上基板 8 λ/4板 9 偏光膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA03 BA06 BA07 BB03 BB49 BC03 BC09 BC22 2H091 FA11 FB02 FC08 FC14 FC21 FC29 FC30 FD07 FD12 GA16 GA17 LA03 LA11 LA12 LA13 LA16 4F210 AA01 AE10 AG01 AG03 AH73 AR12 QA02 QC03 QD01 QD13 QD19 QG01 QG15 QG18 QL04 QL05 QW15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョンが30nm以上300nm以下であって、(A)2n
    m/%rh以下であるレターデーションの湿度変化率、
    (B)少なくとも一方が7.5×10-3%/%rh以下で
    あるMD、TD湿度寸法変化率、(C)0.35%/分以
    下である脱湿速度、(D)1.5nm/℃以下であるレタ
    ーデーションの温度変化率、および(E)少なくとも一方
    が3.5×10-4%/℃以下であるMD、TD熱膨張係
    数から選ばれた少なくとも一つの物性を有することを特
    徴とする光学補償フィルム。
  2. 【請求項2】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョン値、Re550が30nm以上300nm以下であっ
    て、(a)Re550の湿度変化率、(b)MD、TD湿
    度寸法変化率、(c)脱湿速度、(d)Re550の温度
    変化率、(e)MD、TD熱膨張係数から選ばれた少な
    くとも一つの物性の幅方向のばらつきが30%以下であ
    ることを特徴とする光学補償フィルム。
  3. 【請求項3】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョン値、Re550が80nm≦Re550≦330nm、
    ヘイズ値HZが0%以上2%以下であり、前記波長55
    0nmで測定したレターデーション値、Re550に対す
    る、波長450nmで測定したレターデーション値、Re
    450、および波長650nmで測定したレターデーシ
    ョン値、Re650の比が、それぞれ0.5<Re450/
    Re550<0.98、1.01<Re650/Re550<
    1.35であり、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内
    の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈
    折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)
    ≦3の関係を満足することを特徴とする請求項1または
    2に記載の光学補償フィルム。
  4. 【請求項4】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョンが30nm以上300nm以下の光学補償フィルム
    の製造方法において、下記(a)〜(g)から選ばれた少なく
    とも一つの未延伸フィルムの延伸に係わる条件を満たし
    て未延伸フィルムの延伸が行われることを特徴とする光
    学補償フィルムの製造方法。 (a)降伏応力が4.5kg/mm2以上10kg/mm2
    以下の未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸す
    る。 (b) 破断伸度が20%以上100%以下の未延伸フィ
    ルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する。 (c) 未延伸フィルムを、含水率2%以上10%以下
    で、Tg−60℃以上Tg−20℃以下で1.1倍以上2
    倍以下に多段延伸する。 (d) 未延伸フィルムを延伸した後、50℃以上150
    ℃以下で、0.5分以上60分以下、30%rh以下
    で、2kg/m以上20kg/m以下の張力で搬送しな
    がら再度延伸する。 (e) 未延伸フィルムを、2段以上10段以下の多段
    で、1.1倍以上2倍以下に延伸し、最後段の延伸倍率
    がその前段の倍率より低くなるように延伸する。 (f) 未延伸フィルムの幅をW、ニップロール間距離をL
    としたときに、未延伸フィルムをアスペクト比が0.3
    ≦L/W≦2で1.1倍以上2倍以下に延伸した後、50
    cm以下の間隔で配置した2本以上のロールに通すこと
    により延伸する。 (g) 未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸し
    た後、冷却速度0.1℃/分以上2℃/秒以下、または
    好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以下、または
    さらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下で冷却
    する。
  5. 【請求項5】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョンが30nm以上300nm以下であって、(イ)レタ
    ーデーションの湿度変化率が2nm/%rh以下である
    特性、(ロ)脱湿速度が1%/日以下である特性、および
    (ハ)レターデーションの温度変化率が1.5nm/℃以
    下である特性から選ばれた少なくとも一つの特性を有す
    ることを特徴とする円偏光板。
  6. 【請求項6】 波長550nmで測定したレターデーシ
    ョンが30nm以上300nm以下であって、(い)レ
    ターデーションの湿度変化率、(ろ)脱湿速度、および
    (は)レターデーションの温度変化率から選ばれた少な
    くとも一つの物性の幅方向のばらつきが40%以下であ
    ることを特徴とする円偏光板。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の光学補償フィ
    ルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と実質的に45°
    となるように貼り合わされたことを特徴とする円偏光
    板。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の光学補償フィ
    ルム、および請求項5〜7のいずれか一つに記載の円偏
    光板の少なくともいずれか一方を用いたことを特徴とす
    る画像表示装置。
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