JP2007140497A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶セルの両側に、偏光子の保護膜を有する一対の偏光板を直交配置した液晶表示装置であって、一方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)および RthA(λ)、他方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)、液晶セルのΔnd(λ)が波長400nmから700nmの範囲のうちいずれかの波長で下記数式(I)および(II)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。数式(I):0.74×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.97×(Δnd
(λ)−RthB(λ));数式(II):0.018×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.036×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ。
【選択図】なし
Description
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
一方、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルム)には、逆に光学異方性(高いレターデーション値)が要求される。特にVA用の光学補償シートでは30〜200nmの面内レターデーション(Re)、70〜400nmの膜厚方向のレターデーション(Rth)が必要とされる。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフィルムやポリスルホンフィルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフィルムを用いることが普通であった。以上のように光学材料の技術分野では、ポリマーフィルムに光学異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースアシレートフィルムを使用することが一般的な原則であった。
近年、液晶表示装置においてコントラスト比で定義される視野角だけでなく、表示色に関しても改善の要求が高まってきている。
本発明の目的は、広視野角かつ黒表示時のカラーシフトが小さな液晶表示装置を提供することである。
(1)液晶セルの両側に、偏光子の保護膜を有する一対の偏光板を直交配置した液晶表示装置であって、一方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)および
RthA(λ)、他方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)、液晶セルのΔnd(λ)が波長400nmから700nmの範囲のうちいずれかの波長で下記数式(I)および(II)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
数式(I): 0.74×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.97×(Δnd(λ)−RthB(λ))
数式(II):0.018×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.036×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ[式中、Reは面内レターデーション、Rthは膜厚方向のレターデーション、(λ)は、測定波長がλnmであることを意味する。Δnは液晶の異常光屈折率neと常光屈折率noの差(ne−no)であり、dは液晶セルのセルギャップ(単位:nm)である。]
(2)直交配置にしたときの偏光板の色相a*およびb*が下記数式(III)および
(IV)を満たすことを特徴とする前記(1)に記載の液晶表示装置。
数式(III):−1.0≦a*≦2.0
数式(IV): −1.0≦b*≦2.0
(3)前記液晶表示装置がバックライトを備え、該バックライトの色温度が8000から10000Kの間であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(4)前記液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)およびRthA(λ)が下記数式(V)〜(VIII)を満たすことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(V): 1.0≦ReA(480)/ReA(550)≦1.1
数式(VI): 0.9≦ReA(630)/ReA(550)≦1.0
数式(VII): 1.0≦RthA(480)/RthA(550)≦1.1
数式(VIII):0.9≦RthA(630)/RthA(550)≦1.0
(5)前記液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(590)が0〜150nmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(6)前記液晶セル側に配置される保護膜BのReB(590)が0〜20nmであることを特徴とする前記(5)に記載の液晶表示装置。
(7)前記液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)が下記数式(IX)〜(X)を満たすことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(IX):0≦RthB(480)/RthB(550)≦1.0
数式(X): 1.0≦RthB(630)/RthB(550)≦1.5
(8)前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、セルロースを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートから実質的になるフィルムであって、セルロースを構成するグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記数式(XI)および(XII)を満たすセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(XI): 2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(XII):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
(9)前記アシル基がアセチル基であることを特徴とする前記(8)に記載の液晶表示装置。
(10)前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換されたセルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートから実質的になるセルロースアシレートフィルムであって、
該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(XIII)および(XIV)を満たすことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(XIII):2.0≦A+B≦3.0
数式(XIV): 0<B
(11)前記炭素原子数が3以上のアシル基がブタノイル基であることを特徴とする前記(10)に記載の液晶表示装置。
(12)前記炭素原子数が3以上のアシル基がプロピオニル基であることを特徴とする前記(10)に記載の液晶表示装置。
(13)セルロースの6位の水酸基の置換度が0.75以上であることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(14)前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、およびマット剤から選択された1種以上を含有していることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(15)前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、棒状化合物または円盤状化合物のレターデーション発現剤を1種以上含有していることを特徴とする前記
(1)〜(14)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(16)前記液晶セルが垂直配向モードであることを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明では、液晶セルの両側に一対の偏光板を直交配置した液晶表示装置において、一方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)および RthA(λ)、他方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)、液晶セルのΔnd(λ)が波長400nmから700nmの範囲のうちいずれかの波長で下記数式(I)および(II)を満たすことで広視野角かつ黒表示のカラーシフトが小さな液晶表示装置を提供できることを見出した。
数式(I):0.74×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.97×(Δnd(λ)−RthB(λ))
数式(II):0.018×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.032×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ[式中、Reは面内レターデーション、Rthは膜厚方向のレターデーション、(λ)は、測定波長がλnmであることを意味する。Δnは液晶の異常光屈折率neと常光屈折率noの差(ne−no)であり、dは液晶セルのセルギャップ(単位:nm)である。]
図1は、一般的なVAモードの液晶表示装置の構成を示す模式図である。VAモードの液晶表示装置は、電圧無印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対して垂直配向する液晶層を有する液晶セル3と、該液晶セル3を挟持し、且つ互いの透過軸方向(図1では縞線で示した)を直交させて配置された偏光板1および偏光板2とを有する。図1中、光は、偏光板1側から入射するものとする。電圧無印加時に、法線方向、即ち、z軸方向に進む光が入射した場合、偏光板1を通過した光は、直線偏光状態を維持したまた、液晶セル3を通過し、偏光板2において完全に遮光される。その結果、コントラストの高い画像を表示できる。
数式(I):0.74×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.97×(Δnd(λ)−RthB(λ))
数式(II):0.018×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.036×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ
さらに好ましくは、下記数式(I’)および(II’)を満たしているのがよい。
数式(I’):0.72×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.95×(Δnd(λ)−RthB(λ))
数式(II):0.016×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.034×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ
なお保護膜Aは、バックライト側に設けるのが好ましい。
(I)、(II)を共に満足するとことが更に好ましい。いずれの波長において前記条件を満足するかについては、液晶表示装置の用途に応じて異なり、表示特性に最も影響を与える波長および波長範囲が選ばれるであろう。一般的には、液晶表示装置は、三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する、650nm、550nmおよび450nmの波長において、前記数式(I)、(II)を満足するのが好ましい。なお、R、G、Bの波長は必ずしも前記波長で代表されるものではないが、本発明の効果を奏する光学特性を規定するのに適当な波長であると考えられる。
数式(III):−1.0≦a*≦2.0
数式(IV):−1.0≦b*≦2.0
さらに好ましくは、 −0.5≦a*≦1.5、かつ−0.5≦b*≦1.5である。
数式(V):1.0≦ReA(480)/ReA(550)≦1.1
数式(VI):0.9≦ReA(630)/ReA(550)≦1.0
数式(VII):1.0≦RthA(480)/RthA(550)≦1.1
数式(VIII):0.9≦RthA(630)/RthA(550)≦1.0
さらに、液晶セル側に配置される保護膜BのReB(590)は、0〜20nmであることが好ましい。これにより、視野角を拡大するという効果を奏する。また、保護膜Bの遅相軸角度がばらついた時の視野角や色味の左右非対称性が抑制される。
さらに好ましくは、RthB(590)は、60〜150nmであり、ReB(590)は0〜10nmである。
さらにまた、液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)が下記数式(IX)〜
(X)を満たすことが好ましい。これにより、視角を倒した時の黒表示のカラーシフトを小さくできるという効果を奏する。
数式(IX):0≦RthB(480)/RthB(550)≦1.0
数式(X):1.0≦RthB(630)/RthB(550)≦1.5
さらに好ましくは、
0.5≦RthB(480)/RthB(550)≦1.0、かつ1.0≦RthB(630)/RthB(550)≦1.3である。
数式(XI) :2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(XII):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
上記式(XI)および(XII)を満たすことにより、溶剤への溶解性が向上し、また光学異方性の湿度依存性を小さくすることができる。
DS2+DS3+DS6の総和は小さいほうが光学異方性の発現性が大きいが、光学異方性の湿度変化が大きくなり実用的に問題となる。逆にDS2+DS3+DS6の総和が大きいと、光学異方性の湿度変化は小さくなるが、光学異方性の発現性が小さくなる。したがって、光学異方性の発現性と湿度変化を両立させるためには、DS2+DS3+DS6の総和は2.2〜2.9が好ましく、2.4〜2.85がさらに好ましい。
光学異方性の発現性を損なわずに湿度変化を抑制するためには、さらにDS6/(DS2+DS3+DS6)を0.315以上とすることが好ましく、0.318以上とすることが更に好ましい。
数式(XIII):2.0≦A+B≦3.0
数式(XIV) :0<B
ここで、式中AおよびBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3以上のアシル基の置換度である。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、水酸基のAとBとの置換度の総和(A+B)は、上記数式(XIII)に示すように、2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.9であり、特に好ましくは2.40〜2.85である。また、Bの置換度は上記数式(XIV)に示すように、0より大きいことが好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。
A+Bが2.0未満であると、親水性が強くなり環境湿度の影響を受けやすくなる。
さらにBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるのが好ましいが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。
また更に、セルロースアシレートの6位のAとBの置換度の総和が0.75以上であるのが好ましく、さらには0.80以上が、特には0.85以上が好ましい。これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性、濾過性の好ましいフィルム調製用の溶液が作製でき、非塩素系有機溶媒においても、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。
前記セルロースアシレートを得るには、具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。エステル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理を行う等して、前記の特定のセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートは、粒子状で使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で、好ましくは200〜700、より好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
前記セルロースアシレートの原料綿や合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.7−12に詳細に記載されている原料綿や合成方法を採用できる。
本発明において前記セルロースアシレート溶液に用いることができる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、染料、レターデーション(光学異方性)発現剤、レターデーション(光学異方性)減少剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤などを挙げることができる。本発明においては、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。また、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤および染料の少なくとも1種以上を用いるのが好ましい。
それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いることができ、例えば特開平2001−151901号公報などに記載されている。
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
剥離促進剤としてはクエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。さらに赤外吸収剤としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。
また、本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフイルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。又インライン添加する紫外線吸収剤液に添加しても良い。特開平5−34858号公報に記載されているアントラキノン誘導体のような縮合環のキノン化合物の染料を用いることができる。
さらに添加剤については、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16以降に詳細に記載されているものを適宜用いることができる。
本発明では光学異方性を大きく発現させ、好ましいレターデーション値を実現するため、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。
本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。
上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましく、3〜10質量部であることが特に好ましい。
円盤状化合物からなるレターデーション発現剤は、前記セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましく、3〜10質量部であることが特に好ましい。
円盤状化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。
二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
棒状または円盤状化合物からなる前記レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が円盤状化合物として好ましく用いられる。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミド基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
円盤状化合物からなるレターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
一般式(1):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(1)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
(例、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N’−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレンまたはエチニレン)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6乃至16であり、さらに好ましくは6〜12である。
棒状化合物としては、下記式一般式(2)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(2):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(2)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(1)のAr1およびAr2と同様である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
L2およびL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例としては、特開2004−109657号公報の〔化1〕〜〔化11〕に記載の化合物が挙げられる。
棒状化合物は、文献記載の方法により合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
前記二酸化珪素微粒子を用いる場合の使用量は、セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して0.01〜0.3質量部とするのが好ましい。
1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とする。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。
(塩素系溶媒)
本発明のセルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶剤と併用される他の有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
塩素系有機溶媒と他の有機溶媒との組み合せ例としては以下の組成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
次に、本発明のセルロースアシレートの溶液を作製するに際して好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
更に下記の方法で調整したセルロースアシレート溶液を用いることもできる。・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加する方法。・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(84/10/4/2、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加する方法。・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加する方法。
本発明に用いるドープには、上記本発明の非塩素系有機溶媒以外に、ジクロロメタンを本発明の全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
セルロースアシレートの溶液は、前記有機溶媒にセルロースアシレートを10〜30質量%の濃度で溶解させた溶液であるのが製膜流延適性の点で好ましく、より好ましくは13〜27質量%であり、特に好ましくは15〜25質量%である。これらの濃度にセルロースアシレートを実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法でも本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の溶液を調製する。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃,10%RHで行う。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施する。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのテフロン製フィルターで濾過する。そして、ろ過した溶液を静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定する。得られたデータをBERRYプロット法にて解析する。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定する。
次にセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製について述べる。セルロースアシレートの溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、さらに特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号各公報などにセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.22−25に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.25に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、前記セルロースアシレート溶液を用いて製膜を行うことにより得ることができる。製膜方法および設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
セルロースアシレート溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基又は2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるセルロースアシレート溶液の温度は、−10〜55℃が好ましくより好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
セルロースアシレートフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
ドープ膜が流延された金属支持体上の温度、金属支持体上に流延されたドープ膜に当てる乾燥風の温度および風量を調節することによっても、セルロースアシレートフィルムのRe値およびRth値を調整することができる。特にRth値は金属支持体上における乾燥条件の影響を大きく受ける。金属支持体の温度を高くする、またはドープ膜に当てる乾燥風の温度を高くする、乾燥風の風量を大きくする、つまりドープ膜に与える熱量を大きくすることによりRth値は低くなり、逆に熱量を小さくすることによりRthは高くなる。特に流延直後から剥ぎ取るまでの間の前半部の乾燥がRth値に対して大きく影響を与える。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することができる。更には、積極的に幅方向に延伸する方法もあり、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、および特開平11−48271号の各公報などに記載されている。これは、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とするために、製造したフィルムを延伸する。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、延伸時のフィルムの見かけ上のガラス転移温度Tg〜Tg+20℃であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。縦延伸は0.1〜50%の延伸が行われる。好ましくは1〜10%の延伸が、特に好ましくは2から5%延伸を行う。横延伸は3〜100%の延伸が行われる。好ましくは10〜50%の延伸が、特に好ましくは20から40%延伸を行う。フィルムの複屈折は幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って横延伸の倍率を縦延伸の倍率よりも大きくすることが好ましい。また、延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理しても良い。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行っても良く、残留溶剤量が2〜40%で好ましく延伸することができる。
面内の遅相軸の幅方向に対するバラツキを小さくするために、横延伸後に緩和工程を設けることが好ましい。緩和工程では緩和前のフィルムの幅に対して緩和後のフィルムの幅を100〜70%の範囲(緩和率0〜30%)に調節することが好ましい。緩和工程における温度はフィルムの見かけ上のガラス転移温度Tg−10〜Tg+20℃であることが好ましい。また緩和工程における残留溶剤量は2〜20%の範囲とすることが好ましい。
ここで、延伸工程におけるフィルムの見かけ上のTgは、残留溶剤を含んだフィルムをアルミパンに封入し、示差走査熱量計(DSC)で25℃から150℃まで20℃/分で昇温し、吸熱曲線をもとめることによりTgを求めた。
全幅のRe(590)値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth(590)値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、およびRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、25℃80%RHにおける平衡含水率が3.2%以下であるのが、液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
ガラス転移温度の測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(ハ゛イフ゛ロン:DVA−225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とした。
吸湿膨張係数の測定は、25℃80%RH下に2時間以上放置したフィルムの寸法をピンゲージで測定値した値L80から25%10%RH下に2時間以上放置したフィルムの寸法をピンゲージで測定した値L10から、次式にて求めた。
(L10−L80)/(80%RH−10%RH)×1000000
ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定する。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、80℃、90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化が、0〜5%であるのが、好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃、95%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化が、いずれも0〜5%であるのが、好ましい。
光弾性係数が、50×10−13cm2/dyne以下であるのが、液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料10mm×100mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター
(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
次に、本発明に用いる偏光板について説明する。
本発明に用いる偏光板は、好ましくは、上述のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1枚、偏光子の保護膜として用いたものである。
偏光板は、通常、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。そして、本発明では、少なくとも一方の保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるのが好ましい。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。液晶セル側の保護膜と、液晶セルと反対側の保護膜の厚み、弾性率、吸湿膨張係数の関係を調整し、偏光板のカールを調節することができる。
なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板は、本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じ、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られない為、本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。
偏光板のクロスニコルにおける色相a*およびb*は、液晶表示装置の黒表示状態における色味を適切な範囲に設定するために、それぞれ−1.0≦a*≦2.0かつ−1.0≦b*≦2.0が好ましく、−0.5≦a*≦1.5かつ−0.5≦b*≦1.5であることが更に好ましい。
偏光板の色相a*およびb*は、偏光板の可視域における分光透過率を分光光度計で測定し、測定した分光透過率に等色関数を乗じ積分することで三刺激値X、Y、Zを求め、CIE1976L*a*b*色空間の定義から求める。詳細は「色再現光学の基礎」((株)コロナ社)に記載がある。
具体的には分光光度計UV−3100(島津製作所(株)製)においてカラー測定モードにおいて、以下の測定条件にて透過率測定を行い偏光板色相を算出した。測定波長範囲:780〜380nm、スキャンスピード:中速、スリット幅:2.0nm、サンプリングピッチ:1.0nm、光源:C光源、視野:2°。ここで、2枚の偏光板はセル側保護膜同士を向かい合わせ、各々の透過軸が直交となるように組合せ、偏光板透過軸が分光光度計の試料室の法線方向(グレーティングの溝の方向)に対して45°となるように配置した。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.30−32に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
本発明では、保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層されてなる反射防止層又は保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。以下にそれらの好ましい例を記載する。前者の構成では一般的に鏡面反射率は1%と以上となりLow Reflection(LR)フィルムと呼ばれる。後者の構成では鏡面反射率0.5%以下を実現するものが可能となりAnti Reflection(AR)フィルムと呼ばれる。
光散乱層には、マット粒子が分散されているのが好ましく、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明において光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
本発明で用いることができる低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.20〜1.49であり、更に好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式
(XVII)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(XVII):(m/4)×0.7<n1d1<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
低屈折率層は、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明の偏光板を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、引張り試験機で測定した場合に500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
光散乱層は、表面散乱および内部散乱の少なくともいずれかによる光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。また、このような光散乱層を設けることにより、該光散乱層が防眩層としても機能し、偏光板が防眩層を有することになる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を保護膜上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を保護膜上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
(ARフィルム)について述べる。
保護膜上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止層は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>保護膜の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、保護膜と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の反射防止層が挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、米国特許番号6210858B1号明細書、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に好ましい材料としては、ラジカル重合性およびカチオン重合性の少なくともいずれかの重合性基を2個以上有する多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有する有機金属化合物を含有する組成物、およびその部分縮合体を含有する組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が挙げられる。
例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。また、厚さは5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーおよびシロキサンポリマーの少なくともいずれかの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより低屈折率層を形成することが好ましい。
又、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護膜に物理強度を付与するために、保護膜の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光および/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性化合物における硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましい。又加水分解性官能基含有の有機金属化合物や有機アルコキシシリル化合物も好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は、用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
さらに、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10−8(Ωcm−3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10−8(Ωcm−3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn,Ti,Al,In,Si,Mg,Ba,Mo,W,又はVをあげることができ、これらを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO,TiO2,SnO2,Al2O3,In2O3,SiO2,MgO,BaO,MoO3,V2O5等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO,TiO2,およびSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl,In等の添加物、SnO2に対してはSb,Nb,ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb,TA等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10−8(Ωcm−3)以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね10−10(Ω/□)以下の 表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10−8(Ω/□)である。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚用いた液晶表示装置(第1形態)、本発明の偏光板のいずれかをセル上下に1枚ずつ用いたVAモード、OCBモードおよびTNモード液晶表示装置(第2形態)、および本発明の偏光板のいずれか1枚をバックライト側にのみ用いたVAモード液晶表示装置(第3形態)である。
すなわち、本発明のセルロースアシレートフィルムは光学補償シートとして有利に用いられる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、液晶表示装置に有利に用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching )、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、VAモードまたはOCBモードに好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード、CPAモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置としては、図8に示すように、液晶セル(VAモードセル)およびその両側に配置された二枚の偏光板(TAC1、偏光子およびTAC2からなる偏光板)からなるものが挙げられる。液晶セルは、特に図示しないが二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
本発明の透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)保護膜のみに上記のセルロースアシレートフィルムを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の保護膜に、上記のセルロースアシレートフィルムを用いてもよい。液晶セルへの貼り合わせは、本発明のセルロースアシレートフィルム(TAC1)をVAセル側にすることが好ましい。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)保護膜のみに上記のセルロースアシレートフィルムを用いた場合、これが、上側偏光板(観察側)、下側偏光板(バックライト側)のどちら側でもよく、機能的には何ら問題がない。ただし、上側偏光板として使用すると機能性膜を観察側(上側)に設ける必要性があり生産得率が下がる可能性があるため、下側偏光板として使用する場合が高いと考えられ、より好ましい実施形態であると考えられる。
そして、図8の光源側および観察者側の両方を本発明の偏光板で形成したものが第2形態の液晶表示装置であり、光源側のみを本発明の偏光板で形成したものが第3形態の液晶表示装置である。
図8の保護膜(TAC2)は、市販のセルレートアシレートフィルムでも良く、本発明のセルロースアシレートフィルムより薄いことが好ましい。たとえば、40〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト株式会社製40μm)、KC5UX(コニカオプト株式会社製60μm)、TD80(富士写真フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
(1)セルロースアシレート
表1に記載のアシル基の種類、置換度の異なるセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することでアシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後の40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。なお、表中CABとは、セルロースアセテートブチレート(アシル基がアセチル基(Ac)とブチリル基(Bu)からなるセルロースエステル誘導体)の略称であり、CAPとは、セルロースアセテートプロピオネート(アシル基がアセチル基とプロピオニル基(Pr)からなるセルロースエステル誘導体)の略称であり、CTAとは、セルローストリアセテート(アシル基がアセチル基のみからなるセルロースエステル誘導体)を意味する。
(2)溶解
表1に記載のセルロースアシレート、可塑剤(TPP:トリフェニルフォスフェート、BDP:ビフェニルジフェニルフォスフェート)、紫外線吸収剤(UV1:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、UV2:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)、下記レターデーション発現剤(1)、下記レターデーション発現剤(2)を次の混合溶剤、ジクロロメタン/メタノール(87/13質量部)に綿の質量濃度が15質量%となるように攪拌しながら投入して加熱攪拌し溶解させた。このとき、同時にセルロースアシレート100質量部に対して微粒子であるマット剤(AEROSIL R972、日本エアロジル(株)製)0.05質量部、下記染料(1)を0.0009質量部を投入し、加熱しながら攪拌させた。表1の添加剤量は綿質量100に対する添加剤の質量である。
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が25から35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸温度が約Tg−5〜Tg+5℃の範囲の条件で、剥ぎ取りからテンターまでに区間で0.5から5%の延伸倍率(表1参照)で縦方向に延伸し、ついでテンターを用いて0%〜30%の延伸倍率(表1参照)で幅方向に延伸し、横延伸直後に0〜10%の倍率で幅方向に収縮させた後にフィルムをテンターから離脱し、セルロースアシレートフィルムを製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。表1に、延伸倍率を示してある。作製したセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)について、25℃60%RHで波長480nm、550nm、590nm、630nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。ここで結果は表1に記した。本発明のフィルムにおいては平均屈折率を1.48としてRth(λ)を算出した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(質量部) 内層 外層
セルロースアセテート(酢化度60.9%) 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロリド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子 0 0.8
“AEROSIL R972”{日本アエロジル(株)製}
レターデーション発現剤(3) 1.4 0
上記セルロースアセテートの置換度は次の通りであった。
A置換度 2.87、B置換度 0、全置換度A+B 2.87、6位置換度0.907、6位置換度/全置換度 0.316。
(光散乱層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA、日本化薬(株)製)50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を13.3g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−1)0.75g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10gを加え、完成液とした。
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層の塗布液を調製した。
まず初めに、次のようにしてゾル液aを調製した。攪拌機、還流冷却器を備えた反応器
、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、上記のように調製したゾル液a 0.6gおよびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フィルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの機能層を形成し、巻き取った。
該機能層(光散乱層)を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出してその光散乱層側に、該調製した低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μm
のグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、12 0℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、反射防止機能付き保護膜(保護膜1)を作製した。
(偏光板の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ化カリウム濃度2質量%のヨウ化カリウム水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子Aを得た。
また、厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ化カリウム濃度12質量%のヨウ化カリウム水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子Bを得た。
表1に示す実施例1および2で作製した保護膜および市販のセルロースアシレートフィルムフジタックTDY80UL(富士写真フイルム(株)製)、実施例3で作製した反射防止防止層付き保護膜を1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行った実施例1から2で作製した保護膜および市販のセルロースアシレートフジタックTDY80UL、実施例3で作製した反射防止防止層付き保護膜を表2に示す組合せで前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板1〜12を得た。
このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わされる。また図6に示すように、セル側に配置される保護膜の遅相軸は偏光子の透過軸と平行になっている。
上記で作製した偏光板のセル側の面にはアクリル系の粘着剤、さらにその粘着剤の上にセパレートフィルムを貼り付けた。セルと反対側の面にはプロテクトフィルムを貼り付けた。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を機能性膜側から測定し、450〜650nmの積分球平均反射率を求めたところ、反射防止層付き透明保護膜である保護膜1を使用した偏光板9〜12では2.3%であった。ここで反射防止層付き透明保護膜上のプロテクトフィルムは剥がして反射率測定を行った。
(VAセルの作製)
特開平11−258605号公報の第6実施例に示される構造のVAセルを作製した。液晶材料としてMLC−6608(メルク製)を用いた。バックライト点灯時のVAセルの温度40℃における液晶材料MLC−6608のΔnは0.072であるため、Δndを260nmとするためにセルギャップを3.6μmとしたVAセル1、Δndを280nmとするためにセルギャップを3.9μmとしたVAセル2、Δndを300nmとするためにセルギャップを4.2μmとしたVAセル3、Δndを320nmとするためにセルギャップを4.5μmとしたVAセル4の4種のVAセルを作製した。
(VAセルへの実装)
上記で作製したVAセルの表裏に、表3〜11に示した組合せで実施例4で作製した偏光板1〜12を貼り付け液晶表示装置LCD1〜71を作製した。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向ととなり、粘着剤面が液晶セル側となるように配置した。また、液晶表示装置1〜63ではバックライトの冷陰極菅に色温度が8500Kのものを使用し、液晶表示装置LCD64〜71ではバックライトの冷陰極菅に色温度が12500Kのものを使用した。
プロテクトフィルムを剥した後、測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、黒表示におけるカラーシフトおよびコントラスト比を算出した。ここで黒表示はコモン電極と画素電極間の電圧を1.4V、白表示は4.0Vとした。その結果を表3〜11に示した。黒表示におけるカラーシフトおよび視野角について下記に説明する。
黒表示において、液晶セルの法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向(方位角45度)に視角を倒した場合の色度の変化Δxθ、Δyθは、極角0から80度の間で常に下記数式(XXIII)および(XXIV)を満たすことが好ましい。
数式(XXIII):0≦Δxθ≦0.1
数式(XXIV):0≦Δyθ≦0.1[式中、Δxθ=xθ−xθ0、Δyθ=yθ−yθ0であり、(xθ0、yθ0)は黒表示における液晶セル法線方向で測定した色度、(xθ、yθ)は黒表示における液晶セル法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向に極角θ度まで視角を倒した方向で測定した色度]
また、液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、さらに前記方向を基点とし該法線を中心として360度回転させて色度を測定した場合における色度変化Δxφ、が、Δyφは方位角0から360度の間で常に下記数式(XXV)および(XXVI)を満たすことが好ましい。
数式(XXV):−0.02≦Δxφ≦0.1
数式(XXVI):−0.02≦Δyφ≦0.1[式中、Δxφ=xφ−xφ0、Δyφ=yφ−yφ0であり、(xφ0、yφ0)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒して測定した色度、(xφ、yφ)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、該法線方向を中心として方位角φの方向から測定した色度]
方位角45度、極角60度におけるコントラスト比(CR@φ=45/Θ=60)が大きいほど視野角が広いことを意味する。
昼光色の蛍光灯照明下において液晶表示装置表面の照度が150(lx)となる環境で、液晶表示装置を黒表示とし、方位角45度、極角60度より画面の明るさおよび表示色を目視で観察した。結果を表3〜11に示す。
偏光板色相がニュートラルの偏光子Aを用いた場合は、目視観察で黒表示がニュートラルに見え、コントラスト値が高く(黒輝度が低く)見えた。
偏光板色相が青い偏光子Bを用いた場合は、蛍光灯照明下で黒表示が青っぽく見え、偏光板色相がニュートラルの偏光子Aを用いた場合に対して、コントラスト値が同じ場合でも目視観察ではコントラスト値が低く(黒輝度が高く)見えた。
バックライトの色温度が8500Kの冷陰極菅を用いた場合は、蛍光灯照明下で黒表示がニュートラルに見え、コントラスト値が高く(黒輝度が低く)見えた。バックライトの色温度が12500Kの冷陰極菅を用いた場合は、バックライトの色温度が8500Kの冷陰極菅を用いた場合に対して、黒表示が青っぽく見え、コントラスト値が同じ場合でも目視観察ではコントラスト値が低く(黒輝度が高く)見えた。
Claims (16)
- 液晶セルの両側に、偏光子の保護膜を有する一対の偏光板を直交配置した液晶表示装置であって、一方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)および RthA(λ)、他方の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)、液晶セルのΔnd(λ)が波長400nmから700nmの範囲のうちいずれかの波長で下記数式(I)および(II)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
数式(I): 0.74×(Δnd(λ)−RthB(λ))≦RthA(λ)≦0.97×(Δnd(λ)−RthB(λ))
数式(II):0.018×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ≦ReA(λ)≦0.036×λ2/(Δnd(λ)−RthB(λ))+0.032×λ[式中、Reは面内レターデーション、Rthは膜厚方向のレターデーション、(λ)は、測定波長がλnmであることを意味する。Δnは液晶の異常光屈折率neと常光屈折率noの差(ne−no)であり、dは液晶セルのセルギャップ(単位:nm)である。] - 直交配置にしたときの偏光板の色相a*およびb*が下記数式(III)および(IV)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
数式(III):−1.0≦a*≦2.0
数式(IV): −1.0≦b*≦2.0 - 前記液晶表示装置がバックライトを備え、該バックライトの色温度が8000から10000Kの間であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜AのReA(λ)および RthA(λ)が下記数式(V)〜(VIII)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(V): 1.0≦ReA(480)/ReA(550)≦1.1
数式(VI): 0.9≦ReA(630)/ReA(550)≦1.0
数式(VII): 1.0≦RthA(480)/RthA(550)≦1.1
数式(VIII):0.9≦RthA(630)/RthA(550)≦1.0 - 前記液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(590)が0〜150nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜BのReB(590)が0〜20nmであることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜BのRthB(λ)が下記数式(IX)〜(X)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(IX):0≦RthB(480)/RthB(550)≦1.0
数式(X): 1.0≦RthB(630)/RthB(550)≦1.5 - 前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、セルロースを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートから実質的になるフィルムであって、セルロースを構成するグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記数式(XI)および(XII)を満たすセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(XI): 2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(XII):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315 - 前記アシル基がアセチル基であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換されたセルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートから実質的になるセルロースアシレートフィルムであって、
該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(XIII)および(XIV)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置。
数式(XIII):2.0≦A+B≦3.0
数式(XIV): 0<B - 前記炭素原子数が3以上のアシル基がブタノイル基であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
- 前記炭素原子数が3以上のアシル基がプロピオニル基であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
- セルロースの6位の水酸基の置換度が0.75以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、およびマット剤から選択された1種以上を含有していることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セル側に配置される保護膜のうち少なくとも1枚が、棒状化合物または円盤状化合物のレターデーション発現剤を1種以上含有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルが垂直配向モードであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の液晶表示装置。
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