JP4203362B2 - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電源系統を備えた電動ブレーキ装置に係り、特に、電源系統の故障発生時に必要電力を供給できる電動ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動ブレーキ装置の従来技術として、車両の各輪とともに回転するディスクロータと、ディスクロータの近傍に配設されてディスクロータに電気的制動力を付与する電動キャリパと、を設け、この電動キャリパ内のブレークモータに駆動回路を介してリレーユニットが接続され、このリレーユニットに主バッテリと補助バッテリを接続した構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1によれば、主バッテリに消耗が認められない場合は、主バッテリを駆動回路に導通させ、主バッテリに消耗が認められる場合は、主バッテリに代えて、補助バッテリを駆動回路に導通させることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−171006号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の電動ブレーキ装置は、バッテリの電源消耗についての対応はしているが、リレーユニットと駆動回路との間の故障、駆動回路そのものの故障等についての対応については充分な配慮がなされておらず、この点に関してブレーキ機能への信頼性が充分に確保されているとは言い難い。
【0006】
本発明の目的は、バッテリ、バッテリから駆動電圧を送給する電源線、およびディスクブレーキ装置へ駆動電圧を供給する電力供給線のいずれか一つに故障が発生した場合でも、ディスクブレーキ装置に必要な電力を確実に供給でき、信頼性の高い電動ブレーキ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
複数の電源と、前記電源から電力を供給されて互いに独立して動作する少なくとも2つのブレーキ系統と、を備えた電動ブレーキ装置であって、
前記各電源と前記各ブレーキ系統とを交互に接続する環状電源線を形成し、
前記環状電源線には各電源と各ブレーキ系統との間の電流を遮断する遮断手段を設け、
前記各電源における電流の異常を検知する検知手段を設け
前記検知手段の検知結果に基づいて、各電源に繋がる前記環状電源線における2つの前記遮断手段のいずれか1つを制御して、前記一のブレーキ系統に対して複数の電源からではなくて前記一の電源から電力を供給し、
前記電源から前記ブレーキ系統に至るいずれかの電源線に故障が発生した場合に、いずれか1つのブレーキ系統に電力を供給し得る構成とする。
【0012】
このような構成を採用することにより、いずれかのブレーキ系統に必要な電力を確実に供給することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第1〜第4の実施形態に係る電動ブレーキ装置について、図面を参照しながら以下説明する。
【0014】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。図1において、電力線については矢印付きの実線で、信号線については矢印付きの破線でそれぞれ示しており、矢印の向きによって電力および信号の流れを表している。
【0015】
図1において、電動ブレーキ装置1は、電力供給装置10と、主バッテリ20と、補助バッテリ21と、主電源線30と、補助電源線31と、第1の電力供給線40と、第2の電力供給線41と、発電機50と、ブレーキ制御装置100と、ディスクブレーキ装置110と、ブレーキセンサ200と、を備えている。
【0016】
主バッテリ20は、例えば、エンジンに連結された発電機50によって充電され、充電された電力を主電源線30を介して電力供給装置10に供給する。また、補助バッテリ21は、発電機50あるいは主バッテリ20によって充電され、充電された電力を補助電源線31を介して電力供給装置10に供給する。なお、主バッテリ20と補助バッテリ21の正極端子には、端子電圧、充放電電流、端子温度等を測定するバッテリセンサ60,61がそれぞれ備えられている。
【0017】
なお、第1の実施形態では、主バッテリ20と補助バッテリ21の公称電圧は互いに等しく、例えば12V、24V、36V、等である。
【0018】
発電機50は、図示しないエンジンによって発電駆動される。そして、発電された電力は、DC変換されて主バッテリ20と補助バッテリ21に充電されるとともに、電力供給装置10に供給される。なお、発電機50としては、例えばオルタネータ、モータジェネレータ、等が適当である。
【0019】
図1において、ディスクブレーキ装置110は、駆動回路111と、電動キャリパ112とを備えている。第1の実施形態では、ディスクブレーキ装置110aは前左輪に、ディスクブレーキ装置110bは前右輪に、ディスクブレーキ装置110cは後左輪に、ディスクブレーキ装置110dは後右輪に、それぞれ装着されている。
【0020】
ディスクブレーキ装置110a、110dは、ともに第1の電力供給線40から電力の供給を受けており、第1のブレーキ系統120を構成している。また、ディスクブレーキ装置110b、110cは、ともに第2の電力供給線41から電力の供給を受けており、第2のブレーキ系統121を構成している。なお、第1の電力供給線40から電力の供給を受ける第1のブレーキ系統120をディスクブレーキ装置110a,110bで構成し、第2の電力供給線41から電力の供給を受ける第2のブレーキ系統121をディスクブレーキ装置110c,110dで構成した場合においても、第1の実施形態による電動ブレーキ装置1は有効である。
【0021】
駆動回路111は、演算処理回路および電力変換回路である。駆動回路111は、ブレーキ制御装置100と双方向の通信を行っており、ブレーキ制御装置100から送信された制動力指令値を図示しない電動キャリパのパッドの押圧力指令値に変換する。また、駆動回路111は、第1の電力供給線40あるいは第2の電力供給線41を介して電力供給装置10から電力の供給を受けており、供給された電力を上記の押圧力指令値に基づいて適切な駆動電力に変換し、これを電動キャリパ112に供給する。なお、駆動電力としては、例えば、パルス幅変調に基づいて生成された3相交流電力である。
【0022】
電動キャリパ112は、図示しないアクチュエータと、図示しないパッドとを備えている。電動キャリパ112では、駆動回路111から供給された駆動電力によってアクチュエータが駆動され、アクチュエータに連結されたパッドがディスクロータ130に押圧される。これにより、ディスクロータ130に制動トルクが作用する。なお、電動キャリパ112には、パッドの押圧力を検出する図示しない押圧センサが備えられており、この信号が駆動回路111に出力されている。駆動回路111には、押圧センサの出力値をフィードバックする制御系が構成されており、これにより、押圧力の制御が行われている。なお、アクチュエータとしては、例えば、回転モータと、回転モータのトルクを増幅する減速機構と、増幅された回転モータのトルクを直動方向の押圧力に変換する変換機構と、を組合わせた構成である。
【0023】
図1に示した第1の実施形態では、駆動回路111と電動キャリパ112が別体である場合を示しているが、これらを一体化、すなわち電動キャリパ112に駆動回路111を内蔵させることができる。これにより、電動キャリパ112と駆動回路111との間に電源線と信号線を配線する必要がなくなるため、信頼性が向上するとともに、低コスト化が図られる。
【0024】
ディスクロータ130は、図示しない車輪と共に回転している。そのため、ディスクロータ130に作用した制動トルクは、車輪と路面との間に作用する制動力となる。
【0025】
図1において、ブレーキ制御装置100は演算処理回路である。ブレーキ制御装置100は、駆動回路111と双方向の通信を行っており、ブレーキセンサ200の信号に基づいて算出した運転者の要求制動力を、制動力指令値として駆動回路111に送信する。なお、ブレーキ制御装置100は、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して電力供給装置10から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方からの電力の供給が途絶えた場合にも、制動力指令値を駆動回路111に送信することができる。また、ブレーキ制御装置100に、例えば車速、車輪速、車両の前後方向加速度、車両の横方向加速度、車両のヨーレート、等を入力し、これらに基づいて制動力指令値を決定させることができる。これにより、車両の挙動に応じて、各車輪で発生させる制動力を最適に制御することができるため、操舵時や低摩擦路走行時の車両安定性が向上するとともに、車両の停止距離が短縮される。
【0026】
図1において、ブレーキセンサ200は、運転者の要求制動力を検出するセンサであり、例えば運転者の踏力を検出する踏力センサ、ブレーキペダルのストロークを検出するストロークセンサ、等である。なお、ブレーキセンサ200としては、例えば踏力センサ、ストロークセンサ、等を複数個組合わせた構成が望ましく、これにより、運転者の要求制動力をより的確に把握することができる。また、複数のセンサを備えることで、一つのセンサが故障した場合にも、運転者の制動要求をブレーキ制御装置100に伝達することができる。
【0027】
図1において、電力供給装置10は、リレー制御装置11と、環状電源線12と、第1〜第4のリレー13,14,15,16と、第1の電流センサ17と、第2の電流センサ18とを備えている。
【0028】
リレー制御装置11は演算処理回路である。リレー制御装置11は、第1の電流センサ17と、第2の電流センサ18と、バッテリセンサ60,61と、ブレーキセンサ200と、キースイッチ210と、の信号に基づいて、第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御する。
【0029】
また、リレー制御装置11は、ブレーキセンサ200あるいはキースイッチ210のいずれかのオン信号によって起動し、起動後、第1〜第4のリレー13,14,15,16を閉じる。これにより、ブレーキ制御装置100とディスクブレーキ装置110への電力供給体制が確立する。このように、ブレーキセンサ200のオン信号に基づいてリレー制御装置11を起動させることにより、たとえキースイッチ210がオフであっても、ブレーキペダル201を踏むことでブレーキ制御装置100とディスクブレーキ装置110に電力が供給され制動力が発生するため、車両を安全に停止させることができる。
【0030】
また、リレー制御装置11は、バッテリセンサ60,61からの情報に基づいて、主バッテリ20と補助バッテリ21の充電率を推定することができる。その方法は、例えば、充電率とほぼ比例関係にある端子電圧から充電率の初期値を抽出し、これに充放電電流の積算分を加算して逐次の充電率を算出するものである。これにより、主バッテリ20と補助バッテリ21の充電率に基づいて、第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御できるようになるため、信頼性がより一層向上する。
【0031】
結論的に云えば、リレー制御装置11の起動直後に、詳細は後述するが、第1〜第4のリレー13,14,15,16の一部あるいはすべてを所定のロジックで開閉することにより、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、等の故障を検出することができるようになっている。即ち、リレー制御装置11の起動直後における電源系統の故障検出は、図1に示すシステム稼働後における電源系統の故障検出(後述するが、図3参照)とは別異のものである。
【0032】
リレー制御装置11は、主バッテリ20と補助バッテリ21の両方から電力の供給を受けている。そのため、主バッテリ20あるいは補助バッテリ21のいずれか一方が故障した場合にも、第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を正常に制御することができる。
【0033】
環状電源線12には、主電源線30を介して主バッテリ20と発電機50が接続されており、補助電源線31を介して補助バッテリ21が接続されており、第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120が接続されており、第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121が接続されている。
【0034】
すなわち、電源としての主バッテリ20および補助バッテリ21と、アクチュエータ群としての第1のブレーキ系統120および第2のブレーキ系統121とは、環状電源線12の周方向に交互に接続されている。なお、電源としては2つのバッテリに限らず3つ以上であっても良く、ブレーキ系統も互いに独立した3つ以上の系統であっても良い。
【0035】
また、環状電源線12には、主電源線30と第1の電力供給線40との間に第1のリレー13が設置されており、補助電源線31と第1の電力供給線40との間に第2のリレー14が設置されており、主電源線30と第2の電力供給線41との間に第3のリレー15が設置されており、補助電源線31と第2の電力供給線41との間に第4のリレー16が設置されている。
【0036】
第1〜第4のリレー13,14,15,16は、正常時、閉じている状態にある。これにより、図示しないエンジンが動作中で発電機50が発電駆動されている場合には、発電機50によって主バッテリ20と補助バッテリ21が充電されるとともに、これらの電力が電力供給装置10に供給される。そして、電力供給装置10から、第1の電力供給線30を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給されるとともに、第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される。
【0037】
一方、エンジンが停止中で発電機50が発電駆動されていない場合には、主バッテリ20と補助バッテリ21の充電電力が電力供給装置10に供給される。そして、同様に、電力供給装置10から、第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給されるとともに、第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される。
【0038】
第1の電流センサ17は、主電源線30と環状電源線12との間に設置されており、この間を通過する電流の大きさと方向を検出する。なお、第1の実施形態では、図1中のA矢印方向を電流の正方向としている。また、第2の電流センサ18は、補助電源線31と環状電源線12との間に設置されており、この間を流れる電流の大きさと方向を検出する。なお、第1の実施形態では、図1中のB矢印方向を電流の正方向としている。
【0039】
以上述べた通り、本発明の第1の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20と補助バッテリ21と発電機50の電力によって、電動キャリパ112を確実に動作させることができる。これにより、運転者の要求に応じて車両が減速させられるとともに、車両の安定性を向上させることができる。
【0040】
次に、本発明の実施形態に係る電動ブレーキ装置1に備わるリレー制御装置11の具体的な処理について、図2を参照して説明する。図2は、リレー制御装置11が実行するルーチン(以下、リレー制御ルーチンと称す)のフローチャートである。リレー制御ルーチンは、所定の時間間隔で繰返し起動される。
【0041】
リレー制御ルーチンが起動されると、まず、ステップ300の処理が実行される。ステップ300では、第1の電流センサ17を通過する電流Iが、正方向で、その絶対値が所定値Iより大きいか否かが判断され、これが成立する(電流方向と電流絶対値の双方の条件成立)場合にはステップ310の処理が実行され、成立しない場合にはステップ330の処理が実行される。
【0042】
ここで、所定値Iは、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41、等の接地の有無を判断できる値であり、例えば、ブレーキ制御装置100とディスクブレーキ装置110に供給される合算電流の最大値であって良い。
【0043】
ステップ310では、第2の電流センサ18を通過する電流I2が、正方向であって、その絶対値が所定値Iより大きいか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ320の処理が実行され、成立しない場合にはステップ311の処理が実行される。
【0044】
ステップ320では、第2のリレー14と第3のリレー15を開く処理が実行される。ステップ320に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する正方向の電流が所定値Iを超える場合である。すなわち、主バッテリ20と補助バッテリ21の両方から、第1の電力供給線40あるいは第2の電力供給線41のいずれかに向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、第1の電力供給線40あるいは第2の電力供給線41のいずれかの接地の発生が推定される。
【0045】
ここで、第2のリレー14と第3のリレー15を開くことにより、環状電源線12が二つに分断される。これにより、主バッテリ20から、主電源線30と第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給される体制が確立する。また、補助バッテリ21から、補助電源線31と第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。
【0046】
ここで、仮に、第2の電力供給線41が接地している場合には、前者(主バッテリ20)の体制で電力が供給されるため、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120が正常に動作することになる。一方、仮に、第1の電力供給線40が接地している場合には、後者(補助バッテリ21)の体制で電力が供給されるため、ブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121が正常に動作することになる。
【0047】
このように、リレー制御装置11によって第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御することにより、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つが故障した場合にも、少なくとも2個のディスクブレーキ装置110によって制動力を得ることができる。これにより、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者および乗員の安全を確保することができる。
【0048】
なお、ステップ320では、第2のリレー14と第3のリレー15に代えて、第1のリレー13と第4のリレー16を開くことができる。これにより、主バッテリ20から、主電源線30と第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。また、補助バッテリ21から、補助電源線31と第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給される体制が確立する。
【0049】
ステップ321では、ステップ320での処理を受けて、第1の電力供給線接地フラグと第2の電力供給線接地フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。フラグのオンによって第1又は第2の電力供給線の接地警告を発することができる。
【0050】
ステップ311では、第2のリレー14と第4のリレー16を開く処理が実行される。ステップ311に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する電流が負方向である場合であり、すなわち、主バッテリ20と発電機50から、補助バッテリ21に向かって過電流が流れている場合である(主バッテリと補助バッテリの負荷が同一であってI>Iであるからには、I<Iは有り得ず、Iが負方向である場合である)。従って、この場合には、補助バッテリ21の故障か、補助電源線31の接地のいずれかの発生が推定される。
【0051】
ここで、第2のリレー14と第4のリレー16を開くことにより、環状電源線12が二つに分断される。これにより、故障していると推定される補助バッテリ21あるいは補助電源線31が環状電源線12から切り離される。その結果、主バッテリ20から主電源線30と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。
【0052】
このように、リレー制御装置11によって第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御することで、補助バッテリ21、補助電源線31のいずれか一つが故障した場合にも、4個のディスクブレーキ装置110すべてによって制動力を得ることができる。これにより、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者および乗員の安全を確保することができる。
【0053】
ステップ312では、ステップ311での処理を受けて、補助バッテリ故障フラグと補助電源線接地フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。これらのフラグのオンによって補助バッテリの故障警告又は補助電源線の接地警告を発することができる。
【0054】
ステップ330では、第1の電流センサ17を通過する電流Iが、負方向で、その絶対値が所定値Iより大きいか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ340の処理が実行され、成立しない場合には今回のルーチンは終了する。
【0055】
ステップ340では、第1のリレー13と第3のリレー15を開く処理が実行される。ステップ340に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する負方向の電流が所定値Iを超える場合であり、すなわち、補助バッテリ21から、主バッテリ20に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、主バッテリ20の故障か、主電源線30の接地のいずれかの発生が推定される。
【0056】
ここで、第1のリレー13と第3のリレー15を開くことにより、環状電源線12が二つに分断される。これにより、故障していると推定される主バッテリ20あるいは主電源線30が環状電源線12から切り離される。その結果、補助バッテリ21から補助電源線31と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。
【0057】
このように、リレー制御装置11によって第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御することで、主バッテリ20、主電源線30のいずれか一つが故障した場合にも、4個のディスクブレーキ装置110すべてによって制動力を得ることができる。これにより、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者および乗員の安全を確保することができる。
【0058】
ステップ341では、ステップ340での処理を受けて、主バッテリ故障フラグと主電源線接地フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。
【0059】
ステップ312、ステップ321、ステップ341での処理を受けて、例えば図示しない警告灯の点灯、図示しない警告ブザーの鳴動、等により運転者に故障の発生を警告することができる。また、図2に示すフローチャートはあくまでも一例であり、電流センサの個数、設置場所、等に応じて種々の変更、改良を加えることができる。また、第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉の制御では、環状電源線12の電圧を参照することができる。
【0060】
第1の実施形態では、図示しないエンジンを始動する際に、第1のリレー13と第3のリレー15を開くことができる。これにより、主バッテリ20に接続された図示しない始動機でエンジンを始動している最中にも、始動に伴う主バッテリ20の電圧降下の影響を受けることなく、補助バッテリ21によって、補助電源線31と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に所定の電圧を印加することができる。これにより、電圧降下に伴う駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、エンジンを始動している最中にも4輪の制動力を得ることができる。これは、アイドリングストップの状態からエンジンを再始動する際に特に有効である。また、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の最低動作電圧を引上げることができる。これは、コスト面で有利となる。
【0061】
以上述べた通り、本発明の第1の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障個所に応じて所定のリレー13,14,15,16を開閉するため、少なくとも2個のディスクブレーキ装置110によって制動力を得ることができる。
【0062】
図3は、リレー制御ルーチンに基づいて、各部位の故障モードと、第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉状態と、第1および第2のブレーキ系統120,121への電力供給の有無を纏めた図表である。
【0063】
ここで、主電源線30の断線と補助電源線31の断線については、図2に示すようなリレー制御ルーチンでは検出されないため(図2に示すルーチンは、図1に示すシステムが稼働中でのルーチンである)、リレー制御装置11の起動時に検出(システム稼働以前に前もって検出)することになる。その方法は、例えば第2のリレー14と第3のリレー15を開いた状態を作り、この状態で第1の電力供給線40と第2の電力供給線41の電圧を調べるものである。すなわち、第1の電力供給線40の電圧が0Vであれば主電源線30の断線の発生が推定され、第2の電力供給線41の電圧が0Vであれば補助電源線31の断線の発生が推定される。
【0064】
また、第1の電力供給線40の断線と第2の電力供給線41の断線については、リレー制御ルーチンでは検出されず、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41の両方から電力の供給を受けているブレーキ制御装置100によって検出される。なお、主バッテリ20の端子外れと補助バッテリ21の端子外れについては、それぞれ主電源線30の断線、補助電源線31の断線と同等の事象であるとみなせるため、上述の通りに検出される。
【0065】
図3に示すように、本発明の第1の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つの故障が発生した場合、故障した部分を切り離す、あるいは故障した部分と故障していない部分とを分断するように第1〜第4のリレー13,14,15,16の開閉を制御する。これにより、ブレーキ制御装置100と、第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121の少なくともいずれか一方に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者および乗員の安全を確保することができる。
【0066】
以上の説明のように、本発明では、図1に示すような回路構成を採用することによって、システム稼働中において、図3に示すような故障モード、特に断線の故障を自動的に検出し警告を発し、電動ブレーキ装置に確実に電力を供給することができるものである(システム稼働中の故障診断及び対処法)。更に、図1に示すような回路構成を採用することによって、システムの起動直後における、図3に示すバッテリの端子外れ及び故障や電源線等の断線についての初期診断をも実施できるものである(システム稼働直後の初期診断)。
【0067】
次に、図1に示すように、環状電源線12に第1〜第4のスイッチ13〜16が接続される構成において、これらのスイッチの開閉状態を検知、検証するには次のような手法を用いることができる。この検証手法は、主バッテリと補助バッテリの電圧値が実際上若干異なるものであることを前提にしている。
【0068】
第1の電力供給線40と環状電源線12との間の電圧と、第2の電力供給線41と環状電源線12との間の電圧が異なる値となれば、リレー制御ルーチンに基づいて第2のリレー14と第3のリレー15が開いたと判断することができる。また、第1の電力供給線40と環状電源線12との間の電圧と、主電源線30と環状電源線12との間の電圧が異なる値となれば、リレー制御ルーチンに基づいて第1のリレー13と第3のリレー15が開いたと判断することができる。また、第1の電力供給線40と環状電源線12との間の電圧と、補助電源線331と環状電源線12との間の電圧が異なる値となれば、リレー制御ルーチンに基づいて第2のリレー14と第4のリレー16が開いたと判断することができる。
【0069】
このような検証手法を用いることによって、図1〜図3に示す本発明の第1の実施形態の構成と制御ルーチンを容易に検認することができる。
【0070】
「第2の実施形態」
図4は、本発明の第2の実施形態による電動ブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0071】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、環状電源線12に、第1のリレー13に代えて第1のダイオード70を設置している点、第4のリレー16に代えて第2のダイオード71を設置している点、である。
【0072】
図4において、第1のダイオード70は、主バッテリ20側から補助バッテリ21側に向かう電流を許容し、補助バッテリ21側から主バッテリ20側に向かう電流を阻止する。また、第2のダイオード71は、補助バッテリ21側から主バッテリ20側に向かう電流を許容し、主バッテリ20側から補助バッテリ21側に向かう電流を阻止する。従って、第1の実施形態と同様に、発電機50によって、補助バッテリ21を充電することができる。なお、ダイオードに代えて逆流防止回路であっても良い。
【0073】
また、主バッテリ20によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。また、補助バッテリ21によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。
【0074】
第2の実施形態におけるリレー制御ルーチンのフローチャートは、図2に示すフローチャートとほぼ同じである。異なる点は、ステップ311において、第2のリレー14と第4のリレー16を開く処理に代えて、第2のリレー14のみを開く処理を実行する点、である。
【0075】
ただし、第2のリレー14のみを開くことによっても、第1の実施形態と同様に、主バッテリ20から故障していると推定される補助バッテリ21あるいは補助電源線31への通電が回避される。これにより、主バッテリ20から、主電源線30と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。
【0076】
また、異なる点は、ステップ340において、第1のリレー13と第3のリレー15を開く処理に代えて、第3のリレー15のみを開く処理を実行する点、である。ただし、第3のリレー15のみを開くことによっても、第1の実施形態と同様に、補助バッテリ21から故障していると推定される主バッテリ20あるいは主電源線30への通電が回避される。これにより、補助バッテリ21から、補助電源線31と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。
【0077】
また、第2の実施形態では、図示しないエンジンを始動する際に、第3のリレー15を開くことができる。これにより、主バッテリ20に接続された図示しない始動機でエンジンを始動している最中にも、始動に伴う主バッテリ20の電圧降下の影響を受けることなく、補助バッテリ21によって、補助電源線31と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に所定の電圧を印加することができる。
【0078】
これにより、電圧降下に伴う駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、エンジンを始動している最中にも4輪の制動力を得ることができる。これは、アイドリングストップの状態からエンジンを再始動する際に特に有効である。また、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の最低動作電圧を引上げることができる。これは、コスト面で有利となる。
【0079】
以上述べた通り、本発明の第2の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障個所に応じて所定のリレー14,15を開閉するため、少なくとも2個のディスクブレーキ装置110によって制動力を得ることができる。
【0080】
「第3の実施形態」
図5は、本発明の第3の実施形態に係る電動ブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0081】
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、環状電源線12に、第2のリレー14に代えて第1のダイオード70を設置している点、第4のリレー16に代えて第2のダイオード71を設置している点、である。また、主バッテリ20と発電機50の電力を変換して補助バッテリ21に供給する第1のDCDCコンバータ80を備えている点、補助バッテリ21の電力を変換して電力供給装置10に供給する第2のDCDCコンバータ81を備えている点、である。また、環状電源線12の主電源線30と第1の電力供給線40との間に第2の電流センサ18を設置している点、である。
【0082】
図5において、第1のダイオード70と第2のダイオード71は、補助バッテリ21側から主バッテリ20側に向かう電流を許容し、主バッテリ20側から補助バッテリ21側に向かう電流を阻止する。
【0083】
従って、第1の実施形態と同様に、主バッテリ20によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。また、補助バッテリ21によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。なお、補助バッテリ21の充電については、第1のDCDCコンバータ80によって行われる。
【0084】
図5において、主バッテリ20と補助バッテリ21の公称電圧は異なっており、例えば12V、24V、36V、等のいずれかの組合わせである。即ち、公称電圧の異なった、例えば12Vと24Vの電圧をもった異なる複数のバッテリに対しても適用でき得るものである。因みに、図1における主バッテリ20と補助バッテリ20の公称電圧は、若干の差はあるものの同一である。
【0085】
図5において、第1のDCDCコンバータ80と第2のDCDCコンバータ81は、昇圧型、降圧型のいずれであっても構わない。ただし、第1のDCDCコンバータ80が降圧型の場合には、第2のDCDCコンバータ81は昇圧型である必要がある。一方、第1のDCDCコンバータ80が昇圧型の場合には、第2のDCDCコンバータ81は降圧型である必要がある。
【0086】
図6は、本発明の第3の実施形態におけるリレー制御ルーチンのフローチャートである。図6に示すフローチャートが図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップ311において、第2のリレー14と第4のリレー16を開く処理に代えて、第3のリレー15を開く処理を実行する点、である。
【0087】
ステップ311に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する電流が零である場合であり、すなわち、主バッテリ20と発電機50から、第2の電力供給線41に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、第2の電力供給線41の接地の発生が推定される。
【0088】
ここで、第3のリレー15を開くことにより、主バッテリ20から故障していると推定される第2の電力供給線41への通電が回避される。これにより、主バッテリ20から、主電源線30と第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給される体制が確立する。そして、ステップ312では、ステップ311での処理を受けて、第2の電力供給線接地フラグをオンにする処理が実行される。
【0089】
また、図6に示すフローチャートが図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップ320において、第2のリレー14と第3のリレー15を開く処理に代えて、第1のリレー13を開く処理を実行する点、である。ステップ320に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する正方向の電流が所定値Iを超える場合であり、すなわち、主バッテリ20と発電機50から、第1の電力供給線40に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、第1の電力供給線40の接地の発生が推定される。
【0090】
ここで、第1のリレー13を開くことにより、主バッテリ20から故障していると推定される第1の電力供給線40への通電が回避される。これにより、主バッテリ20から、主電源線30と第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。そして、ステップ321では、ステップ320での処理を受けて、第1の電力供給線接地フラグをオンにする処理が実行される。
【0091】
第3の実施形態では、第1のダイオード70と第2のダイオード71を設置しているため、補助バッテリ21あるいは補助電源線31が故障した場合にも、主バッテリ20側から補助バッテリ21側への通電はない。従って、補助バッテリ21と補助電源線31の故障については、リレー制御ルーチンでは対処しなくてよい。
【0092】
なお、第3の実施形態では、図示しないエンジンを始動する際に、第1のリレー13と第3のリレー15を開くことができる。これにより、主バッテリ20に接続された図示しない始動機でエンジンを始動している最中にも、始動に伴う主バッテリ20の電圧降下の影響を受けることなく、補助バッテリ21によって、補助電源線31と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に所定の電圧を印加することができる。これにより、電圧降下に伴う駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、エンジンを始動している最中にも4輪の制動力を得ることができる。これは、アイドリングストップの状態からエンジンを再始動する際に特に有効である。また、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の瞬時停止が回避されるため、駆動回路111およびブレーキ制御装置100の最低動作電圧を引上げることができる。これは、コスト面で有利となる。
【0093】
以上述べた通り、本発明の第3の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障個所に応じて所定のリレー13,15を開閉するため、少なくとも2個のディスクブレーキ装置110によって制動力を得ることができる。
【0094】
「実施形態4」
図7は、本発明の第4の実施形態による電動ブレーキ装置1の全体構成である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0095】
第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、環状電源線12に、第1のリレー13に代えて第1のダイオード70を設置している点、第3のリレー15に代えて第2のダイオード71を設置している点、である。また、主バッテリ20と発電機50の電力を変換して電力供給装置10に供給するDCDCコンバータ82を備えている点、である。また、補助電源線31と環状電源線12との間に第1の電流センサ17を設置している点、環状電源線12の補助電源線31と第1の電力供給線40との間に第2の電流センサ18を設置している点、である。
【0096】
図7において、第1のダイオード70と第2のダイオード71は、主バッテリ20側から補助バッテリ21側に向かう電流を許容し、補助バッテリ21側から主バッテリ20側に向かう電流を阻止する。従って、第1の実施形態と同様に、DCDCコンバータ82によって補助バッテリ21を充電することができる。
【0097】
また、DCDCコンバータ82によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。また、補助バッテリ21によって、第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力を供給することができる。
【0098】
図7において、主バッテリ20と補助バッテリ21の公称電圧は異なっており、例えば12V、24V、36V、等のいずれかの組合わせである。図7において、DCDCコンバータ82は、昇圧型、降圧型のいずれであっても構わない。
【0099】
図8は、本発明の第4の実施形態によるリレー制御ルーチンのフローチャートである。このフローチャートが図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップ311において、第2のリレー14と第4のリレー16を開く処理に代えて、第4のリレー16を開く処理を実行する点、である。ステップ311に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する電流が零である場合であり、すなわち、補助バッテリ21から、第2の電力供給線41に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、第2の電力供給線41の接地の発生が推定される。
【0100】
ここで、第4のリレー16を開くことにより、補助バッテリ21から故障していると推定される第2の電力供給線41への通電が回避される。これにより、補助バッテリ21から、補助電源線31と第1の電力供給線40を介してブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120に電力が供給される体制が確立する。そして、ステップ312では、ステップ311での処理を受けて、第2の電力供給線接地フラグをオンにする処理が実行される。
【0101】
また、図8に示すフローチャートが図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップ320において、第2のリレー14と第3のリレー15を開く処理に代えて、第2のリレー14を開く処理を実行する点、である。ステップ320に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する正方向の電流が所定値Iを超えるとともに、第2の電流センサ18を通過する正方向の電流が所定値Iを超える場合であり、すなわち、補助バッテリ21から、第1の電力供給線40に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、第1の電力供給線40の接地の発生が推定される。
【0102】
ここで、第2のリレー14を開くことにより、補助バッテリ21から故障していると推定される第1の電力供給線40への通電が回避される。これにより、補助バッテリ21から、補助電源線31と第2の電力供給線41を介してブレーキ制御装置100と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。そして、ステップ321では、ステップ320での処理を受けて、第1の電力供給線接地フラグをオンにする処理が実行される。
【0103】
また、図8に示すフローチャートが図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップ340において、第1のリレー13と第3のリレー15を開く処理に代えて、第2のリレー14と第4のリレー16を開く処理を実行する点、である。ステップ340に至るケースは、第1の電流センサ17を通過する負方向の電流が所定値Iを超える場合であり、すなわち、主バッテリ20と発電機50から、補助バッテリ21に向かって過電流が流れている場合である。従って、この場合には、補助バッテリ21の故障か、補助電源線31の接地のいずれかの発生が推定される。
【0104】
ここで、第2のリレー14と第4のリレー16を開くことにより、環状電源線12が二つに分断される。これにより、故障していると推定される補助バッテリ21あるいは補助電源線31が環状電源線12から切り離され、主バッテリ20から、主電源線30と第1の電力供給線40と第2の電力供給線41を介して、ブレーキ制御装置100と第1のブレーキ系統120と第2のブレーキ系統121に電力が供給される体制が確立する。なお、ステップ341では、ステップ340での処理を受けて、補助バッテリ故障フラグと補助電源線接地フラグをオンにする処理が実行される。
【0105】
第4の実施形態においては、第1のダイオード70と第2のダイオード71を設置しているため、主バッテリ20あるいは主電源線30が故障した場合にも、補助バッテリ21側から主バッテリ20側への通電はない。従って、主バッテリ20と主電源線30の故障については、リレー制御ルーチンでは対処しなくてよい。
【0106】
以上述べた通り、本発明の第4の実施形態による電動ブレーキ装置1によれば、主バッテリ20、補助バッテリ21、主電源線30、補助電源線31、第1の電力供給線40、第2の電力供給線41のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障個所に応じて所定のリレー14,16を開閉するため、少なくとも2個のディスクブレーキ装置110によって制動力を発生させることができる。
【0107】
以上、本発明の実施の形態を図面に従って説明したが、これらはあくまでも一つの実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【0108】
なお、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態における第1のダイオード70と第2のダイオード71については、同様の機能を有するパワーMOSFETに置き換えることができる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリ、電源線、および電力供給線に一つの故障が発生した場合にも、所定のブレーキアクチュエータに必要な電力を確実に供給できる、信頼性の高い電動ブレーキ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置におけるリレー制御装置が実行するルーチンのフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置の電源系統において、各部位の故障モードと、第1〜第4のリレーの開閉状態と、第1および第2のブレーキ系統への電力供給の有無と、を纏めた図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態におけるリレー制御装置が実行するルーチンのフローチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態による電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図8】第4の実施形態におけるリレー制御装置が実行するルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 電動ブレーキ装置
10 電力供給装置
11 リレー制御装置
12 環状電源線
13 第1のリレー
14 第2のリレー
15 第3のリレー
16 第4のリレー
17 第1の電流センサ
18 第2の電流センサ
20 主バッテリ
21 補助バッテリ
30 主電源線
31 補助電源線
40 第1の電力供給線
41 第2の電力供給線
50 発電機
60 バッテリセンサ
61 バッテリセンサ
70 第1のダイオード
71 第2のダイオード
80 第1のDCDCコンバータ
81 第2のDCDCコンバータ
82 DCDCコンバータ
100 ブレーキ制御装置
110 ディスクブレーキ装置
111 駆動回路
112 電動キャリパ
120 第1のブレーキ系統
121 第2のブレーキ系統
130 ディスクロータ
200 ブレーキセンサ
201 ブレーキペダル
210 キースイッチ

Claims (4)

  1. 複数の電源と、前記電源から電力を供給されて互いに独立して動作する少なくとも2つのブレーキ系統と、を備えた電動ブレーキ装置であって、
    前記各電源と前記各ブレーキ系統とを交互に接続する環状電源線を形成し、
    前記環状電源線には各電源と各ブレーキ系統との間の電流を遮断する遮断手段を設け、
    前記各電源における電流の異常を検知する検知手段を設け
    前記検知手段の検知結果に基づいて、各電源に繋がる前記環状電源線における2つの前記遮断手段のいずれか1つを制御して、前記一のブレーキ系統に対して複数の電源からではなくて前記一の電源から電力を供給し、
    前記電源から前記ブレーキ系統に至るいずれかの電源線に故障が発生した場合に、いずれか1つのブレーキ系統に電力を供給し得る
    ことを特徴とする電動ブレーキ装置。
  2. 請求項1において、
    前記検知手段による電流の異常検知は、電流の流れる向きと大きさを検知することを特徴とする電動ブレーキ装置。
  3. 請求項において、
    前記環状電源線における2つの前記遮断手段は、開閉手段と一方向の電流を阻止するダイオード又は逆流防止回路とからなることを特徴とする電動ブレーキ装置。
  4. 請求項において、
    前記検知手段による異常の検知結果に基づいて、一の電源に繋がる環状電源線における2つの前記遮断手段を制御して、前記一の電源に向かう電流を遮断する
    ことを特徴とする電動ブレーキ装置。
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