JP3799786B2 - 電動式ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動式ブレーキ装置に係り、特に、バッテリから供給される電力を用いて制動力を発生する車載用の電動式ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平4ー108058号に開示される如く、バッテリから供給される電力を用いて制動力を発生するブレーキ装置が知られている。上記従来の装置は、超音波モータを動力源として作動する電動式キャリパを備えている。電動式キャリパは、超音波モータの作動状態に応じた力でディスクロータを把持する。上記の装置によれば、超音波モータを適当に駆動することで、適当な制動力を発生させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の装置において、運転者の要求する制動力を得るためには、その制動力の変動に応じて超音波モータを速やかに駆動することが必要である。超音波モータの駆動には電力消費が伴う。従って、バッテリが消耗しており、超音波モータに対して十分な電力が供給できない状況下では、運転者の要求する制動力が変化した後、その変化が現実に制動力に現れるまでに遅延が生じ易くなる。このため、上記従来の装置は、バッテリの消耗状態にその制動力特性が影響され易いという課題を有していた。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、バッテリの消耗状態に影響されることなく、常にほぼ一定の制動力特性を発揮する電動式ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、電気的に駆動されることにより制動力を発生するブレーキアクチュエータを備える電動式ブレーキ装置において、
前記ブレーキアクチュエータに電力を供給するバッテリと、
前記バッテリの消耗状態を検出する消耗状態検出手段と、
前記バッテリについて所定の消耗状態が検出された場合に、車両の運動エネルギを所定値以下に制限する運動エネルギ制限手段と、
を備える電動式ブレーキ装置により達成される。
【0006】
本発明において、ブレーキアクチュエータは、バッテリから電力の供給を受けて制動力を発生する。従って、バッテリが消耗している場合は制動力の立ち上がりが緩やかになり易い。このような状況下では、車両が大きな運動エネルギを伴って走行しているほど制動特性に大きな変化が現れ易い。換言すると、バッテリが消耗している場合であっても、車両の運動エネルギが小さい場合は、制動特性に大きな変化は生じ難い。
【0007】
本発明においては、バッテリの消耗が検出されると、車両の運動エネルギが所定値以下に制限される。このため、電動式ブレーキ装置は、バッテリが消耗している場合であっても、バッテリが消耗していない場合と同等の制動力特性を実現する。
尚、本発明において、車両の運動エネルギを制限する手法には、車速を制限する手法や、内燃機関等の駆動源の運転領域を制限する手法が含まれると共に、車速や運転領域のガード値を車両の重量に応じて修正する手法が含まれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施例の電動式ブレーキ装置のシステム構成図を示す。本実施例の電動式ブレーキ装置は、電子制御ユニット10(以下、ECU10と称す)を備えている。ECU10は、車両の制動力および駆動力を制御する装置である。
【0011】
電動式ブレーキ装置は、また、車両の各輪と共に回転するディスクロータ12,14,16,18を備えている。ディスクロータ12,14,16,18の近傍には、電動キャリパ20,22,24,26が配設されている。電動キャリパ20,22,24,26は、それぞれ、ディスクロータ12,14,16,18の両面に配設されるブレーキパッド(図示せず)、および、それらのブレーキパッドをディスクロータ12,14,16,18の表面に向けて押圧する力(以下、この力をロータ挟持力と称す)を発生するブレーキモータ28,30,32,34を備えている。
【0012】
ブレーキモータ28,30,32,34には、駆動回路36,38,40,42が接続されている。駆動回路36,38,40,42は、ECU10から供給される指令信号に応じた電力をブレーキモータ28,30,32,34に供給する回路である。各ブレーキモータ28,30,32,34は、駆動回路36,38,40,42から供給される電力に応じたロータ挟持力を発生する。
【0013】
駆動回路36,38,40,42には、リレーユニット44が接続されている。更に、リレーユニット44には、主バッテリ46、補助バッテリ48およびECU10が接続されている。リレーユニット44は、主バッテリ46と駆動回路36,38,40,42とを導通させる第1状態と、補助バッテリ48と駆動回路36,38,40,42とを導通させる第2状態とを選択的に実現するデバイスである。
【0014】
リレーユニット44は、ECU10から駆動信号が供給されていない場合に上記の第1状態を実現し、ECU10から駆動信号が供給されることにより上記の第2状態を実現する。従って、ブレーキモータ28,30,32,34は、ECU10からリレーユニット44に駆動信号が供給されていない場合は主バッテリ46を電力供給源として駆動され、また、ECU10からリレーユニット44に駆動信号が供給されている場合は、補助バッテリ48を電力供給源として駆動される。
【0015】
ECU10には、主バッテリ46の正極端子が接続されている。主バッテリ46の正極端子には、主バッテリ46の充電状態、すなわち、消耗状態に応じた電圧が発生する。ECU10は、主バッテリ46の出力端子電圧に基づいて主バッテリ46の消耗状態を検出する。
ECU10には、ストロークセンサ50が接続されている。ストロークセンサ50は、ブレーキペダル52の踏み込み量に応じた電気信号を出力する。ECU10は、ストロークセンサ50の出力信号に基づいて運転者が要求する制動力の大きさ(以下、その値を目標制動力と称す)を求める。
【0016】
ECU10には、車速センサ54が接続されている。車速センサ54は、車速SPDに応じた周期で所定のパルス信号を出力する。ECU10は、車速センサ54の出力信号に基づいて車速SPDを検出する。
また、ECU10には、電子スロットル56が接続されている。電子スロットル56は、バルブボディ58を備えている。バルブボディ58は、吸気管60の内部に配設されている。電子スロットル56は、ECU10から供給される指令信号に応じてバルブボディ58の開度を変化させる。電子スロットル56によれば、内燃機関(図示せず)の吸入空気量を電気的に制御することができる。
【0017】
上述の如く、本実施例の電動式ブレーキ装置において、各ブレーキモータ28,30,32,34は、通常時には主バッテリ46を電力供給源として駆動される。従って、主バッテリ46に消耗が生ずると、各ブレーキモータ28,30,32,34の応答性が悪化することがある。本実施例の電動式ブレーキ装置は、主バッテリ46にそのような消耗が認められる場合に、車両の運動エネルギを所定値以下に制限する点、および、各ブレーキモータ28,30,32,34の電力供給源を主バッテリ46から補助バッテリ48に変更する点に特徴を有している。
【0018】
以下、上記の特徴的機能を実現するために実行される処理の内容、および、上記の特徴的機能により実現される効果について説明する。
図2は、上記の機能を実現すべくECU10が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図2に示すルーチンは、所定時間毎に繰り返し起動される定時割り込みルーチンである。図2に示すルーチンが起動されると、先ずステップ100の処理が実行される。
【0019】
ステップ100では、主バッテリ46の正極端子電圧VBATTが所定の最小電圧VMIN 以下であるか否かが判別される。最小電圧VMIN は、ブレーキモータ28,30,32,34を通常の応答性を伴って作動させるために必要な最も小さな正極端子電圧である。従って、VBATT≦VMIN が成立しないと判別される場合は、主バッテリ46を電力供給源としてブレーキモータ28,30,32,34を適正に駆動できると判断すること、すなわち、主バッテリ46に消耗が生じていないと判断することができる。この場合、次にステップ102の処理が実行される。
【0020】
ステップ102では、リレーユニット44を第1状態とする処理が実行される。本ステップ102の処理が実行されると、主バッテリ46と駆動回路36,38,40,42とが導通する状態が形成される。
ステップ104では、車速制限フラグXGUARDをオフ状態とする処理が実行される。車速制限フラグXGUARDは、車速を制限する必要性がある場合、より具体的には、主バッテリ46に消耗が生じている場合にオン状態とされるフラグである。本実施例において、車速制限フラグXGUARDの状態は、電子スロットル58の制御内容に反映される。本ステップ104で車速制限フラグXGUARDがオフ状態とされると、ECU10は、車速にガードを設けることなく電子スロットル56の制御を行う。
【0021】
ステップ106では、車両に制動要求が生じているか否かが判別される。本ステップ106では、ストロークセンサ50の出力信号に基づいてブレーキペダル52が踏み込まれていると判断される場合に、制動要求が生じていると判別される。上記の判別の結果、制動要求が生じていないと判別される場合は、以後、何ら処理が進められることなく今回のルーチンが終了される。一方、制動要求が生じていると判別される場合は、次にステップ108の処理が実行される。
【0022】
ステップ108では、ストロークセンサ50の出力信号に基づいて目標制動力、すなわち、運転者によって要求されている制動力が演算される。
ステップ110では、各輪の制動力の総和が目標制動力となるように、かつ、各輪の所定の比率で制動力が生ずるようにブレーキモータ28,30,32,34が駆動される。本ステップ110の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
【0023】
上記の処理によれば、主バッテリ46に消耗が生じていない場合は、主バッテリ46を電力供給源としてブレーキモータ28,30,32,34を駆動することにより、運転者が要求する制動力を発生されることができる。この場合、主バッテリからブレーキモータ28,30,32,34に十分な電力を供給することができるため、車両において応答性に優れた制動力特性を実現することができる。
【0024】
本ルーチンにおいて、上記ステップ100で、VBATT≦VMIN が成立すると判別される場合は、主バッテリ46に所定の消耗が生じている、より具体的には、主バッテリ46が、ブレーキモータ28,30,32,34に十分な電力を供給できない程度に消耗していると判断することができる。この場合、次にステップ112の処理が実行される。
【0025】
ステップ112では、リレーユニット44を第2状態とする処理が実行される。本ステップ112の処理が実行されると、主バッテリ46に代えて、補助バッテリ48が駆動回路36,38,40,42に導通する状態が実現される。
ステップ114では、車速SPDが所定値α以上であるか否かが判別される。車両を速やかに停車させるために必要な電力は、車速SPDが高速であるほど多量となる。所定値αは、補助バッテリ48を電力供給源としてブレーキモータ28,30,32,34を駆動することで車両を速やかに停車させることのできる車速SPDの上限値である。
【0026】
従って、上記ステップ114でSPD≧αが成立すると判別される場合は、補助バッテリ48を電力供給源として速やかに車両を停車させるためには車速SPDが過剰であると判断することができる。この場合、次にステップ116の処理が実行される。一方、上記ステップ114でSPD≧αが成立しないと判別される場合は、補助バッテリ48を電力供給源として速やかに車両を停車させ得る環境が整っていると判断できる。この場合、ステップ116がジャンプされ、次にステップ118の処理が実行される。
【0027】
ステップ116では、車速SPDが所定値αに低下するまで所定の減速制御が実行される。減速制御は、変速機を電気的にシフトダウンしてエンジンブレーキを働かせること、ブレーキモータ28,30,32,34を適当に駆動して制動力を発生させること、等により実現される。
ステップ118では、車速制限フラグXGUARDがオン状態とされる。上述の如く、本実施例において、車速制限フラグXGUARDは、電子スロットル56の制御に反映される。すなわち、本ステップ118の処理により車速制限フラグXGUARDがオン状態とされると、以後、ECU10は運転者のアクセル操作に関わらず、車速SPDが所定値α以下に制限されるように電子スロットル56を制御する。従って、XGUARD=ONが成立する間は、常に、補助バッテリ48を電力供給源としつつ車両を速やかに停車させ得る環境が維持される。本ステップ118の処理が終了すると、以後、上述したステップ106〜110の処理が実行される。
【0028】
上記の処理によれば、主バッテリ46が消耗している場合に、主バッテリ46に代えて補助バッテリ48を電力供給源とすることができると共に、補助バッテリ48を電力供給源としつつ優れた応答性の下に車両を停車させ得る環境を維持することができる。このため、本実施例の電動式ブレーキ装置によれば、主バッテリ46の消耗状態に関わらず、常に応答性に優れた制動力特性を実現することができる。
【0029】
尚、上記の実施例においては、電動キャリパ20,22,24,26が前記請求項1記載の「ブレーキアクチュエータ」に、主バッテリ46が特許請求の範囲に記載の「バッテリ」にそれぞれ相当していると共に、ECU10が、上記ステップ100の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載の「消耗状態検出手段」が、上記ステップ114、116および118の処理を実行し、かつ、車速制限フラグXGUARDがオン状態である場合に車速をα以下に制限することにより特許請求の範囲に記載の「運動エネルギ制限手段」がそれぞれ実現されている。
【0031】
ところで、上記の実施例においては、主バッテリ46の消耗状態を、主バッテリ46の正極端子電圧VBATTに基づいて検知することとしているが、主バッテリ46の消耗状態を検知する手法はこれに限定されるものではなく、例えば、主バッテリ46から流出する電流量、および、主バッテリ46に流入する電流量を検出し、主バッテリ46の消耗状態をそれらの検出値に基づいて検知することとしても良い。
【0032】
また、上記の実施例においては、車速制限フラグXGUARDがオン状態である場合に、車速SPDが所定値αを超えないように電子スロットル56を制御することで車両の運動エネルギが適当に制限することとしているが、車両の運動エネルギを制限する手法は上記の手法に限定されるものではない。すなわち、車両の運動エネルギは、例えば、内燃機関の出力が、所定値αの車速SPDを得るために必要とされる所定の出力以下に制限されるように電子スロットル56を制御することによっても適切に制限することができる。
【0033】
また、上記の実施例においては、車速SPDのガード値である所定値αを固定値としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定値αは、車両の重量Mに応じて変化させることとしてもよい。所定値αを車両の重量Mに応じて適当に変化させることによれば、車両の運動エネルギ(M・SPD2 /2)を正確に一定値以下に制限することが可能となる。従って、かかる手法によれば、主バッテリ46が所定の消耗状態である場合に、車両の重量Mの変動に影響されることなく、常に、適正な制動特性を確保し得る環境を維持することができる。
【0034】
また、上記の実施例においては、電動式ブレーキ装置が、主バッテリ46および補助バッテリ48を専用バッテリとして備えているが、これらのバッテリは、必ずしも電動式ブレーキ装置に専用のバッテリとする必要はなく、主バッテリ46および補助バッテリ48の一方若しくは双方を、車両に搭載される通常のバッテリや電気自動車に搭載される電気自動車用のバッテリで構成することとしても良い。
【0035】
更に、上記の実施例においては、主バッテリ46に消耗が認められる場合に、電力供給源を主バッテリ46から補助バッテリ48に切り換える処理と、車両の運動エネルギを所定値以下に制限する処理との双方を実行することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、主バッテリ46に消耗が認められる場合に、それらの処理の一方のみを実行することとしてもよい。
【0036】
次に、図3を参照して本発明の第2実施例について説明する。
図3は、本発明の第2実施例の電動式ブレーキ装置のシステム構成図を示す。本実施例の電動式ブレーキ装置は、通常時には2つのバッテリを並行して使用し、一方のバッテリに消耗が認められる場合に、他方のバッテリを全ての車輪の電力供給源とする点に特徴を有している。尚、図3において、上記図2に示す構成部分と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0037】
本実施例の電動式ブレーキ装置は、前輪用バッテリ120を備えている。前輪用バッテリ120は、前輪側の駆動回路36,38に直接的に接続されていると共に、リレーユニット122を介して後輪側の駆動回路40,42に間接的に接続されている。また、本実施例の電動式ブレーキ装置は、後輪用バッテリ124を備えている。後輪用バッテリ124は、後輪側の駆動回路40,42に直接的に接続されていると共に、リレーユニット126を介して前輪側の駆動回路36,38に間接的に接続されている。
【0038】
リレーユニット122は、前輪側バッテリ120と後輪側の駆動回路40,42とを遮断状態とする第1状態と、それらを導通状態とする第2状態とを実現するデバイスである。一方、リレーユニット126は、後輪側バッテリ124と前輪側の駆動回路36,38とを遮断状態とする第1状態と、それらを導通状態とする第2状態とを実現するデバイスである。
【0039】
リレーユニット122,126は、それぞれ、ECU10から駆動信号が供給されていない場合に上記の第1状態を実現し、ECU10から駆動信号が供給されることにより上記の第2状態を実現する。従って、前輪側のブレーキモータ28,30、および、後輪側のブレーキモータ32,34は、通常時にはそれぞれ前輪側バッテリ120または後輪側バッテリ124から電力の供給を受ける。
【0040】
そして、前輪側のブレーキモータ28,30は、ECU10からリレーユニット126に駆動信号が供給されている場合は、前輪側バッテリ120に加えて後輪側バッテリ124からも電力の供給を受ける。同様に、後輪側のブレーキモータ32,34は、ECU10からリレーユニット122に駆動信号が供給されている場合は、後輪側バッテリ124に加えて前輪側バッテリ120からも電力の供給を受ける。
【0041】
ECU10には、前輪側バッテリ120の正極端子、および、後輪側バッテリ124の正極端子が接続されている。それらの正極端子には、前輪側バッテリ120または後輪側バッテリ124の消耗状態に応じた電圧が発生する。ECU10は、それらの出力端子電圧に基づいて、前輪側バッテリ120の消耗状態、および、後輪側バッテリ124の消耗状態を検知する。
【0042】
本実施例において、ECU10は、前輪側バッテリ120について所定の消耗状態、すなわち、前輪側のブレーキモータ36,38を適正に駆動する上で不適切な消耗状態が認められると、リレーユニット126を第1状態(遮断状態)から第2状態(導通状態)に切り換える。また、ECU10は、後輪側バッテリ124について同様の消耗状態が認められると、リレーユニット122を第1状態(遮断状態)から第2状態(導通状態)に切り換える。
【0043】
上記の処理によれば、前輪側バッテリ120に消耗が生じていない場合に、前輪側のブレーキモータ28,30を前輪側バッテリ120を電力供給源として適正に駆動することができると共に、前輪側バッテリ120に消耗が認められる場合に、前輪側のブレーキモータ28,30を、消耗の生じていない後輪側バッテリ124を電力供給源として適正に駆動することができる。
【0044】
また、上記の処理によれば、後輪側バッテリ124に消耗が生じていない場合に、後輪側のブレーキモータ32,34を後輪側バッテリ124を電力供給源として適正に駆動することができると共に、後輪側バッテリ124に消耗が認められる場合に、後輪側のブレーキモータ32,34を、消耗の生じていない前輪側バッテリ120を電力供給源として適正に駆動することができる。
【0045】
このため、本実施例の電動式ブレーキ装置によれば、前輪側バッテリ120および後輪側バッテリ124の消耗状態に影響されることなく、全ての車輪のブレーキモータ28,30,32,34を常に優れた応答性の下に駆動することができる。従って、本実施例の電動式ブレーキ装置によれば、車両の走行中に、常に応答性に優れた制動特性を実現することができる。
【0046】
ところで、上記の実施例においては、前輪側バッテリ120または後輪側バッテリ124に消耗が認められる場合に、消耗の生じていないバッテリを電力供給源とすることで応答性に優れた制動特性を実現することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、何れかのバッテリに消耗が認められる場合に、電力供給源を切り換える処理に代えて、または、電力供給源を切り換える処理と共に、車両の運動エネルギを所定値以下に制限する処理を実行することとしてもよい。
【0047】
また、上記の実施例においては、ブレーキ装置の系統を前輪系統と後輪系統とに分けることとしているが、ブレーキ装置の構成はこれに限定されるものではなく、右前輪と左後輪とで一系統を構成し、左前輪と右後輪とで一系統を構成することとしてもよい。
尚、上記の実施例においては、前輪側バッテリ46および後輪側バッテリ48の双方が特許請求の範囲に記載の「バッテリ」に相当していると共に、ECU10が、それらのバッテリの消耗状態を検出することにより特許請求の範囲に記載の「消耗状態検出手段」が、それらのバッテリの少なくとも一方に消耗が認められる場合に車両の運動エネルギを制限する処理を実行することにより特許請求の範囲に記載の「運動エネルギ制限手段」が、それぞれ実現される。
【0049】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、バッテリの消耗時に車両の運動エネルギを制限することで、バッテリの消耗に伴って車両の制動力特性が著しく悪化するのを防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の電動式ブレーキ装置のシステム構成図である。
【図2】図1に示す電動式ブレーキ装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例の電動式ブレーキ装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU)
12,14,16,18 ディスクロータ
20,22,24,26 電動キャリパ
28,30,32,34 ブレーキモータ
44;122,126 リレーユニット
46 主バッテリ
48 補助バッテリ
120 前輪用バッテリ
124 後輪用バッテリ

Claims (3)

  1. 電気的に駆動されることにより制動力を発生するブレーキアクチュエータを備える電動式ブレーキ装置において、
    前記ブレーキアクチュエータに電力を供給するバッテリと、
    前記バッテリの消耗状態を検出する消耗状態検出手段と、
    前記バッテリについて所定の消耗状態が検出された場合に、車両の運動エネルギを所定値以下に制限する運動エネルギ制限手段と、
    を備えることを特徴とする電動式ブレーキ装置。
  2. 前記運動エネルギ制限手段は、車速を所定値以下に制限する、請求項1に記載の電動式ブレーキ装置。
  3. 前記所定値は、車両の重量に応じて変化される、請求項2に記載の電動式ブレーキ装置。
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