JP4187467B2 - 負荷駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング素子によりパワートランジスタのベース電流のオン/オフを制御して該パワートランジスタに直列接続された負荷の駆動/停止を制御する負荷駆動回路に係り、特にパワートランジスタのベース電流を制御し無駄な消費電流を削減する負荷駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、バイポーラ型のパワートランジスタをスイッチングするためのベース電流には、負荷に関係なく一定の電流を流している。たとえば、モータの駆動/停止を制御するモータ制御回路においては、そのモータを駆動するパワートランジスタにはそのモータの起動時に流れる大きな電流に対応するために、比較的大きなベース電流を流しているが、通常動作時の負荷電流は小さいので、その時にパワートランジスタに供給するベース電流は小さくても構わない。このことからバイポーラ型のパワートランジスタを使用した駆動回路では、消費電流の低減や高効率化が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、負荷に応じてベース電流を調整すれば、上記した問題は解消されるが、パワートランジスタの負荷電流を検出するための抵抗を挿入すると、高出力電流時における消費電力と発熱が無視できない。また、その分パワートランジスタのサイズを大きくする必要があり、ICのように限られたスペースに組み込む場合には大変不利である。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、高出力電流時の飽和電圧特性を悪化させることなく低発熱化と低消費電流を実現することができる負荷駆動回路を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、スイッチング素子によりパワートランジスタのベース電流のオン/オフを制御して該パワートランジスタに直列接続された負荷の駆動/停止を制御する負荷駆動回路において、前記パワートランジスタの飽和電圧を検出してこれを電流信号に変換し該電流信号により前記パワートランジスタの前記ベース電流を制御する可変型電圧電流変換部を具備し、該可変型電圧電流変換部は、前記飽和電圧からオフセット電圧を差し引くオフセット発生部と、該オフセット発生部でオフセット電圧を引いた電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、該電圧電流変換部で得られた電流を反転して前記パワートランジスタのベースに供給する電流方向反転部とを有することを特徴とする負荷駆動回路とした。
【0006】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の負荷駆動回路において、前記電圧電流変換部は、電圧を電流に変換する抵抗と、該抵抗に直列接続されたダイオードとの直列回路からなることを特徴とする負荷駆動回路とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
[発明の原理]
本発明では、図1に示すように、電源Vccと接地GND間に負荷RLがパワートランジスタQ1と直列接続され、そのトランジスタQ1のベース電流がスイッチSWで制御される構成の負荷駆動回路において、スイッチSWがオフ時(負荷駆動時)のパワートランジスタQ1の飽和電圧(コレクタ・エミッタ間電圧Vce)を検出してこれを電流信号に変換する可変型電圧電流変換部10を備え、この可変型電圧電流変換部10で得られた電流信号をパワートランジスタQ1のベースに供給するようにして、そのパワートランジスタQ1のベース電流が飽和電圧に比例して増減するよう制御する。
【0009】
[発明の概要]
図2は負荷駆動回路の概略構成を示すブロック図である。前記したスイッチSWはスイッチングトランジスタQ14で構成する。11は差動増幅部であり、パワートランジスタQ1の飽和電圧Vceにオフセット発生部12で発生した負のオフセット電圧Vofを加算して非反転入力部に入力する。差動増幅部11の出力はトランジスタQ7のベースに出力し、そのトランジスタQ7のエミッタ電圧を差動増幅部11の反転入力端子に帰還する。これにより差動増幅部11とトランジスタQ7は電圧ホロワを構成する。トランジスタQ7のエミッタには飽和電圧Vceに対応する電圧を電流に変換する電圧電流変換部13が接続されている。そして、この電圧電流変換部13で電流に変換された信号(前記した飽和電圧Vceに対応する電流)が電流方向反転部14において電流方向を反転されてパワートランジスタQ1のベースに供給される。
【0010】
以上により、トランジスタQ14がオフしている状態では、負荷RLが重くなりパワートランジスタQ1の飽和電圧Vceが大きくなると、この飽和電圧Vceからオフセット電圧Vofを減算した電圧がトランジスタQ7の出力側に現れ、電圧電流変換部13で電流信号に変換され、電流方向反転部14で方向を反転され、パワートランジスタQ1のベースに供給され、パワートランジスタQ1には大きなベース電流が供給される。逆に、負荷RLが軽くなりパワートランジスタQ1の飽和電圧Vceが小さくなると、パワートランジスタQ1には小さなベース電流が供給される。
【0011】
このように、飽和電圧Vceに比例してパワートランジスタQ1のベース電流が制御される。負のオフセット電圧Vofを導入しているのは、パワートランジスタの飽和電圧Vceがゼロ電圧にまで低下しなくても、そのベース電流をよりゼロ近くにまで減少させて消費電流を削減するためである。
【0012】
[発明の具体例]
図3は負荷駆動回路の具体的な回路図である。トランジスタQ2〜Q6と抵抗R1は差動増幅部15を構成し、トランジスタQ3,Q4のエミッタ面積n1,n2の比がn1:n2=10:1に設定され、これにより前記した負のオフセット電圧Vofが与えられている。つまり、この差動増幅部15は図2の差動増幅部11とオフセット発生部12を構成している。トランジスタQ5,Q6はこの差動増幅部15の能動負荷として働くカレントミラー回路である。トランジスタQ7は差動増幅部15の出力側(トランジスタQ4のコレクタ)に接続され、トランジスタQ4にエミッタ出力を帰還することにより差動増幅部15と共に電圧ホロアを構成している。
【0013】
トランジスタQ7のエミッタに接続されたトランジスタQ13と抵抗R2は電圧電流変換部13を構成し、パワートランジスタQ1の飽和電圧Vceに対応した電圧を電流信号に変換するが、そのうちのトランジスタQ13は飽和電圧Vceが正の温度特性をもつことからその温度補償を行うためのものである。電圧電流変換部13を抵抗R2のみで構成した場合は、温度上昇に比例して飽和電圧Vceが増大しそれに比例してパワートランジスタQ1のベース電流が増大するので、熱暴走を引き起こすおそれがあるが、トランジスタQ13からなるダイオードを挿入することで温度の影響を排除でき熱暴走が防止できる。トランジスタQ7の電流を方向反転する電流方向反転部14はトランジスタQ8,Q9よりなるカレントミラー回路で構成されている。
【0014】
16はカレントミラー回路からなる電流増幅部であり、電流方向反転部14で反転された電流を増幅して、パワートランジスタQ1のベースに供給する。この電流増幅部16はトランジスタQ10〜Q12で構成され、トランジスタQ11,Q12のエミッタ面積n3,n4の比が、n3:n=1:70に設定されいる。また、抵抗R3は150Ωに設定されている。これらにより、電流増幅部16では、電圧電流変換部13で飽和電圧Vceに対応した電圧から電流信号に変換された電流は、実際の飽和電圧Vceに対応するよう100倍程度に増幅されてパワートランジスタQ1のベースに供給される。
【0015】
以上により、図3の負荷駆動回路は、図2で説明した動作に加えて、ベース電流の温度補償も行われる。図4に図3の負荷駆動回路の動作特性を示した。パワートランジスタQ1の飽和電圧Vceが小さいときはそのベース電流Ibも少なくなっていて、消費電流低減が実現できていることが分かる。
【0016】
【発明の効果】
以上から本発明によれば、モータその他の負荷に応じてパワートランジスタのベース電流を制御するため、消費電流が小さくでき、発熱も最小限に抑えることが可能である。また、位相補備のキャパシタが必要ないためlC化する際に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の負荷駆動回路の原理説明図である。
【図2】 本発明の負荷駆動回路の概略構成のブロック図である。
【図3】 本発明の負荷駆動回路の具体例の回路図図である。
【図4】 図3の負荷駆動回路の動作特性図である。
【符号の説明】
RL:負荷、SW:スイッチ、Q1:パワートランジスタ、Q14:スイッチングトランジスタ
10:可変型電圧電流変換部、11:差動増幅部、12:オフセット発生部、13:電圧電流変換部、14:電流方向反転部、15:差動増幅部、16:電流増幅部

Claims (2)

  1. スイッチング素子によりパワートランジスタのベース電流のオン/オフを制御して該パワートランジスタに直列接続された負荷の駆動/停止を制御する負荷駆動回路において、
    前記パワートランジスタの飽和電圧を検出してこれを電流信号に変換し該電流信号により前記パワートランジスタの前記ベース電流を制御する可変型電圧電流変換部を具備し、
    該可変型電圧電流変換部は、前記飽和電圧からオフセット電圧を差し引くオフセット発生部と、該オフセット発生部でオフセット電圧を引いた電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、該電圧電流変換部で得られた電流を反転して前記パワートランジスタのベースに供給する電流方向反転部とを有することを特徴とする負荷駆動回路。
  2. 請求項1に記載の負荷駆動回路において、
    前記電圧電流変換部は、電圧を電流に変換する抵抗と、該抵抗に直列接続されたダイオードとの直列回路からなることを特徴とする負荷駆動回路。
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