JP4112032B2 - N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの改良された製造方法 - Google Patents

N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの改良された製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗不安薬、抗てんかん薬、鎮痛−催眠薬および骨格筋弛緩薬として有用なN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドを大規模に製造するための改良された方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第4,626,538号は、酢酸中で3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンを3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルと反応させることによって、所望の化合物であるN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドを製造する方法を教示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの製造において、3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンまたはその適当な塩を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルまたはその適当な塩と反応させる際に、酢酸に水を約10%〜約85%(v/v)の割合で添加することによって、収率および純度を向上させ得るだけでなく、反応温度を低下させ、かつ、反応時間を短縮できることが見い出された。
【0004】
本発明の目的は、抗不安薬、抗てんかん薬、鎮痛−催眠薬および骨格筋弛緩薬として有用なN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの改良された製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明によるN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの改良された製造方法は、水および酢酸からなる混合物中で3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンまたはその適当な塩を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルまたはその適当な塩と反応させることを特徴とする。
【0006】
意外なことに、N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの製造に際して、酢酸に水を約10%〜約85%(v/v)の割合で添加することによって、極めて高純度の生成物が高収率で得られることが見い出された。さらに、反応時間が約3時間〜約3.5時間から約1時間〜約3.5時間に有意に短縮されると共に、反応温度が90℃から約25℃〜約70℃に低下する。これに対し、公知の従来法では、酢酸を還流温度(約120℃)で用いるが、不純物が生成することから、収率および純度が低下する。意外にも、本発明の改良された製造方法では、不純物(黄色がかった生成物を与えることが多い)が除去されるので、常に白色、灰色がかった白色または透き通った生成物が得られる。(透き通った生成物は、始めから得られる場合もあるし、再結晶を1回行うことによって得られる場合もある。)
【0007】
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの製造に際して、酢酸に添加するのに適当な水の割合が、約10%〜約85%、好ましくは約11%〜約75%、特に好ましくは約60%〜約75%(1:2(v/v)の酢酸:水)であることが見い出された。本発明の好ましい具体例では、約1:2(v/v)の酢酸:水を利用する。本発明によって酢酸水溶液を用いると、従来法に比べて有意に高収率および高純度の生成物が得られる。
【0008】
水は、製造工程の始めの段階で、酢酸に適宜添加すればよい。あるいは、製造工程の途中で、何回かに分けて、あるいは、徐々に増加する量で、反応混合物に添加してもよい。本発明のある態様では、製造工程の初めの段階で、まず水を反応混合物に添加した後、いったん反応が実質的に完了したら、例えば、生成物の回収を容易にするために、さらに水を添加する。2回目に添加する際の水の添加量は、酢酸中における水の合計量が約10%〜約85%、好ましくは約11%〜約75%、より好ましくは約60%〜約75%となるのに充分なものであることが好ましい。本発明のある好ましい具体例では、最終的な酢酸:水の割合は約1:2(v/v)である。
【0009】
本発明が出発物質のいずれかまたは両方の許容される塩を利用して適宜実施することができることは当業者に明らかである。
【0010】
本発明の改良された製造方法によって、反応時間が約3時間〜約3.5時間から約1時間〜約3.5時間に短縮され、反応温度が90℃から約25℃〜約70℃に低下し、かつ、高純度の生成物が得られる。かかる生成物は、ワンポット反応によって最少限の処理工程で容易に単離される。反応温度は、好ましくは約25℃〜約70℃、より好ましくは約40℃〜約60℃、最も好ましくは約50℃である。反応時間は、好ましくは約1時間〜約3.5時間、より好ましくは約1時間〜約2.5時間、さらに好ましくは約1時間〜2時間である。最も好ましい反応時間は、約1.5時間である。得られる生成物の収率は、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも84重量%、最も好ましくは約85重量%である。
【0011】
したがって、本発明は、N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドと呼ばれる化合物を製造する際に、酢酸水溶液中で3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンまたはその適当な塩を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルまたはその適当な塩と、該化合物が形成されるまで反応させ、純粋な生成物を向上した収率で回収することからなる製造方法を提供する。
【0012】
本発明の改良された製造方法は、N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドと呼ばれる化合物を製造する際に、約25℃〜約70℃の好ましい温度および約1時間〜約3.5時間の好ましい時間で反応を維持し、該化合物を単離するのが、特に効果的である。
【0013】
本発明の改良された製造方法を以下のスキームIに示す。スキームIにおいて、所望の生成物であるN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド(3)は、3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(1)を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(2)と反応させることによって得られる。
【0014】
【化1】
Figure 0004112032
【0015】
スキームIに従って、例えば、約11%〜約75%(v/v)水:酢酸中で3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(1)を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(2)と反応させると、約25℃〜約70℃の温度で約1時間〜約1.5時間後に反応が完結し、所望の生成物であるN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド(3)が、不純物を含まない形で単離される。生成物は濾過によって採取し、水で洗浄し、乾燥させればよい。上記の改良を行うことによって、N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド(3)は全収率85%またはそれ以上で製造することができるが、これは米国特許第4,626,538号の実施例14の方法を用いて得られる全収率76%に比べて高い。
【0016】
特に、上記化合物は、反応温度が約25℃〜約70℃、反応時間が約1時間〜約3.5時間という制御条件下で製造される。
【0017】
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド(3)の製造に際して、酢酸に水を添加する効果を図1に示す。
【0018】
図1から明らかなように、酢酸水溶液中におけるN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド化合物の製造は、従来法に比べて、反応時間が短縮されるだけでなく、低温で実施可能となる。
【0019】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を例示するものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0020】
実施例1
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
789mlの酢酸および1500mlの水中における315gの3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンおよび138gの3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルの混合物を約50℃に加温する。約1〜1.5時間後、この反応混合物を約5〜15℃に冷却し、生じた結晶性の生成物を濾過によって採取し、水で洗浄し、60℃で乾燥させる。生成物は、収率86.2%および純度99.05%(HPLC面積%)で得られる。
【0021】
実施例2
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
実施例1の反応条件を変化させた場合の効果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004112032
【0023】
実施例3
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
37.5mlの酢酸および113mlの水中における3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(13.02g、0.05モル)および3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(5.7g、0.0527モル)の混合物を50℃に加熱した。約1.5〜2時間後、この反応混合物を10〜20℃に冷却し、結晶性の生成物を濾過によって採取し、水で洗浄し、60℃で乾燥させた。生成物(13.1g)は、収率85.8%および純度98.2%(HPLC面積%)で得られた。
【0024】
実施例4
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
50mlの酢酸および100mlの水中における3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(13.02g、0.05モル)および3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(5.6g、0.052モル)の混合物を25〜28℃に加熱した。約4.5時間後、この反応混合物を7〜10℃に冷却し、結晶性の生成物を濾過によって採取し、水で洗浄し、60℃で乾燥させた。生成物(12.55g)は、収率82.2%および純度99.1%(HPLC面積%)で得られた。
【0025】
以上の実施例は、本発明を実施するのに好ましい手段、すなわち、好ましい割合の酢酸/水中で、3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンを3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルと反応させ、その後、この反応混合物を単に冷却することによって、結晶性の生成物を回収する方法を例示する。
【0026】
以下の3つの実施例では、本発明を実施する別の手段、すなわち、1/3〜2/3(60%〜75%水/酢酸)より高い初期割合の酢酸/水中で、3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンを3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルと反応させ、回収のための結晶化を開始する前に、最終的な割合を達成するために、さらに水を添加する方法を例示する。
【0027】
実施例5
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
12mlの酢酸および1.5mlの水中における3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(2.6g、0.010モル)および3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(1.14g、0.010モル)の混合物を70℃に加熱した。約2.0時間後、30mlの水を反応混合物に添加し、この内容物を1時間かけて室温(20℃)に冷却させた。得られた結晶性の生成物を濾過によって採取し、水で洗浄し、60℃で乾燥させた。生成物(2.55g)は、収率83.5%および純度97.3%(HPLC面積%)で得られた。
【0028】
実施例6
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
85mlの酢酸および50mlの水中における3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(13.02g、0.05モル)および3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(5.7g、0.0527モル)の混合物を50℃に加熱した。約2.5〜3時間後、108mlの水を反応混合物に添加し、この内容物を10℃に冷却させた。得られた結晶性の生成物(12.15g)は、収率76.5%および純度99.4%(HPLC面積%)で得られた。第2の収穫物である生成物の結晶(1.21g)は、5℃で一晩冷却した後の母液から、収率7.9%および純度96.2%(HPLC面積%)で採取した。(全収量は15.3gであり、全収率は87.2%であった。)
【0029】
実施例7
N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミド
60mlの酢酸および18mlの水中における3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オン(20g、0.077モル)および3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル(9.3g、0.086モル)の混合物を60℃に加熱した。3.5時間後、102mlの水を反応混合物に添加し、この内容物を3時間かけてゆっくり0℃に冷却させた。得られた結晶性の生成物を濾過によって採取し、水で洗浄し、真空中、60℃で乾燥させた。生成物(21g)は、収率88%および純度99.2%(HPLC面積%)で得られた。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、抗不安薬、抗てんかん薬、鎮痛−催眠薬および骨格筋弛緩薬として有用なN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドが、従来法に比べて、低温かつ短時間に、高収率および高純度で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの製造に際して、反応温度および酢酸中の水の濃度を変化させて得られた生成物収率(HPLC面積%)を反応時間(hr)に対してプロットしたグラフ図である。

Claims (8)

  1. 水および酢酸からなる混合物中で3−ジメチルアミノ−1−(3−N−エチル−N−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン−1−オンまたはその適当な塩を3−アミノピラゾール−4−カルボニトリルまたはその適当な塩と反応させることを特徴とするN−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの製造方法であって、水が酢酸と水の全量に対して11%から75%(v/v)の量で存在する方法。
  2. 酢酸と水の全量に対する11%〜75%(v/v)の水からなる混合物中で反応を行う請求項1記載の製造方法。
  3. 酢酸と水の全量に対する60%〜75%(v/v)の水からなる混合物中で反応を行う請求項1記載の製造方法。
  4. 反応温度が25℃〜70℃である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 反応温度が40℃〜60℃である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 反応の完結する時間が1時間〜3.5時間である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 反応の完結する時間が1時間〜2.5時間である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 反応の完結する時間が1時間〜2時間である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
JP31909596A 1995-12-01 1996-11-29 N−[3−(3−シアノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチル−アセトアミドの改良された製造方法 Expired - Fee Related JP4112032B2 (ja)

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