JP4108941B2 - 基板の把持装置、処理装置、及び把持方法 - Google Patents

基板の把持装置、処理装置、及び把持方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の把持装置、処理装置、及び把持方法に関し、特に半導体ウエハのような高い平坦度と清浄度を必要とする基板を処理するのに好適な基板の把持装置、処理装置、及び把持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体基板上に配線回路を形成するための材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が一般に用いられているが、半導体デバイスの集積度の向上に伴い、より導電率の高い材料を配線材料に採用することが要求されている。このため、回路パターン溝及び/又は穴が形成された半導体基板面にめっき処理を施して、該回路パターン溝及び/又は穴にCu(銅)又はその合金を充填し、該充填した部分を除いて該Cu又はその合金を除去し、回路配線を形成する方法が提案されている。
【0003】
上記回路配線を形成するには、まず半導体素子が形成された半導体基板上に導電層が形成され、該導電層の上にSiOからなる絶縁膜が堆積され、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホールと配線用の溝が形成され、その上にTiN等からなるバリア層、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層が形成される。
【0004】
さらに半導体基板の表面にCuめっきを施すことで、半導体基板のコンタクトホール又は溝内にCuを充填させると共に、絶縁膜上にCuめっき膜層を堆積させる。その後、化学的機械的研磨(CMP)により、絶縁膜上のCuめっき膜層及びバリア層を除去し、コンタクトホール及び配線用の溝に充填させたCuめっき膜層の表面と絶縁膜の表面とを略同一平面にする。これにより、銅めっき膜層からなる配線が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、バリア層は絶縁膜のほぼ全面を、シード層はバリア層のほぼ全面をそれぞれ覆うように形成されるため、半導体基板のベベル(外周部)にシード層である銅膜が存在したり、また半導体基板のベベルの内側のエッジ(外周部)に銅が成膜されて残ることがある。
【0006】
銅は、例えばアニール等の半導体製造工程において、絶縁膜中に容易に拡散し、その絶縁性を劣化させたり、次に成膜する膜との接着性が損なわれ、そこから剥離する原因ともなり得るので、基板から完全に除去することが要求されている。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑み、ウエハ等の基板のエッジ、ベベル部や裏面の処理を簡単に行なうことができ、かつ基板を安定に保持することができる基板の把持装置、処理装置、及び把持方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するためになされたもので、その構成は、例えば図2、4に示すように、素子が形成されたデバイス形成面が一方の面に形成された基板Wを、浸漬槽24内に浸漬して処理するために把持する把持装置において;基板Wの一方の面に接触する真空吸着部材48であって外側リング状部材48aと、該外側リング状部材48aの内側の内側リング状部材48bとを有し、外側リング状部材48aと内側リング状部材48bとの間に環状の溝50が形成され、該溝50を真空に引き基板Wを吸着する環状の真空吸着部材48と;下面を有し、真空吸着部材48を前記下面に取り付け、基板Wの一方の面と真空吸着部材48と共に空間を形成するホルダ板44とを備え;ホルダ板44には、真空吸着部材48が基板Wを吸着しているときに気体を前記空間に供給するパージ穴が形成され;内側リング状部材48bの外径は、内側リング状部材48bの外周が前記デバイス形成面の外側になるよう構成されている。
【0009】
これにより、基板の他方の面、基板の側端部、及び基板の一方の面の周辺のベベル部を露出させた状態で基板を安定的に把持し、これらの箇所を1つの工程で同時に面処理することができる。
【0010】
また、真空吸着部材と基板の一方の面とホルダ板により囲まれて形成された空間内に、真空吸着部材が基板を吸着しているときに気体を供給することにより、浸漬処理時の浸漬液の空間内部への回り込みを防止することができる。さらに、内側リング状部材の外径は、内側リング状部材の外周がデバイス形成面の外側になるよう構成されているので、内側リング状部材と基板の一方の面との接触部及び内側リング状部材の内側は浸漬液から保護される。
真空吸着部材は、典型的には環状に形成されている。特に好ましくは、真空吸着部材及び溝は、円環状に形成する。
また、真空吸着部材48は、水平に設置される円板状のホルダ板44の下面に取り付けるとよく、このときは、基板の吸着された面の内側の平坦面の部分は真空吸着部材48とホルダ板44によって覆われるので、面処理が行われず、その外側部分、すなわち基板吸着面のベベル部と端面及び下面(他方の面)のみの処理が行われる。
【0011】
外側リング状部材及び内側リング状部材の材料は、ゴム、軟質プラスチック、およびフッ素樹脂からなる群から選択された材料とするとよい。
【0012】
基板表面に疵を付けるのを防止するため、及び基板表面にある程度密着して気密性を確保するためである。ゴムは、天然ゴム、合成ゴム、フッ素樹脂は、PTFE、PFA、ダイフロンのような耐薬品性や耐熱性を備えているものとするとよい。さらに、材料は、カルレッツ、ケムレッツ、バイトン等であってもよい。
【0013】
この発明のさらに他の構成は、上記の把持装置と、把持された基板の面を処理する面処理装置とを備える基板の処理装置である。ここで基板の処理装置には、真空吸着部材48に真空を生じさせる排気路52と導管54に接続され、真空吸着部材48から吸引された液体や排気ガスを気体と液体に分離する気液分離槽56を備えるようにしてもよい。
【0014】
さらに、基板の洗浄及び/又は乾燥を行う装置を有することが好ましい。また、処理後の基板の状態を検査し、処理の達成状態を判定する判定装置を有することが好ましい。
【0015】
上記基板の処理装置は、前記把持装置で把持された基板を浸漬する浸漬槽を備えるようにしてもよい。
【0016】
基板の把持方法は、素子が形成されたデバイス形成面が一方の面に形成された基板を、浸漬槽内に浸漬して処理するために把持する把持方法において;外側リング状部材と、該外側リング状部材の内側の内側リング状部材とを有し、前記外側リング状部材と前記内側リング状部材との間に環状の溝が形成された真空吸着部材を、前記内側リング状部材の外周が前記デバイス形成面の外側になるよう前記内側リング状部材の外径を構成して、前記基板の一方の面に接触させ、前記溝を真空に引いて前記基板を真空吸着し、前記真空吸着部材が前記基板を吸着しているときに、前記基板の一方の面と、前記真空吸着部材と、前記真空吸着部材を下面に取り付けたホルダ板とに囲まれて形成された空間に気体を供給し、前記基板を保持するものであってもよい。
これにより、基板の他方の面、基板の側端部、及び一方の面の周辺のベベル部を露出させた状態で基板を安定的に把持し、これらの箇所を1つの工程で同時に面処理することができる。
真空吸着部材が基板を吸着しているときに、基板の一方の面と真空吸着部材とホルダ板により囲まれて形成された空間内に気体を供給することにより、例えば、エッチング処理時のエッチング液の空間内部への回り込みを防止することができる。
【0017】
この発明の他の構成は、基板の面を処理するために該基板を把持する把持方法において、基板の一方の面のエッジに真空吸着部材を接触させ、該基板を真空吸着して基板を保持する基板の把持方法であってもよい。
ここで、エッジとは、半導体等の基板の面上でデバイスが形成されていない周辺部分をいい、典型的には基板の外周端部から5mm位の基板の表裏面の部分である。また、ベベルとは、基板の側面部及び外周端部から典型的には0.5mm以内の断面が曲線を有する部分、または面取りされた部分をいう。また、基板のエッジ及びベベルを合わせた領域を外周部とも呼ぶ。このような外周部に成膜乃至付着した銅等は不要であるばかりでなく、その後の半導体基板の搬送、保管・処理の工程において、クロスコンタミの原因ともなり得るので銅の成膜工程やCMP工程直後に完全に除去する必要がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の1つの実施の形態であるエッチング装置の全体構成を示す配置図で、この装置は、例えばCVDやスパッタ、メッキ等の成膜後、ウエハを次工程に送る前に、ウエハのデバイス形成面の周辺の部分、即ち外周部(ベベル部とエッジ部)及び裏面をエッチングするものである。このエッチング工程は、裏面、べベル、ノッチ部に、成膜時に付着した余分な膜を除去することを1つの目的としている。
【0019】
この装置は、一端側にウエハを収納するカセット10a、10bが配置され、それを基端として搬送ロボット12の走行スペース14が他端に向けて設けられている。走行スペース14の一側には、乾燥ユニット16、洗浄ユニット18、エッチングユニット20が順次配置され、他側には検査ユニット22が配置されている。搬送ロボット12は、乾燥ウエハと濡れたウエハを別に扱うために少なくとも2本のハンドを有することが望ましい。
【0020】
図2の模式的正面断面図を参照して、面処理装置としてのエッチングユニット20を説明する。このエッチングユニット20は、面処理部である浸漬槽としてのエッチング槽24と、ウエハWを保持するウエハホルダ26と、それらの付帯設備とを備えている。
【0021】
なお図2及び後で参照する図3、図4では、真空吸着部材48は、便宜上、基板Wまたは他の構成要素に対して相対的に拡大して図示されている。実際には、200〜300mmの基板に対して、真空吸着部材48の幅は、0.5〜2mm程度であり、一実施例では約0.75mmとした。
【0022】
エッチング槽24は有底円筒状の容器であり、底部等の所定箇所に浴温を一定に保つヒータ28が配置され、エッチング液30を槽24の底部中央から槽内に供給するエッチング液供給ライン32がエッチング液貯留タンク34より延びて設けられている。
【0023】
エッチング液供給ライン32には、エッチング液30をエッチング槽24に圧送するポンプ38と、濃度計(典型的には液の導電率計であり、導電率と濃度には相関関係があることを利用して濃度を計測する)51と、液30を加熱し、あるいは保温するためのインラインヒータ36、ケミカルフィルタ53とが配置されている。但し、ヒータ28とインラインヒータ36とは、必ずしも両方を備える必要はなく、必要に応じていずれか一方を搭載するようにしてもよい。また、これらのヒータは不図示の温度センサと温度調節器に接続して、液30の温度制御を行なうことができるようにしてもよい。またケミカルフィルタ53と槽24との間のライン32には三方弁55が挿入配置されている。三方弁55のライン32以外に接続する第3のポートにはバイパスライン39が接続されており、ライン39は液貯留タンク34に導かれている。
【0024】
エッチング槽24の上部には、オーバーフローした液30を受ける樋40が設けられ、これには液30を所定の収容タンクに導く回収ライン42が設けられている。
【0025】
また、エッチングユニット20は、前記把持装置としてのウエハホルダ26及び槽24との少なくとも一方を相手側に向けて前進又は後退させる、不図示の移動機構を備える。
【0026】
ウエハホルダ26は、水平な円板状のホルダ板44と、その上側に立設された筒状部46とを備えており、図示しない駆動機構により水平面内で回転可能に、かつ昇降可能になっている。ホルダ板44の下面には、図3に示すように、その周縁部に沿って環状の真空吸着部材48が取り付けられている。これは、前記のように、天然ゴム、合成ゴム又は軟質プラスチックのような弾性を有する部材から形成されている。真空吸着部材48の形状、寸法、材質等は、後述するように溝の開口側を基板Wに押しつけて溝内を所定の真空圧力にした時に変形しない程度の剛性と、基板Wに対する密着性とを確保し、基板Wを安定的に把持することができるように設定される。
【0027】
濃度計51は、液30の濃度を監視してそれを一定に保つために用いられる。濃度の調整は、不図示の供給口から濃度の高い液あるいは純水を供給することにより行なう。ケミカルフィルタ53は、基板の処理により発生した生成物等の異物を濾過するのに用いられる。三方弁55は、エッチングを行なわないときに、液供給ライン32をエッチング槽24へのラインからバイパスライン39に切り換えるのに用いる。この切換により、エッチング液は、貯留タンク34から、濃度計51、ヒータ36、ケミカルフィルタ53を通して再び貯留タンク34へと循環する。この循環により、エッチング液の温度、濃度、清浄度をいつでもエッチング槽34で使用可能な状態に維持しておくことができる。なお、ヒータ36の後流側にフィルタ53を配置すれば、ヒータ36で発生し得るごみも濾過することができる。
【0028】
図4の部分断面図を参照して、真空吸着部材48の構成を説明する。真空吸着部材48には、その中心線に沿って下側に開口する逆V字状の溝50が形成されている。溝50は、2つのリング状部材48a、48bが逆V字状の溝の壁を形成する形となっている。環状(典型的には円環状)の溝50を少なくとも1つ形成するように、リング状部材48a、48bは少なくとも2本あればよい。但し、溝50が2つ以上形成されるように、リング状部材48a、48bは、3本以上あってもよい。
【0029】
図2に戻って説明を継続する。真空吸着部材48及びホルダ板44にはこの溝50に開口する排気路52が形成され、これは導管54及び筒状部46に設けられた図示しない回転継手を介して気液分離槽56又はスクラバーに連通し、さらにこれを経由して真空ポンプ等の真空源Vacに接続されている。排気路等には真空センサ58が設けられ、溝50内の圧力を検出することによってウエハWが適切に把持されたかどうかを検知することができるようになっている。なお、後で説明する排気路52を分かりやすく図示するために、図中真空吸着部材48及びホルダ板44の一部、筒状部材46の一部を断面して示してある。
【0030】
図4を参照して、真空吸着部材48とウエハWとの関係をさらに説明する。ウエハWは、一方の面としての表面と、他方の面としての裏面(適宜両者を総称して「面」ともいう)及び外周面Cを備えた円板状に形成されている。外周面Cは、表面と裏面に垂直な円筒面と、該円筒面と表面または裏面をつなぐ面取り部、即ちべベルBとで形成されている。また外周面Cは、断面図において全体が円弧状に形成されていてもよい。いずれにしても外周面Cの最も直径の大きい部分を(外周)端部と呼ぶ。この端部から基板内側に5mm程度の(デバイスの形成されていない)表面、裏面の領域をエッジとよぶ。ここで円板状に形成されたウエハWの(外周)端部の直径をD、円環状真空吸着部材48の内側直径(リング状部材48bの内径)をd1、円環状の溝50の内側直径(リング状部材48bの外径)をd2、円環状真空吸着部材48の外側直径(リング状部材48aの外径)をd3としたとき、これらの直径の好ましい関係は、図5の場合と同様であるので同図を参照して後で詳しく説明する。
【0031】
真空吸着部材48は、基板Wの素子(デバイス)形成部にエッチング等の処理が及ばないように、その形状と寸法を形成するのが好ましい。また素子形成部に処理が及ばない限りにおいて、できるだけエッジ部を広く処理できるように定めるのがさらに好ましい。
【0032】
真空吸着部材48とホルダ板44及びウエハWは、これらで囲まれる空間を形成している。即ち、真空吸着部材48は、ウエハWの外周近傍で接触しているが、他の部分ではウエハWに接触部がなく、ホルダ板44及びウエハWと共に囲んで形成する空間が中空部となるように構成されている。
【0033】
処理すべきウエハは、200mm、300mm等と標準的サイズが決まっており、それに応じて端部までの直径Dも決まっている。したがって対象とするウエハが決まれば、それに対応する真空吸着部材48の内径d1を定めることができる。
【0034】
以下、図1他を参照して、このように構成されたエッチング装置20によるエッチング工程を説明する。ウエハWは、CVDやスパッタ、メッキ等の成膜後、デバイス形成面を上にしてカセット10a、10bに載置されており、搬送ロボット12の乾燥ウエハ用ハンドによって取り出され、ロボット12の走行によりエッチングユニットまで運ばれる。ウエハホルダ26は上昇位置にあり、図3の部分断面図に示すように、ロボットハンド60は前進して、載置したウエハWをウエハホルダ26の下方に移動させ、ウエハWとホルダ26が同心になるように位置合わせを行なう。
【0035】
そして、ウエハホルダ26を下降させ、図4に示すように、ウエハWが真空吸着部材48の先端に接触した時に真空源Vacに通じる弁62(図2)を開くことによって、溝50の内部の空間を負圧にしてウエハWを吸着し把持する。排気路52等に設けた真空センサ58によって溝50内の圧力を検出することにより、ウエハWが把持されたことを確認した後、ウエハホルダ26を上昇させ、ロボットハンド60を退避させる。なお、ユニット内に不図示の仮置台を設け、これを介してウエハWを受け渡すようにしてもよい。
【0036】
ウエハWを把持したウエハホルダ26は再度下降し、図2に示すように、エッチング槽24内の浴64に、ウエハWと真空吸着部材48の少なくとも一部を浸漬させる。浴64は、この例では、エッチング液供給ライン32より常に液30を供給し、これがウエハWの面に沿って流れて槽24の縁部より流出することにより、定常的な液流れを形成するようにしているが、静止浴でも良い。静止浴の場合の液量は、直径200、300mmのウエハWに対して、500cc以下であることが好ましい。エッチング液30からなる浴64は槽24に組み込んだヒータ28や、インラインヒータ36の発熱量を制御することによって一定温度に保持されている。
【0037】
定常的な液流れを形成する場合は、槽24の底部とウエハWとの間の流速を所定の値以上にすることにより、ウエハWへの気泡の付着を防止することができる。流速を高くするには、槽24の底部とウエハWとの間隙を小さくすればよい。
【0038】
いずれの場合も、ウエハW下面での液流れを良好に維持するために、ウエハホルダ26を回転させることも可能である。ウエハWをエッチング液30に浸漬させる前に、ウエハW面に界面活性剤の噴霧やプラズマの照射等の前処理を行って、ウエハWの面と液のなじみを良くするようにしてもよい。ウエハホルダ26を回転させれば、液のウエハWに対する相対的な速度が高くなり、ウエハWへの気泡の付着を防止することができる。
【0039】
この装置によれば、ウエハWの上側面の真空吸着部材48でカバーされた部分の内側にはエッチング液が流入しないので、デバイス形成面はエッチングされることが無く保護される。一方、上側面のベベル部B(図4参照)と、ウエハWの端面及び下側の全面は一度にエッチング処理がされ、処理時間等に応じた量の表面層が除去され、同時に微粒子等の付着物も除去される。
【0040】
この装置では、ウエハWと真空吸着部材48の接触部の密着性を充分管理しても、隙間から多少のエッチング液のリークが発生する。これは排気路52を通じて気液分離槽56又はスクラバーに導かれ、ここで分離されるので、真空ポンプ等の真空源に影響を与えることはない。
【0041】
エッチングを終えたウエハWは必要な後処理や純水によるリンスを行った後、先の搭載工程と逆の工程を行って濡れたウエハW用のロボットハンドに移され、洗浄ユニット18へ搬送される。洗浄ユニット18では、必要に応じてスクラブや純水の噴射等の方法を行って、ウエハWの表裏面を洗浄する。ここで、必要に応じてウエハWを薬品によりライトエッチしてもよい。洗浄を終えたウエハWはさらにロボット12により乾燥ユニット16に移送され、ここで、スピン乾燥や清浄空気噴射等の方法で乾燥される。乾燥を終えたウエハWは、乾燥ウエハ用のロボットハンド60によってカセット10a、10bに戻される。
【0042】
上記過程において、エッチング、洗浄、乾燥のいずれかの工程の後に、ウエハWを検査ユニット22に移送し、所定のエッチング処理が達成されたかどうかを判定する。検査ユニット22は、例えば、CCDカメラと、その出力を画像処理するコンピュータとを備えたもの等が適宜に用いられる。合否判定の結果はコンピュータに記憶され、次工程で結果に対応した処理がされる。不合格判定を受けた場合は、ウエハWをカセット10a、10bに戻す前に再度の処理を行ったり、エッチング等の加工条件を次のウエハWの処理にフィードバックさせる等の手段を採っても良い。
【0043】
図5の部分断面図を参照して、図4とは別の真空吸着部材148の構成を説明する。真空吸着部材148には、その中心線に沿って下側に開口する、断面が縦長の長方形の溝150が形成されている。溝150は、2つのリング状部材148a、148bが溝150の壁を構成するように形成されている。環状(典型的には円環状)の溝150を少なくとも1つ形成するように、リング状部材148a、148bは少なくとも2本あればよいが、3本以上あってもよい点は図4の場合と同様である。
【0044】
真空吸着部材148及びこれを保持する水平な円板状のホルダ板144には溝150に開口する排気路152が形成され、これは前述の気液分離槽56又はスクラバーに連通し、さらにこれを経由して真空ポンプ等の真空源Vacに接続されている。ウエハWを吸着して保持する作用は真空吸着材48と同様であるので重複した説明を省略する。
【0045】
真空吸着部材148とホルダ板144及びウエハWは、これらで囲まれる空間を形成している点、真空吸着部材148は、ウエハWの外周近傍で接触しているが、他の部分ではウエハWに接触部がなく、ホルダ板144及びウエハWと共に囲んで形成する空間が中空部となるように構成されている点は、真空吸着部材48の場合と同様である。また本実施の形態では、ホルダ板144には、窒素(N)パージ穴が形成されており、ウエハWの上側の面(表面)の真空吸着部材148でカバーされた部分、即ち前記中空部にNをパージすることができるように構成されている。
【0046】
さらに図5を参照して、真空吸着部材148とウエハWとの関係を説明する。図示のウエハWは、全体が丸みをおびた外周面Cを有している。但し、前述のような面取が施された外周面であってもよい。ここで円板状に形成されたウエハWの(外周)端部の直径をD、円環状真空吸着部材148の内側直径(リング状部材148bの内径)をd1、円環状の溝150の内側直径(リング状部材148bの外径)をd2、円環状真空吸着部材148の外側直径(リング状部材148aの外径)をd3とする。一実施例では、(d3−d1)/2=0.75mm、即ち真空吸着部材148の厚さが、0.75mmに形成されており、(d2−d1)/2=0.25mm、即ちリング状部材148bの厚さが0.25mmに形成されている。リング状部材148aの厚さもリング状部材148bと同じく0.25mmに形成されている。したがって、円環状の溝150の幅は、0.75−(0.25+0.25)=0.25mmである。
【0047】
またD=200mmのとき、d3=194mm、即ち、(D−d3)/2=3.0mmとした。このときは、(D−d2)/2=3.5mmとなる。この状態で、溝150を真空に引き、真空吸着部材148の内側にN2パージをしながら、ウエハWをエッチングバスに浸漬したところ、リング状部材148bの外側(直径d2の外側)はエッチングされ、リング状部材148bとの接触部及びその内側はエッチングされなかった。これは溝150が真空であるため、リング状部材148aとウエハWとの接触部は外部のエッチング液が通過するが、リング状部材148bとウエハWとの接触部は内側のN2が通過しエッチング液から保護されるためである。
【0048】
言い換えればこの実施の形態によれば、外側リング状部材148aと内側リング状部材148bとの間に挟まれて形成された環状溝150を真空に引いて基板Wを吸着し、内側リング状部材148bの内側にN2等のパージをしたときは、内側リング状部材148bの外径(環状溝150の内径)d2を、基板のエッチングを施したくない部分(典型的には素子(回路)の形成されている部分)の外側になるように構成するとよい。また回路の形成されていない部分はできるだけエッチングしたいので、直径d2は、回路形成部分と回路非形成部分との境界の円の直径にできるだけ近くするのがよい。具体的には、(D−d2)/2=3.0〜4.0mmとするのがよいが、典型的には略3.5mmとするのが好ましい。前述のように、処理すべきウエハは、200mm、300mm等と標準的サイズが決まっているので、対象とするウエハが決まれば、それに対応する真空吸着部材148の内側リング状部材の外径d2を定めることができる。円環状の真空吸着部材148の幅は、0.5〜2.0mm程度であり、0.5〜1.0mmとするのが好ましく、特に約0.75mmに形成するとよい。なお、溝150の断面形状は縦長の長方形としたが、溝50と同様に逆V字形としてもよい。
【0049】
図6の模式的正面断面図を参照して、本発明の実施の形態である、エッチング装置(エッチングユニット)200とその周辺機器の構成と作用を説明する。本装置は、大別すると、ウエハの授受を行い、処理後のウエハを載置し洗浄するためのウエハステージ201、エッチングを行う浸漬槽としてのエッチング槽221、エッチング対象物であるウエハWを保持し、ウエハステージ201とエッチング槽221間を移動させるウエハホルダ241と、ウエハ洗浄液吐出用のノズル202、203、ステージ201の周囲に設けられた液飛散防止のためのカップ208、及びこれらの装置を収容するフレーム(不図示)から構成されている。ユニット200へは、エッチング液などの薬液の貯留タンク(図6には不図示)や薬液圧送ポンプ(図6には不図示)などの液供給設備が接続され、薬液の供給や回収を行っている。
【0050】
エッチング対象物即ちここではウエハWを保持するウエハホルダ241は、ウエハWを保持する真空吸着部材148を有する保持面と、その保持面をウエハステージ201と、エッチング槽221との間を水平移動する機構、上下動機構および保持面を回転させる軸とその駆動源を有している。本図に示す実施の形態の装置では、ウエハホルダ241の水平方向の移動は、ユニット外とウエハWの授受を行うステージ位置、エッチングを行うエッチング槽位置の2ヶ所間を水平移動用モータ262とボールねじ263により移動する。また、上下動は、エアシリンダ261で行われ、ウエハWの保持面を、ステージ201上でのウエハWの受け渡し位置、エッチング槽221とステージ201間を移動するときの上昇位置の2通りの高さで位置決めできるようになっている。また、水平移動はエアシリンダ261の部分を中心とした回動機構を設けることで行なってもよい。
【0051】
なお、エッチングを施すエッチング位置は、ウエハWの受け渡し位置と同一高さであるものとして図示されているが、別の高さに位置決めするようにしてもよい。また、保持面は、回転軸用モータ242によって、速度0〜500min−1で回転が可能である。さらに説明すれば、ウエハWを保持する保持面は、水平な円盤状のホルダ板144と、その上側の中心に立設された筒状部である回転軸243とを備えている。回転軸243の上端は、水平に延伸するアーム244の一端に取り付けられた回転軸用モータ242に連結されており、モータ242により回転可能に構成されている。アーム244の他端はエアシリンダ261のピストンに連結されており、ピストンによる上下方向の移動と、ピストンロッドを中心とする回動動作が可能に構成されている。また、ホルダ板144の下面には、既に説明したように、その周縁部に添って環状の真空吸着部材148が取り付けられている。
【0052】
ウエハWの授受を行うためのステージ201には、ウエハWの周縁部を載置する複数のピン204が取り付けられた回転板205が回転面を水平にして設けられている。回転板205の下側の中心には、回転軸206が立設され、回転軸206は回転軸用モータ207によって回転駆動されるように構成されている。
【0053】
ピン204付きの回転板205は、ウエハホルダ241とロボットハンド210間においてウエハWの授受を行う際の中継台の役割及びウエハWの表裏面洗浄を行うときに載置され、洗浄しながらウエハWを回転することが可能である。回転速度は 0〜3000min−1である。なおロボットハンド210は、図中、その移動方向を示す水平方向の両向矢印で図示されている。また図中ロボットハンド210は、カップ208を貫通するかのように図示されているが、実際は、カップ208と不図示のシャッターが連動して下降し(鉛直方向の両向矢印参照)、ロボットハンド210が回転板205上にアクセスできるように構成されている。
【0054】
なおウエハステージ201は、図示のようなピンと回転板を有する構造の他、ウエハWの周縁部を載置する不図示の各々回転する支持椀が6本垂直に取り付けられたものであってもよい。ウエハWは、その支持腕の上端部に載置され、支持腕の回転に伴って回転する。
【0055】
エッチングを行うエッチング槽221は、エッチング液の供給口222及び、槽底部に排水口(ドレン)223aを有している。また、槽の上方には液面センサ224が取り付けられており、エッチング槽221内のエッチング液の満水即ちオーバーフローと、排液の検出が可能になっている。エッチング槽221は、有底円筒上の容器であり、エッチング液を槽内に供給するエッチング液供給ラインがエッチング液貯溜タンク(図6には不図示)とエッチング槽221とを接続するように設けられている。
【0056】
エッチング槽221の側部には、オーバーフローした液を受ける樋225が設けられ、エッチング液貯溜タンク(図6には不図示)へ回収するための回収ラインを接続する排水口(ドレン)223bが明けられている。また、エッチング槽底部の排水口223aから排出されたエッチング液も同回収ラインへ合流している。なお、エッチング液供給ラインは、エッチング槽221に純水を供給する流路として用いることが可能である。
【0057】
エッチング槽221には、槽内の液温を計測するために、熱電対226が取り付けられ、エッチング液が処理温度に到達しているか否かを知ることが可能である。
【0058】
洗浄液吐出用として、ステージ201をとりまくカップ208には、ウエハ表面洗浄ノズル202とウエハ側面洗浄ノズル203の2個のノズルが設けられている。そしてステージ201の中央部には、上方に向けて吐出口である裏面洗浄ノズル209が設けられており、ウエハWの裏面洗浄用に洗浄液を噴出することが可能である。本実施の形態で示した例では洗浄液は純水を用いているが、他の薬液ラインを接続することも可能である。なお、カップ208はウエハWを支持するステージ201の外周に位置しており、ウエハWの処理中は、カップ208が上昇してステージ201を囲い込むことにより、各種洗浄液がカップ208の外に飛散することを防止している。カップ208の上昇、下降は不図示のエアシリンダにより行う。なお、カップ208には、不図示のシャッタが取り付けられており、カップの上昇、下降と連動して上下するようになっている。このシャッタは、不図示のフレーム側面に接触する位置関係にある。
【0059】
装置を収容するフレームは、以上の機構をすべて格納し、側面にはウエハの搬入出口が開口している。搬入出口のあるフレームの側面部内側には上述のシャッタが接しており、カップ208が下降したときは開口、上昇したときはシャッタがせりあがって搬入出口が塞がれる仕組みになっている。
【0060】
図6の装置の動作の概略は次の通りである。まず、ステージ201上へエッチング処理を行うウエハWをセットする。次にウエハホルダ241が、真空吸着部材148によりウエハWを吸着することにより保持し、エッチング槽221へ移動し、保持したまま、エッチング処理を施す。その後、エッチング槽221内で粗洗浄(リンス)を実施し、ステージ201上へ移動し、ここで純水により本洗浄を行い処理を完了し、ウエハWはエッチングユニット200の外部に取り出される。
【0061】
以下、上記の動作を行うときの周辺機器、及び構成機器の動作を併せて詳しく説明する。まず、エッチング対象物であるウエハWが、ロボットハンド210に載せられた状態でロボットによって、本エッチングユニット200に運ばれる。このとき、ウエハホルダ241はエッチング槽221の上昇位置で待機している。
【0062】
フレームの側面に設けられたウエハ受け渡し用の開口部を通って、ロボットハンド210がステージ201の上面高さからエッチングユニット200内に挿入される。ロボットハンド210は、ステージ201真上に到達後、ハンド210を下降させることで、ステージ201上にウエハWを置く。ウエハW下面まで下降したロボットハンド210は上記の開口部を通って退去する。
【0063】
ロボットハンド210の退去が完了すると、ウエハホルダ241がステージ201上へ水平に移動し、次にウエハホルダ241がステージ201の位置へ下降する。ウエハホルダ241の保持部のシールである真空吸着部材148をウエハWの周縁部に接触させ真空吸着する。この時の圧力はおよそ−80kPa以下とするのが好ましい。この後、真空吸着部材148とウエハWの上面部分により形成された空間に、N を供給し、空間内の圧力を高めにすることにより、エッチング処理時のエッチング液の内部への回り込みを防止する。このN はほとんど加圧しない。このように、N を供給することにより、シール部分の真空吸着圧力はおよそ−60kPa以下となる。この状態でウエハホルダ241はエアシリンダ261により上昇し、さらに水平方向に移動しエッチング槽221上方位置へ移動し、そこからエッチング位置へ下降する。
【0064】
次にエッチング槽221にはエッチング液を供給し、熱電対226によりエッチング液の温度を検出し、その温度が所定の温度であり、かつ、液面センサ224により液が十分満たされているのを確認する。確認後、ウエハホルダ241の保持面を、0〜50min−1程度で回転させ、エッチング液の供給を行いながら、所定の時間、エッチング処理を行う。なお、エッチング時間は、任意に設定することが可能である。ウエハWのエッチング対象膜がTaの200オングストローム膜の場合、エッチング液は5%のDHF、液温度50℃〜80℃、エッチング時間1分で良好なエッチング結果が得られた。また、エッチング時にウエハホルダ241の保持面を回転させることにより、エッチング反応によって発生する気泡が停留することを防止し、エッチングむらを防止できる。また、エッチング中もエッチング液を供給し続けることも効果がある。例えば800cc〜1000cc/minの流量による供給が有効であった。
【0065】
所定のエッチング処理時間が経過したら、エッチング液を排出し、同じエッチング槽221に純水を供給し、ウエハW及びウエハホルダ241のシール部周囲を粗洗浄する。この粗洗浄時間も任意設定可能である。粗洗浄が完了したら、エッチング槽221のリンス液は排出し、ウエハホルダ241を上昇後、ステージ201上へ移動する。ここでカップ208を上昇させ、ウエハ側面洗浄供給ノズル203より、ウエハWの裏面とエッジ部分に純水を吹きかけ、洗浄を実施する。その後、ステージ201の位置へ下降し、吸着を解除する。この時、ウエハWを吸着していた真空ライン285にウエハ保持面方向に純水(D.I.W)を供給することによって、ウエハWの離脱及びシール内部の洗浄を同時に行う。
【0066】
ステージ201上に載置された後、ウエハ表面(上面)洗浄ノズル202、及びステージ201中央の吐出口209から純水を噴出することにより、ウエハWの表面及び裏面の洗浄を行う。
【0067】
以上のようにエッチング及び洗浄までのすべての工程が終了すると、処理済みのウエハWを受け取りに、ロボットがユニット方向に位置決めされる。エッチング装置200は、ステージのカップ208を下降させる。こうして、フレームの側面に設けられたウエハW受け渡し用の開口部が開くと、ロボットハンド210が、ウエハの下面高さから挿入され、そのまま上昇してウエハをステージ上からすくい取り、ハンドが縮められてウエハはユニット外へ取り出される。
【0068】
以上ではTa膜のエッチングを例にあげたが、本装置ではエッチング液を交換することにより、他の膜のエッチングが可能である。例えばRu膜の場合は、エッチング液としては硝酸セリウムアンモニウムの20%液を供給する。TiN膜の場合は、塩酸と過酸化水素水と純水を例えば1:1:5の比で供給直前に混合して供給する。いずれの場合も、エッチング液は50℃〜80℃に加熱供給する。また、エッチング液や蒸気の回り込みの防止のために、Nを供給したが、エア、または他の気体でもよい。
【0069】
図7、図8、図9のフロー図を参照して、本発明の実施の形態であるエッチング装置へエッチング液を供給する液供給設備、即ち、液貯留タンク及びその周辺装置を説明する。本装置では、ウエハのエッチングには3種類のエッチング液を選択して供給可能な構成になっている。第1は稀フッ酸(DHF)、第2は稀塩酸、第3は硝酸セリウムアンモニウム溶液である。そのうち、稀フッ酸(DHF)と稀塩酸は、沈殿しない液であり、硝酸セリウムアンモニウム溶液は沈殿する液である。エッチング液が沈殿しない液の場合と沈殿する液の場合で、貯留タンクシステムが異なる。
【0070】
図7のフロー図を参照して、沈殿しないまたは沈殿しにくいエッチング液の供給設備を説明する。エッチング液貯留タンク301から液を取り出し、貯留タンク301に戻す液圧送ライン311が、その入り口側を貯留タンク301の低部に接続して設けられている。圧送ライン311には、貯留タンク301側から、液圧送用のポンプ302、液を加熱するヒータ303、圧送ライン311を流れる液の流量を計測する流量計304がこの順番で設けられている。
【0071】
圧送ライン311は、流量計304の後で、エッチング装置のエッチング槽への液供給ライン312と、液貯留槽301への液循環ライン317とに分岐している。液循環ライン317には、エッチング槽に供給されずに循環する液の導電率を計測する導電率計305が設けられている。導電率計305は、導電率を計測することにより、エッチング液の濃度を知るための計器である。導電率と濃度との間には相関関係があるからである。液循環ライン317は、その戻り側が貯留タンク301の上部に接続されている。
【0072】
また貯留タンク301内の液の液面を監視する液面センサ307が、貯留タンク301の外部に設けられている。
【0073】
さらに稀塩酸を貯留タンク301に補充するための稀塩酸メークアップライン314と稀フッ酸を補充するための稀フッ酸メークアップライン315が、液貯留タンク301に接続されている。また液貯留タンク301内の液を排出するための、排水ライン(DRAIN)316が、液貯留タンク301の底部に接続されている。
【0074】
以上の構成を備える液貯留タンクシステムの作用を説明する。まず使用する液、例えば5%のDHF溶液を、50%のDHF液と純水(D.I)とを混合して作り、それを液貯留タンクに所定量だけ充填する。充填量は液面センサ307で監視することができる。液面センサ307は、最高レベルHH、高レベルH、低レベルL、最低レベルLLを知ることが出来るようになっている。適性量はHとLの中間である。使用する液がDHFのときは、塩酸用メークアップライン314については、不図示のバルブを閉としておく。
【0075】
適性量の液が充填されると、ポンプ302を始動して液の圧送を開始する。ポンプ302から吐出された液はヒータ303で加熱して、エッチング装置の要求する所定の温度にする。圧送ラインを流れる液の流量は、流量計304で計測することができる。
【0076】
ヒータで加熱された液はエッチング槽への供給ライン312を通して、後で説明するエッチング装置のエッチング槽に供給される。このとき流量調整バルブ306により、エッチング槽で必要とする液の流量になるように調整される。また後で説明するように、エッチング槽でオーバーフロー或いは排出口より排出されたDHFは、エッチング槽からの戻りライン313を通して戻される。このようにして、DHFは回収して再利用される。エッチング液は高価であるので、再利用できることは資源の有効利用の観点から重要である。
【0077】
液をエッチング槽へ供給しないときは、圧送ポンプ302、ヒータ303、流量計304、導電率計305、そして貯溜タンク301への循環を行うことにより、液温度を一定に保つようになっている。なお、圧送ライン311の例えばヒータ303の後ろに不図示のフィルタを挿入配置してもよい。フィルタを介すことによりエッチングによる生成物等を除去することができる。また、エッチング液は循環することにより水が蒸発したり、エッチング反応で液成分が変化するため、貯溜タンク301に設けた液面センサ307で量を、またライン中にもうけられた導電率計305によって液の濃度を計測し、エッチング液や純水の補充を行い、液管理を行う機能を備えている。
【0078】
さらに詳細に説明すると、導電率計305で循環する液の導電率を計測することにより液の濃度を知ることができのは、導電率が下がってくると、濃度が低下したものと判断できるからである。導電率が下がったときは、エッチング装置が要求する所定の濃度に対応する導電率になるように、メークアップラインから新しいDHFを供給する。そのとき、貯留タンク301の液面が上がりすぎたら、排水ライン316から液を排水すればよい。導電率が高くなったときは、逆に純水を補充する。また使用中に液中の水分が蒸発して濃度が濃くなることがあるが、それは液面センサ307で液量を監視していればわかるので、所定の水準を維持するように純水を補充すればよい。即ち、液面センサ307または導電率計305を使用することにより、液の適性な濃度を維持することができる。併用すればさらに正確な濃度管理が可能となる。これらの機能によって、エッチング液の再利用が可能となっている。
【0079】
エッチング処理が完了して、貯留タンク301から使用済の液を排出するときは、ライン316の不図示のバルブを開ける。同じ装置をDHFに使用し、また塩酸に使用することができるが、異なる液を使用するときは、純水を用いて貯留タンク301及び付属のラインを十分に洗浄して、先に用いた液を除去する。
【0080】
なおこの液供給設備を塩酸用として用いるときは、戻りライン313を通して貯留槽301に戻すことはせずに、エッチング槽で使用された後は不図示のタンクに回収し、貯留槽301へは新しい液を補充する。
【0081】
図8のフロー図を参照して、沈殿するエッチング液の液供給設備を説明する。エッチング液貯留タンク321から液を取り出し、貯留タンク321に戻す液圧送ライン331が、その入り口側を貯留タンク321の低部に接続して設けられている。圧送ライン331には、貯留タンク321側から、液圧送用のポンプ322、液を加熱するヒータ323、液を濾過するフィルタ328がこの順番で設けられている。
【0082】
圧送ライン331は、フィルタ328の後で、エッチング装置のエッチング槽(液浴槽)への液供給ライン332と、液貯留槽311への液循環ライン337とに分岐している。液循環ライン337には、循環ライン337を流れる液の流量を計測する流量計324と、エッチング槽に供給されずに循環する液の導電率を計測する導電率計325が設けられている。導電率計325は、導電率計305と同様に導電率を計測することにより、エッチング液の濃度を知るための計器である。液循環ライン337は、その戻り側が貯留タンク321の上部に接続されている。なお流量計324は、図7の場合と同様に圧送ライン331に設けてもよい。
【0083】
また貯留タンク321内の液の液面を監視する液面センサ327が、貯留タンク321の外部に設けられている。
【0084】
さらに硝酸セリウムアンモニウム(A.C.N)を貯留タンク321に補充するためのA.C.Nメークアップライン334が、液貯留タンク321に接続されている。また液貯留タンク321内の液を排出するための、排水ライン(DRAIN)336が、液貯留タンク321の底部に接続されており、排水ライン336には三方弁339が設けられ、一方のポートにはA.C.N回収タンクへの回収ライン337が、他方のポートには排水ライン338が接続されている。
【0085】
以上の構成を備える液貯留タンクシステムの作用を説明する。まず使用する液であるA.C.Nの例えば50%溶液と純水(D.I)とを混合して、20%溶液を作り、それを液貯留タンク321に所定量だけ充填する。充填量は液面センサ327で監視する。適性量は液面センサ327の目盛のHとLの中間である。
【0086】
適性量の液が充填されると、ポンプ322を始動して液の圧送を開始する。吐出された液はヒータ323で加熱して、エッチング装置の要求する所定の温度にする。加熱された液は、フィルタ328を介すことによりエッチングによる生成物等を除去することができる。
【0087】
ヒータで加熱されて適性な温度になり、またフィルタ328で濾過されて清浄になった液は、エッチング槽への供給ライン332を通して、エッチング槽に供給される。このとき流量調整バルブ336により流量を調整する。またエッチング槽でオーバーフロー或いは排出された液は、戻りライン333を通して戻される。このようにして、液は回収して再利用することができる。
【0088】
液をエッチング槽へ供給しないときは、図7の場合と同様に、圧送ポンプ322、ヒータ323、フィルタ328、流量計324、導電率計325、そして貯溜タンク321への循環を行うことにより、液温度を一定に保つようになっている。また、液面センサ327及び/または導電率計325を使用することにより、液の適性な濃度を維持することができる点は、図7の場合と同様である。
【0089】
エッチング処理が完了して、貯留タンク321から使用済の液を排出するときは、三方弁339を用いる。三方弁339をライン336とライン338とを連通するように操作したときは、液は外部に排水され、ライン336とライン337とを連通するように操作したときは、液はA.C.N回収タンクに回収される。
【0090】
図9のフロー図を参照して、以上説明した液供給設備から、エッチング液を供給されるエッチング装置の構成と作用を説明する。ここではエッチング槽としては、図6で説明したエッチング槽221を用いる。
【0091】
エッチング槽221には、DHF/塩酸・過酸化水素水ライン357と、A.C.Nライン332と、純水(D.I)ライン358と、排水ライン359とが接続されている。ライン357には混合弁として作用する三方弁351が、エッチング槽221への入り口直前に設けられている。三方弁351のポート2つには、図7で説明した供給ライン312と過酸化水素水供給ライン356とが接続されている。三方弁351は、ライン312とライン357とが連通し、ライン356は閉じる場合と、ライン312とライン356の両方がライン357に連通する場合とが切りかえられるような混合弁として構成されている。三方弁351は、ライン312がDHFの供給に使用されるときは、ライン356から過酸化水素水を供給して両者を混合し、ライン312が塩酸の供給に使用されるときは、ライン356は閉となる。
【0092】
A.C.Nライン332は、図8で説明した加熱され濾過されたA.C.Nを供給するラインである。純水(D.I)ライン358は、必要に応じてエッチング槽を洗浄等するために純水を供給するためのラインである。
排水ライン359は、図6で説明したポート223aと223bとからのラインを合流したラインであり、三方弁352が設けられている。三方弁352の1つのポートには排水ライン360が接続されており、ここからは使用済の酸、アルカリ、DHFが排水される。三方弁352の別のポートには、三方弁353が接続されている。三方弁353の1つのポートには、図7で説明したエッチング槽から貯留槽への戻りライン313が、また別のポートには、図8で説明したエッチング槽から貯留槽への戻りライン333が接続されている。
【0093】
三方弁352、353により、使用する液に応じて、ラインを切り換えることができる。なお、2つの三方弁352と353は、ライン359を、ライン313、333、360のいずれかに連通するように切り換える1つの四方弁に置き換えてもよい。
【0094】
以上説明したエッチング装置における、エッチング対象膜と使用するエッチング液との関係は、例えば次の通りである。
Ru膜に対しては、エッチング液として20%の硝酸セリウムアンモニウムの溶液を80℃にして供給する。この液は循環使用する。
Ta膜に対しては、エッチング液として5%の稀フッ酸を80℃にして供給する。この液は循環使用する。
TiN膜に対しては、エッチング液として、塩酸と過酸化水素を1:1.5の割合で混合した液を65℃〜70℃で供給する。この液は液貯留槽に溜め込み、排液として処理する。過酸化水素は、エッチング槽の直前で塩酸と混合する(ユースポイントで混合)。
【0095】
以上のように本発明の実施の形態のエッチング装置によれば、真空吸着部材48、148を用いるので、その内側のウエハ部分にはエッチング液が触れないようにすることができ、特にウエハに形成された回路部分をエッチング液から完全に保護することができる。
【0096】
図10は、エッチング装置の他の実施の形態の全体構成を示すもので、洗浄ユニットと乾燥ユニットを一体化して洗浄・乾燥ユニット18Aとしている。これは、例えば、スピン乾燥機に純水噴射手段を装備することによって達成される。これにより、ユニットの数が1つ減り、これらを全てロボット12の周囲に配置することができるので、ロボット12を固定式として装置をコンパクト化することができた。また、洗浄から乾燥へ移行する際のウエハWの移動がないので、工程時間を短縮することができた。
【0097】
なお、上記の説明では、この発明の基板の把持装置をエッチング工程に用いたものを例示したが、その適用はこれに限られるものではなく、洗浄、乾燥等、液体や気体を処理媒体とする面処理装置に広く用いることができる。また、この把持装置は基板の周辺部を真空吸着することにより、基板を安定的に把持するので、ウエハWの研磨等の機械的把持強度を必要とする装置に採用することも可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板の一方の面のエッジに接触し、該基板を吸着する真空吸着部材を備えるので、基板の他方の面、基板の外周部、特に一方の面の周辺の例えばベベル部を露出させた状態で基板を安定的に把持することができる。したがって、これらの箇所を露出した状態で面を処理することができる。
【0099】
例えば、CVDやスパッタ、メッキ等の成膜後、ウエハの表面側を把持してエッチングや洗浄を行えば、裏面と外周部特にベベル部の不要な膜を同時に除去することができ、工程を短縮するとともに、これらの箇所の処理の均一性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態のエッチング装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1におけるエッチングユニットの模式的正面断面図である。
【図3】ウエハの受け渡しの工程を示す図である。
【図4】ウエハを把持する真空吸着部材の第1の例の一部を破断して示す部分断面図である。
【図5】ウエハを把持する真空吸着部材の第2の例の一部を破断して示す部分断面図である。
【図6】本発明のエッチング装置の模式的正面断面図である。
【図7】DHFまたは塩酸を供給する液供給設備を示すフロー図である。
【図8】A.C.Nを供給する液供給設備を示すフロー図である。
【図9】エッチングユニット回りのラインを示すフロー図である。
【図10】この発明の別の実施の形態のエッチング装置の全体構成を示す平面図である。
【符号の説明】
24 エッチング槽
26 ウエハホルダ
48 真空吸着部材
50 溝
56 気液分離槽
64 浴
148 真空吸着部材
150 溝
201 ウエハステージ
221 エッチング槽
241 ウエハホルダ
261 エアシリンダ
224 液面センサ
226 熱電対
301、321 液貯留タンク
303、323 ヒータ
304、324 流量計
305、325 導電率計
306 326 流量調整バルブ
W ウエハ

Claims (7)

  1. 素子が形成されたデバイス形成面が一方の面に形成された基板を、浸漬槽内に浸漬して処理するために把持する把持装置において;
    前記基板の一方の面に接触する真空吸着部材であって、外側リング状部材と、該外側リング状部材の内側の内側リング状部材とを有し、前記外側リング状部材と前記内側リング状部材との間に環状の溝が形成され、該溝を真空に引き前記基板を吸着する環状の真空吸着部材と;
    前記真空吸着部材を下面に取り付け、前記基板の一方の面と前記真空吸着部材と共に空間を形成するホルダ板とを備え
    前記ホルダ板には、前記真空吸着部材が前記基板を吸着しているときに気体を前記空間に供給するパージ穴が形成され;
    前記内側リング状部材の外径は、前記内側リング状部材の外周が前記デバイス形成面の外側になるよう構成されている
    基板の把持装置。
  2. 前記外側リング状部材及び前記内側リング状部材の材料は、ゴム、軟質プラスチック、およびフッ素樹脂からなる群から選択された材料である、請求項1に記載の基板の把持装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板の把持装置と;
    前記把持装置で把持された基板の面を処理する面処理装置とを備える;
    基板の処理装置。
  4. 前記基板の洗浄及び乾燥の少なくとも一方を行う装置を備える、請求項3に記載の基板の処理装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の基板の処理装置であって;
    前記把持装置で把持された基板を浸漬する前記浸漬槽を備える;
    基板の処理装置。
  6. 処理後の基板の状態を検査し、前記面処理の達成状態を判定する判定装置を備える、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の基板の処理装置。
  7. 素子が形成されたデバイス形成面が一方の面に形成された基板を、浸漬槽内に浸漬して処理するために把持する把持方法において;
    外側リング状部材と、該外側リング状部材の内側の内側リング状部材とを有し、前記外側リング状部材と前記内側リング状部材との間に環状の溝が形成された真空吸着部材を、前記内側リング状部材の外周が前記デバイス形成面の外側になるよう前記内側リング状部材の外径を構成して、前記基板の一方の面に接触させ、前記溝を真空に引いて前記基板を真空吸着し、前記真空吸着部材が前記基板を吸着しているときに、前記基板の一方の面と、前記真空吸着部材と、前記真空吸着部材を下面に取り付けたホルダ板とに囲まれて形成された空間に気体を供給し、前記基板を保持する;
    基板の把持方法。
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