JP4098970B2 - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク、油性インク等の色材として染料、顔料を用いた液状インク、常温では固体で溶融液状化させたのち印画に供する固体状インクを用いるインクジェット記録に適した被記録材に関し、詳しくは、インク受容性能に優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発されている。これとともに、それぞれの情報システムに適した記録方法及び装置も開発され、実用化されている。このような記録方法の中で、インクジェット記録方法は、種々の記録材料に記録できること、ハードが比較的安価であること、コンパクトであること、さらに静粛性が高いこと等によって、オフィスではもちろん、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることが可能となってきている。そして、ハード(装置)の発展に伴い、インクジェット記録用のシートも各種開発されてきている。
【0003】
前記インクジェット記録用シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、(8)長期間保存しても画像にニジミが生じないこと、(9)記録用シートの白色度が高いこと、(10)記録用シートの保存性が良好なこと(長期保存により黄変着色したり、褪色を起こさないこと)、(11)変形・寸法安定性が良好であること(カールが十分に小さいこと)、(12)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
さらに、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得るために用いられるフォト光沢紙の用途では、上記に付け加えて、光沢性、表面の平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
前記インクジェット記録用シートとしては、例えば、特開昭55−51583号公報、同55−144172号公報、同55−150395号公報、同56−148582号公報、同56−148583号公報、同56−148584号公報、同56−148585号公報、同57−14091号公報、同57−38185号公報、同57−129778号公報、同57−129979号公報、同60−219084号公報、同60−245588号公報等に記載されている、シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを、紙又はプラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが知られている。しかしながら、これら提案された記録シートにおいては、いずれも光沢性が非常に低く、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0005】
また、特開平2−276670号公報、同3−215082号公報、同3−281383号公報、同6−199035号公報等には、擬ベーマイトゾルと水溶性バインダーとを用いた記録用シートが提案されている。これらの記録シートは、光沢性の点で、ある程度の要求特性を満たすものではあるが、擬ベーマイト粒子の製造コストが高い点、塗布液の調製が困難な点等の問題がある。
【0006】
さらに、特開平4−223190号公報においては、硼砂又は硼酸を0.1g/m2以上塗工してなる基紙に、5〜20g/m2の合成シリカ、及びポリビニルアルコール(PVA)からなる記録層が設けられたインクジェット記録用紙が提案されている。前記技術は、単にバインダー含有量が少ない記録層の塗膜強度を向上させることを目的としたものであり、光沢性の点で劣るため、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0007】
また、光沢性を得るために各種水溶性ポリマーを用いた記録材料が提案されている。例えば、特開昭58−89391号公報、同58−134784号公報、同58−134786号公報、同60−44386号公報、同60−132785号公報、同60−145879号公報、同60−168651号公報、同60−171143号公報等に記載の、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等を、紙あるいはプラスチックフィルム等の支持体上に塗布したものが知られている。これらの記録シートも光沢性の点では優れるが、インク速乾性の点で劣るため、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0008】
特開平10−119423号公報、又は同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色材受容層が、支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案されている。
前記各インクジェット記録用シートは、その構成からインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成しうる高いインク受容性能を有し、かつ高光沢を示す。しかしながら、光沢性と風合いとの観点から、支持体としてその両側の表面にポリエチレン等の樹脂コートが施された支持体を用いるため、色材受容層中に含まれる高沸点溶媒が蒸発せず、また該溶媒が支持体に吸収されない。このため、色材受容層中にそのまま高沸点溶媒が残存し、印画後、高温高湿環境下に長時間保存されると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、経時による画像のニジミ(以下、「経時ニジミ」ということがある。)を生ずるという問題があった。
【0009】
上述のように、良好なインク吸収性、記録面の表面平滑性及び光沢性を有し、高解像度で高濃度な画像が形成できるとともに、その形成画像が高い耐光性、及び耐水性を有するといったインク受容性能を確保しながら、印画後、高温高湿環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミを起こさず安定に画像を保持し、さらに、優れた耐オゾン性を有し、経時による画像記録の褪色を防止し得るインクジェット記録用シートは、未だ提供されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生ずることなく、安定に画像を保持し、さらに、優れた耐オゾン性によって経時による画像記録の褪色を防止し得るとともに、画像部の耐光性に優れたインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に色材受容層を有してなり、該色材受容層が、平均一次粒子径が20nm以下の無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)とを質量比(x:y)1.5:1〜10:1の範囲で構成成分として含む、空隙率50〜80%を有する三次元網目構造の層であること;及び前記水溶性樹脂の架橋剤と、有機カチオン性媒染剤と、基本骨格のイオン化エネルギーの値が7.0eV以上9.0eV以下で、かつ水溶性の化合物を少なくとも1種含有すること;及び前記化合物のI/O値が0.5以上であることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
<2> 前記化合物が、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基のうちの少なくとも1つを分子内に含有することを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
> 前記色材受容層が、少なくとも1種の金属化合物を含有することを特徴とする前記<1>または<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
> 前記有機カチオン性媒染剤が、ポリアリルアミン系であることを特徴とする前記<1>から<>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用シートである。
> 前記水溶性樹脂がポリビニルアルコールであり、かつ前記架橋剤が硼酸または硼酸塩であることを特徴とする前記<1>から<>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用シートである。
> 前記無機微粒子がシリカ粒子であることを特徴とする前記<1>から<>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用シートである。
> 前記無機微粒子が擬ベーマイト構造である前記<1>から<>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用シートである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有してなり、該色材受容層が、平均一次粒子径が20nm以下の無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)とを質量比(x:y)1.5:1〜10:1の範囲で構成成分として含む、空隙率50〜80%を有する三次元網目構造の層であること;及び前記水溶性樹脂の架橋剤と、有機カチオン性媒染剤と、基本骨格のイオン化エネルギーの値が7.0eV以上9.0eV以下で、I/O値が0.5以上で、かつ水溶性の化合物を少なくとも1種含有する。この構成により、特に、記録された画像の耐オゾン性を向上させ、画像部がオゾンに曝されることにより経時的に褪色するのを防止するとともに、経時ニジミを防止している。
【0013】
前記基本骨格としては、イオン化エネルギーが7.0eV以上9.0eV以下であれば特に制限はないが、例えば、ジアルキルチオエーテル、ジアルキルジスルフィド、トリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、アニリン、フェノール、ハイドロキノン、アニソール、スチレン、スチルベン、シクロペンタジエン、インダン、インデン、ヒドラジン、インドール、キノリン、イミダゾール、ジアルキルチオエーテル、チオフェン、ピロール、フラン等を挙げることができ、中でも、ヒドラジン、キノリン、イミダゾール、ジアルキルチオエーテルが好ましく、ジアルキルチオエーテルが最も好ましい。
【0014】
このような基本骨格のイオン化エネルギーは、7.0eV未満では、地肌部の着色度が大きくなり、9.0eVを超えると、耐オゾン性、耐光性の効果が低下してしまう。前記基本骨格のイオン化エネルギーのより好ましい値は、7.2eV以上8.8eV以下であり、最も好ましくは、7.5eV以上8.5eV以下である。
【0015】
本発明のインクジェット記録用シートに含有される前記化合物としては、水溶性を有する置換基として、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基のうちの少なくとも1つを分子内に含有する化合物を挙げることができる。
【0016】
また、水溶性の観点から、前記化合物のI/O値は、0.8以上であることが好ましく、1.2以上であることが最も好ましい。ここでI/O値とは、化合物あるいは置換基の親油性/親水性の尺度を表すパラメーターであり、「有機概念図」(甲田善生著・三共出版、1984年)にその詳細な解説がある。Iは無機性を、Oは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が高いことを表す。以下に、I/O値についての具体例を記載する。
I値の代表例として−NHCO−基では200、−NHSO−基では240、−COO−基では60となる。例えば、−NHCOC11の場合、炭素数は6であり、O値は20×6=120となる。I=200であるから、I/O≒1.67となる。
【0017】
以下に、前記化合物の具体例(例示化合物1−1〜1−46)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
【化1】
Figure 0004098970
【0019】
【化2】
Figure 0004098970
【0020】
前記化合物の含有量としては、色材受容層の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。前記含有量が0.1〜10質量%の範囲内にあると、耐オゾン性、耐水性、及び経時ニジミの観点から好ましい。
【0021】
さらに、本発明のインクジェット記録用シートは、少なくとも1種の金属化合物を含有することが好ましい。該金属化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の化合物、すなわち、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等の化合物が挙げられ、特に、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の化合物を好適に用いることができる。より具体的には、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムを挙げることができ、中でも、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムが好ましい。
該金属化合物の含有量としては、色材受容層の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。前記含有量が0.1〜10の範囲内にあると、 耐光性、耐水性、経時ニジミの観点から好ましい。
【0022】
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に、色材受容層を有する。そして、該色材受容層が、平均一次粒子径が20nm以下の無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)とを質量比(x:y)1.5:1〜10:1の範囲で構成成分として含む、空隙率50〜80%を有する三次元網目構造の層であり、さらに、前記水溶性樹脂の架橋剤と、有機カチオン性媒染剤と、基本骨格のイオン化エネルギーの値が7.0eV以上9.0eV以下で、かつ水溶性の化合物の少なくとも1種とを含有する。また、上記色材受容層は、必要に応じて、耐光性向上剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。
【0023】
前記色材受容層に含有される前記化合物は、水溶性の観点から、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基のうちの少なくとも1つを分子内に含有すること、及び/又はI/O値が0.5以上であることが好ましい。
【0024】
また、前記色材受容層には、少なくとも1種の金属化合物を含有することが好ましい。該金属化合物としては、前述の通りである。
【0025】
[三次元網目構造]
次に、前記三次元網目構造について説明する。
−無機顔料微粒子−
前記無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。
前記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば色材受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。色材受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性を得る観点から重要である。
【0026】
本発明に係る無機顔料微粒子の平均一次粒子径は20nm以下である。該粒子径は10nm以下がより好ましく、3〜10nmが特に好ましい。
【0027】
前記シリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、上記のように平均一次粒子径が20nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができる。これにより、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0028】
また、シリカ微粒子は、その製造法によって湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。
前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解によって活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、前記乾式法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流である。
【0029】
これらの方法で得られる含水シリカ及び無水シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があるため、それぞれ異なった性質を示す。特に、無水シリカ(無水珪酸)は、空隙率が高い三次元構造を形成しやすいため好ましい。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)しやすい。一方、無水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2と少ないため、疎な軟凝集(フロキュレート)となる。その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
従って、本発明においては、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ(シリカ微粒子)を用いることが好ましい。
【0030】
また、前記無機顔料微粒子としては、多孔質構造を形成するという観点から、擬ベーマイト構造を用いることが好ましい。
【0031】
−水溶性樹脂−
前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げることができる。
その中でも、特にポリビニルアルコール類が好ましい。
【0032】
前記水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、16〜33質量%がより好ましい。
前記水溶性樹脂の含有量が、9〜40質量%の範囲内にあると、膜強度が低下して乾燥時にひび割れを生じやすくなるのを防止し、かつ、樹脂によって空隙がふさがりにくいため、空隙率の減少によるインク吸収性の低下を防止することができる。
【0033】
前記色材受容層を主として構成する、上記無機顔料微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でもよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0034】
また、透明性の観点から、シリカ微粒子に組み合わせる樹脂の種類が重要となる。前記無水シリカを用いる場合には、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、その中でも、鹸化度70〜99%のPVAがより好ましく、鹸化度70〜90%のPVAが特に好ましい。
【0035】
前記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とした三次元網目構造が形成しやすくなる。前記三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造の色材受容層を形成しうると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得た多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インクニジミのない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0036】
−無機顔料微粒子と水溶性樹脂との含有比−
無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との質量比〔PB比(x:y)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、質量比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。
本発明に係る色材受容層は、前記無機顔料微粒子と前記水溶性樹脂とを、質量比(x:y)1.5:1〜10:1の範囲で構成成分として含む三次元網目構造を有する。前記質量比が10:1を超えると、膜強度が低下して乾燥時にひび割れを生じやすくなり、1.5:1未満であると空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空隙率が減少してインク吸収性が低下してしまう。
【0037】
インクジェットプリンタの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。さらにシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。
この場合、前記質量比としては5:1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2:1以上であることが好ましい。
【0038】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とを質量比2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。本発明の色材受容層は、空隙率50〜80%の三次元網目構造を有するため、インク吸収性を向上させることができる。
【0039】
[架橋剤]
本発明のインクジェット記録用シートにおける色材受容層は、前記無機顔料微粒子及び前記水溶性樹脂を含む塗布層(多孔質層)に、更に架橋剤を含み、該架橋剤によって前記水溶性樹脂が架橋反応して硬化した層である。
【0040】
前記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤としては、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点から、ホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二ホウ酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特に水溶性樹脂としてポリビニルアルコールと組合わせて使用することが特に好ましい。
【0041】
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;
【0042】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等が挙げられる。
尚、前記架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせてもよい。
【0043】
前記架橋剤が含まれた架橋剤含有溶液の付与は、前記多孔質性の色材受容層を形成する塗布液(色材受容層用塗布液)が塗布されるのと同時に、あるいは色材受容層用塗布液を塗布して形成された塗布層が、減率乾燥速度を示すようになる前に、行われることが好ましい。この操作により、塗布層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効果的に防止することができる。
即ち、前記塗布液が塗布されたと同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に架橋剤含有溶液が塗布層内に浸透し、塗布層内の水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化(硬化)させることで、塗布層の膜強度が即時に大幅に向上する。
【0044】
前記架橋剤含有溶液は、架橋剤を水及び/又は有機溶剤に溶解して調製される。
架橋剤含有溶液中の架橋剤の濃度としては、架橋剤含有溶液の質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
架橋剤含有溶液を構成する溶媒としては、一般に水が使用され、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合溶媒であってもよい。
前記有機溶剤としては、架橋剤が溶解するものであれば任意に使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
【0045】
[有機カチオン性媒染剤]
本発明のインクジェット記録用シートにおける前記色材受容層中に、有機カチオン性媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有する液状インキとの間で相互作用し、色材を安定化し耐水性を向上させることができる。
【0046】
しかし、該媒染剤を直接、色材受容層を形成するための塗布液に添加すると、シリカ等のアニオン電荷を有する無機顔料微粒子との間で、凝集を生ずる懸念を生ずる場合があるが、それぞれを独立した溶液として調製し塗布する方法を利用すれば、無機顔料微粒子の凝集を懸念する必要もない。
よって、本発明においては、前記架橋剤含有溶液に含有して用いることが好ましい。
【0047】
前記有機カチオン性媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、あるいは第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、下記塩基を有するモノマーの単独重合体や、該モノマーと他のモノマーとの共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。中でも特に、ポリアリルアミン系が好ましい。
【0048】
前記モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、アリルアミン、メチルアリルアミン、エチルアリルアミン、n−プロピルアリルアミン、i−プロピルアリルアミン、n−ブチルアリルアミン、i−ブチルアリルアミン、sec−ブチルアリルアミン、t−ブチルアリルアミン、n−ペンチルアリルアミン、n−ヘキシルアリルアミン、ベンジルアリルアミン、ジメチルアリルアミン、ジエチルアリルアミン、ジ−n−プロピルアリルアミン、ジ−i−プロピルアリルアミン、ジ−n−ブチルアリルアミン、アリル−トリメチルアンモニウムクロライド、アリル−トリメチルアンモニウムブロマイド、アリル−トリメチルアンモニウムアイオダイド、アリル−トリメチルアンモニウムスルホネート、アリル−トリメチルアンモニウムアセテート、アリル−トリエチルアンモニウムフロライド、アリル−トリエチルアンモニウムブロマイド、
【0049】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0050】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0051】
その中でも、具体的には、例えば、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、
【0052】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテートなどを挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0053】
前記ポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、水分散性ラテックス粒子のいずれの形でも使用することができる。
【0054】
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好ましいものとして挙げることができる。
【0055】
前記媒染剤の分子量としては、1000〜200000程度が好ましい。該分子量が1000〜200000の範囲内にあると、形成した色材受容層の耐水性を十分に発揮でき、粘度が高くなりすぎてハンドリング適性が低下することがない。
【0056】
一方、前記非ポリマー性の媒染剤としては、炭素原子数の総和が12以上、好ましくは18以上の、第4級アンモニウム塩基を有する化合物が好適に用いられる。
【0057】
前記有機カチオン性媒染剤の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、0.5〜25.0質量%が好ましく、1.0〜15.0質量%がより好ましい。
前記有機カチオン性媒染剤の含有量が、0.5〜25.0質量%の範囲内にあると、耐水性及びインク吸収性を十分に発揮することができる。
【0058】
[その他の添加剤]
本発明のインクジェット記録用シートは、その他の必要に応じて、さらに下記の成分等を含んでいてもよい。
色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の耐光性向上剤を含んでいてもよい。
【0059】
前記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0060】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。これらは、例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
【0061】
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
【0062】
前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、
【0063】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号明細書、同第4980275号明細書等に記載のものが挙げられる。
【0064】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0065】
前記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。
上記耐光性向上剤の添加量としては、色材受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
【0066】
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
さらに、塗布適性や表面品質を高める目的で、各種の界面活性剤を含んでいてもよく、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、イオン導電性を持つ界面活性剤や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を含んでいてもよく、表面の摩擦特性を低減する目的で、各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0067】
<支持体>
本発明のインクジェット記録用シートにおいて、支持体として使用できる材料としては、プラスチック等の透明材料を用いてもよいし、紙等の不透明な材料を用いてもよい。本発明では、色材受容層の透明性を生かす上で、支持体は透明支持体、又は高光沢の不透明支持体であることが好ましい。
【0068】
前記透明支持体として使用できる材料としては、透明でOHPあるいはバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐える性質を有する材料が好ましい。
このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ニトロセルロース、セルロースアセテート、又はセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、そしてポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリエステル類が好ましく、ポリエチレンフタレートがより好ましい。
前記透明支持体の厚さについては、特に制限はないが、50〜200μmのものが取り扱いやすいため好ましい。
【0069】
前記高光沢の不透明支持体としては、色材受容層が設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って測定することによって求められる値である。
高光沢の不透明支持体の例としては、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢の紙、ポリエチレンテレフタレー卜(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース、セルロースアセテート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、あるいはポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、又はポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした高光沢の(表面カレンダー処理等をおこなってもよい)フイルム、あるいは上記各種紙、上記透明プラスチックフィルム又は白色顔料等含有プラスチックフィルムの表面に、白色顔料を含有するか、若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体を挙げることができる。
さらに、白色顔料含有発泡ポリエステルフイルム(例、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸によって空隙を形成した発泡PET)も挙げることができる。
【0070】
また、銀塩写真用支持体として一般的に使用されているポリオレフィンコート紙(表面に白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体等)、あるいは金属蒸着層等が設けられた特殊紙等を、好適に使用することができる。
特に白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた銀塩写真用紙支持体、白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられたポリエステル(好ましくはPET)フィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルムあるいは白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムが好ましい。
前記不透明支持体の厚さは、特に制限はないが、50〜300μmのものが取り扱いやすく好ましい。
さらに、支持体としては、色材受容層との密着性を付与するため、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理を施したものを使用してもよい。
【0071】
(インクジェット記録用シートの作製)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、無機顔料微粒子と水溶性樹脂とを含む塗布液を支持体上に塗布する際、該塗布と同時に、あるいは該塗布した層が減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層上に架橋剤とカチオン性媒染剤とを少なくとも含む溶液(架橋剤含有溶液)を付与して、前記水溶性樹脂を架橋剤によって硬化させて得られることが好ましい。
【0072】
また、本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、無機顔料微粒子及び水溶性樹脂を含む塗布液と、架橋剤を含む溶液とを、架橋剤と反応しない材料からなるバリアー液(但し、架橋剤を含む溶液若しくはバリアー液の少なくとも一方に媒染剤を含有させる。)を挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、硬化させることにより得ることもできる。
【0073】
上記のように、本発明においては、架橋剤と共に媒染剤を同時塗布することによって、色材受容層の耐水性を向上させている。即ち、前記有機カチオン性媒染剤を色材受容層用の塗布液に添加すると、シリカ等の表面にアニオン電荷を持つ無機顔料微粒子との共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む溶液と色材受容層用の塗布液とをそれぞれを独立に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、無機顔料微粒子の凝集を考慮する必要がなく、カチオン性媒染剤の選択範囲が広がる。
【0074】
本発明において、無機顔料微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含んでなる色材受容層用の塗布液(以下、「色材受容層用塗布液」ということがある。)は、例えば、以下のようにして調製できる。
即ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1/3程度の重量のPVAとなるように)を加え、更に上記と同じ回転条件で分散をおこなうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
前記色材受容層用塗布液には、必要に応じて、更に界面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
【0075】
色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0076】
本発明においては、色材受容層用塗布液によって塗布形成した塗布層に、架橋剤と媒染剤とを少なくとも含む溶液(架橋剤含有溶液)を導入し乾燥することで、架橋反応によって硬化された色材受容層を得ることができる。
なお、本発明に係る前記化合物、金属化合物は、色材受容層用塗布液に含ませて色材受容層に付与してもよいし、架橋剤含有溶液に含ませて色材受容層に付与してもよく、何れの段階で色材受容層に付与してもよい。
前記架橋剤含有溶液は、色材受容層用塗布液を塗布した後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示している間に、架橋剤と媒染剤とを少なくとも含有する架橋剤含有溶液を導入することにより好ましく製造される。
【0077】
前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間については、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0078】
上記の通り、色材受容層用塗布液の塗布後、その塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが上記範囲が適当である。
【0079】
前記塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(1)架橋剤含有溶液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)架橋剤含有溶液中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0080】
前記方法(1)において、架橋剤含有溶液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコータ、カーテンフローコータ、バーコータ等のように、既に形成されている塗布層にコータが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0081】
色材受容層上に付与する、架橋剤と媒染剤とを少なくとも含有する塗布液(架橋剤含有溶液)の塗布量としては、架橋剤換算で0.01〜10g/m2が一般的であり、0.05〜5g/m2が好ましい。
【0082】
該架橋剤含有溶液の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行われる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
例えば、前記架橋剤含有溶液中に含有する架橋剤として、硼砂、ホウ酸、又はホウ酸塩を使用する場合には、60〜100℃での加熱を5〜20分間行うことが好ましい。
【0083】
また、前記架橋剤塗布液は、色材受容層用塗布液を塗布すると同時に付与してもよい。
この場合、色材受容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含む架橋剤含有溶液を、該色材受容層用塗布液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0084】
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを用いた塗布方法によりおこなうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行われ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行われる。
例えば、架橋剤含有溶液に含有する架橋剤として硼砂、ホウ酸、又はホウ酸塩を使用する場合は、60〜100℃で5〜20分間加熱することが好ましい。
【0085】
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコータにより行った場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含有する架橋剤含有溶液の塗布と共に、更に架橋剤と反応しない材料からなるバリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0086】
前記バリアー層液は、架橋剤と反応せず液膜を形成できるものであれば、特に制限なく選択できる。例えば、架橋剤と反応しない水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水などを挙げることができる。
前記水溶性樹脂としては、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが公的に挙げられる。
尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
【0087】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダなどを用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行う必要がある。
【0088】
カレンダー処理を行う場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0089】
前記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0090】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0091】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0092】
支持体上には、前記色材受容層と支持体との間の接着性を高め、電気抵抗を調整する等の目的で、下塗層を設けてもよい。
尚、前記色材受容層は、支持体の片面のみに設けてもよいし、カール等の変形を抑制する等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用いる場合であって、前記色材受容層を支持体の片面のみに設ける場合は、その反対側の表面、あるいはその両面に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもできる。
【0093】
上記の通り、前記色材受容層が形成される側の支持体の表面に、ホウ素化合物が塗工され、該表面に色材受容層を形成することにより、色材受容層の光沢性、表面平滑性を確保し、かつ高温高湿環境下における、印画後の画像の経時ニジミを抑制することができる。
しかも、前記色材受容層が無機顔料微粒子を含んで空隙率50〜80%の三次元網目構造からなり、良好なインク吸収性を示し、高解像度で高濃度な画像が形成できると共に、その形成画像が高い耐光性、耐水性を有するといった、優れたインク受容性能を確保することができる。
【0094】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、全て「質量部」及び「質量%」を表す。
【0095】
(インクジェット記録用シートの作製)
<実施例1>
[支持体Bの作製]
秤量186g/m2のアート紙(OK金藤、王子製紙(株)製)の表面にコロナ放電処理を施した後、溶融押し出し機を用いて高密度ポリエチレンを、厚さ19μmとなるように溶融押し出しコーティングを行い、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、上記と同様に樹脂層面を「裏面」と呼ぶ場合がある)。
この裏面側の樹脂層にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と、二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に分散させた分散液を、乾燥後の質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0096】
また、基紙のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10質量%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01質量%(対ポリエチレン)を含有したMFR(メルトフローレート)が3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押し出し機を用いて、厚さ29μmとなるように溶融押し出しコーティングし、光沢面からなる熱可塑性樹脂層を前記基紙上に形成して(以下、この面を「表面」という場合がある。)、これを支持体Bとした。
【0097】
[色材受容層用塗布液Aの調製]
下記組成中の(1)及び(2)を混合し、高速回転式コロイドミル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用いて、10000rpmの条件で20分間分散させた後、下記(3)を加え、さらに前記と同一の条件で分散をおこな行い、色材受容層用塗布液を調製した。
【0098】
−色材受容層用塗布液Aの組成−
(1)シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 10.0部
(平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 60.0部
(3)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 30.0部
(PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0099】
[インクジェット記録用シートの作製]
次に、上記で得られた色材受容層用塗布液Aを、前記支持体Aにエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が50%になるまで乾燥させた。塗布層は、この期間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の架橋剤含有溶液Aに30秒間浸漬して、上記塗布層上に20g/m2を付着させ(架橋剤、アミン系化合物及び媒染剤を付与する工程)、その後、さらに80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。
これにより、乾燥膜厚32μmの色材受容層を支持体A上に形成し、実施例1のインクジェット記録用シートを作製した。
なお、実施例1インクジェット記録用シートにおいて、シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比)は、10:2.7であり、色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は60%であった。
【0100】
−架橋剤含有溶液Aの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−35) 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水 78.5部
【0101】
<実施例2>
[支持体Aの作製]
LBKP100部からなる木材パルプを、ダブルディスクリファイナーによってカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部と、アニオンポリアクリルアミド1.0部と、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部と、カチオンポリアクリルアミド0.5部とを、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機によって坪量170g/m2の原紙を抄造した。
【0102】
前記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whitex BB、住友化学工業(株)製)を、0.04%添加し、絶乾質量換算で0.5g/m2となるように前記原紙に含浸させ、乾燥した後、キャレンダー処理を施して密度1.05に調整された基紙を得た。
【0103】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いて高密度ポリエチレンを、厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と呼ぶ場合がある)。
この裏面側の樹脂層にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と、二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを、1:2の比(質量比)で水に分散させた分散液を、乾燥後の質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0104】
また、基紙のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10質量%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01質量%(対ポリエチレン)を含有したMFR(メルトフローレート)が3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押し出し機を用いて、厚さ29μmとなるように溶融押し出しコーティングを行い、光沢面からなる熱可塑性樹脂層を上記基紙上に形成して(以下、この面を「表面」という場合がある。)、これを支持体Aとした。
【0105】
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、下記組成の架橋剤含有溶液Bを使用した以外は、実施例1と同様に実施例2のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例2で得られたインクジェット記録用シートにおける色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は58%であった。
【0106】
−架橋剤含有溶液Bの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−37) 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水 78.5部
【0107】
<実施例3>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、下記組成の架橋剤含有溶液Cを使用した以外は、実施例1と同様に実施例3のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例3で得られたインクジェット記録用シートにおける色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は57%であった。
【0108】
−架橋剤含有溶液Cの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−42) 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水 78.5部
【0109】
<実施例4>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、下記組成の架橋剤含有溶液Dを使用した以外は、実施例1と同様に実施例4のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例4で得られたインクジェット記録用シートにおける色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は61%であった。
【0110】
−架橋剤含有溶液Dの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−4)+塩化マグネシウム 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水 75.5部
【0111】
<実施例5>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、下記組成の架橋剤含有溶液Eを使用した以外は、実施例1と同様に実施例5のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例5で得られたインクジェット記録用シートにおける色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は61%であった。
【0112】
−架橋剤含有溶液Eの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−4)+塩化亜鉛 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水
【0113】
<実施例6>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、色材受容層用塗布液Aの代わりに、下記組成の色材受容層用塗布液Bを使用し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、25%アンモニア水でpHを9.0に調整した下記組成の架橋剤含有溶液Eを使用した以外は、実施例1と同様に実施例7のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例7で得られたインクジェット記録用シートの色材受容層における、シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比)は、10:3.9であり、色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は62%であった。
【0114】
−色材受容層用塗布液Bの組成−
・シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 10.0部
(平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製)
・カチオン性媒染剤(60%溶液) 2.0部
(PAS−M−1、日東紡(株)製)
・例示化合物(1−37) 0.6部
・硼酸 0.1部
・イオン交換水 57.6部
・ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 30.0部
(PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400)
【0115】
−架橋剤含有溶液Gの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.0部
・カチオン性媒染剤10%溶液 5.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水 92.0部
【0116】
<比較例1>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに色材受容層用塗布液Aの代わり、下記組成の色材受容層用塗布液Cを乾燥後の塗布量が9g/m2になるようにバーコーターによって塗布した以外は、前記実施例1と同様に比較例1のインクジェット記録用シートを作製した。
比較例1で得られたインクジェット記録用シートの色材受容層において、無機顔料微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比)は10:6.3であり、色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は40%であった。
【0117】
−色材受容層用塗布液Cの組成−
・非晶質シリカ微粒子A(無機顔料微粒子) 6.5部
(平均一次粒子径5.9nm;ファインシールX60、トクヤマ(株)製)
・非晶質シリカ微粒子B(無機顔料微粒子) 3.5部
(平均一次粒子径8nm;ミズカシルP78D、水沢化学(株)製)
・ポリビニルアルコール(水溶性樹脂) 4.2部
(R2150、(株)クラレ製)
・カチオン性媒染剤(60%溶液) 3.5部
(Arafix、荒川化学(株)製)
・蛍光漂白剤(Whitex BB) 3.0部
・イオン交換水 79.5部
【0118】
<比較例2>
[インクジェット記録用シートの作製]
前記実施例1における支持体Bを支持体Aに変更し、さらに架橋剤含有溶液Aの代わりに、下記組成の架橋剤含有溶液Hを使用した以外は、実施例1と同様に比較例2のインクジェット記録用シートを作製した。なお、架橋剤含有溶液H中のスミライザーMDP−Sは非水溶性である。
比較例2で得られたインクジェット記録用シートにおける色材受容層(三次元網目構造)の空隙率は61%であった。
【0119】
−架橋剤含有溶液Hの組成−
・硼酸(架橋剤) 1.5部
・カチオン性媒染剤10%溶液 15.0部
(PAA−10C、日東紡(株)製)
・テトラメチル−o−フェニレンジアミン 3.0部
・界面活性剤10%水溶液 2.0部
(F144D 大日本インキ化学工業(株))
・イオン交換水
【0120】
(測定及び評価)
<1−1 経時ニジミ>
インクジェットプリンタ(PM−770C、セイコーエプソン(株)製)を用いて、インクジェット記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画した。
印画後3時間放置した後、40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に3日間保管した後、光学式顕微鏡によってブラック部分の線幅を測定し、以下の基準に従って評価した。
〔基準〕
AA:経時ニジミの発生はほとんど認められず、良好であった。
(線幅:0.28〜0.30mm)
BB:若干の経時ニジミが認められたが、実用上問題ないレベルであった。
(線幅:0.31〜0.35mm)
CC:経時ニジミが顕著に認められ、実用上問題となるレベルであった。
(線幅:0.35mm以上)
【0121】
<1−2 耐光性>
前記<1−1>と同じプリンタを用いて、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字した後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルムを通し、25℃、相対湿度32%の環境条件下で、Xenon weather−ometer Ci65A(ATLAS社製)で3.8時間ランプを点灯し、その後、ランプを消した状態で、さらに20℃、相対湿度91%の環境条件下に1時間放置するというサイクルを96時間行い、画像における各色濃度の褪色の程度を、目視により下記基準に従って評価した。
〔基準〕
◎:ほとんど褪色は認められなかった。
O:僅かに褪色が認められた。
△:かなりの褪色が認められた。
×:褪色の程度が著しかった。
【0122】
<1−3 オゾン褪色試験>
前記<1−1>と同じプリンタを用いて、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字し、さらに人物及び風景の画像を印画し、3ppmのオゾン雰囲気下で8時間放置した後、各画像における各色の彩色及び濃度の褪色の程度を、目視により下記基準に従って評価した。
〔基準〕
◎:ほとんど褪色は認められなかった。
O:僅かに褪色が認められた。
△:かなりの褪色が認められた。
×:褪色の程度が著しかった。
【0123】
これらを評価した結果を下記表1に記す。
【0124】
【表1】
Figure 0004098970
【0125】
前記表1から、実施例のインクジェット記録用シートは、経時ニジミ、耐光性、及び耐オゾン性(耐オゾン褪色)のそれぞれにおいて良好であった。これに対し、比較例1のインクジェット記録用シートは、前記性能のすべてを同時に満足することができず、また比較例2のインクジェット記録用シートも、光沢度、耐水性、耐光性、及びオゾン褪色については劣っていた。
【0126】
(参考実験−色素溶液系での耐オゾン性の測定及び評価−)
次に、参考実験として、色素溶液系において本発明に係る化合物を用いた場合の、耐オゾン性の測定結果及びその評価について説明する。
【0127】
<参考例1>
銅フタロシアニン系色素(PM−770C用シアン染料;セイコーエプソン(株)製)5×10-5mol/l、及び、例示化合物(1−35)5×10-3mol/lの蒸留水溶液(以下、「色素水溶液」と、いう場合がある。)20mlに、オゾン発生装置(OS−100;SilverRead社製)より発生させたオゾンを、25ml/minの流量で20分間バブリングさせた。
そして、オゾンをバブリングさせた前後における、前記色素水溶液の吸収スペクトルを、マルチパーパース自記分光光度計(MPS−2000;島津製作所(株)製)を用いて測定し、極大吸収波長における吸光度の変化から色素の残存率を求め、耐オゾン性を評価した。
【0128】
<参考例2>
前記参考例1における例示化合物(1−35)の代わりに、例示化合物(1−37)を使用した以外は、参考例1と同様にして色素の残存率を求め、耐オゾン性を評価した。
【0129】
<参考例3>
前記参考例1における例示化合物(1−35)の代わりに、例示化合物(1−42)を使用した以外は、参考例1と同様にして色素の残存率を求め、耐オゾン性を評価した。
【0130】
<参考例4>
前記参考例1における色素水溶液の溶媒である蒸留水をメタノールに代え、例示化合物(1−35)の代わりに、例示化合物(1−43)を使用した以外は、参考例1と同様にして色素の残存率を求め、耐オゾン性を評価した。
【0131】
<参考比較例1>
前記参考例1における例示化合物(1−35)を使用しないこと以外は、前記参考例1と同様にして、色素の残存率を求め、耐オゾン性の評価を行った。
参考例1〜4及び参考比較例1の結果を下記表2に示す。
【0132】
【表2】
Figure 0004098970
【0133】
前記表2より、色素溶液系においても、本発明により、耐オゾン性が向上することが確認された。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生ずることなく、安定に画像を保持し、さらに、優れた耐オゾン性によって経時による画像記録の褪色を防止し得るとともに、画像部の耐光性に優れたインクジェット記録用シートを提供することができる。

Claims (7)

  1. 支持体上に色材受容層を有してなり、該色材受容層が、
    平均一次粒子径が20nm以下の無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)とを質量比(x:y)1.5:1〜10:1の範囲で構成成分として含む、空隙率50〜80%を有する三次元網目構造の層であること;及び
    前記水溶性樹脂の架橋剤と、有機カチオン性媒染剤と、基本骨格のイオン化エネルギーの値が7.0eV以上9.0eV以下で、かつ水溶性の化合物の少なくとも1種と、を含有すること;及び
    前記化合物のI/O値が0.5以上であること;
    を特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 前記化合物が、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基のうちの少なくとも1つを分子内に含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 前記色材受容層が、少なくとも1種の金属化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
  4. 前記有機カチオン性媒染剤が、ポリアリルアミン系であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
  5. 前記水溶性樹脂がポリビニルアルコールであり、かつ前記架橋剤が硼酸または硼酸塩であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
  6. 前記無機微粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
  7. 前記無機微粒子が擬ベーマイト構造である請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
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