JP2001246832A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2001246832A
JP2001246832A JP2000058568A JP2000058568A JP2001246832A JP 2001246832 A JP2001246832 A JP 2001246832A JP 2000058568 A JP2000058568 A JP 2000058568A JP 2000058568 A JP2000058568 A JP 2000058568A JP 2001246832 A JP2001246832 A JP 2001246832A
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recording sheet
coating
layer
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Application number
JP2000058568A
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Katsuki Suzuki
勝喜 鈴木
Takashi Kobayashi
孝史 小林
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録面の光沢性に優れ、高温高湿環境下でも
画像の経時滲みを生ずることのないインクジェット記録
用シートを提供する。また、ひび割れ等がなく強固で良
好なインク吸収性を備え、その形成画像が高い耐光性、
耐水性をも有する。 【解決手段】 少なくとも支持体と色材受容層との間の
該支持体上に、ホウ酸又はホウ素化合物が支持体の一方
の表面当り0.1g/m2以上塗工され、前記色材受容
層が、平均一次粒子径20nm以下の無機顔料微粒子と
水溶性樹脂とを含んで構成され、空隙率50〜80%の
三次元網目構造を有し、かつ該無機顔料微粒子(i)と
水溶性樹脂(p)との含有率(i:p/重量比)が1.
5:1〜10:1であることを特徴とするインクジェッ
ト記録用シートである。色材受容層が設けられていない
側の支持体の表面に、ポリエチレンを含むラミネート層
が設けられた態様、カレンダー処理が施された態様が好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、油性
インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液
状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインク
ジェット記録に適した被記録材に関し、詳しくは、イン
ク受容性能に優れた記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発され、その情報システムに
適した記録方法及び装置が開発され、実用化されてい
る。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、
多種の記録材に記録可能なこと、ハード(装置)が比較
的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優
れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホーム
ユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】また、近年のインクジェットプリンタの高
解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を
得ることも可能になってきた。その一方、ハード(装
置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シー
トも各種開発されてきている。前記インクジェット記録
用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、
(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこ
と)、(2)インクドットの径が適正で均一であること
(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、
(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高い
こと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、
(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、(8)記
録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存
性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこ
と)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であるこ
と(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が
良好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ラ
イクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢
紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平
滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求さ
れる。
【0004】インクジェット記録に用いられる記録用シ
ートとしては、例えば、特開昭55−51583号、同
55−144172号、同55−150395号、同5
6−148582号、同56−148583号、同56
−148584号、同56−148585号、同57−
14091号、同57−38185号、同57−129
778号、同57−129979号、同60−2190
84号、同60−245588号等の各公報に記載の、
シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを紙、プラスチッ
クフイルム等の支持体上に塗布したものが知られてい
る。しかしながら、これら提案の記録シートにおいて
は、いずれも光沢性が非常に低く、フォト光沢紙の用途
としては不十分であった。
【0005】また、特開平2−276670号、同3−
215082号、同3−281383号、同6−199
035号等の各公報には、擬ベーマイトゾルと水溶性バ
インダーとを用いた記録用シートが提案されている。こ
れらの記録シートは、光沢性の点である程度の要求特性
を満たすものではあるが、擬ベーマイト粒子の製造コス
トが高い点、塗布液の調製が困難な点等の課題が存在す
る。
【0006】特開平4−223190号公報では、硼砂
又は硼酸を0.1g/m2以上塗工してなる基紙に、5
〜20g/m2の合成シリカ、及びポリビニルアルコー
ル(PVA)からなる記録層が設けられたインクジェッ
ト記録用紙が提案されている。上記技術は、単にバイン
ダ含有量が少ない記録層の塗膜強度を向上することを目
的としたものであり、光沢の点で劣りフォト光沢紙の用
途としては不十分であった。
【0007】更に、光沢性を得るために各種水溶性ポリ
マーを用いた記録材料も提案されている。例えば、特開
昭58−89391号、同58−134784号、同5
8−134786号、同60−44386号、同60−
132785号、同60−145879号、同60−1
68651号、同60−171143号、同60−17
1143号等の各公報に記載の、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等を紙、プラスチ
ックフイルム等の支持体上に塗布したものが知られてい
る。これらの記録シートも光沢性の点では優れるが、イ
ンク速乾性の点で劣り、フォト光沢紙の用途としては不
十分であった。
【0008】他方、特開平7−276789号、同8−
174992号、同11−115308号、同11−1
92777号等の各公報では、前述のインクジェット記
録用シートの要求特性、製造コストを満足するインクジ
ェット記録用シートが提案されている。前記特開平7−
276789号公報では、無機顔料微粒子及び水溶性樹
脂より形成された、高い空隙率を持つ三次元構造を有す
る色材受容層が、支持体上に設けられた記録用シートが
提案されている。この構成によれば、前記インク吸収性
が向上し、印画時の混色滲みが十分に抑制され、解像度
の高い画像を得ることができるとされている。この色材
受容層は、一般に、小粒径の粒子を多量に含有させて形
成できるが、層形成のバインダー量を空隙が形成できる
ように少なくする必要があるため、塗布層を急激に乾燥
させると、ひび割れが発生し、色材受容層の透明性及び
外観が損なわれるといった欠点がある。
【0009】インク受容層のひび割れを防止する方法と
して、特開平9−109545号公報では、塗布液のバ
インダーの粘度を比較的高くする方法が提案されている
が、この方法では、作業性の低下や塗布ムラが発生する
等のおそれがあり、実用上有効であるレベルには至って
いない。また、特開平7−76161号公報、同10−
119423号公報では、無機粒子、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ホウ酸若しくはホウ酸塩よりなる塗布
液を用いるひび割れ防止方法が開示されているが、この
方法の場合、塗布液の粘度が上昇し作業性の低下が大き
く、液の経時安定性にも問題があり、実用上有効なレベ
ルには至っていない。
【0010】前記特開平10−119423号、同10
−217601号等の各公報では、微細な無機顔料粒子
及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色材受容層
が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが
提案されている。上記各インクジェット記録用シートで
は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画
像を形成しうる高いインク受容性能を有し、かつ高光沢
を示すものの、光沢性と風合いの観点から、支持体とし
てその両側の表面にポリエチレン等の樹脂コートが施さ
れた支持体を用いるため、色材受容層中に含まれる高沸
点溶媒が蒸発や支持体への吸収がされずにそのまま残存
し、印画後、高温高湿環境下に長時間保存されると、色
材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、経時により
画像の滲み(以下、「経時滲み」ということがある。)
を生ずるといった問題があった。
【0011】上記のように、色材受容層が、ひび割れ等
の発生がなく強固である一方、良好なインク吸収性を有
し高解像度で高濃度な画像が形成できると共に、その形
成画像が高い耐光性、耐水性を有するといったインク受
容性能を確保しながら、更に、記録面の表面平滑性及び
光沢性に優れ、かつ印画後、高温高湿環境下に長時間保
存された場合でも経時滲みを起こさず安定に画像を保持
しうるインクジェット記録用シートは、未だ提供されて
いないのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、第一に、本発明は、記録面の表面平滑
性及び光沢性に優れ、かつ印画後、高温高湿環境下に長
時間保存された場合に経時滲みを生ずることなく、安定
に画像を保持しうるインクジェット記録用シートを提供
することを目的とする。第二に、本発明は、ひび割れ等
の発生がなく強固で、良好なインク吸収性を有し高解像
度で高濃度な画像を形成しうるインクジェット記録用シ
ートを提供することを目的とする。第三に、本発明は、
形成された画像が、太陽光や蛍光灯等の光照射下でも高
い耐光性を示し、耐水性にも優れるインクジェット記録
用シートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、色材受容
層のインク受容性能に関し鋭意検討を重ねた結果、以下
の知見を得た。即ち、(1) 従来、記録面の光沢性等の観
点より支持体上にポリエチレン等の樹脂層を設けてきた
が、該樹脂層が色材受容層下に存在すると、水成分以外
の高沸点溶媒は色材受容層中に残存し、色材受容層の層
内構造等を最適化してインク吸収性、画像解像度の向上
を図っても、前記溶媒が残存すれば該溶媒の拡散に起因
して保存時の画像の滲みを回避できない、(2) 上記樹脂
層を除去すると、溶媒の支持体への染み込みにより保存
時の画像の滲みは回避できるが、単に除去するのみでは
色材受容層を構成するバインダー成分までが染み込み、
記録面の平滑性や光沢性を損なう、(3) 一方、支持体の
両面の樹脂層を除去してしまうと、防水性の低下や、イ
ンク吸収に伴う支持体の波打ち状の変形を招来し、写真
ライクの高級感が得られない、といった傾向にある。
【0014】前記課題を解決するための手段は以下の通
りである。即ち、 <1> 支持体上に色材受容層を有するインクジェット
記録用シートにおいて、少なくとも支持体と色材受容層
との間の該支持体上に、ホウ酸又はホウ素化合物が支持
体の一方の表面当り0.1g/m2以上塗工され、前記
色材受容層が、平均一次粒子径20nm以下の無機顔料
微粒子と水溶性樹脂とを含んで構成され、空隙率50〜
80%の三次元網目構造を有し、かつ該無機顔料微粒子
(i)と水溶性樹脂(p)との含有率(i:p/重量
比)が1.5:1〜10:1であることを特徴とするイ
ンクジェット記録用シートである。
【0015】<2> 無機顔料微粒子が、その表面1n
2当り2〜3個のシラノール基を有するシリカである
前記<1>に記載のインクジェット記録用シートであ
る。
【0016】<3> 色材受容層が、支持体上に無機顔
料微粒子と水溶性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を
塗布し、該塗布と同時に、又は形成された塗布層の乾燥
途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる
前に、該塗布層に水溶性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒
染剤とを含有する溶液を付与した後、該溶液を付与した
塗布層を架橋硬化させて得られる前記<1>又は<2>
に記載のインクジェット記録用シートである。
【0017】<4> 架橋剤が、ホウ酸又はホウ素化合
物である前記<3>に記載のインクジェット記録用シー
トである。
【0018】<5> 色材受容層が設けられていない側
の支持体の表面に、ポリエチレンを含むラミネート層が
設けられた前記<1>〜<4>のいずれかに記載のイン
クジェット記録用シートである。
【0019】<6> カレンダー処理が施された前記<
1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用
シートである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用シ
ートにおいては、支持体上の少なくとも色材受容層が設
けられる側、即ち、少なくとも支持体と色材受容層との
間の該支持体上に、支持体の一方の表面当り0.1g/
2以上のホウ酸又はホウ素化合物が塗工されているこ
とを特徴とする。以下、本発明のインクジェット記録用
シートについて説明する。
【0021】本発明のインクジェット記録用シートは、
色材受容層が設けられる側及び色材受容層が設けられな
い側の少なくとも一方の支持体表面上に、ホウ酸又はホ
ウ素化合物が、支持体の一方の表面当り0.1g/m2
以上塗工され、該塗工後の支持体表面上に少なくとも色
材受容層が設けられて構成される。 (ホウ酸又はホウ素化合物)本発明においては、色材受
容層が設けられる側の支持体の表面に、予めホウ酸又は
ホウ素化合物を塗工することにより、色材受容層の記録
面の光沢性、表面平滑性を確保しながら、高温高湿環境
下に保持した際の画像の滲みを回避することができる。
【0022】即ち、記録面の光沢性、平滑性を確保する
点では、色材受容層を設ける支持体表面にはポリエチレ
ン等の樹脂層が存在することが好ましいが、保存時の経
時滲みを回避する点では、該樹脂層を除去し、色材受容
層中の溶媒が支持体に染み込むように構成することが望
まれる。しかし、単に該樹脂層を除去するのみでは、バ
インダー等までも染み込む結果、十分な表面性が得られ
ない。従って、支持体上に予め下塗り層としてホウ素化
合物等を塗工しておくことにより、該層上に色材受容層
が形成されると、該層と下塗り層との界面で、色材受容
層中のバインダーと前記ホウ素化合物等とがゲル化反応
して硬化し、色材受容層中のバインダー等の成分の支持
体中への染み込みを回避できる。その一方、色材受容層
と下塗り層との界面における硬化部は、隙間を持つため
色材受容層中の溶媒は通過できる。その結果、記録面の
光沢性や平滑性を維持しながら、高温高湿環境下におけ
る画像の滲みを回避することができる。
【0023】前記ホウ酸又はホウ素化合物としては、例
えば、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸
塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg
3(BO3)2、Co3(BO3)2等)、二ホウ酸塩(例えば、
Mg225、Co225等)、メタホウ酸塩(例え
ば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO
2等)、四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2
等)、五ホウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2
611・7H2O、CsB55等)等が挙げられる。
【0024】前記ホウ酸又はホウ素化合物の塗工量とし
ては、支持体の一方の表面当り、0.1g/m2以上が
好ましく、0.1〜5.0g/m2がより好ましい。前
記塗工量が、0.1g/m2未満であると、色材受容層
中のバインダ成分が支持体中へ染み込み、目標とする表
面性を得ることができないことがある。
【0025】前記ホウ酸及びホウ素化合物は、水溶性バ
インダーと組合わせて用いてもよく、その場合、後述す
る水溶性樹脂を用いることが好ましい。ホウ酸又はホウ
素化合物を支持体上に塗工する方法としては、特に制限
はなく、水溶液等の塗布液状の溶液を公知の塗布方法で
塗布する等によって塗工することができる。前記公知の
塗布方法としては、後述の色材受容層を塗布形成する場
合と同様の方法が挙げられる。
【0026】(色材受容層)前記色材受容層は、無機顔
料微粒子と、水溶性樹脂と、該水溶性樹脂を架橋しうる
架橋剤と、媒染剤とを少なくとも含み、必要に応じて、
耐光性向上剤等の他の成分を含んでいてもよい。また、
前記色材受容層は、支持体上に、無機顔料微粒子と水溶
性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を塗布し、該塗布
と同時に、又は該塗布層の乾燥途中であって塗布層が減
率乾燥速度を示すようになる前に、前記塗布層に水溶性
樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液
(以下、「架橋剤溶液」ということがある。)を付与し
た後、該溶液を付与した塗布層を架橋させて硬化した層
であることが好ましい。
【0027】(無機顔料微粒子)無機顔料微粒子として
は、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化
チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、
カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイ
ト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シ
リカ微粒子が特に好ましい。前記シリカ微粒子は、比表
面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が
高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散
を行えば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好
な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明で
あることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみな
らず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合で
も、高い色濃度と良好な発色性を得る観点で重要であ
る。
【0028】前記無機顔料微粒子の平均一次粒子径とし
ては、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好
ましく、3〜10nmが最も好ましい。
【0029】前記シリカ微粒子は、その表面にシノラー
ル基を有し、該シラノール基による水素結合により粒子
同士が付着しやすいため、上記のように平均一次粒子径
が10nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成する
ことができ、インク吸収特性を効果的に向上させること
ができる。
【0030】また、シリカ微粒子は、その製造法により
湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。前記湿式法で
は、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これ
を適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法
が主流である。一方、乾式法は、ハロゲン化珪素の高温
気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂と
コークスとを電気炉中でアークにより加熱還元気化し、
これを空気で酸化する方法(アーク法)により無水シリ
カを得る方法が主流である。
【0031】これらの方法で得られる含水シリカ及び無
水シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無等
に相違があり、それぞれ異なった性質を示すが、無水シ
リカ(無水珪酸)の場合には、特に空隙率が高い三次元
構造を形成しやすく特に好ましい。この理由は明らかで
はないが、含水シリカの場合には、微粒子表面における
シラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ
微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、無水
シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の
密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝
集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い
構造になるものと推定される。従って、本発明において
は、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個
/nm2であるシリカ(シリカ微粒子)を用いることが
好ましい。
【0032】透明性の観点から、シリカ微粒子に組合わ
せる樹脂の種類が重要となり、無水シリカを用いる場合
には、前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール
(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜99%の
PVAがより好ましく、鹸化度70〜90%のPVAが
最も好ましい。
【0033】前記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基
が水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単
位とする三次元網目構造を形成しやすくする。該三次元
網目構造の形成により、空隙率の高い多孔質構造の色材
受容層を形成しうると考えられる。このようにして得た
多孔質の色材受容層は、インクジェット記録において、
毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲み
のない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0034】無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒
子;i)と水溶性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:
p)、水溶性樹脂1重量部に対する無機顔料微粒子の重
量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな影響を与える。
即ち、PB比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面
積(単位重量当り)が大きくなる。具体的には、前記P
B比(i:p)としては、1.5:1〜10:1が好ま
しい。前記PB比が10:1を超える、即ち、PB比が
大きくなりすぎると、膜強度が低下し、乾燥時にひび割
れを生じやすくなることがあり、1.5:1未満、即ち
PB比が小さすぎると、空隙が樹脂により塞がれ易くな
る結果、空隙率が減少してインク吸収性が低下すること
がある。
【0035】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。更にシート状に裁断加工する場合、色材受容層の
割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分な
膜強度を有していることが必要である。この場合、前記
PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェット
プリンターで高速インク吸収性をも確保する観点から
は、2:1以上であることが好ましい。
【0036】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:
1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布
し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子
を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径
が30nm以下、空隙率が50%以上、細孔比容積0.
5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透
光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0037】(水溶性樹脂)前記水溶性樹脂としては、
例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する
樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオ
ン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニル
アルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロ
ース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシ
エチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプ
ン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキ
サイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PP
O)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニル
エーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する
樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニ
ルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性
基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、
マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げるこ
とができる。上記の中でも、特にポリビニルアルコール
類が好ましい。
【0038】前記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分重量に対して、9〜40重量%が好まし
く、16〜33重量%がより好ましい。前記含有量が、
9重量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時にひび
割れを生じやすくなることがあり、40重量%を超える
と、空隙が樹脂により塞がれ易くなる結果、空隙率が減
少してインク吸収性が低下することがある。
【0039】色材受容層を主として構成する、前記無機
顔料微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でもよ
いし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0040】(架橋剤)本発明のインクジェット記録用
シートの色材受容層は、無機顔料微粒子及び水溶性樹脂
を含む塗布層(多孔質層)に、更に架橋剤及び媒染剤を
少なくとも含む溶液(架橋剤溶液)が付与され、該架橋
剤により前記水溶性樹脂が架橋反応により硬化した層で
ある。
【0041】前記架橋剤溶液の付与は、上記多孔質性の
色材受容層を形成する塗布液(色材受容層用塗布液)が
塗布されるのと同時に、あるいは色材受容層用塗布液を
塗布して形成された塗布層が減率乾燥速度を示すように
なる前に、行われることが好ましい。この操作により、
塗布層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効果的
に防止することができる。即ち、上記塗布液が塗布され
たと同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示すよう
になる前に架橋剤溶液が塗布層内に浸透し、塗布層内の
水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化(硬
化)させることにより、塗布層の膜強度を即時に大幅に
向上させる。
【0042】前記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤として
は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適
な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速
である点から、ホウ素化合物が好ましく、例えば、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、In
BO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)
2 、Co3(BO3)2、二ホウ酸塩(例えば、Mg22
5、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiB
2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸
塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩
(例えば、KB58・4H2 O、Ca2611・7H2
O、CsB55)、グリオキザール、メラミン・ホルム
アルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル化
メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹
脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げること
ができる。中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特に水溶性樹脂とし
てポリビニルアルコールと組合わせて使用することがよ
り好ましい。
【0043】前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化
合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホル
ムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド
等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタン
ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿
素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン
・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスル
ホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;
【0044】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。尚、前記架橋剤は、一種単独でも、2種以上を
組合わせてもよい。
【0045】前記架橋剤溶液は、架橋剤を水及び/又は
有機溶剤に溶解して調製される。架橋剤溶液中の架橋剤
の濃度としては、架橋剤溶液の重量に対して、0.05
〜10重量%が好ましく、0.1〜7重量%が特に好ま
しい。架橋剤溶液を構成する溶媒としては、一般に水が
使用され、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合溶媒
であってもよい。前記有機溶剤としては、架橋剤が溶解
するものであれば任意に使用することができ、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グ
リセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;
トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエー
テル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等
を挙げることができる。
【0046】(媒染剤)前記媒染剤はカチオン性のポリ
マーであるため、色材受容層中に存在させることにより
アニオン性染料を色材として有する液状インキとの間で
相互作用し、色材を安定化し耐水性を向上させることが
できる。
【0047】しかし、これを直接色材受容層を形成する
ための塗布液に添加すると、シリカ等の、アニオン電荷
を有する無機顔料微粒子との間で凝集を生ずる懸念を生
ずる場合があるが、それぞれを独立した溶液として調製
し塗布する方法を利用すれば、無機顔料微粒子の凝集を
懸念する必要もない。よって、本発明においては、前記
架橋剤溶液に含有して用いる。
【0048】カチオン性媒染剤としては第1級〜第3級
アミノ基及びその塩、あるいは第4級アンモニウム塩基
を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオ
ン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。前記
ポリマー媒染剤としては、下記塩基を有するモノマーの
単独重合体や、該モノマーと他のモノマーとの共重合体
又は縮重合体として得られるものが好ましい。
【0049】前記モノマーとしては、例えば、トリメチ
ル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリ
メチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライ
ド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニ
ルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル
−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムク
ロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−
p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−
ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジル
アンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベン
ジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライ
ド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニル
ベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−
N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジル
アンモニウム クロライド、N,N−ジメチル−N−
フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロラ
イド、
【0050】トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアン
モニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジル
アンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベ
ンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビ
ニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m
−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N
−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチル
アンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N
−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4
−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニル
フェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0051】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、
エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイ
ド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドに
よる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホ
ン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキ
ルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0052】中でも、具体的には、例えば、トリメチル
−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムク
ロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)
エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(ア
クリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、ト
リエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニ
ウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオ
キシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−
3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)
エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メ
タクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、
トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモ
ニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルア
ミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3
−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロ
ライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プ
ロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(ア
クリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、
トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアン
モニウムクロライド、
【0053】N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メ
タクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイル
オキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメ
チル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピ
ルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタク
リロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオ
キシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−
3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセ
テートなどを挙げることができる。その他、共重合可能
なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニ
ル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0054】前記ポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、
水分散性のラテックス粒子のいずれの形でも使用するこ
とができる。
【0055】更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリ
ルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイ
ルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミ
ン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン
樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリ
ン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニ
ウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好
ましいものとして挙げることができる。
【0056】前記媒染剤の分子量としては、1000〜
200000程度が好ましい。該分子量が1000未満
であると、形成した色材受容層の耐水性が不十分となる
ことがあり、200000を超えると、粘度が高くなり
ハンドリング適性が低下することがある。
【0057】一方、前記非ポリマー性の媒染剤として
は、炭素原子数の総和が12以上、好ましくは18以上
の第4級アンモニウム塩基を有する化合物が好適に用い
られる。
【0058】前記媒染剤の含有量としては、色材受容層
の全固形分重量に対して、0.5〜25.0重量%が好
ましく、1.0〜15.0重量%がより好ましい。前記
含有量が、0.5重量%未満であると、十分な耐水性が
得られないことがあり、25.0重量%を超えると、イ
ンク吸収性が悪化することがある。
【0059】(他の成分)色材受容層は、主として上記
無機顔料微粒子と水溶性樹脂とからなるが、その他必要
に応じて、下記成分を含んでいてもよい。色材の劣化を
抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一
重項酸素クエンチャー等を含んでいてもよい。前記紫外
線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導
体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられ
る。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−
ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾー
ル−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−
2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリア
ゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げ
られる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤と
して使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位のう
ち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール
誘導体が好ましい。
【0060】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号、同58−111942号、同58−212844
号、同59−19945号、同59−46646号、同
59−109055号、同63−53544号、特公昭
36−10466号、同42−26187号、同48−
30492号、同48−31255号、同48−415
72号、同48−54965号、同50−10726
号、米国特許第2,719,086号、同3,707,
375号、同3,754,919号、同4,220,7
11号等に記載されている。
【0061】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号、同54−5324
号等に記載されている。
【0062】前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0063】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号、同第4980275号公報等に記載のものが
挙げられる。
【0064】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0065】前記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルジョン化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。前記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層用塗布液の0.01〜10重量%が好
ましい。
【0066】また、無機顔料微粒子の分散性を高める目
的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等
を含んでいてもよい。更に、塗布適性や表面品質を高め
る目的で各種の界面活性剤を、表面の摩擦帯電や剥離帯
電を抑制する目的で、イオン導電性を持つ界面活性剤や
電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性
を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0067】(支持体)支持体として使用可能な材料と
しては、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩
写真用支持体等に使用されるバライタ紙、上質紙、中質
紙等が好適である。更に、記録用シートのカール等を抑
制しうる観点から、上記各種支持体に対し、色材受容層
が設けられない側の支持体の表面にポリエチレンを含む
ラミネート層が設けられたものが好ましい。前記支持体
の厚さとしては、特に制限はないが、取扱い性の点で、
50〜300μmが好ましい。前記支持体には、コロナ
放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理
を施したものを使用してもよい。
【0068】(インクジェット記録用シートの作製)本
発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、無
機顔料微粒子と水溶性樹脂とを含む塗布液を支持体上に
塗布する際、該塗布と同時に、あるいは該塗布した層が
減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層上に架橋
剤と媒染剤とを少なくとも含む溶液(架橋剤溶液)を付
与して、前記水溶性樹脂を架橋剤により硬化させて得ら
れることが好ましい。また、本発明のインクジェット記
録用シートの色材受容層は、無機顔料微粒子及び水溶性
樹脂を含む塗布液と、架橋剤を含む溶液とを、架橋剤と
反応しない材料からなるバリアー液(但し、架橋剤を含
む溶液若しくはバリアー液の少なくとも一方に媒染剤を
含有させる。)を挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、
硬化させることにより得ることもできる。
【0069】上記のように、本発明においては、架橋剤
と共に媒染剤を同時塗布することにより、色材受容層の
耐水性を向上させている。即ち、前記媒染剤を色材受容
層用の塗布液に添加すると、該媒染剤はカチオン性であ
るので、シリカ等の、表面にアニオン電荷を持つ無機顔
料微粒子との共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒
染剤を含む溶液と色材受容層用の塗布液とをそれぞれを
独立に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、無機
顔料微粒子の凝集を考慮する必要がなく、媒染剤の選択
範囲が広がる。
【0070】本発明において、無機顔料微粒子と水溶性
樹脂とを少なくとも含んでなる色材受容層用の塗布液
(以下、「色材受容層用塗布液」ということがある。)
は、例えば、以下のようにして調製できる。即ち、平均
一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加し
て(例えば、10〜20重量%)、高速回転湿式コロイ
ドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニック
(株)製))を用いて、例えば10000rpm(好ま
しくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件
で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた
後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1
/3程度の重量のPVAとなるように)を加え、更に上
記と同じ回転条件で分散を行うことにより調製すること
ができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下
記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次
元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成するこ
とができる。前記色材受容層用塗布液には、必要に応じ
て、更に界面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤等を添加
することもできる。
【0071】色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、
ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイ
ズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知
の塗布方法により行うことができる。
【0072】本発明においては、色材受容層用塗布液に
より塗布形成した塗布層に、架橋剤と媒染剤とを少なく
とも含む溶液(架橋剤溶液)を導入し乾燥することで、
架橋反応により硬化された色材受容層を得ることができ
る。前記架橋剤塗布液は、色材受容層用塗布液を塗布し
た後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付
与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液の塗布後、こ
の塗布層が恒率乾燥速度を示している間に、架橋剤と媒
染剤とを少なくとも含有する架橋剤溶液を導入すること
により好ましく製造される。
【0073】上記「塗布層が減率乾燥速度を示すように
なる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後か
ら数分間を指し、この間においては、塗布された塗布層
中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である
恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間につい
ては、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)
発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0074】上記の通り、色材受容層用塗布液の塗布
後、その塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾
燥されるが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜
10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。こ
の乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが上記範
囲が適当である。
【0075】前記塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に付与する方法としては、架橋剤溶液を塗布層上
に更に塗布する方法、スプレー等の方法により噴霧す
る方法、架橋剤溶液中に、該塗布層が形成された支持
体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0076】上記方法において、架橋剤溶液を塗布す
る塗布方法としては、例えば、カーテンフローコータ、
エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ
ー、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、ス
クイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の
公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エク
ストリュージョンダイコータ、カーテンフローコータ、
バーコータ等のように、既に形成されている塗布層にコ
ータが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0077】色材受容層上に付与する、架橋剤と媒染剤
とを少なくとも含有する塗布液(架橋剤溶液)の塗布量
としては、架橋剤換算で0.01〜10g/m2が一般
的であり、0.05〜5g/m2が好ましい。
【0078】該架橋剤溶液の付与後は、一般に40〜1
80℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行
われる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱す
ることが好ましい。例えば、前記架橋剤溶液中に含有す
る架橋剤として硼砂やホウ酸を使用する場合には、60
〜100℃での加熱を5〜20分間行うことが好まし
い。
【0079】また、前記架橋剤塗布液は、色材受容層用
塗布液を塗布すると同時に付与してもよい。この場合、
色材受容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含む架橋剤
溶液を、該色材受容層用塗布液が支持体と接触するよう
にして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥
硬化させることにより色材受容層を形成することができ
る。
【0080】上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを
用いた塗布方法により行うことができる。同時塗布の
後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥
は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間
加熱することにより行われ、好ましくは、40〜100
℃で0.5〜5分間加熱することにより行われる。例え
ば、架橋剤溶液に含有する架橋剤として硼砂やホウ酸を
使用する場合は、60〜100℃で5〜20分間加熱す
ることが好ましい。
【0081】上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エ
クストルージョンダイコータにより行った場合、同時に
吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコ
ータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形
成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前
に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二
液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルー
ジョンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が
混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合が
ある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受
容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含有する架橋剤溶
液の塗布と共に、更に架橋剤と反応しない材料からなる
バリアー層液(中間層液)を前記二液間に介在させて同
時三重層塗布することが好ましい。
【0082】前記バリアー層液は、架橋剤と反応せず液
膜を形成できるものであれば、特に制限なく選択でき
る。例えば、架橋剤と反応しない水溶性樹脂を微量含む
水溶液や、水などを挙げることができる。前記水溶性樹
脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用される
もので、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−
ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ
−ス、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが
挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有
させることもできる。
【0083】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダなどを用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカ
レンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、
透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。し
かしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる
要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下
することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設
定して行う必要がある。
【0084】カレンダー処理を行う場合のロール温度と
しては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃が
より好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線
圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、10
0〜200kg/cmがより好ましい。
【0085】前記色材受容層の層厚としては、インクジ
ェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収
容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決
定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2
で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm
以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジ
ェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、1
0〜50μmが好ましい。
【0086】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがより好ましい。前記空隙率及び細孔メ
ジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザ
ー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測
定することができる。
【0087】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
より好ましい。前記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HG
M−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定すること
ができる。
【0088】支持体上には、色材受容層と支持体との間
の接着性を高めたり、電気抵抗を調整する等の目的で、
下塗層を設けてもよい。尚、色材受容層は、支持体の片
面のみに設けてもよいし、カール等の変形を抑制する等
の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用
いる場合であって、色材受容層を支持体の片面のみに設
ける場合は、その反対側の表面、あるいはその両面に、
光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもでき
る。
【0089】上記の通り、色材受容層が形成される側の
支持体の表面にホウ酸又はホウ素化合物が塗工され、該
表面に色材受容層を形成することにより、色材受容層の
光沢性、表面平滑性を確保し、かつ高温高湿環境下にお
ける、印画後の画像の経時滲みを抑制することができ
る。しかも、色材受容層が無機顔料微粒子を含んで空隙
率50〜80%の三次元網目構造からなり、良好なイン
ク吸収性を示し高解像度で高濃度な画像が形成できると
共に、その形成画像が高い耐光性、耐水性を有するとい
った、優れたインク受容性能を確保することができる。
【0090】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「部」及び「%」は、全て「重量部」及び
「重量%」を表す。
【0091】−支持体の作製− LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスク
リファイナーによりカナディアンフリーネス300ml
まで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニ
オンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミ
ンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリル
アミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比
で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原
紙を抄造した。
【0092】前記原紙の表面サイズを調整するため、ポ
リビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whit
ex BB,住友化学工業(株)製)を0.04%添加
し、これを絶乾重量換算で0.5g/m2となるように
前記原紙に含浸させ、乾燥した後、さらにキャレンダー
処理を施して密度1.05に調整された基紙を得た。
【0093】得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコ
ロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポ
リエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティング
し、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層
面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層にさら
にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、
酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業
(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化
学工業(株)製)とを1:2の比(重量比)で水に分散
した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となるように
塗布した。上記のようにして、原紙の裏面にのみ樹脂層
が形成された支持体Aを得た。
【0094】(実施例1) −支持体の作製− 上記より得た支持体Aの、樹脂層の設けられていない側
のフェルト面(表面)側に、10%硼砂水溶液を10g
/m2塗布し、60℃下で乾燥させることにより、硼砂
固形分塗布量1g/m2の硼砂処理が施された支持体A
−1を得た。
【0095】−色材受容層用塗布液の調製− 下記組成中の及びを混合し、高速回転式コロイドミ
ル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用
いて、回転数10000rpmで20分間分散させた
後、下記1Nアンモニア水と、下記ポリビニルアル
コール9%水溶液とを加え、更に上記と同一条件で分散
を行い、色材受容層用塗布液を調製した。シリカ微粒子
と水溶性樹脂との重量比(PB比/:)は、3.
5:1であった。 〔色材受容層塗布液の組成〕 シリカ微粒子 ・・・ 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) イオン交換水 ・・・72.6部 1Nアンモニア水(pH調整剤) ・・・ 5.3部 ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) ・・・31.4部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0096】−インクジェット記録用シートの作製− 上記より得た色材受容層用塗布液を、前記支持体A−1
の硼砂処理を施した側の表面にエクストルージョンダイ
コーターを用いて200cc/m2の塗布量で塗布し
(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/
sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥
させた。塗布層は、この期間恒率乾燥速度を示した。そ
の直後、下記組成の架橋剤溶液(1)に30秒浸漬して
該塗布層上にその20g/m2を付着させ(架橋剤溶液
を付与する工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた
(乾燥工程)。これより、支持体の硼砂処理を施した側
の表面に、乾燥膜厚32μmの色材受容層が設けられ
た、本発明のインクジェット記録用シート(1)を作製
した。
【0097】 〔架橋剤溶液(1)の組成〕 硼砂6% ・・・25部 界面活性剤10%水溶液 ・・・ 2部 (F−144D、大日本インキ化学工業(株)製) イオン交換水 ・・・68.3部 ポリアリルアミン20%水溶液 ・・・ 3部 (媒染剤、分子量5000) ポリフィックス700 ・・・ 1.7部 (昭和高分子(株)製)
【0098】(実施例2)実施例1の支持体の作製に用
いた支持体Aに代えて、市販キャストコート紙(坪量2
10g/m2、マリエスト,北越製紙(株)製)を準備
し、該キャストコート紙に、実施例1と同様にして硼砂
固形分塗布量1g/m2の硼砂処理を施して、支持体A
−2を得た。実施例1で用いた支持体A−1に代えて、
前記支持体A−2を用いたこと以外、実施例1と同様に
して本発明のインクジェット記録用シート(2)を作製
した。
【0099】(実施例3)実施例1で用いた架橋剤溶液
(1)に代えて、下記組成の架橋剤溶液(2)を用いた
こと以外、実施例1と同様にして本発明のインクジェッ
ト記録用シート(3)を作製した。 〔架橋剤溶液(2)の組成〕 硼砂10% ・・・50部 界面活性剤10%水溶液 ・・・ 2部 (F−144D、大日本インキ化学工業(株)製) イオン交換水 ・・・14.7部 媒染剤 ・・・33.3部 (ハイマックスSC−700(30%溶液)、ハイモ(株)製)
【0100】(実施例4)実施例1と同様にしてインク
ジェット記録用シートを作製した後、これに更に温度8
0℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理を施し
て、本発明のインクジェット記録用シート(4)を作製
した。
【0101】(比較例1)実施例1において、支持体A
に硼砂処理を施さず、支持体Aの樹脂層の設けられてい
ない側のフェルト面(表面)上に、実施例1と同様にし
て色材受容層用塗布液を塗布したこと以外、実施例1と
同様にしてインクジェット記録用シート(5)を作製し
た。
【0102】(比較例2)実施例1で用いた支持体A−
1に代えて、下記支持体A−3を用いたこと以外、実施
例1と同様にしてインクジェット記録用シート(6)を
作製した。 〔支持体A−3〕上述と同様にして、一方の表面にのみ
樹脂層が設けられた支持体Aを作製し、樹脂層の設けら
れていない側のフェルト面(表面)側に、コロナ放電処
理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%(対ポ
リエチレン重量)、微量の群青、蛍光増白剤0.01%
(対ポリエチレン重量)及びMFR(メルフローレー
ト)3.8%(対ポリエチレン重量)を含有する低密度
ポリエチレンを、溶融押出機を用いて厚さ29μmとな
るようにコーティングし、光沢性の熱可塑性樹脂層を形
成した。このようにして、原紙の表裏にそれぞれ樹脂層
が形成された支持体A−3を得た。
【0103】<性能評価>上記より得た本発明のインク
ジェット記録用シート(1)〜(4)、及び比較例のイ
ンクジェット記録用シート(5)〜(6)のそれぞれに
ついて、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に
示す。 (光沢度)印画前の記録シートの色材受容層の表面にお
ける60°光沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−
50DP,スガ試験機(株)製)にて測定した。
【0104】(インク吸収速度)インクジェットプリン
タ(PM−770C、セイコーエプソン(株)製)を用
いて、各記録シートの色材受容層上にY(黄)、M(マ
ゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G
(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字し、その後(約1
0秒後)、該画像上に紙を接触押圧し、インクの紙への
転写の程度により下記基準に従って評価した。 〔基準〕 AA: 紙上へのインクの転写は認められなかった。 CC: 紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0105】(色材受容層のひび割れ)各インクジェッ
ト記録用シートの色材受容層の面状を目視で観察し、そ
の表面でのひび割れの有無、及びその大きさを下記基準
に従い評価した。 〔基準〕 AA: ひび割れは全く認められず、良好であった。 BB: 長さ1〜2mm程度のひび割れが認められた。 CC: 長さ3mm以上のひび割れが顕著に認められ
た。
【0106】(耐水性)前記インク吸収速度の評価と同
様にして、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、
K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像
を印字し、3時間放置した後、水中に1分間浸漬し、イ
ンクの水中への流出程度を目視により下記基準に従って
評価した。 〔基準〕 AA: 染料の流出は全く認められなかった。 BB: 全体的に染料の流出が認められ、徐々に画像の
色濃度が低下した。 CC: 水中へ染料がほぼ完全に流れ出てしまった。
【0107】(経時滲み)各インクジェット記録用シー
ト上に、インク吸収速度の測定と同じプリンタを用いて
マゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした
格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画した。
印画後3時間放置した後、40℃・90%RHの恒温恒
湿槽に3日間保管し、ブラック部分の線幅を測定して下
記基準に従い評価した。 〔基準〕 AA: 経時滲みの発生はほとんど認められず、良好で
あった。(線幅:0.28〜0.30mm) BB: 若干の経時滲みが認められたが、実用上問題な
いレベルであった。(線幅:0.31〜0.35mm) CC: 経時滲みが顕著に認められ、実用上問題となる
レベルであった。(線幅:0.35mm以上)
【0108】
【表1】
【0109】上記表1の結果から、硼砂処理の施された
支持体の表面上に色材受容層が形成された本発明のイン
クジェット用記録シート(1)〜(4)では、高い光沢
度を有し、印画後、高温高湿環境下に保持した場合でも
経時滲みは認められず、安定に画像を保持できた。ま
た、各々の色材受容層は、ひび割れ等の発生がなく強固
であり、良好なインク吸収性をも示し高解像度で高濃度
の画像を形成できた。更に、耐水性にも優れていた。一
方、硼砂処理の施していない支持体上に、直接色材受容
層を形成したインクジェット用記録シート(5)では、
十分な光沢性が得られず、しかも、形成された色材受容
層はひび割れを生じ易かった。他方、樹脂層が設けられ
た支持体の該樹脂層上に色材受容層を形成したインクジ
ェット用記録シート(6)では、光沢性には優れるもの
の、経時滲みを生じ安定に画像を保持することができな
かった。
【0110】
【発明の効果】本発明によれば、記録面の表面平滑性及
び光沢性に優れ、かつ印画後、高温高湿環境下に長時間
保存された場合に経時滲みを生ずることなく、安定に画
像を保持しうるインクジェット記録用シートを提供する
ことができる。また、ひび割れ等の発生がなく強固で、
良好なインク吸収性を有し高解像度で高濃度な画像を形
成でき、耐光性、耐水性にも優れるインクジェット記録
用シートを提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に色材受容層を有するインクジ
    ェット記録用シートにおいて、 少なくとも支持体と色材受容層との間の該支持体上に、
    ホウ酸又はホウ素化合物が支持体の一方の表面当り0.
    1g/m2以上塗工され、 前記色材受容層が、平均一次粒子径20nm以下の無機
    顔料微粒子と水溶性樹脂とを含んで構成され、空隙率5
    0〜80%の三次元網目構造を有し、かつ該無機顔料微
    粒子(i)と水溶性樹脂(p)との含有率(i:p/重
    量比)が1.5:1〜10:1であることを特徴とする
    インクジェット記録用シート。
  2. 【請求項2】 無機顔料微粒子が、その表面1nm2
    り2〜3個のシラノール基を有するシリカである請求項
    1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 【請求項3】 色材受容層が、支持体上に無機顔料微粒
    子と水溶性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を塗布
    し、該塗布と同時に、又は形成された塗布層の乾燥途中
    であって該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前
    に、該塗布層に水溶性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染
    剤とを含有する溶液を付与した後、該溶液を付与した塗
    布層を架橋硬化させて得られる請求項1又は2に記載の
    インクジェット記録用シート。
  4. 【請求項4】 架橋剤が、ホウ酸又はホウ素化合物であ
    る請求項3に記載のインクジェット記録用シート。
  5. 【請求項5】 色材受容層が設けられていない側の支持
    体の表面に、ポリエチレンを含むラミネート層が設けら
    れた請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット
    記録用シート。
  6. 【請求項6】 カレンダー処理が施された請求項1から
    5のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006132286A1 (ja) 2005-06-09 2006-12-14 Oji Paper Co., Ltd. インクジェット記録シートの製造方法
JP2008238503A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Oji Paper Co Ltd 多層塗工シートおよびその製造方法
JP2013537858A (ja) * 2010-09-10 2013-10-07 ケアストリーム ヘルス インク インクジェット記録用の透明フィルム、組成物、および方法

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