JP2001353957A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2001353957A
JP2001353957A JP2000175670A JP2000175670A JP2001353957A JP 2001353957 A JP2001353957 A JP 2001353957A JP 2000175670 A JP2000175670 A JP 2000175670A JP 2000175670 A JP2000175670 A JP 2000175670A JP 2001353957 A JP2001353957 A JP 2001353957A
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Japan
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layer
cationic
coating
ink
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JP2000175670A
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English (en)
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Katsuki Suzuki
勝喜 鈴木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度の印画が可能で、しかも印画後の画像
の耐水性、耐経時滲みに優れたインクジェット記録用シ
ートを提供する。 【解決手段】 支持体上に、該支持体に近い側から、一
次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成
シリカを含有する層とカチオン性コロイド粒子を含有す
る層とを少なくとも有することを特徴とするインクジェ
ット記録用シートである。カチオン性コロイド粒子が、
カチオン性コロイダルシリカ及びカチオン性ミクロゲル
の少なくとも一方である態様が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色材として染料又
は顔料を用いた水性インク、油性インク等の液状インク
や、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供す
る固体状インク等を用いたインクジェット記録に適した
被記録材に関し、詳しくは、インク受容性能に優れた記
録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発され、その情報システムに
適した記録方法及び装置が開発され、実用化されてい
る。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、
多種の記録材に記録可能なこと、ハード(装置)が比較
的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優
れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホーム
ユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】また、近年のインクジェットプリンタの高
解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を
得ることも可能になってきた。その一方、ハード(装
置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シー
トも各種開発されてきている。前記インクジェット記録
用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、
(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこ
と)、(2)インクドットの径が適正で均一であること
(滲みのないこと)、(3)ドットの真円性が高いこと、
(4)色濃度が高いこと、(5)発色性(彩度)が高い
こと(くすみのないこと)、(6)印画部の耐光性、耐
水性が良好なこと、(7)記録シートの白色度が高いこ
と、(8)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存
で黄変着色を起こさないこと)等のインク受容性能、
(9)変形しにくく、寸法安定性が良好であること(カ
ールが十分小さいこと)、(10)ハード走行性が良好で
あること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな
高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用
途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平滑性、
銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】特に近年では、インク吸収性に優れ高解像
度の画像を形成し得る性能に加え、より鮮やかで、色純
度・色濃度のより高いインクジェット画像が求められて
おり、しかも印画後の画像の経時滲みや耐水性等、印画
後の画像安定性の点においても極めて高い性能が要求さ
れている。また、これらの性能向上のみならず、既述の
インク受容性能の全てを同時に満足できることが望まれ
る。
【0005】上記のような種々の要求特性や、製造コス
トを満足するものとして、例えば、特開平7−2767
89号公報、同8−174992号公報、同11−11
5308号公報、同11−192777号公報に記載
の、インクジェット記録用シートが提案されている。イ
ンク吸収性を向上させるために、前記特開平7−276
789号公報では、無機顔料微粒子及び水溶性樹脂より
形成された、高い空隙率を持つ三次元構造を有する色材
受容層が、支持体上に設けられた記録用シートが提案さ
れている。この構成によれば、前記インク吸収性が向上
し、印画時の混色滲みが十分に抑制され、解像度の高い
画像を得ることができるとされている。しかし、色材受
容層に、多量に無機顔料微粒子を含有させる反面、層中
空隙率を確保するためにバインダー量を少なくする必要
があり、ひび割れが発生しやすいといった欠点がある。
【0006】上記のような色材受容層のひび割れを防止
する方法として、特開平9−109545号公報に、塗
布液のバインダーの粘度を比較的高くする方法が提案さ
れているが、作業性の低下や塗布ムラが発生する等のお
それがあり、実用上有効であるレベルには至っていな
い。また、特開平7−76161号公報、同10−11
9423号公報では、無機微粒子、ポリビニルアルコー
ル(PVA)、硼酸若しくは硼酸塩よりなる塗布液を用
いたひび割れ防止方法が開示されているが、この方法
は、塗布液の粘度が上昇し作業性の低下が大きく、液の
経時安定性にも問題があり、実用上有効なレベルには至
っていない。
【0007】更に、特開平10−203006号、同1
0−217601号、同11−20306号等の各公報
でも、高い空隙率を持つ三次元構造を有する色材受容層
を有するインクジェット記録用シートが提案されてい
る。しかし、これらの記録用シートでは、その構成によ
りインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成しうる高
いインク受容性能を有しかつ高光沢を示す反面、印画
後、高温高湿環境下に長時間保存されると、色材受容層
中で該溶媒が染料と共に拡散して、経時による画像の滲
み(以下、単に「経時滲み」と称する。)を生ずるとい
った問題がある。
【0008】一方、印画後の耐水性を向上させる技術と
して、特開昭60−219084号公報では、インク受
理層にカチオン性コロイダルシリカを含有させて耐水
性、耐光性を向上させる方法が開示されている。確か
に、ある程度の耐水性を向上させることはできるが、イ
ンクジェットインクを吸収する記録層に空隙構成材料と
してシリカ等のアニオン電荷を有する無機粒子を用いる
場合には、カチオン性コロイダルシリカが層形成する溶
液中で無機粒子と凝集しやすく、均一な液の調製が困難
であり作業上も実用的でないばかりか、十分な空隙率を
有する記録層を安定に形成することができない。即ち、
インク吸収性等の他の要求性能を維持できる範囲でのカ
チオン性コロイダルシリカの使用量は限られ、耐水性と
インクジェット記録用シートに求められる他の要求性能
とを同時に満足することはできない。
【0009】他方、特開2000−37944号公報で
は、インク吸収容量、発色性、耐擦傷性、光沢性を向上
する目的で、支持体上に形成した気相法シリカを含有す
る層上にコロイダルシリカを含有する層が設けられたイ
ンクジェット記録用シートが提案されている。しかし、
コロイダルシリカとしてはアニオン性のものが用いられ
ており、この構成では、印画後における耐水性及び耐経
時滲み等の画像安定性を十分に向上させることは困難で
ある。
【0010】以上のように、色材受容層が、ひび割れ等
の発生がなく強固であって良好なインク吸収性、耐光
性、光沢性を維持しながら、より高濃度の画像が得ら
れ、しかも印画後の画像の画像安定性(経時滲みがな
い、耐水性が高い)に優れたインクジェット記録用シー
トは、未だ提供されていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、第一に、本発明は、他のインク受容性
能を損なうことなく、高濃度の画像が得られ、しかも印
画後の画像の耐経時滲み及び耐水性に優れたインクジェ
ット記録用シートを提供することを目的とする。第二
に、本発明は、良好なインク吸収性を有し高解像度な画
像を形成でき、ひび割れ等の発生のないインクジェット
記録用シートを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 支持体上に、該支持体に近い側から、一次粒子
の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成シリカ
を含有する層とカチオン性コロイド粒子を含有する層と
を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記
録用シートである。
【0013】<2> カチオン性コロイド粒子が、カチ
オン性コロイダルシリカ及びカチオン性ミクロゲルの少
なくとも一方である前記<1>に記載のインクジェット
記録用シートである。 <3> カチオン性コロイド粒子の塗布量が、0.2〜
30g/m2である前記<1>又は<2>に記載のイン
クジェット記録用シートである。
【0014】<4> 合成シリカを含有する層が、支持
体上に平均一次粒子径30nm以下の無機顔料微粒子と
水溶性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を塗布し、該
塗布と同時に、又は形成された塗布層の乾燥途中であっ
て該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗
布層に水溶性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含
有する溶液を付与した後、該溶液を付与した塗布層を架
橋硬化させて得られる前記<1>〜<3>のいずれかに
記載のインクジェット記録用シートである。 <5> 架橋剤が、ホウ酸又はホウ素化合物である前記
<4>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用シ
ートにおいては、支持体上に、気相法による合成シリカ
を含有する層と、カチオン性コロイド粒子を含有する層
とをこの順に有してなることを特徴とする。以下、本発
明のインクジェット記録用シートについて詳細に説明す
る。
【0016】本発明のインクジェット記録用シートの支
持体上には、該支持体に近い側から、一次粒子の平均粒
子径が30nm以下の気相法による合成シリカを含有す
る層(以下、「気相法シリカ含有層」ということがあ
る。)と、カチオン性コロイド粒子を含有する層(以
下、「コロイド粒子層」ということがある。)とを少な
くとも有してなり、必要に応じて、他の層を有していて
もよい。
【0017】(a)カチオン性コロイド粒子を含有する
層 カチオン性コロイド粒子を含有する層(コロイド粒子
層)は、後述の気相法シリカ含有層の上層として設けら
れ、少なくともカチオン性コロイド粒子を含んでなり、
必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
【0018】通常、インクジェット記録用シートにイン
クが付与されると、その記録層でインクが吸収、固定さ
れて画像形成されるが、本発明のように記録層(即ち、
後述の気相法シリカ含有層)上にコロイド粒子層が設け
られると、インクが支持体方向に浸透していく前にイン
ク(アニオン性染料)の一部がコロイド粒子層中のカチ
オン性コロイド粒子と結合して保持される。即ち、イン
クジェット記録用シートとしては、空隙率が高くインク
吸収性に優れることが要求される一方、インクの大部分
が支持体方向に浸透してしまうよりもある程度表層付近
で保持されることにより、画像濃度の向上が図れ、彩度
や鮮やかさ(インク滲みがない、鮮鋭度が高い)をも向
上させることができるのである。また、コロイド粒子層
ではインクが強固に保持された状態にあり、インクを受
容する記録層(気相法シリカ含有層)上に設けられるの
で、高温高湿環境下に置かれた場合でも記録層中の溶媒
の移動に伴う経時滲みを十分に回避でき、印画後の画像
の耐水性をも向上できる。
【0019】また、カチオン性コロイド粒子を直接色材
受容層を形成するための塗布液に添加すると、アニオン
電荷を持つ気相法シリカとの間で凝集を起こす懸念のあ
る場合があるが、各々独立した溶液として調製し積層す
る構成とすることで、凝集を回避でき製造安定性の向上
に寄与し、画像の高画質化(濃度、解像度の向上、イン
ク滲みの防止)をも図れる。
【0020】(カチオン性コロイド粒子)前記カチオン
性コロイド粒子としては、その粒子表面にカチオン性基
が存在するものの中から適宜選択することができ、特に
カチオン性コロイダルシリカ、カチオン性ミクロゲルが
好適に挙げられる。カチオン性コロイド粒子は、一種単
独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。
【0021】−カチオン性コロイダルシリカ− 前記カチオン性コロイダルシリカは、アルミニウムイオ
ン等の多価金属イオンの化合物又は有機カチオン性化合
物をシリカ粒子の表面若しくは内部に含有することによ
って、少なくともシリカ粒子表面をカチオン性に荷電し
たものである。中でも、塩基性アルミニウムによりカチ
オン化されたコロイダルシリカが好ましく、例えば、市
販品として、日産化学(株)製のスノーテックスAK等
が好適に挙げられる。
【0022】前記カチオン性コロイダルシリカの粒子径
としては、5〜100nmが好ましく、5〜50nmが
より好ましい。該粒子径が5nm未満であると、インク
吸収性に劣ることがあり、100nmを超えると、表面
の凹凸により平滑性が低下することがある。
【0023】−カチオン性ミクロゲル− 前記カチオン性ミクロゲルは、第3級アミノ基又は第4
級アンモニウム基を含有するカチオン性重合体水溶液の
存在下で不飽和単量体を乳化重合して得られるものであ
る。前記カチオン性重合体は、水溶性であり且つミクロ
ゲル製造時の乳化重合に際して乳化分散剤としての性能
を有することが望ましく、不飽和単量体を乳化重合する
際の高分子乳化分散剤としての機能をも有し、以下に示
す不飽和単量体、即ち、カチオン性重合体の分子内に第
3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を導入するため
の必須構成単量体であるカチオン性不飽和単量体、及び
カチオン性重合体と共重合し、カチオン性を調整するた
めの必須構成単量体であるノニオン性不飽和単量体から
なる。
【0024】前記カチオン性不飽和単量体としては、例
えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(こ
こで、(メタ)アクリレートとは、当該アクリレート又
はジメチルメタクリレートを意味する。以下同様。)、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルア
ミン等の第3級アミノ基を有する不飽和単量体;該第3
級アミノ基を有する不飽和単量体と、塩酸、硫酸、酢酸
等の無機酸との塩類;該第3級アミノ基を有する不飽和
単量体と(メタ)アクリル酸等の有機酸との塩類;該第
3級アミノ基含有不飽和単量体と、メチルクロライド、
ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリ
ン、アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリ
レート、スルトン、置換スルホネート等公知の4級化剤
との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有
する不飽和単量体等が挙げられる。
【0025】前記カチオン性不飽和単量体は、1種単独
で用いてもよいし2種以上の混合物として使用してもよ
い。なお、前記塩類の形成は、第3級アミノ基を有する
不飽和単量体を構成単位とするカチオン性重合体を製造
した後、該重合体に対してなされるのが一般的である。
【0026】前記カチオン性不飽和単量体と共重合させ
るノニオン性不飽和単量体としては、特に制限はなく、
例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシア
ルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アク
リレート、スチレン、酢酸ビニル等各種公知のものが使
用でき、該ノニオン性不飽和単量体は1種単独で又は2
種以上の混合物として使用できる。尚、アニオン性不飽
和単量体を使用することもできるが、該単量体の使用に
より得られるカチオン性重合体のカチオン性が低下する
ため一般的には好ましくない。
【0027】更に、最終的に得られるカチオン性ミクロ
ゲルのカチオン性の調整には、前記カチオン性不飽和単
量体とノニオン性不飽和単量体との使用割合が重要とな
る。通常は、両者の合計100モル%に対し、カチオン
性不飽和単量体の使用量は10〜70モル%程度、好ま
しくは15〜50モル%とされ、ノニオン性ビニル単量
体の使用量は30〜90モル%程度、好ましくは50〜
85モル%とされる。前記カチオン性不飽和単量体の使
用量が、10モル%未満であると、得られるカチオン性
重合体の水溶性が低下し、乳化重合時の乳化分散能が不
十分となることがあり、70モル%を越える場合でも、
乳化分散能が不十分となり目的とするカチオン性ミクロ
ゲルを収得できないことがある。
【0028】前記カチオン性重合体の製造法としては、
特に制限はなく、例えば、水溶液重合法、イソプロピル
アルコール等を用いた溶液重合法等の従来公知の各種製
造法が適用できる。単量体を重合反応系に供給するに
は、一括添加、分割添加、連続滴下等いずれの方法を用
いてもよい。また、カチオン性重合体の製造に際して
は、通常、不活性気流下に、重合開始剤、前記単量体及
び必要により連鎖移動剤を撹拌下に供給し、60〜90
℃で1〜8時間程度共重合させればよい。
【0029】尚、前記水溶液重合法で用いる重合開始剤
としては、2,2′−アゾビス(2−アミノプロパン)
二塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−メチルプロピオン
アミジン]二塩酸塩、2,2′−アゾビス{2−[1−
(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イ
ル]プロパン}二塩酸塩等の水溶性アゾ系重合開始剤が
好ましく、前記イソプロピルアルコールを用いる溶液重
合法の場合には、アゾイソブチロニトリル、過酸化物等
の油溶性重合開始剤が好ましい。これら重合開始剤の使
用量としては、単量体の総量100モル部に対して、
0.03〜1モル部程度とされる。また、重合反応終了
後、前記の酸で中和したり、4級化剤と反応させること
により、3級塩や4級塩となすことができる。イソプロ
ピルアルコール等を用いた溶液重合法による場合は、重
合反応終了後、必要に応じて水蒸気蒸留により溶剤を留
去したのち、3級塩や4級塩となすことができる。
【0030】上記のようにして得たカチオン性重合体水
溶液の存在下で、以下に示す不飽和単量体を乳化重合す
ることにより、目的とするカチオン性ミクロゲルを製造
することができる。ここで、前記不飽和単量体として
は、特に限定はされず、公知のカチオン性不飽和単量体
及びノニオン性不飽和単量体のいずれか少なくとも1種
が好適である。より具体的には、前記カチオン性不飽和
単量体としては、カチオン性重合体の構成成分である第
3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を含有するカチ
オン性不飽和単量体を使用でき、前記ノニオン性不飽和
単量体としては、同様にカチオン性重合体の構成成分で
あるノニオン性ビニル単量体を使用できる。
【0031】前記不飽和単量体の使用割合としては、カ
チオン性重合体水溶液中、カチオン性不飽和単量体では
0〜50モル%が、ノニオン性ビニル単量体では50〜
100モル%が好ましい。尚、アニオン性不飽和単量体
を使用することもできるが、該単量体の使用により得ら
れるカチオン性重合体のカチオン性が低下するため、一
般には好ましくない。
【0032】前記カチオン性重合体水溶液の存在下で不
飽和単量体を乳化重合することによって架橋構造を有す
るカチオン性ミクロゲルを収得しうる限り、該乳化重合
時に、必ずしも架橋剤を前記単量体と併用しなくてもよ
い。例えば、乳化分散剤である前記カチオン性重合体の
分子中に、二重結合が存在する場合(例えば、第3級ア
ミノ基を有するビニル単量体をグリシジルメタクリレー
トで4級化してなる構成単位を含有する重合体)には、
該重合体中の二重結合が乳化重合に供する不飽和単量体
と共重合して架橋構造を形成するため、必ずしも架橋剤
を使用しなくてよい。
【0033】しかしながら、乳化分散剤である前記カチ
オン性重合体が二重結合を有していない場合(例えば、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの
酢酸塩を構成成分とするカチオン性重合体)には、乳化
重合時に架橋剤として機能せず、該乳化重合生成物は架
橋構造を付与し得ないため、目的とするカチオン性ミク
ロゲルを収得できない。この場合には、架橋構造を付与
しカチオン性ミクロゲルの耐水性を向上させるために、
架橋剤を不飽和単量体と併用することが必須とされる。
【0034】前記架橋剤としては、例えば、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、
メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス
(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)
アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、ア
ジビン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエ
ステル類、アリルメタクリレート、エポキシアクリレー
ト類、ウレタンアクリレート類、N−メチロールアクリ
ルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニ
ウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、
ジビニルベンゼン等の2官能性単量体;1,3,5−ト
リアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリア
リルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリル
トリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等の
3官能性単量体;テトラメチロールエタンテトラアクリ
レート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N′,
N′−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラ
アリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の4官能
性単量体などが挙げられる。
【0035】カチオン性重合体水溶液の存在下で不飽和
単量体(必要により架橋剤を有して)を乳化重合するに
際しては、重合温度、重合時間、重合開始剤、連鎖移動
剤、重合媒体等の諸条件に関する限定はなく、公知の乳
化重合における諸条件から適宜決定すれば足りる。具体
的には、該条件の内の多くは、前記カチオン性重合体の
製造条件と同様である。
【0036】得られるカチオン性ミクロゲルの性能に直
接的に影響を及ぼす要因としては、該乳化重合時の条件
が重要であり、乳化分散剤として機能するカチオン性重
合体と、乳化重合に供する単量体および必要により使用
する架橋剤との使用割合が特に重要となる。前記カチオ
ン性重合体の使用量(固形分換算)としては、乳化重合
に供する単量体および必要により使用する架橋剤の総和
100部に対し、通常35〜300重量部程度であり、
好ましくは50〜200重量部とされる。該使用量が3
5重量部未満であると、乳化重合時の安定性が低下する
ため凝集物が生じ易くなることがあり、300重量部を
越えると、乳化重合時に凝集物が発生したり、得られる
カチオン性ミクロゲルの耐水性が低下する傾向がある。
【0037】尚、該乳化重合に際しては、得られるカチ
オン性ミクロゲルの性能を低下させない範囲であれば、
低分子界面活性剤やカゼイン、レシチン、ポリビニルア
ルコール、各種変性デンプン、アクリルアミド系共重合
体等の水溶性高分子化合物を使用できる。
【0038】前述のようにして得られるカチオン性ミク
ロゲルの水分散体は、その固形分が通常10〜50重量
%であり、平均粒子径が通常50〜200nm程度のも
のである。カチオン性ミクロゲルは、それ自体強度が高
く、支持体や隣接する層との密着性に優れるため、これ
を単独使用した場合であっても良好な塗被組成物を形成
でき、また、カチオン性ミクロゲルを含んで調製された
塗布液として使用してもよい。
【0039】前記カチオン性ミクロゲルは、市販品であ
ってもよく、例えば、荒川化学(株)製のミストパール
C150等が挙げられる。
【0040】また、強度補強や密着性の更なる向上を図
る目的で、(メタ)アクリル系共重合体エマルジョン、
スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス、天然ゴム
ラテックス、ポリビニルアルコール、酸化澱粉等の各種
公知の高分子バインダーを添加してもよく、コロイド粒
子層自体にインク吸収性を持たせる目的で、シリカ、ク
レー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、アルミナ
等の各種公知の充填剤を配合してもよい。
【0041】後述の気相法シリカ含有層上に設けられる
コロイド粒子層は、前述のカチオン性コロイド粒子の性
状に応じて形成手段を適宜選択することができ、例え
ば、液状のカチオン性コロイド粒子や、前述のカチオン
性コロイド粒子を含む溶液(塗布液)を調製しこれを公
知の塗布方法等により塗布することによって形成するこ
とができる。前記塗布方法としては、格別の限定はな
く、例えば、サイズプレス、ロールコーター、その他の
形式のコーターを用いた方法が挙げられる。
【0042】コロイド粒子層の層厚としては、2〜30
μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。該層厚
が、2μm未満であると、経時滲みが悪化することがあ
り、30μmを超えると、コストが高くなり、価格に反
映されてしまうことがある。
【0043】前記コロイド粒子層中には、既述のカチオ
ン性コロイド粒子のほか、必要に応じて、界面活性剤、
pH調整剤、水溶性バインダ等を含有することもでき
る。
【0044】(b)気相法による合成シリカを含有する
層 気相法による合成シリカを含有する層は、一次粒子の平
均粒子径が30nm以下の気相法による合成シリカ(以
下、単に「気相法シリカ」ということがある。)を含有
する層であって、インクジェットインクを主に受容する
記録層である(以下、該層を「色材受容層」ということ
がある。)。
【0045】前記色材受容層は、無機顔料微粒子として
一次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合
成シリカを少なくとも含有してなり、用途や目的に応じ
て、更に水溶性樹脂、該水溶性樹脂を架橋しうる架橋
剤、媒染剤や、耐光性向上剤等の他の成分を含んでな
る。前記色材受容層は、気相法シリカをイオン交換水等
の水系溶媒又はこれに混和性の有機溶媒を含む混合溶媒
に分散した液状物を用いて、例えば塗布等の公知の方法
により形成できるが、中でも、有機溶媒支持体上に、一
次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法シリカと水
溶性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を塗布し、該塗
布と同時に、又は該塗布層の乾燥途中であって塗布層が
減率乾燥速度を示すようになる前に、前記塗布層に水溶
性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液
(以下、「架橋剤溶液」ということがある。)を付与し
た後、該溶液を付与した塗布層を架橋させて硬化した層
であることが好ましい。
【0046】−気相法シリカ− 本発明においては、空隙率が高くインク吸収性に優れ、
十分な透明性を有する色材受容層とする観点から、一次
粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成シ
リカ(気相法シリカ)を含有する。
【0047】シリカ粒子は、比表面積が特に大きいの
で、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率
が低いので、適切な粒子径まで分散を行えば色材受容層
(記録層)に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発
色性が得られるという特徴がある。また、その粒子表面
にシノラール基を有するので、該シラノール基による水
素結合により粒子同士が付着しやすく空隙率の大きい構
造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向
上させることができる。色材受容層が透明であること
は、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フ
ォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い
色濃度と良好な発色性を得る観点で重要である。
【0048】シリカ粒子には、製造法の相違により湿式
法粒子と乾式法粒子とがあり、前記湿式法粒子は、主と
してケイ酸塩からの活性シリカを重合し凝集沈降させて
得られる含水シリカであり、後者の乾式法粒子は無水シ
リカであり前記気相法シリカはこれに相当する。この乾
式法粒子は、主として、ハロゲン化珪素の高温気相加水
分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコーク
スとを電気炉中でアークにより加熱還元気化しこれを空
気で酸化する方法(アーク法)により得られる。具体的
には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る
方法が一般的に知られており、四塩化ケイ素に代えて、
メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン
類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用す
ることができる。
【0049】既述の通り、前記気相法シリカの一次粒子
の平均粒子径は30nm以下とされるが、中でも、10
nm以下が好ましく、3〜10nmがより好ましい。前
記平均粒子径が30nmを超えると、色材受容層の透明
性の点で劣ることがある。前記気相法シリカは、市販品
であってもよく、例えば、日本アエロジル(株)製のア
エロジルシリーズが挙げられる。
【0050】前記気相法シリカは、湿式法による含水シ
リカに対しその表面のシラノール基の密度、空孔の有無
等に相違があり異なる性質を有しており、特に空隙率が
高い三次元構造を形成しやすい。この理由は明らかでは
ないが、含水シリカ(粒子表面におけるシラノール基の
密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝
集(アグリゲート)し易い)に比べ、無水シリカ(気相
法シリカ)は、微粒子表面におけるシラノール基の密度
が2〜3個/nm2で少ないことから疎な軟凝集(フロ
キュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造にな
るものと推定される。
【0051】前記気相法シリカと共に後述の水溶性樹脂
を併用する場合、層の透明性の観点から、シリカ微粒子
と組合わせる樹脂の種類が重要となる。特に気相法シリ
カとの関係では、水溶性樹脂としては、ポリビニルアル
コール(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜9
9%のPVAがより好ましく、鹸化度70〜90%のP
VAが最も好ましい。
【0052】前記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基
が水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単
位とする三次元網目構造を形成しやすくする。該三次元
網目構造の形成により、空隙率の高い多孔質構造の色材
受容層を形成しうると考えられる。このようにして得た
多孔質の色材受容層は、インクジェット記録において、
毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲み
のない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0053】気相法シリカ(i)と水溶性樹脂(p)と
の含有比〔PB比(i:p)、水溶性樹脂1重量部に対
する気相法シリカの重量〕は、色材受容層の膜構造にも
大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空
隙率、細孔容積、表面積(単位重量当り)が大きくな
る。具体的には、前記PB比(i:p)としては、1.
5:1〜10:1が好ましい。前記PB比が10:1を
超える、即ち、PB比が大きくなりすぎると、膜強度が
低下し、乾燥時にひび割れを生じやすくなることがあ
り、1.5:1未満、即ちPB比が小さすぎると、空隙
が樹脂により塞がれ易くなる結果、空隙率が減少してイ
ンク吸収性が低下することがある。
【0054】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。更にシート状に裁断加工する場合、色材受容層の
割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分な
膜強度を有していることが必要である。この場合、前記
PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェット
プリンターで高速インク吸収性をも確保する観点から
は、2:1以上であることが好ましい。
【0055】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
気相法シリカと水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:1で
水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、
該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖
単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が3
0nm以下、空隙率が50%以上、細孔比容積0.5m
l/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性
の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0056】−水溶性樹脂− 前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位とし
てヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアル
コール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコー
ル、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変
性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セル
ロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセル
ロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HE
C)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キ
チン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する
樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプ
ロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコー
ル(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド
基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミ
ド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が
挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有
する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸
塩、ゼラチン類を挙げることができる。上記の中でも、
特にポリビニルアルコール類が好ましい。
【0057】前記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分重量に対して、9〜40重量%が好まし
く、16〜33重量%がより好ましい。前記含有量が、
9重量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時にひび
割れを生じやすくなることがあり、40重量%を超える
と、空隙が樹脂により塞がれ易くなる結果、空隙率が減
少してインク吸収性が低下することがある。
【0058】色材受容層を主として構成する、前記無機
顔料微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でもよ
いし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0059】−架橋剤− 本発明のインクジェット記録用シートの気相法シリカ含
有層(色材受容層)は、気相法シリカ及び水溶性樹脂を
含む塗布層(多孔質層)に、更に架橋剤及び媒染剤を少
なくとも含む溶液(架橋剤溶液)が付与され、該架橋剤
により前記水溶性樹脂が架橋反応により硬化した層であ
る態様が好ましい。
【0060】前記架橋剤溶液の付与は、上記多孔質性の
色材受容層を形成する塗布液(色材受容層用塗布液)が
塗布されるのと同時に、あるいは色材受容層用塗布液を
塗布して形成された塗布層が減率乾燥速度を示すように
なる前に、行われることが好ましい。この操作により、
塗布層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効果的
に防止することができる。即ち、上記塗布液が塗布され
たと同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示すよう
になる前に架橋剤溶液が塗布層内に浸透し、塗布層内の
水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化(硬
化)させることにより、塗布層の膜強度を即時に大幅に
向上させる。
【0061】前記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤として
は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適
な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速
である点から、ホウ素化合物が好ましく、例えば、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、In
BO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)
2 、Co3(BO3)2、二ホウ酸塩(例えば、Mg22
5、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiB
2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸
塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩
(例えば、KB58・4H2 O、Ca2611・7H2
O、CsB55)、グリオキザール、メラミン・ホルム
アルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル化
メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹
脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げること
ができる。中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特に水溶性樹脂とし
てポリビニルアルコールと組合わせて使用することがよ
り好ましい。
【0062】前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化
合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホル
ムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド
等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタン
ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿
素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン
・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスル
ホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;
【0063】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。尚、前記架橋剤は、一種単独でも、2種以上を
組合わせてもよい。
【0064】前記架橋剤溶液は、架橋剤を水及び/又は
有機溶剤に溶解して調製される。架橋剤溶液中の架橋剤
の濃度としては、架橋剤溶液の重量に対して、0.05
〜10重量%が好ましく、0.1〜7重量%が特に好ま
しい。架橋剤溶液を構成する溶媒としては、一般に水が
使用され、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合溶媒
であってもよい。前記有機溶剤としては、架橋剤が溶解
するものであれば任意に使用することができ、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グ
リセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;
トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエー
テル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等
を挙げることができる。
【0065】−媒染剤− 媒染剤はカチオン性のポリマーであるため、色材受容層
中に存在させることによりアニオン性染料を色材として
有する液状インキとの間で相互作用し、色材を安定化し
耐水性を更に向上させることができる。しかし、これを
直接色材受容層を形成するための塗布液に添加すると、
アニオン電荷を有する気相法シリカとの間で凝集を生ず
る懸念を生ずる場合があるが、それぞれを独立した溶液
として調製し塗布する方法を利用すれば凝集を懸念する
必要もない。よって、前記架橋剤溶液に含有して用いる
態様が好適である。
【0066】前記カチオン性媒染剤としては、カチオン
性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アン
モニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられ
るが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することが
できる。前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級
アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有
する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モ
ノマーと他のモノマー(以下、「非媒染ポリマー」とい
う。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが
好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポ
リマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態
でも使用できる。
【0067】前記単量体(媒染モノマー)としては、例
えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモ
ニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルア
ンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル
−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジ
ルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n
−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p
−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジ
メチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモ
ニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−
N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,
N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−
ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメ
チル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニ
ウムクロライド、
【0068】トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアン
モニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジル
アンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベ
ンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビ
ニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m
−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N
−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチル
アンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N
−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4
−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニル
フェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0069】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、
エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイ
ド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドに
よる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホ
ン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキ
ルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0070】具体的には、例えば、トリメチル−2−
(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライ
ド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチル
アンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロ
イルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチ
ル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)
プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−
(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロラ
イド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチ
ルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタク
リロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリ
メチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミ
ノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−
(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロラ
イド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロ
ピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アク
リロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、ト
リエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモ
ニウムクロライド、
【0071】N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メ
タクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイル
オキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメ
チル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピ
ルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタク
リロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオ
キシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−
3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセ
テート等を挙げることができる。その他、共重合可能な
モノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル
−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0072】前記非媒染ポリマーとは、第1級〜第3級
アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の
塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェッ
トインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互
作用が実質的に小さいモノマーをいう。前記非媒染モノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メ
タ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アク
リル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステ
ル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステ
ル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等
の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリ
ル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル
等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等
のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィ
ン類、等が挙げられる。
【0073】前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)
アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソ
プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタ
アクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好
ましい。前記非媒染モノマーも、一種単独で、又は二種
以上組合せて使用できる。
【0074】更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリ
ルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイ
ルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミ
ン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン
樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリ
ン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニ
ウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好
ましいものとして挙げることができる。
【0075】前記ポリマー媒染剤の分子量としては、1
000〜200000が好ましい。前記分子量が100
0未満であると、耐水性が不十分となる傾向にあり、2
00000を超えると、粘度が高くなりすぎてハンドリ
ング適正が低下することがある。
【0076】前記カチオン性の非ポリマー媒染剤として
は、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポ
リ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の水溶性金属
塩が好ましい。
【0077】前記媒染剤の含有量としては、色材受容層
の全固形分重量に対して、0.5〜25.0重量%が好
ましく、1.0〜15.0重量%がより好ましい。前記
含有量が、0.5重量%未満であると、十分な耐水性が
得られないことがあり、25.0重量%を超えると、イ
ンク吸収性が悪化することがある。
【0078】−他の成分− 気相法シリカ含有層(色材受容層)は、上述の気相法シ
リカ、水溶性樹脂、架橋剤、媒染剤のほか、必要に応じ
て下記成分を含んでいてもよい。 (1) 画像(色材)の劣化を抑制する目的で、耐光性向上
剤として、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸
素クエンチャー等を含有できる。前記紫外線吸収剤とし
ては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾト
リアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、
α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリア
ゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロ
ロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−
t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,
4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒン
ダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用で
き、具体的には少なくとも2位又は6位のうち1ヵ所以
上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好
ましい。
【0079】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号、同58−111942号、同58−212844
号、同59−19945号、同59−46646号、同
59−109055号、同63−53544号、特公昭
36−10466号、同42−26187号、同48−
30492号、同48−31255号、同48−415
72号、同48−54965号、同50−10726
号、米国特許第2,719,086号、同3,707,
375号、同3,754,919号、同4,220,7
11号等に記載されている。
【0080】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号、同54−5324
号等に記載されている。
【0081】前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0082】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号、同第4980275号公報等に記載のものが
挙げられる。
【0083】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0084】前記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルジョン化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。前記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層用塗布液の0.01〜10重量%が好
ましい。
【0085】また、(2)気相法シリカの分散性を高める
目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ
等を含有できる。 更に、(3)塗布適性や表面品質を高める目的で各種の界
面活性剤を、(4)表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する
目的でイオン導電性を持つ界面活性剤や電子導電性を持
つ金属酸化物微粒子を、(5)表面の摩擦特性を低減する
目的で各種のマット剤を、含有できる。
【0086】−支持体− 支持体として使用可能な材料としては、アート紙、コー
ト紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体に用いられ
る、原紙の表面をポリエチレンで被覆した支持体又は銀
塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙、上質紙、中
質紙等が好適である。更に、記録用シートのカール等を
抑制しうる観点から、上記各種支持体に対し、色材受容
層が設けられない側の支持体の表面にポリエチレンを含
むラミネート層が設けられたものが好ましい。前記支持
体の厚さとしては、特に制限はないが、取扱い性の点
で、50〜300μmが好ましい。前記支持体には、コ
ロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射
処理を施したものを使用してもよい。
【0087】(インクジェット記録用シートの作製)本
発明のインクジェット記録用シートでは、支持体上に、
該支持体側から順に気相法シリカ含有層(色材受容層)
とコロイド粒子層とを少なくとも積層する。前記気相法
シリカ含有層の形成方法には特に制限はなく、例えば、
気層法シリカを含む溶液(塗布液)を調製しこれを公知
の方法により塗布する等により形成できるが、中でも、
前記気相法シリカ含有層は、気相法シリカと水溶性樹脂
とを含む塗布液を支持体上に塗布する際、該塗布と同時
に、あるいは該塗布した層が減率乾燥速度を示すように
なる前に、該塗布層上に架橋剤と媒染剤とを少なくとも
含む溶液(架橋剤溶液)を付与して、前記水溶性樹脂を
架橋剤により硬化させて得られる(WOW法;Wet
On Wet法)ことが好ましい。また、前記気相法シ
リカ含有層は、気相法シリカ及び水溶性樹脂を含む塗布
液と、架橋剤を含む溶液とを、架橋剤と反応しない材料
からなるバリアー液(但し、架橋剤を含む溶液若しくは
バリアー液の少なくとも一方に媒染剤を含有させる。)
を挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、硬化させること
により得ることもできる。
【0088】上記WOW法のように、架橋剤と共に媒染
剤を同時塗布すると、色材受容層の耐水性を更に向上で
きる。即ち、前記媒染剤を色材受容層用の塗布液に添加
すると、該媒染剤はカチオン性であるので、シリカ等
の、表面にアニオン電荷を持つ無機顔料微粒子との共存
下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む溶液と
色材受容層用の塗布液とをそれぞれを独立に調製し、個
々に塗布する方法を採用すれば、無機顔料微粒子の凝集
を考慮する必要がなく、媒染剤の選択範囲が広がる。
【0089】以下、WOW法による形成方法を一例とし
て説明する。まず、気相法シリカを含有する層(色材受
容層)形成用の塗布液(以下、「色材受容層用塗布液」
ということがある。)は、例えば、以下のようにして調
製できる。即ち、一次粒子の平均粒子径が30nm以下
の気相法シリカを水中に添加して(例えば、10〜20
重量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、クレア
ミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて、例
えば10000rpm(好ましくは5000〜2000
0rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは1
0〜30分間)分散させた後、ポリビニルアルコール水
溶液(例えば、シリカの1/3程度の重量のPVAとな
るように)を加え、更に上記と同じ回転条件で分散を行
うことにより調製することができる。得られた塗布液は
均一ゾルであり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布
形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性
の色材受容層を形成することができる。前記色材受容層
用塗布液には、必要に応じて、更に界面活性剤、pH調
整剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
【0090】色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、
ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイ
ズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知
の塗布方法により行うことができる。
【0091】また、色材受容層用塗布液により塗布形成
した塗布層に、架橋剤と媒染剤とを少なくとも含む溶液
(架橋剤溶液)を導入し乾燥することで、架橋反応によ
り硬化された色材受容層を得ることができる。前記架橋
剤塗布液は、色材受容層用塗布液を塗布した後、該塗布
層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよ
い。即ち、色材受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が
恒率乾燥速度を示している間に、架橋剤と媒染剤とを少
なくとも含有する架橋剤溶液を導入することにより好ま
しく製造される。
【0092】上記「塗布層が減率乾燥速度を示すように
なる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後か
ら数分間を指し、この間においては、塗布された塗布層
中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である
恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間につい
ては、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)
発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0093】上記の通り、色材受容層用塗布液の塗布
後、その塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾
燥されるが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜
10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。こ
の乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが上記範
囲が適当である。
【0094】前記塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に付与する方法としては、架橋剤溶液を塗布層上
に更に塗布する方法、スプレー等の方法により噴霧す
る方法、架橋剤溶液中に、該塗布層が形成された支持
体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0095】上記方法において、架橋剤溶液を塗布す
る塗布方法としては、例えば、カーテンフローコータ、
エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ
ー、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、ス
クイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の
公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エク
ストリュージョンダイコータ、カーテンフローコータ、
バーコータ等のように、既に形成されている塗布層にコ
ータが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0096】色材受容層上に付与する、架橋剤と媒染剤
とを少なくとも含有する塗布液(架橋剤溶液)の塗布量
としては、架橋剤換算で0.01〜10g/m2が一般
的であり、0.05〜5g/m2が好ましい。
【0097】該架橋剤溶液の付与後は、一般に40〜1
80℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行
われる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱す
ることが好ましい。例えば、前記架橋剤溶液中に含有す
る架橋剤として硼砂やホウ酸を使用する場合には、60
〜100℃での加熱を5〜20分間行うことが好まし
い。
【0098】また、前記架橋剤塗布液は、色材受容層用
塗布液を塗布すると同時に付与してもよい。この場合、
色材受容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含む架橋剤
溶液を、該色材受容層用塗布液が支持体と接触するよう
にして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥
硬化させることにより色材受容層を形成することができ
る。
【0099】上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを
用いた塗布方法により行うことができる。同時塗布の
後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥
は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間
加熱することにより行われ、好ましくは、40〜100
℃で0.5〜5分間加熱することにより行われる。例え
ば、架橋剤溶液に含有する架橋剤として硼砂やホウ酸を
使用する場合は、60〜100℃で5〜20分間加熱す
ることが好ましい。
【0100】上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エ
クストルージョンダイコータにより行った場合、同時に
吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコ
ータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形
成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前
に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二
液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルー
ジョンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が
混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合が
ある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受
容層用塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含有する架橋剤溶
液の塗布と共に、更に架橋剤と反応しない材料からなる
バリアー層液(中間層液)を前記二液間に介在させて同
時三重層塗布することが好ましい。
【0101】前記バリアー層液は、架橋剤と反応せず液
膜を形成できるものであれば、特に制限なく選択でき
る。例えば、架橋剤と反応しない水溶性樹脂を微量含む
水溶液や、水などを挙げることができる。前記水溶性樹
脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用される
もので、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−
ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ
−ス、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが
挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有
させることもできる。
【0102】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダなどを用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカ
レンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、
透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。し
かしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる
要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下
することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設
定して行う必要がある。
【0103】カレンダー処理を行う場合のロール温度と
しては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃が
より好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線
圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、10
0〜200kg/cmがより好ましい。
【0104】前記色材受容層の層厚としては、インクジ
ェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収
容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決
定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2
で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm
以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジ
ェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、1
0〜50μmが好ましい。
【0105】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがより好ましい。前記空隙率及び細孔メ
ジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザ
ー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測
定することができる。
【0106】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
より好ましい。前記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HG
M−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定すること
ができる。
【0107】支持体上に気相法シリカ含有層(色材受容
層)を形成した後、該層上に更にコロイド粒子層が設け
られる。この場合の方法に特に制限はなく、使用するカ
チオン性コロイド粒子の性状に応じて、公知の手段より
適宜選択して設けることができる。例えば、液状のカ
チオン性コロイド粒子(例えば、水溶液状のカチオン性
ミクロゲル)、溶媒中にカチオン性コロイド粒子を溶
解、分散した混合液、等を塗布液として公知の塗布方法
により、前記気相法シリカ含有層上に塗布形成してもよ
い。前記の溶媒としては、イオン交換水等の水系溶媒
が挙げられ、該水系溶媒と混和性の有機溶媒を含む水系
混合溶媒であってもよい。該有機溶媒としては、前記架
橋剤溶液を構成する溶媒として使用可能な有機溶媒と同
様のものを使用できる。
【0108】前記気相法シリカ含有層上へのカチオン性
コロイド粒子を含有する層の形成に際し、該カチオン性
コロイド粒子の塗布量(固形分重量)としては、0.2
〜30g/m2が好ましく、0.5〜20g/m2がより
好ましい。前記塗布量が0.2g/m2未満であると、
耐水性、耐経時滲みが不十分となることがあり、30g
/m2を超えると、コストが高くなり、価格に反映され
てしまうことがある。
【0109】支持体上には、気相法シリカ含有層と支持
体との間の接着性を高めたり、電気抵抗を調整する等の
目的で、下塗層を設けてもよい。尚、色材受容層は、支
持体の片面のみに設けてもよいし、カール等の変形を抑
制する等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OH
P等で用いる場合であって、色材受容層を支持体の片面
のみに設ける場合は、その反対側の表面、あるいはその
両面に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けるこ
ともできる。
【0110】上記の通り、記録層(色材受容層)である
気相法シリカ含有層上に、更にカチオン性コロイド粒子
を含有する層を設けたことにより、インクジェット記録
用シートの記録面側の層内に対し表面付近で高濃度にイ
ンクを保持できるので、画像濃度が向上し、彩度に優れ
た(インク滲みのない、鮮鋭度の高い)を形成でき、し
かも色材受容層がカチオン性基の存在する層で覆われる
ので、耐水性の向上が図れ、高温高湿環境下における、
印画後の画像の経時滲みをも抑制することができる。ま
た、色材受容層は、気相法シリカを含んで高空隙率にか
つ強固に構成され、インク吸収性、画像の解像度、耐光
性等、他のインク受容性能を損なうこともない。
【0111】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「部」及び「%」は、全て「重量部」及び
「重量%」を表す。
【0112】−支持体の作製− LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスク
リファイナーによりカナディアンフリーネス300ml
まで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニ
オンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミ
ンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリル
アミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比
で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原
紙を抄造した。
【0113】前記原紙の表面サイズを調整するため、ポ
リビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whit
ex BB,住友化学工業(株)製)を0.04%添加
し、これを絶乾重量換算で0.5g/m2となるように
前記原紙に含浸させ、乾燥した後、さらにキャレンダー
処理を施して密度1.05に調整された基紙を得た。
【0114】得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコ
ロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポ
リエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティング
し、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層
面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層にさら
にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、
酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業
(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化
学工業(株)製)とを1:2の比(重量比)で水に分散
した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となるように
塗布した。
【0115】更に、樹脂層の設けられていない側のフェ
ルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナタ
ーゼ型二酸化チタン10重量%、微量の群青、及び蛍光
増白剤0.01重量%(対ポリエチレン)を含有する、
MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチ
レンを溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように
溶融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面
側に形成し(以下、この高光沢面を「表面」と称す
る。)、支持体とした。
【0116】(実施例1) −色材受容層用塗布液の調製− 下記組成中の及びを混合し、高速回転式コロイドミ
ル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用
いて、回転数10000rpmで20分間分散させた
後、下記1Nアンモニア水と、下記ポリビニルアル
コール9%水溶液とを加え、更に上記と同一条件で分散
を行い、色材受容層用塗布液(気相法シリカ含有層形成
用の塗布液)を調製した。気相法シリカと水溶性樹脂と
の重量比(PB比/:)は、3.5:1であった。 〔色材受容層用塗布液の組成〕 気相法シリカ ・・・ 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) イオン交換水 ・・・72.6部 1Nアンモニア水(pH調整剤) ・・・ 5.3部 ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) ・・・31.4部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0117】−コロイド粒子層用塗布液の調製− カチオン性コロイダルシリカ(スノーテックスAK、日
産化学(株)製)の18%水溶液28部と、イオン交換
水62部とを混合して、カチオン性コロイド粒子を含有
する層を形成するためのコロイド粒子層用塗布液(1)
を調製した。
【0118】−インクジェット記録用シートの作製− 上記より得た色材受容層用塗布液を、前記支持体の高光
沢な表面にエクストルージョンダイコーターを用いて2
00cc/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾
燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固
形分濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、こ
の期間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の架
橋剤溶液に30秒浸漬して該塗布層上にその20cc/
2を付着させ(架橋剤溶液を付与する工程)、更に8
0℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これより、
支持体の表面に乾燥膜厚32μmの色材受容層を形成し
た。色材受容層の乾燥塗布量は20g/m2であり、該
層への架橋剤溶液の乾燥塗布量は0.62g/m2であ
った。
【0119】 〔架橋剤溶液の組成〕 硼砂6% ・・・25部 フッ素系界面活性剤10%水溶液 ・・・ 2部 (F−144D、大日本インキ化学工業(株)製) イオン交換水 ・・・68.3部 ポリアリルアミン20%水溶液 ・・・ 3部 (媒染剤、分子量5000) ジメチル−2−ヒドロキシアンモニウムクロライド ・・・ 1.7部 の60%水溶液
【0120】次いで、支持体上の色材受容層上に、前記
コロイド粒子層用塗布液(1)を手塗布バーにより10
0cc/m2の塗布量で塗布し、80℃のオーブン内で
3分間乾燥させて、カチオン性コロイダルシリカを含む
コロイド粒子層を形成した。コロイド粒子層の乾燥塗布
量は5.0g/m2であった。上記のようにして、支持
体上に、色材受容層とコロイド粒子層とがこの順に積層
された、本発明のインクジェット記録用シート(1)を
作製した。
【0121】(実施例2)カチオン性ミクロゲル(ミス
トパールC150、荒川化学(株)製)の20%水溶液
25部と、イオン交換水75部とを混合して、カチオン
性コロイド粒子を含有する層を形成するためのコロイド
粒子層用塗布液(2)を調製した。実施例1で用いたコ
ロイド粒子層用塗布液(1)に代えて、前記コロイド粒
子層用塗布液(2)を用いたこと以外、実施例1と同様
にして、本発明のインクジェット記録用シート(2)を
作製した。
【0122】(比較例1)実施例1において、コロイド
粒子層用塗布液(1)を色材受容層上に塗布しなかった
こと以外、実施例1と同様にして、比較例のインクジェ
ット記録用シート(3)を作製した。
【0123】
【0124】<性能評価>上記より得た本発明のインク
ジェット記録用シート(1)〜(2)、及び比較例のイ
ンクジェット記録用シート(3)のそれぞれについて、
以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。 (光沢度)印画前の記録シートの色材受容層の表面にお
ける60°光沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−
50DP,スガ試験機(株)製)にて測定した。
【0125】(画像濃度)インクジェットプリンタ(P
M−770C、セイコーエプソン(株)製)を用いて、
各記録シートのコロイド粒子層上からK(黒)のベタ画
像を印字し、その黒ベタ画像部の反射濃度を、X−RI
TE 310TR(日本平板機材(株)製)を用いて測
定した。
【0126】(経時滲み)各インクジェット記録用シー
ト上に、前記画像濃度の測定と同じインクジェットプリ
ンタ(PM−770C)を用いて、マゼンタインクとブ
ラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パター
ン(線幅0.28mm)を印画した。印画後3時間放置し
た後、40℃・90%RHの恒温恒湿槽に3日間保管
し、ブラック部分の線幅を測定して下記基準に従い評価
した。 〔基準〕 AA: 経時滲みの発生はほとんど認められず、良好で
あった。(線幅:0.28〜0.30mm) BB: 若干の経時滲みが認められたが、実用上問題な
いレベルであった。(線幅:0.31〜0.35mm) CC: 経時滲みが顕著に認められ、実用上問題となる
レベルであった。(線幅:0.35mm以上)
【0127】(耐水性)インクジェットプリンタ(PM
−770C、セイコーエプソン(株)製)を用いて、各
記録シートの色材受容層上にY(黄)、M(マゼン
タ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及
びR(赤)のベタ画像を印字し、3時間放置した後、水
中に1分間浸漬し、インクの水中への流出程度を目視に
より下記基準に従って評価した。 〔基準〕 AA: 染料の流出は全く認められなかった。 BB: 全体的に染料の流出が認められ、徐々に画像の
色濃度が低下した。 CC: 水中へ染料がほぼ完全に流れ出てしまった。
【0128】(インク吸収速度)前記耐水性の評価と同
様にして、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、
K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像
を印字し、その後(約10秒後)、該画像上に紙を接触
押圧し、インクの紙への転写の程度により下記基準に従
って評価した。 〔基準〕 AA: 紙上へのインクの転写は認められなかった。 CC: 紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0129】
【表1】
【0130】上記表1の結果から、色材受容層上にカチ
オン性コロイド粒子を含有する層を設けた本発明のイン
クジェット記録用シート(1)〜(2)では、高濃度が
得られ、印画後の画像は高温高湿環境下でも経時滲みを
生じず、十分な耐水性をも有していた。また、色材受容
層は、ひび割れ等の発生がなく強固で、良好なインク吸
収性を示し、彩度に優れた(インク滲みがない、解像度
が高い)画像を形成することができた。一方、カチオン
性コロイド粒子を含有する層を設けなかったインクジェ
ット記録用シート(3)では、印画後の画像の耐水性、
経時滲みの点で劣っていた。
【0131】
【発明の効果】本発明によれば、他のインク受容性能を
損なうことなく、高濃度の印画が可能で、しかも印画後
の画像の耐経時滲み、耐水性に優れたインクジェット記
録用シートを提供することができる。また、色材受容層
は、ひび割れ等の発生がなく強固で、良好なインク吸収
性を有し、高解像度の画像を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 27/00 B41J 3/04 101Y Fターム(参考) 2C056 EA04 EA13 FC06 2H086 BA16 BA32 BA41 BA45 4L055 AA03 AC06 AG18 AG64 AG71 AG72 AG80 AG89 AG94 AG98 AH02 AH37 AH50 AJ01 AJ02 AJ04 BE07 BE09 BE13 FA11 GA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、該支持体に近い側から、一
    次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成
    シリカを含有する層とカチオン性コロイド粒子を含有す
    る層とを少なくとも有することを特徴とするインクジェ
    ット記録用シート。
  2. 【請求項2】 カチオン性コロイド粒子が、カチオン性
    コロイダルシリカ及びカチオン性ミクロゲルの少なくと
    も一方である請求項1に記載のインクジェット記録用シ
    ート。
  3. 【請求項3】 カチオン性コロイド粒子の塗布量が、
    0.2〜30g/m2である請求項1又は2に記載のイ
    ンクジェット記録用シート。
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