JP4082900B2 - インクジェット記録用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、詳しくは、外観(面状状態)に優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報システムに適した記録方法および装置が開発され、実用化されている。
上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきた。その一方、ハード(装置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。上記インクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
インクジェット記録に用いられる記録用シートとしては、例えば、特開昭55−51583号公報、同55−144172号公報、同55−150395号公報、同56−148582号公報、同56−148583号公報、同56−148584号公報、同56−148585号公報、同57−14091号公報、同57−38185号公報、同57−129778号公報、同57−129979号公報、同60−219084号公報、同60−245588号公報等に記載の、シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを紙、プラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが知られている。しかしながら、これら提案の記録シートにおいては、いずれも光沢性が非常に低く、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0005】
また、特開平2−276670号公報、同3−215082号公報、同3−281383号公報、同6−199035号公報等には、擬ベーマイトゾルと水溶性バインダーとを用いた記録用シートが提案されている。これらの記録シートは、光沢性の点である程度の要求特性を満たすものではあるが、擬ベーマイト粒子の製造コストが高い点、塗布液の調製が困難な点等の課題が存在する。
【0006】
特開平4−223190号公報では、ホウ砂またはホウ酸を0.1g/m2以上塗工してなる基紙に、5〜20g/m2の合成シリカ、およびポリビニルアルコール(PVA)からなる記録層が設けられたインクジェット記録用紙が提案されている。上記技術は、単にバインダ含有量が少ない記録層の塗膜強度を向上することを目的としたものであり、光沢の点で劣りフォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0007】
更に、光沢性を得るために各種水溶性ポリマーを用いた記録材料も提案されている。例えば、特開昭58−89391号公報、同58−134784号公報、同58−134786号公報、同60−44386号公報、同60−132785号公報、同60−145879号公報、同60−168651号公報、同60−171143号公報、同60−171143号公報等に記載の、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等を紙、プラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが知られている。これらの記録シートも光沢性の点では優れるが、インク速乾性の点で劣り、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0008】
他方、特開平7−276789号公報、同8−174992号公報では、上述のインクジェット記録用シートの要求特性、製造コストを満足するインクジェット記録用シートが提案されている。
上記特開平7−276789号公報では、無機顔料微粒子および水溶性樹脂より形成された、高い空隙率を持つ三次元構造を有する色材受容層が、支持体上に設けられた記録用シートが提案されている。この構成によれば、上記インク吸収性が向上し、印画時の混色ニジミが十分に抑制され、解像度の高い画像を得ることができるとされている。この色材受容層は、一般に、小粒径の粒子を多量に含有させて形成できるが、層形成のバインダー量を空隙が形成できるように少なくする必要があるため、塗布層を急激に乾燥させると、ひび割れが発生し、色材受容層の透明性および外観が損なわれるといった欠点がある。
【0009】
インク受容層のひび割れを防止する方法として、特開平9−109545号公報では、塗布液のバインダーの粘度を比較的高くする方法が提案されているが、この方法では、作業性の低下や塗布ムラが発生する等のおそれがあり、実用上有効であるレベルには至っていない。
また、特開平7−76161号公報、同10−119423号公報では、無機粒子、ポリビニルアルコール(PVA)、ホウ酸若しくはホウ酸塩よりなる塗布液を用いるひび割れ防止方法が開示されているが、この方法の場合、塗布液の粘度が上昇し作業性の低下が大きく、液の経時安定性にも問題があり、実用上有効なレベルには至っていない。
【0010】
上記特開平10−119423号公報、同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子および水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案されている。
。しかし、これらの記録用シートでは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成しうる高いインク受容性能を有しかつ高光沢を示すものの、印画後、高温高湿環境下に長時間保存されると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、経時による画像のニジミ(いわゆる「経時ニジミ」)を生ずるといった問題があった。
【0011】
他方、形成画像の褪色(画像保存性)については、既述のように耐光性、耐水性、耐熱性等の観点から画像の安定化が図られてきているが、これとは別に近年では、印画後の画像が空気、特にオゾンによって褪色してしまうことがわかり、空気中のオゾンに対する安定性が特に問題となっている。したがって、空気中のオゾンによって画像が褪色することのない性質(耐オゾン性)を備え、印画時の彩色や濃度を損なうことなく、長期間安定に画像を保存し得る画像保存性能への要求が高い。
耐オゾン性を向上させる技術としては、例えば、特開平7−26689号公報、特開2000−177235号公報に開示がなされているが、いずれにおいてもある程度の耐オゾン性は得られるものの、耐オゾン性の向上と、耐水性やインクのニジミなど他のインク受容性能の向上とを同時に満足することはできない。
【0012】
さらに、色材受容層中に添加する薬品によっては、無機顔料微粒子と水溶性樹脂との接着性を阻害したり、色材受容層と支持体との密着性を阻害したりする場合がある。このため、色材受容層の膜強度が低下し、シートを折り曲げたり、破いたりする際に色材受容層が支持体から剥がれ落ちてしまい、取扱い性の面で問題があった。このように、インクジェット記録用シートの取扱い性を良化するという観点からも未だ改良の余地がある。
【0013】
これらの諸問題を解決するため、特願2000−324248号等には、色材受容層に、架橋剤溶液を付与する過程で媒染剤が導入されること、即ち色材受容層は、無機顔料微粒子と水溶性樹脂とを含有する色材受容層塗布液を塗布し、該塗布と同時に、または形成された塗布層の乾燥途中に、該塗布層に水溶性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液を付与した後、該溶液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet On Wet法、以下WOW法という。)により形成されることが提案されている。
【0014】
前記WOW法は、受像層にひび割れがなく外観が優れ、また架橋剤溶液に媒染剤、退色防止剤(耐光性、耐オゾン性向上のため)、紙面pH調整剤等の任意の添加剤を導入できる点で優れるが、色材受容層塗布液を塗布した後に架橋剤溶液を付与する際に、架橋剤溶液が色材受容層塗布液によりはじかれる、はじき故障が生ずるという問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、WOW法によってもはじき故障を生ぜず、良質な外観(面状)のインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
【0019】
<1> 支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シー卜において、該色材受容層中にテロマー型フッ素系界面活性剤、無機顔料微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有し、前記色材受容層が無機顔料微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む第1塗液と、前記水溶性樹脂を架橋させうる第2塗液とを塗布してなるインクジェット記録用シートである。
【0020】
<2> 前記第2塗液が塩基性であり、且つテロマー型フッ素系界面活性剤を含有する前記<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0021】
<3> 前記第1塗液を塗布して形成される塗布層の乾燥中であって、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、前記第2塗液を付与し、塗布層を架橋硬化させて得られる前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0022】
<4> 前記無機顔料微粒子が、一次粒子の平均粒子径で20nm以下の気相法シリカである前記<1>ないし<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0023】
<5> 前記水溶性樹脂としてポリビニールアルコール及び/又は変性ポリビニルアルコールが、前記架橋剤としてホウ素化合物が含有されている前記<1>ないし<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0024】
<6> 前記第2塗液の塩基性溶液はpHが8.0以上である前記<2>ないし<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0025】
【発明の実施の形態】
《インクジェット記録用シート》
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有し、該色材受容層中にテロマー型フッ素系界面活性剤、無機顔料微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含有し、前記色材受容層が無機顔料微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む第1塗液と、前記水溶性樹脂を架橋させうる第2塗液とを塗布してなることを特徴とし、好ましくは前記第2塗液が塩基性で、且つテロマー型フッ素系界面活性剤を含有するインクジェット記録用シートである。
以下、本発明のインクジェット記録用シートについて説明する。
【0026】
〈色材受容層〉
本発明における色材受容層は、上述のように、テロマー型フッ素系界面活性剤、無機顔料微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有する。そして、更に上記水溶性樹脂を架橋し得るホウ素化合物架橋剤、媒染剤などを含んでいることが好ましい。
また、色材受容層は、後述のように、WOW法により支持体上に形成される。
【0027】
(界面活性剤)
本発明においては、第2塗布液となる塩基性溶液のはじき故障を防止する目的で、色材受容層にテロマー型フッ素系界面活性剤(以下、「本発明における界面活性剤」という場合がある。)を含む。はじき故障を防止する理由については定かではないが、第2塗布液が塗布された際に、架橋速度と界面の濡れ性をこの界面活性剤が適度に調節するためと思われる。
【0028】
本発明におけるテロマー型フッ素系界面活性剤とは、テトラフロロエチレンのテロメリゼーションで得られるフッ素系化合物から得られる界面活性剤であり、一般的には下記一般式1ないし一般式2で示されるフッ化アルキル基を有する界面活性剤である。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
上記式中nは4以上の、mは1以上の整数を表す。
【0032】
この様な基を有する界面活性剤としてはこれらの基を有する低分子系化合物(直鎖型とも呼ばれる)、高分子系化合物(重合型とも呼ばれる)などがある。
【0033】
低分子系化合物としては例えば下記の一般式で示される化合物などが挙げられる。
【0034】
【化3】
【0035】
上記式中、Rfはフッ化アルキル鎖であり、具体的にはC10F21−、C8F17−、C6F13−、C5Fll−、C4F9−などが挙げられる。
またXlとしては−OH、−O(CH2CH2O)l−H、−SCH2CH2COO−M、−S03−M、−O−P(=O)(OM)2、−OCO−L−COOM、−SO2NR2−CH2CH2OH、−SO2NR2−CH2COOMなどが挙げられる。
上記式中、lは1以上の整数を、Mは水素原子又は金属イオンなどの対カチオンを、R2はアルキル基を、Lは−(CH2)2−、−(CH2)3−、オルトフェニレン、−CH=CH−などを表す。
【0036】
X2としては−OH、−NH−R3などが挙げられる。
R3は水素原子、アルキル基、アンモニウム基などを含むアルキル基であり、例えば−(CH2)3−N+R4R5R6Y-、−(CH2)3−N+R4R5R7COO一等が挙げられる。ここでR4、R5、R6はアルキル基、アリール基などを、R7はアルキレン基などを、Y-はハロゲンなどを表す。
【0037】
高分子系化合物としては、例えば下記一般式5ないし一般式6のモノマーから得られる重合体、及びこれらと共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
上記式中、Rfは前記一般式3、一般式4におけると同義であり、Rlは水素、又はメチル基などである。R2はアルキル基などである。
【0041】
またこれらと共重合なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t‐ブチル、(メタ)アクリル酸へキンル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキンル、及び(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリアレ酸C−18アルキルエステルなど。]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルなど。]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなど。]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルなど。]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど。]、
【0042】
ポリエーテル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類、[例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレニト、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレートなど。]、(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど。]、芳香族ビニル類[例えば、スチレン、ビニルトルエン、α一メチルスチレンなど。]、ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピォン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど。]、アリルエステル類[例えば、酢酸アリルなど。]、ハロゲン含有単量体[例えば、塩化ビニリデン、塩化ビニルなど。]、シアン化ビニル[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど。]、オレフィン類[例えば、エチレン、プロピレンなど。]が挙げられる。
【0043】
具体的には、大日本インキ化学工業(株)社製のメガファックF470、メガファックF472、メガファックF473、メガファックF475、メガファックF476、メガファックF1405、メガファックF178K、メガファックF−140NK、デュポシ社製のZonyl FSP,同FSE,同TBS,同FS−62,同FSA,同FSO,同FSN,同FS−300,同FS−310,同FSN−100,同FSO−100、ダイキン工業製のDS101,DS202,DS401などが挙げられる。
【0044】
色材受容層において、本発明における界面活性剤の総塗布量(固形分)としては、0.001〜0.4g/m2が好ましく、0.005〜0.2g/m2がさらに好ましく、0.01〜0.1g/m2が特に好ましい。
上記塗布量が、0.001〜0.4g/m2の範囲内では、経済性を維持した上で効果的にはじき故障を消滅させることができる。
【0045】
また、本発明における色材受容層は、塗布適性や表面品質を高める目的で公知各種の界面活性剤や、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的でイオン導電性を持つ公知の界面活性剤等を、本発明における界面活性剤と併用してもよい。
【0046】
(無機顔料微粒子)
上述の通り、本発明における色材受容層は、無機顔料微粒子を有する。
上記無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0047】
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0048】
上記無機顔料微粒子の平均一次粒子径としては20nm以下が好ましく、15nm以下がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。
【0049】
上記シリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基による水素結合により粒子同士が付着しやすいため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着のため、上記のように平均一次粒子径が20nm以下の場合に空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0050】
また、シリカ微粒子は、その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。
上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、乾式法(気相法)は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークにより加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)により無水シリカを得る方法が主流である。
【0051】
これらの方法で得られる含水シリカ(湿式法)および無水シリカ(乾式法)は、表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、それぞれ異なった性質を示すが、無水シリカの場合には、特に空隙率が高い三次元構造を形成しやすく特に好ましい。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、無水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
従って、本発明においては、上記乾式法(気相法)で得られたシリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、さらに、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ微粒子を用いることが好ましい。
【0052】
(水溶性樹脂)
同様に、本発明における色材受容層は、水溶性樹脂を有する。
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げることができる。
上記の中でも、特にポリビニルアルコール類が好ましい。
【0053】
上記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や、乾燥時のひび割れを防止し、さらに、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によってふさがれやすくなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がさらに好ましい。
【0054】
色材受容層を主として構成する、上記無機顔料微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でもよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0055】
また、透明性の観点から、シリカ微粒子に組合わせる樹脂の種類が重要となる。上記無水シリカを用いる場合には、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜99%のPVAがさらに好ましい。
【0056】
上記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。上記三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造の色材受容層を形成しうると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得た多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インクニジミのない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0057】
−無機顔料微粒子と水溶性樹脂との含有比−
無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒子;i)と水溶性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:p)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。
具体的には、上記PB比(i:p)としては、該PB比が大きすぎることに起因する、膜強度の低下や、乾燥時のひび割れを防止し、さらに、該PB比が小さすぎることによって、該空隙が樹脂によってふさがれやすくなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0058】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。さらにシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。
この場合、上記PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2:1以上であることが好ましい。
【0059】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:1で水溶液中に高圧ホモジナイザー、サンドグラインダー、コロイドミル、ダイノミル、超音波分散機、薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス)等を用い、十分に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0060】
(架橋剤)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、無機顔料微粒子および水溶性樹脂を含む塗布層(多孔質層)に、更に架橋剤を含む。前記色材受容層は、前記架橋剤と上記水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された層であるのが好ましい。
【0061】
(第1塗液に使用される架橋剤)
上記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤としては、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点から、硼素化合物が好ましく、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二ホウ酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五ホウ酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、ホウ酸がより好ましく、水溶性樹脂としてポリビニルアルコールと組合わせて使用することが特に好ましい。
【0062】
上記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;
【0063】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等である。
尚、上記架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせてもよい。
【0064】
(第2塗液に使用される架橋剤)
上記第2塗液の付与は、上記多孔質性の色材受容層を形成する塗布液(第1塗液)が塗布されるのと同時に、あるいは第1塗液を塗布して形成された塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、おこなわれることが好ましい。この操作により、塗布層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効果的に防止することができる。即ち、上記塗布液が塗布されたと同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に第2塗液が塗布層内に浸透し、塗布層内の水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化(硬化)させることにより、塗布層の膜強度を即時に大幅に向上させる。
【0065】
前記第2塗液中に含有される架橋剤としては、前記第1塗液に例示したものと同じ架橋剤が使用される。また第1塗液に水溶性樹脂としてポリビニルアルコール、架橋剤としてホウ酸を用いた場合には、第2塗液を塩基性にすることのみで架橋反応は進むが、第2塗液にさらに前記架橋剤を添加してもよい。
【0066】
上記第2塗液は、媒染剤、界面活性剤、pH調整剤、必要ならば架橋剤を水および/または有機溶剤に溶解して調製される。
架橋剤溶液中の架橋剤の濃度としては、架橋剤溶液の質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%が特に好ましい。
第2塗液を構成する溶媒としては、一般に水が使用され、該水と混和性を有するの有機溶媒を含む水系混合溶媒であってもよい。
上記有機溶剤としては、架橋剤が溶解するものであれば任意に使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、およびジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
【0067】
(媒染剤)
本発明においては、形成画像の耐水性、耐経時ニジミの更なる向上を図る観点で、色材受容層に媒染剤が含有されることが好ましい。
上記媒染剤としてはカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)が好ましく、色材受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や経時ニジミを向上させることができる。
【0068】
しかし、これを直接色材受容層を形成するための塗布液に添加すると、シリカ等の、アニオン電荷を有する無機顔料微粒子との間で凝集を生ずる懸念を生ずる場合があるが、独立の別の溶液として調製し塗布する方法を利用すれば、無機顔料微粒子の凝集を懸念する必要はない。よって、本発明においては、第2塗液に含有して用いることが好ましい。
【0069】
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、または第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染ポリマー」という。)との共重合体または縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、または水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0070】
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
【0071】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0072】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、またはそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0073】
具体的には、例えば、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、
【0074】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0075】
上記非媒染ポリマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独で、または二種以上組合せて使用できる。
【0077】
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好ましいものとして挙げることができる。
【0078】
上記ポリマー媒染剤の分子量としては、重量平均分子量で1000〜200000が好ましい。上記分子量が1000〜200000の範囲にあると、耐水性が不十分となることがなく、また、粘度が高くなりすぎてハンドリング適正が低下するのを防止できる。
【0079】
上記カチオン性の非ポリマー媒染剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、酢酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニル等の水溶性金属塩が好ましい。
【0080】
(他の成分)
色材受容層は、必要に応じて下記成分を含んでいてもよい。
色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位または6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0081】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
【0082】
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
【0083】
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、
【0084】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
【0085】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0086】
上記褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。この上記褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。
上記褪色性防止剤の添加量としては、色材受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
【0087】
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0088】
(インクジェット記録用シートの作製:WOW法)
既述のように、色材受容層には、上記第2塗液を付与する過程で媒染剤が導入されることが好適である。即ち、色材受容層は、平均一次粒子径20nm以下の無機顔料微粒子と水溶性樹脂、架橋剤とを含有する色材受容層塗布液(第1塗液)を塗布し、該塗布液の塗布により形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層に水溶性樹脂を架橋させうる塩基性塗布液(第2塗液)を付与した後、該溶液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(WOW法)により形成されることが好ましい。
ここで、本発明における界面活性剤は、塩基性塗布液(第2塗液)に含めるのが好ましい。
【0089】
上記のように、本発明においては、架橋剤と水溶性樹脂を共に第1塗布液に含め、第1塗布液の乾燥途中において塩基性塗液(第2塗液)を塗布することにより、ひび割れ、はじき故障等の外観を向上させることができる。
【0090】
本発明において、第1塗布液である無機顔料微粒子と水溶性樹脂及び硼素化合物架橋剤を含んでなる塗布液は、例えば、以下のようにして調製できる。
即ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、ホウ素化合物架橋剤(例えば、シリカの0.5〜20質量%)を加え、上記と同じ条件で分散を行ない、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に上記と同じ回転条件で分散をおこなうことで調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
上記第1塗布液には、必要に応じて、更に、pH調整剤、分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
【0091】
また、本発明において、第2塗布液である本発明の界面活性剤を含んでなる塗布液は、例えば、以下のようにして調製できる。イオン交換水に媒染剤(0.1〜5.0質量%)、本発明の界面活性剤(0.01〜1.0質量%)、必要に応じ架橋剤(0〜5.0質量%)を加え十分攪拌する。第2塗布液のpHは8.0以上であることが好ましく、pHを8.0以上とするためにアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等でpHを調整することが好ましい。
【0092】
第1塗液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知の塗布方法によりおこなうことができる。
【0093】
第1塗液を塗布した後、該塗布層に第2塗液が付与されるが、該第2塗液は、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与することが好ましい。即ち、第1塗液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に第2塗液を導入することで好適に製造される。
【0094】
ここで、「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、第1塗液の塗布直後から数分間を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間については、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0095】
上記の通り、第1塗液の塗布後、その塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)おこなわれる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが上記範囲が適当である。
【0096】
上記塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(1)第2塗液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法によって噴霧する方法、(3)第2塗液中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0097】
上記方法(1)において、第2塗液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコーター、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコータ、カーテンフローコータ、バーコータ等のように、既に形成されている塗布層にコータが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0098】
色材受容層上に付与する、第2塗液の塗布量としては、5〜50g/m2が一般的であり、10〜30g/m2が好ましい。
【0099】
該第2塗液の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
例えば、上記第1塗液中に含有する架橋剤としてホウ砂やホウ酸を使用する場合には、60〜100℃での加熱を5〜20分間おこなうことが好ましい。
【0100】
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0101】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
【0102】
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0103】
上記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0104】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0105】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0106】
(支持体)
上記支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体または高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0107】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、ポリエチレンテレフタレートは特に好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜200μmが好ましい。
【0108】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙および板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0109】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙、RC紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体が挙げられる。
更に、白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。
【0110】
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0111】
また、上記支持体には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを私用してもよい。
【0112】
次に、上記紙支持体に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSPおよび/またはLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0113】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0114】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0115】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ算分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0116】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0117】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0118】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0119】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。
【0120】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0121】
以上のように、本発明における界面活性剤を色材受容層に有することで、外観の欠陥のない受像層を得ることができる。またこの受像層は空気中のオゾンによる形成画像の褪色を効果的に防止して、インクジェット画像の彩色や画像濃度等を損なうことなく、印画時における、彩色が鮮やかで高濃度の画像を長期間安定に保存することができ、かつ、取扱い性にも優れる。しかも、色材受容層が無機顔料微粒子を含んで空隙率50〜80%の三次元網目構造を有すると、良好なインク吸収性を示し高解像度で高濃度な画像が形成できると共に、高温高湿環境下での経時ニジミも抑制され、形成された画像も高い耐光性、耐水性を示すといった、優れたインク受容性能をも同時に確保することができる。
【0122】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」および「%」は、全て「質量部」および「質量%」を表す。
【0123】
−支持体の作製−
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
【0124】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whitex BB,住友化学工業(株)製)を0.04%添加し、これを絶乾重量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、さらにキャレンダー処理を施して密度1.05g/m2に調整された基紙を得た。
【0125】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理をおこなった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層にさらにコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0126】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、および蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように溶融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
【0127】
[実施例1]
−色材受容層用塗布液の調製−
下記組成中の(1)シリカ微粒子、(2)分散剤、(3)イオン交換水を混合し、高速回転式コロイドミル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用いて、回転数10000rpmで20分間分散させた後、下記(6)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、(4)架橋剤、(7)界面活性剤、および(5)ポリビニルアルコール9%水溶液を加え、更に上記と同一条件で分散をおこない、色材受容層用塗布液を調製した。
【0128】
〔色材受容層塗布液の組成〕
(1)無機顔料微粒子(レオロシールQS−30) 30.0kg
(平均一次粒子径7nm、(株)トクヤマ社製)
(2)分散剤 (PAS‐M‐1(60%)、日東紡績(株)社製) 2.5kg
(3)イオン交換水 167.5kg
(4)架橋剤 (ホウ酸(5.3%)) 23.0kg
(5)水溶性樹脂(ポリビニルアルコール7%水溶液) 95.18kg
(PVA124、(株)クラレ製)
(6)ジエチレングリコールモノブチルエーテル(100%) 1.09kg
(7)界面活性剤(エマルゲン109P、(2%)) 18.22kg
(花王(株)製)
【0129】
−インクジェット記録用シートの作製−
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理をおこなった後、上記から得た色材受容層用塗布液を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて170ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて40℃(風速5m/sec)で塗布層の固形分濃度が18%になるまで乾燥させた。塗布層は、この期間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の塩基性溶液に30秒浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ(塩基性溶液を付与する工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これより、乾燥膜厚35μmの色材受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シート(1)を作製した。
【0130】
〔塩基性溶液の組成〕
(1)塩基性媒染剤(PAA−10C(10%)水溶液) 10.0kg
(日東紡(株)製)
(2)イオン交換水 34.7kg
(3)表面pH調整剤(塩化アンモニウム、(100%)) 0.3kg
(4)界面活性剤(メガファックF1405(10%)) 1.0kg
(大日本インキ化学工業(株)社製)
(5)界面活性剤(エマルゲン109P、(2%)) 1.0kg
(花王(株)製)
*実施例1の塩基性溶液のpHは9.6であった。
【0131】
[実施例2]
実施例1の塩基性溶液における、(4)界面活性剤(メガファックF1405(10%)、大日本インキ化学工業(株)社製)1.0kgを界面活性剤(メガファックF475(10%))、大日本インキ化学工業(株)社製)1.0kgに変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(2)を作製した。実施例2の塩基性溶液のpHは9.6であった。
【0132】
[比較例1]
実施例1の塩基性溶液における、界面活性剤(メガファックF1405)を使用せず、界面活性剤(エマルゲン109P、2%)の使用量を2.0kgに変更した以外は実施例1と同様にして比較例用インクジェット記録用シート(1)を作製した。比較例1の塩基性溶液のpHは9.6であった。
【0133】
<性能評価>
上記より得られた本発明のインクジェット記録用シート(1)および(2)、並びに、比較用インクジェット記録用シート(1)のそれぞれについて、以下の評価をおこなった。評価結果は、下記表1に示す。
【0134】
(面状状態)
乾燥工程が終了後のインクジェット記録用シートの面状状態を目視により調査した。
【0135】
(光沢度)
印画前の記録シートの色材受容層表面における60°光沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−50DP,スガ試験機(株)製)にて測定した。
【0136】
(印画濃度)
インクジェットプリンター(PM−770C、セイコーエプソン(株)製)によって、インクジェット記録用シートにK(黒)のベタ画像を印字し、3時間放置後、該印字面の反射濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0137】
【表1】
【0138】
上記表の結果から、本発明における界面活性剤を使用した場合、良好な面状状態を示し、はじき故障は全く見られなかった。一方本発明における界面活性剤を使用しなかった比較例においては、はじき故障が38個/100m2見られた。また、印画濃度、光沢度については、本発明における界面活性剤を使用した場合も、比較例と遜色無く良好であった。
【0139】
【発明の効果】
本発明は、印画濃度、光沢度等のインク受容性能を低下させることなく、良好な面状状態のインクジェット記録用シートを提供することができる。
Claims (6)
- 支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シー卜において、該色材受容層中にテロマー型フッ素系界面活性剤、無機顔料微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有し、前記色材受容層が無機顔料微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む第1塗液と、前記水溶性樹脂を架橋させうる第2塗液とを塗布してなるインクジェット記録用シート。
- 前記第2塗液が塩基性であり、且つテロマー型フッ素系界面活性剤を含有する請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記第1塗液を塗布して形成される塗布層の乾燥中であって、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、前記第2塗液を付与し、塗布層を架橋硬化させて得られる請求項1又は2に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記無機顔料微粒子が、一次粒子の平均粒子径で20nm以下の気相法シリカである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記水溶性樹脂としてポリビニールアルコール及び/又は変性ポリビニルアルコールが、前記架橋剤としてホウ素化合物が含有されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記第2塗液の塩基性溶液はpHが8.0以上である請求項2ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
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