JP3957162B2 - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインクジェット記録に供給される被記録材に関し、詳しくは、インク受容性能、並びに画像保存性に優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報技術産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと)、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記した諸特性の向上を目的として、近年では色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有する。
【0005】
例えば、特開平10−119423号や同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有する色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案されている。
これらの記録用シート、特に、無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる色材受容層を設けたインクジェット記録用シートは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
【0006】
前記各インクジェット記録用シートは、その構成からインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成しうる高いインク受容性能を有し、かつ高光沢を示す。しかしながら、光沢性と風合いとの観点から、支持体としてその両側の表面にポリエチレン等の樹脂コートが施された支持体を用いるため、色材受容層中に含まれる高沸点溶媒が蒸発せず、また該溶媒が支持体に吸収されない。このため、色材受容層中にそのまま高沸点溶媒が残存し、印画後、高温高湿環境下に長時間保存されると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、経時による画像のニジミ(以下、「経時ニジミ」ということがある。)を生ずるという問題があった。
【0007】
一方、インクジェット記録用シートには、インク中の染料成分を固定化する目的でアミノ基やアンモニウム塩を有する化合物、特にこれらを有する高分子化合物を添加することが広く行われている。
【0008】
例えば、特開昭60−83882号公報、同64−75281号公報、同59−20696号公報等に記載されるジアリルアンモニウム塩誘導体の(共)重合体、特開昭61−61887号公報、同61−72581号公報等に記載のアリルアミン塩共重合体、特開平6−340163号公報、同4−288283号公報、同9−300810号公報、同8−318672号公報、同10−272830号公報、特開昭63−115780号公報等に記載の、アンモニウム塩を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ビニルベンジルアンモニウム塩(共)重合体等のビニル(共)重合体、特開平10−44588号公報等に記載の変性ポリビニルアルコール(PVA)、特開平6−234268号公報、同11−277888等に記載のアミン・エピクロルヒドリン重付加体、特開平10−119418号公報等に記載のジハライド・ジアミン重付加体、特開平11−58934号公報、同11−28860号公報等に記載のポリアミジンなど多くの化合物が用いられている。これらの化合物を用いることで染料の固定化を図り、ニジミの防止がなされている。
【0009】
しかしながら、これらの化合物はいずれも基本的に水溶性高分子であるため、水溶性染料を完全に固定化することができず、特に高温高湿でのニジミ改良はいまだ不充分という問題があった。
【0010】
また、印画後直ちにクリヤーファイル等に保管すると、インク中の水分や、インク中に少量含有される高沸点溶媒(グリセリンやジエチレングリコール誘導体等)が残存したままの状態にあるため、やはり経時ニジミが発生してしまうという問題がある。
【0011】
さらに、特開昭57−36692号公報、特開平10−180034号公報、同11−20302号公報、同8−244336号公報等に記載のインクジェット記録用シートのように、上述の化合物と同様にアミノ基やアンモニウム塩を有するが、水不溶性である塩基ラテックスを含有するインクジェット記録用シートが知られている。これらのインクジェット記録用シートは、上記疎水性のラテックスを用いることで耐水性の向上が図られている。
【0012】
しかしながら、これら疎水性のラテックスを用いたインクジェット記録用シートに十分な耐水性を付与するためには、上記疎水性のラテックスを大量に添加する必要がある。その結果、画像耐光性の悪化、及び顔料との混和性の悪化等の問題を引き起こしてしまう。
【0013】
これらの多くはアミノ基やアンモニウム塩のような親水性モノマー単位をラテックス化するために、架橋性モノマー(即ち、分子中に2つ以上の重合性官能基を有するモノマー)を用いている。このため、水溶性インクがこの粒子中に浸透しにくく、インクの受容性が十分とはいえない。さらには、粒子状の化合物を添加するため、多孔質膜による受容層に用いた場合に該多孔質膜の空隙を塞ぎインク吸収性を阻害してしまう。また、これらの化合物を用いてもやはり経時ニジミの発生を防ぐことができない。
【0014】
また、空気中の微量ガス、特にオゾンは、経時による記録画像の褪色の原因となる。特に多孔質構造の受容層を有する記録材料は多くの空隙を有するため、空気中のオゾンに対する耐性が要求される。
特開平2000−177235号公報には、アルミナ水和物を含む多孔質層に、Mgイオン及びSCNイオンを含有するインクジェット記録媒体が提案されている。このインクジェット記録媒体は、MgイオンとSCNイオンとを多孔質層に含有することで、耐光性及び耐オゾン性を向上させている。しかし、上記インクジェット記録媒体においては、上記性能は向上するものの、経時ニジミの発生を同時に防ぐことはできないという問題がある。また、MgイオンのかわりにCaイオンを用いた場合には、インクの吸収性が低下するとされている。
【0015】
特開平7−314882号公報には、ジチオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩、及びヒンダードアミン化合物からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有する多孔質インク受理層を有する記録用シートが開示されている。前記ヒンダードアミン化合物の具体例としては、ピペリジンの2位及び6位における炭素上の全ての水素が、メチル基で置換された構造を有するものが挙げられており、この記録シートは、前記化合物を1種以上含有することで、空気中の微量ガスによる記録画像の褪色を防止している。
しかしながら、上記公報においては、これらの化合物と媒染剤の組み合わせについて記載がない。このような記録シートでは経時ニジミが劣り、また耐性向上の効果も十分ではなく、特に長期間の耐性付与することができないという問題があった。
【0016】
また、特開2000−255157号公報、特開2000−255158号公報、及び特開2000−255160号公報には、芳香環を有する還元剤群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有するインクジェット記録媒体について、記載されている。前記芳香環を有する還元剤の具体例としては、ベンゼン核又はナフタレン核に、水酸基、アミノ基、モノアルキルアミノ基等の官能基が2つ以上結合した化合物が挙げられている。該記録媒体は、前記化合物を含有することで、記録画像の画像保存性を向上させ、褪色を防止している。
【0017】
しかしながら、これらの記録シート及び記録媒体においても、経時による記録画像の褪色は改良できるものの、経時ニジミの発生を十分に抑制することができず、これらの添加剤に起因すると思われる紙面の着色(白地部の変色)が発生するという問題がある。
【0018】
さらに、酸化防止剤として、含イオウ系化合物を用いることも知られている。例えば、特公平8−22608号公報、特開昭64−36479号公報、特公平8−13570号公報、特開昭1−115677号公報、特開2001−177241号公報、特開2001−270220号公報などにはイオウ系の酸化防止剤としてチオエーテル系化合物やメルカプトベンズイミダゾール系化合物が示されている。しかしながら、例示されている化合物は何れも低極性化合物(I/O値が0.5未満)であり、これらを用いても十分な耐性向上の効果は得られないという問題がある。
【0019】
特開2000−263928号公報にも、各種の含イオウ系化合物を用いる例が示されており、3,6−ジチオオクタン−1,8−ジオール、チオサリチル酸などの高極性(I/O値が0.5以上)の化合物も例示されている。しかしながら、これらの例ではアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物との組み合わせに限定されており、これらの例では特に経時ニジミが劣るという問題がある。
【0020】
特開平7−257019号公報には、複素環状化合物としてエチレンチオウレア、チオヒダントイン等が、特開平7−314883号公報にはチオ尿素誘導体、チオセミカルバジド誘導体、チオカルボヒドラジド誘導体等の含イオウ系化合物が、例示されている。しかしながら、これらの例では褪色防止に関する効果は記載されていない。またこれらの化合物と媒染剤の組み合せについても記載はない。
この様な記録シートでは、経時ニジミが劣り、また耐性向上の効果も十分ではないという問題がある。
【0021】
特公平4−34953号公報には、チオウレア系化合物、チオセミカルバジド系化合物、チオカルボヒドラジド系化合物などを添加することで耐性を向上できるとの記載がある。またこれらのチオウレア系化合物を有機媒染剤と組み合せた例も開示されている。しかしながら、組み合わせる媒染剤は4級アンモニウム塩化合物が好ましいと記載されており、これらの組み合わせでは経時ニジミが劣り、また耐性向上の効果も十分ではない。
【0022】
また、特開平2001−260519号公報には、スルフィン酸化合物、チオスルフィン酸化合物、チオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する多孔質インク受像層を有する記録シートが開示されている。さらに、チオウレア化合物、糖類、ピリジン系化合物、チオエーテル系化合物、ジスルフィド系化合物、チアジン系化合物から選ばれた少なくとも一つの化合物を上記化合物と組み合わせて含有させることで、画像保存性が大幅に改良されると記載されている。さらに、これらの公報にはカチオン性化合物を併用することも記載されており1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが例示されている。しかしながら、実施例にしめされた化合物は4級アンモニウム塩基を有するポリマーのみであり、これらでは経時ニジミや耐光性、耐オゾン性が悪化したり、十分な耐性向上の効果が発現されない。また、これらのカチオン性ポリマーの種類の違いによる耐性向上への効果については記載がない。
【0023】
上述のように、色材受容層が、ひび割れ等の発生がなく強固である一方、良好なインク吸収性、記録面の表面平滑性及び光沢性を有し、高解像度で高濃度な画像が形成できると共に、その形成画像が高い耐光性及び耐水性を有するといったインク受容性能を確保しながら、印画後、高温高湿環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを起こさず安定に画像を保持し、更に、優れた耐オゾン性を有し、経時による画像記録の褪色を防止し得るインクジェット記録用シートは、未だ提供されていないのが現状である。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、ひび割れ等の発生がなく強固で、記録面の表面平滑性及び光沢性を有し、インク吸収性が高く、経時でのニジミがなく、高解像度で高濃度の画像形成が可能であり、かつ耐光性、耐水性、耐オゾン性等の画像耐性に優れ、紙面の着色等の発生がないインクジェット記録シートを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の含イオウ系化合物の少なくとも1種を、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体から選択される有機媒染剤と組み合せて色材受容層に含有させた場合、ならびに特定のチオエーテル系化合物を色材受容層に含有させた場合に、前記目的を達成可能なことを見出し、本発明に到達した。
従って、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層が、(A)下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ有機概念図における有機性/無機性比(I/O値)が0.5以上である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0026】
【化6】
Figure 0003957162
【0027】
一般式(1)、(2)、および(4)中、 、R は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、R 、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表し、 とR、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。
【0028】
<2> 支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層が、(A)下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ水溶性である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0029】
【化7】
Figure 0003957162
【0030】
一般式(1)、(2)、および(4)中、 、R は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、R 、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表し、 とR、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。
【0031】
<3> 前記R1及びR2の少なくとも1つ、前記R4及びR5の少なくとも1つ、又は前記R6及びR7の少なくとも1つが置換基を有し、該置換基が水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、アミノ基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩のうち少なくとも1種である前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0032】
<4> 前記色材受容層が、さらに下記一般式(5)、(6)及び(7)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種、又は脂肪族系炭素−炭素二重結合性基を有する化合物の少なくとも1種を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0033】
【化8】
Figure 0003957162
【0034】
一般式(5)、(6)中、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R10とR11、R12とR13、R10又はR11とR12又はR13は、互いに連結して環を形成してもよい。一般式(7)中のR14、R15は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R16は、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、金属、又は4級アンモニウムを表し、R14とR15、R14又はR15とR16は、互いに連結して環を形成してもよい。
【0041】
> 前記色材受容層が、さらにハロゲン化水素酸化合物、硫酸化合物、硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、及び硼酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化合物を含有する前記<1>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0042】
> 前記色材受容層が、さらに水溶性樹脂を含有する前記<1>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0043】
> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する前記<>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0044】
> 前記色材受容層が、さらに微粒子を含有する前記<1>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0045】
> 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種を含有する前記<>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0046】
10> 前記色材受容層が、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有する前記<>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
【0047】
11> 前記色材受容層が、少なくとも微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有する塗布液を塗布してなる塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層又は塗膜に付与することにより行われる前記<10>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0048】
【発明の実施の形態】
(インクジェット記録用シート)
以下、本発明のインクジェット記録用シートについて、詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有してなり、前記色材受容層が、(A)下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ有機概念図における有機性/無機性比(I/O値)が0.5以上である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、を含有してなることを特徴とし、必要に応じて、酸性化合物、無機微粒子、水溶性樹脂、該水溶性樹脂の架橋剤等を含有してもよい。
【0049】
<一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物>
ここではまず、下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物について説明する。
【0050】
【化11】
Figure 0003957162
【0051】
前記一般式(1)、(2)、および(4)中、 、R は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、R 〜Rは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表し、 とR、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。
【0052】
前記 、R およびR 〜R で表されるアルキル基としては、直鎖状、又は分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素数としては1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。このようなアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が好ましい。
また、前記 、R およびR 〜R で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等が挙げられ、中でも、水酸基、カルボキシル基が好ましい。
【0053】
前記 〜R7で表されるアリール基としては、炭素数が6〜20のものが好ましく、6〜12のものより好ましい。このようなアリール基の例として、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
また、前記 〜R7で表されるアリール基が置換基を有する場合、該置換基としては、水酸基、チオール基、メチル基、t−ブチル基等が挙げられ、中でも、水酸基、チオール基が好ましい。
【0054】
前記 、R およびR 〜R で表される複素環基としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含む複素環基が挙げられ、炭素、窒素、硫黄、及び酸素を合計した原子数としては、1〜20が好ましく、1〜12が特に好ましい。
このような複素環基の例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イソキノリル基、チアジアゾリル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、インドリル基、イソインドリル基等が好ましく挙げられる。これらの複素環基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記好ましい複素環基の中でも、フリル基、チエニル基、ピリジル基、モルホリノ基、ピペリジノ基等がより好ましい。
【0055】
前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物としては、水溶性であることが好ましく、該化合物が水溶性であると、耐オゾン性、耐光性の効果がより発現しやすくなり好ましい。
【0056】
また、前記R1及びR2の少なくとも1つ、前記R4及びR5の少なくとも1つ、又は前記R6及びR7の少なくとも1つが、置換基を有し、該置換基が、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、アミノ基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、中でも特に、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩が好ましい。
【0057】
以下に、本発明のインクジェット記録用シートに含有される、前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物の好ましい具体例(1−8、1−12〜1−28、1−33、1−37〜1−39、1−83〜1−100)を挙げるが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0058】
【化12】
Figure 0003957162
【0059】
【化13】
Figure 0003957162
【0060】
【化14】
Figure 0003957162
【0062】
【化16】
Figure 0003957162
【0063】
【化17】
Figure 0003957162
【0064】
前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物の色材受容層中の含有量は、0.01g/m〜5g/mが好ましく、0.05g/m〜3g/mがより好ましい。前記含有量が、0.01g/m〜5g/mの範囲内にあると、耐オゾン性、耐水性、及び経時ニジミの観点から好ましい。
【0065】
前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物のI/O値は、0.5以上であり、1.0〜5.0であるのが好ましい。ここでI/O値とは、化合物あるいは置換基の親油性/親水性の尺度を表すパラメーターであり、「有機概念図」(甲田善生著・三共出版、1984年)にその詳細な解説がある。Iは無機性を、Oは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が高いことを表す。
以下に、I/O値についての具体例を記載する。
I値の代表例として、−NHCO−基では200、−NHSO−基では240、−COO−基では60となる。例えば、−NHCOC11の場合、炭素数は6であり、O値は20×6=120となる。I=200であるから、I/O≒1.67となる。
【0066】
<一般式(5)〜(7)で表される化合物>
また、本発明のインクジェット記録用シートにおいて、前記色材受容層は、さらに、前記色材受容層が、下記一般式(5)、(6)及び(7)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種、又は脂肪族系炭素−炭素二重結合性基を有する化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0067】
【化18】
Figure 0003957162
【0068】
一般式(5)、(6)中、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R10とR11、R12とR13、R10又はR11とR12又はR13は、互いに連結して環を形成してもよい。一般式(7)中のR14、R15は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R16は、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、金属、又は4級アンモニウムを表し、R14とR15、R14又はR15とR16は、互いに連結して環を形成してもよい。
【0069】
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16で表される前記無置換アルキル基としては、例えば、炭素数1〜22のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ベンジル基、ヘキサデシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、中でも、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、メチル基、n−ブチル基、エチル基、n−プロピル基、i−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
【0070】
又、置換アルキル基の前記置換基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホキシ基、スルファモイル基、ハロゲン原子、フェニル基が好ましく、その中でも、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホキシ基がより好ましい。
【0071】
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16で表される前記無置換アリール基としては、例えば、炭素数3〜22のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられ、中でも、炭素数4〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基は特に好ましい。
【0072】
又、置換アリール基の前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホキシ基、スルファモイル基、ハロゲン原子、フェニル基が好ましく、その中でも、アルコキシ基、フェニル基がより好ましい。
【0073】
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16で表される前記アシル基としては、炭素数2〜22のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−オクタノイル基、2−エチル−ヘキサノイル基、ベンゾイル基、p−ヒドロキシベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基等が挙げられ、中でも、炭素数2〜12のアシル基がより好ましく、アセチル基、ベンゾイル基が特に好ましい。
【0074】
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16で表される前記アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜22のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、2−ヒドロキシエトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、アセチルカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられ、中でも、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基がより好ましく、メトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基は特に好ましい。
【0075】
前記R10とR11、R12とR13、R10又はR11とR12又はR13は、互いに連結して環を形成してもよい。このように連結して形成する環としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜30のフェニレン基が好ましく、その中でも、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましい。
前記R7で表される金属としては、亜鉛、ニッケル、銅、鉄、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、モリブデン、ビスマス、マンガン、セリウムが好ましく、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムが特に好ましい。
前記R7で表される4級アンモニウムとしては、アンモニウム、モノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが好ましく、その中でも、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムが特に好ましい。
【0076】
前記一般式(5)〜(7)で表される化合物の色材受容層中の含有量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.05g/m2〜3g/m2がより好ましい。
【0077】
前記脂肪族系炭素−炭素二重結合性基を有する化合物としては、2−ブテン−1,4−ジオール、ソルビン酸、4−ヒドロキシ−スチレン、L−アスコルビン酸、スチレンスルフィン酸、スチレンスルフィン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム等が挙げられ、中でも、スチレンスルフィン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0078】
<一般式(8)で表される化合物>
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層、下記一般式(8)で表されるチオエーテル系化合物であり、かつ有機概念図における有機性/無機性比(I/O値)が0.5以上である化合物の少なくとも1種以上を含有することができる
【0079】
【化19】
Figure 0003957162
【0080】
一般式(8)中、Xは水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、アミノ基、又はこれらの基を1個以上有する基を表す。Y1、Y2及びY3は、各々独立にアルキレン基を表す。nは1〜6の整数を表し、mは0又は1を表す。
【0081】
前記一般式(8)において、Y1、Y2、及びY3で表されるアルキレン基としては、炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましい。
前記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、およびヘキサメチレン基等が挙げられる。
また、前記一般式(8)において、Xで表される水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、又はアミノ基を1個以上有する基としては、例えば、−CH2OH、−CH2COOH、−CH2NH2、−CHOH−CH2OH、CHNH2COOH等が好ましく挙げられる。
【0082】
本発明のインクジェット記録用シートに含有することができる、前記一般式(8)で表されるチオエーテル系化合物の具体例としては、前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の好ましい具体例として挙げたもののうち、1−16、1−17、1−18、1−21、1−22、1−27、1−95、1−96、及び1−98等が同様に挙げられる。
【0083】
前記一般式(8)で表される化合物のI/O値は、0.5以上であることが好ましく、1.0〜5.0であることがより好ましい。
前記一般式(8)で示される化合物の色材受容層中の含有量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.05g/m2〜3g/m2がより好ましい。
【0084】
また、本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層、下記一般式(8)で表されるチオエーテル系化合物であり、かつ水溶性である化合物の少なくとも1種以上を含有することができる。即ち、前記一般式(8)で表される化合物は、水溶性であることが好ましい。
【0085】
本発明のインクジェット記録用シートにおいては、前記一般式(8)で表される化合物と、前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物が色材受容層に含有されていてもよく、あるいは、前記一般式(8)で表される化合物を含有してなる前記色材受容層に、前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物を含有する塗布液を色材受容層の表面に塗布してもよい。
【0086】
本発明のインクジェット記録用シートにおいては、前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物は、I/O値が0.5以上及び/又は水溶性であることが好ましい。また、前記一般式(5)〜(8)で示される化合物のI/O値は、0.5以上及び/又は水溶性であることがより好ましい。
ここで水溶性とは常温で水に対して1質量%以上の溶解度を示すことを示す。また、これらの化合物は、例えば本発明の有機媒染剤と併用することで、例えば有機媒染剤との塩として水溶性を示すものでもよい。これらの化合物は色材受容層を形成するための水系の塗布液中に溶解して添加することができるが、更に溶解性を補う為に必要に応じて水と混和性の有機溶剤(例えばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン等)を混合して使用してもよい。あるいは色材受容層を形成したのちに、該化合物を含有する塗布液を別に塗布してもよい。
【0087】
<有機媒染剤>
本発明のインクジェット記録シートは、前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物とともに、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体から選ばれる有機媒染剤の少なくとも1種以上を用いることを特徴とする。
ポリアリルアミン、ポリビニルアミンは、これらの単独重合体、又はこれらと他の共重合成分の共重合体、あるいはポリアリルアミン単位、及び/又はポリビニルアミン単位の一部、あるいは全部が例えば誘導体化されていてもよい。誘導体としては、例えば、下記構造単位で表される化合物が挙げられる。
【0088】
【化20】
Figure 0003957162
【0089】
上記構造式において、R11〜R13は、水素原子、又は置換基を有してもよい有機基を表し、R14は、素原子又はメチル基を表し、R15は、COOR16、−CN、又は−CON(R16)R17を表す。ここでR16及びR17は、水素原子、アルキル基(該アルキル基は分岐、環状構造でもよく、また不飽和結合、置換基を有していてもよい。)、アリール基(置換基を有していてもよい)、アラルキル基(置換基を有していてもよい)を表す。nは0又は1を表す。
上記の有機基とは、炭化水素部位、及び/又はハロゲン化炭素部位を有する基であり、これ以外に水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素、ホウ素、ハロゲン等の原子、及び/又はこれらの組み合わせからなる官能基を含んでいてもよい。このような例としては、例えば、(置換)アルキル基、(置換)アラルキル基、(置換)アリール基、(置換)アシル基、(置換)スルホニル基、ヘテロ環類等が挙げられる。
【0090】
11〜R13で表される前記有機基としては、具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、1,3−ブタジエニル基、1,3−ペンタジエニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、1−フェニルビニル基、2−フェニルビニル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ビニルフェニル基など)等が挙げられる。
【0091】
置換基を有する前記R11〜R13としては、具体的には、フロロエチル基、トリフロロエチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、ヒドロキシフェニルメチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、フロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられる。
前記R11〜R13において、置換基として−OH基を有するものとしては、
【0092】
【化21】
Figure 0003957162
【0093】
等が挙げられる。
また、上記R11〜R13としては、−C(R21)R22−COOR23(該R21〜R23としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ベンジル基、フェニル基等)、−CO―R24―COOH(該R24としては、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH=CH−、
【0094】
【化22】
Figure 0003957162
【0095】
)、−COR25、−COOR26、−CONHR27、−CSNHR28、−SO229、−P(=O)(OR302(該R25〜R30としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクタデシル基、ベンジル基、フェニル基、−CH=CH−Phなど)等が挙げられる。
【0096】
また、前記構造単位(3)中、R14は水素原子、又はメチル基を表す。
前記構造単位(3)中、R15はCOOR16、CN、CON(R16)R17を表す。ここでR16及びR17は、水素原子、アルキル基(該アルキル基は分岐、環状構造でもよく、また不飽和結合、置換基を有していてもよい。)、アリール基(置換基を有してもよい)、アラルキル基(置換基を有してもよい)を表す。
前記R16及びR17の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、1,1,1−トリフロロエチル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基等が挙げられる。
【0097】
ポリアリルアミン又はポリビニルアミンの誘導体の構造は特に限定されず、得られた重合体は水溶性、若しくは水と混和性の有機溶媒に可溶である方が好ましいが、水分散性のラテックス粒子の形態でも使用することができる。
ポリアリルアミンの誘導体又はポリビニルアミンの誘導体は、それぞれ相当するモノマーの重合によっても得られるが、例えばポリアリルアミン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返し単位を有する重合体の高分子反応によっても得られる。尚、一般にアリル系のモノマーはその重合性が十分ではないこと、またビニルアミンの場合は相当するモノマーが無いのでその前駆体(例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど)を重合後に加水分解することなどから、ポリアリルアミンの誘導体又はポリビニルアミンの誘導体における製造適性及び合成上の自由度を考慮すると、むしろ後者の高分子反応を利用する方が好ましい。
【0098】
この高分子反応としてはポリアリルアミン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返し単位を有する重合体に対して、例えば、ハロゲン含有化合物、エポキシ含有化合物、酸無水物含有化合物、酸ハライド含有化合物、イソシアネート含有化合物、チオイソシアネート含有化合物、ハロギ酸エステル、アルデヒド含有化合物、及びCH2=C(R14)R15で示される化合物よりなる群から選ばれる化合物のいずれか1種以上とを反応させる方法がある。
【0099】
このような化合物の具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ヨードメタン、ブロモエタン、ブロモブタン、ブロモオクタン、クロロオクタン、ブロモドデカン、ベンジルブロミド、ベンジルクロリド、メトキシベンジルクロリド、クロロギ酸プロピル、クロロギ酸ブチル、クロロギ酸フェニルなどが挙げられる。但し、これらの化合物を反応させた場合にはアンモニウム塩が生じるので、これらの脱塩処理を行なう、或いは変性率をアミノ基の20mol%以下にする等の対策が望ましい。
【0100】
エポキシ含有化合物としては、例えばブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
酸無水物含有化合物としては、例えば無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0101】
酸ハライド含有化合物としては、例えば、酢酸ハライド、(メタ)アクリル酸ハライド、ソルビン酸ハライド、安息香酸ハライド、桂皮酸ハライド、吉草酸ハライド、オレイン酸ハライド等が挙げられる。但し、これらの化合物を反応させた場合にはアンモニウム塩が生じるので、これらの脱塩処理を行なう、或いは変性率をアミノ基の20mol%以下にするなどの対策が望ましい。
【0102】
イソシアネート含有化合物としては、例えばブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
チオイソシアネート含有化合物としては、例えばブチルチオイソシアネート、シクロヘキシルチオイソシアネート、フェニルチオイソシアネート等が挙げられる。
ハロギ酸エステル化合物としては、例えばクロロギ酸メチル、クロロギ酸プロピル、クロロギ酸ブチル、クロロギ酸フェニル等が挙げられる。但し、これらの化合物を反応させた場合にはアンモニウム塩が生じるので、これらの脱塩処理を行なう、或いは変性率をアミノ基の20mol%以下にするなどの対策が望ましい。
【0103】
アルデヒド含有化合物としては、例えばアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、桂皮アルデヒド等が挙げられる。
CH2=C(R14)R15で示される化合物としては、例えば、アクリレート類(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレートなど)、メタクリレート類(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド類(例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、i−プロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類(例えばメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、i−プロピルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミドなど)等が挙げられる。
【0104】
また、これら以外でもアミノ基と反応性を有する化合物であれば特に限定はされず、前述の化合物以外でもメチルエチルケトンなどのケトン類、ベンゼンスルホン酸クロライドなどのスルホン酸ハライド類であってもよい。
これらの高分子反応の原料として用いるポリアリルアミン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返し単位を有する重合体としては、例えば実質的にポリアリルアミン、ポリビニルアミン単位のみからなる重合体が挙げられる。これらはポリアリルアミン、ポリビニルアミンとして容易に入手が可能であるので、これらの化合物を出発原料として用いることが製造適性の面から好ましい。ポリアリルアミンは、アリルアミン又はこれらの塩の重合体の脱塩処理により得られる。また、ポリビニルアミンはビニルアミンの前駆体(例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど)をモノマーとして重合したのちに加水分解などにより得られる。
また、構造単位(1)〜(3)で表される繰り返し単位以外に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の共重合可能なモノマーとの共重合体としてもよい。
【0105】
これらの構造単位と共重合が可能なモノマー単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜18)など)、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル((メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど)、(メタ)アクリル酸アリールエステル((メタ)アクリル酸フェニルなど)、アラルキルエステル((メタ)アクリル酸ベンジルなど)、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、(メタ)アクリアミド類(例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチ(メタ)アクリルアミドなど)、芳香族ビニル類(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)などの非イオン性単量体が挙げられる。
【0106】
また、特にn=0で示される構造単位を有する重合体はビニルアミンの重合ではなく通常はN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどの重合体を加水分解させて得られることが多いので、これらのモノマー単位が残存していてもよい。
【0107】
また、塩基性の単位を有する単量体を用いることもできる。例えば、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(これらに示したジアルキル基としてはジメチル、ジエチル、ジブチル、メチルベンジル等が挙げられる)等を挙げることができる。
これらの共重合可能な成分は1種でも、又は2種以上組合せてもよい。
また、共重合体を用いる場合、その共重合体中のポリアリルアミン、ポリビニルアミン、構造単位(1)〜(3)で示される繰り返し単位の総含有率は、50mol%以上が好ましく、80mol%以上が更に好ましい。該総含有率が50mol%以上であることにより、インク(染料)の固着が十分となって、より十分な解像度、経時ニジミの防止効果、耐光性、耐オゾン性を得ることができる。
【0108】
この高分子反応は公知の方法を用いることが可能であるが、一般的にはポリアリルアミン、ポリビニルアミンの繰り返し単位を有する重合体と高分子反応させる試薬とを溶媒中で混合し、必要に応じて触媒等を併用して反応させる。反応に用いる溶媒は反応を大きく阻害することが無ければ特に限定はされないが、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等やこれらの混合溶媒系などが利用できる。中でも製造適性からは水、或いはこれと混和性の有機溶媒との混合溶媒系などが好ましい。但し、イソシアネートや酸ハライド類など水、アルコール類との反応性も有する化合物を用いる場合にはこれらに非活性な溶媒(例えばアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)を用いることが望ましい。
【0109】
本発明の有機媒染剤は、質量平均分子量として1000〜500000程度が好ましく、2000〜400000が更に好ましい。分子量が1000以上であることにより、十分な耐水性を得ることができ、500000未満であることにより、粘度の過剰な上昇を抑制して作業適性をより良好にすることができる。
【0110】
また、本発明の有機媒染剤のインクジェット記録用シートにおける好ましい総含有量としては、0.1〜5g/m2が好ましく、0.2〜3g/m2がより好ましい。該総含有量が0.1g/m2以上であることにより、経時ニジミをより十分に抑制し、且つより十分な耐オゾン性を得ることができ、また5g/m2未満であることにより、インク吸収性の低下をより十分に抑制することができる。
【0111】
また、上述した有機媒染剤の外に、本発明のインクジェット記録用シートとしての特性を損なわない範囲で、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の非ポリマー系の媒染剤を併用してもよい。
【0112】
また本発明のインクジェット記録シートの性能を損ねない範囲でその他の公知の媒染剤を併用してもよい。
公知の媒染剤の例としては以下のものが挙げられる。
有機媒染剤としては、前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号、特公平5‐35162号、同5−35163号、同5‐35164号、同5−88846号、特開平7−118333号、特開2000−344990号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。
無機媒染剤としては、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
【0113】
その中でも、具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が好適に挙げられる。
【0114】
上記媒染剤は、微粒子と水溶性樹脂を含む塗布液(第1の塗布液)に添加する方法、又は微粒子との間で凝集を生ずる懸念がある場合は、第2の塗布液に含有させ塗布する方法を利用できる。
【0115】
<酸性化合物>
本発明のインクジェット記録用シートは、特に経時での着色防止の観点から、その色材受容層が、(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と共に、更にハロゲン化水素酸化合物、硫酸化合物、硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、及びホウ酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化合物を含有する態様が好ましい。
上記酸の価数に制限はなく、多価の酸やポリマー酸でもよい。また、これらの酸性化合物の含有量は酸の種類により異なり、表面のpHが適切になるように添加量を調整して用いるのが好ましい。好ましい表面pHは3〜8、より好ましくは5〜7.5に調整する。これにより白地部の耐黄変性が向上するので好ましい。
表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定の内A法(塗布法)により測定を行う。例えば、前記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して該測定を行うことができる。
【0116】
また、これら酸性化合物は、塩の形態で存在していてもよい。この際のカチオンとしては、アルカリ金属イオンのような無機イオンでも、有機物イオンでもよいが、有機物イオンの方が好ましい。
上記塩を形成する有機物としては、アンモニウム塩などの低分子化合物の他、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン等の1〜3級アミノ基を有するポリマー等でもよい。
【0117】
上記ハロゲン化水素酸化合物としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸又はそれらの塩(例えば塩化アンモニウムなど)が挙げられる。
硫酸化合物としては、例えば、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
硝酸化合物としては、例えば、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。
リン酸化合物としては、例えば、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸マグネシウム、ポリリン酸等が挙げられる。
【0118】
上記スルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、又はそれらの塩が挙げられる。
上記カルボン酸化合物としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、又はそれらの塩が挙げられる。
上記硼酸化合物としては、例えば、硼酸、硼酸アンモニウム、硼酸ナトリウム等が挙げられる。
【0119】
前記酸性化合物は、(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上、及び(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上、を含有する塗布液(同じ液の場合も、異なる液の場合もある。)に別々に添加してもよいし、予め(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上、及び(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、酸性化合物とを混合させてから、塗布液に添加するなど塩の形態で用いてもよい。また、それぞれを別々の液で調液し、別々の塗布液として塗布してもよい。
【0120】
本発明においては、ニジミ防止の観点から、上述の酸性化合物が特に有機酸であることが好ましい。
有機酸とは酸性を示す有機化合物を表し、例えば、カルボン酸、スルホン酸等が挙げられる。具体的には、スルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はそれらの塩等が挙げられる。
【0121】
上記カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、(メタ)アクリル酸、安息香酸、桂皮酸又はそれらの塩が挙げられる。
また、酸性化合物のインクジェット記録用シートにおける好ましい総含有量としては、0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜2g/m2がより好ましい。該総含有量が0.05g/m2以上であることにより、経時での着色の発生を抑制することができ、5g/m2未満であることにより、経時ニジミを抑制し、インク吸収性の悪化を防止することができる。
【0122】
<水溶性樹脂>
本発明のインクジェット記録用シートでは、その色材受容層が、(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上、及び(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体から選ばれる有機媒染剤の少なくとも1種以上と共に、水溶性樹脂を含有するのが好ましい。
上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類からなる群より選択される少なくとも1種を含有するのが好ましい。
【0123】
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が好適に挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0124】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号の各公報等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落[0011]〜[0014]に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0125】
本発明において、上記水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0126】
<微粒子>
本発明のインクジェット記録用シートでは、その色材受容層が、(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上、及び(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と共に、前記水溶性樹脂及び微粒子を含有するのが更に好ましい。
前記微粒子としては、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0127】
色材受容層が微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該微粒子の色材受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、微粒子の色材受容層における固形分含有量とは、色材受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
【0128】
本発明の上記微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子を使用できるが、インク吸収性及び画像安定性の点から、無機微粒子を含有するのが好ましい。
【0129】
上記有機微粒子としては、例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
【0130】
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
【0131】
上記シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0132】
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0133】
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0134】
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては、30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0135】
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
【0136】
本発明において、無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0137】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/g(ml/g)が好ましく、0.5〜1.5cc/g(ml/g)がより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0138】
上述の微粒子をインクジェット記録用シートに用いる場合、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等の各公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0139】
本発明のインクジェット記録用シートにおいて、前記色材受容層を主として構成する、前述の水溶性樹脂と上記微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
尚、透明性を保持する観点からは、微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
【0140】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造の色材受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0141】
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0142】
−微粒子と水溶性樹脂との含有比−
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、色材受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0143】
本発明の色材受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0144】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5:1以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0145】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0146】
<架橋剤>
本発明のインクジェット記録用シートにおける色材受容層は、微粒子及び水溶性樹脂を含む塗布層が更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0147】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0148】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0149】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0150】
上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。すなわち、色材受容層が、微粒子、ポリビニルアルコールを含有する水溶性樹脂、及びホウ素化合物を含有する塗布液(以下、第1の塗布液ということがある)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(以下、第2の塗布液ということがある)を前記塗布層又は塗膜に付与することにより行われる。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0151】
<その他の成分>
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
【0152】
本発明においては、色材受容層が更に紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの公知の保存性向上剤を含有することも好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0153】
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
【0154】
具体的な化合物例は、特願2002−13005号明細書、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書、
【0155】
特公昭45−4699号、同54−5324号の各公報、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号の各明細書、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同63−88381号、同63−113536号、
【0156】
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号の各公報、米国特許第4814262号、同第4980275号等の各明細書に記載のものがあげられる。
【0157】
前記その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。この前記その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。本発明のインクジェット記録用シートでは、上記その他の成分の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
【0158】
また、無機微粒子の分散性を改善する目的で、無機表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0159】
本発明において、色材受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0160】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0161】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などがあげられる。
【0162】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物があげられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
【0163】
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0164】
本発明で界面活性剤の含有量としては、色材受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、色材受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0165】
本発明において、色材受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0166】
<支持体>
本発明の支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0167】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0168】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0169】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0170】
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0171】
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0172】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0173】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0174】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0175】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0176】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0177】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0178】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0179】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0180】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0181】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0182】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0183】
(インクジェット記録用シートの作製)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と水溶性樹脂を含む第一の塗布液(以後、「塗布液(A)」と言うこともある)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかに少なくとも媒染剤を含むpHが8以上の第二の塗布液(以後、「塗布液(B)」と言うこともある)を付与した後、該第二の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。
ここで、本発明の(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつI/O値が0.5以上及び/又は水溶性である化合物の少なくとも1種以上は、上記塗布液(A)及び塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。また、上記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤も、上記塗布液(A)及び塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。
この様にして架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
【0184】
上記の様にすると、媒染剤が色材受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェットの色材が十分に媒染され、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は上記塗布液(A)に含有させてもよく、その場合は、塗布液(A)と塗布液(B)の媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0185】
本発明において、少なくとも前記微粒子(例えば、気相法シリカ)と前記水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)とを含有する色材受容層用塗布液(塗布液(A))は、例えば、以下のようにして調製することができる。即ち、
気相法シリカ微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に本発明における(A)前記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ水溶性である化合物の少なくとも1種以上を、色材受容層用塗布液に含ませる場合には該化合物を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
【0186】
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0187】
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0188】
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前述の媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
【0189】
該色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0190】
色材受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液(B)が付与されるが、該塗布液(B)は、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に媒染剤を導入することで好適に製造される。
【0191】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0192】
上記の通り、第一の塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0193】
上記第一の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、▲1▼塗布液(B)を塗布層上に更に塗布する方法、▲2▼スプレー等の方法により噴霧する方法、▲3▼塗布液(B)中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0194】
前記方法▲1▼において、塗布液(B)を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0195】
該媒染剤溶液(塗布液(B))の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0196】
また、上記媒染剤溶液(塗布液(B))を、色材受容層塗布液(塗布液(A))を塗布すると同時に付与する場合、色材受容層塗布液(塗布液(A))及び媒染剤溶液(塗布液(B))を、該色材受容層塗布液(塗布液(A))が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0197】
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0198】
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受容層塗布液(塗布液(A))及び媒染剤溶液(塗布液(B))の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0199】
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
【0200】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
【0201】
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0202】
上記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0203】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0204】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0205】
本発明のインクジェット記録用シートの構成層(例えば、色材受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。
尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
【0206】
また、本発明のインクジェット記録用シートは、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
【0207】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表し、「平均分子量」及び「重合度」は、「質量平均分子量」及び「質量平均重合度」を表す。
【0208】
(実施例1)
<支持体の作製>
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
【0209】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/ccに調整された基紙を得た。
【0210】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0211】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
【0212】
<色材受容層用塗布液Aの調製>
下記組成中の▲1▼気相法シリカ微粒子と▲2▼イオン交換水と▲3▼「PAS−M−1」を混合し、高速回転式コロイドミル(エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、回転数10000rpmで20分間かけて分散させた後、下記▲4▼ポリビニルアルコールと▲5▼ホウ酸と▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテルと▲7▼イオン交換水を含む溶液を加え、更に回転数10000rpmで20分間かけて再度分散を行ない、色材受容層用塗布液Aを調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=▲1▼:▲4▼)は、4.5:1であり、色材受容層用塗布液AのpHは、3.5で酸性を示した。
【0213】
−色材受容層塗布液Aの組成−
▲1▼気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
((株)トクヤマ製の「レオシールQS30」、平均一次粒子径7nm)
▲2▼イオン交換水 51.7部
▲3▼「PAS−M−1」(60%水溶液) 0.83部
(分散剤、日東紡(株)製)
▲4▼ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)8%水溶液 27.8部
((株)クラレ製の「PVA124」、鹸化度98.5%、重合度2400)
▲5▼ホウ酸(架橋剤) 0.4部
▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 1.2部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
▲7▼イオン交換水 33.0部
【0214】
<インクジェット記録用シートの作製>
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記から得た色材受容層用塗布液Aを、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この期間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の媒染剤溶液Bに30秒間浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ(媒染剤溶液を付与する工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚32μmの色材受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用シート(1)を作製した。
【0215】
−媒染剤塗布液Bの組成−
▲1▼硼酸(架橋剤) 0.65部
▲2▼ポリアリルアミン「PAA−10C」10%水溶液 25部
(媒染剤、日東紡(株)製)
▲3▼例示化合物1−16(本発明の化合物) 2.5部
▲4▼イオン交換水 59.7部
▲5▼塩化アンモニウム(表面pH調製剤) 0.8部
▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 10部
(花王(株)製の「エマルゲン109P」、2%水溶液、HLB値13.6)
▲7▼メガファック「F1405」10%水溶液 2.0部
(大日本インキ化学工業(株)製のフッ素系界面活性剤)
【0216】
[実施例2]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、例示化合物1−18に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0217】
[実施例3]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、例示化合物1−22に変更する以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0219】
[実施例5]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、例示化合物1−88に変更する以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0220】
[実施例6]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、例示化合物1−100に変更する以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0221】
[実施例7]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおけるポリアリルアミン「PAA−10C」10%水溶液を、下記合成例1に示すポリアリルアミン誘導体1の10質量%水溶液に変更する以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0222】
−合成例1−
ポリアリルアミン(PAA―10C 10質量%水溶液)の10質量%水溶液114.0部にアクリロニトリル2.7部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を加え、室温で8時間加熱攪拌し、水を添加して濃度調整することでポリアリルアミン誘導体1(ポリアリルアミンのアミノ基の一部をシアノエチル化した化合物)の10質量%水溶液を得た。
【0223】
[実施例8]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおけるポリアリルアミン PAA−10C(10%)水溶液を、ポリビニルアミン(重量平均分子量70000)の10質量%水溶液に変更する以外は実施例2と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0224】
[実施例9]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける塩化アンモニウム0.8部を、アスコルビン酸0.8部に変更する以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0225】
[実施例10]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおいて、更にチオウレア2.5部を加えた他は、実施例1と同様な方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0226】
[実施例11]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、例示化合物1−4に変更する以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0227】
[比較例1]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、ハイドロキノンに変更した以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0228】
[比較例2]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、p−フェニレンジアミンに変更した以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作成した。結果を下記表1に示す。
【0229】
[比較例3]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおけるポリアリルアミン PAA−10C(10%)水溶液25部を、ポリ(N−(ビニルベンジル)トリエチルアンモニウムクロリド)の10%水溶液25部に変更する以外は実施例1と同様の方法で、インクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0230】
[比較例4]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおけるポリアリルアミン PAA−10C(10%)水溶液25部を、ジアリルアミン塩酸塩/二酸化イオウ共重合体(PAS−92 日東紡(株)製)の20%水溶液12.5部に変更し、イオン交換水47.8部を60.3部に変更する以外は実施例1と同様の方法で、インクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0231】
[比較例5]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を、ジラウリル3,3‘−チオジプロピオネート(低極性のチオエーテル)に変更した以外は実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0232】
[比較例6]
実施例1の媒染剤塗布液Bにおける例示化合物1−16を添加しない以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録シートを作製した。結果を下記表1に示す。
【0233】
(測定及び評価)
<インク吸収速度>
セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−770C」を用いて、上記で得られたインクジェット記録用シートに、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字し、その直後に(約10秒後)、該画像上に紙を押圧接触して、該紙へのインクの転写の有無を目視で観察して、下記の基準に従って評価した。紙上へのインクの転写が認められなければ、インクの吸収速度が良好なことを示す。
【0234】
〔評価基準〕
AA……紙上へのインクの転写は全く認められなかった。
BB……紙上へのインクの転写が一部認められた。
CC……紙上へのインクの転写がかなり認められた。
【0235】
<耐光性>
上記と同じプリンターを用いて、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字した後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルターを通し、温度25℃で相対湿度32%の環境条件下で、Xenon Weather−ometer 「Ci65A」(ATLAS社製)で3.8時間ランプを点灯し、その後、ランプを消した状態で、更に温度20℃で相対湿度91%の環境条件下に1時間放置するというサイクルを96時間行い、画像における各色濃度の褪色の程度を、目視により観察して下記基準に従って評価した。
【0236】
〔評価基準〕
◎……ほとんど褪色は認められなかった。
○……僅かに褪色が認められた。
△……かなりの褪色が認められた。
×……褪色の程度が著しかった。
【0237】
<オゾン褪色試験>
前記と同じプリンターを用いて、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字し、更に人物及び風景の画像を印画し、濃度3ppmのオゾン雰囲気下で8時間放置した後、各画像における各色の彩色及び濃度の褪色の程度を、目視により観察して下記基準に従って評価した。
【0238】
〔評価基準〕
◎……ほとんど褪色は認められなかった。
○……僅かに褪色が認められた。
△……かなりの褪色が認められた。
×……褪色の程度が著しかった。
【0239】
<経時ニジミ>
前記と同じプリンターを用いて、インクジェット記録用シート上にマゼンタインクと黒インクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画した。印画後3時間放置した後、温度40℃で相対湿度90%の恒温恒湿槽に3日間保管した後、光学顕微鏡によって黒色部分の線幅を観測し、下記の基準に従って評価した。
【0240】
〔評価基準〕
AA……経時ニジミの発生はほとんど認められず、良好であった。
(線幅:0.28〜0.30mm)
BB……経時ニジミが若干認められたが、実用上問題ないレベルであった。
(線幅:0.31〜0.35mm)
CC……経時ニジミが顕著に認められ、実用上問題となるレベルであった。
(線幅:0.35mm以上)
【0241】
<着色>
印画前のインクジェット記録用シートを、色材受容層の白色度を目視で観察して、下記の基準に従って評価した。
○……色材受容層の着色は認められなかった。
△……僅かに色材受容層の着色が認められた。
×……色材受容層の着色が著しかった。
【0242】
<保管後の着色>
印画後のインクジェット記録用シートをファイルに入れ、3日間サーモ処理を行った後、常温常湿下(23℃、RH65%)に3日間放置した。上記処理を行った紙面の白色度を目視で観察し、下記の基準に従って評価した。
○……色材受容層の着色は認められなかった。
△……僅かに色材受容層の着色が認められた。
×……色材受容層の着色が著しかった。
以上の評価結果を、下記表1に示す。
【0243】
【表1】
Figure 0003957162
【0244】
前記表1の結果から、本発明による化合物を使用した場合、良好なインク吸収性を示し、形成された画像も高い耐光性、耐オゾン性を示した。一方、比較例1及び比較例2の化合物では耐オゾン性は良好なものの、紙面が着色し、実用可能な受像紙を得ることができなかった。また比較例3及び比較例4における有機媒染剤との組み合わせでは、耐光性、耐オゾン性の向上効果や経時ニジミが実施例に比べて劣っていることが確認された。
【0245】
【発明の効果】
本発明によると、ひび割れ等の発生がなく強固で、記録面の表面平滑性及び光沢性を有し、インク吸収性が高く、経時でのニジミがなく、高解像度で高濃度の画像形成が可能であり、かつ耐光性、耐水性、耐オゾン性等の画像耐性に優れ、紙面の着色等の発生がないインクジェット記録シートを提供することができる。

Claims (11)

  1. 支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層が、(A)下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ有機概念図における有機性/無機性比(I/O値)が0.5以上である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
    Figure 0003957162
    〔一般式(1)、(2)、および(4)中、 、R は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、R 、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表し、 とR、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。〕
  2. 支持体上に色材受容層を有してなるインクジェット記録用シートであって、前記色材受容層が、(A)下記一般式(1)、(2)、および(4)で表される化合物からなる群より選択され、かつ水溶性である化合物の少なくとも1種以上と、(B)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される有機媒染剤の少なくとも1種以上と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
    Figure 0003957162
    〔一般式(1)、(2)、および(4)中、 、R は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、R 、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表し、 とR、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。〕
  3. 前記R及びRの少なくとも1つ、前記R及びRの少なくとも1つ、又は前記R及びRの少なくとも1つが置換基を有し、該置換基が水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、アミノ基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用シート。
  4. 前記色材受容層が、さらに下記一般式(5)、(6)及び(7)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種、又は脂肪族系炭素−炭素二重結合性基を有する化合物の少なくとも1種を含有する請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
    Figure 0003957162
    〔一般式(5)、(6)中、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R10とR11、R12とR13、R10又はR11とR12又はR13は、互いに連結して環を形成してもよい。一般式(7)中のR14、R15は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、R16は、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、置換若しくは無置換アリール基、金属、又は4級アンモニウムを表し、R14とR15、R14又はR15とR16は、互いに連結して環を形成してもよい。〕
  5. 前記色材受容層が、さらにハロゲン化水素酸化合物、硫酸化合物、硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、及び硼酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化合物を含有する請求項1からのいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  6. 前記色材受容層が、さらに水溶性樹脂を含有する請求項1からのいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  7. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項に記載のインクジェット記録用シート。
  8. 前記色材受容層が、さらに微粒子を含有する請求項1からのいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  9. 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項に記載のインクジェット記録用シート。
  10. 前記色材受容層が、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有する請求項からのいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  11. 前記色材受容層が、少なくとも微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有する塗布液を塗布してなる塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層又は塗膜に付与することにより行われる請求項10に記載のインクジェット記録用シート。
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