JP4272926B2 - インクジェット記録用媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり溶融液化させて印画に供する固体状インク等を用いたインクジェット記録用に供給される被記録媒体に関し、特に、記録画像の経時ニジミと耐光性及び耐オゾン性を向上させたインクジェット記録用媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報技術(IT)産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、それぞれの情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も開発され、実用化されている。この様な記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(機器)が比較的安価であること、コンパクトであること、及び低騒音に優れること等の利点から、オフィスは勿論、所謂ホームユースにおいても広汎に用いられて来ている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になり、更なるハード(機器)面の発展に伴って、インクジェット記録用の記録媒体も各種の改良が為されて来た。
インクジェット記録用の記録媒体に要求される特性としては、一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が速いこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性や耐水性が良好なこと、(8)記録媒体の白色度が高いこと、(9)記録媒体の保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形し難く、寸法安定性が良好であること(カールが充分小さいこと)、(11)ハードの走行性が良好であること、等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的に用いられるフォト光沢紙の用途では、上記特性に加えて、更に光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記の諸特性を向上する目的で、近年ではインク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用媒体が開発され実用化されている。この様なインクジェット記録用媒体は多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢度も有する。
【0005】
例えば、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有するインク受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用媒体が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの記録用媒体、特に無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなるインク受容層を設けたインクジェット記録用媒体は、その構造によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことが可能とされている。
【0006】
また、インクジェット用記録媒体にはインクの染料成分を固定化する目的で3級アミノ基や4級アンモニウム塩を有する化合物、特にこれらを有する高分子化合物を添加することが広く行われている。例えば、ジアリルアンモニウム塩誘導体の(共)重合体(例えば、特許文献3、4、及び5参照)、アリルアミン塩共重合体(例えば、特許文献6及び7参照)、アンモニウム塩を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ビニルベンジルアンモニウム塩(共)重合体などのビニル(共)重合体(例えば、特許文献8〜14参照)、変性ポリビニルアルコール(例えば、特許文献15参照)、アミン・エピクロルヒドリン重付加体(例えば、特許文献16及び17参照)、ポリアミジン(例えば、特許文献18及び19参照)等の多数の化合物が用いられている。これらの化合物を用いて染料の固定化を図ることで経時ニジミの防止が為されている。
【0007】
しかしながら、これらの化合物は何れも基本的に水溶性高分子であり、水溶性染料を完全には固定化することはできず、特に高温高湿下での経時ニジミの改善は未だ不十分である。また、印画後に直ちにクリヤーファイル等に保管すると、インクの水分やインクに少量含有される高沸点溶剤(グリセリンやジエチレングリコール誘導体等)が残存したままの状態にある為、やはり経時でのニジミが発生してしまう。
【0008】
一方、同様な3級アミノ基や4級アンモニウム塩を有するが水不溶性である塩基ラテックスを含有するものも知られている(例えば、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23参照)。そして、これらの疎水性のラテックスを用いることで耐水性の向上が図られている。
【0009】
しかしながら、十分な耐水性を付与するためには、これらの化合物を大量に添加する必要があり、その結果として画像耐光性の劣化や顔料との混和性の低下などの問題を引き起こす。また、これらの多くは3級アミノ基や4級アンモニウム塩の様な疎水性のモノマー単位をラテックス化するために架橋性モノマー(即ち、分子内に2個以上の重合性官能基を有するモノマー)を用いている。この為に水溶性インクがこの顔料粒子内に浸透し難く、インクの受容性は十分とは言えない。また、粒子状の化合物を添加するために多孔質膜からなる受容層に用いた場合、多孔質膜の空隙を塞ぎ、インクの吸収性を阻害してしまう。
【0010】
更に、上記の様な手段を用いても、印画された画像を印画直後にクリヤーファイル等の中に保管したり、また、特に高湿度条件下で長期間に亙って保存したりした場合には、画像の経時ニジミが発生するといった問題点もある。
【0011】
また、ラテックスではなく、水不溶性だが溶剤可溶性である疎水性のビニルベンジルアンモニウム塩系カチオンポリマーを用いる例が開示されている(例えば、特許文献24参照)。しかし、これを用いた場合であっても、経時ニジミの改善効果は高いものの、画像の耐光性の低下を引き起こすという問題があった。
【0012】
上述の問題に対しては、例えば、(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド系のカチオン部分と、ビニルベンジルアンモニウム塩系のカチオン部分との両者を有するカチオンポリマーを用いることで経時ニジミの防止と耐光性の低下抑制の両立が図られているが、これらの場合であっても経時ニジミの改善効果は未だ不十分であった(例えば、特許文献25参照)。
【0013】
また、ビニルベンジルアンモニウム塩系の水溶性ポリマー(カチオン部分の含有率が40モル%以上)の(共)重合体を用いることで経時ニジミの改善が可能であると記載されている(例えば、特許文献26参照)。しかしながら、この重合体では経時ニジミは改善されるものの、インク吸収性の減少や印画濃度の低下を引き起こす。また、微粒子としてシリカを用いた場合にはその分散性を悪化させる場合もある。
【0014】
また、特に画像保存性に優れるインクジェット記録用紙として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物を含有させた多孔質構造を有するインク受理体(例えば、特許文献27及び28参照)、及び平均分子量が10万以下のカチオンポリマーを含有させた多孔質構造を有するインク受理体(例えば、特許文献29参照)が開示されている。しかしながら、この種の化合物を含むインク受容層は、耐オゾン性は改善されるものの経時ニジミの抑制効果は不十分である。
更に、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の2価以上の水溶性金属塩を含有させた多孔質インク受容層を設けたインクジェット記録シート(例えば、特許文献30参照)や、チタン又はジルコニウムの様な4A族元素を含む水溶性化合物を含有する多孔質インク受容層を設けたインクジェット記録シート(例えば、特許文献31参照)が開示されているが、記録画像の耐水性や耐湿性等の経時ニジミは改善されるものの耐光性の改善効果は不十分である。
【0015】
以上、良好なインク吸収性を有し高解像度で高濃度な画像を形成でき、且つ記録画像の耐光性(特に、耐オゾン性)に優れ、高温高湿環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが発生することがないインクジェット記録用媒体は、未だ提供されていないのが現状である。
【0016】
【特許文献1】
特開平10−119423号
【特許文献2】
特開平10−217601号公報
【特許文献3】
特開昭60−83882号公報
【特許文献4】
特開昭64−75281号公報
【特許文献5】
特開昭59−20696号公報
【特許文献6】
特開昭61−61887号公報
【特許文献7】
特開昭61−72581号公報
【特許文献8】
特開平6−340163号公報
【特許文献9】
特開平4−288283号公報
【特許文献10】
特開平7−242055号公報
【特許文献11】
特開平9−300810号公報
【特許文献12】
特開平8−318672号公報
【特許文献13】
特開平10−272830号公報
【特許文献14】
特開昭63−115780号公報
【特許文献15】
特開平10−44588号公報
【特許文献16】
特開平6−234268号公報
【特許文献17】
特開平11−277888号公報
【特許文献18】
特開平11−58934号公報
【特許文献19】
特開平11−28860号公報
【特許文献20】
特開昭57−36692号公報
【特許文献21】
特開平11−180034号公報
【特許文献22】
特開平11−20302号公報
【特許文献23】
特開平8−244336号公報
【特許文献24】
特開2000−239014号公報
【特許文献25】
特開平11−348409号公報
【特許文献26】
国際公開第99/64248号パンフレット
【特許文献27】
特開昭60−257286号公報
【特許文献28】
特開昭61−16884号公報
【特許文献29】
特開2001−19421号公報
【特許文献30】
特開平11−321090号公報
【特許文献31】
特開2000−309157号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、良好なインク吸収性を有し、高解像度で高濃度な画像を形成でき、画像部の保存性(耐光性、耐オゾン性等)に優れ、且つ高温高湿の環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが発生することがない、優れたインクジェット記録用媒体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。
<1>
支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用媒体において、該インク受容層が、少なくとも陽イオン性基と陰イオン性基の両方を有する両性重合体と多価金属塩を含有し、上記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が両性重合体の側鎖に含まれ、且つ、上記両性重合体が下記一般式(III−1)又は一般式(III−2)のモノマーから誘導される両性単位を含む重合体であることを特徴とするインクジェット記録用媒体。
【化1】
〔上式(III−1)及び式(III−2)において、R 11 とR 21 は重合性基を表し、L 1 〜L 4 は2価の基を表し、R 12 とR 13 及びR 22 〜R 24 は脂肪族基又は芳香族基を表し、R 14 は陰イオン性基を表し、−L 1 −N + 12 13 部で複素環を形成してもよい。〕
> 前記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が、同一繰り返し単位内に含まれることを特徴とする上記<1>に記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記両性重合体が、少なくとも水溶性、油溶性、自己乳化性、及び乳化分散性のいずれかであることを特徴とする上記<1>又は>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記両性重合体の重量平均分子量が、700〜100万であることを特徴とする上記<1>〜<>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記多価金属塩が、アルミニウム塩、チタン塩及びジルコニウム塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする上記<1>〜<>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記両性重合体の含有量が、0.01g/m2〜20g/m2であることを特徴とする上記<1>〜<>のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
> 前記インク受容層が、更に水溶性樹脂を含有することを特徴とする上記<1>〜<>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記<>に記載のインクジェット記録用媒体。
> 前記インク受容層が、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有することを特徴とする上記<>又は<>に記載のインクジェット記録用媒体。
10> 前記インク受容層が、更に微粒子を含有することを特徴とする上記<1>〜<>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
11> 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、および擬ベーマイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記<10>に記載のインクジェット記録用媒体。
12> 前記インク受容層が、更に媒染剤を含有することを特徴とする上記<1>〜<11>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
13> 前記インク受容層のpHが、3〜7であることを特徴とする上記<1>〜<12>のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用媒体は、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用媒体であって、該インク受容層が、少なくとも陽イオン性基と陰イオン性基の両方を有する両性重合体と多価金属塩を含有し、上記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が両性重合体の側鎖に含まれ、且つ、上記両性重合体が前記一般式(III−1)又は一般式(III−2)のモノマーから誘導される両性単位を含む重合体であることを特徴とする。
【化2】
〔上式(III−1)及び式(III−2)において、R 11 とR 21 は重合性基を表し、L 1 〜L 4 は2価の基を表し、R 12 とR 13 及びR 22 〜R 24 は脂肪族基又は芳香族基を表し、R 14 は陰イオン性基を表し、−L 1 −N + 12 13 部で複素環を形成してもよい。〕
ここで、本出願の明細書においては、上記「両性重合体」という用語は、陽イオン性の基と陰イオン性の基の両方を有する、もしくは陽イオン性の基と陰イオン性の基の夫々にイオン化し得る基を有する重合体を指すものとする。
本発明のインクジェット記録用媒体は、インク受容層に上記の様な両性重合体と多価金属塩を含有してなることにより、特に、記録画像の経時ニジミと耐光性及び耐オゾン性を向上させることができる。
以下、本発明のインクジェット記録用媒体の主要な構成を詳細に説明する。
【0022】
本発明のインク受容層に含まれる両性重合体としては、上記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が、両方とも両性重合体の側鎖に含まれるが、特に、上記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が、両性重合体の同一繰り返し構造単位内に含まれるものが好ましい。
【0035】
尚、本発明においては、上記カチオン系単位とアニオン系単位からなる両性重合体を単独で用いてもよいが、該両性重合体を主成分とし所望により、従来公知の非イオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物から選ばれる成分を副成分として併用することもできる。該副成分と併用して用いるときの混合比は、目的によって変えることができるが、本発明の両性重合体の割合が1質量%以上であるのが望ましい。
【0045】
般式(III−1)又は一般式(III−2)のモノマーから誘導される両性単位を含む重合体について説明する
【化4】
〔上式(III−1)及び式(III−2)において、R11とR21は重合性基、例えばアクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、スチリル基、α−メチルスチリル基、アルコキシ基含有シリル基を表す。L1〜L4は2価の基、例えばアルキレン基を表し、該アルキレン基は置換基を有していてもよく、直鎖でも分岐状でもよく、炭素原子数が1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキレン基がより好ましい。R12とR13及びR22〜R24は、置換基を有していてもよい脂肪族基、芳香族基を表す。R14は陰イオン性基、例えば−CO2 -、−SO3 -、−PO2 -、−PO3 2-を表し、−CO2 -、−SO3 -が好ましい。該R14が−CO2H、−SO3H等の酸の形になった場合は、分子内の4級アンモニウム塩に別の対アニオン(例えば、Cl-、Br-、OSO3-など)が付いてもよい。また−L1−N+1213部で複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環など)を形成してもよい。〕
【0046】
上記のL1〜L4で表されるアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル基、オクチルスルホニルアミノカルボニル基)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、トルエンスルホニルアミノカルボニル基)、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基、アセチルアミノスルホニル基、ピバロイルアミノスルホニル基)、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアリールチオ基、アルキルチオ基(例えば、フェニルチオ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ドデシルチオ基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、ステアリルオキシカルボニルオキシ基、フェノキシエトキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、クロロフェノキシカルボニルオキシ基);
【0047】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、トルフルオロメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、ナフタレンスルホニル基、ピリジンスルホニル基、キノリンスルホニル基)、炭素数30以下のアリール基(例えばフェニル基、ジクロロフェニル基、トルイル基、メトキシフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、t−オクチルフェニル基、ナフチル基)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ホスホノ基(例えば、ホスホノ基、ジエチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基)、複素環式基(例えばピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフルフリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イソキノリル基、チアジアゾリル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、インドリル基、イソインドリル基、チオモルホリノ基)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、ジメチルウレイド基、フェニルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジプロピルスルファモイルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、シリル基(例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
【0048】
前記のR12とR13及びR22〜R24が脂肪族基を表す場合、該脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基等が挙げられ、これらの基は更に置換基を有していてもよい。この中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基が好ましく、特にアルキル基と置換アルキル基が好ましい。また、該脂肪族基は、鎖状脂肪族基でも環状脂肪族基でもよく、鎖状脂肪族基は更に分岐を有していてもよい。
【0049】
上記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
該アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
置換アルキル基の置換基の具体例は、前記置換アルキレン基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0050】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
上記アルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル等が挙げられる。
置換アルケニル基の置換基の具体例は、前記置換アルキレン基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0051】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
上記アルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
置換アルキニル基の置換基の具体例は、前記置換アルキレン基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0052】
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
上記アラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、オクチルベンジル基、ドデシルベンジル基、ヘキサデシルベンジル基、ジメチルベンジル基、オクチルオキシベンジル基、オクタデシルアミノカルボニルベンジル基、クロロベンジル基等が挙げられる。
置換アラルキル基の置換基の具体例は、前記置換アルキレン基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0053】
前記のR12とR13及びR22〜R24が芳香族基を表す場合、該芳香族基としては、アリール基、置換アリール基が挙げられる。該アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。置換芳香族基の置換基は、前記置換アルキレン基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0054】
以下に、本発明の一般式(III−1)及び一般式(III−2)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらのモノマーに限定されるものではない。
【化5】
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】
また、この様なベタインモノマーは、該ベタインモノマーと共重合可能な重合性基を有するモノマーと共重合体を形成してもよい。この際、該ベタインモノマーは重合性成分中の0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上を占めるのが望ましい。
上記の共重合可能な重合性基を有するモノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、そのアルカリ金属塩、そのアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、その3級塩、その4級塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、その3級塩、その4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、その3級塩、その4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピル、その3級塩、その4級塩、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、その3級塩、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノプロピル、その3級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、その3級塩、その4級塩、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、その3級塩、その4級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、その3級塩、その4級塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、その3級塩、その4級塩、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、スチレン、イタコン酸、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、シロキサン化合物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0062】
上述した本発明の両性重合体において、経時ニジミと耐光性及び耐オゾン性の改善効果の観点より、陽イオン性基と陰イオン性基のモル比率としては、100/1〜1/100の範囲にあることが好ましい。上記のモル比率は、更に改善効果を上げるために、100/5〜5/100が好ましく、特に100/10〜10/100が最も好ましい。
【0063】
また、本発明に用いる両性重合体の重量平均分子量は、700〜100万であることが好ましく、該重量平均分子量としては1000〜50万がより好ましく、特に1500〜30万が最も好ましい。上記重量平均分子量が700万未満であると、経時ニジミの抑制効果が十分でないことがあり、また該重量平均分子量が100万を越えるものは、粘度が高過ぎて製造適性に欠けることがある。
【0064】
尚、本発明の両性重合体は、水溶性でも油溶性でもよく、また自己乳化性或いは乳化分散性のいずれであってもよい。水溶性の両性重合体は水溶液の形態でそのまま配合して使用できる。油溶性或いは自己乳化性や乳化分散性の両性重合体は、水混和性の有機溶媒に溶解させて用いるか、もしくは水相中に乳化分散させた形態で使用するのが好ましい。該水混和性の有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等を挙げることができる。
【0065】
尚、本発明のインク受容層に含まれる両性重合体の含有量は、経時ニジミと耐光性及び耐オゾン性を更に向上させる為に、0.01g/m2〜20g/m2であることが好ましい。該含有量は0.1g/m2〜15g/m2がより好ましく、特に0.3g/m2〜10g/m2が最も好ましい。上記含有量が0.01g/m2未満であると、改善効果が不十分であることがあり、一方、該含有量が20g/m2を越えると、製造適性に欠け記録用媒体の光沢性が低下することがある。
【0066】
(多価金属塩)
上述の両性重合体と併用して用いる本発明の多価金属塩につき説明する。
本発明のインク受容層に含有する上記多価金属塩としては、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、錫イオン、マグネシウムイオン、ジルコニウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、シュウ酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0067】
上記多価金属塩の具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
【0068】
上記の中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物;四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物;及び、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム含有化合物が好ましく、特に塩基性ジルコニウム及び/又は塩基性アルミニウム塩が好ましい。
【0069】
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層においては、上記多価金属塩の含有量は、画像ニジミと耐光性を更に向上させる為に、0.01g/m2〜20g/m2であることが好ましく、該含有量は0.1g/m2〜10g/m2がより好ましく、特に0.5g/m2〜5g/m2が最も好ましい。上記含有量が0.01g/m2未満であると、改善効果が不十分であることがあり、一方、該含有量が20g/m2を越えると、製造適性に欠け及び記録用媒体の光沢が低下することがある。
【0070】
(水溶性樹脂)
本発明のインクジェット記録用媒体では、そのインク受容層が、上述の両性重合体及び多価金属塩と共に水溶性樹脂を含有する形態が好ましい。
【0071】
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0072】
上記の中でも、本発明に用いる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が好ましい。
該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号、特開昭58−181687号、特開平10−259213号、特開2001−72711号、特開2002−103805号、特開2000−63427号、特開2002−308928号、特開2001−205919号、特開2002−264489号等に記載されたもの等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の[0011]〜[0012]に記載の化合物、特開2001−205919号、特開2002−264489号に記載の化合物等も挙げられる。
【0073】
これら水溶性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。また本発明のインクジェット記録用媒体において、上記水溶性樹脂の含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0074】
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、上記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該その他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0075】
(微粒子)
本発明のインクジェット記録用媒体では、そのインク受容層が、上述の両性重合体及び多価金属塩と共に、微粒子を含有する形態が好ましく、特に該微粒子と上記水溶性樹脂とを併用することがより好ましい。
この様にインク受容層が微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用媒体が得られるので好ましい。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
本発明の上記微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子を使用できるが、インク吸収性及び画像安定性の点から、無機微粒子を含有するのが好ましい。
【0076】
上記有機微粒子としては例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
【0077】
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が30nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
【0078】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0079】
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0080】
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0081】
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0082】
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
【0083】
本発明の無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0084】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0085】
上述の微粒子をインクジェット記録用媒体に用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0086】
本発明のインク受容層を主として構成する、前述の水溶性樹脂と上記微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
尚、透明性を保持する観点からは、微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
【0087】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造のインク受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0088】
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0089】
(微粒子と水溶性樹脂との含有比)
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x:y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0090】
本発明のインク受容層は、上記質量含有比〔PB比(x:y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0091】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x:y)としては5:1以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0092】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x:y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0093】
(架橋剤)
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、前記の水溶性樹脂を含む塗布層に、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含む形態が好ましく、特に前記微粒子と前記水溶性樹脂とを併用し、更に架橋剤と該水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である形態がより好ましい。
【0094】
前記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好適に使用される。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0095】
水溶性樹脂の架橋剤として、上記のホウ素化合物以外の化合物を使用することもできる。例えば、
ホルムアルデヒド、グリオキザール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、植物ガムのジアルデヒド誘導体等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、1,2−シクロペンタンジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル)尿素、ビス(2−クロロエチル)スルホン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、ジビニルケトン、1,3−ビス(アクリロイル)尿素、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;トリメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、メラミン、ベンゾグアナミン、メラミン樹脂等のメラミン化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;
【0096】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシナネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号等に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号等に記載のカルボジイミド系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物;テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等:米国特許明細書第2725294号、米国特許明細書第2725295号、米国特許明細書第2726162号、米国特許明細書第3834902号等に記載の多価酸の無水物、酸クロリド、ビススルホナート化合物;米国特許明細書第3542558号、米国特許明細書第3251972号等に記載の活性エステル化合物等が挙げられる。
上記の架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0097】
架橋硬化は、微粒子や水溶性樹脂等を含有する塗布液(以下、「塗布液A」ということがある。)及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、且つ、(1)上記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)上記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液(以下、「塗布液B」ということがある。)を上記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。上記塩基性溶液は、更にpHが7.5以上が好ましく、特に8以上が好ましい。
上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると、下記の様に行われることが好ましい。即ち、インク受容層が、微粒子やポリビニルアルコールを含む水溶性樹脂を含有する塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)上記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)上記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、の何れかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液(塗布液B)を上記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、上記塗布液A、又は塗布液Bのいずれかに含有すればよく、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいてもよい。
上記架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0098】
(媒染剤)
本発明のインクジェット記録用媒体においては、形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの改善を図るために、そのインク受容層に媒染剤を含有する形態が好ましい。
上記媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。この様な有機媒染剤及び無機媒染剤は夫々単独で使用してもよく、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
【0099】
上記媒染剤の使用手順としては、微粒子と水溶性樹脂を含む前記塗布液Aに添加する方法、又は微粒子との間で凝集を生ずる懸念がある場合には、前記塗布液Bに添加して塗布する方法のどちらも利用できる。
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。これら媒染剤は、インク受容層のインク吸収性を良化させる観点より、質量平均分子量が500〜100000の化合物が好ましい。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」ということもある。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0100】
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0101】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0102】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0103】
具体的化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0104】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0105】
また、アリルアミン、ジアリルアミンやその誘導体及び塩なども利用できる。この様な化合物の例としては、例えば、アリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びその塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びその塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等の単量体(モノマー)を用いて重合し、重合後に加水分解によってビニルアミン構造単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0106】
上記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性或いはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、或いは相互作用が実質的に小さいモノマーを指す。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0107】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等が好ましい。
上記非媒染モノマーも、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
【0108】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマー(媒染モノマー、非媒染モノマー)との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとSO2との共重合体、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリジアリル塩酸塩等に代表される環状アミン樹脂およびその誘導体(共重合体も含む);ポリジエチルメタクリロイルオキシエチルアミン、ポリトリメチルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルベンジルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルヒドロキシエチルアクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド等に代表される2級アミノ、3級アミノまたは4級アンモニウム塩置換アルキル(メタ)アクリレート重合体及び他のモノマーとの共重合体;ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリビニルアミン及びその誘導体等に代表されるポリアミン系樹脂;ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等に代表されるポリアミド樹脂;カチオン化でんぷん、キトサンおよびキトサン誘導体等に代表される多糖類;ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物等に代表されるジシアンジアミド誘導体;ポリアミジンおよびポリアミジン誘導体;ジメチルアミンエピクロロヒドリン付加重合物等に代表されるジアルキルアミンエピクロロヒドリン付加重合物およびその誘導体;第4級アンモニウム塩置換アルキル基を有するスチレン重合体およびその他のモノマーとの共重合体等も好適に挙げることができる。
【0109】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−157277号、同10−217601号、特開2001−138621号、同2000−211235号、同2001−138627号、特開平8−174992号、特公平5‐35162号、同5−35163号、同5‐35164号、同5−88846号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。
【0110】
本発明の媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物等が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
【0111】
具体的化合物としては、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
【0112】
上記の中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物;四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物;及び、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム含有化合物が好ましく、特に塩基性ジルコニウム及び/又は塩基性アルミニウム塩が好ましい。
【0113】
本発明に用いる無機媒染剤としては、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
また、本発明でインク受容層に含まれる上記媒染剤の含有量は、0.01g/m2〜20g/m2が好ましく、0.1g/m2〜15g/m2がより好ましく、特に0.5g/m2〜10g/m2が好ましい。
【0114】
(その他の成分)
本発明のインクジェット記録用媒体は、必要に応じて、更に各種の公知添加剤、例えば酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、にじみ防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
【0115】
本発明において、インク受容層に上記酸を添加して、インク受容層の表面pHを3〜7、好ましくは4〜6に調整することで、白地部の耐黄変性を向上させることができる。上記の表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定の内、A法(塗布法)により測定を行う。例えば、上記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して該測定を行うことができる。
【0116】
この様な酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ほう酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、インク受容層の表面pHが3〜7になるように決めればよい。
【0117】
上記の酸としては、金属塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
既述の本発明に係わる多価金属塩は、上記の様な酸として作用して、インク受容層の表面pHを3〜7に調製する為に用いることもできる。
【0118】
本発明においては、インク受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオエーテル結合を有する脂肪族、芳香族及び/又は複素環式化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0119】
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、チオエーテル結合を有する脂肪族、芳香族及び/又は複素環式化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
【0120】
具体的な化合物例としては、特開2002―36717号、特開平2002―86904号、特願2002−13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号;
【0121】
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号;
【0122】
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号等の各公報に記載のものが挙げられる。
【0123】
前記その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。該その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。本発明のインクジェット記録用媒体では、該その他の成分の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
【0124】
また、無機微粒子の分散性を改善する目的で、無機表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基、チオエーテル基等)を有するものが好ましい。
【0125】
本発明において、インク受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0126】
上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同63−236546号、特開平5−303205号、同8−262742号、同10−282619号、特許第2514194号、特許2759795号、特開2000−351269号の各公報等に記載されているものを好適に使用できる。上記両性界面活性剤のなかでも、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型が好ましい。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0127】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム )、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0128】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物があげられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
【0129】
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0130】
本発明で界面活性剤の含有量としては、インク受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0131】
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0132】
(支持体)
本発明に用いる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用いレーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
【0133】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る耐熱性を有するものが好ましい。この様な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0134】
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に準拠して求められる値である。その様な支持体としては具体的には、下記の支持体が挙げられる。
【0135】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム、或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好ましい。
【0136】
上記不透明支持体の厚みについては特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等の表面処理を施したものを使用するのが好ましい。
【0137】
次に、上記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
該原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの含有率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
【0138】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも好適である。また原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜に添加することができる。
【0139】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%であるものが好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
【0140】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理を施して高平滑性を付与することもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118準拠)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0141】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中に添加できるものと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定される値で、5〜9であることが好ましい。
【0142】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度ポリエチレン(HDPE)であるが、更に低密度のL−LDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0143】
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙等で頻繁に実施されている様に、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタン及び蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度や白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としてはポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はされないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与する為に、下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステルやゼラチン、PVAが好ましい。また該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0144】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、溶融ポリエチレンを原紙の表面上に押し出してコーティングする工程で、所謂、型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0145】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水溶性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される上記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0146】
バックコート層に用いられる上記水溶性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤や抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0147】
(インクジェット記録用媒体の作製)
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と水溶性樹脂を含む第1の塗布液(「塗布液(A)」と言うこともある。)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前、の何れかの時に、少なくとも塩基性化合物を含むpHが7.1以上の第2の塗布液(「塗布液(B)」と言うこともある。)を付与した後、該第2の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
ここで、本発明に係わる両性重合体と多価金属塩は、それぞれ独立に、上記第1の塗布液(塗布液(A))或いは第2の塗布液(塗布液(B))の少なくとも一方に含有される。
【0148】
上記の様にすると、媒染剤がインク受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェットの色材が効果的に十分に媒染され、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤は上記塗布液(A)又は塗布液(B)に含有させてもよく、その場合は、塗布液(A)と塗布液(B)の媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0149】
本発明において、少なくとも微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)とを含有するインク受容層用塗布液(塗布液(A))は、例えば、以下の様にして調製することができる。即ち、
気相法シリカ微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で、例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなる様に)を加え、更に本発明の両性重合体と多価金属塩をインク受容層用塗布液に含ませる場合には該化合物を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記の塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質構造のインク受容層を形成することができる。
【0150】
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液を予め調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記の様に分散剤水溶液に添加してもよい。
気相法シリカは分散剤を用いた水分散物として用いると、インクジェット記録用媒体の光沢性が更に良好になるので好ましい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機や媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等の従来より公知の各種分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行い得るという観点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0151】
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0152】
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前述の媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%がより好ましい。
【0153】
本発明のインク受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0154】
インク受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液(B)が付与されるが、該塗布液(B)は、塗布後の塗布層(A)が減率乾燥速度を示す様になる前に付与してもよい。即ち、インク受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に、媒染剤を導入することで好適に製造される。
【0155】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示す様になる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、「化学工学便覧」(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0156】
上記の通り、第1の塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示す様になるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に温度50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適切である。
【0157】
上記第1の塗布層が減率乾燥速度を示す様になる前に付与する方法としては、(1)塗布液(B)を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)塗布液(B)中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0158】
前記方法(1)において、塗布液(B)を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレイドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等の様に、既に形成されている第1塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0159】
上記塩基性溶液(塗布液(B))の付与後は、一般に温度40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行われる。中でも、温度40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0160】
また、上記塩基性溶液(塗布液(B))を、インク受容層塗布液(塗布液(A))を塗布すると同時に付与する場合、インク受容層塗布液(塗布液(A))及び塩基性溶液(塗布液(B))を、該インク受容層塗布液(塗布液(A))が支持体と接触する様にして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後、乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
【0161】
上記の同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を温度40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、温度40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0162】
上記の同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行った場合、同時に吐出される2種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口の附近で、即ち、支持体上に移る前に重層が形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された2層の塗布液は、支持体に移行する際に、既に2液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される2液が混合して増粘し易くなり、塗布作業に支障を来す場合がある。従って、上記の様に同時重層塗布する際は、インク受容層塗布液(塗布液(A))と塩基性溶液(塗布液(B))の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記2液間に介在させて同時3重層塗布することが好ましい。
【0163】
上記バリアー層液については、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
【0164】
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性や光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる(即ち、インク吸収性を低下させる)要因となることがあるため、空隙率の低下が少ない条件を設定して行うことが肝要である。
【0165】
カレンダー処理を行う場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0166】
上記インク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録用媒体の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0167】
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.050μmが好ましく、0.01〜0.035μmがより好ましい。上記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0168】
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。このヘイズ値は、ヘイズメーター(例えば、スガ試験機(株)製の「HGM−2DP」)を用いて測定することができる。
【0169】
本発明のインクジェット記録用媒体を構成する層(例えば、インク受容層或いはバック層など)には、ポリマー微粒子の分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化やカール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等の様な膜物性の改良の目的で使用される。該ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。また、インク受容層中に含まれるポリマー微粒子及び/又は熱可塑性樹脂は、印画後、加熱及び/又は加圧処理などの後処理により多孔質の穴を塞ぎ耐オゾン性を向上させることも可能である。
【0170】
また、本発明のインクジェット記録用媒体は、特開平10−81064号、
同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
【0171】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断わりのない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0172】
[実施例1]
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量して170g/m2の原紙を抄造した。
【0173】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となる様に上記原紙に含浸させ乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/cm3に調整された基紙を得た。
【0174】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなる様にコーティングして、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、該樹脂被覆面を「裏面」と称する。)この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)と質量比1:2で水中に分散した水分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となる様に塗布した。
【0175】
次いで、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)が3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなる様に押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、該高光沢面を「オモテ面」と称する。)、目的とする支持体を作製した。
【0176】
(インク受容層用塗布液Aの調製)
下記組成中の▲1▼気相法シリカ微粒子、▲2▼イオン交換水、及び▲3▼分散剤を混合し、(株)シンマルエンタープライズ製の高速回転式コロイドミル「KD−P」を用いて分散させた後、▲4▼ポリ塩化アルミニウムと▲5▼ホウ酸水を添加し、ディゾルバーを用いて回転数2000rpmで10分間攪拌した後、▲6▼ポリビニルアルコールを添加し、回転数2000rpmで10分間攪拌した。更に、▲7▼界面活性剤と▲8▼イオン交換水を含む溶液を添加し、回転数2000rpmで5分間攪拌して、目的とするインク受容層用塗布液(A)を調製した。
【0177】
<インク受容層用塗布液Aの組成>
▲1▼気相法シリカ微粒子 10部
((株)トクヤマ製「レオロシールQS−30」平均一次粒径7nm)
▲2▼イオン交換水 51.6部
▲3▼分散剤 1部
(第一工業製薬(株)製の「シャロールDC−902P」、51%水溶液)
▲4▼ポリ塩化アルミニウム(40%水溶液) 0.6部
(媒染剤、基本構造式:Al2(OH)5Cl、塩基度83%)
▲5▼ホウ酸水(5%水溶液、架橋剤) 8部
▲6▼ポリビニルアルコール(8%水溶液、水溶性樹脂) 27.8部
((株)クラレ製「PVA235」、けん化度88モル%、重合度3500)
▲7▼界面活性剤(オルフィンPD−101、日信化学工業(株)製) 0.1部
▲8▼イオン交換水 25.6部
【0178】
(インクジェット記録用シートの作製)
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を施した後、上記で得られたインク受容層用塗布液(A)を、支持体のオモテ面にエクストルージョン・ダイコーターを用いて200mL/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の媒染剤塗布液(B)に30秒間浸漬して上記塗布層上にその20g/m2を付着させ(媒染剤溶液を付与する工程)、更に温度80℃の下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚が32μmのインク受容層が設けられた比較例のインクジェット記録用シート(1)を作製した。
【0179】
<媒染剤塗布液(B)の組成>
▲1▼硼酸(架橋剤) 0.65部
▲2▼炭酸アンモニウム 6.0部
▲3▼イオン交換水 83.8部
▲4▼界面活性剤「メガファックF−1405」 0.2部
(大日本インキ化学工業(株)製)
【0180】
[実施例2]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(1)の0.5部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(2)を作製した。
【化10】
【0181】
[実施例3]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(2)の0.7部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(3)を作製した。
【化11】
【0182】
[実施例4]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(3)の0.6部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(4)を作製した。
【化12】
【0183】
[実施例5]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(4)の0.4部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(5)を作製した。
【化13】
【0184】
[実施例6]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(5)の0.5部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(6)を作製した。
【化14】
【0185】
[実施例7]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(6)の0.5部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(7)を作製した。
【化15】
【0186】
[実施例8]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に下記化合物(7)の0.5部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(8)を作製した。
【化16】
【0187】
[実施例9]
実施例2において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で、▲4▼ポリ塩化アルミニウム0.6部を予め前記化合物(1)の0.5部と混合してから添加したこと以外は、実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(9)を作製した。
【0188】
[実施例10]
実施例3において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に酢酸ジルコニル(15%水溶液)の2.0部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(10)を作製した。
【0189】
[実施例11]
実施例3において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更に「スーパーフレックス600−B」(第一工業製薬(株)製、25%水溶液)の2.5部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(11)を作製した。
【0190】
[実施例12]
実施例10において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で更にHO(CH2CH2S)2CH2CH2OHの0.3部を添加したこと以外は、実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(12)を作製した。
【0191】
[実施例13]
実施例3において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で▲4▼ポリ塩化アルミニウム0.6部を添加せず、且つ前記化合物(2)の添加量を1.3部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして比較例のインクジェット記録用シート(13)を作製した。
【0192】
[実施例14]
実施例1において、(インク受容層用塗布液Aの調製)で▲4▼ポリ塩化アルミニウムの添加量を1.3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のインクジェット記録用シート(14)を作製した。
【0193】
(評価試験)
上記より得られたインクジェット記録用シートにつき、下記の様にして画像ニジミと耐光性の評価試験を行ない、その結果を下記の表1に記入した。
(1)画像ニジミ試験
各インクジェット記録用シートを、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−950C」の給紙部に装填して、「PM−950C」用の黒色インクを用いて、4個の3cm×3cmの正方形パターンをそれぞれ1mmの白地隙間を開けて「田」の字を形成する様に並べて印字パターンを作成し、この画像サンプルを温度25℃相対湿度90%の環境下に72時間保存した後、白地隙間における上記黒インクのニジミを目視で観察して、印字直後に対する白地の黒濃度の増加が、ステータスAのBkフィルターにおいて0.01以下の場合を(A)、0.01〜0.05の場合を(B)、0.05以上の場合を(C)と評価した。
【0194】
(2)耐光性の試験
各インクジェット記録用シートを、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−950C」の給紙部に装填して、「PM−950C」用のインクセットを用いて、マゼンタのベタ画像を印画した後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルターを通して、Xenon Weather−ometer「Ci65A」(ATLAS社製)を用いて、温度25℃相対湿度32%RHの環境条件下で3.8時間ランプを点灯し、その後ランプを消した状態で、温度20℃相対湿度91%の環境条件下に1時間放置するサイクルを168時間かけて行なった。この試験の前後のマゼンタ画像の濃度を、Xrite社製の反射濃度計「Xrite938」を用いて測定し、マゼンタの残存率を算出して、下記の基準に従って評価した。更に、目視によって試験前後でのマゼンタ画像の変色の有無を確認した。
〔基準〕
A………マゼンタ画像の濃度残存率が90%を超えていた。
B………マゼンタ画像の濃度残存率が80〜90%であった。
C………マゼンタ画像の濃度残存率が70〜80%であった。
D………マゼンタ画像の濃度残存率が70%未満であった。
【0195】
【表1】
【0196】
上記表1の結果から、本発明に従うインクジェット記録用シート(2〜12)は、高湿環境下に保存後の黒インクの画像ニジミが少なく、キセノン照射と高湿環境を伴うサイクル試験後のマゼンタ画像の濃度残存率は高く、画像ニジミと耐光性に優れたインクジェット記録用シートであることが判明した。特に、インクジェット記録用シート(10)と(11)は、画像ニジミにおいて良好であった。また、インクジェット記録用シート(12)は、マゼンタ画像の耐オゾン性においても優れていた。
一方、比較例のインクジェット記録用シート(1、13、14)は、試験後に画像ニジミが認められマゼンタ画像の濃度残存率も低く、画像ニジミと耐光性に劣っていた。
【0197】
【発明の効果】
本発明に依れば、光沢度が高くインク受容性能に優れた記録用シートであって、且つ長期的に画像ニジミを抑制し耐光性及び耐オゾン性を改善したインクジェット記録用媒体を提供することが可能となった。

Claims (13)

  1. 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用媒体において、該インク受容層が、少なくとも陽イオン性基と陰イオン性基の両方を有する両性重合体と多価金属塩を含有し、上記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が両性重合体の側鎖に含まれ、且つ、上記両性重合体が下記一般式(III−1)又は一般式(III−2)のモノマーから誘導される両性単位を含む重合体であることを特徴とするインクジェット記録用媒体。
    〔上式(III−1)及び式(III−2)において、R 11 とR 21 は重合性基を表し、L 1 〜L 4 は2価の基を表し、R 12 とR 13 及びR 22 〜R 24 は脂肪族基又は芳香族基を表し、R 14 は陰イオン性基を表し、−L 1 −N + 12 13 部で複素環を形成してもよい。〕
  2. 前記陽イオン性の基及び陰イオン性の基が、同一繰り返し単位内に含まれることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用媒体。
  3. 前記両性重合体が、少なくとも水溶性、油溶性、自己乳化性、及び乳化分散性のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用媒体。
  4. 前記両性重合体の重量平均分子量が、700〜100万であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
  5. 前記多価金属塩が、アルミニウム塩、チタン塩及びジルコニウム塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
  6. 前記両性重合体の含有量が、0.01g/m2〜20g/m2であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  7. 前記インク受容層が、更に水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
  8. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録用媒体。
  9. 前記インク受容層が、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有することを特徴とする請求項7又は8に記載のインクジェット記録用媒体。
  10. 前記インク受容層が、更に微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
  11. 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、および擬ベーマイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録用媒体。
  12. 前記インク受容層が、更に媒染剤を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
  13. 前記インク受容層のpHが、3〜7であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
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