JP4094867B2 - ミシン - Google Patents

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    • D05BSEWING
    • D05B65/00Devices for severing the needle or lower thread
    • D05B65/02Devices for severing the needle or lower thread controlled by the sewing mechanisms

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製終了後に針の目孔から被縫製物まで繋がった上糸を切断する糸切り手段を具備するミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ミシンの縫製による縫い目は、下降した針からルーパが上糸を捕捉することでループが形成され、次に針が下降した際に針から導出した上糸や下糸がループに絡むことにより形成される。このため、ミシンの縫い始めに上糸に張力がかかっている場合には、上糸が針の目孔から抜けてしまったり、ルーパで上糸が捕捉されなかったりするため、特に一針目の縫い目が形成されなくなってしまい、所謂目飛びが発生する。
【0003】
そこで、従来のミシンでは、縫製終了後で上糸切断前に、上糸供給源から糸調子を介して針の目孔に至る上糸に対して、糸調子と針の目孔との間において弛みを確保することによって、次の縫製の際に所謂目飛びを防止する。例えば、図8に示すような機構がミシンの上端部に設けられており、このような機構にて上糸に弛みを確保している。即ち、ミシンの上端部に糸案内101が設けられ、上糸供給源から導き出された上糸は糸案内101にて折り返されている。上糸は糸案内101から糸調子102へ導かれており、上糸が糸調子102によって押圧されることで上糸に張力が作用している。上糸は糸調子102にて折り返されており、糸手繰り部材103へ導かれている。そして、上糸は糸手繰り部材103にて折り返されており、天秤104へ導かれている。上糸は天秤104にて折り返されており、最終的に針105(図9に図示)の目孔105a(図9に図示)に導かれている。糸手繰り部材103及び天秤104は前後方向に移動するように構成されている。
【0004】
ミシンの縫製終了後で次の縫製開始前では、糸手繰り部材103は天秤104から遠い位置P1に位置しており、糸調子102から天秤104までの間において上糸は張っている。そして、図8(a)に示すように、ミシンの次の縫製開始直前(まだ、天秤104及び針105は駆動されていない)では、糸手繰り部材103が天秤104に近い位置P2へ移動することによって、糸調子102から天秤104までの間において上糸が弛む。上糸の弛みによって、次の縫製の一針目に縫い目が確実に形成される。
【0005】
そして、次の縫製中では、糸手繰り部材103は位置P2に位置したままであり、天秤104は前後に往復移動する。これにより、縫製中には上糸供給源から針へと上糸が供給される。縫製終了直後に停止した状態では、図9(a)に示すように、針105は上昇した位置にあり、ルーパ106とスプレッダ107によってループが形成されている。また、縫製終了直後では、図8(b)に示すように、糸調子102から天秤104の間において上糸が張っている。
【0006】
その後、図8(c)に示すように、糸手繰り部材103が位置P2から位置P1へと移動する。まだ上糸が切断されおらず上糸が被縫製物の縫い目に繋がっているため、糸手繰り部材103の移動に伴い、上糸は上糸供給源から引き出される。
【0007】
その後、図9(b)に示すように、ルーパ106及びスプレッダ107の近傍において、上糸切断メス108によって上糸が切断される。そして、次の縫製開始直前では、図8(c)に示すように、再び糸手繰り部材103が位置P1へ移動することによって、上糸が弛む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、糸切断直前では、被縫製物の近傍において上糸はルーパ106及びスプレッダ107によってループ状となっている(図9(a)に図示)。従って、上糸が切断されると、針105の目孔105aから上糸端までの長さが非常に長い(図9(c)に図示)。針105の目孔105aから上糸端までの長さが長いために、図10に示すように次の縫製の前に下降した押え109に上糸が挟まれてしまい、針105が押え109にて引っ張れて曲がってしまう。また、ボタン穴かがり縫いにおいては、かがり縫いの見栄えを良くするために被縫製物の縫い始め位置から延び出た糸端を縫製終了後に手作業で切り取る作業が必要であるが、この作業を不要とするために、縫い始めの上糸端をクランプするクランプ装置をミシンに設けて、縫い始めの上糸の端部をボタン穴のかがり縫い目の下に縫い込むことがある。しかし、針105の目孔から上糸端までの長さが長すぎると、上糸の端部が図11のA部分のように、かがり縫い目の途中からはみ出して、手作業での切り取りができないという問題が発生していた。また、縫い始めから延び出た糸が縫い目に縫い込まないとしても、図12に示すようにその延び出た長さが長いから、それを縫製終了後に手作業で切断しなければならない。
【0009】
そこで、本発明は、縫製開始前において針の目孔から上糸端までの長さを短くすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、糸供給源から針(例えば、針6)に設けられた目孔(例えば、糸通し孔6a)へ至る上糸に張力を与える糸調子手段(例えば、糸調子装置17)と、
縫製終了後に前記目孔から被縫製物に連なる上糸を切断する糸切り手段(例えば、上糸切りメス14及び上糸切断駆動機構32)と、
縫製終了後に前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を引き出して、前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を弛ませておく糸引き手段(例えば、糸引き機構19)と、
縫製終了後、前記糸供給源及び前記目孔の双方から上糸が引き出されるように、前記糸調子手段、前記糸切り手段及び前記糸引き手段を制御する制御手段(例えば、制御装置50)と、を備え
前記糸引き手段が、
前記糸供給源と前記目孔との間において上糸を手繰る手繰り部材(例えば、上糸手繰り部材29)と、
前記糸供給源から前記手繰り部材を通じて前記目孔までの上糸の経路が短い第一位置(例えば、最後位置P20)と、上糸の経路が前記第一位置より長い第二位置(例えば、最前位置P10)と、前記第一位置での上糸の経路より長く、且つ前記第二位置での上糸の経路より短い第三位置(例えば、中間位置P30)とへ前記手繰り部材を移動する移動手段(例えば、エアシリンダ26,27)と、
を備え、
前記制御手段は、縫製中は前記第一位置に前記手繰り部材が位置するように、縫製終了後上糸切断前までは前記第三位置に前記手繰り部材が位置するように、更に、上糸切断後は前記手繰り部材が前記第三位置に位置した後に前記第二位置に位置するように前記移動手段を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明では、縫い始めの針の目孔からの糸抜けや目飛びの防止のため、針の目孔と糸供給源との間に糸の弛みを確保する際に、弛みを確保するための上糸を糸供給源側から引き出すとともに、針の目孔側から引き出すため、針の目孔から上糸の切断端までの長さを、従来に比較して短くすることができ、縫い始めの針の目孔からの糸抜けを防止できるとともに、針の目孔からの上糸の切断端までの長さが長いことによる従来の種々の欠点を解消することができる。即ち、次の縫製の際に、針の目孔から切断端までの間において上糸が押えに挟まれなくなり、更に、次の縫い目の縫い始めから延び出た糸の長さを短くすることができ、その糸が次の縫い目に巻き込まれることも防止され、その糸を次の縫製終了後に切断するといった労力が不要となる。
また、本発明では、糸の弛みを確保するための機構及び処理時間を利用して、針の目孔から上糸の端部までの長さを短くしているので、独立した機構や処理を新たに追加する場合と比較して、機構を簡単に構成でき、信頼性の向上が図れるとともにコストが低減でき、また、処理時間を低減して縫製効率の低下を防ぐことができる。
【0015】
また、縫製終了後上糸切断前に、手繰り部材が第一位置から第三位置へと位置するため、上糸の経路が長くなり、手繰り部材によって上糸が引き出される。この際、上糸が切断されていないため、上糸は糸供給源から引き出される。上糸切断後は、手繰り部材が第三位置から第二位置へと位置するため、更に、上糸の経路が長くなり、手繰り部材によって上糸が引き出される。この際、上糸が切断されているため、上糸は針の目孔から引き出される。その後、手繰り部材が第一位置から第三位置へ位置するため、上糸が弛む。この構成は、手繰り部材を第三位置(中間位置)に位置するように構成した以外は、機械的に従来と同様である。そのため、針の目孔から上糸が引き抜かれることを防止して、次の縫製の際に所謂目飛びを確実に防止し、更に、次の縫い目の縫い始めから延び出た糸の長さを短くするといったことが、従来と比較して複雑な機構を用いることなく実現される。
【0018】
請求項2記載の発明は、
糸供給源から針に設けられた目孔へ至る上糸に張力を与える糸調子手段と、
縫製終了後に前記目孔から被縫製物に連なる上糸を切断する糸切り手段と、
縫製終了後に前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を引き出して、前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を弛ませておく糸引き手段と、
縫製終了後、前記糸供給源及び前記目孔の双方から上糸が引き出されるように、前記糸調子手段、前記糸切り手段及び前記糸引き手段を制御する制御手段とを備え、
前記糸供給源から引き出される上糸の長さと、前記目孔から引き出される上糸の長さとの総和を一定のまま、前記糸供給源から引き出される上糸の長さ、及び、前記目孔から引き出される上糸の長さを変更可能としたことを特徴とする。
【0019】
請求項記載の発明では、糸供給源から引き出される上糸の長さと、針の目孔から引き出される上糸の長さとの総和が一定のまま、糸供給源から引き出される上糸の長さ、及び、針の目孔から引き出される上糸の長さを変更可能としたため、作業者は、縫い始めの針の目孔からの糸抜けや目飛びの防止するに対する糸の緩み量の変化を気にすることなく、針の目孔から上糸の切断端までの長さ、即ち、次の縫製の縫い始めから延び出た糸の長さを調整することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に示されるミシン1は、鳩目穴かがり縫いを行うミシンとしての基本構成を具備しているものである。即ち、ミシン1は、略矩形箱状をなすベッド部2と、ベッド部2の後端部に立設された縦胴部3と、縦胴部3の上部からベッド部2と略平行になるように前方に延出するアーム部4と、アーム部4の前端部を上下に貫通する針棒5と、針棒5の下端部に取り付けられた針6と、ベッド部2内において針6の直下に設けられたルーパ機構7と、ミシン1全体を制御する制御装置50(図5に図示)とを備えている。
【0021】
ベッド部2の上面部には送り台11が設けられており、送り台11には被縫製物60が載置される。この送り台11には一対の押え12が設けられている。押え12は、図示しないソレノイド等を備えた上下動機構によって上下に移動され、押え12が下降すると、被縫製物60が送り台11の上面と押え12の間に挟持される。また、送り台11及び押え12は、一体となって、ベッド部2に設けられたモータ等からなる送り機構によって左右方向及び前後方向に水平移動される。上下動機構及び送り機構は、制御装置50によって制御される。
【0022】
ミシン1には、被縫製物60に鳩目穴を開ける布切り機構が設けられている。布切り機構は、アーム部4の下方において上下動自在に設けられた可動メス13と、可動メス13の直下においてベッド部2に設けられたメス受台と、該可動メス13を上下駆動するメス駆動機構とを備え、可動メス13をメス駆動機構で下降して、可動メス13とメス受けで被縫製物60を押し切る。メス駆動機構は、制御装置50によって制御される。
【0023】
図1及び図2に示すように、針棒5は、下方に延出しており、上下動及び左右への振れ移動可能に設けられている。針棒5は、管状となっており、上端から下端へ上糸を通せるようになっている。針棒5内を通った上糸は、針6の先端部分に設けられた糸通し孔(つまり、目孔)6aに挿通している。ルーパ機構7は、針6から上糸を補足して上糸のループを形成するルーパ8と、上糸のループを広げるスプレッダ9と、ルーパ8及びスプレッダ9を上部に備えたルーパ土台10と、を備える。
【0024】
ミシンモータ54(図5のブロック図に図示)の駆動力によって針棒5が上下動及び左右への振れ移動することで、更に針棒5に同期してルーパ8及びスプレッダ9が駆動されることで、針棒5、ルーパ8及びスプレッダ9が協働し、縫い目が被縫製物60に形成される。
【0025】
また、鳩目穴の円弧部の周囲をかがり縫いする際に縫い目を放射状とするため、針棒5及びルーパ土台10は、タイミングベルト41及び伝動シャフト42を備えた回転機構によって垂直な回転軸周り(針棒5の軸線周り)に回転される。回転機構は、制御装置50によって制御される。
【0026】
このミシン1は、縫製終了後に上糸を切断する上糸切断機構を備える。上糸切断機構は、ルーパ土台10の上部に駆動可能に設けられた上糸切りメス14と、ソレノイド等を有する上糸切断駆動機構32(図5に図示)と、を備える。上糸切りメス14は、上糸切断駆動機構32によって駆動されて、ルーパ8及びスプレッダ9によって形成された上糸ループにおいて上糸を切断する。
【0027】
また、図1及び図3に示すように、ミシン1は、上糸供給源である糸駒から針6の糸通し孔6aに導く上糸案内機構15を備える。上糸案内機構15は、上糸供給源から針6の糸通し孔6aまでの上糸経路に配された糸案内部材16と、上糸供給源から針6までの間の上糸経路において上糸を押圧して上糸に抵抗力を与える糸調子装置17と、縫製中に上糸供給源から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路において上糸供給源から針6へと上糸を供給する天秤18と、天秤18から針6までの上糸の経路に配された天秤糸案内40と、縫製終了後に上糸を引き出して、次の縫製開始時まで上糸供給源から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路において上糸を弛ませておく糸引き機構19(図4に主に図示)等とを備える。なお、図1においては、図面を見易くするために、天秤糸案内40の図示を省略している。
【0028】
糸案内部材16は、アーム部4の上端から上方へ突出した棒状の部材である。糸案内部材16には、糸通し孔16a,16bが形成されている。上糸供給源から導き出された上糸は、糸通し孔16a,16bの順に通っている。
【0029】
糸調子装置17は、糸案内部材20と、可動皿21及び固定皿22からなる調子皿組23と、ソレノイド24と、段ネジ25等とを備える。糸案内部材20、調子皿組23及びソレノイド24は、糸案内部材16より後方に配されている。糸案内部材20は、アーム部4の上端に取り付けられており、糸通し孔20a,20bが形成されている。固定皿22は、糸案内部材20上に配されている。可動皿21は固定皿22に対向配置されている。可動皿21及び固定皿22には貫通孔が形成されており、可動皿21及び固定皿22の貫通孔に段ネジ25が上下方向に挿入している。段ネジ25の頭部は可動皿21の上部にあり、段ネジ25のネジ部分がソレノイド24のプランジャ24aに締められている。ソレノイド24はアーム部4内に固定されている。ソレノイド24は、電磁アクチュエータであって、電流が流れることによってプランジャ24aを上下方向に進退するものである。
【0030】
糸案内部材16の糸通し孔16bで後へ折り返された上糸は、糸案内部材20の糸通し孔20aを通って、調子皿組23で前に折り返されている。調子皿組23では、上糸が固定皿22と可動皿21との間に挟まれている。更に、上糸は、調子皿組23から糸案内部材20の糸通し孔20bに導かれて、糸通し孔20bに挿入している。
【0031】
ソレノイド24に電流が流れるとプランジャ24aが下に引かれて、調子皿組23に推力が作用し、調子皿組23に挟まれている上糸に抵抗力(押圧力)が作用する。これにより、上糸に張力が作用する。調子皿組23に作用する推力の大きさ、つまり、調子皿組23から上糸に作用する抵抗力の大きさは、ソレノイド24に流れる電流のレベルに比例する。制御装置50がソレノイド24に流れる電流のレベルを制御することによって、上糸に作用する抵抗力の大きさが制御される。なお、この糸調子装置17は、特開2000−202183号公報に記載されている糸調子装置と同様の構成の糸調子装置であり、ソレノイド24の可動部(プランジャ24a)から調子皿組23に作用する推力が可動部のストロークに依らない区間を有し、ソレノイド24に流れる電流が一定であれば、調子皿組23から上糸に作用する糸張力(つまり、押圧力)が上糸の太さによって異ならない。また、ソレノイド24に流れる電流を制御すれば、調子皿組23から上糸に作用する糸張力を制御することができる。
【0032】
図4に示すように、糸引き機構19は、エアシリンダ26,27と、シリンダブラケット28と、上糸手繰り部材29とを備える。エアシリンダ26はアーム部4の内部空間に配されており、アーム部4に固定されている。エアシリンダ26のプランジャ26aは前方に突出している。エアシリンダ26にエアが吸気されると、プランジャ26aが前方へ押し出て、エアシリンダ26からエアが排気されると、プランジャ26aが後方へ引き込む。
【0033】
エアシリンダ27は、エアシリンダ26に並んで、アーム部4の内部空間に配されている。エアシリンダ27のプランジャ27aは前方に突出しており、エアの吸排気によってプランジャ27aが前後に進退する。
【0034】
エアシリンダ27はシリンダブラケット28に固定されている。シリンダブラケット28にはネジ30,30の貫通する貫通孔が形成されている。一方、アーム部4の上面には前後に長尺な長穴31が形成されており、この長穴31にもネジ30,30が貫通しており、ネジ30,30はナットに締結している。ネジ30,30が緩むと長穴31に沿ってネジ30,30が前後に移動自在になり、前後方向におけるエアシリンダ27及びシリンダブラケット28の位置が変更可能となる。ネジ30,30がナットに締結すると、アーム部4に対してエアシリンダ27及びシリンダブラケット28が固定される。なお、図3において、図示方向から見るとネジ30,30は天秤糸案内40の裏側に配されているため、図3ではネジ30,30の図示を省略している。
【0035】
エアシリンダ26のプランジャ26aの先端部には上糸手繰り部材29が取り付けられている。エアシリンダ26によって上糸手繰り部材29が前後に移動するようになっている。
上糸手繰り部材29の端片29aは、エアシリンダ27のプランジャ27aの前方に延出しており、プランジャ27aの前後軌道の範囲内に配されている。従い、エアシリンダ27によって上糸手繰り部材29が前後に移動するようになっている。
エアシリンダ27のストロークはエアシリンダ26のストロークと同じか又はそれより短く、エアシリンダ26及びエアシリンダ27のストロークは常に一定である。
【0036】
エアシリンダ27が前後のどの位置にあっても、エアシリンダ26のプランジャ26aが前方に押し出ていると、エアシリンダ27のプランジャ27aが押し出てもプランジャ27aの先端は端片29aから離れている。
また、エアシリンダ27が前後のどの位置にあっても、エアシリンダ27のプランジャ27aが引き込んでいると、プランジャ27aの先端は端片29aから離れている。
また、エアシリンダ27が前後のどの位置にあっても、エアシリンダ26のプランジャ26aが引き込んでいる場合にエアシリンダ27のプランジャ27aが押し出ると、端片29aがプランジャ27aに押されて上糸手繰り部材29が前方に移動する。
【0037】
つまり、図4(c)に示すように、エアシリンダ26のプランジャ26aが押し出ていると、上糸手繰り部材29は前後軌道の最前端に位置している。以下、この位置を最前位置P10と述べる。また、図4(a)に示すように、エアシリンダ26のプランジャ26a及びエアシリンダ27のプランジャ27aがともに引き込んでいると、上糸手繰り部材29は前後軌道の最後端に位置している。以下、この位置を最後位置P20と述べる。また、図4(b)に示すように、エアシリンダ26のプランジャ26aが引き込んでおり、かつ、エアシリンダ27のプランジャ27aが押し出ていると、上糸手繰り部材29は最前位置P10と最後位置P20との間に位置している。以下、この位置を中間位置P30と述べる。
【0038】
エアシリンダ26のストロークは常に一定であるため、最前位置P10から最後位置P20までの距離は常に一定となる。また、最後位置P20から中間位置P30までの距離はエアシリンダ27の前後位置によって定まり、エアシリンダ27がより後方にあるにつれて、最後位置P20から中間位置P30までの距離は短くなり、エアシリンダ27がより前方にあるにつれて、最後位置P20から中間位置P30までの距離は長くなる。
【0039】
図1及び図3に示すように、上糸手繰り部材29の上片29bは、アーム部4内からアーム部4の上方へ延出している。上糸手繰り部材29の上片29bは、糸調子装置17より前方に配されている。上片29bの上端部分には、左右に貫通する糸通し孔29cが形成されている。糸案内部材20の糸通し孔20bを通った上糸は、上糸手繰り部材29の糸通し孔29cに導かれて、糸通し孔29cで後ろに折り返されている。
【0040】
図1及び図3に示すように、天秤18は、アーム部4内からアーム部4の上方へ延出しており、上糸手繰り部材29の上片29bより後方に配されている。天秤18の上端部に糸通し孔18aが形成されている。また、天秤18及び上糸手繰り部材の前方且つ針棒5の上端より後方に天秤糸案内40が配設されている。上糸手繰り部材29の糸通し孔29cを通った上糸は、天秤18の糸通し孔18aに導かれて、糸通し孔18aで前へ折り返されている。糸通し孔18aを通った上糸は、天秤糸案内40を通って針棒5の上端へ至り、針棒5の上端から針棒5内を通って針6の糸通し孔6aへ至る。
【0041】
また、天秤18は、ミシンモータ54に連結したクランク機構に連結しており、縫製中にミシンモータ54によって前後に移動して針6へと上糸を供給する。
【0042】
次に、ミシン1の制御系について説明する。
図5に示すように、制御装置50は、CPU51と、RAM52と、ROM53と、これらを接続するシステムバスとを有する演算処理装置を基本構成としている。そして、CPU51には、システムバス及び駆動回路等を介してミシンモータ54、上糸切断駆動機構32、ソレノイド24及び電磁弁56,57が接続されている。電磁弁56は、エアシリンダ26にエアの注入・排出するための弁であって、電磁弁57は、エアシリンダ27にエアの注入・排出するための弁である。
【0043】
ROM53には、ミシン1の各部(つまり、ミシンモータ54、上糸切断駆動機構32、ソレノイド24及び電磁弁56,57等)を制御して縫製動作及び縫製に付随する動作を行わせるための制御プログラム及びこの制御プログラムで使用される制御データ等が格納されている。CPU51は、RAM52を作業領域としてROM53に格納された制御プログラムに従った演算を行える。CPU51は演算結果に応じた信号をミシン1の各部に信号を出力できる。つまり、制御装置50は、CPU51の演算によりミシン1を制御でき、これによりミシン1は鳩目穴の周りにかがり縫いを行い、縫いに付随する動作も行う。
【0044】
次に、ミシン1の動作について説明する。
ミシン1が動作を行う前、つまり、縫製開始前では、針棒5及び針6は上昇した位置にある。更に、縫製開始前では、制御装置50によって制御されて、エアシリンダ26のプランジャ26aが押し出ており、図6(a)及び図4(c)に示すように上糸手繰り部材29は最前位置P10に位置している。上糸手繰り部材29が最前位置P10に位置している場合には、調子皿組23から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路が最も長くなっている。
【0045】
また、縫製開始前では、通常、所定の張力が上糸に与えられる必要があるため、制御装置50はソレノイド24に駆動指令を与え、調子皿組23から上糸に押圧力(抵抗力)が作用する。この時、糸案内部材16から天秤18にかけて上糸が張っている。
【0046】
次いで、被縫製物60が送り台11上に載置されて、押え12が下降し、更に、制御装置50によって制御されてエアシリンダ26のプランジャ26a及びエアシリンダ27のプランジャ27aが引き込む。これにより、図6(b)及び図4(a)に示すように、上糸手繰り部材29は最前位置P10から最後位置P20へ移動して、上糸手繰り部材29は天秤18及びに近づく。最後位置P20では、調子皿組23から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路が最も短くなるから、上糸は調子皿組23から糸通し孔6aの間において弛む。
【0047】
次いで、制御装置50からミシンモータ54に駆動信号が出力されて、ミシンモータ54によって天秤18が前後に往復移動することで上糸供給源から針6へ上糸が供給されるとともに、ミシンモータ54によって針棒5、ルーパ8及びスプレッダ9が協働することで、被縫製物60に縫い目が形成される。縫製の際、最初に針6が下降する時点で上糸が弛んでいるため(図6(b)に図示)、針6が下降した場合でも針6の糸通し孔6aから上糸が抜けず、上糸がルーパ8によって確実に捕捉され、所謂目飛びが起こらない。
【0048】
縫い目の形成が完了すると、制御装置50はミシンモータ54を停止させる。図2(a)に示すように、ミシンモータ54が停止した時点では、針棒5及び針6が上昇した位置にあり、上糸はスプレッダ9次いでルーパ8に掛けられてループとなって、被縫製物60へと至っている。また、この時点では、図6(c)に示すように、調子皿組23から針6の糸通し孔6aの間において、上糸は張っている。
【0049】
次いで、図6(d)及び図4(b)に示すように、制御装置50によって制御されて、エアシリンダ27のプランジャ27aが押し出て、上糸手繰り部材29が最後位置P20から中間位置P30へ移動する。上糸手繰り部材29が天秤18及び調子皿組23から遠ざかるため、中間位置P30での調子皿組23から針6にかけての上糸の経路は最後位置P20での経路より長くなるから、上糸が上糸手繰り部材29によって引き出される。この際、調子皿組23から糸通し孔6aにかけて上糸が張っている上、上糸が被縫製物60の縫い目に繋がっているから、上糸手繰り部材29が中間位置P30へ移動することで上糸は糸通し孔6aからは引き出されず、上糸供給源から引き出される。
【0050】
次いで、制御装置50が上糸切断駆動機構32に駆動指令を出力することで、上糸切断駆動機構32が上糸切りメス14を駆動して、図2(b)に示すように上糸はループにおいて上糸切りメス14によって切られる。次いで、制御装置50がソレノイド24に流す電流のレベルを上昇させることで、ソレノイド24の推力が上昇して、調子皿組23から上糸に作用する押圧力が縫製時より増大し、上糸の張力が増大する。
【0051】
次いで、図6(e)及び図4(c)に示すように、制御装置50によって制御されて、エアシリンダ26のプランジャ26aが押し出て、上糸手繰り部材29が中間位置P30から最前位置P10へ移動する。上糸手繰り部材29が天秤18及び調子皿組23から遠ざかるため、最前位置P10での調子皿組23から針6にかけての上糸の経路は、中間位置P30での経路より長くなるから、上糸が上糸手繰り部材29によって引き出される。この際、上糸が切断されている上、調子皿組23から上糸に縫製中よりも増大した押圧力が作用しているから、上糸手繰り部材29が最前位置P10へ移動することで上糸は上糸供給源から引き出されず、針6の糸通し孔6aから引き出される。そのため、図2(c)に示すように、糸通し孔6aから上糸の先端までの長さが、図9(c)の従来の場合と比較しても短くなる。なお、このときの縫製中よりも増大した押圧力、即ち、上糸手繰り部材29が最前位置P10に移動するときの調子皿組23から上糸に作用する押圧力は、上糸手繰り部材29の最前位置P10への移動による上糸供給源からの上糸の引出しを阻止するのに十分な大きさである。
【0052】
次いで、制御装置50がソレノイド24に流す電流のレベルを初期のレベルに下降させる。これで、一つの鳩目穴にかがり縫いを施す一連の動作が終了し、新たにかがり縫いを施す場合には、ミシン1は図2、図4及び図6で説明してきた動作を繰り返す。つまり、新たにかがり縫いを施す前には、再び上糸手繰り部材29が最後位置P20へ移動する(図6(b)。次の新たなかがり縫いでは、糸通し孔6aから上糸の先端までの長さが短くなっているため、押え12によって上糸が挟まれて引っ張られることが防止されて、針6が曲がることが防止される。更に、糸通し孔6aから上糸端までの長さが短いために、新たなかがり縫いの縫い始めから延びた糸も短くなるから、その延び出た糸が新たな縫い目に巻き込むことが防止される上、延び出た糸を縫製終了後に切断するといった作業も行わなくて済む。もちろん、新たなかがり縫いを施す際にも、図6(b)のように上糸が弛んでいるため、所謂目飛びが起こらない。
【0053】
また、以上のミシン1では、作業者等がネジ30,30を緩めて、エアシリンダ27を前後に移動することで、中間位置P30の位置を変更可能であり、上糸切断後の針6の糸通し孔6aから引かれる上糸の量(長さ)を変更可能である。つまり、中間位置P30を最後位置P20に近づけるにつれて、図6(d)のような上糸手繰り部材29の移動に伴って糸供給源から引き出される上糸の量が少なくなるとともに、図6(e)のような上糸手繰り部材29に伴って針6の糸通し孔6aから引かれる上糸の量が多くなる。中間位置P30の位置が変更可能なため、上糸切断後の糸通し孔6aから上糸の切断端までの長さを調整でき、次の縫製の縫い始めから延び出た糸の長さを調整することができる。
【0054】
また、中間位置P30の位置を変えたものとしても、最前位置P10から最後位置P20までの距離が一定であるため、図6(a)における調子皿組23から糸通し孔6aまでの上糸の経路の長さは変わらず、図6(b)のような上糸手繰り部材29の移動に伴った所謂上糸の弛み量は変わることはない。つまり、図6(d)のような上糸手繰り部材29の移動に伴って上糸の引き出された長さと、図6(e)の上糸手繰り部材29の移動に伴って上糸の引き出された長さとの総和は、常に一定である。ところで、所謂上糸の弛み量が基準量より多くなると、新たな縫い目はゆるみ、上糸の弛み量が基準量より少なくなると、所謂目飛びが発生しやすくなる。しかし、以上のミシン1では、中間位置P30の位置を変更したものとしても所謂弛み量が変わらないため(つまり、所謂弛み量は基準量で一定であるため)、新たな縫い目のゆるみ及び所謂目飛びを防止することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更を行っても良い。
例えば、縫製開始の際に、針6の糸通し孔6aから先の上糸端をクランプ装置を用いて、押え12のすぐ上で保持させても良い。こうすることによって、縫い始めから延び出た糸を縫い目に縫い込むことができ、縫い始めから延び出た糸を縫製終了後に手作業で切る作業が不要となる。
【0056】
また、上記実施形態では、最前位置P10から最後位置P20への駆動をエアシリンダ26で行い、最後位置P20から中間位置P30への駆動をエアシリンダ27で行い、中間位置P30から最前位置P10への駆動をエアシリンダ26で行っていた。しかしながら、上述のように最前位置P10→最後位置P20→中間位置P30→最前位置P10の順に上糸手繰り部材29が移動できるのであれば、エアシリンダ26,27の組み合わせに限らず、電磁ソレノイド、モータ若しくはこれらの組み合わせ又はこれらとエアシリンダの組み合わせによって上糸手繰り部材29を移動させても良い。例えば、駆動取出軸の回転角度を制御可能なパルスモータを駆動源として、伝動機構を介して上糸手繰り部材29を移動させても良い。この場合、制御装置50がパルスモータの回転角度を制御することで、上糸手繰り部材29が上述のように最前位置P10→最後位置P20→中間位置P30→最前位置P10の順に移動する。もちろん、この場合も、最前位置P10から最後位置P20の位置は常に一定であって、例えば操作パネル等からの設定によって、制御装置50は中間位置P30の位置を変更することができる。
【0057】
また、糸調子装置17はソレノイド24を用いて調子皿組23から上糸に押圧力(張力)を作用させていたが、エアシリンダ又はモータを用いて調子皿組23から上糸に押圧力を作用させても良い。この場合も、縫製の工程から上糸手繰り部材29が中間位置P30へ移動する工程までの間に調子皿組23から上糸に作用する押圧力より、中間位置P30から最前位置P10へ移動する工程で調子皿組23から上糸に作用する押圧力が大きくなるように、制御装置50はエアシリンダ又はモータを制御する。エアシリンダの場合には、エアシリンダに注入するエアの圧力を高くすれば、調子皿組23から上糸に作用する押圧力が大きくなる。
【0058】
また、糸調子装置の数又は位置も上記実施の形態に限らず、以下の▲1▼〜▲3▼のようにしても良い。
【0059】
▲1▼…例えば、上糸供給源から上糸手繰り部材29までの間の上糸経路に複数の糸調子装置を設けた場合。
縫製の工程から上糸手繰り部材29が中間位置P30へ移動する工程までの間に複数の糸調子装置から上糸に作用する総押圧力より、中間位置P30から最前位置P10へ移動する工程で複数の糸調子装置から上糸に作用する総押圧力が大きくなるように、制御装置50が複数の糸調子装置を制御する。
【0060】
▲2▼…例えば、上糸手繰り部材29から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路に複数(又は単数)の糸調子装置を設けた場合。
縫製の工程から上糸手繰り部材29が中間位置P30へ移動する工程までの間に複数(又は単数)の糸調子装置から上糸に作用する総押圧力より、上糸手繰り部材29が中間位置P30から最前位置P10へ移動する工程では複数(又は単数)の糸調子装置から上糸に作用する総押圧力が小さくなるように、制御装置が複数(又は単数)の糸調子装置を制御する。
【0061】
▲3▼…例えば、上糸供給源から上糸手繰り部材29までの間の上糸経路に複数(又は単数)の糸調子装置(以下、上流側糸調子装置という。)を設け、かつ、上糸手繰り部材29から針6の糸通し孔6aまでの間の上糸経路に複数(又は単数)の糸調子装置(以下、下流側糸調子装置という。)を設けた場合。
縫製の工程から上糸手繰り部材29が中間位置P30へ移動する工程までの間では、上流側糸調子装置から上糸に作用する総押圧力は、下流側糸調子装置から下糸に作用する総押圧力より小さくなるように、制御装置50は下流側糸調子装置及び上流側糸調子装置を制御する。上糸手繰り部材29が中間位置P30から最前位置P10へ移動する工程では、上流側糸調子装置から上糸に作用する総押圧力は、下流側糸調子装置から下糸に作用する総押圧力より大きくなるように、制御装置50は下流側糸調子装置及び上流側糸調子装置を制御する。
【0062】
上記▲1▼〜▲3▼の何れの場合でも、上糸手繰り部材29が最前位置P10から中間位置P30へ移動する時には(図6(d)に示す工程では)、上糸は上糸供給源から引き出され、上糸手繰り部材29が中間位置P30から最後位置P20へ移動する時には(図6(e)に示す工程では)、上糸は針6の糸通し孔6aから引かれる。
【0063】
また、上糸案内機構15を図7に示すような上糸案内機構70に代えても良い。なお、上糸案内機構70を具備するミシンは、上糸案内機構15以外は上記実施形態のミシン1と同様の構成である。図7の上糸案内機構70は、天秤18と、アーム部4上で固定された糸案内部材74と、糸案内部材74より前方に配置されているとともに前後に移動自在となってアーム部4上に設けられた糸手繰り部材71,72と、糸手繰り部材71を前後駆動する第一駆動手段と、糸手繰り部材72を前後駆動する第二駆動手段とを備え、第一駆動手段及び第二駆動手段は制御装置50によって制御される。
【0064】
上糸供給源から導き出された上糸は、糸手繰り部材71の糸通し孔を通って後ろに折り返されて、糸案内部材74に導かれている。そして、上糸は、糸案内部材74の糸通し孔を通って、前に折り返されて、糸手繰り部材72に導かれている。更に、上糸は、糸手繰り部材72の糸通し孔を通って、後ろに折り返されて、天秤18に導かれている。そして、天秤18の糸通し孔を通った上糸は、針棒5を介して針6の糸通し孔6aに導かれている。なお、上糸供給源から糸通し孔6aの間の上糸経路に糸調子装置が設けられていても良い。また、糸案内部材74に代えて、上糸を押圧して上糸に抵抗力を与える糸調子装置が糸案内部材74の位置に設けられても良い。
【0065】
制御装置50が第一駆動手段及び第二駆動手段を制御することで、第一駆動手段及び第二駆動手段によって手繰り部材71,72は以下のように動作する。つまり、縫製開始前では、手繰り部材71,72は自身の前後軌道範囲で最も前に位置しており、上糸供給源から糸通し孔6aの間の上糸経路において上糸が張っている。縫製開始直前で、手繰り部材71及び手繰り部材72が自身の前後軌道範囲で最も後ろ(なお、糸案内部材74よりは前方である。)に位置する。これにより、上糸が弛む。そして、ミシン1により縫製が行われるが、この際にも手繰り部材71,72は最も後ろに位置している。縫製の際、最初に針6が下降する時点で上糸が弛んでいるため、所謂目飛びが起こらない。
【0066】
縫製が完了すると、手繰り部材71が最も後ろの位置から最も前の位置へ移動する。これにより、上糸が被縫製物60に繋がっているために、上糸供給源から上糸が引き出される。次いで、上糸が上糸切りメス14によって切断される。次いで、手繰り部材72が最も後ろの位置から最も前の位置へ移動する。これにより、上糸が切断されているために、針6の糸通し孔6aから上糸が引かれる。このように手繰り部材71,72が動作することによって、縫製終了後上糸切断前は、上糸供給源から上糸が引き出され、上糸切断後は針6の糸通し孔6aから上糸が引かれる。なお、糸案内部材47に代えて糸調子装置が設けられている場合、縫製中に糸調子装置から上糸に作用する押圧力より、縫製終了後に手繰り部材71,72が動作している時に糸調子装置から上糸に作用する押圧力が大きい。ここで、手繰り部材71,72、第一駆動手段及び第二駆動手段が、糸引き手段となる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、縫製終了後に上糸が弛んでいるため、次の縫製の際に針が最初に下降しても針の目孔から上糸が引き抜かれない。従って、所謂目飛びの防止となる。また、針の目孔から上糸が引き出されるため、針の目孔から上糸の切断端部までの長さが短くなる。更に、針の目孔及び糸供給源の双方から上糸が引き出されるため、針の目孔から上糸が引き抜かれることが防止される上、次の縫製の際に針が最初に下降しても針の目孔から上糸が引き抜かれない。従って、目飛びが確実に防止されるとともに、次の縫製開始前において針の目孔から上糸の切断端までの長さを従来に比較して短くすることができる。
また、本発明では、糸の弛みを確保するための機構及び処理時間を利用して、針の目孔から上糸の端部までの長さを短くしているので、独立した機構や処理を新たに追加する場合と比較して、機構を簡単に構成でき、信頼性の向上が図れるとともにコストが低減でき、また、処理時間を低減して縫製効率の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用されたミシンを示す側面図であり、ミシンの送り台、ベッド部及びアーム部が破断して示されている。
【図2】上記ミシンに設けられた針、上糸切断装置及びルーパ機構を示す側面図であり、縫製終了後から次の縫製開始前までの過程が図2(a)〜図2(c)の順に示されている。
【図3】上記ミシンの上部を示す斜視図である。
【図4】上記ミシンに設けられた糸引き機構を示す平面図であり、糸引き機構の動作状態が図4(a)〜図4(c)に示されている。
【図5】上記ミシンの制御系を示すブロック図である。
【図6】上記ミシンの上部を示す側面図であり、縫製開始前から1サイクルして次の縫製開始前までの過程が図6(a)〜図6(e)の順に示されている。
【図7】別の例のミシンに設けられた上糸案内機構を示す概略平面図である。
【図8】従来のミシンの上部を示す側面図であり、縫製開始前から1サイクルして次の縫製開始前の過程が図8(a)〜図8(c)の順に示されている。
【図9】上記従来のミシンに設けられた針、上糸切断装置及びルーパ機構を示す側面図であり、縫製終了後から次の縫製開始前までの過程が図9(a)〜図9(c)の順に示されている。
【図10】上記従来のミシンの針及びその周辺を示す側面図である。
【図11】上記従来のミシンによって形成された縫い目を示す平面図である。
【図12】上記従来のミシンによって形成された縫い目を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ミシン
6 針
6a 糸通し孔(目孔)
15 上糸案内機構
17 糸調子装置(糸調子手段)
19 糸引き機構(糸引き手段)
23 調子皿組
24 ソレノイド
26 エアシリンダ(移動手段)
27 エアシリンダ(移動手段)
29 上糸手繰り部材(糸手繰り部材)
50 制御装置(制御手段)
60 被縫製物
70 上糸案内機構
71 糸手繰り部材(糸引き手段)
72 糸手繰り部材(糸引き手段)
P10 最前位置(第二位置)
P20 最後位置(第一位置)
P30 中間位置(第三位置)

Claims (2)

  1. 糸供給源から針に設けられた目孔へ至る上糸に張力を与える糸調子手段と、
    縫製終了後に前記目孔から被縫製物に連なる上糸を切断する糸切り手段と、
    縫製終了後に前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を引き出して、前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を弛ませておく糸引き手段と、
    縫製終了後、前記糸供給源及び前記目孔の双方から上糸が引き出されるように、前記糸調子手段、前記糸切り手段及び前記糸引き手段を制御する制御手段とを備え、
    前記糸引き手段が、
    前記糸供給源と前記目孔との間において上糸を手繰る手繰り部材と、
    前記糸供給源から前記手繰り部材を通じて前記目孔までの上糸の経路が短い第一位置と、上糸の経路が前記第一位置より長い第二位置と、前記第一位置での上糸の経路より長く、且つ前記第二位置での上糸の経路より短い第三位置とへ前記手繰り部材を移動する移動手段と、を備え、
    前記制御手段は、縫製中は前記第一位置に前記手繰り部材が位置するように、縫製終了後上糸切断前までは前記第三位置に前記手繰り部材が位置するように、更に、上糸切断後は前記手繰り部材が前記第三位置に位置した後に前記第二位置に位置するように前記移動手段を制御することを特徴とするミシン。
  2. 糸供給源から針に設けられた目孔へ至る上糸に張力を与える糸調子手段と、
    縫製終了後に前記目孔から被縫製物に連なる上糸を切断する糸切り手段と、
    縫製終了後に前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を引き出して、前記目孔と前記糸供給源との間において上糸を弛ませておく糸引き手段と、
    縫製終了後、前記糸供給源及び前記目孔の双方から上糸が引き出されるように、前記糸調子手段、前記糸切り手段及び前記糸引き手段を制御する制御手段とを備え、
    前記糸供給源から引き出される上糸の長さと、前記目孔から引き出される上糸の長さとの総和を一定のまま、前記糸供給源から引き出される上糸の長さ、及び、前記目孔から引き出される上糸の長さを変更可能としたことを特徴とするミシン。
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