JPH08864A - ミシンの糸制御装置 - Google Patents

ミシンの糸制御装置

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JPH08864A
JPH08864A JP13723494A JP13723494A JPH08864A JP H08864 A JPH08864 A JP H08864A JP 13723494 A JP13723494 A JP 13723494A JP 13723494 A JP13723494 A JP 13723494A JP H08864 A JPH08864 A JP H08864A
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needle
gripping
sewing machine
tension
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JP13723494A
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Yasuo Nishizawa
康夫 西沢
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Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動糸切り装置付きミシンの糸制御装置であ
って、糸切り後のミシン停止時に針先に残る針糸長さを
確保して安定させるようにする。 【構成】 天秤1と針穴との間の領域に、ミシンの駆動
軸の位相に同期して制御されて針糸17を把持して、糸
切り装置による針糸17の切断の際における天秤1の上
昇過程での針穴側からの針糸17の引き上げを阻止する
クランプ部材9を配設する。そして、天秤1に対し糸供
給側には、ミシンの駆動軸により制御されて糸切り装置
による針糸17の切断の際に針糸をゆるめることが可能
な可変糸調子器4の他に、糸切り装置による切断の際に
おけるクランプ部材9による針糸17の把持動作まで
は、天秤1の上昇過程での針糸17の糸供給側からの引
き上げを阻止する所定張力を具備した一定糸調子器2を
配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動糸切り装置付きの
本縫いミシン等のミシンにおいて、糸切り後のミシン停
止時に針先に残る針糸長さを確保して安定させるための
糸制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の自動糸切り装置付き本縫いミシン
において、糸切り後の針先糸長さに特に関係する部品と
して糸調子器、即ち、糸調子体があり、この糸調子体で
糸調子の張力を調整することにより、針先長さを調節し
ていた。従来の糸切り動作は以下の順序の通りである。
【0003】釜剣先により針糸を掛け、釜を回す分だ
けの糸を針板の下へ引き込む。 糸切り機構が駆動され、糸切りメスが針糸を捌き、糸
切り動作が始まる。 前記と同時に、ミシンの駆動軸により制御されて糸
切り装置による針糸の切断の際に針糸をゆるめる可変糸
調子器、即ち、第2の糸調子体が解放され、針糸の張力
は減少する。しかし、この場合、可変の第2の糸調子体
よりもさらに糸供給側に配設した第1の糸調子体は解放
されずに、針糸には弱い張力が付加されている。 天秤の上昇により糸の引き上げが始まり、前記の針
板下の糸を引き上げる。 前記で糸が捌かれており、前記で始まる天秤引き
上げに糸が足りないことから、針糸供給側より糸が引か
れる。 前記の時、糸取りばねの張力と第1の糸調子体の張
力が比較され、張力の低い方より糸が引かれる。 針糸および下糸を糸切り機構により切断する。この糸
切断後、針先の糸端は自由状態になる。 糸切断後も、天秤は上停止まで上昇し、前記の針先
糸を引き上げる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来の糸切り方法では、糸調子体やその他の摩擦
張力により、針先の糸長さが影響されてばらつきが大き
いものとなっていた。即ち、具体的には以下の通りであ
る。
【0005】(1)前記に対して針糸には、第1の糸
調子体の静止摩擦による張力付加であるため、ばらつき
を含みやすかった。また、針糸に付加される張力は、糸
切り機構のために低張力である必要があり、低張力では
さらにばらつきが大きくなりやすかった。
【0006】(2)前記に対して糸の引き上げは、天
秤を境にして針側の張力と糸調子体側の張力が比較さ
れ、張力が低い方より糸が引かれる。そして、通常は、
針側から糸を引き上げる。しかし、第1の糸調子体側に
おいて、その調節やばらつきによって張力が下がった場
合や、針側において、針先の糸と布の抵抗が大きかった
場合や、針板下で糸が引っかかった場合などは、第1の
糸調子体側から糸が引かれる。このような場合、針先の
糸が引き上げられないため、切断後の針先糸長は長くな
る。また、天秤による糸の引き量も、前述のような理由
によりばらつくので、切断後の針先糸長がばらついてし
まう。
【0007】(3)前記に対して糸取りばねは、その
ばねに働く針糸の張力によって、その動作量が変わる。
天秤により糸が取られる際、第1の糸調子体の張力が弱
いときは、その第1の糸調子体より糸が繰り出される。
また、糸取りばねの力が弱いときは、そのばねが揺動動
作し、針糸の余裕を作る。この糸取りばねの動作量は、
第1の糸調子体の張力と釣り合って決まる。そして、糸
切断後は、前記にあるように、針先の糸端が自由状態
になって、針先糸は低張力となる。また、糸取りばね
は、上停止までに針先糸を引きながら初期状態へ戻る。
この時に、針糸切断時の糸取りばね動作量が、針先糸の
引き量となる。この糸取りばね動作量を決める第1の糸
調子体の張力は、前記(1)のように、ばらつきやすい
ために、糸取りばね動作量も影響を受ける。この結果、
針先糸長がばらついてしまう。
【0008】そこで、本発明の目的は、自動糸切り後の
ミシン停止時に針先に残る針糸長さを確保して安定させ
るようにしたミシンの糸制御装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
本発明は、針糸を引き上げる天秤と、前記針糸を切断す
る糸切り装置と、前記天秤に対し糸供給側に配設され、
駆動軸により制御されて前記糸切り装置による前記針糸
の切断の際に前記針糸をゆるめることが可能な可変糸調
子器とを備え、且つ前記切断の際に前記針糸を把持する
ことを可能としたミシンの糸制御装置であって、前記天
秤と針穴との間の領域に配設され、前記駆動軸の位相に
同期して制御されて前記針糸を把持して、前記切断の際
における前記天秤の上昇過程での前記針糸の前記針穴側
からの引き上げを阻止するクランプ部材と、前記天秤に
対し前記糸供給側に配設され、前記切断の際における前
記クランプ部材による前記針糸の把持動作までは、前記
天秤の上昇過程での前記針糸の前記糸供給側からの引き
上げを阻止する所定張力を具備した一定糸調子器と、を
備えた構成を特徴としている。
【0010】なお、前記クランプ部材は、例えば、前記
天秤の上昇による前記針穴側からの前記針糸の引き上げ
方向に対応して揺動し、前記針糸に対する把持力を高め
る方向に作用する偏心部材であることが好ましい。
【0011】
【作用】本発明によれば、糸切り装置による針糸の切断
の際における後述するクランプ部材による針糸の把持動
作までは、天秤に対し糸供給側において、所定張力を具
備した一定糸調子器によって、天秤の上昇過程での針糸
の糸供給側からの引き上げが阻止されるので、天秤の上
昇により針穴側から針糸が引き上げられる。そして、糸
切り装置による針糸の切断の際には、ミシンの駆動軸に
より制御される可変糸調子器により糸供給側の針糸がゆ
るめられることに加えて、天秤と針穴との間の領域にお
いて、ミシンの駆動軸の位相に同期して制御されるクラ
ンプ部材により針糸が把持されるので、天秤の上昇過程
での針穴側からの針糸の引き上げが阻止されて、天秤の
上昇により前記一定糸調子器を経て糸供給側から針糸が
引き上げられる。
【0012】さらに、糸切り装置による針糸の切断後
は、前記一定糸調子器により針糸の糸供給側からの引き
上げが阻止されて、天秤の上昇により針穴側から針糸が
引き上げられるが、この時、前記クランプ部材により針
糸を把持して針穴側からの引き上げを阻止することで、
天秤の上昇により前記一定糸調子器を経て糸供給側から
針糸が引き上げられる。このように、針穴側からの針糸
の引き上げを阻止して、天秤の上昇により糸供給側から
針糸を引き上げるようにした結果、自動糸切り後のミシ
ン停止時に針先に残る針糸長さを確保して安定させられ
る。
【0013】なお、前記クランプ部材として偏心部材を
採用することで、天秤の上昇による針穴側からの針糸の
引き上げ方向に対応して揺動することにより、針糸に対
する把持力が高められるので、糸の把持効率の面で優れ
たものとなる。
【0014】
【実施例】以下に、本発明に係るミシンの糸制御装置の
実施例を図1乃至図6に基づいて説明する。
【0015】先ず、図1は本発明を適用した一例として
のミシンの糸制御装置を構成する糸調子装置および糸把
持装置部分側の構成を示すもので、ミシン頭部を正面側
から見た要部概略斜視図であり、1は天秤(糸引きレバ
ー)、2は一定糸調子器をなす第1の糸調子体、3は可
変糸調子器をなす第2の糸調子体、4は糸取りばね、5
は第1の糸案内、6は第2の糸案内、7は第3の糸案
内、8は糸把持取付台、9はクランプ部材をなす糸把持
ローラ、10は糸把持ローラ軸、11は第1の糸把持案
内、12は第2の糸把持案内、13は糸把持ローラ軸駆
動腕、17は針糸(上糸)、23は針である。
【0016】また、図2は図1の糸把持装置を作動する
駆動装置の構成を示すもので、ミシン頭部を背面側から
見た要部概略斜視図であり、14はワイヤ端金具、15
はワイヤ止め金具、16はフレキシブルワイヤ、18は
把持アクチュエータ取付台、19はアクチュエータ、2
0はワイヤ駆動腕、21はワイヤ駆動腕支え軸、22は
ワイヤ駆動腕戻しばねである。
【0017】実施例では、図1に示すように、2本の針
23,23を用いたミシンを示しており、ミシン頭部の
正面側において、2本の針23,23に対応して糸引き
レバーである天秤1よりも糸供給側には、2組ずつの一
定糸調子器(第1の糸調子体)2,2、可変糸調子器
(第2の糸調子体)3,3、糸取りばね4,4がそれぞ
れ配設されている。図示しない公知の糸供給部から供給
される針糸17は、順番に、一定糸調子器(第1の糸調
子体)2、可変糸調子器(第2の糸調子体)3、糸取り
ばね4、第1の糸案内5、第2の糸案内6を経て、天秤
1の糸通し穴に通されており、さらに、天秤1から下方
の針23へ向かう部分において、第3の糸案内7、第1
の糸把持案内11、糸把持装置(糸把持取付台8部
分)、第2の糸把持案内12等を経て、針23の針穴に
通されている。
【0018】先ず、一定糸調子器をなす第1の糸調子体
2は、従来のような針先糸長の変更のための調節が行え
ず、一定張力のままのいわゆる非解放糸調子体であり、
従来のような低張力のものではなくて、中または強程度
の張力を針糸17にかけるものである。また、可変糸調
子器をなす第2の糸調子体3は、従来と同様に、ミシン
の駆動軸(上軸)により制御されて、図示しない公知の
糸切り装置による針糸17の切断の際に針糸17をゆる
めることが可能なものである。なお、糸取りばね4も、
従来と同様の公知ものである。
【0019】糸把持装置部分について、糸把持取付台8
は、クランプ部材をなす偏心ローラによる糸把持ローラ
9を結合した糸把持ローラ軸10を支持して、ミシン頭
部に取り付けるためのものである。第1の糸把持案内1
1は、このような偏心ローラによる糸把持装置に針糸1
7を導入するためのものであり、また、第2の糸把持案
内12は、糸把持装置、即ち、偏心ローラの糸把持ロー
ラ9と糸把持面8aとの間を通過した針糸17を下方へ
導出するためのものである。
【0020】そして、糸把持ローラ軸駆動腕13は、糸
把持ローラ軸10に結合されて、糸把持装置の駆動源
(アクチュエータ19)からの動力が伝達されること
で、糸把持ローラ軸10を回転駆動するためのものであ
る。なお、針糸17は、図示しない下糸とともに結節を
作り、布の縫製を行う上糸であり、17aは、糸切り装
置により糸切りを行い、ミシン駆動軸が停止した後に、
針23の針穴から先に残る糸を示している。
【0021】また、図2に示すように、ミシン頭部の背
面側には、ワイヤ端金具14、ワイヤ止め金具15、フ
レキシブルワイヤ16、把持アクチュエータ取付台1
8、アクチュエータ19、ワイヤ駆動腕20、ワイヤ駆
動腕支え軸21、ワイヤ駆動腕戻しばね22がそれぞれ
配設されている。先ず、フレキシブルワイヤ16は、ア
クチュエータ19で発生した動力をワイヤ駆動腕20を
経て、図1の糸把持ローラ軸駆動腕13へ伝達するため
のものである。そして、把持アクチュエータ取付台18
は、アクチュエータ19やワイヤ駆動腕支え軸21等を
支持して、ミシン頭部へ固定するためのものである。
【0022】さらに、アクチュエータ19は、糸把持装
置の駆動力を発生させる駆動源であって、例えば、ソレ
ノイドにより構成されており、19aはその作動ロッド
である。そして、ワイヤ駆動腕20は、ワイヤ駆動腕支
え軸21により揺動自在に支持されて、アクチュエータ
19の作動ロッド19aに連結されていて、アクチュエ
ータ19で発生した駆動力を伝えるものである。ワイヤ
駆動腕戻しばね22は、アクチュエータ19による駆動
とは逆回転方向(図示反時計方向)の力をワイヤ駆動腕
20に与えるものである。なお、ワイヤ端金具14は、
ワイヤ駆動腕20とフレキシブルワイヤ16を接続する
ためのものであり、また、ワイヤ止め金具15は、フレ
キシブルワイヤ16のアウタチューブの一端を把持アク
チュエータ取付台18に固定するためのものである。
【0023】図3は図2に示す駆動装置から図1に示す
クランプ部材(糸把持ローラ)への連結構造を示すもの
で、図2に示したアクチュエータ19側の構造と同様
に、ワイヤ端金具14は、フレキシブルワイヤ16を糸
把持ローラ軸駆動腕13に接続しており、また、ワイヤ
止め金具15は、フレキシブルワイヤ16のアウタチュ
ーブの別の一端を糸把持取付台8に固定している。
【0024】図4は針糸17に対するクランプ部材(糸
把持ローラ)9のクランプ作用を説明するものであり、
矢印で示したように、糸把持ローラ9と糸把持面8aと
の間を通過する針糸17bの天秤による引き上げ方向U
と、偏心ローラによる糸把持ローラ9の糸把持動作の際
の回転方向Rとが一致したものとなっている。
【0025】図5は実施例の糸把持装置の制御回路の一
例を示すブロック構成図であり、位相検知器24は、ミ
シン駆動軸に取り付けられたセンサー、またはミシンを
制御する電気回路より得た駆動軸の位相に同期した位相
検知信号をカウンタ25に出す。このカウンタ25は、
設定値保持部26の位相信号を変換し、整数列でカウン
トして、位相比較器27に出す。設定値保持部26は、
糸把持装置の動作を開始する位相を決定するもので、そ
の設定された糸把持装置の動作開始位相を位相比較器2
7に出す。
【0026】この位相比較器27は、設定値保持部26
により設定された糸把持装置の動作開始位相と現在のミ
シン駆動軸の位相を比較するもので、その比較結果を駆
動装置出力部(ドライブ部)28に出す。この駆動装置
出力部をなすドライブ部28は、位相比較器27の出力
を得て、図2の糸把持駆動用のアクチュエータ19に駆
動信号を出すものである。
【0027】以上のような特に、中または強程度の一定
張力を針糸17にかける一定糸調子器をなす第1の糸調
子体2と、偏心ローラによる糸把持ローラ9とを備えた
構成の自動糸切り装置付きミシンにおいて、先ず、糸把
持装置のON動作について説明する。即ち、図5のドラ
イブ部28の出力により図2の糸把持駆動用のアクチュ
エータ19を駆動させると、ソレノイドによるアクチュ
エータ19は吸引力を発生して、作動ロッド19aに直
線運動を行わせる。
【0028】この時、ワイヤ駆動腕20は、ワイヤ駆動
腕支え軸21により回転自在に支持されて、作動ロッド
19aに連結されいるので、作動ロッド19aの前記直
線運動によりワイヤ駆動腕支え軸21廻りの揺動運動
(図2の時計廻り方向)を行う。ここで、ワイヤ駆動腕
戻しばね22は、アクチュエータ19による駆動とは逆
回転方向(図2の反時計廻り方向)の力をワイヤ駆動腕
20に与えているので、このワイヤ駆動腕20の揺動運
動により逆方向の力が、ワイヤ駆動腕戻しばね22に蓄
積される。
【0029】そして、ワイヤ駆動腕20は、ワイヤ端金
具14によりフレキシブルワイヤ16に連結しているの
で、ワイヤ駆動腕20の揺動運動(図2のワイヤ駆動腕
支え軸21廻りの時計廻り方向)はフレキシブルワイヤ
16に引き力として伝達される。このフレキシブルワイ
ヤ16の他端には、図3に示したように、ワイヤ端金具
14により糸把持ローラ軸駆動腕13が連結されてお
り、この糸把持ローラ軸駆動腕13は、糸把持ローラ軸
10と結合されて、糸把持取付台8に回転自在に支持さ
れている。従って、前記のようにフレキシブルワイヤ1
6に伝えられた引き力は、糸把持ローラ軸駆動腕13に
伝達されて、この糸把持ローラ軸駆動腕13および糸把
持ローラ軸10に揺動運動を行わせる。
【0030】他方、糸把持取付台8は、図1および図4
に示したように、糸把持面8aを持っており、この糸把
持面8aと平行に糸把持ローラ軸10が配置されてい
る。この糸把持ローラ軸10には、偏心ローラによる糸
把持ローラ9が結合されていて、糸把持面8aとの間に
所定の距離を保って対面している。また、糸供給部から
送られる針糸17は、第1の糸把持案内11に導かれ
て、糸把持面8aと糸把持ローラ9との間を通過してい
る(図4の17b参照)。そして、実施例において、詳
細には、糸把持ローラ9の軸芯は、糸把持ローラ軸10
の軸芯から糸把持面8aと糸把持ローラ9との間の初期
設定間隔の1/2以上偏心している。
【0031】従って、前記揺動運動を行った糸把持ロー
ラ軸10は、糸把持ローラ9にも揺動運動を行わせ、こ
の糸把持ローラ9と糸把持ローラ軸10は偏心している
ために、糸把持面8aと糸把持ローラ9と間隔は偏心ロ
ーラによる糸把持ローラ9の揺動運動により変化する。
この糸把持面8aと糸把持ローラ9と間隔が減少するよ
うに、糸把持ローラ9と糸把持ローラ軸10を結合して
いるので、図4において、糸把持ローラ9は針糸17b
を糸把持面8aへ押し付けて、針糸17を把持すること
ができる。
【0032】次に、糸把持装置のOFF動作について説
明する。図5のドライブ部28の制御により把持駆動出
力がOFFになると、図2の糸把持駆動用のソレノイド
によるアクチュエータ19は吸引力を失い、前述したよ
うに、ワイヤ駆動腕戻しばね22に蓄積されていたばね
力により、ワイヤ駆動腕20が戻し回転方向(図2のワ
イヤ駆動腕支え軸21廻りの反時計廻り方向)へ揺動し
て、このワイヤ駆動腕20からフレキシブルワイヤ16
に前記とは逆向きの押し力が伝わる。従って、糸把持ロ
ーラ軸駆動腕13は、フレキシブルワイヤ16による押
し力の伝達を受け、初期位置への戻し方向へ揺動し、糸
把持ローラ軸10および糸把持ローラ9も揺動する。こ
の糸把持ローラ9の揺動は、糸把持ローラ9と糸把持面
8aの間隔を増加させるので、把持されていた針糸17
が解放される。
【0033】次に、糸把持ローラ9の回転方向について
説明する。図4に示したように、糸把持ローラ軸10の
回転と一体に糸把持ローラ9が動作し、針糸17bを糸
把持面8aへ押し付ける。針糸17bは、天秤1の上昇
による引き上げにより、天秤1側である上方に移動する
(矢印U参照)。この時、糸把持ローラ9による針糸1
7bを糸把持面8aへ押し付ける回転方向Rを、針糸1
7bの移動方向Uと同一になるように糸把持装置を構成
している。従って、偏心ローラによる糸把持ローラ9と
糸把持面8aとは、糸把持の際にくさび状の角度を形成
することになり、針糸17bの引き上げ動作は、糸把持
ローラ9と糸把持面8aとによるくさび状の角度に食い
込むようになって、糸の把持効率を増加させるものとな
る。
【0034】次に、糸切りに関連する具体的な糸把持の
制御について説明する。図6は実施例の糸把持装置の動
作タイミングを示すタイミングチャートであり、下位置
検知信号29、上位置検知信号30は、それぞれ駆動軸
1回転につき1回出力される信号である。位相検知信号
32は、駆動軸1回転につき複数回(例えば、24回
等)出力される信号であり、その間隔は駆動軸の回転角
に比例して出力される。糸切り信号31は、ミシンの制
御回路より出力される糸切り駆動のための出力信号であ
る。
【0035】糸把持装置の制御においては、先ず、位相
検知信号32の出力数をカウントする(図6のカウント
33参照)。このカウントは、駆動軸1回転ごとにリセ
ットされる。本制御では、下位置検知信号29の信号に
よりリセットをかける。これにより、カウント33は、
駆動軸の位相を数で表せる。図5の再設定・変更が可能
な設定値保持部26により把持動作位相値を設定し、位
相比較器27において、カウンタ25による図6のカウ
ント33のカウント数と比較する。ミシン制御装置より
図6の糸切り装置駆動信号31が出され、図5の設定値
保持部26により設定された糸把持装置の動作開始位相
と図6のカウント33のカウント数による現在のミシン
駆動軸の位相が一致した時、図5の駆動装置出力部(ド
ライブ部)28より糸把持装置に糸把持駆動出力信号3
4が出力され、この駆動装置出力部をなすドライブ部2
8の出力により、図2の糸把持駆動用のアクチュエータ
19が駆動される。
【0036】そして、設定値保持部26の設定値は、把
持解除位相値に切り替わり、カウント33のカウント数
と比較する。これが一致した時に、糸把持駆動出力信号
34がOFFになり、ドライブ部28が出力を止め、ア
クチュエータ19は初期状態に戻されて、糸把持ローラ
9による針糸17の把持が解除される。または、糸切り
信号31がOFFになり、さらに時間を遅らせ(図6の
ディレイ1参照)、駆動軸が完全に停止した時点で、糸
把持駆動出力信号34をOFFにして(図6のディレイ
2参照)、前記と同様に、糸把持ローラ9による針糸1
7の把持が解除される。
【0037】以上の制御により、針糸17の把持動作お
よび解除動作は、駆動軸の位相に対して、同期制御およ
び調節が可能となる。また、糸把持動作の開始/解除の
調節は、駆動軸、糸切り機構、また、実施例の糸ゆるめ
可能な第2の糸調子体3の付いたミシンでは、糸ゆるめ
に対し、独立して行うことが可能となる。
【0038】次に、縫製中の具体的な動作タイミングの
詳細について説明する。先ず、以上の構成、動作による
糸把持装置は、図1に示すように、天秤1と針23の針
穴の間の領域に配置され、縫製過程中において、糸切り
動作中に駆動される。
【0039】通常、ミシンの糸切り動作で、天秤1は、
その天秤下死点までの下降動作で針糸17をたるませ、
針板下の図示しない公知の釜の動作により針糸17は針
板下に引き込まれる。天秤1より針糸17の糸供給側、
または、図1に示すように、糸取りばね4があるミシン
では、実施例のように、その糸取りばね4よりも糸供給
側に、針糸17に一定の張力を与える第1の糸調子体2
がある。これにより、天秤1が下死点を過ぎ上昇に移っ
た時、先の針板下に引き込まれた針穴側の針糸17を引
き上げる。この時に、糸把持装置を調節して駆動させる
と、針穴側の針糸17の引き上げが妨げられ、天秤1は
糸供給側より針糸17を引き込む。
【0040】その後、糸把持装置または糸切り装置によ
り針糸17の針穴側の引き上げが止められ、糸供給側か
ら針糸17が引かれる。そして、糸切り装置による針糸
17の切断後、第1の糸調子体2により、天秤1は自由
端となって針穴から先に残る糸17a(図1参照)を引
き上げ始め、天秤1の上死点付近まで引き上げ続ける。
この時点で、糸把持装置を駆動させることにより、自由
端となって針穴から先に残る糸17aの引き上げを防止
する。これにより、天秤1は糸供給側より針糸17を引
き込む。
【0041】以上のようにして、糸切り動作中から天秤
1の上死点付近のミシン駆動停止、または停止後の間
に、前述したような調節可能な制御により、針糸17の
把持の開示、解除を行うことで、前述した針穴側からの
針糸17の引き上げを防止することができる。これによ
り、糸供給側から針糸17が引き出され、結果として、
自由端となって針穴から先に残る糸17aが確保され
る。
【0042】以上の通り、実施例のミシンの糸制御装置
によれば、以下の効果が得られる。 偏心ローラによる糸把持ローラ(偏心クランプ)9を
利用した糸把持装置で、糸のクランプが行える。 糸のすべり等によるクランプミスを防止し、クランプ
効率が上がる。 天秤1よりも針糸供給側に、十分な張力を針糸に与え
られる一定糸調子器(第1の糸調子体)2を配置するこ
とにより、布が厚いなどで針糸引き上げに抵抗がある場
合でも、引き上げを可能にする。 糸把持装置を配置して制御することで、針板下の余り
針糸の引き上げと、切断後に自由端となった針先針糸の
引き上げをともに防ぎ、結果として、針穴先の針糸の長
さを適量に確保できる。 糸把持装置を、ミシンの駆動軸の位相に対して同期で
制御することで、駆動軸の速度変動等の影響を受けず、
よって、針穴先針糸長が安定する。 前記効果と同じく、ミシンの駆動軸の位相に対して
同期で糸把持装置を制御することにより、天秤1の引き
上げ防止量(針糸17の供給側からの引き込み量)が安
定する。また、針糸17の引き込み量を糸調子張力によ
らないので、糸の摩擦のばらつきの影響が少ない。よっ
て、針先針糸長が安定する。
【0043】さらに、実施例のミシンの糸制御装置によ
れば、前記[発明が解決しようとする課題]で述べた問
題点との対比において、以下の効果が得られる。
【0044】(1)第1の糸調子体2を中〜強張力の一
定糸調子器にすることで、前記従来の問題(2)を防止
する。即ち、糸把持装置の動作までは、糸を第1の糸調
子体2側からではなく、針穴側から引かれるようにして
いる。ここで、糸の引き上げ量は、天秤1の上昇分で、
機械的に一定である。しかし、前記従来の問題(2)で
述べたように、第1の糸調子体2や針23側の摩擦張力
がばらつきやすく、糸が引かれる方向も不安定である。
これに対し、第1の糸調子体2の中〜強張力により、一
方向(針側)から糸を引かせるようにしているので、不
安定要素が減少する。その後、糸把持動作は、ミシンサ
イクルに同期して作動するので、天秤1により針23側
から引く量は機械的に決まる。また、糸把持装置の作動
後、針23側からの糸引きが制限され、供給側からの糸
引きに転換する。
【0045】(2)糸把持タイミングは任意設定であ
り、その作動後は天秤1の上死点付近の上停止まで作動
する。その間、天秤1は上昇し、糸を引く。しかし、針
23側の糸は、把持装置により制限されているので、供
給側より糸が引かれる。その糸の引き量は、前記効果
(1)で述べたように、天秤1により機械的に一定なの
で、一方向(供給側)から一定量の糸が引かれる。
【0046】(3)前記効果(2)で供給側から糸を引
くときに、前記従来の問題(3)で述べたような問題が
考えられる。しかし、非解放糸調子体(第1の糸調子
体、即ち、一定糸調子器)2は、張力を高く設定してあ
るので、先ず、糸取りばね4より糸が引かれ、足りない
分が第1の糸調子体2より引かれる。従って、第1の糸
調子体2の張力ばらつきにより、糸取りばね4の作動量
が大きく変わることがなくなる。その結果として、糸把
持解放後、糸取りばね4が初期位置に復帰するのと同時
に、針先糸が引き戻される量も安定する。
【0047】なお、以上の実施例においては、偏心ロー
ラによる糸把持ローラ(偏心クランプ)を利用した糸把
持装置としたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、他のクランプ部材を用いた糸把持装置であってもよ
い。また、実施例では、2本針のミシンとしたが、1本
針のミシンであってもよく、さらに、クランプ部材の駆
動装置等も任意であり、その他、具体的な細部構造等に
ついても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るミシンの糸
制御装置によれば、先ず、針糸の把持動作までは、一定
糸調子器により針糸の糸供給側からの引き上げを阻止し
て、天秤の上昇により針穴側から針糸を引き上げ、続い
て、針糸切断の際には、クランプ部材により針糸を把持
して、針穴側からの針糸の引き上げを阻止し、天秤の上
昇により糸供給側から針糸を引き上げ、針糸切断後も、
糸供給側から針糸を引き上げるようにできるため、自動
糸切り後のミシン停止時に針先に残る針糸長さを確保し
て安定させることができる。
【0049】なお、請求項2記載のように、前記クラン
プ部材として偏心部材を採用すれば、天秤の上昇による
針穴側からの針糸の引き上げ方向に対応した揺動より、
針糸に対する把持力が高められるため、糸の把持効率の
面で優れたものとなるといった利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一例としてのミシンの糸制御
装置を構成する糸調子装置および糸把持装置部分側の構
成を示すもので、ミシン頭部を正面側から見た要部概略
斜視図である。
【図2】図1の糸把持装置を作動する駆動装置の構成を
示すもので、ミシン頭部を背面側から見た要部概略斜視
図である。
【図3】図2に示す駆動装置から図1に示すクランプ部
材(糸把持ローラ)への連結構造を示す概略側面図であ
る。
【図4】針糸に対するクランプ部材(糸把持ローラ)の
クランプ作用を説明する拡大側面図である。
【図5】実施例の糸把持装置の制御回路の一例を示すブ
ロック構成図である。
【図6】実施例の糸把持装置の動作タイミングを示すタ
イミングチャートである。
【符号の説明】
1 天秤 2 一定糸調子器(第1の糸調子体) 3 可変糸調子器(第2の糸調子体) 4 糸取りばね 5,6,7 糸案内 8 糸把持取付台 8a 糸把持面 9 クランプ部材(糸把持ローラ) 10 糸把持ローラ軸 11,12 糸把持案内 13 糸把持ローラ軸駆動腕 14 ワイヤ端金具 15 ワイヤ止め金具 16 フレキシブルワイヤ 17 針糸 17a 針穴より先に残る糸 17b 糸把持部を通る針糸 18 把持アクチュエータ取付台 19 アクチュエータ 20 ワイヤ駆動腕 21 ワイヤ駆動腕支え軸 22 ワイヤ駆動腕戻しばね 23 針

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針糸を引き上げる天秤と、前記針糸を切
    断する糸切り装置と、前記天秤に対し糸供給側に配設さ
    れ、駆動軸により制御されて前記糸切り装置による前記
    針糸の切断の際に前記針糸をゆるめることが可能な可変
    糸調子器とを備え、且つ前記切断の際に前記針糸を把持
    することを可能としたミシンの糸制御装置であって、 前記天秤と針穴との間の領域に配設され、前記駆動軸の
    位相に同期して制御されて前記針糸を把持して、前記切
    断の際における前記天秤の上昇過程での前記針糸の前記
    針穴側からの引き上げを阻止するクランプ部材と、 前記天秤に対し前記糸供給側に配設され、前記切断の際
    における前記クランプ部材による前記針糸の把持動作ま
    では、前記天秤の上昇過程での前記針糸の前記糸供給側
    からの引き上げを阻止する所定張力を具備した一定糸調
    子器と、 を備えたことを特徴とするミシンの糸制御装置。
  2. 【請求項2】 前記クランプ部材は、前記天秤の上昇に
    よる前記針穴側からの前記針糸の引き上げ方向に対応し
    て揺動し、前記針糸に対する把持力を高める方向に作用
    する偏心部材であることを特徴とする請求項1記載のミ
    シンの糸制御装置。
JP13723494A 1994-06-20 1994-06-20 ミシンの糸制御装置 Pending JPH08864A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1147479A (ja) * 1997-07-29 1999-02-23 Juki Corp ミシンの糸張力調整装置
DE10307022B4 (de) * 2002-02-20 2008-07-24 Juki Corp., Chofu Nähmaschine

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1147479A (ja) * 1997-07-29 1999-02-23 Juki Corp ミシンの糸張力調整装置
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