JP4081622B2 - 芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性、低い光弾性定数、高い屈折率および逆分散値を有し、優れた透明性、耐熱性を有する芳香族−脂肪族ポリカーボネートの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは色調の良好な芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを酸結合剤の存在下、界面重合させて得られるポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性にも優れていることから、光学材料として各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などに利用されている。
【0003】
しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAだけを用いてなるポリカーボネートでは、光弾性定数が大きく、溶融流動性が比較的悪いために成型品の複屈折が大きくなり、また屈折率は1.58と高いもののアッベ数が30と低いため、広く光記録材料や光学レンズ等の用途に用いられるには十分な性能を有していないという欠点がある。
【0004】
このようなビスフェノールA−ポリカーボネートの欠点を解決する目的で、本発明者らは、先に芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂(特願平8−276260)を提案した。この芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃性、耐熱性を有し、その上光弾性定数が小さく、アッベ数が高いことから、広く光学材料として用いることが可能である。このような芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートは、通常のホスゲン法では製造することが困難であり、エステル交換法として知られる方法、すなわち芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応によって重縮合させる方法が好適に用いられる。
【0005】
エステル交換反応では、ポリカーボネートを製造する際に、通常200℃〜330℃の温度に加熱しながら重縮合を行うために、高温で長時間の熱履歴を受け色調の悪化等、品質的に優れたものを得るのが困難であるという欠点を有する。このため、この方法により得られるポリカーボネートは色調が要求される分野に用いることが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、優れた耐衝撃性、耐熱性と高いアッベ数と低い光弾性定数を有し、さらに色調にも優れる芳香族−脂肪族ポリカーボネートおよび該ポリカ−ボネ−トの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位と下記式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位と炭酸ジエステルから誘導される構成単位とからなることを特徴としている。
【0008】
【化4】
Figure 0004081622
【0009】
(上記式(1)において、Xは
【0010】
【化5】
Figure 0004081622
【0011】
であり、ここに、R3およびR4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していても良い。R1およびR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、R1とR2は同じでも異なっていても良い。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。)
【0012】
【化6】
Figure 0004081622
【0013】
(上記式(2)において、R5、R6、R7およびR8は水素原子または炭素数1〜10の1価のアルキル基である。)
【0014】
上記式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物は、一般に、下記反応式(3)で表されるヒドロキシアルデヒドとペンタエリスリトールとの酸触媒反応により合成される。一般に酸触媒として、塩酸、リン酸、硝酸等の鉱酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸を用いることが出来る。
【0015】
【化7】
Figure 0004081622
【0016】
(上記反応式(3)において、R5 、R6 、R7 およびR8 はそれぞれ水素原子または炭素数1〜10の1価のアルキル基である。)
上記反応式(3)中に示されるヒドロキシアルデヒドは、下記反応式(4)に示される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとの交叉アルドール縮合により合成され、酸性、アルカリ性のいずれかの触媒存在下で進行する。但し、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等の鉱酸もしくはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸を用いた場合、ヒドロキシアルデヒドが2量化、4量化するために、一般には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基が用いられることが多い。特に工業的には、収率、純度等の理由でトリエチルアミンが好適に用いられる。
【0017】
【化8】
Figure 0004081622
【0018】
(上記反応式(4)において、R5、R6は水素原子または炭素数1〜10の1価のアルキル基である。また、置換基R5、R6をR7、R8に置き換えたヒドロキシアルデヒドも上記反応式(4)と同様に合成することが出来る。)
ヒドロキシアルデヒドは、2量化、4量化するために、単量体としては比較的不安定であり、反応中間体でもあることから、工業的には精製工程を経ずに、次の合成段階で使用されることが多い。従って、アミン触媒を用いて合成されたヒドロキシアルデヒドは、アミン触媒が残ったまま、次工程で用いられるために、上記反応式(3)で得られる脂肪族ジヒドロキシ化合物中に、アミン化合物が残存してしまう。ジヒドロキシアルデヒドの合成触媒にアミンを用いない、もしくはジヒドロキシアルデヒドを精製してから脂肪族ジヒドロキシ化合物の合成に供する方法をとれば、アミンの残存の問題は回避することが出来る。
【0019】
しかしながら、市販されている上記脂肪族ジヒドロキシ化合物の場合には、上記のヒドロキシアルデヒドの合成においてトリエチルアミン等のアミン触媒を用いていることから、脂肪族ジヒドロキシ化合物中に不純物としてアミン化合物が残存している。本発明者らは、市販品中の窒素含有量を低減させるため、鋭意検討した結果、上記芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの色調と、用いる脂肪族ジヒドロキシ化合物の窒素含有量との間に相関関係があることを見出し、窒素含有量が9ppm以下である芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートが色調の良好であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち本発明は、上式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と、上式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを加熱溶融下重縮合して得られた窒素含有量が9ppm以下である芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートおよび該芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを製造するに際して、窒素含有量が10ppm以下の脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いる芳香族−脂肪族ポリカーボネートの製造方法である。
【0021】
本発明において、脂肪族ジヒドロキシ化合物中の窒素含有量は、全窒素分析装置で測定される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関わる芳香族−脂肪族ポリカーボネートの製造方法を具体的に説明する。
本発明に関わるポリカーボネートは、上式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位と上式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位と、炭酸ジエステルから誘導される構成単位からなる。
【0023】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が用いられる。
【0024】
これらのうちで、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールA、あるいは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。
【0025】
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、3,9−ビス(2−ヒドロキシエチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジエチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジプロピルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどが用いられる。好ましくは、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンが用いられる。
【0026】
本発明においては、上記脂肪族ジヒドロキシ化合物中の窒素含有量が、10ppm以下となるように精製したものを用いることを特徴とする。
【0027】
上記脂肪族ジヒドロキシ化合物中の窒素含有量は、種々の方法で測定可能であるが、簡便には、試料を燃焼した後のガス成分中の窒素酸化物を測定することで測定可能である。化学発光方式を用いた全窒素分析計としては、例えば三菱化学製TN−10が市販されており、本装置を用いて脂肪族ジヒドロキシ化合物の窒素含有量を測定した。
【0028】
このような窒素含有量が特定値以下を与える脂肪族ジヒドロキシ化合物を製造するには、蒸留、再結晶などの精製方法を効果的に用いることができるが、本発明では、上記脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶媒に加熱溶解後、冷却して再結晶させる方法が特に有効であり、その際、窒素含有不純物を吸着によって除去する工程もしくは水洗する工程を入れるとさらに効果的である。
【0029】
本発明に用いることのできる再結晶溶媒としては、脂肪族ジヒドロキシ化合物の溶解度が高温において十分に高く、且つ室温付近での溶解度が十分低いものであることが好ましく、さらにこの再結晶の操作によって窒素含有不純物が除去されるものであればさらに好ましい。このような特性を持つ溶媒としては、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0030】
さらに具体的な化合物を例示すれば、アルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、等を挙げることができる。
【0031】
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチル−n−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ジアリルエーテル、エチルアリルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。
【0032】
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸n−アミル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸n−アミル、酪酸イソアミル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸イソアミル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、吉草酸n−アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸イソアミル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどを挙げることができる。
【0033】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、ピナコロン、ジエチルケトン、ブチロン、ジイソプロピルケトン、メチルビニルケトン、メシチルオキシド、メチルヘプテノン、シクロブタノン、シクロヘキサノン、等を挙げることができる。
【0034】
芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、等を挙げることができる。
【0035】
これらのうち、特に好ましい再結晶溶媒としてはアルコール類であり、さらに好ましくは炭素数が1〜10のアルコールである。また、上記の溶媒を2種以上、混合して用いることもできる。
【0036】
また、再結晶操作中に上記脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶解した再結晶溶媒を加熱下において水で洗浄する工程を含む場合には、上記の再結晶溶媒の中で水と層分離する有機溶媒を選択することが必要となる。アルコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、等の有機溶媒から、水と層分離する有機溶媒を選択すればよいが、特に好ましい有機溶媒として、C4〜C10のアルコールが挙げられる。
【0037】
更に具体的には、アルコール系溶媒として、n−ブチルアルコ−ル、i−ブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、tert−ブチルアルコ−ル、n−アミルアルコ−ル、2−ペンチルアルコ−ル、3−ペンチルアルコ−ル、i−アミルアルコ−ル、2−メチル−1−ブタノ−ル、3−メチル−2−ブタノ−ル、ネオペンチルアルコ−ル、tert−ペンチルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ル、ヘプチルアルコ−ル、オクチルアルコ−ル、カプリルアルコ−ル、ノニルアルコ−ル、デシルアルコ−ル、シクロペンタノ−ル、シクロヘキサノ−ル等を挙げることができる。これらの溶媒の中でも特に好ましい溶媒として、n−ブチルアルコ−ル、i−ブチルアルコ−ル、n−アミルアルコ−ル、i−アミルアルコ−ルを挙げることができる。
【0038】
再結晶は公知の方法で実施することができ、原料純度等に応じて2回以上の多数回の再結晶を実施しても良い。再結晶で得られた結晶は、濾過、洗浄後、適当な方法で乾燥し、樹脂原料として用いる。
【0039】
再結晶工程中に吸着剤と接触させる工程を含ませることにより、さらに窒素含有不純物を低減することができる。すなわち、脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶媒に溶解後、吸着剤と接触させる。その方法として、溶液中に吸着剤を添加し撹拌を行うバッチ法、カラム中に充填した吸着剤層に溶液を通す流通法のいずれによっても好適に実施される。
【0040】
吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、等が好適に使用されるが、活性炭が特に好ましい。
【0041】
吸着処理を行った溶液から濾過などの方法により吸着剤を完全に除去した後は、上述した通常の再結晶により脂肪族ジヒドロキシ化合物の結晶が得られる。
【0042】
再結晶工程中に上記脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶解した再結晶溶媒を加熱下において水で洗浄する工程を含ませることにより、さらに窒素含有量を低減することができる。この方法は、バッチ式でも、ミキサーとセトラーの組み合わせ等の連続式のいずれでも好適に実施される。
【0043】
脂肪族ジヒドロキシ化合物を有機溶媒に加熱溶解した後に、加熱下水と接触させて洗浄しても良いし、あらかじめ脂肪族ジヒドロキシ化合物、有機溶媒、水を混合した後に、所定の温度まで加熱して溶解し、洗浄しても良い。
【0044】
水での洗浄回数が多い程、脂肪族ジヒドロキシ化合物中の窒素含有量は低下するが、経済的には水での洗浄回数は少ないほど好ましい。
【0045】
また、pH調節剤、還元剤、酸化剤を含む水溶液で脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶解した再結晶溶媒を洗浄することも効果がある。
【0046】
アルカリ性水溶液で洗浄する場合に用いられる塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、4ホウ酸リチウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、アンモニア等が上げられる。これらの中で好適に用いられる塩基性化合物として、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
【0047】
酸性水溶液で洗浄する場合に用いられる酸性化合物としては、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が上げられる。これらの中で好適に用いられる酸性化合物として、ホウ酸が挙げられる。
【0048】
還元性物質としては、ハイドロサルファイトナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素リチウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられ、好ましい還元性物質としてはハイドロサルファイトナトリウムが挙げられる。ハイドロサルファイトナトリウムで処理するpHは酸性でもアルカリ性でも良いが、アルカリ性の方がより効果が高く、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、4ホウ酸リチウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、アンモニア等の塩基性化合物と併用することが好ましい。併用する塩基性化合物として好適なものとして、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0049】
酸化性物質としては、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸リチウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マンガン酸ナトリウム、マンガン酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、重クロム酸カリウム、クロム酸カリウム、等の酸化性物質が用いることが出来る。これらの酸化性物質の中でも、過酸化水素が好ましい。過酸化水素を用いる場合には、中性でもよいが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、4ホウ酸リチウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、アンモニア等の塩基性化合物と併用するか、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸性化合物と併用することが好ましい。特に好ましいpH調節剤としてはホウ酸が挙げられる。
【0050】
これらのpH調節剤、還元剤、酸化剤を含む水溶液で、脂肪族ジヒドロキシ化合物を含む有機溶媒を洗浄した後は、添加したpH調節剤、還元剤、酸化剤の残存が問題となる為、1回以上の水で洗浄する事が必要となる。従って、水溶液での洗浄回数として好ましい範囲は1〜10回であり、より好ましくは2〜5回である。
【0051】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂は、上式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位と、上式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位からなり、ランダム、ブロック、あるいは交互共重合体、もしくは上式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位からなるポリカーボネートと、上式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位からなるポリカーボネートのブレンドなどを含むものであるため、優れた耐熱性、および色相、さらにバランスのとれた屈折率および分散特性を示し、複屈折率が低いという特徴を示す。
【0052】
本発明においては、このような芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位(以下、(I)と称する。)と脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位(以下、(II)と称する。)のモル比(I)/(II)が、90/10〜10/90であることが好ましく、さらに好ましくは80/20〜20/80が好ましい。すなわち、該ポリカーボネート中の芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位のモル比(I)/(II)が10/90より低いと耐熱性に劣るものとなり、90/10より高いと光弾性定数、吸水率などが高くなり、さらに屈折率とアッベ数のバランスが悪くなり光学材料としては好ましくない。
【0053】
本発明では、炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が用いられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.10モルの量である。
【0054】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は30,000〜200,000であることが好ましく、さらに好ましくは50,000〜120,000である。
【0055】
本発明に関わるポリカーボネートの製造方法では、触媒として、塩基性化合物が用いられる。このような塩基性化合物としては、特にアルカリ金属および/またはアルカリ土類化合物、含窒素化合物等があげられる。
【0056】
このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類化合物等の有機酸、無機塩類、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0057】
このようなアルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
【0058】
また、アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
【0059】
また、含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩等が用いられる。
【0060】
これらの触媒は、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物との合計1モルに対して、10-9〜10-3モルの量で、好ましくは10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0061】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。
【0062】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行っても良い。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、槽型であっても押出機型であってもよい。
【0063】
本発明の重合終了時の生成物であるポリカーボネートには、熱安定性、および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させることが好ましく、公知の酸性物質の添加によるアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属等のエステル交換触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、p−トルエンスルホン酸のごとき芳香族スルホン酸、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、ステアリン酸クロライド、酪酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライドのごとき有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸のごときアルキル硫酸、塩化ベンジルのごとき有機ハロゲン化物等、ホウ酸、リン酸等の無機酸等が好適に用いられる。
【0064】
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1mmHgの圧力、200〜300℃の温度で脱気除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
【0065】
さらに本発明において、上記熱安定化剤、加水分解安定化剤の他に、酸化防止剤、顔料、染料、強化剤や充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良材、帯電防止剤などを添加することができる。
【0066】
これらの添加剤は、従来から公知の方法で各成分をポリカーボネート樹脂に混合することができる。例えば、各成分をターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合後、押し出し機、バンバリーミキサー、ロールなどで溶融混練する方法が適宜選択される。
【0067】
【発明の効果】
本発明ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートの優れた耐衝撃性、耐熱性、等の特性を維持しながら、屈折率、分散のバランスおよび光弾性定数などが改善されたものなので、各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などのプラスチック光学材料用として好適に利用できる。
【0068】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0070】
実施例1
市販の3,3’−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下スピログリコールという)800gをメタノール10リットルに温度60℃で完全に溶解させた後、室温まで冷却しスピログリコールを再結晶させた。結晶を濾別し、結晶とほぼ同体積のメタノールでリンスした後、真空乾燥機で60℃で乾燥させ結晶560gを得た。この結晶の窒素含有量は8.5ppmであった。
【0071】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン22.8g(0.10モル)、上で得た精製スピログリコール30.4g(0.10モル)、ジフェニルカーボネート43.3g(0.202モル)、炭酸水素ナトリウム6.0×10−7モルを撹拌機および留出装置つきの300cc四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下180℃に加熱し、30分間撹拌した。
【0072】
その後、減圧度を150mmHgに調整すると同時に、60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行いエステル交換反応を行った。さらに、フェノールを留去しながら260℃まで昇温し、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を1mmHg以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、生成ポリカーボネートを取り出した。このポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0073】
実施例2
スピログリコールの再結晶溶媒として、メタノールの代わりにイソブタノールを用い、スピログリコール800gを90℃でイソブタノール10リットルに完全に溶解させた後、室温に冷却し再結晶を行った。結晶を濾別後、結晶とほぼ同体積のイソブタノールで結晶を洗浄し、80℃で真空乾燥させてスピログリコール結晶700gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は9.1ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0074】
実施例3
スピログリコールの再結晶溶媒として、メタノールの代わりに2−エトキシエタノールを用い、スピログリコール800gを90℃で2−エトキシエタノール10リットルに完全に溶解させた後、室温に冷却し再結晶を行った。結晶を濾別後、結晶とほぼ同体積の2−エトキシエタノールで結晶を洗浄し、80℃で真空乾燥させてスピログリコール結晶720gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は6.8ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0075】
実施例4
スピログリコール800gを2−エトキシエタノール10リットルに完全に90℃で完全に溶解させた溶液を、市販の活性炭カートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)社製TCC−W1)を通した後、室温に冷却しスピログリコールを再結晶させた。結晶を濾別後、ケーキをほぼ同体積の2−エトキシエタノールを用いてリンスし、真空乾燥機で80℃で乾燥させ結晶720gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は2.6ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0076】
実施例5
市販のスピログリコール875gをi−ブチルアルコール10リットルおよび水8.75kgおよびホウ酸5.6g中で、撹拌下75℃で完全に溶解させ、さらに75℃で1時間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層6.78kgを抜き出した。さらに、75℃の水3.75kgおよび炭酸カリウム0.1gを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.03kgを抜き出した。75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.12kgを抜き出した。再び75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.13kgを抜き出した。さらに、75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.19kgを抜き出した。残った有機層を5Cの濾紙を用いて濾過した後、室温に冷却しスピログリコールを再結晶させた。ヌッチェを用いて結晶と溶液とを分離し、結晶を1リットルのi−ブチルアルコールでリンスした後、真空乾燥機中60℃で真空乾燥させて精製スピログリコール688gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は3.1ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0077】
実施例6
市販のスピログリコール875gをi−ブチルアルコール10リットルおよび水8.75kgおよびハイドロサルファイトナトリウム4.43gおよび水酸化カリウム4.40g中で、撹拌下75℃で完全に溶解させ、さらに75℃で1時間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層6.78kgを抜き出した。さらに、75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.22kgを抜き出した。75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.15kgを抜き出した。再び75℃の水3.75kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を止め、2層に分離した後、水層4.09kgを抜き出した。残った有機層を5Cの濾紙を用いて濾過した後、室温に冷却しスピログリコールを再結晶させた。ヌッチェを用いて結晶と溶液とを分離し、結晶を1リットルのi−ブチルアルコールでリンスした後、真空乾燥機中60℃で真空乾燥させて精製スピログリコール688gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は2.9ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示す。
【0078】
比較例1
実施例1において、市販のスピログリコールを精製を行わずに用いた他は実施例1と同様な操作を行った。このスピログリコールの窒素含有量は43.5ppmであった。得られたポリカーボネートは色調が非常に悪いものであった。
【0079】
比較例2
スピログリコールの再結晶溶媒として、メタノールの代わりに2−エトキシエチルアセテートを用い、スピログリコール800gを90℃で2−エトキシエチルアセテート10リットルに完全に溶解させた後、室温に冷却し再結晶を行った。結晶を濾別後、結晶とほぼ同体積の2−エトキシエチルアセテートで結晶を洗浄し、80℃で真空乾燥させてスピログリコール結晶700gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は18.2ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示すが、淡黄色に着色していた。
【0080】
比較例3
スピログリコールの再結晶溶媒として、メタノールの代わりにジアセトンアルコールを用い、スピログリコール800gを90℃でジアセトンアルコール10リットルに完全に溶解させた後、室温に冷却し再結晶を行った。結晶を濾別後、結晶とほぼ同体積のジアセトンアルコールで結晶を洗浄し、80℃で真空乾燥させてスピログリコール結晶700gを得た。得られたスピログリコールの窒素含有量は23.1ppmであった。この精製スピログリコールを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ビスフェノールA−スピログリコール共重合ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの物性を表1に示すが、黄色に着色したものであった。
【0081】
なお、表1中の物性は、下記の方法により測定したものである。
【0082】
(1)原料窒素含有量:全窒素分析計(三菱化学製、TN−10)を用いて測定した。検出限界は、1.5ppmであった。
(2)分子量:GPC(Shodex GPC system 11)を用い、スチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
【0083】
(3)樹脂YI:得られた樹脂を、40mmφ、3mm厚のディスクにプレス成形し、色差計(東京電色 TC−1800MK2)によりYI値(黄色度)を測定した。
【0084】
また、図1に原料スピログリコールの窒素含有量と得られたポリカーボネート樹脂のYIとの相関、図2にポリカーボネート樹脂の窒素含有量とYI値
の相関を示す。
【0085】
【表1】
Figure 0004081622

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と、下記式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを加熱溶融下、重縮合せしめて芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを製造する方法において、脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶解した再結晶溶媒を加熱下において水で洗浄する工程を含む再結晶法により得られた、窒素含有量が10ppm以下の脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いることを特徴とする窒素含有量が9ppm以下の芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法。
    Figure 0004081622
    (1)
    (上記式(1)においてXは、
    Figure 0004081622
    であり、ここに、RとRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基あるいはフェニル基であり、RとRが結合し環を形成していてもよい。RとRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、RとRは同じでも異なっていてもよい。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。)
    Figure 0004081622
    (2)
    (上式(2)において、R、R6、およびRは水素原子または炭素数1〜10の1価のアルキル基である。)
  2. 脂肪族ジヒドロキシ化合物が、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンである請求項記載の芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法。
  3. 再結晶溶媒が、水と層分離する有機溶媒である請求項記載の芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法。
  4. 有機溶媒が、炭素数4〜10のアルコールである請求項3記載の芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法。
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