JP4068758B2 - 粘着性耐火シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般の建築物の柱、梁等に被覆して使用される粘着性耐火シートに関し、さらに詳しくは、H型鋼や角形鋼管等の鉄骨に被覆して使用され、加熱によって膨張して耐火性能を発現する粘着性耐火シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、集合住宅や個建て住宅等において建築物の構造材をなす梁、柱等として軽量な鉄骨が用いられるようになっている。このような建築物の構造材として用いられる鉄骨には、建設省告示第2999号やJIS A 1304により耐火性能基準が定められており、その基準を満たすために、鉄骨の表面を耐火性能に優れた材料(耐火被覆材)で被覆する方法が一般的に実施されている。
【0003】
鉄骨に耐火性を付与するための被覆材料として、例えば特開平6−32664号公報には、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライト、ロックウール等の無機成分を混合したものが開示されている。しかしながら、この被覆材料は、施工時に現場で鉄骨に対して塗布又は吹き付ける必要があるため施工性に問題があった。また、鉄骨に形成される耐火被覆層の厚さにむらが生じ易く、むらが生じた場合は十分な耐火性を発現させることができなかった。また、上記耐火被覆層にひび割れが発生して耐火性が低下する場合があった。
さらに、湿式又は半乾式により吹き付けた場合は硬化するまでに長時間を必要とするため、作業効率が悪かった。
【0004】
また、特開平9−48083号公報には、実質的にハロゲンを含有しない熱可塑性樹脂からなる表面層と裏面層を有し、裏面層に水和金属化合物及び/又はリン化合物と、膨張性黒鉛とからなる難燃剤が添加された難燃性装飾材が提案されている。しかしながら、この難燃性装飾材は粘着性がないため、鉄骨の耐火被覆材として使用する場合は施工性に問題があった。
【0005】
鉄骨に耐火性を付与するための被覆材料としては、適度の粘着性を付与することによって、鉄骨の周囲に被覆する作業が容易となり作業能率を向上させるができる。しかしながら、粘着性を有するシート状の被覆材料を巻物の状態で保存すると、シート同士が接着して施工時に展開することが困難となるため、シート間に離型紙を介在させる必要があった。このような離型紙の使用は、コスト上昇を招くと共に不要な廃棄物が発生するという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、加熱時に優れた耐火性能を発現すると共に粘着性を有しているので施工性がよく、離型紙を介在させることなく巻物の状態で保管しても、使用時に容易に巻物から展開が可能な粘着性耐火シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の粘着性耐火シートは、ブチルゴムを樹脂成分として含有し、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する、常温で粘着性を有する熱膨張性シートの片面に、熱溶融性フィルム、金属箔ラミネートフィルム、金属蒸着フィルム又は金属箔から選ばれる基材層が積層され、該基材層の非積層面に離型処理が施されていることを特徴とする。
【0008】
上記粘着性耐火シートは、熱膨張性シートの片面に基材層が積層され、該基材層の非積層面に離型処理が施されたものである。
【0009】
上記基材層には、熱溶融性フィルム、金属箔ラミネートフィルム、金属蒸着フィルム又は金属箔から選ばれるいずれか1種が用いられる。
【0010】
上記熱溶融性フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が用いられる。これらのフィルムの端材等をリサイクル使用する場合は、融点160℃以下の低密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の使用が好ましい。
【0011】
上記金属箔ラミネートフィルムとしては、例えば、アルミ箔/PE(ポリエチレン)、アルミ箔/OPP(2軸延伸ポリプロピレン)、アルミ箔/PET、アルミ箔/紙、アルミ箔/PE割布、アルミ箔/OPP割布、アルミ箔/PET割布等の構成を有するラミネートフィルムが挙げられる。
上記金属箔としては、アルミ箔以外にステンレス箔等が使用される。
【0012】
上記金属箔ラミネートフィルムは、金属箔の少なくとも片面に樹脂フィルムがラミネートされていればよく、両面に異なる樹脂フィルムがラミネートされていてもよい。また、上記金属箔の片面にのみ樹脂フィルムがラミネートされた金属箔ラミネートフィルムの場合は、金属箔側に熱膨張性シートを貼り付け、樹脂フィルム側に離型処理を施すことが好ましい。
【0013】
上記金属蒸着フィルムとしては、例えば、PE、OPP、PET等の樹脂フィルムにアルミ蒸着したものが用いられる。
【0014】
また、上記基材層が金属箔単体、金属蒸着フィルム又は金属箔ラミネートフィルムの場合、金属層の厚みが厚くなると防炎効果は高くなるが、本発明の粘着性耐火シートを巻物の状態で保管する場合は剛性が大きくなり、巻物にするのが困難となる場合がある。そのうえ、重量も増すため取扱い性が悪くなる。
【0015】
上記基材層のクリープ特性は、10mm幅の基材層試験片に80℃において500gの荷重を3分間かけた場合に2%未満であることが好ましく、より好ましくは1%未満であり、さらに好ましくは0.5%未満である。
上記クリープ特性が2%以上になると、例えばカレンダー塗工法等によって熱膨張性シートを基材層上に直接塗工して粘着性耐火シートを成形する場合に、基材層にかかるテンションによって伸長して残留応力が生じるため、粘着性耐火シートを巻物として保管する際に寸法変化を起こすことがある。
【0016】
上記基材層に施される離型処理としては、特に制限がなく、例えばシリコーン離型処理等の一般的な方法が用いられる。
上記基材層に離型処理が施されることによって、本発明の粘着性耐火シートを巻物の状態で保管してもシート同士の接着が起こらず、使用時に容易に展開することができる。
【0017】
上記基材層離型処理面側の熱膨張性シートに対する展開力としては、基材層離型処理面側と熱膨張性シートとを貼り付けた幅25mmの試験片を23℃で1時間養生した後300mm/分の速度で90度方向に剥離した場合に、30gf/25mm以上150gf/25mm未満であることが好ましく、より好ましくは50gf/25mm以上100gf/25mm未満である。上記展開力が、30gf/25mm未満では巻物として保管、輸送する際に巻物にゆるみを生じることがあり、150gf/25mm以上になると巻物の展開が困難となり作業性が低下する。
【0018】
上記粘着性耐火シートは、上記基材層にシリコーン離型処理が施されることによって巻物として保管されても、該粘着性耐火シート同士の接着が起こらず、使用時に容易に展開が可能となる。また、上記熱膨張性シートの片面に基材層を積層することによって、加熱後に形成される耐火断熱層を補強することができる。
【0019】
上記熱膨張性シートは、常温で粘着性を有するブチルゴムを樹脂成分として含有することによって粘着性が付与される。また、上記ブチルゴムには粘着性が損なわれない範囲で他の熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質が併用されてもよい。
【0020】
上記他の熱可塑性樹脂及びゴム物質としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、クロロプレン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0021】
上記熱可塑性樹脂及びゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ブチルゴムの溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上をブレンドしたものを用いてもよい。
【0022】
上記熱可塑性樹脂及びゴム物質の中でも、クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂等のハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、さらに熱による脱ハロゲン化反応によって架橋が起こり、加熱後の燃焼残渣の強度が向上する点において好ましい。
【0023】
上記熱可塑性樹脂及びゴム物質として例示したものは、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、上記ブチルゴムと同様に無機充填剤を高充填することが可能であり、後述する樹脂組成物の柔軟性とフレキシビリティが損なわれることはない。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、ブチルゴムと併用する樹脂成分としては非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0024】
上記ブチルゴムを含有する樹脂成分には、更に、本発明の粘着性耐火シートの耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
上記樹脂成分の架橋や変性を行う場合は、予め架橋、変性した樹脂成分に、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合してもよく、他の成分の配合と同時又は配合した後で架橋や変性が施されてもよい。
【0025】
上記架橋方法については、特に限定されず、ブチルゴム、熱可塑性樹脂又はゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。
【0026】
上記熱膨張性シートとしては、ブチルゴム、リン化合物並びに無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されるものが好ましい。
【0027】
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0028】
【化1】
【0029】
式中、R1 及びR3 は、水素原子、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0030】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0031】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、ヘキスト社製「AP422」、「AP462」、住友化学社製「スミセーフP」;チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は高価ではあるが、高難燃性の点においては好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、けい酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらの中でも、含水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0034】
上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで燃焼残渣の強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0035】
上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、上記金属炭酸塩は有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い燃焼残渣を形成する。
【0036】
上記金属炭酸塩の中でも、さらに、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸塩などが好ましい。
【0037】
一般的に、上記無機充填剤は、骨材的な働きをすることから、燃焼残渣の強度向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。上記無機充填剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmのものが好ましく、より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性シートの力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0039】
上記樹脂組成物には、ブチルゴム、リン化合物並びに無機充填剤の他に、中和処理された熱膨張性黒鉛及び多価アルコールが添加されてもよい。
【0040】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0041】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0042】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0043】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー社製「GREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」等が挙げられる。
【0044】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂成分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0045】
上記多価アルコールは、分子中に水酸基を2つ以上有する炭化水素化合物であり、その炭素数は1〜50が好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙げられる。上記多価アルコールは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
上記多価アルコールとしては、分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.2〜2であるものが好ましく、より好ましくは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニトール等に代表されるような、〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.7〜1.5のものである。中でも、ペンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いため炭化促進効果が高く、最も好ましいものである。
【0047】
上記分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2〜2の範囲にある多価アルコールは、燃焼時に脱水縮合して効果的に炭化層を形成する。上記比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.2未満であると燃焼時には脱水縮合よりも炭素鎖の分解が起こり易くなるため、充分な炭化層を形成することができず、2を超えると炭化層の形成には差し支えないが、耐水性が大幅に低下する。耐水性が低下すると、成形直後の樹脂組成物を水冷する際に、上記多価アルコールが溶出したり、成形体の保管中の湿度によって、上記多価アルコールがブリードアウトする等の問題点がある。
【0048】
本発明の熱膨張性シートに用いられる好ましい樹脂組成物としては、以下に説明する樹脂組成物(1)〜(5)が挙げられる。
【0049】
上記樹脂組成物(1)は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤からなり、リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して合計量で20〜200重量部が好ましく、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕は0.01〜9が好ましい。
【0050】
上記無機充填剤の配合量は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して50〜500重量部が好ましく、上記無機充填剤とリン化合物との重量比〔(無機充填剤)/(リン化合物)〕は0.6〜1.5が好ましい。
【0051】
上記樹脂組成物(1)における無機充填剤としては、上記含水無機物;アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属から選ばれる金属の炭酸塩が好ましく、より好ましくは、含水無機物と金属炭酸塩との混合物である。
【0052】
また、上記樹脂組成物(1)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する。無機充填剤は、その際熱容量の増大に寄与し、リン化合物は、耐火断熱層の形状保持能力を有する。
樹脂組成物(1)の配合比は、これらの諸機能がバランスよく発現するようになされている。
【0053】
上記樹脂組成物(2)は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分、リン化合物、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属から選ばれる金属の炭酸塩からなり、リン化合物及び金属炭酸塩の合計量は、ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は0.6〜1.5が好ましい。
【0054】
上記樹脂組成物(2)において、加熱時にリン化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進する。
リン化合物は、ポリリン酸を発生させるとともに、発泡皮膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩は骨材的役割を果たす。
【0055】
上記樹脂組成物(3)は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分、リン化合物、含水無機物及び/又はカルシウム塩、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属から選ばれる金属の炭酸塩からなり、上記リン化合物、金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量は、ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、リン化合物に対する、金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量の重量比〔(金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量)/(リン化合物)〕は0.6〜1.5が好ましい。上記含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量は、金属炭酸塩100重量部に対して1〜70重量部が好ましい。
【0056】
上記カルシウム塩としては、例えば、硫酸カルシウム、石膏、二リン酸カルシウム等が挙げられる。
【0057】
上記樹脂組成物(3)において、加熱時にリン化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進する。
リン化合物は、ポリリン酸を発生させるとともに、発泡皮膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩は骨材的役割を果たす。含水無機物及び/又はカルシウム塩は、金属炭酸塩と同様に骨材的役割を果たすと考えられる。
【0058】
上記樹脂組成物(4)は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分、リン化合物、多価アルコール、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属から選ばれる金属の炭酸塩からなり、上記リン化合物、多価アルコール及び金属炭酸塩の合計量は、ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、上記多価アルコールとリン化合物との重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は0.05〜20が好ましい。上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は0.01〜50が好ましい。
【0059】
上記樹脂組成物(4)において、リン化合物、多価アルコール及び金属炭酸塩を組合わせることによって、十分な耐熱性を有し、かつ、燃焼後の残渣を強固なものとし、形状保持を図るものである。
また、加熱により、リン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作用する。多価アルコールは、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成する。金属炭酸塩は骨材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
【0060】
上記樹脂組成物(5)は、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属から選ばれる金属の炭酸塩からなり、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール及び金属炭酸塩の合計量は、ブチルゴムを含有する樹脂成分100重量部に対して50〜900重量部が好ましい。
【0061】
上記多価アルコールとリン化合物との重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は0.05〜20、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕は0.01〜9、上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は0.01〜50が、それぞれ好ましい。
【0062】
上記樹脂組成物(5)において、加熱によりリン化合物は脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。多価アルコールは、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成する。金属炭酸塩は骨材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
中和処理された熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して耐火断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためにより有効に作用する。
【0063】
上記熱膨張性シートの粘着性を向上させるために、例えば、上記ブチルゴムを含有する樹脂成分に粘着付与剤を添加することができる。
上記粘着付与剤としては特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、トーネックス社製「エスコレッツ5320」、出光石油化学社製「アイマーブP125」等が例示される。
【0064】
本発明においては、上記熱膨張性シートを構成する樹脂組成物に、樹脂組成物の物性を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0065】
上記樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等従来公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等、従来公知の成形方法によって、上記熱膨張性シートに成形することができる。
【0066】
上記熱膨張性シートは、25℃における初期のかさ密度が0.8〜2g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、1〜1.8g/cm3 である。25℃での初期のかさ密度を0.8〜2g/cm3 の範囲内とすることによって、上記熱膨張性シートに要求される断熱性、耐火性等の物性を損なわず、しかも、作業性に優れたものとすることができる。
【0067】
25℃における初期のかさ密度が、0.8g/cm3 未満であると、樹脂組成物中に充分な量の膨張剤、炭化剤、不燃性充填剤等を添加することができず、加熱後の膨張倍率、残渣量が不充分となり、十分な耐火断熱層を形成することができない。25℃における初期のかさ密度が、2g/cm3 を超えると、上記シートの重量が大きくなり過ぎるために、大面積の熱膨張性シートの張り付け作業等における作業性が低下する。
【0068】
上記熱膨張性シートは、500℃で1時間加熱したときのかさ密度が0.05〜0.5g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.3g/cm3 である。500℃で1時間加熱したときのかさ密度が、0.05g/cm3 未満であると、隙間が多すぎるため、膨張時の崩れにより耐火断熱層を層として形成することができなくなり、0.5g/cm3 を超えると、膨張倍率が不充分となり、耐火性能を充分に発揮することができず、耐火断熱層を形成することができなくなる。
【0069】
上記熱膨張性シートは、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.01〜0.3kcal/m・h・℃であることが好ましい。50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.3kcal/m・h・℃を超えると、断熱性能が不充分であるため充分な耐火性能を発揮することができず、0.01kcal/m・h・℃未満であるものは、有機物及び無機物の混合物では作ることができない。
【0070】
上記熱膨張性シートは、示差走査熱量計(DSC)により測定される、10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した場合の総吸熱量が、100J/g以上であることが好ましい。総吸熱量が100J/g以上であると温度上昇が遅くなるため、断熱性能がより良好となる。
【0071】
上記熱膨張性シートの片面に基材層を積層する方法としては、共押出法によって熱膨張性シート及び基材層の成形すると同時に積層する方法;熱膨張性シートと基材層とを別々に成形した後加熱プレス等で積層する方法;基材層に熱膨張性シート用樹脂組成物をカレンダー塗工して積層する方法等、従来公知の方法が用いられる。
【0072】
上記熱膨張性シートの厚みは0.2〜10mmが好ましく、より好ましくは0.3〜5mmである。熱膨張性シートの厚みが、0.2mm未満では膨張しても十分な断熱性が発現せず、10mmを超えると重量が重くなり取扱い性が悪くなる。
【0073】
上記基材層の厚みは0.02〜0.3mmが好ましい。
基材層の厚みが、0.02mm未満では取扱い時に破れを起こすおそれがあり、0.3mmを超えると可燃物の量が増加するため耐火性が低下するおそれがある。
【0074】
さらに、上記熱膨張性シートの厚みDaと基材層の厚みDbとの比が、Da/Db=1〜100の範囲であることが好ましい。
Da/Dbが、1未満になると可燃物の量が増加するため耐火性が低下するおそれがあり、100を超えると重量も増すため取扱い性が悪くなる。
【0075】
本発明の粘着性耐火シートを使用する場合は、不燃性材料からなるシートと積層した後該不燃性材料からなるシート側が外側となるように配置してH型鋼などの鉄骨に被覆するのが好ましいが、熱膨張性シートが常温で粘着性を有することによって、不燃性材料からなるシートに簡単に接着したり、鉄骨に仮止めしたりすることができるので、鉄骨の耐火被覆作業時において施工性が向上する。
上記熱膨張性シートが粘着性を有するとは、不燃性材料からなるシートや鉄骨に仮止め固定が可能となるような性質を有することを意味し、広く粘着性及び/又は接着性を有することをいう。
【0076】
本発明の粘着性耐火シートは、例えば、火災等において加熱されると燃焼膨張して耐火断熱層を形成し、この耐火断熱層によって鉄骨等へ熱が伝わるのを防止する。従って、この耐火断熱層は、鉄骨等の全周で隙間なく形成されることが好ましい。
【0077】
上記不燃性材料からなるシートとしては、不燃性を有するものであれば特に限定されないが、上記粘着性耐火シートの膨張によって形成される耐火断熱層に追随してある程度変形し、耐火断熱層の形状が崩れないように保持し得る材料が好ましい。このような不燃性材料からなるシートとしては、例えば、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板、アルミ・亜鉛合金板、アルミニウム板等の金属板材料;珪酸カルシウム板、繊維混入珪酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、石膏ボード板、強化石膏板、パーライトセメント板、繊維強化セメント板、木片セメント板、木粉セメント板、スラグ石膏板等の無機質板;ロックウール保温板、セラミックウールブランケット、アルミナシリカ繊維フェルト、セラミック紙、水酸化アルミ紙等のシート状物が挙げられる。
【0078】
上記不燃性材料からなるシートとして好ましくは、厚みの薄い金属板(箔)である。厚みの薄い金属板は、熱膨張性シートが膨張する際に変形や湾曲することによって、破れや切断を起こさずに膨張を吸収する。
上記金属板の厚みは、0.1〜1mmが好ましい。厚みが、0.1mm未満では防炎材料や形状保持材として機能せず、1mmを超えると耐火断熱層の形成時に変形し難くなり、十分な耐火断熱層が形成されなくなる恐れがある。
【0079】
また、施工時に被覆部材(例えばH型鋼)と粘着性耐火シートの間、不燃性性材料からなるシートと粘着性耐火シートの間に適当な断熱材料を配置してもよい。上記断熱材料としては、耐熱性を有するのであれば特に限定されず、例えば、ロックウール、ガラスウール、耐熱ガラスウール、セラミックウール等、公知の断熱材料が用いられる。
【0080】
上記断熱材料の厚みは、5〜30mmが好ましい。厚みが、5mm未満では断熱効果が不十分であり、30mmを超えると重量が重くなるため施工性が低下する。
【0081】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0082】
(実施例1〜4、比較例1,2)
表1に示した配合量のブチルゴム(エクソン化学社製「ブチルゴム065」)、ポリブテン(出光石油化学社製「100R」)、粘着付与剤(トーネックス社製「エスコレッツ5320」)、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「AP422」、平均粒径15μm)、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」、50メッシュ)、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」、平均粒径18μm)、及び、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製「ホワイトンBF−300」、平均粒径8μm)を、二軸押出機に供給して押出成形を行い、一定厚みの熱膨張性シートを得た。
この熱膨張性シートを、表1に示した片面シリコーン離型処理した基材層の非離型処理面に対向させて熱プレスを行い、粘着性耐火シートを得た。
【0083】
(実施例5〜7)
表2に示した配合量のブチルゴム、粘着付与剤、ポリリン酸アンモニウム、中和処理された熱膨張性黒鉛、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウム(いずれも実施例1と同様のものを使用)からなる樹脂組成物を混練後、表2に示した片面シリコーン離型処理した基材層の非離型処理面に、該樹脂組成物をカレンダー塗工機を使用して一定厚みで塗工し、熱膨張性シートと基材層とが積層された粘着性耐火シートを得た。
尚、実施例5において基材としてアルミ/紙のラミネートフィルムを使用し、紙側に離型処理を施し、アルミ側に熱膨張性シートを積層した。
【0084】
上記粘着性耐火シート、基材層及び熱膨張性シートについて下記の性能評価を行い、その結果を表1及び2に示した。
(1)粘着性耐火シートの展開性
粘着性耐火シートを巻物にした状態で常温で5日間放置した後展開し、容易に展開できたものを○、容易に展開できなかったものを×と表示した。
さらに、25mm幅の粘着性耐火シート試験片の離型処理面側を熱膨張性シートに貼り付けて23℃で1時間養生した後、300m/分の速度で90度方向に剥離した場合の展開力を測定した。
【0085】
(2)耐火断熱層の補強状態
上記粘着性耐火シートをJIS A 1304に準拠した耐火試験を行った後、粘着性耐火シートの燃焼によって形成される耐火断熱層を目視観察し、耐火断熱層に崩れ等が認められなかったものを○、耐火断熱層が崩れ等によって十分に形成されなかったものを×で表示した。
【0086】
(3)粘着性耐火シートの残留応力評価
粘着性耐火シートの熱膨張性シート側を0.3mm厚の鉄板に貼り付けた後80℃のオーブンに入れ、残留応力により収縮を生じたものを×、収縮を生じなかったものを○で表示した。
【0087】
(4)基材層のクリープ特性評価
10mm幅の基材層試験片を25mmのチャック間に取り付けた後、夏場を想定した80℃の試験槽内に入れ、温度が安定したから500gの一定荷重を3分間かけた後の試験片の伸度(%)をクリープ特性として評価した。この荷重は製造工程で基材層にかかる荷重を想定したものである。
【0088】
(5)熱膨張性シートの粘着力評価
JIS Z 0203に準拠して、幅25mm、厚み2mmの熱膨張性シート試験片をSUS板に貼り付けて23℃で1時間養生した後、300m/分の速度で90度方向に剥離した場合の剥離力を測定した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【発明の効果】
本発明の粘着性耐火シートは、上述の構成であり、巻物の状態で保管しても使用時に容易に展開することができ、離型紙を使用する必要がないので、コストアップを招かず、しかも不要なゴミも発生しない。
さらに、基材層が積層されていることによって、燃焼時に形成される燃焼残渣(耐火断熱層)を補強する効果があるため、燃焼残渣の崩壊が防止され優れた耐火断熱性を発現する。
Claims (6)
- ブチルゴムを樹脂成分として含有し、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する、常温で粘着性を有する熱膨張性シートの片面に、熱溶融性フィルム、金属箔ラミネートフィルム、金属蒸着フィルム又は金属箔から選ばれる基材層が積層され、該基材層の非積層面に離型処理が施されていることを特徴とする粘着性耐火シート。
- 熱膨張性シートが、ブチルゴム、リン化合物及び無機充填剤を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載の粘着性耐火シート。
- 基材層の離型処理面側の熱膨張性シートに対する展開力が、幅25mmの試験片を300mm/分の速度で90度方向に剥離した場合に30gf/25mm以上150gf/25mm未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘着性耐火シート。
- 基材層のクリープ特性が、10mm幅の試験片に80℃で500gの荷重を3分間かけた場合に2%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着性耐火シート。
- 熱膨張性シートの厚みが0.2〜10mmであり、かつ基材層の厚みが0.02〜0.3mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着性耐火シート。
- 熱膨張性シートの厚みDaと基材層の厚みDbとの比が、Da/Db=1〜100の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着性耐火シート。
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