JP5001635B2 - 耐火目地材 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の外壁等の目地部に装着される耐火目地材に関する。
建物の外壁等の目地部に装着して使用される耐火目地材は、前記目地部を通じて火災の発生した側から他方の側への延焼等を防止する目的で、火災が発生した場合でも熱を遮断する断熱性能、炎の貫通を防止する遮炎性能等が求められる。
一方、建物の外壁等に設けられた目地部の幅は、実際は施工前後で一定ではなく変化する場合がある。
例えば、ロッキング機構を有する外壁では地震等により外壁が揺れることにより目地部の幅が変動する。あるいは経年変化により外壁が収縮することによっても目地部の幅が変動する。
この様に目地部の幅が変動した場合には、前記耐火目地材が前記目地部からずれる等の理由により本来の耐火性能が発揮できなくなったり、前記耐火目地材と前記目地部との間に隙間が生じる結果、外部からの雨水等が建物内部へ侵入したりする場合がある。
このような目地部の幅の変動から生じる問題に対応すべく、建物の外壁等に設けられた目地部に対し、まずロックウールやセラミックブランケット等の耐火材料を充填した後に、ポリエチレン発泡体等の伸縮性のあるバックアップ材を充填し、耐火目地とすることが一般的である。
しかし、この様な耐火目地材では前記目地部に対する前記耐火材料の充填、前記バックアップ材の充填等複数の工程を必要とする等、その施工が煩雑であるとの問題点があった。
この施工をより簡便にするために、図39に示される様なシールリップ16を備えた耐火目地材400が提案されている(特許文献1)。
この耐火目地材400の内部には発泡性耐火材17が充填されていて、火災の際には内部の発泡性耐火材17が膨張して前記火災による延焼を防止することが可能とされている。
この耐火目地材400であれば、外壁等の目地部の幅が、その施工前後で変動した場合であっても、前記シールリップ16が前記変動に追随して変動するため、前記耐火目地材400が前記目地部からずれることもなく、外部からの雨水等が建物内部へ侵入することも防止することができる。
特開2004−316082号公報
ところが、前記耐火目地材400の場合は、熱可塑性樹脂等により前記シールリップ16が形成されているため、実際の火災の際にはその熱により前記耐火目地材400本体が融け落ちて前記目地部からずれたりするため、所望の性能を発揮し得ない場合があった。
本発明の目的は、建物の外壁等に設けられた目地部の幅が変動した場合であっても前記目地部の変動を吸収することができ、耐火性、施工性に優れる耐火目地材を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱膨張性耐火シートからなるシールリップ部を備えた耐火目地材が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む芯材と、熱膨張性耐火シートと、を備えた耐火目地材であって、
前記熱膨張性耐火シートは、前記芯材と接している部分からなる熱膨張性耐火被覆部と、前記芯材と接していない残りの部分からそれぞれなる二つの熱膨張性耐火シールリップと、からなり、
前記熱膨張性耐火被覆部は、前記芯材の周囲の全部または一部に設けられ、
前記二つの熱膨張性耐火シールリップは、前記芯材に対してそれぞれ反対方向に突設されていること、
を特徴とする耐火目地材を提供するものであり、
[2]前記熱膨張性耐火シートは、金属箔を備えたことを特徴とする上記[1]に記載の耐火目地材を提供するものであり、
[3]前記二つのシールリップは、離型性フィルムを備えたことを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の耐火目地材を提供するものであり、
[4]前記二つの熱膨張性耐火シールリップのそれぞれを外壁の目地部に密着させるための、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火目地材を提供するものであり、
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火目地材のいずれかに記載の耐火目地材を、外壁の目地部に挿入してなる、外壁の目地部の耐火構造を提供するものである。
本発明によれば、建物の外壁等に設けられた目地部の幅が変動した場合であっても前記目地部の変動を吸収することができ、耐火性、施工性に優れる耐火目地材を提供することができる。
以下に本発明の耐火目地材について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。
本発明の耐火目地材は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む芯材1を備えるものである。
前記芯材1の断面形状は、図1に例示される耐火目地材100の様に円形である場合に限定されず、例えば、図2に例示される芯材1aの様に正方形の場合、図3に例示される芯材1bの様に長方形の場合、図4に例示される芯材1cの様にU字形の場合、図5に例示される芯材1dの様にH字形の場合の他、図6に例示される芯材1eの様に中空部分4を内包するものであっても良い。
前記芯材の形状としては、例えば、柱状等のものを例示することができるが、前記柱状の芯材の具体例としては、例えば、図1〜図6にそれぞれ対応する図7〜12に例示されるもの等を挙げることができる。
前記芯材の形状は直線状のものに限定されるものではなく、建物の外壁等に設けられた目地部の形状に合わせて、例えば図13に例示される様に湾曲している形状であっても良いし、図14に例示される様に、折れ曲がり部分がある形状であっても良い。
また前記芯材に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン樹脂、ポリイソブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、等の合成樹脂類、
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
また前記芯材に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等を挙げることができる。
前記エポキシ系樹脂としては、特に限定はないが、例えば、エポキシ基を持つモノマーと硬化剤とを反応させて得られる樹脂等を挙げることができる。
また、前記芯材には必要に応じて、その内部に鉄芯、鉄板等の金属製等の補助芯材を内包させることもできる。
これらの補助芯材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
また本発明の耐火目地材は熱膨張性耐火シートを備えるものであるが、次に前記熱膨張性耐火シートについて説明する。
本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートは、火災等の熱により膨張する熱膨張性耐火材からなるものであれば特に限定はないが、この様な熱膨張性耐火材としては、例えば、具体的には熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分、熱膨張性層状無機物、無機充填材等を含む樹脂組成物(I)からなるもの、
無機繊維、熱膨張性層状無機物、焼結性無機質材等に対し前記樹脂成分をバインダーとして含むバインダー樹脂組成物(II)からなるもの等を挙げることができる。
前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)の各成分のうち、まず前記樹脂成分について説明する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂類、
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
また、これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、柔軟でゴム的性質を持っているものが好ましい。この様な性質を持つものは無機充填材を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟で扱い易いものとなる。
より柔軟で扱い易い樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの共重合体や重合体の混合物等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。
また、前記エチレンとα−オレフィン以外のモノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレン単独重合体又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体としては、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好ましい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質には、更に、本発明における発泡断熱材の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については、特に限定されず、予め架橋、変性した前記合成樹脂類及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述するリン化合物や無機充填材等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性を行ってもよい。
また、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
前記の架橋方法については特に限定されず、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質について通常行われる架橋方法により実施することができる。例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられる。
また、本発明に使用する樹脂成分のうち、先に示したエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、例えば、エポキシ基を持つモノマーと硬化剤とを反応させて得られる樹脂等を挙げることができる。
前記エポキシ基を持つモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型として、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1.6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ポロピレンオキサイド−ビスフェノールA、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のモノマーが挙げられる。
また、グリシジルエステル型として、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが挙げられる。
更に多官能のグリシジルエーテル型として、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン、フェノール型等のモノマーが挙げられる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
また、前記硬化剤としては、例えば、重付加型硬化剤、触媒型硬化剤等が挙げられる。
前記重付加型硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる。
前記触媒型硬化剤としては、例えば三級アミン類、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。
これらエポキシ樹脂の硬化方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
なお、前記樹脂成分の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、二種以上の樹脂成分をブレンドしたものを使用することができる。
次に前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)の各成分のうち、前記熱膨張性層状無機物について説明する。
前記熱膨張性層状無機物は加熱時に膨張するものであるが、かかる熱膨張性層状無機物に特に限定はなく、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等を挙げることができる。
前記熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
前記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
前記アルカリ金属化合物および前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
前記熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュの範囲のものが好ましい。
粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、充分な耐火断熱層が得られず、また、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、前記熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
上記中和された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製の「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」、東ソー社製の「GREP−EG」等が挙げられる。
次に先の樹脂組成物(I)の各成分のうち、前記無機充填材について説明する。
前記無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記無機充填材は骨材的役割を果たして、加熱後に生成する膨張断熱層強度の向上や熱容量の増大に寄与する。
このため、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛で代表される金属炭酸塩、骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果も付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムで代表される含水無機物が好ましく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期律表IIbの金属炭酸塩又はこれらと前記含水無機物との混合物が好ましい。
また、リン化合物は、難燃性を向上させる為に用いられる。
前記リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;化学式1で表される化合物等が挙げられる。
これらのリン化合物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、下記の化学式で表される化合物、及び、ポリリン酸アンモニウム類が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 0005001635
上記化学式中、Rl及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。
2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
前記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、クラリアント社の「商品名:EXOLIT AP422」及び「商品名:EXOLIT AP462」等が挙げられる。
前記リン化合物は、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩と反応して、金属炭酸塩の膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。
また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
本発明に使用する無機充填材が粒状の場合には、その粒径としては、0.5〜200μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは、1〜50μmの範囲のものである。
無機充填材の添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、粒径0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。
また、無機充填材の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることによって樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、上記範囲の中でも粒径の大きいものが好ましい。
この一方、粒径が200μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
前記無機充填材の中でも、特に骨材的役割を果たす炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果を付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物が好ましい。
前記含水無機物及び金属炭酸塩を併用することは、燃焼残渣の強度向上や熱容量増大に大きく寄与すると考えられる。
前記無機充填材の中で、特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、燃焼残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで燃焼残渣の強度が向上する点で好ましい。
また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
前記含水無機物の粒径は、小さくなると嵩が大きくなって高充填化が困難となるので、脱水効果を高めるために高充填するには粒径の大きなものが好ましい。
具体的には、粒径が18μmでは、1.5μmの粒径に比べて充填限界量が約1.5倍程度向上することが知られている。
さらに、粒径の大きいものと小さいものとを組み合わせることによって、より高充填化が可能となる。
前記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「商品名:ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「商品名:ハイジライトH−31」(昭和電工社製)等が挙げられる。
前記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「商品名:ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「商品名:BF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
次に先のバインダー樹脂組成物(II)の各成分のうち、前記無機繊維について説明する。
本発明に使用する無機繊維としては、例えば、具体的にはシリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等のセラミック繊維等が挙げられる。
前記セラミック繊維の直径は、通常0.01〜100μmの範囲であり、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。また前記無機繊維はシランカップリング剤等の集束剤により複数の繊維を一本にまとめたものを使用することができる。
前記セラミック繊維を得るための製造方法に限定はないが、例えば、このセラミック繊維の原料を軟化させて線引きして得られた繊維を巻き取るロッド法、溶融させた前記原料をノズルから排出し、得られた繊維を巻き取るポット法、有機溶剤に溶かした前記原料の前駆体を繊維状にし、これをプレカーサーとして焼結して得られた繊維を巻き取る前駆ポリマー法等の方法により得られたもの等を市販品として入手することができる。
前記セラミック繊維を使用する場合には、焼結性無機質材をさらに併用することが好ましい。
かかる焼結性無機質材としては、例えば、電気絶縁性ガラス等を例示することができる。
前記電気絶縁性ガラスとしては、例えば、具体的には二酸化ケイ素が50〜60重量%、酸化アルミニウムが10〜20重量%、酸化カルシウムが10〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜10重量%、酸化ホウ素が8〜13重量%等の範囲で含まれるEガラスと呼ばれるもの等を挙げることができる。
次に先のバインダー樹脂組成物の各成分のうち、前記焼結性無機質材について説明する。
前記焼結性無機質材は、650〜1000℃の範囲の融点を有するものであれば好ましい。これにより、本発明の熱膨張性無機質材料が火災等の熱により膨張した後であっても前記熱膨張性無機質材料に含まれる無機繊維等を一体のまとまりのある形状に保つことができることに加え、長時間高温にさらされた場合であってもその形状保持性が維持される。
前記融点が650℃未満の場合には、火災等の熱により、本発明の熱膨張性無機質材料が十分に膨張する前に前記焼結性無機質材と前記無機繊維とが焼結一体化するため、長時間高温にさらされた場合の形状保持性に劣り、前記融点が1000℃を超える場合には、本発明の熱膨張性無機質材料が十分に膨張した後になっても、前記焼結性無機質材と前記無機繊維とが十分焼結一体化しないことがあり、同様に長時間高温にさらされた場合の形状保持性に劣ることがある。
前記融点の範囲は700〜900℃であれば好ましく、750〜850℃の範囲であればさらに好ましい。
本発明に使用するバインダー樹脂組成物(II)は、前記粒状の無機充填材の一種もしくは二種を併用することができる。
冒頭に説明したとおり、本発明に使用する熱膨張性耐火シートとしては、上記に説明した熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分、前記熱膨張性層状無機物、前記無機充填材等を含む樹脂組成物(I)からなるもの、
無機繊維、熱膨張性層状無機物、焼結性無機質材等に対し前記樹脂成分をバインダーとして含むバインダー樹脂組成物(II)からなるもの等を挙げることができるが、次にこれらの配合について説明する。
前記樹脂組成物(I)は、前記熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、前記熱膨張性層状無機物を20〜350重量部及び前記無機充填材を50〜400重量部の範囲で含むものが好ましい。
また、前記熱膨張性層状無機物および前記無機充填材の合計は、200〜600重量部の範囲であれば好ましい。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、発泡断熱材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することができ、安定した防火性能を達成することができる。
前記熱膨張性層状無機物の量が20重量部未満であると、膨張倍率が不足し、充分な耐火、防火性能が得られないことがある。
一方、前記熱膨張性層状無機物の量が350重量部を越えると、凝集力が不足するため、成形品としての強度が得られないことがある。
また前記無機充填材の量が50重量部未満であると、燃焼後の残体積量が減少するため、充分な耐火断熱層が得られないことがある。
さらに可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下することがある。
一方、無機充填材の量が400重量部を越えると樹脂成分の配合比率が減少するため、凝集力が不足して成形品としての強度を得られにくいことがある。
前記樹脂組成物における熱膨張性層状無機物及び無機充填材の合計量は、200重量部未満では燃焼後の残渣量が不足して十分な耐火性能が得られないことがあり、600重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用に耐えられなくなることがある。
次に熱膨張性層状無機物、焼結性無機質材等に対し前記樹脂成分をバインダーとして含むバインダー樹脂組成物(II)について説明する。
前記バインダー樹脂組成物(II)は、前記無機繊維55〜85重量%、前記熱膨張性層状無機物5〜30重量%、前記焼結性無機質材5〜25重量%、および樹脂成分5〜15重量%の範囲で含むものが好ましい。
前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記無機繊維の量が55重量%未満の場合には前記熱膨張性耐火シートの形状保持性が低下することがあり、85重量%を超える場合には前記熱膨張性耐火シートを製造する際の作業性が低下することがある。
前記無機繊維の量は、60〜80重量%の範囲であれば好ましい。
また、前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記熱膨張性層状無機物の量が5重量%未満の場合には燃焼後の体積膨張が少なく防火性が低下することがあり、30重量%を超える場合には膨張後の前記熱膨張性耐火シートの強度が低下することがある。
前記熱膨張性層状無機物の量は、10〜25重量%の範囲であれば好ましい。
また、前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記焼結性無機質材の量が5重量%未満の場合または25重量%を超える場合には、本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートが長時間高温にさらされた場合、その形状保持性が低下することがある。
前記焼結性無機質材の量は、10〜15重量%の範囲であれば好ましい。
また、前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる樹脂成分の量が5重量%未満の場合、前記熱膨張性耐火シートを製造する際の作業性が低下することがあり、15重量%を超える場合には、前記熱膨張性耐火シートが高温にさらされた場合、その形状保持性が低下することがある。
前記樹脂成分の量は、5〜10重量%の範囲であればさらに好ましい。
さらに本発明に使用する前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、耐電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
次に前記樹脂組成物(I)および前記バインダー樹脂組成物(II)の製造方法について説明する。
前記樹脂組成物(I)および前記バインダー樹脂組成物(II)の製造方法に特に限定はないが、例えば、前記樹脂組成物(I)や前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記樹脂成分が熱可塑性樹脂である場合は、前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)の各成分を押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー等公知の混練装置に供給して溶融混練する方法や、前記樹脂組成物の各成分を有機溶剤に懸濁さたり、加温して溶融させたりして塗料状したり、溶剤に分散してスラリーを調整する等の方法により、前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)を得ることができる。
また、前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記樹脂成分が前記エポキシ樹脂である場合は、例えば、前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法や、溶剤に分散してスラリーを調整する等の方法、また前記樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)を加熱下に溶融させる等の方法により得ることができる。
前記樹脂組成物(I)は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、エポキシ基をもつモノマーと硬化剤とに別々に充填剤を混練しておき、シート成形直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
また必要に応じて有機溶剤と共に加温撹拌することにより得ることもできる。
次に本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートを製造する方法について説明する。
前記熱膨張性耐火シートは、上記で説明した樹脂組成物(I)または前記バインダー樹脂組成物(II)を用いて得ることができる。
例えば、前記樹脂組成物(I)に含まれる前記樹脂成分が前記熱可塑性樹脂である場合には、前記樹脂組成物をプレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によってシート状に成形する方法や、前記樹脂組成物を塗料状に調整しておき、金属箔等に塗布することにより、前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
また例えば、前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記樹脂成分が前記熱可塑性樹脂である場合には、前記バインダー樹脂組成物(II)の各成分を溶剤に懸濁させておき、この懸濁液を用いて抄紙することによりシート状に成形しておき、金属箔等とプレス成形することにより前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
また前記樹脂組成物(I)に含まれる前記樹脂成分が前記エポキシ樹脂である場合は、前記樹脂組成物の各成分を塗料状とした後、例えば、金属箔等に塗布後加熱硬化させることにより、前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
同様に前記バインダー樹脂組成物(II)に含まれる前記樹脂成分が前記エポキシ樹脂である場合は、前記バインダー樹脂組成物(II)の各成分を溶剤に懸濁させておき、この懸濁液を用いて抄紙することによりシート状に成形しておき、金属箔等と加熱硬化することにより前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
前記加熱硬化させる方法としては、例えば、プレス成形、ロール成形、コーター成形による成形方法等により上記エポキシ樹脂混練物をシート化する際、不燃性繊維材料からなるネット又はマットをエポキシ樹脂中に含浸した後、エポキシ樹脂を硬化させる方法が挙げられる。
前記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、プレスやロールによる加熱、加熱炉による加熱等、公知の方法の一種もしくは二種以上を組み合わせて行うことができる。
上記に説明した方法により、本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
前記熱膨張性耐火シートは市販品として入手可能であり、例えば、住友スリ―エム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火シート、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火シート、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)、積水化学工業社製フィブロック(ブチルゴムを含む熱膨張性耐火シート)等の熱膨張性耐火シート等も挙げられる。また従来公知の耐火塗料を塗布あるいは成形することにより得られたものを用いてもよい。
前記熱膨張性耐火シートは、火災時などの高温にさらされた際にその膨張層により断熱し、かつその膨張層の強度があるものであれば特に限定されないが、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨張率が3倍を下回ると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めきれず防火性能が低下する。また50倍を超えると、膨張層の強度が下がり、火炎の貫通を防止する効果が低下する。より好ましくは、体積膨張率が5〜40倍の範囲であり、さらに好ましくは8〜35倍の範囲である。
前記膨張層が自立するためには、前記膨張層は強度の大きいことが必要であり、その強度としては、圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて、前記膨張層のサンプルを0.1m/sの圧縮速度で測定した場合の破断点応力が0.05kgf/cm以上であれば好ましい。破断点応力が0.05kgf/cmを下回ると、断熱膨張層が自立できなくなり防火性能が低下する。より好ましくは、0.1kgf/cm以上である。
前記熱膨張性耐火シートの厚みは0.1〜3mmの範囲であることが好ましい。
また、本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートは、金属箔を備えるものを使用することができる。
前記金属箔としては、例えば、具体的にはアルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等、これらにガラスクロスを積層したアルミガラスクロス等が挙げられる。
前記金属箔はアルミニウム箔、アルミガラスクロスが好ましい。
前記金属箔は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
次に本発明の耐火目地材に使用する熱膨張性耐火被覆部について説明する。
この熱膨張性耐火被覆部2は、例えば図1に例示される様に、先に説明した熱膨張性耐火シート300のうち前記芯材1と接している部分からなるものである。
図15〜17は、前記熱膨張性耐火被覆部と前記芯材との関係を例示するための模式断面図である。
前記熱膨張性耐火被覆部2としては、例えば図15に例示される様に、前記芯材1の周囲の一部と接しているもの、図16に例示される様に、前記芯材1の周囲のほとんど全部と接しているもの、図17に例示される様に、前記芯材1の周囲全部と接しているもの等を挙げることができる。
また前記熱膨張性耐火被覆部は、前記芯材に接している部分のうち、一部が貼着されていても良いし、全部が貼着されていても良い。
前記熱膨張性耐火被覆部は、前記芯材に接している部分の全部が前記芯材に対して貼着されていることが好ましい。
前記熱膨張性耐火被覆部と前記芯材とを貼着する方法としては、例えば、両者を熱により融着する方法、接着剤を用いて接着する方法、両面粘着テープを用いて接着する方法、前記熱膨張性耐火シート自体に粘着性を持たせその粘着性を利用する方法等を挙げることができる。
これらの方法は、一種もしくは二種以上を実施することができる。
次に本発明に使用する熱膨張性耐火シールリップについて説明する。
本発明の耐火目地材は二つの熱膨張性耐火シールリップを備えるものである。
例えば図1に示される様に、この熱膨張性耐火シールリップ3a,3bは、前記熱膨張性耐火シート300のうち、前記芯材と接していない残りの部分からそれぞれなるものである。
また、図1に例示される様に、前記二つの熱膨張性耐火シールリップ3a,3bは、前記芯材に対してそれぞれ反対方向に突設されている。
前記熱膨張性耐火シールリップ3a,3bにより、建物の外壁等に設けられた目地部の幅が変動した場合であっても前記目地部の変動を吸収することができる。
図18は、本発明の耐火目地材の別の一実施態様について例示する模式断面図である。
図18に例示される様に、本発明の耐火目地材110は先の耐火目地材100の構成に加えて、さらに金属箔5を備えるものである。
前記金属箔5は、例えば、前記熱膨張性耐火シートが前記芯材1を被覆する面とは反対側の前記熱膨張性耐火シートの面に設けることができる。
前記金属箔5は、前記熱膨張性耐火シートの上記面の一部に設けられても、上記面の全部に設けられてもよいが、前記耐火目地材の耐火性の向上の理由から、前記金属箔5は、前記熱膨張性耐火シートの上記面の全部に設けられることが好ましい。
図19は、本発明の耐火目地材の別の一実施態様について例示する模式断面図である。
図19に例示される様に、本発明の耐火目地材120は離型性フィルム6を備えることができる。
前記離型性フィルム6は、例えば、図19に例示した様に、前記芯材1および前記二つのシールリップ3a,3bに設けることもできるし、前記芯材1に設けないで前記二つのシールリップ3a,3bのみに設けることもできる。
前記離型性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを使用することができる。
前記離型性フィルムを本発明の耐火目地材に設けることにより、前記耐火目地材が建物の外壁等に設けられた目地部以外と接着等することを防止することができ、例えば地震等が発生した場合等でも、前記耐火目地材と前記目地部との隙間の発生を防止することができる。
前記二つのシールリップ3a,3bに対し前記離型性フィルム6を設ける方法としては、例えば、両者を熱により積層する方法、接着剤を用いて接着する方法、両面粘着テープを用いて接着する方法、前記二つのシールリップ3a,3bを構成する前記熱膨張性耐火シート自体に粘着性を持たせ、その粘着性を利用する方法等を挙げることができる。
これらの方法は、一種もしくは二種以上を実施することができる。
図20は、先に説明した金属箔5を備えた耐火目地材に、図19の場合と同様、前記離型性フィルム6を備えた本発明の耐火目地材の別の一実施態様について例示する模式断面図である。
図20に例示した様に、本発明の耐火目地材130は、前記金属箔5と前記離型性フィルム6とを備えることも可能である。
次に本発明の耐火目地材の応用例として、先に説明した耐火目地材を用いた建物の外壁等の目地部の耐火施工方法について説明する。
図21は、建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材を設置する工程を例示した模式要部斜視図である。
図21に例示される様に、建物の外壁7a,7bの建物外部側から、前記目地部8に前記耐火目地材100が挿入される。
図22は、建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材100を設置した後の状態を例示した模式要部斜視図である。
前記耐火目地材100には、前記熱膨張性耐火シールリップ3a,3bが設けられていて、この熱膨張性耐火シールリップ3a,3bがそれぞれ前記建物の目地部8を構成する外壁7a,7bに密着して設けられている。
前記熱膨張性耐火シールリップ3a,3bには柔軟性があるため、前記建物の外壁等を施工する過程で膨張、収縮等により前記目地部に変動幅が生じることがあってもその変動幅を吸収することができる。
図23は、建物の外壁7a,7bを建物内部側から観察した、前記目地部8に前記耐火目地材100が挿入された状態を例示した模式要部斜視図である。
前記外壁7a,7bの建物内部側には固定用治具9が設けられていて、前記耐火目地材100を前記建物の外壁7a,7bの建物内部側から挿入したときに、所定の位置に前記耐火目地材100を固定することができる。
図24は、建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材を設置する工程を例示した模式要部斜視図である。
図24に例示される様に、前記目地部8に対する前記耐火目地材100の挿入する方向を、図21の場合は反対の方向に設定することも可能である。
また、必要に応じて、前記耐火目地材100を挿入した後に、さらに前記目地部8にシーリング材を充填することも可能である(図示せず)。
施工後、前記固定用治具9を撤去することにより、前記耐火目地材を備えた建物の外壁等の目地部の耐火構造を形成することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
図25は、実施例1の耐火目地材140を示す模式要部断面図である。
図25に示される様に、前記耐火目地材140は、直径6mmの塩化ビニル樹脂からなる芯材10を備えるものである。
また、前記耐火目地材140は、熱膨張性耐火被覆部2、熱膨張性耐火シールリップ3a,3bを備えるものである。
前記熱膨張性耐火被覆部2と、熱膨張性耐火シールリップ3a,3bとは、熱膨張性耐火シート300からなるものであり、前記熱膨張性耐火被覆部2は前記芯材10と貼着されている。
前記熱膨張性耐火シート300は、ポリエチレンテレフタレート基材フィルムに積水化学工業社製の商品名フィブロック(ブチルゴムタイプ)をシート状に押出成形して得られたものを使用した。
前記熱膨張性耐火シート300の厚みは1mmであり、その幅、すなわち、図25において前記熱膨張性耐火被覆部2と、熱膨張性耐火シールリップ3a,3bとの長さを合計した長さは17mmであった。
この様にして得られた耐火目地材140を、建物の外壁7a,7bの目地部(目地部の幅10mm)に挿入することにより、図26に示される様に前記耐火目地材140を備えた建物外壁の目地部の耐火構造が得られた。
前記建物外壁の施工前後で、前記外壁7a,7bと、前記熱膨張性耐火シールリップ3a,3bとの間でそれぞれ隙間は生じず、優れた形状保持性を示した。
また、前記建物外壁の内側で、ISO834に準拠して1時間耐火試験を実施したところ、前記耐火目地材140に含まれる前記熱膨張性耐火シート300は速やかに膨張し、十分な耐火性を示した。前記建物外壁の外側で耐火試験を実施した場合も同様であった。
図27は、実施例2の耐火目地材150を示す模式要部断面図である。
実施例1の前記熱膨張性耐火シート300に替えて、アルミ箔とガラスクロスとを積層したアルミガラスクロス基材50に積水化学工業社製の商品名フィブロック(ブチルゴムタイプ)をシート状に押出成形して得られたものを使用した。
得られた熱膨張性耐火シート310は、その厚みが0.5mmであり、その幅、すなわち、図27において前記熱膨張性耐火被覆部2と、熱膨張性耐火シールリップ3a,3bとの長さを合計した長さは17mmであった。
前記熱膨張性耐火シート310以外は実施例1の場合と同様にして、図27に示される耐火目地材150を得た。
図28は、前記耐火目地材150を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図29は、実施例3の耐火目地材160を示す模式要部断面図である。
実施例2の耐火目地材150に加えて、図29に示される様に、前記熱膨張性耐火シールリップ3a,3bに対し、離型性フィルム6を貼着して、耐火目地材160を得た。
前記離型性フィルム6はポリプロピレンテープからなるものであり、その幅、すなわち前記熱膨張性耐火シールリップ3aの端部と前記熱膨張性耐火シールリップ3bの反対側の端部までの長さは16mmであり、前記ポリプロピレンテープの厚みは60μmであった。
前記離型性フィルム6を使用した以外は全く実施例2の場合と同様にして、図29に示される前記耐火目地材160を得た。
図30は、前記耐火目地材160を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図31は、実施例4の耐火目地材170を示す模式要部断面図である。
実施例4では、実施例3に使用した前記芯材11に替えて、その断面形状が6mm×6mmの正方形である塩化ビニル樹脂からなる芯材12を使用した以外は全く実施例3の場合と同様にして、図31に示す耐火目地材170を得た。
図32は、前記耐火目地材170を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図33は、実施例5の耐火目地材180を示す模式要部断面図である。
実施例5では、実施例3に使用した前記芯材11に替えて、その断面形状の外周が6mm×6mmの正方形であり、内部にその断面が2mm×2mmの正方形状の中空構造を備えた塩化ビニル樹脂からなる芯材13を使用した以外は全く実施例3の場合と同様にして、図33に示す耐火目地材180を得た。
図34は、前記耐火目地材180を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図35は、実施例6の耐火目地材190を示す模式断面図である。
実施例6では、実施例3に使用した前記芯材11に替えて、その断面形状がH字形状であり、その厚みが1.5mmの塩化ビニル樹脂からなる芯材14を使用した以外は全く実施例3の場合と同様にして、図35に示す耐火目地材190を得た。
図36は、前記耐火目地材190を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図37は、実施例7の耐火目地材200を示す模式断面図である。
実施例7では、実施例2に使用した前記芯材10に替えて、芯材15を使用した。
また、実施例2に使用した前記熱膨張性耐火シート310に替えて、厚みが0.5mmであり、その幅、すなわち、図37において前記熱膨張性耐火被覆部2と、熱膨張性耐火シールリップ3a,3bとの長さを合計した長さは42mmであり、かつ、アルミ箔とガラスクロスとを積層したアルミガラスクロス基材50に積水化学工業社製の商品名フィブロック(ブチルゴムタイプ)をシート状に押出成形して得られた熱膨張性耐火シート320を使用して、図37に示す耐火目地材200を得た。
図38は、前記耐火目地材200を備えた建物外壁の目地部の耐火構造の模式要部断面図を示したものである。
この耐火構造も実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
図30、32、34および36にそれぞれ示される実施例3〜6の前記耐火目地材160〜190の目地部に対し、前記離型性フィルムに接してさらにシーリング材を充填したところ、得られた耐火構造は実施例1の場合と同様、優れた形状保持性、耐火性を示した。
本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明に使用する芯材の一実施態様について例示する模式要部斜視図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 金属箔を備えた本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 離型性フィルムを備えた本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 金属箔および離型性フィルムを備えた本発明の耐火目地材の一実施態様について例示する模式断面図である。 建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材を設置する工程を例示した模式要部斜視図である。 建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材100を設置した後の状態を例示した模式要部斜視図である。 建物の外壁を建物外部側から観察した、目地部に耐火目地材が挿入された状態を例示した模式要部斜視図である。 建物の外壁等の目地部に前記耐火目地材を設置する工程を例示した模式要部斜視図である。 実施例1の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例1の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例2の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例2の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例3の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例3の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例4の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例4の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例5の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例5の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例6の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例6の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 実施例7の耐火目地材を示す模式要部断面図である。 実施例7の耐火目地材を使用した建物外壁の目地部の耐火構造を示す模式要部断面図である。 従来の耐火目地材を示した模式断面図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、10、11、12、13、14、
15 芯材
2 熱膨張性耐火被覆部
3a、3b 熱膨張性耐火シールリップ
4 中空部分
5 金属箔
6 離型性フィルム
7a、7b 建物の外壁
8 目地部
9 固定用治具
16 シールリップ
17 発泡性耐火材
50 アルミガラスクロス基材
100、110、120、130、140、150、160、170、180、
190、200、400 耐火目地材
300、310、320 熱膨張性耐火シート

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む芯材と、熱膨張性耐火シートと、を備えた耐火目地材であって、
    前記熱膨張性耐火シートは、前記芯材と接している部分からなる熱膨張性耐火被覆部と、前記芯材と接していない残りの部分からそれぞれなる二つの熱膨張性耐火シールリップと、からなり、
    前記熱膨張性耐火被覆部は、前記芯材の周囲の全部または一部に設けられ、
    前記二つの熱膨張性耐火シールリップは、前記芯材に対してそれぞれ反対方向に突設されていること、
    を特徴とする耐火目地材。
  2. 前記熱膨張性耐火シートは、金属箔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の耐火目地材。
  3. 前記熱膨張性耐火シールリップは、離型性フィルムを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の耐火目地材。
  4. 前記二つの熱膨張性耐火シールリップのそれぞれを外壁の目地部に密着させるための、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火目地材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐火目地材を、外壁の目地部に挿入してなる、外壁の目地部の耐火構造。
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