JP4320110B2 - 防耐火壁構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井・床間に設けられる防耐火壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、天井・床間に防耐火壁構造を設ける場合は、図4に示したように、断面コ字状の金属製ランナー11を天井材13及び床材14にそれぞれ取付け、ランナー11の断面コ字状の溝17に防耐火被覆材12の上下両端部をそれぞれ挿入して固定する。ランナー11を固定するには、ランナー11の背面を天井材13又は床材14に当接させ、固定用金具15(例えばボルト)を使用して天井材13又は床材14に締着する方法が行われている。
【0003】
上記防耐火被覆材としては、例えば、石膏ボード、スレート板、ALC板、PC板、けい酸カルシウム板等が用いられる。
【0004】
上記防耐火壁構造では、火災時の高温に曝されるとランナー11が熱変形を起こして、天井材13又は床材14との間に隙間が生じることがあり、このような隙間から、火炎や煙が防耐火壁構造を越えて反対側へ到達するため、類焼の恐れがあった。このため、ランナー11全体を耐火材16で被覆して、火災時の高温に曝された場合でもランナー11に熱変形が起こるのを防止している。
【0005】
上記耐火材16には、例えば、ロックウール、セラミックブランケット等が用いられる。しかしながら、上記耐火材としてロックウールを使用する場合は吹きつけにより被覆し、セラミックブランケットを使用する場合は耐火接着剤を使用して被覆する必要があるため、施工に手間が掛かり、きれいに仕上げるのが難しいという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に鑑み、火災時の高温によって金属製ランナーが変形して、防耐火被覆材と天井又は床との間に隙間を生じるようなことがあっても、隙間を閉塞して火炎や煙が防耐火被覆材を越えて反対側へ到達するのを阻止し得る防耐火壁構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の防耐火壁構造は、天井・床間に防耐火被覆材を立設して形成される防耐火壁構造において、防耐火被覆材が天井材及び床材にそれぞれ取り付けられたランナーを介して天井材及び床材に固定され、ランナーと天井材及び床材との間に、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する、50kW/m2 の加熱条件下で30分間加熱したときの厚み方向の膨張倍率(膨張後の厚みd1/膨張前の厚みd0)が3〜100倍である熱膨張性耐火材がそれぞれ挿着されてなることを特徴とする。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の防耐火壁構造は、天井・床間に防耐火被覆材を立設して形成される防耐火壁構造であり、図1に示した模式縦断面図を参照しながら説明する。
図中、1は金属製ランナー、2は防耐火被覆材、3は天井材、4は床材をそれぞれ示す。
【0009】
上記防耐火壁構造を天井・床間に形成する場合は、断面コ字状の金属製ランナー1を天井材3及び床材4にそれぞれ取り付け、両方の金属製ランナー1,1を介して、天井・床間に防耐火被覆材2を立設する。
上記金属製ランナー1は、防耐火被覆材2の上下両端部の全長に対応して取り付けられる。防耐火被覆材2は、その上下両端部を金属製ランナー1,1の断面コ字状の凹溝7,7にそれぞれ挿入することによって固定される。
【0010】
上記金属製ランナー1,1は固定用金具5(例えばボルト)を用いて、天井材3及び床材4にそれぞれ取り付けられるが、防耐火被覆材2を金属製ランナー1,1の断面コ字状の凹溝7に挿入する際にボルトの頭部のでっぱりが障害となる場合は、固定用金具5として、例えば、頭部のでっぱりがないさらボルト等を用いることが好ましい。
【0011】
本発明の防耐火壁構造では、金属製ランナー1と天井材3及び床材4との間に、熱膨張性耐火材6,6をそれぞれ挿着する。
この熱膨張性耐火材6は、金属製ランナー1,1を固定用金具5を用いて天井材3及び床材4に取り付ける際に同時に挿着することができ、金属製ランナー1の長手方向全体にわたって挿着することが好ましい。
上記熱膨張性耐火材6は、挿着時の作業性を考慮して、シート状物として使用することが好ましい。
【0012】
さらに、防耐火被覆材2を天井材3及び床材4にそれぞれ固定する作業を効率化するために、断面コ字状の金属製ランナー1に代えて、図2(イ)に示したように、断面L字状の金属製ランナー1a,1aを対向させて使用してもよい。
上記断面L字状の金属製ランナー1aを使用する場合は、一方の側のL字状の金属製ランナー1aを予め天井材3及び床材4にそれぞれ取り付けた後、防耐火被覆材2を立てた状態でその上下両端を金属製ランナー1a,1aに当接させ、次いで、もう一方の側の断面L字状の金属製ランナー1a,1aを天井材3及び床材4にそれぞれ取り付ける。
【0013】
上記断面L字状の金属製ランナー1aを使用する場合、熱膨張性耐火材6は、図2(イ)に示したように、連続した1枚物であってもよく、図2(ロ)に示したように、2分割されたのであってもよい。
図3に、金属製ランナー1a及び熱膨張性耐火材6を、図2(イ)の方法で配置した防耐火壁構造の模式縦断面図を示す。
【0014】
上記金属製ランナーの材質としては、例えば、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛メッキ鋼板等が用いられ、その厚みは0.1〜3mmが好ましく、より好ましくは0.3〜1.6mmである。
【0015】
上記防耐火被覆材としては、例えば、石膏ボード、スレート板、ALC板、PC板、セラミック板、コンクリート板、けい酸カルシウム板、含水無機物含有ボード、木片セメント板等が挙げられる。これらは複合して使用してもよい。
【0016】
上記熱膨張性耐火材としては、火災等の加熱によって膨張して耐火断熱層を形成し耐火性能を発現するものであって、50kW/m2 の加熱条件下で30分間加熱したときの厚み方向の膨張倍率(膨張後の厚みd1/膨張前の厚みd0)が3〜100倍であるものが使用される。
上記膨張倍率(d1/d0)が、3倍未満では加熱によって形成される耐火断熱層の断熱性能が不足して、十分な耐火性能を発現せず、100倍を超えると耐火断熱層の強度が不足して崩壊し易くなる。
【0017】
本発明において、上記熱膨張性耐火材は、特に熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤を含有する樹脂組成物(I)、又は、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹脂組成物(II)から形成されるものが好ましい。
【0018】
以下、樹脂組成物(I)について説明する。
上記樹脂組成物(I)としては、熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤からなるものが用いられる。
【0019】
上記熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0021】
上記熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質には、更に、耐火性材料の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
上記熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質の架橋方法については、特に限定されず、熱可塑性樹脂もしくはゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤や過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法などが挙げられる。
【0022】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0023】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0024】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0025】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0026】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0027】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
上記無機充填剤としては、特に含水無機物と金属炭酸塩との併用が好ましい。
上記含水無機物及び金属炭酸塩は、骨材的な働きをすることから、加熱残渣によって形成される耐火断熱層のの強度向上や熱容量増大に寄与すると考えられる。
【0029】
さらに、上記含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことにより残渣強度が向上する点で特に好ましい。中でも、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より優れた温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0030】
さらに、上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、後述するリン化合物が併用されるとリン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、金属炭酸塩は有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い加熱残渣を形成する。
【0031】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、樹脂組成物(I)の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0032】
上記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)が挙げられる。
【0033】
上記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「ホワイトンBF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
【0034】
上記樹脂組成物(I)には、必要に応じてリン化合物が配合されてもよい。
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0035】
【化1】
Figure 0004320110
【0036】
式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0037】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0038】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、クラリアント社製「EXOLIT AP422」、「EXOLIT AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。上記リン化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
上記樹脂組成物(I)における中和処理された熱膨張性黒鉛との配合量は、上記熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質100重量部に対して10〜350重量部が好ましい。中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量が、10重量部より少なくなると十分な熱膨張性が得られず、350重量部を超えると均一な分散が困難となるため、均一な厚みに成形することが困難となる。
【0041】
上記樹脂組成物(I)における無機充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。
配合量が、50重量部未満では十分な耐火性を有する樹脂組成物が得られず、500重量部を超えると樹脂組成物の機械的物性が低下する。
【0042】
上記樹脂組成物(I)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、火炎や熱の伝達を阻止する。
リン化合物は、加熱により脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。
無機充填剤は、その際に熱容量の増大に寄与し、また、リン化合物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0043】
次に、上記樹脂組成物(II)について説明する。
上記樹脂組成物(II)としては、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなるものが用いられる。
【0044】
上記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。
上記エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが例示される。
【0045】
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
【0046】
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが例示される。
【0047】
上記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示される。
【0048】
これらのエポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。
重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。
【0050】
上記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
【0051】
上記樹脂組成物(II)において使用される中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤としては、樹脂組成物(I)で使用されるものと同様の成分が用いられる。
【0052】
上記樹脂組成物(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して10〜350重量部が好ましい。
また、無機充填剤の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。
【0053】
上記樹脂組成物(II)には、樹脂組成物(I)で使用されるものと同様のリン化合物が配合されてもよい。
【0054】
上記樹脂組成物(II)では、樹脂としてエポキシ樹脂を使用することによって、樹脂自身が燃焼時にチャー(炭化)層を形成し、形状を保持するのに十分強固な耐火断熱層を形成する。
【0055】
上記樹脂組成物(I)及び(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、火炎や熱の伝達を阻止する。
リン化合物は、加熱により脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。
無機充填剤は、その際に熱容量の増大に寄与し、また、リン化合物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0056】
上記樹脂組成物(I)及び(II)には、その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料などが添加されてもよい。
【0057】
上記樹脂組成物(I)及び(II)は、上記各成分を、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練することにより得ることができる。この樹脂組成物(I)及び(II)を、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法により、熱膨張性耐火材をシート状物に成形することができる。
【0058】
上記熱膨張性耐火材は、火災時に耐火断熱層を形成して金属製ランナーの温度上昇を抑制すると共に、火災時に金属製ランナーが熱変形して、天井材や床材との間に隙間を生じるようなことがあっても、熱膨張性耐火材が膨張して耐火断熱層を形成して隙間を閉塞するので、火炎、煙等が防耐火構造壁を越えて反対側へ到達するのが防止される。
【0059】
また、上記従来の防耐火壁構造では、ランナー部を通して音の固体伝搬が起こるため遮音性能が低下するが、本発明の防耐火壁構造では、熱膨張性黒鉛、無機充填剤等を含有し、弾性を有する熱膨張性耐火材がランナーと天井及び床との間に挿着されるため、音の固体伝搬が抑制されて遮音性能が向上する。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【0061】
熱膨張性耐火材の調製
表1に示した配合量の、ブチルゴム、ポリブテン、エポキシ樹脂、水添石油樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム及びポリリン酸アンモニウムからなる樹脂組成物を二本ロールで溶融混練して、所定厚みの熱膨張性耐火材A、B、C及びDを得た。
上記各熱膨張性耐火材に50kW/m2 の熱量を30分間照射して膨張させたときの厚みをそれぞれ測定し、照射前後における厚み方向の膨張倍率〔倍〕を下式より算出して表1に示した。
膨張倍率〔倍〕=(照射後の厚みd1/照射前の厚みd0)
【0062】
【表1】
Figure 0004320110
【0063】
(実施例1,2)
表2に示した防耐火被覆材2(100mm厚のALC板)、熱膨張性耐火材6及び金属製ランナー1(鋼製、100mm幅の断面コ字状)を使用し、図1に示した構造を有する防耐火壁構造(試験体)を作製した。
【0064】
(実施例3,4)
表2に示した防耐火被覆材2(35mm厚のけい酸カルシウム板)、熱膨張性耐火材6及び金属製ランナー1(鋼製、35mm幅の断面コ字状)を使用し、図1に示した構造を有する防耐火壁構造(試験体)を作製した。
【0065】
(実施例5,6)
表3に示した防耐火被覆材2(100mm厚のALC板)、熱膨張性耐火材6及び金属製ランナー1a(鋼製、40mm幅の断面L字状物×2)を使用し、図3に示した構造を有する防耐火壁構造(試験体)を作製した。
【0066】
(実施例7,8)
表3に示した防耐火被覆材2(35mm厚のけい酸カルシウム板)、熱膨張性耐火材6及び金属製ランナー1a(鋼製、15mm幅の断面L字状物×2)を使用し、図3に示した構造を有する防耐火壁構造(試験体)を作製した。
【0067】
(比較例1〜8)
実施例1において、熱膨張性耐火材を全く使用せずに作製した防耐火構造壁(試験体)を比較例1とし、以後同様の順序で実施例2〜8に対応して熱膨張性耐火材を全く使用せずに作製した防耐火壁構造(試験体)を比較例2〜8とした。
【0068】
【表2】
Figure 0004320110
【0069】
【表3】
Figure 0004320110
【0070】
上記実施例1〜8の防耐火壁構造(試験体)について、ISO 834に準拠して1時間耐火性能試験を行った結果、熱膨張性耐火材が膨張して耐火断熱層を形成し、ランナーの変形で生じた隙間は完全に閉塞され、火炎の貫通は起こらなかった。しかしながら、比較例1〜8の防耐火構造壁(試験体)について行った同様の1時間耐火性能試験では、ランナーの変形で生じた隙間から火炎の貫通が起こった。
【0071】
また、実施例1の防耐火壁構造及び図4に示した従来の防耐火壁構造について、JIS A 1417に準拠して、建築物の現場における音圧レベル差を測定したところ、実施例1の防耐火構造壁の方が、2000Hz及び4000Hzの周波数において、音圧レベル差2dBの向上が認められた。
【0072】
【発明の効果】
本発明の防耐火壁構造は、上述の構成であり、火災時の高温によって熱膨張性耐火材が膨張して耐火断熱層を形成し、金属製ランナーの温度上昇を抑制すると共に、火災時の高温によって金属製ランナーが変形して、防耐火被覆材と天井又は床との間に隙間を生じるようなことがあっても、隙間を閉塞して火炎や煙が防耐火被覆材を越えて反対側へ到達するのを阻止し得る。
また、上記熱膨張性耐火材は、金属製ランナーを天井材及び床材に取り付ける際に容易に施工することができ、熱膨張性耐火材の使用することによって遮音性能の向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防耐火壁構造の一例を示す模式縦断面図である。
【図2】図2(イ)及び(ロ)は、断面L字状の金属製ランナーの取り付け状態を拡大して示す模式断面図である。
【図3】本発明の防耐火壁構造の他の一例を示す模式縦断面図である。
【図4】従来の防耐火壁構造を示す模式縦断面図である。
【符号の説明】
1,1a,11 ランナー
2,12 防耐火被覆材
3,13 天井材
4,14 床材
5,15 固定用金具
6 熱膨張性耐火材
7,17 凹溝

Claims (3)

  1. 天井・床間に防耐火被覆材を立設して形成される防耐火壁構造において、防耐火被覆材が天井材及び床材にそれぞれ取り付けられたランナーを介して天井材及び床材に固定され、ランナーと天井材及び床材との間に、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する、50kW/m2 の加熱条件下で30分間加熱したときの厚み方向の膨張倍率(膨張後の厚みd1/膨張前の厚みd0)が3〜100倍である熱膨張性耐火材がそれぞれ挿着されてなることを特徴とする防耐火壁構造。
  2. 熱膨張性耐火材が、熱可塑性樹脂及び/もしくはゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤を含有する樹脂組成物(I)からなることを特徴とする請求項1記載の防耐火壁構造。
  3. 熱膨張性耐火材が、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹脂組成物(II)からなることを特徴とする請求項1記載の防耐火壁構造。
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