JP4268338B2 - 埋込型ボックスの防耐火構造 - Google Patents

埋込型ボックスの防耐火構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、埋込型ボックスの防耐火構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、3階建以上の建築物(共同住宅、病院、ホテル、下宿等)では、建築基準法により、所定の耐火性能を有する耐火構造が義務付けられている。
【0003】
上記耐火構造では、天井材、間仕切壁、床材などに、耐火性を有する材料や構造体が用いられる。
【0004】
例えば、耐火性を有する間仕切壁としては、15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボードを2枚張りしたものを鋼製スタッドに両面張りしたものなどが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば、上記の間仕切壁にコンセントや、照明スイッチなどを取り付けるためにはその部分を繰り抜いて埋込まなければならない。
【0006】
これら埋込部に関しては、火災が発生した際にその部分より火炎が進入し防耐火性能が低下するという問題が発生する。
【0007】
このため、準耐火建築物のコンセント部に関しては、100平方cm未満の開口部には鋼製のコンセントボックスを使い、100〜200平方cmの開口部には鋼製のコンセントボックスを不燃材の断熱材(例えば厚さ30mm以上のロックウール(密度40kg/立方cm)で被覆したり、200平方cm以上の開口部には防火被覆が必要とされてきた。
【0008】
しかしながら、これらの被覆方法は煩雑であり施工に手間がかかるという問題や、繰り抜いた部分を通して音が伝達しやすくなるため、遮音性能が低下するという問題があった。
【0009】
また、電源用のブレーカーボックスや、防火ベルなども埋込型にした場合は、特にその埋込部分の面積が拡大するため、防耐火上非常に問題となる可能性がある。このため、上記のように、埋込型ボックスを防耐火被覆するためにロックウールで被覆したり、ケイカル板で被覆する方法があるが、これらの材料は施工性に劣る上に被覆厚みが厚いという欠点があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、十分な耐火性能を有し、施工性が良く、被覆厚みが薄く、しかも、必要な遮音性能も確保することができる埋込型ボックスの防耐火構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、建築物の壁面に形成された開口部の壁裏側に取付けられる埋込型ボックスに対し、該埋込型ボックスの裏面および側面を覆い且つ前記開口部を塞ぐように加熱によって膨張可能な熱膨張性耐火材を設けたことを特徴としている。
【0012】
このように構成された請求項1にかかる発明によれば、前記熱膨張性耐火材は火災時に膨張するため、埋込型ボックスに貫通している電線部分の隙間や火災により電線が焼失した場合でも、膨張した熱膨張性耐火材が隙間部分を充填することとなるので、火炎の貫通が起こらず、十分な耐火性能を得ることができる。
【0013】
また、埋込型ボックスの裏面などを熱膨張性耐火材で覆うように取付けるだけの構造なので、施工性が良く、被覆厚みが薄くなり、しかも、必要な遮音性能も確保することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明では、前記熱膨張性耐火材が、前記埋込型ボックスの裏面および側面を覆うと共に前記開口部の壁裏側の周縁部に取付けられたことを特徴としている。
【0015】
このように構成された請求項2にかかる発明によれば、開口部の壁裏側に埋込型ボックスを取付けた後に熱膨張性耐火材を貼付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載された発明では、前記熱膨張性耐火材が、前記埋込型ボックスの裏面および側面に被覆されて前記埋込型ボックスごと前記開口部へ差込まれたことを特徴としている。
【0017】
このように構成された請求項3にかかる発明によれば、予め熱膨張性耐火材を被覆した埋込型ボックスを開口部の壁裏側に取付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0018】
請求項4に記載された発明では、前記熱膨張性耐火材の少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つが積層されたことを特徴としている。
【0019】
このように構成された請求項4にかかる発明によれば、熱膨張性耐火材の少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つを積層することにより、防耐火性能をより一層向上することができる。
【0020】
請求項5に記載された発明では、前記熱膨張性耐火材が、50kW/平方mの加熱条件下で30分加熱した後の体積膨張倍率が3〜100倍となって耐火断熱層を形成し得る、厚み0.1〜5mmの材料であることを特徴としている。
【0021】
このように構成された請求項5にかかる発明によれば、熱膨張性耐火材の厚さを、0.1〜5mmとすることにより、好適な結果が得られる。厚みが0.1mmより薄くなると耐火性能が低下し、5mmより厚くなると施工性が低下することとなる。
【0022】
請求項6に記載された発明では、前記熱膨張性耐火材が、熱可塑性樹脂とゴム物質の少なくとも一方、または、エポキシ樹脂100重量部に対し、無機充填剤を50〜500重量部含有し、そのうち少なくとも加熱時に膨張する層状無機物を10〜350重量部含有することを特徴としている。
【0023】
このように構成された請求項6にかかる発明によれば、熱膨張性耐火材を上記所要の組成とすることにより、好適な結果を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0025】
図1〜図4は、この発明の実施の形態1を示すものである。
【0026】
まず、構成を説明すると、図1の建築物の壁面1、例えば、耐火性を有する間仕切壁2は、15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4に両面張りして構成されている。
【0027】
そして、この間仕切壁2に、電気・ガスなどのコンセント5や照明などのスイッチやブレーカーやアンテナ線や電話線や通信線などの設備機器6を設ける場合、間仕切壁2に開口部7が形成され、開口部7の壁裏側に埋込型ボックス8が取付けられる。例えば、照明などのスイッチ9の場合、図2、図3に示すように、埋込型ボックス8(照明スイッチボックス10)に対し、表側からスイッチ9を取付ける取付枠11がネジ止めされ、その上から意匠面となるプレート12がネジ止めやはめ込みなどによって取付けられる。
【0028】
埋込型ボックス8としては、鋼製、樹脂製、FRP等の複合材料製、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、スレート板などの無機系の不燃材料や準不燃材料、有機材料と無機系の材料の複合材料などが用いられる。
【0029】
この実施の形態1では、開口部7の壁裏側に取付けられた埋込型ボックス8に対し、埋込型ボックス8の裏面および側面を覆い且つ開口部7を塞ぐように、加熱によって膨張可能な熱膨張性耐火材15を取付ける。
【0030】
具体的には、図4に示すように、開口部7の壁裏側に埋込型ボックス8を取付けた後、埋込型ボックス8の裏面および側面を覆うように熱膨張性耐火材15を貼付け、且つ、この熱膨張性耐火材15の縁部を開口部7の壁裏側の周縁部に取付け(貼付け)るようにする。
【0031】
この熱膨張性耐火材15には、50kW/平方mの加熱条件下で30分加熱した後の体積膨張倍率が3〜100倍となって耐火断熱層を形成し得る、厚み0.1〜5mmの材料であることが好ましい。
【0032】
具体的には、熱膨張性耐火材15は、熱可塑性樹脂とゴム物質の少なくとも一方、または、エポキシ樹脂100重量部に対し、無機充填剤を50〜500重量部含有し、そのうち少なくとも加熱時に膨張する層状無機物を10〜350重量部含有するものとする。
【0033】
埋込型ボックス8と熱膨張性耐火材15との取付方法は、特に限定されないが、熱膨張性耐火材15が粘着性を有する場合は、その粘着力を利用して積層固定してもよい。熱膨張性耐火材15が熱可塑性樹脂やゴム物質の少なくとも一方からなる材料を含有する場合は可撓性に優れているので、埋込型ボックス8の形状に合わせて被覆することができるので特に好適に用いられる。また、これらの材料を用いて被覆した場合、埋込部分の遮音性能の低下を防止することができるので特に好適に用いられる。
【0034】
熱膨張性耐火材15に粘着力がない場合は、接着剤を使用して接着することができる。特に樹脂成分が後述するエポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂の硬化前に積層すれば硬化時に接着することができる。
【0035】
この熱膨張性耐火材15は、少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つの補助層16を積層したものとするのが好ましい。
【0036】
金属板もしくは、金属箔としては、例えば、鉄板、ステンレス板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板等の金属板やとアルミ箔、アルミガラスクロス、アルミクラフト,銅箔、金箔等の金属箔が挙げられる。金属板の厚みは、0.1〜5mmが好ましく0.1mm以下の金属箔も用いることができる。中でも、アルミ箔と、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維などを積層した材料はアルミの熱反射性に優れる点から耐火上有利であり、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維の耐熱性により、熱膨張性耐火材15の保護を行うことができ、特に好適に用いることができる。上記アルミガラスクロスのアルミ箔の厚みは、取扱いを考慮すると5μm以上が好ましい。また、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維などは単位面積当たりの重量が5g/平方mが好ましく、5g/平方mをきると熱膨張性耐火材15の保護という点で劣る。上記アルミ箔と、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維はポリエチレンなどで熱ラミネートするか、不燃性のアクリル系接着剤等の接着剤を用いて積層される。
【0037】
防耐火性能をより一層向上させるために、上記熱膨張性耐火材15に断熱材などの補助層16を積層して使用してもよい。上記、断熱材としてはケイ酸カルシウム板、繊維混入珪酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、石膏ボード、強化石膏ボード、パーライトセメント板、繊維強化セメント板、木片セメント板、木粉セメント板、スラグ石膏板、スレート板、ALC板、窯業系板、モルタル、PC板、ガラス繊維強化コンクリート板、ロックウール保温板、グラスウール、セラミックブランケット、アルミナシリカ繊維フェルト等の無機質板金網、ラスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよ複数枚貼り合わせて使用してもよい。
【0038】
上記断熱材の厚さは、特に限定されないが施工性を考慮すると0.2〜50mmが好ましい。上記熱膨張性耐火材15と断熱材を併用する場合は、その積層順序は特に限定されないが、施工性等を考慮すると、断熱材を外側に配置することが好ましい。上記熱膨張性耐火材15と断熱材料とを併用する場合は、両者を予め積層したパネル状態で施工してもよく、順次別々に施工してもよい。
【0039】
より詳細に説明すれば、この実施の形態1の耐火断熱性能を満足する熱膨張性耐火材15として、特に、熱可塑性樹脂とゴム物質の少なくとも一方、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤を含有する樹脂組成物(I)、又は、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹脂組成物(II)から形成されるものを使用することが好ましい。
【0040】
以下、樹脂組成物(I)について説明する。
【0041】
上記樹脂組成物(I)としては、熱可塑性樹脂とゴム物質の少なくとも一方、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤からなるものが用いられる。
【0042】
上記熱可塑性樹脂とゴム物質としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記熱可塑性樹脂とゴム物質とは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0044】
上記熟可塑性樹脂やゴム物質には、更に、耐火性材料の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
【0045】
上記熱可塑性樹脂やゴム物質の架橋方法については、特に限定されず、熱可塑性樹脂もしくはゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤や過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法などが挙げられる。
【0046】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0047】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0048】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0049】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂・ゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0050】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0051】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記無機充填剤としては、特に含水無機物と金属炭酸塩との併用が好ましい。上記含水無機物及び金属炭酸塩は、骨材的な働きをすることから、加熱残渣によって形成される耐火断熱層の強度向上や熱容量増大に寄与すると考えられる。
【0053】
さらに、上記含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことにより残渣強度が向上する点で特に好ましい。中でも、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より優れた温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0054】
さらに、上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、後述するリン化合物が併用されると、リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、金属炭酸塩は有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い加熱残渣を形成する。
【0055】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは、約1〜50μmである。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、樹脂組成物(I)の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0056】
上記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)が挙げられる。
【0057】
上記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「ホワイトンBF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
【0058】
上記樹脂組成物(I)には、さらに必要に応じてリン化合物が配合されてもよい。上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0059】
【化1】
Figure 0004268338
【0060】
式中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐伏のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐伏のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐伏のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0061】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0062】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「EXOLlT AP422」、「EXOLlT AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0063】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。上記リン化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記樹脂組成物(I)における中和処理された熱膨張性黒鉛との配合量は、上記熱可塑性樹脂・ゴム物質100重量部に対して10〜350重量部が好ましい。中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量が、10重量部より少なくなると十分な熱膨張性が得られず、350重量部を超えると均一な分散が困難となるため、均一な厚みに成形することが困難となる。
【0065】
上記樹脂組成物(I)における無機充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂・ゴム物質100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。配合量が、50重量部未満では十分な耐火性能を有する樹脂組成物が得られず、500重量部を超えると樹脂組成物の機械的物性が低下する。
【0066】
上記樹脂組成物(I)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、火炎や熱の伝達を阻止する。リン化合物は、加熱により脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。無機充填剤は、その際に熱容量の増大に寄与し、また、リン化合物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0067】
次に、上記樹脂組成物(II)について説明する。
【0068】
上記樹脂組成物(II)としては、エポキシ樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなるものが用いられる。
【0069】
上記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。上記エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが例示される。
【0070】
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピレンオキサイドービスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
【0071】
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが例示される。
【0072】
上記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示される。
【0073】
これらのエポキシ基を持つモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、アミン類、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。
【0075】
上記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
【0076】
上記樹脂組成物(II)において使用される中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤としては、樹脂組成物(I)で使用されるものと同様の成分が用いられる。
【0077】
上記樹脂組成物(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して10〜350重量部が好ましい。また、無機充填剤の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。
【0078】
上記樹脂組成物(II)には、樹脂組成物(I)で使用されるものと同様のリン化合物が配合されてもよい。リン化合物の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜200重量部が好ましい。
【0079】
上記樹脂組成物(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛と無機充填剤の合計量は、エポキシ樹脂100重量部に対して200〜600重量部が好ましい。また、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤及びリン化合物の合計量は、エポキシ樹脂100重量部に対して200〜600重量部が好ましい。
上記樹脂組成物(II)では、樹脂としてエポキシ樹脂を使用することによって、樹脂自身が燃焼時にチャー(炭化)層を形成し、形状を保持するのに十分強固な耐火断熱層を形成する。
【0080】
上記樹脂組成物(I)及び(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、火炎や熱の伝達を阻止する。リン化合物は、加熱により脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。無機充填剤は、その際に熱容量の増大に寄与し、また、リン化合物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0081】
上記樹脂組成物(I)及び(II)には、その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料などが添加されてもよい。
【0082】
上記樹脂組成物(I)及び(II)は、上記各成分を、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練することにより得ることができる。上記熱膨張性耐火材15は、コンクリート構造体への施工性を考慮すると、シート状物として使用することが好ましく、得られた樹脂組成物(I)及び(II)を、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法により、シート状物に成形することができる。
【0083】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0084】
熱膨張性耐火材15は火災時に膨張するため、埋込型ボックス8に貫通している電線部分の隙間や火災により電線が焼失した場合でも、膨張した熱膨張性耐火材15が隙間部分を充填することとなるので、火炎の貫通が起こらず、十分な耐火性能を得ることができる。
【0085】
また、埋込型ボックス8の裏面などを熱膨張性耐火材15で覆うように取付けるだけの構造なので、施工性が良く、被覆厚みが薄くなり、しかも、必要な遮音性能も確保することができる。
【0086】
実施の形態1の場合には、開口部7の壁裏側に埋込型ボックス8を取付けた後に熱膨張性耐火材15を貼付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0087】
更に、熱膨張性耐火材15の少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つを積層することにより、防耐火性能をより一層向上することができる。
【0088】
電気・ガスなどのコンセント5や、照明などのスイッチ9や、ブレーカーや、アンテナ線や電話線や通信線などの設備機器6の埋込型ボックス8に対して適用することが可能である。
【0089】
熱膨張性耐火材15の厚さは、0.1〜5mmが好ましい。厚みが0.1mmより薄くなると耐火性能が低下し、5mmより厚くなると施工性が低下する。
【0090】
【発明の実施の形態2】
図5は、この発明の実施の形態2を示すものである。なお、実施の形態1と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付して説明する。
【0091】
この実施の形態2のものでは、予め熱膨張性耐火材15などで埋込型ボックス8の裏面および側面を被覆し、この埋込型ボックス8の先端部を熱膨張性耐火材15ごと開口部7へ差込むようにして取付けている。
【0092】
この実施の形態2によれば、予め熱膨張性耐火材15を被覆した埋込型ボックス8を開口部7の壁裏側に取付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0093】
上記以外の部分については、実施の形態1と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0094】
【実施例】
熱膨張性耐火材15の調製
表1に示した配合量の、ブチルゴム、ポリブテン、水添石油樹脂、メタロセンポリエチレン樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムからなる樹脂組成物を二本ロールで溶融混練して、所定厚みの熱膨張性耐火材A、B、C及びD、Eを得た。
【0095】
【表1】
Figure 0004268338
【0096】
尚、表1中で使用した各成分は下記の通りである。
・ブチルゴム :エクソン化学社製「ブチルゴム#065」
・メタロセンPE(ポリエチレン):ダウケミカル社製「EG8200」
・ポリブテン :出光石油化学社製「ポリブテン100R」
・水添石油樹脂 :トーネックス社製「エスコレッツ5320」
・エポキシ樹脂 :油化シェルエポキシ社製
・ポリリン酸アンモニウム :クラリアント社製「AP422」
・中和処理された熱膨張性黒鉛 :東ソー社製「GREP一EG」
・水酸アルミニウム:昭和電工社製「ハイジライトH−31」
・炭酸カルシウム :備北粉化社製「ホワイトンBF300」
<実施例1>
図6に示すように、15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4(C型、65×40×0.6t)にビスで止め付けた。これに、7×12cm開口部7(開口部面積84平方cm)をあけ、鋼製のコンセントボックス21(7×12×3.5cm)を取り付けた。コンセントボックス21に鋼製スタッド4側より熱膨張性耐火材A(2mm厚)のアルミガラスクロス基材付きのものを貼付けた。さらに15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4に取り付けて間仕切壁2とした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分の火炎の貫通もなく耐火性能を満足した。なお、図中、符号22は温度測定部である。
<実施例2>
実施例1同様の構成で、コンセントボックス21に予め被覆したものを埋め込んだこと以外は実施例1と同様にした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分の火炎の貫通もなく耐火性能を満足した。
<実施例3>
図7に示すように、実施例1と同様の間仕切壁2に、7×12cm の開口部7(開口部面積84平方cm)をあけた。鋼製のコンセントボックス21に予め、熱膨張性耐火材B(1mm厚)のアルミガラスクロス基材付きのものを貼付けた。上記熱膨張性耐火材付きのコンセントボックス21を取付けた。さらに、15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4に取り付けて間仕切壁2とした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分の火炎の貫通もなく耐火性能を満足した。
<比較例1>
図8に示すように、実施例1においてアルミガラスクロス基材付きの熱膨張性耐火材A(2mm厚)を使用しなかったこと以外は同様に間仕切壁2を形成した。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分より火炎の貫通が発生し、コンセントボックス21裏側の表面温度は220℃となり、耐火性能が不良となった。
<実施例4>
図9に示すように、実施例1と同様の間仕切壁2に、10×15cm の開口部7(開口部面積150平方cm)をあけ、鋼製の照明スイッチボックス10(10×15×5cm)を取付けた。照明スイッチボックス10に鋼製スタッド4側より熱膨張性耐火材D(1.5mm厚)のアルミガラスクロス基材付きのものを貼付けた。さらに15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4に取り付けて間仕切壁2とした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分の火炎の貫通もなく耐火性能を満足した。
<比較例2>
図10に示すように、実施例3の壁構成における照明スイッチボックス10部分に25mm厚のロックウール23(40K)を被覆したこと以外は実施例2と同様にした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、照明スイッチボックス10部分より火炎の貫通が発生し、照明スイッチボックス10裏側の表面温度は220℃となり、耐火性能が不良となった。
<比較例3>
図11に示すように、実施例4の壁構成における照明スイッチ部分に50mm厚のロックウール23(40K)を被覆し間仕切壁2に取り付けたが、間仕切壁2から照明スイッチボックス10がはみ出してしまい不良であった。
<実施例5>
図12に示すように、実施例1と同様の間仕切壁2に、20×40cmの開口部7(開口部面積800平方cm)をあけ、鋼製のブレーカーボックス24を取り付けた。ブレーカーボックス24に鋼製スタッド4側より熱膨張性耐火材A(2mm厚)のアルミガラスクロス基材付きのロックウール23(40K、25mm厚)を貼付けた。さらに15mmのガラス繊維入りの強化石膏ボード3を2枚張りしたものを鋼製スタッド4に取り付けて間仕切壁2とした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、ブレーカーボックス24部分の火炎の貫通もなく耐火性能を満足した。
【0097】
実施例1と比較例1の間仕切壁2について遮音性能を測定したところ、実施例1の方がTLD値で2dB優れていた。
<実施例6,7>
実施例3と同様の構成にて、それぞれ熱膨張性耐火材C(1.5mm厚)、熱膨張性耐火材E(0.7mm厚)を使用したこと以外は実施例2と同様にした。得られた間仕切壁2をISO834に従い加熱試験を1時間行ったが、コンセントボックス21部分の大炎の貫通もなく耐火性能を満足した。
【0098】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0099】
例えば、熱膨張性耐火材15は、シート状物に限ることなく、塗装によって埋込型ボックス8を被覆してもよい。
【0100】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、熱膨張性耐火材は火災時に膨張するため、埋込型ボックスに貫通している電線部分の隙間や火災により電線が焼失した場合でも、膨張した熱膨張性耐火材が隙間部分を充填することとなるので、火炎の貫通が起こらず、十分な耐火性能を得ることができる。また、埋込型ボックスの裏面などを熱膨張性耐火材で覆うように取付けるだけの構造なので、施工性が良く、被覆厚みが薄くなり、しかも、必要な遮音性能も確保することができる。
【0101】
請求項2の発明によれば、開口部の壁裏側に埋込型ボックスを取付けた後に熱膨張性耐火材を貼付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0102】
請求項3の発明によれば、予め熱膨張性耐火材を被覆した埋込型ボックスを開口部の壁裏側に取付けるだけなので、良好な施工性を得ることができる。
【0103】
請求項4の発明によれば、熱膨張性耐火材の少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つを積層することにより、防耐火性能をより一層向上することができる。
【0104】
請求項5の発明によれば、熱膨張性耐火材の厚さを、0.1〜5mmとすることにより、好適な結果が得られる。厚みが0.1mmより薄くなると耐火性能が低下し、5mmより厚くなると施工性が低下することとなる。
【0105】
請求項6の発明によれば、熱膨張性耐火材を所要の組成とすることにより、好適な結果を得ることができる、という実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる壁面の斜視図である。
【図2】照明スイッチボックス部分の分解斜視図である。
【図3】照明スイッチボックスの断面図である。
【図4】(a)(b)(c)は実施の形態1の実施手順を示す部分図である。
【図5】(a)(b)は本発明の実施の形態2の実施手順を示す部分図である。
【図6】(a)(b)(c)は実施例1の実施手順を示す断面図である。
【図7】実施例3の部分断面図である。
【図8】比較例1の部分断面図である。
【図9】実施例4の部分断面図である。
【図10】比較例2の部分断面図である。
【図11】比較例3の部分断面図である。
【図12】実施例5の部分断面図である。
【符号の説明】
1 壁面
7 開口部
8 埋込型ボックス
15 熱膨張性耐火材

Claims (3)

  1. 建築物の壁面に形成された開口部の壁裏側に取付けられる埋込型ボックスに対し、加熱によって膨張可能な熱膨張性耐火材が、前記埋込型ボックスの裏面および側面を覆うと共に、前記熱膨張性耐火材の縁部が前記開口部の壁裏側の周縁に貼付され、外部からの炎および音が前記開口部から進入しないよう開口が隙間無く塞がれていることを特徴とする埋込型ボックスの防耐火構造。
  2. 前記熱膨張性耐火材の粘着力により、前記熱膨張性耐火材の縁部が前記周縁に自己貼付していることを特徴とする請求項1記載の埋込型ボックスの防耐火構造。
  3. 前記埋込型ボックスを覆う前記熱膨張性耐火材の全面にロックウールが積層されていることを特徴とする請求項2記載の埋込型ボックスの防耐火構造。
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