JP2002166492A - コンクリート爆裂防止構造体及びその施工方法 - Google Patents

コンクリート爆裂防止構造体及びその施工方法

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JP2002166492A
JP2002166492A JP2000368783A JP2000368783A JP2002166492A JP 2002166492 A JP2002166492 A JP 2002166492A JP 2000368783 A JP2000368783 A JP 2000368783A JP 2000368783 A JP2000368783 A JP 2000368783A JP 2002166492 A JP2002166492 A JP 2002166492A
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heat
concrete
expandable material
explosion
expandable
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JP2000368783A
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Kazuhiro Okada
和廣 岡田
Masaki Tono
正樹 戸野
Kenji Otsuka
健二 大塚
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート構造体、特に水分含有量の少な
い高強度コンクリート構造体が火災時の高温によって爆
裂するのを防止するコンクリート爆裂防止構造体及びそ
の施工方法を提供する。 【解決手段】 本発明のコンクリート爆裂防止構造体
は、コンクリート構造体の表面が、加熱によって膨張し
て耐火断熱層を形成する熱膨張性材料で被覆されてなる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートの爆
裂を防止するためのコンクリート爆裂防止構造体及びそ
の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンクリート構造体は、耐火性が
優れるため耐火構造体として広く使用されてきた。この
ような構造体では、コンクリートの含水率を低くして、
強度を高める方法が行われている。しかしながら、含水
率を低くすると火災時の高温によって爆裂を起こし、建
築基準法で定める耐火性能を満足することができなくな
るという問題点があった。
【0003】このような爆裂を防止するために、例え
ば、含水率を低くした高強度コンクリートの表面に、空
気を含有する有機系塗材料を塗布する方法が開示されて
いる(特開平10−299127号公報)。この有機系
塗材料は、高温下で燃焼することにより炭化層を形成し
て、高強度コンクリートの温度上昇を遅らせることによ
り、コンクリートの爆裂を防止する。また、高強度コン
クリートの表面に、含水量を多くして爆裂の危険性のな
いコンクリートを被覆して、高強度コンクリートの温度
上昇を抑制し、爆裂を防止する方法が開示されている
(特開平9−13531号公報)。
【0004】しかしながら、有機系塗材料を使用する方
法では、空気を含有させながら塗料を調製するのが難し
いと共に、空気を含有させた状態で塗布することは、厚
みむらが生じたり、性能のばらつきを生じる可能性があ
った。また、爆裂の危険性のないコンクリートを被覆す
る方法は、その水分量を管理したり、十分に乾燥する必
要があるため、施工に手間がかかり、工期が長くなると
いう問題点があった。
【0005】上記有機系塗材料以外に、例えば、トンネ
ルの爆裂を防止するために、トンネル表面に、一般の耐
火塗料を塗布する方法(特開平8−74497号公報)
や珪酸カルシウム板等の耐火層を設ける方法(特開平1
1−294098号公報)が提案されている。しかしな
がら、耐火塗料を塗布する方法は、その塗布厚みを制御
することが難しく、多価アルコールが配合されているた
め、耐水性に問題があった。また、耐火層を設ける方法
は、吸音性が不足するという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
に鑑み、コンクリート構造体、特に水分含有量の少ない
高強度コンクリート構造体が火災時の高温によって爆裂
するのを防止するコンクリート爆裂防止構造体及びその
施工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、第1発明という)であるコンクリート爆裂防止構造
体は、コンクリート構造体の表面が、加熱によって膨張
して耐火断熱層を形成する熱膨張性材料で被覆されてな
ることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明(以下、第2発明とい
う)であるコンクリート爆裂防止構造体は、コンクリー
ト構造体の表面が、不燃性材料及び発泡体の1種以上
と、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する熱膨張
性材料で被覆されてなることを特徴とする。
【0009】請求項12記載の発明(以下、第3発明と
いう)であるコンクリート爆裂防止構造体の施工方法
は、コンクリートと接する型枠表面に、熱膨張性材料、
又は熱膨張性材料と不燃性材料及び発泡体の1種以上と
が積層された捨て型枠を使用してコンクリートを打設す
ることにより、硬化したコンクリート構造体表面に、熱
膨張性材料、又は熱膨張性材料と不燃性材料及び発泡体
の1種以上とを被覆することを特徴とする。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のコンクリート爆裂防止構造体は、コンクリート構
造体の表面に熱膨張性材料が被覆されたものから形成さ
れる。上記コンクリート構造体としては、構造部材とし
て使用される柱、梁、壁、床等が挙げられる。また、ト
ンネル構造体であってもよい。
【0011】上記熱膨張性材料としては、火災等の加熱
によって膨張して耐火断熱層を形成し耐火断熱性能を発
現するものであれば特に限定されないが、600℃で1
0分間加熱したときの厚み方向の膨張倍率(膨張後の厚
みd1/膨張前の厚みd0)が1.2倍以上で、かつ加熱膨
張後に形成された耐火断熱層のかさ密度が0.5g/c
3 以下であるものが好ましい。膨張倍率が1.2倍未
満になるか、又はかさ密度が0.5g/cm3 を超える
と、断熱性能が不充分となり、充分な耐火断熱性能を付
与することができなくなる。
【0012】本発明において、耐火断熱性能を満足する
熱膨張性材料として、特に熱可塑性樹脂及び/又はゴム
物質、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含
有する樹脂組成物(I)、又は、エポキシ樹脂、中和処
理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹脂組
成物(II)からなるものを使用することが好ましい。
【0013】以下、樹脂組成物(I)について説明す
る。上記樹脂組成物(I)としては、熱可塑性樹脂及び
/又はゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機
充填剤からなるものが用いられる。
【0014】熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては
特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリ
エチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペン
テン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系
樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化
ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、
ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム等が挙げ
られ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併
用されてもよい。
【0015】熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融
粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂
をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0016】熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質には、更
に、耐火性材料の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や
変性が施されてもよい。熱可塑性樹脂及び/又はゴム物
質の架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂
やゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各
種架橋剤や過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射
による架橋方法などが挙げられる。
【0017】上記中和処理された熱膨張性黒鉛(以下、
「熱膨張性中和黒鉛」という)とは、従来公知の物質で
ある熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨
張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイ
ト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、
セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、
過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化
剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化
合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合
物である。
【0018】上述のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和すること
により、熱膨張性中和黒鉛とされる。
【0019】上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定
されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及びア
ルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例え
ば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マ
グネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有
機酸塩等が挙げられる。
【0020】熱膨張性中和黒鉛の粒度は20〜200メ
ッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくな
ると熱膨張性中和黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断
熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると
熱膨張性中和黒鉛の膨張度が大きいという利点はある
が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に分
散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0021】熱膨張性中和黒鉛の市販品としては、例え
ば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、U
CAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が
挙げられる。
【0022】前記無機充填剤としては特に限定されず、
例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチ
モン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイド
ロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸
カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウ
ム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、
タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナ
イト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサ
イト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブ
ラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉
末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム
「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミ
ニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステン
レス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フラ
イアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらは単独
で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0023】無機充填剤としては、特に含水無機物と金
属炭酸塩との併用が好ましい。含水無機物及び金属炭酸
塩は、骨材的な働きをすることから、加熱残渣によって
形成される耐火断熱層の強度向上や熱容量増大に寄与す
ると考えられる。
【0024】さらに、含水無機物は加熱時の脱水反応に
よって生成した水により吸熱が起こり、温度上昇が抑制
されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として
酸化物が残存し、これが骨材となって働くことにより残
渣強度が向上する点で特に好ましい。中でも、水酸化マ
グネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮す
る温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮す
る温度領域が広くなり、より優れた温度上昇抑制効果が
得られることから併用することが好ましい。
【0025】さらに、上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等
の金属炭酸塩は、後述するリン化合物が併用されるとリ
ン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン
化合物としてポリリン酸アンモニウムを使用した場合に
高い膨張効果が得られる。また、金属炭酸塩は有効な骨
材として働き、燃焼後に形状保持性の高い加熱残渣を形
成する。
【0026】無機充填剤の粒径としては、0.5〜10
0μmが好ましく、より好ましくは約1〜50μmであ
る。また、無機充填剤は粒径の大きいものと粒径の小さ
いものを組み合わせて使用することがより好ましく、組
み合わせて用いることによって、樹脂組成物(I)の力
学的性能を維持したまま、高充填化することが可能とな
る。
【0027】含水無機物の市販品としては、例えば、水
酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「ハイジライト
H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイ
ジライトH−31」(昭和電工社製)が挙げられる。
【0028】炭酸カルシウムの市販品としては、例え
ば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カル
シウム社製)、粒径8μmの「ホワイトンBF300」
(備北粉化社製)等が挙げられる。
【0029】上記樹脂組成物(I)には、さらに必要に
応じてリン化合物が配合されてもよい。リン化合物とし
ては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キ
シレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステ
ル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネ
シウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;
下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。こ
れらのうち、耐火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸
アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化
合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポ
リリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜
16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素
数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、
炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16の
アリールオキシ基を表す。
【0032】上記赤リンは少量の添加で難燃効果が向上
する。赤リンとしては市販の赤リンを用いることができ
るが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点
から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの
等が好適に用いられる。
【0033】上記ポリリン酸アンモニウム類としては、
特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メ
ラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、
取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用
いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製
「EXOLIT AP422」、「EXOLIT AP
462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ
社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、
「テラージュC80」等が挙げられる。
【0034】上記一般式(1)で表される化合物として
は特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチル
ホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン
酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホ
ン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチル
ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニル
ホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホ
スフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホ
スフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン
酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は高
価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。上記リ
ン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0035】樹脂組成物(I)における熱膨張性中和黒
鉛の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100
重量部に対して10〜350重量部が好ましい。熱膨張
性中和黒鉛の配合量が10重量部より少なくなると充分
な熱膨張性が得られず、350重量部を超えると均一な
分散が困難となるため、均一な厚みに成形することが困
難となる。
【0036】樹脂組成物(I)における無機充填剤の配
合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部
に対して50〜500重量部が好ましい。配合量が50
重量部未満では充分な耐火性能を有する樹脂組成物が得
られず、500重量部を超えると樹脂組成物の機械的物
性が低下する。
【0037】樹脂組成物(I)におけるリン化合物の配
合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部
に対して50〜200重量部が好ましい。配合量が50
重量部未満では充分な耐火性能を有する樹脂組成物が得
られず、200重量部を超えると樹脂組成物の機械的物
性が低下する。
【0038】樹脂組成物(I)において、熱膨張性中和
黒鉛と無機充填剤の合計量は、熱可塑性樹脂及び/又は
ゴム物質100重量部に対して200〜600重量部が
好ましい。また、熱膨張性中和黒鉛、無機充填剤及びリ
ン化合物の合計量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質
100重量部に対して200〜600重量部が好まし
い。
【0039】樹脂組成物(I)において、熱膨張性中和
黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成し、火炎
や熱の伝達を阻止する。リン化合物は、加熱により脱
水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。無機充填
剤は、その際に熱容量の増大に寄与し、また、リン化合
物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0040】次に、前記樹脂組成物(II)について説明
する。樹脂組成物(II)としては、エポキシ樹脂、熱膨
張性中和黒鉛及び無機充填剤を含有するものが用いられ
る。
【0041】エポキシ樹脂は特に限定されないが、基本
的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させ
ることにより得られる。エポキシ基をもつモノマーとし
ては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシ
ジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモ
ノマーが例示される。
【0042】2官能のグリシジルエーテル型のモノマー
としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプ
ロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、
1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン
型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピ
レンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノ
ールA型等のモノマーが例示される。
【0043】グリシジルエステル型のモノマーとして
は、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒド
ロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸
型等のモノマーが例示される。
【0044】多官能のグリシジルエーテル型のモノマー
としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソク
レゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロ
ペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示され
る。
【0045】これらのエポキシ基をもつモノマーは、単
独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型
のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例え
ば、アミン類、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカ
プタン等が例示される。また、触媒型の硬化剤として
は、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯
体等が例示される。
【0047】エポキシ樹脂の硬化方法は特に限定され
ず、公知の方法によって行うことができる。
【0048】樹脂組成物(II)において使用される熱膨
張性中和黒鉛及び無機充填剤としては、樹脂組成物
(I)で使用されるものと同様のものが用いられる。
【0049】樹脂組成物(II)において、熱膨張性中和
黒鉛の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の理由でエポ
キシ樹脂100重量部に対して10〜350重量部が好
ましい。また、無機充填剤の配合量は、樹脂組成物
(I)と同様の理由で、エポキシ樹脂100重量部に対
して50〜500重量部が好ましい。
【0050】樹脂組成物(II)には、樹脂組成物(I)
で使用されるものと同様のリン化合物が配合されてもよ
い。リン化合物の配合量は、樹脂組成物(I)と同様の
理由で、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜20
0重量部が好ましい。
【0051】樹脂組成物(II)において、熱膨張性中和
黒鉛と無機充填剤の合計量は、エポキシ樹脂100重量
部に対して200〜600重量部が好ましい。また、熱
膨張性中和黒鉛、無機充填剤及びリン化合物の合計量
は、エポキシ樹脂100重量部に対して200〜600
重量部が好ましい。
【0052】樹脂組成物(II)では、樹脂としてエポキ
シ樹脂を使用することによって樹脂自身が燃焼時にチャ
ー(炭化)層を形成し、形状を保持するのに充分強固な
耐火断熱層を形成する。
【0053】樹脂組成物(I)及び(II)において、熱
膨張性中和黒鉛は加熱により膨張して耐火断熱層を形成
し、火炎や熱の伝達を阻止する。リン化合物は加熱によ
り脱水、発泡すると共に炭化触媒として作用する。無機
充填剤は、加熱の際に熱容量の増大に寄与し、また、リ
ン化合物は耐火断熱層に形状保持能力を付与する。
【0054】上記樹脂組成物(I)及び(II)には、そ
の物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、
イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止
剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料などが添加さ
れてもよい。
【0055】樹脂組成物(I)及び(II)は、それぞれ
の各成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二
本ロール等公知の混練装置を用いて混練することにより
得ることができる。上記熱膨張性材料は、コンクリート
構造体への施工性を考慮するとシート状成形体として使
用することが好ましく、得られた樹脂組成物(I)及び
(II)を、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー
成形等の従来公知の成形方法によりシート状成形体に成
形することができる。
【0056】上記シート状成形体の厚さは0.3〜10
mmが好ましい。
【0057】シート状成形体である熱膨張性材料に含有
される熱膨張性中和黒鉛は、シート状成形体の平面に対
して、平行から±10度の範囲内で配向するものの比率
(配向率)が60%以上であることが好ましい。この配
向率が60%以上であると、配合された熱膨張性中和黒
鉛が効率よくシート状成形体の厚み方向へ膨張するた
め、耐火性材料としてより良好な断熱性を付与すること
ができる。配向率が60%以下であると、同じ量の熱膨
張性中和黒鉛を配合しても断熱性が低下する。
【0058】混練後にプレス成形すれば配向率を60%
以上とすることが可能であり、混練後にカレンダー成形
すれば配向率が90%以上のシートを得ることができ
る。
【0059】本発明で使用する熱膨張性材料は、50k
W/cm2 の加熱条件下で30分間加熱することにより
体積膨張させた後の燃焼残査を0.1cm/sで圧縮し
た際に、破断点が存在し、且つ、破断点加重が0.05
g/cm2 以上である樹脂組成物からなるシート状成形
体であることが好ましい。
【0060】破断点とは、50kW/cm2 の加熱条件
下で30分間体積膨張させた後の燃焼残査を0.1cm
/sで圧縮した際に、変位に対してかかる荷重の最大点
を意味する。破断点が存在しないか、又は存在しても、
破断点荷重が0.05g/cm2 未満であると、火災時
に燃焼残査が形状を保持できずに脱落するため、断熱層
としての機能を早期に失うことになる。
【0061】本発明では、熱膨張性材料が、初期厚みは
0.5〜20mmであって、180℃以下において15
〜40N/m幅の荷重に対し30分以上保持することが
できる粘着保持力を有する樹脂組成物であることが好ま
しい。初期厚みとは25℃における加熱膨張前の熱膨張
性材料であるシート状成形体の厚みであり、初期厚みが
0.5mm未満であると加熱後に形成される耐火断熱層
の厚みが薄くなり、充分な耐火性能を発揮することがで
きない。また、20mmを超えるとシート状成形体の重
量が大きくなりすぎて、大面積の熱膨張性材料の貼り付
けや巻き付け作業等が困難となり作業性が低下する。更
に、専有体積が大きくて室内の有効空間が狭くなる。よ
り好ましい初期厚みは1〜10mmである。
【0062】また、熱膨張性材料であるシート状成形体
は、初期厚みt(mm)と、一方の面を500℃で1時
間加熱したときの加熱表面の温度と裏面の温度の差ΔT
(℃)との関係が、 ΔT≧0.015t4 −0.298t3 +1.566t
2 +30.15t であり、且つ、25℃における初期のかさ密度が0.8
〜2.0g/cm3 、500℃で1時間加熱したときの
かさ密度が0.05〜0.5g/cm3 であることが好
ましい。上記式により、加熱膨張時に生じる燃焼残査に
よる断熱性が数式化され、上記式及びかさ密度を満足す
ることにより断熱性、耐火性能を損なわず、しかも作業
性に優れた熱膨張性材料を得ることができる。
【0063】25℃における初期のかさ密度が0.8g
/cm3 未満であると、樹脂組成物中に充分な量の膨張
剤、炭化剤、不燃性充填剤等を添加することができず、
加熱後の膨張倍率、残査量が不充分となり、耐火断熱層
を形成することができない。一方、25℃における初期
のかさ密度が2.0g/cm3 を超えると、シート状成
形体の重量が大きくなりすぎるために、大面積のシート
成形体の貼り付け、巻き付け等の作業性が低下する。好
ましい初期のかさ密度は1.0〜1.8g/cm3 であ
る。
【0064】また、上記シート状成形体は、500℃で
1時間加熱したときのかさ密度が0.05〜0.5g/
cm3 であることが好ましい。かさ密度が0.05g/
cm 3 未満であると、隙間が多すぎるため膨張時に崩れ
て耐火断熱層を形成することができない。逆に0.5g
/cm3 を超えると膨張倍率が不充分となり、耐火断熱
層が形成されず耐火性能が充分に発揮されない。このと
きの好ましいかさ密度は0.1〜0.3g/cm3 であ
る。
【0065】上記シート状成形体は、180℃以下にお
いて15〜40N/m幅の荷重に対し30分以上保持し
得る粘着保持力を有することが好ましい。上記粘着保持
力を有することにより、加熱されて膨張する前にシート
状成形体の自重に耐えず破断落下するということがな
く、膨張断熱層を形成する高温度に至るまでコンクリー
ト面に保持され、耐火性を発揮することができる。
【0066】上記熱膨張性材料には基材が積層されてい
てもよい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラ
フロロエチレン、ポリイソブチレン等の熱可塑性樹脂フ
ィルム;織布、不織布、割布、紙、アルミ箔等の金属
箔、アルミガラスクロス、アルミクラフト紙などが挙げ
られる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上の
積層体として使用されてもよい。中でも、アルミ箔と、
ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維などを積層した
材料はアルミの熱反射性に優れる点から耐火上有利であ
り、ガラスクロス、ガラスマット炭素繊維の耐熱性によ
り、熱膨張性材料を保護することができ、特に好適であ
る。
【0067】上記アルミガラスクロスのアルミ箔の厚み
は、取扱い性を考慮すると5μm以上が好ましい。ま
た、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維などは単位
面積当たりの重量が5g/m2 未満であると熱膨張性材
料の保護性が劣るので、単位面積当たりの重量は5g/
2 以上が好ましい。上記アルミ箔と、ガラスクロス、
ガラスマット、炭素繊維はポリエチレンなどで熱ラミネ
ートするか、不燃性のアクリル系接着剤等の接着剤を用
いて積層される。
【0068】第2発明では、耐熱性能をより一層向上さ
せるために、上記熱膨張性材料に不燃性材料及び発泡体
の1種以上を積層する。不燃性材料とは無機質系板材及
び無機質系繊維材であり、無機質系板材としては、例え
ば、ステンレス板、アルミニウム板、アルミニウム箔、
亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板等
の金属板;珪酸カルシウム板、繊維混入珪酸カルシウム
板、炭酸カルシウム板、石膏ボード、強化石膏ボード、
パーライトセメント板、繊維強化セメント板、木片セメ
ント板、木粉セメント板、スラグ石膏板、スレート板、
ALC板、窯業系板、モルタル、PC板、ガラス繊維強
化コンクリート板、金網、ラスなどが挙げられる。
【0069】無機質系繊維材としては、ロックウール保
温板、セラミックブランケット、アルミナシリカ繊維フ
ェルト等が挙げられる。これらは単独で使用してもよ
く、複数枚貼り合わせて使用してもよい。
【0070】発泡体としては、フェノール、ウレタン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系などの発泡
樹脂や、無機質系の発泡体が挙げられる。発泡体の中に
はガラス繊維や無機充填材等の添加剤が混合されてもよ
い。熱膨張性材料を上記の積層体とすることにより、火
災時の耐火性能と同時に吸音性能を付与することができ
る。
【0071】熱膨張性材料と不燃性材料とを併用する場
合は、その積層順序は特に限定されないが、施工性等を
考慮すると、不燃性材料を外側に配置することが好まし
い。特に、外側から石膏ボード、金属板、熱膨張性材料
の順に配置した構成であれば、耐火被覆の施工とともに
内装下地の施工が同時にできるので好適である。発泡体
はコンクリートに接する側に配置するのが好ましい。ま
た、両者を予め積層したパネル状態で施工してもよく、
積層せずに順次施工してもよい。
【0072】上記積層体において、熱膨張性材料の厚さ
は0.3〜10mm、無機質系板材の厚さは0.2〜2
5mm、無機質系繊維材料の厚さは3〜50mm、発泡
体の厚さは3〜100mmがそれぞれ好ましい。
【0073】上記積層体をコンクリート構造体へ施工す
る場合は、3者を予め積層したパネル状態で施工しても
よく、積層せずに順次施工してもよい。
【0074】熱膨張性材料または積層体とした熱膨張性
材料をコンクリート構造体へ施工する方法としては、既
存のコンクリート構造体の場合は、ビス留め、ねじ留
め、釘打ち等によって固定する方法が挙げられる。ま
た、新設のコンクリート構造体の場合は、ビス留め、ね
じ留め、釘打ち等によって固定する方法以外に、コンク
リート型枠の内側に予め釘打ち等によって取り付けてお
き、コンクリート打設によって固定する方法が挙げられ
る。また、コンクリート構造体に取付けられた下地材
(スタッド、ランナー等)を介して施工してもよい。
【0075】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例について
説明する。
【0076】(実施例1)ブチルゴム(エクソン社製
「ブチルゴム065」)42重量部、ポリブテン(出光
石油化学社製「ポリブテン100R」)50重量部、水
添石油樹脂(トーネックス社製「エスコレッツ532
0」)8重量部、熱膨張性中和黒鉛(東ソー社製「フレ
ームカットGREP−EG」)80重量部、炭酸カルシ
ウム(備北粉化社製「ホワイトンBF300」)200
重量部、及び、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント
社製「EXOLIT AP422」)100重量部から
なる樹脂組成物を二本ロールで溶融混練した後、加熱プ
レス機にて3mm厚のシート状に成形した熱膨張性材料
を得た。
【0077】上記熱膨張性材料を、端部をはぜ折り加工
した断面L字状の亜鉛メッキ鋼板(0.3mm厚)に貼
合わせて積層体を得た。この積層体を、50mm厚の高
強度コンクリート壁にはぜ折り加工部を介して装着する
ことにより、高強度コンクリート壁面に熱膨張性材料を
被覆した耐火試験体を作製した。
【0078】(実施例2)エポキシ樹脂(油化シェル化
学社製「E807」)40重量部、ジアミン系硬化剤
(油化シェル化学社製「EKFL052」)60重量
部、熱膨張性中和黒鉛(東ソー社製「フレームカットG
REP−EG」50重量部、水酸化アルミニウム(昭和
電工社製「ハイジライトH−31」)50重量部、炭酸
カルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF300」)
100重量部、及び、ポリリン酸アンモニウム(クラリ
アント社製「EXOLIT AP422」)100重量
部からなる樹脂組成物を遊星撹拌機で撹拌した後、加熱
プレス機にて金網と複合させ、加熱硬化させることによ
り、3mm厚のシート状に成形した熱膨張性材料を得
た。
【0079】上記熱膨張性材料を、サイズ300mm×
300mm×3000mm(高さ)の高強度コンクリー
ト柱の周囲に巻き付けた後、端部の金網を絡み合わせて
固定することにより、高強度コンクリート柱の周囲に熱
膨張性材料が被覆された耐火試験体を作製した。
【0080】(実施例3)実施例1と同様の樹脂組成物
を二本ロールで溶融混練した後、加熱プレス機にて2m
m厚のシート状に成形した熱膨張性材料を得た。この熱
膨張性材料の片面に、紙/アルミ箔ラミネートフィルム
を積層して、積層体を得た。
【0081】5mm厚のスレート板に、10mm厚のガ
ラス繊維マット及び上記積層体をこの順序で配置したも
のを、50mm厚のスタッドを介して50mm厚の高強
度コンクリート壁に装着することにより、壁面に熱膨張
性材料を被覆した耐火試験体を作製した。
【0082】(実施例4)図1乃至図4は実施例1で得
たシート状の熱膨張性材料をコンクリート柱の周囲に被
覆する施工順序を示す平面図である。図1に示すよう
に、実施例1で得た熱膨張性材料2を4枚の捨て型枠1
のコンクリートに接する面に貼り付けた。図2は4枚の
捨て型枠1を組み合わせた状態、図3はコンクリート6
を注入した状態である。図4はコンクリート6が硬化し
た後、捨て型枠を外し、コンクリート6柱に熱膨張性材
料2を被覆した。
【0083】(実施例5)図5乃至図8は他の施工例を
示す平面図で、実施例1で得たシート状の熱膨張性材料
2と厚み12.5mmの石膏ボード3の積層体を用い
て、石膏ボード3側を捨て型枠1に貼り付けた他は、実
施例4と同様にしてコンクリート6柱に熱膨張性材料2
及び石膏ボード3を被覆した。
【0084】(実施例6)図9乃至図12は更に他の施
工例を示す平面図であり、熱膨張性材料2に積層された
石膏ボード3面に亜鉛鋼板(厚み0.5mm)4を積層
したものを用いたこと以外は実施例5と同様にしてコン
クリート6柱に熱膨張性材料2、石膏ボード3、亜鉛鋼
板4の積層体を被覆した。
【0085】(実施例7)図13乃至図16に示すよう
に、発泡体としてスチレンボード5、熱膨張性材料2、
石膏ボード3の積層体を用いて、石膏ボード3面を捨て
型枠1に貼り付けたこと以外は実施例5と同様にしてコ
ンクリート6柱に積層体を被覆した。
【0086】上記実施例1〜7の耐火試験体につき、J
IS A 1304に準拠して、1時間耐火試験を行っ
たところ、いずれもコンクリート表面温度は350℃以
下であり、コンクリートの爆裂は認められなかった。
尚、高強度コンクリートの爆裂温度は、含水率、水/セ
メント比等により異なるが、350℃以下であれば爆裂
は起こらないといわれている。
【0087】また、実施例3の熱膨張性材料の片面に紙
/アルミ箔ラミネートフィルムを積層した積層体につい
て、残響室法吸音率測定方法により、空室とこの積層体
を入れたときの残響時間を測定し、Sahmeの式を基
に吸音率を測定した結果、吸音率は0.50であった。
【0088】
【発明の効果】本発明のコンクリート爆裂防止構造体
は、上述の構成であり、火災時の高温によって熱膨張性
材料が膨張して耐火断熱層を形成し、コンクリート構造
体の温度上昇を抑制するため、コンクリート構造体の爆
裂を防止する。また、熱膨張性材料に、不燃性材料及び
発泡体の1種以上を積層して積層体とすることにより、
爆裂を防止する効果と共に優れた吸音性能を発現する。
更に、本発明のコンクリート爆裂防止構造体の施工方法
によると、捨て型枠に熱膨張性材料、又は、熱膨張性材
料と不燃材料、発泡体などの積層体を取り付けるという
簡単な工程だけで、爆裂防止構造体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱膨張性材料を捨て型枠に取り付けた状態を示
す平面図。
【図2】図1に示す捨て型枠を組み合わせた状態を示す
平面図。
【図3】図2に示す捨て型枠にコンクリートを注入した
状態を示す平面図。
【図4】図3で捨て型枠を外した状態を示す平面図。
【図5】熱膨張性材料と石膏ボードを捨て型枠に取り付
けた状態を示す平面図。
【図6】図5に示す捨て型枠を組み合わせた状態を示す
平面図。
【図7】図6に示す捨て型枠にコンクリートを注入した
状態を示す平面図。
【図8】図7で捨て型枠を外した状態を示す平面図。
【図9】熱膨張性材料、石膏ボード、亜鉛鋼板の積層体
を捨て型枠に取り付けた状態を示す平面図。
【図10】図9に示す捨て型枠を組み合わせた状態を示
す平面図。
【図11】図10に示す捨て型枠にコンクリートを注入
した状態を示す平面図。
【図12】図11で捨て型枠を外した状態を示す平面
図。
【図13】石膏ボード、熱膨張性材料、発泡体の積層体
を捨て型枠に取り付けた状態を示す平面図。
【図14】図13に示す捨て型枠を組み合わせた状態を
示す平面図。
【図15】図14に示す捨て型枠にコンクリートを注入
した状態を示す平面図。
【図16】図14で捨て型枠を外した状態を示す平面
図。
【符号の説明】
1:捨て型枠 2:熱膨張性材料 3:石膏ボード 4:亜鉛鋼板 5:発泡体 6:コンクリート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 E04B 1/92 E04B 1/92 // C08K 3/00 C08K 3/00 9/00 9/00 C08L 101/00 C08L 101/00 Fターム(参考) 2E001 DE01 DH39 EA02 FA01 FA02 FA03 FA11 FA30 HA01 HA02 HA03 HA06 HA07 HA21 HA22 HB03 HB04 HB07 HD02 HD03 HD08 HD09 HD13 HD14 HE01 KA01 LA01 LA12 4F071 AA02 AA10 AA42 AB03 AF18Y AF58Y AF62 AH19 BC02 BC11 BC12 4F100 AA02C AA04 AA08 AC10A AD11C AE06A AE11D AK01C AK02 AK08 AK09 AK53C AN02 AN02C AR00A AR00B AR00C AT00C BA04 BA07 BA10A DJ04B GB07 JA02C JA13C JA20C JB16C JJ01C JJ03C JJ07A JJ10 JL13C YY00C 4J002 AC021 AC071 AC091 BB031 BB121 BB171 BB181 BC031 BD031 BG051 BN151 CC031 CD011 CD051 CD061 CD101 CG011 CH071 CK021 CL001 DA017 DA026 DA037 DC007 DE077 DE087 DE097 DE107 DE117 DE127 DE137 DE147 DE187 DE237 DE247 DE257 DE287 DG047 DG057 DJ007 DJ017 DK007 DL007 FB086 FD017 FD130 GL00 4J038 CA001 CB021 CB081 CB121 CC021 CD021 CG001 CP081 DA061 DB001 DE001 DF051 DG001 DH001 EA011 HA026 HA036 HA186 HA216 HA286 HA436 HA446 HA526 HA536 KA08 KA15 NA11 NA15 PB05 PC04

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造体の表面が、加熱によ
    り膨張して耐火断熱層を形成する熱膨張性材料で被覆さ
    れてなることを特徴とするコンクリート爆裂防止構造
    体。
  2. 【請求項2】 コンクリート構造体の表面が、不燃性材
    料及び発泡体の1種以上と、加熱により膨張して耐火断
    熱層を形成する熱膨張性材料により被覆されてなること
    を特徴とするコンクリート爆裂防止構造体。
  3. 【請求項3】 熱膨張性材料が、中和処理された熱膨張
    性黒鉛を含有するシート状成形体であり、シート状成形
    体の任意の垂直断面において存在する上記熱膨張性黒鉛
    が、シート状成形体面に対して平行から±10度の範囲
    内で配向しているものの比率(配向率)が60%以上で
    ある耐火性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項
    1、2のいずれか1項に記載のコンクリート爆裂防止構
    造体。
  4. 【請求項4】 熱膨張性材料が、初期厚みt(mm)
    と、一方の面を500℃で1時間加熱したときの加熱表
    面の温度と裏面の温度の差ΔT(℃)との関係が、 ΔT≧0.015t4 −0.298t3 +1.566t
    2 +30.15t であり、25℃での初期のかさ密度が0.8〜2.0g
    /cm3 であって、且つ、500℃で1時間加熱したと
    きのかさ密度が0.05〜0.5g/cm3 である樹脂
    組成物からなるシート状成形体であることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート爆
    裂防止構造体。
  5. 【請求項5】 熱膨張性材料が、初期厚みは0.5〜2
    0mmであって、180℃以下において15〜40N/
    m幅の荷重に対し30分以上保持することができる粘着
    保持力を有する樹脂組成物からなるシート状成形体であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記
    載のコンクリート爆裂防止構造体。
  6. 【請求項6】 熱膨張性材料が、50kW/cm2 の加
    熱条件下で30分加熱することにより体積膨張させた後
    の燃焼残査を0.1cm/sで圧縮した際に、破断点が
    存在し、且つ、破断点加重が0.05g/cm2 以上で
    ある樹脂組成物からなるシート状成形体であることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンク
    リート爆裂防止構造体。
  7. 【請求項7】 熱膨張性材料が、熱可塑性樹脂及び/又
    はゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填
    剤を含有する樹脂組成物(I)からなることを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンクリート
    爆裂防止構造体。
  8. 【請求項8】 熱膨張性材料が、エポキシ樹脂、中和処
    理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤を含有する樹脂組
    成物(II)からなることを特徴とする請求項1乃至6の
    いずれか1項に記載のコンクリート爆裂防止構造体。
  9. 【請求項9】 不燃性材料が石膏ボードであることを特
    徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のコンク
    リート爆裂防止構造体。
  10. 【請求項10】 コンクリート構造体が、柱構造体、梁
    構造体、壁構造体又は床構造体であることことを特徴と
    する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のコンクリー
    ト爆裂防止構造体。
  11. 【請求項11】 コンクリート構造体が、トンネル構造
    体であることことを特徴とする請求項1乃至9のいずれ
    か1項に記載のコンクリート爆裂防止構造体。
  12. 【請求項12】 コンクリートと接する型枠表面に、熱
    膨張性材料、又は熱膨張性材料と不燃性材料及び発泡体
    の1種以上とが積層された捨て型枠を使用してコンクリ
    ートを打設することにより、硬化したコンクリート構造
    体表面に、熱膨張性材料、又は熱膨張性材料と不燃性材
    料及び発泡体の1種以上とを被覆することを特徴とする
    請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコンクリート
    爆裂防止構造体の施工方法。
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