JP4137285B2 - 防・耐火壁構成体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は防・耐火壁構成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、3階建以上の建築物(共同住宅、病院、ホテル、下宿等)については、建築基準法に基づき所定の耐火性能を有する耐火構造でなければならない。上記耐火構造では、天井材、間仕切り壁、床材等に耐火性を有する材料や構造体が用いられる。
【0003】
上記建築物の外壁材としては、火災時の類焼を防止する目的で防・耐火性を有する材料が用いられる。従来から用いられている外壁材に防・耐火性を付与するために、その表面に熱膨張性材料層及び金属層が順次積層されたものが検討されている。上記熱膨張性材料層は加熱時に膨張して所定厚みの無機質の耐火断熱層を形成し、外壁材が高温や火炎に曝されるのを防止する。
【0004】
しかしながら、上記熱膨張性材料層を、図6に示したように、直接外壁材表面にビス留め等で固定すると、ビス留め部分で耐火断熱層の膨張厚みが不足して所定の耐火性能が得られないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、外壁材の一面に断熱膨張材料層及び金属板がこの順に積層された積層体からなり、火災時に断熱膨張材料層が膨張して形成された耐火断熱層が、破壊や脱落を起こさずに形状を保持し、防・耐火性能を発現する防・耐火壁構成体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1記載の発明の防・耐火壁構成体は、外壁材の一面に断熱膨張材料層及び金属板(I)がこの順に積層された積層体からなる防・耐火壁構成体であって、該金属板の表面にスペーサーが固定され、該断熱膨張材料層が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成されており、該スペーサーが融点60〜400℃の材料からなることを特徴とする。
【0007】
本願請求項2記載の発明の防・耐火壁構成体は、外壁材の一面に、断熱膨張材料層、補助断熱材料及び金属板(I)がこの順に積層された積層体からなる防・耐火壁構成体であって、該金属板(I)の表面又は該補助断熱材料層と外壁材との間にスペーサーが固定され、該断熱膨張材料層が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成されており、該スペーサーが融点60〜400℃の材料からなることを特徴とする。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の防・耐火壁構成体は、例えば図1の模式断面図で示したように、外壁材1の一面に断熱膨張材料層2及び金属板(I)3がこの順に積層された積層体10からなり、該積層体10の金属板(I)3上にスペーサー4が固定される。
【0010】
上記防・耐火壁構成体は、加熱時に断熱膨張材料層2が燃焼膨張して燃焼残渣からなる耐火断熱層を形成し、防・耐火性能を発現する。この際、スペーサー4としては、断熱膨張材料層2の膨張を阻害することなく変形又は焼失するものが好ましい。
【0011】
上記スペーサー4の金属板(I)3上における配置部位は特に限定されないが、断熱膨張材料層2の膨張を阻害することなく、外壁材1、断熱膨張材料層2及び金属板3と共に積層体10へ固定するためには、上記積層体10の周辺部に配置されることが好ましい。また、積層体10の周辺部において全周に連続して配置される必要はなく、一定間隔となるように部分的に配置されてもよい。
【0012】
上記スペーサー4を使用せずに、断熱膨張材料層2と金属板(I)3とが固定された場合は、その固定箇所とその周辺で加熱時に断熱膨張材料層2の膨張が阻害されるため、膨張が阻害された部分で局部的な温度上昇が起こり好ましくない。また、スペーサー4を全く使用せずに、断熱膨張材料層2と金属板(I)3との間に適当な膨張代を設けて固定した場合は、金属板(I)3の「ぐらつき」や「ばたつき」等が起こるため好ましくない。
【0013】
上記スペーサー4としては、加熱前において変形することなく所定の形状を保持し、加熱時には断熱膨張材料層2の膨張の妨げとならないように、変形又は焼失するものが好ましい。このためには、スペーサーの融点としては60〜400℃が好ましく、より好ましくは100〜350℃である。
【0014】
上記スペーサーの融点が、60℃未満では夏場など温度が局部的に上昇する際に溶融する可能性があるため、所定の形状を維持することが難しくなり、400℃を超えると、スペーサー自身が溶融するまでにその周辺の温度が上昇し過ぎるため好ましくない。
【0015】
上記融点範囲を有するスペーサーの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂と無機粉体との混合物、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体と水酸化アルミニウムとの混合物(重量比100:400)も使用可能である。
【0016】
上記スペーサーの厚みや形状は、スペーサー自身の強度や断熱膨張材料層が膨張して形成する耐火断熱層の厚み等によって適宜決定される。
【0017】
上記断熱膨張材料層は、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成される。上記熱膨張性無機化合物としては、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト、ホウ砂等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。上記樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び/又はバーミキュライト、並びに、無機充填剤からなるものが好ましい。
【0018】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0019】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0020】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質には、更に、本発明における熱膨張性耐火シートの耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。
【0021】
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0024】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0025】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0028】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0029】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0030】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、UCAR社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0031】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0032】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記無機充填剤としては、特に含水無機物と金属炭酸塩との併用が好ましい。上記含水無機物及び金属炭酸塩は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。
【0034】
さらに、上記含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。中でも、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0035】
さらに、上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0036】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、シートの力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0037】
上記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「H−31」(昭和電工社製)が挙げられる。
【0038】
上記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(白石カルシウム社製)等が挙げられる。
【0039】
上記樹脂組成物におけるリン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との配合量(両者の合計量)は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して20〜500重量部が好ましい。
リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛の合計量が、20重量部より少なくなると十分な熱膨張性が得られず、500重量部を超えると均一な分散が困難となるため、均一な厚みに施工することが難しくなり、施工方法が限定される。
【0040】
また、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、0.01〜9が好ましい。
熱膨張性黒鉛の比率が多くなると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散して十分な耐火断熱層が形成されず、リン化合物の比率が多くなると、十分な耐火断熱層が形成されなくなるため、十分な断熱性が得られない。
【0041】
上記樹脂組成物における無機充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴム100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。
配合量が、50重量部未満では十分な耐火性を有する断熱膨張材料層が得られず、500重量部を超えると断熱膨張材料層の機械的物性が低下する。
【0042】
上記樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0043】
上記樹脂組成物は、上記各成分を、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練することにより得ることができる。
上記樹脂組成物を、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法により、シート状の断熱膨張材料層に成形することができる。
【0044】
上記断熱膨張材料層に50kW/m2 の熱量を30分間照射して加熱したときの厚み変化 (照射後の厚みD1/照射前の厚みD0)は、1.1〜30(倍)が好ましい。厚み変化が、1.1(倍)未満では耐火性能が不十分であり、30(倍)を超えると加熱により膨張して形成された耐火断熱層の強度が低下し、崩れ易くなる。
【0045】
上記金属板(I)としては、例えば、鉄板、ステンレス板、亜鉛メッキ板、アルミ板等が挙げられ、厚みは、0.1〜3mmが好ましい。
厚みが、0.1mm未満では断熱膨張材料層を保護する効果がなく、3mmを超えると断熱膨張材料層の膨張が阻害される。
【0046】
上記外壁材としては、例えば、ALC、コンクリート板、ケイ酸カルシウム板、窯業系サイディング、金属系サイディング等が挙げられる。
【0047】
上記金属板(I)、断熱膨張材料層及び外壁材を積層することにより、積層体が得られる。上記外壁材に金属板(I)及び断熱膨張材料層を固定するために、固定治具、ビス留め、釘打ちなどが用いられる。
【0048】
上記積層体の断熱性を向上させるために、金属板(I)と断熱膨張材料層との間に補助断熱材が用いられてもよい。補助断熱材の厚みは余り厚くなると、防・耐火壁構成体自体の厚みが厚くなると共に重量が重くなって施工性が低下するので、100mm以下が好ましい。
【0049】
上記補助断熱材としては、例えば、セラミックブランケット、ガラスウール、ロックウール、セラミック板、ALC、コンクリート板、ケイ酸カルシウム板、含水無機物含有ボード、石膏ボード、及びこれらの複合物等が挙げられる。
【0050】
上記防・耐火壁構成体において、断熱膨張材料層と外壁材との間に金属板(II)が用いられてもよい。金属板(II)としては、金属板(I)と同様のものが使用される。このような構成において、スペーサーは断熱膨張材料層と金属板(II)との間に挿入して固定してもよい。スペーサーの配置箇所は、断熱膨張材料層の膨張を阻害しないためには周辺部が好ましい。
【0051】
(作用)
本発明の防・耐火壁構成体は、加熱時にスペーサーが溶融変形するか又は焼失して、断熱膨張材料層の膨張を容易にするためのスペース(膨張代)を確保する。
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【0052】
図1は、本発明の防・耐火壁構成体の第1の実施の形態を示した模式断面図であり、図2は、本発明の防・耐火壁構成体の第2の実施の形態を示した模式断面図であり、図3は、本発明の防・耐火壁構成体の第3の実施の形態を示した模式断面図であり、図4は、本発明の防・耐火壁構成体の第4の実施の形態を示した模式断面図であり、図5は、本発明の防・耐火壁構成体の第5の実施の形態を示した模式断面図である。
【0053】
以下、防・耐火壁構成体の第1の実施の形態について、図1に示した模式断面図を参照しながら説明する。
図1において、1は外壁材、2は断熱膨張材料層、3は金属板(I)、4はスペーサー、5は固定治具をそれぞれ表す。
本防・耐火壁構成体を得る場合は、外壁材1の一面に断熱膨張材料層2を積層し、さらに断熱膨張材料層2上に金属板(I)3を積層した後、略正方形のスペーサー4を金属板(I)3上の周辺部に配置し、固定治具5によってスペーサー4、金属板(I)3、断熱膨張材料層2及び外壁材1を一体的に固定する。
上記固定治具5としては断面略C状の金属製のものが使用され、断面略C状の上側でスペーサー4を抱持すると共に、下方の先端は折り曲げられて外壁材1の側面に挿入される。
【0054】
次に、防・耐火壁構成体の第2の実施の形態について、図2に示した模式断面図を参照しながら説明する。
本防・耐火壁構成体を得る場合は、外壁材1の一面に断熱膨張材料層2、及び、金属板(I)3を順次積層した後、略正方形のスペーサー4を金属板(I)3上の周辺部に配置し、ビス6を金属板(I)3上側から挿通させることによって、スペーサー4、金属板(I)3及び断熱膨張材料層2を外壁材1上に一体的に固定する。
【0055】
次に、防・耐火壁構成体の第3の実施の形態について、図3に示した模式断面図を参照しながら説明する。
本防・耐火壁構成体を得る場合は、外壁材1の一面に断熱膨張材料層2、補助断熱材料層7、及び、金属板(I)3を順次積層した後、略正方形のスペーサー4を金属板(I)3上の周辺部に配置し、ビス6を金属板(I)3上側から挿通させることによって、スペーサー4、金属板(I)3、補助断熱材料層7、及び、断熱膨張材料層2を外壁材1上に一体的に固定する。
【0056】
次に、防・耐火壁構成体の第4の実施の形態について、図4に示した模式断面図を参照しながら説明する。
本防・耐火壁構成体を得る場合は、外壁材1の一面に金属板(II)31、断熱膨張材料層2、補助断熱材料層7、及び、金属板(I)32を順次積層した後、略正方形のスペーサー4を金属板(I)32上の周辺部に配置し、ビス6を金属板(I)32上側から挿通させることによって、スペーサー4、略正方形の金属板(I)32、補助断熱材料層7、断熱膨張材料層2、及び、金属板(II)31を外壁材1上に一体的に固定する。
【0057】
次に、防・耐火壁構成体の第5の実施の形態について、図5に示した模式断面図を参照しながら説明する。
本防・耐火壁構成体を得る場合は、外壁材1の一面に金属板(II)31を積層し、金属板(II)31の周辺部に略正方形のスペーサー4を配置し、さらに断熱膨張材料層2、補助断熱材料層7、及び、金属板(I)32を順次積層した後、ビス6を金属板(I)32上側から挿通させることによって、金属板(I)32、補助断熱材料層7、断熱膨張材料層2、スペーサー4、及び、金属板(II)31を外壁材1上に一体的に固定する。
【0058】
断熱膨張材料層の調製
表1に示した配合量の、ブチルゴム、メタロセンポリエチレン、ポリブテン、水添石油樹脂、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムからなる樹脂組成物を二本ロールで溶融混練して、所定厚みのシート状の断熱膨張材料層A〜Eを得た。
【0059】
【表1】
【0060】
尚、上記実施例及び比較例において、下記の各成分を使用した。
〔樹脂成分〕
・ブチルゴム:エクソン化学社製「ブチルゴム#065」
・ポリブテン:出光石油化学社製「ポリブテン100R」
・粘着付与樹脂:トーネックス社製「エスコレッツ5320」
〔無機材料〕
・ポリリン酸アンモニウム:クラリアント社製「AP422」
・中和処理された熱膨張性黒鉛:東ソー社製「GREP−EG」
・水酸化アルミニウム:昭和電工社製「ハイジライトH−31」
・炭酸カルシウム:備北粉化社製「ホワイトンBF300」
・ロックウール:ニチアス社製
【0061】
(実施例1〜5、比較例)
表2に示した金属板(I)、断熱膨張材料層、補助断熱材料層、外壁材及びスペーサーを使用して、図1〜5に示した構成の防・耐火壁構成体を得た。
【0062】
上記防・耐火壁構成体について、JIS A 1304に規定された耐火1時間試験を行い、スペーサーで固定された周辺部の表面温度、及び、周辺部以外の部位の表面温度を測定し、表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】
(実施例6)
図7及び8に示したように2枚に分離した金属板(I)32を使用したこと以外は、実施例4と同様にして防・耐火壁構成体を得た。
この防・耐火壁構成体について、JIS A 1304に規定された耐火1時間試験を行い、スペーサーで固定された周辺部の表面温度、及び、周辺部以外の部位の表面温度を測定したところ、全測定部位で175℃であった。
【0065】
(実施例7)
図9及び10に示したように2枚に分離した金属板(I)32を使用し、金属板(I)32同士の突き合わせ部を0.3mm厚の亜鉛メッキ鋼板の金属板 (III)33で被覆したこと以外は、実施例6と同様にして防・耐火壁構成体を得た。この防・耐火壁構成体について、JIS A 1304に規定された耐火1時間試験を行った後、耐衝撃試験を実施したが異常はなかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の防・耐火壁構成体は、上述の構成からなり、外壁材の一面に断熱膨張材料層及び金属板がこの順に積層された積層体からなり、火災時に断熱膨張材料層が膨張して形成された耐火断熱層が、破壊や脱落を起こさずに形状を保持するので、優れた防・耐火性能を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防・耐火壁構成体の第1の実施の形態を示した模式断面図である。
【図2】本発明の防・耐火壁構成体の第2の実施の形態を示した模式断面図である。
【図3】本発明の防・耐火壁構成体の第3の実施の形態を示した模式断面図である。
【図4】本発明の防・耐火壁構成体の第4の実施の形態を示した模式断面図である。
【図5】本発明の防・耐火壁構成体の第5の実施の形態を示した模式断面図である。
【図6】比較例の防・耐火壁構成体を示した模式断面図である。
【図7】実施例6の防・耐火壁構成体を示した模式断面図である。
【図8】実施例6の防・耐火壁構成体を示した平面図である。
【図9】実施例7の防・耐火壁構成体を示した模式断面図である。
【図10】実施例7の防・耐火壁構成体を示した平面図である。
【符号の説明】
1 外壁材
2 断熱膨張材料層
3,32 金属板(I)
31 金属板(II)
33 金属板 (III)
4 スペーサー
5 固定治具
6 ビス
7 補助断熱材料層
10,11,12 積層体
Claims (5)
- 外壁材の一面に断熱膨張材料層及び金属板(I)がこの順に積層された積層体からなる防・耐火壁構成体であって、該金属板(I)の表面にスペーサーが固定され、該断熱膨張材料層が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成されており、該スペーサーが融点60〜400℃の材料からなることを特徴とする防・耐火壁構成体。
- 外壁材の一面に、断熱膨張材料層、補助断熱材料及び金属板(I)がこの順に積層された積層体からなる防・耐火壁構成体であって、該金属板(I)の表面又は該補助断熱材料層と外壁材との間にスペーサーが固定され、該断熱膨張材料層が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成されており、該スペーサーが融点60〜400℃の材料からなることを特徴とする防・耐火壁構成体。
- 上記断熱膨張材料層に50kW/m2 の熱量を30分間照射して加熱したときの厚み変化 (照射後の厚みD1/照射前の厚みD0)が、1.1〜30(倍)であることを特徴とする請求項1又は2記載の防・耐火壁構成体。
- 上記断熱膨張材料層が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び/又はバーミキュライト、並びに、無機充填剤を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防・耐火壁構成体。
- 外壁材の一面に断熱膨張材料層及び金属板(I)がこの順に積層された積層体からなる防・耐火壁構成体であって、該金属板(I)の表面にスペーサーが固定され、該断熱膨張材料層が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から形成されていると共に該断熱膨張材料層の突き合わせ部が金属板 (III) で覆われてなり、該金属板 (III) は金属板(I)とスペーサーとの間に固定されていることを特徴とする防・耐火壁構成体。
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