JP3688508B2 - 耐火性多層シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井材、床材、間仕切り壁、梁、柱等の建築材料に使用される耐火性多層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築材料の分野において耐火性が重要な性能の一つである。
近年、建築材料として樹脂材料が用いられてきたが、樹脂材料の用途拡大に伴って、さらに耐火性能が付与された樹脂材料が要求されている。
【0003】
耐火性能の試験方法として、例えば、表面を1000℃程度に加熱した場合の裏面の温度を測定する方法があり、建築材料においては、この場合における裏面の温度が260℃よりも低くなることが要求されている。
【0004】
このような耐火性能としては、単に樹脂材料自体が燃え難いばかりでなく、火炎を樹脂材料の裏面に回すことがない性質が要求される。樹脂成分や有機成分は、本質的にそれ自体が燃焼したり、溶融する性質を有するので、いかに長時間このような状態を起こさないか、無機成分を含有する場合は無機成分をいかに長時間脱落させずに保持できるかが重要となる。
【0005】
樹脂材料にこのような性質を発現させる方法として、例えば特開平6−25476号公報には、ポリオレフィン樹脂にリン化合物と熱膨張性黒鉛とを添加する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、この技術は難燃性については十分な性能を付与できるが、シート状の成形物を壁の裏打ち材等に使用した場合、耐火性能の試験において脆い灰分だけが残り、燃焼残渣が脱落したり、裏面温度が基準値260℃以上に上昇する等の問題点があった。
【0007】
上記シート状成形物は、通常、燃焼時に鋼材や壁材自身の温度上昇を防ぐ目的で、柱、壁材等の建築材料に貼り合わせて使用されることが多い。このため、垂直部位に使用する場合には、燃焼時及び燃焼後共に、柱、壁材等から断熱層となる燃焼残渣が崩れ落ちることなく、保持されていることが必要となる。
このため、燃焼残渣の強度(形状保持性)は、耐火性能を有する材料にとって重要な性能因子となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リン化合物を含有する樹脂組成物からなり、燃焼残渣の形状保持性に優れた耐火性を有する耐火性多層シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐火性多層シートは、厚み0.5〜10mmの熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に、厚み0.01〜2mmの被覆シート層(B)が積層された耐火性多層シートであって、該熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5であり、上記熱膨張性シート層(A)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、含水無機物が10〜500重量部、並びに、金属炭酸塩が10〜500重量部であり、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比が0.01〜9となされた樹脂組成物(I)から形成され、上記被覆シート層(B)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、中和処理された熱膨張性黒鉛が10〜80重量部、並びに、金属炭酸塩と含水無機物を合計量で2〜500重量部含有する樹脂組成物(II)から形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の耐火性多層シートは、熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に被覆シート層(B)が積層された積層体からなる。さらに、樹脂組成物(I)からなる層(A)と樹脂組成物(II)からなる層(B)とを、ある一定厚み比で積層することにより、層(B)の燃焼残渣が層(A)の燃焼残渣の空隙部分に入り込み強固な燃焼残渣を形成する。
【0011】
上記熱膨張性シート層(A)の厚みは、0.5〜10mmとなされる。
厚みが、0.5mm未満では膨張しても十分な断熱性を発現せず、10mmを超えると重くなって取扱い性が悪くなる。
【0012】
上記被覆シート層(B)の厚みは、0.01〜2mmとなされる。
厚みが、0.01mm未満では層(B)の燃焼残渣厚みが薄くて、燃焼残渣を補強する効果が十分に発現されず、2mmを超えると逆に燃焼残渣の形状保持性を阻害して耐火性を低下させることがある。
【0013】
上記層(A)と層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5に制限される。厚み比〔層(B)/層(A)〕が、0.02未満では層(B)の断熱性付与効果が十分でなく、0.5を超えると多層シートの難燃性、形状保持性が低下し、耐火性能に悪影響を与える場合がある。
【0014】
上記熱膨張性シート層(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理されら熱膨張性黒鉛、含水無機物並びに金属炭酸塩を含有する樹脂組成物(I)から形成される。
【0015】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質(以下、樹脂分という)としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ブチルゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0016】
中でも、クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂等のハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、さらに熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
上記樹脂分として例示したものは、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、上記無機充填剤を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。燃焼時に発生するガスの毒性が低い点でも非加硫ゴム等が好ましい。
【0017】
上記樹脂分は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂分の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂分をブレンドしたものを用いてもよい。
【0018】
上記樹脂分には、耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。上記樹脂分の架橋や変性を行う場合は、予め樹脂分に架橋や変性を施してもよく、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分の配合時又は配合した後で架橋や変性を施してもよい。
【0019】
上記架橋方法については、特に限定されず、上記樹脂分について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法などが挙げられる。
【0020】
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0021】
【化1】
Figure 0003688508
【0022】
式中、R1 及びR3 は、水素原子、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0023】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0024】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、ヘキスト社製「AP422」、「AP462」、チッソ社製「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0025】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点においては好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0027】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することによって、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0028】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、UCAR社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0029】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0030】
上記含水無機物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられ、上記金属炭酸塩としては、例えば、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
【0031】
上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0032】
上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、上記金属炭酸塩は有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い燃焼残渣を形成する。
【0033】
上記金属炭酸塩の中でも、さらに、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸塩などが好ましい。
【0034】
上記樹脂組成物(I)において、リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂分100重量部に対して20〜500重量部である。
配合量が、20重量部未満では加熱後の燃焼残渣量が不十分となり、500重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用に耐えられなくなる。
【0035】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)は0.01〜9である。中和処理された熱膨張性黒鉛の配合比率が多くなると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散し、十分な膨張断熱層が得られず、リン化合物の配合比率が多くなると、十分な膨張断熱層形成されず、十分な断熱効果が得られない。
【0036】
上記樹脂組成物(I)において、含水無機物の配合量は、樹脂分100重量部に対して10〜500重量部である。
配合量が、10重量部未満では加熱後の燃焼残渣量が不十分となり、耐火断熱層を形成することができず、500重量部を超えると良好な形状保持性が発揮できなくなる。
【0037】
上記樹脂組成物(I)において、無機炭酸塩の配合量は、樹脂分100重量部に対して10〜500重量部が好ましい。
配合量が10重量部未満では加熱後の燃焼残渣量が不十分となり、耐火断熱層を形成することができず、500重量部を超えると良好な形状保持性が発揮できなくなる。
【0038】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物並びに金属炭酸塩については、以後についても同様の成分が用いられる。
【0039】
上記被覆シート層(B)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物並びに金属炭酸塩を含有する樹脂組成物(II)から形成される。
【0040】
上記樹脂組成物(II)において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂分100重量部に対して10〜80重量部である。
配合量が、10重量部未満では加熱後の燃焼残渣量が不十分となり、80重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用に耐えられなくなる。
【0041】
上記樹脂組成物(II)において、金属炭酸塩と含水無機物との合計の配合量は樹脂分100重量部に対して2〜500重量部である。
配合量が、2重量部未満では加熱後の燃焼残渣量が不十分となり、耐火断熱層を形成することができず、500重量部を超えると良好な形状保持性が発揮できなくなる。
【0042】
また、上記被覆シート層(B)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに含水無機物を含有する樹脂組成物 (III)から形成されてもよい。
【0043】
上記樹脂組成物(III) において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、上記樹脂組成物(II)と同様の理由により、樹脂分100重量部に対して10〜80重量部であり、含水無機物の配合量は、上記樹脂組成物(II)と同様の理由により、樹脂分100重量部に対して1〜500重量部である。
【0044】
さらに、上記被覆シート層(B)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質並びに中和処理された熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物(IV)から形成されてもよい。上記樹脂組成物(IV)において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、上記樹脂組成物 II と同様の理由により、樹脂分100重量部に対して10〜80重量部である。さらに、上記被覆シート層(B)は、上記樹脂組成物(V)から形成されてもよい。
【0045】
上記樹脂組成物(I)、(II)、 (III)、(IV)及び(V)には、該樹脂組成物の物性を損なわない範囲で、その他の骨材的役割を果たす無機充填剤、熱膨張性鉱物、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。特に、バーミキュライト等の熱膨張性黒鉛以外の熱膨張性を有する層状鉱物は、熱膨張開始温度が異なるため、併用することにより、使用部位によっては耐火性能が向上する場合がある。
【0046】
上記樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等従来公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等、従来公知の成形方法により、樹脂シートに成形することができる。
【0047】
上記樹脂組成物(I)から得られる熱膨張性シート層(A)の片面又は両面に、上記樹脂組成物(II)、 (III)、(IV)及び(V)から得られる被覆シート層(B)を積層することによって、本発明の耐火性多層シートを得ることができる。上記熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)とを積層する方法としては、共押出し法、熱プレス法等、従来の積層方法が採用可能である。
【0048】
上記耐火性多層シートは、熱膨張性シート層(A)にリン化合物を含有しない被覆シート層(B)を積層してなり、積層順に関しては特に制限がない。
また、上記熱膨張性シート層(A)の両側に上記被覆シート層(B)を積層した構成であってもよい。火災初期には熱膨張性シート層(A)及び被覆シート層(B)が共に膨張して温度上昇を抑える。同時に層(B)の燃焼残渣が層(A)の燃焼残渣の空隙に入り込み、より強固な残渣かたさを形成する。
【0049】
上記被覆シート層(B)はリン化合物を含有しないので、それ自体の燃焼残渣の形状保持性は若干劣るため、さらに火災が進行し十分膨張しきってしまうと、被覆シート層(B)の燃焼残渣は崩れ易くなり、このときに、上記熱膨張性シート層(A)が形成する強固な燃焼残渣の空隙部に入り込み、燃焼残渣をより強固なものとするよう作用する。また、被覆シート層(B)の燃焼残渣は崩れる場合があるが、このときには上記熱膨張性シート層(A)が強固な燃焼残渣を形成しているため、断熱膨張層が欠落することはなく、安定した耐火性能を与える。
【0050】
本発明の耐火性多層シートは、熱照射量50Kw/m2 の条件下で完全燃焼させた際に、初期厚み(D0)と燃焼後の厚み(D1)との関係が、D1 /D0 =1.1〜20の範囲にあることが好ましい。D1 /D0 が、1.1未満では加熱によって膨張しても十分な断熱性を発現せず、20を超えると発泡倍率が高くなり過ぎて燃焼残渣の強度が不足する。
【0051】
本発明の耐火性多層シートは、例えば、鉄骨の耐火被覆材として用いられる。
耐火被覆材として用いる場合は、上記耐火性多層シートを鉄骨の周囲に被覆した後、さらに該耐火性多層シートの外側に不燃性材料からなるシートを配置することが好ましい。
【0052】
上記耐火性多層シートは、例えば、火災の際に熱を受けて膨張することにより断熱層を形成し、この断熱層によって鉄骨へ熱が伝わるのを防止する。
従って、この断熱層は、鉄骨の全周で隙間なく形成されることが好ましい。
また、上記不燃性材料からなるシートとしては、上記耐火性多層シートの膨張によって形成される断熱層に追随してある程度変形し、断熱層の形状が崩れないように保持し得る材料が好ましい。
【0053】
上記不燃性材料からなるシートとしては、不燃性を有するものであれば特に限定されず、例えば、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板、アルミ・亜鉛合金板、アルミニウム板等の金属板材料;珪酸カルシウム板、繊維混入珪酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、石膏ボード板、強化石膏板、パーライトセメント板、繊維強化セメント板、木片セメント板、木粉セメント板、スラグ石膏板等の無機質板;ロックウール保温板、セラミックウールブランケット、アルミナシリカ繊維フェルト、セラミック紙、水酸化アルミ紙等のシート状物が挙げられる。
上記不燃性材料からなるシートは、これらのシート状物が複数枚貼り合わされたものであってもよい。
【0054】
上記不燃性材料からなるシートとして好ましくは、厚みの薄い金属板(箔)である。厚みの薄い金属板は、耐火性シート状成形体が膨張する際に変形や湾曲することによって、破れや切断を起こさずに膨張を吸収する。
上記金属板の厚みは、0.1〜1mmが好ましい。厚みが、0.1mm未満では防炎材料や形状保持材として機能せず、1mmを超えると湾曲による膨張代の確保が難しくなる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1及び2に示した配合量の、樹脂分、水添石油樹脂、ポリリン酸アンモニウム、中和処理された熱膨張性黒鉛、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムを別々の二軸押出機に供給し溶融混練した後、共押出用金型より押出成形して2mm厚の耐火性多層シートを得た。
【0056】
【表1】
Figure 0003688508
【0057】
【表2】
Figure 0003688508
【0058】
尚、表1及び表2中で使用した成分は下記の通りである。
・メタロセンPE(ポリエチレン):ダウケミカル社製「EG8200」
・ブチルゴム:エクソン化学社製「ブチルゴム#065」
・ポリブテン:出光石油化学社製「ポリブテン100R」
・水添石油樹脂:トーネックス社製「エスコレッツ5320」
【0059】
・ポリリン酸アンモニウム:クラリアント社製「AP422」
・中和処理された熱膨張性黒鉛:東ソー社製「GREP−EG」
・水酸アルミニウム:昭和電工社製「H−42M」
・炭酸カルシウム:白石カルシウム社製「BF300」
【0060】
上記耐火性多層シートにつき下記項目の性能評価を行い、その結果を表3に示した。
(1)膨張倍率
10cm×10cm×2mm厚の耐火性多層シート(試験片)を水平に設置した状態で、コーンカロリーメーター(アトラス社製「CONE2A」)を用いて、50kW/m2 の照射熱量下におき、スパークにより着火して完全燃焼させた後、得られた燃焼残渣の膨張倍率 (D1 /D0)を算出した。
1 :燃焼残渣の試験片の厚み、D0 :燃焼試験前の試験片の厚み
【0061】
(2)燃焼残渣の破断強度
(1)で膨張倍率を評価した燃焼残渣を試験片とした。この試験片を水平に設置した状態で、フィンガーフィーリングテスター(カトーテック社製)を用いて、試験片に直径0.25cmの円形圧子で0.1cm/秒の速度にて荷重を加え、変位荷重曲線の最初に現れる最大点をとり、燃焼残渣の破断強度とした。
(この最大点が観測されないと、全くまとまりがない燃焼残渣となるため、燃焼残渣を垂直に立てた場合に容易に崩れ落ち、燃焼時に断熱したい基材を保護することができなくなる)。この評価では最大点が観測されれば、燃焼残渣の垂直保持は可能であるので耐火性能からみると十分である。しかし、燃焼残渣をより強固にすることで落錘試験等が必要な場合には優位になる。
【0062】
(3)裏面温度(℃)
10cm×10cm×0.3mm厚のSUS板に同サイズの耐火性多層シートを貼り合わせて垂直に設置した後、コーンカロリーメーター(アトラス社製「CONE2A」)を用いて、85kW/m2 の照射熱量を照射した状態で1時間放置し、1時間後の裏面温度を測定した。
【0063】
【表3】
Figure 0003688508
【0064】
これらの実施例より、本発明の耐火性多層シートは、燃焼時に耐火性能を低下することなく、燃焼残渣のかたさを向上させることが可能になったことがわかる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の耐火性多層シートは、上述の構成であり、熱膨張性シート層がリン化合物を含有する樹脂組成物から形成されており、燃焼残渣の形状保持性及び耐火性に優れる。

Claims (4)

  1. 厚み0.5〜10mmの熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に、厚み0.01〜2mmの被覆シート層(B)が積層された耐火性多層シートであって、該熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5であり、上記熱膨張性シート層(A)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、含水無機物が10〜500重量部、並びに、金属炭酸塩が10〜500重量部であり、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比が0.01〜9となされた樹脂組成物(I)から形成され、上記被覆シート層(B)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、中和処理された熱膨張性黒鉛が10〜80重量部、並びに、金属炭酸塩と含水無機物を合計量で2〜500重量部含有する樹脂組成物(II)から形成されていることを特徴とする耐火性多層シート。
  2. 厚み0.5〜10mmの熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に、厚み0.01〜2mmの被覆シート層(B)が積層された耐火性多層シートであって、該熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5であり、上記熱膨張性シート層(A)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、含水無機物が10〜500重量部、並びに、金属炭酸塩が10〜500重量部であり、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比が0.01〜9となされた樹脂組成物(I)から形成され、上記被覆シート層(B)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、中和処理された熱膨張性黒鉛が10〜80重量部、並びに、含水無機物が1〜500重量部からなる樹脂組成物 (III)から形成されていることを特徴とする耐火性多層シート。
  3. 厚み0.5〜10mmの熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に、厚み0.01〜2mmの被覆シート層(B)が積層された耐火性多層シートであって、該熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5であり、上記熱膨張性シート層(A)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、含水無機物が10〜500重量部、並びに、金属炭酸塩が10〜500重量部であり、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比が0.01〜9となされた樹脂組成物(I)から形成され、上記被覆シート層(B)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、中和処理された熱膨張性黒鉛10〜80重量部からなる樹脂組成物(IV)から形成されていることを特徴とする耐火性多層シート。
  4. 厚み0.5〜10mmの熱膨張性シート層(A)の少なくとも片面に、厚み0.01〜2mmの被覆シート層(B)が積層された耐火性多層シートであって、該熱膨張性シート層(A)と被覆シート層(B)との厚み比〔層(B)/層(A)〕=0.02〜0.5であり、上記熱膨張性シート層(A)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、含水無機物が10〜500重量部、並びに、金属炭酸塩が10〜500重量部であり、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比が0.01〜9となされた樹脂組成物(I)から形成され、上記被覆シート層(B)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して、中和処理された熱膨張性黒鉛10〜80重量部、並びに、金属炭酸塩2〜500重量部からなる樹脂組成物(V)から形成されていることを特徴とする耐火性多層シート。
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