JP2003056098A - 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法 - Google Patents

耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法

Info

Publication number
JP2003056098A
JP2003056098A JP2001244490A JP2001244490A JP2003056098A JP 2003056098 A JP2003056098 A JP 2003056098A JP 2001244490 A JP2001244490 A JP 2001244490A JP 2001244490 A JP2001244490 A JP 2001244490A JP 2003056098 A JP2003056098 A JP 2003056098A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
runner member
heat
layer
fire
expandable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001244490A
Other languages
English (en)
Inventor
Bunji Yamaguchi
文治 山口
Masao Ogasa
眞男 小笠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2001244490A priority Critical patent/JP2003056098A/ja
Publication of JP2003056098A publication Critical patent/JP2003056098A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐火被覆の厚みを従来に比較して大幅に薄く
することで設計上の取り合いが容易になり、かつ室内空
間を広くすることができ、施工が簡易で、火災時に熱に
よって膨張し優れた耐火性断熱性を発揮する熱膨張性耐
火層を両外側層として積層されてなる耐火被覆ランナー
部材、およびそれにコンクリートパネル間仕切り璧材を
固定してなる耐火璧材固定構造ならびにその組立工法の
提供。 【解決手段】 コンクリートパネル間仕切り璧材(A)
を固定するランナー部材(B)の表面に熱膨張性耐火層
(C)が積層されていることを特徴とする耐火被覆ラン
ナー部材、及び耐火被覆ランナー部材によって、コンク
リートパネル間仕切り璧材(A)が固定されていること
を特徴とする耐火璧材固定構造ならびにその組立工法に
て提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火被覆ランナー
部材および耐火璧材固定構造ならびにその組立工法に関
し、更に詳しくは、耐火被覆の厚みを従来に比較して大
幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、か
つ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火災
時に熱によって膨張し優れた耐火性断熱性を発揮する熱
膨張性耐火層を両外側層として積層されてなる耐火被覆
ランナー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕切
り璧材を固定してなる耐火璧材固定構造ならびにその組
立工法に関する。
【0002】
【従来の枝術】近年、建築物の構造材として用いられる
璧材には、建設省告示第2999号やJIS A130
4により耐火性能基準が定められている。その中で、璧
構造を構成する鋼材に関して、加熱試験中にその鋼材温
度が基準値以下に保持されることが記載されている。こ
のような部位としては、コンクリートパネル壁構造を構
成するランナーや開口部に接する壁材端部を補強する開
口部補強部材等が挙げられる。
【0003】従来、ランナー部材については、はり、柱
と同時に、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライ
ト、ロックウールなどの無機成分を混合した耐火被覆材
料を吹き付けをすることにより耐火被覆を済ませてしま
うことが一般的である。しかしながら、上記耐火被覆材
料の吹き付けによる鉄骨の耐火被覆を必要としないRC
造のような建物の場合、ランナー部材被覆のためだけに
吹き付け業者を手配する必要があった。この場合、微少
な部分に吹き付けが必要となるために作業工数自体がか
かることや吹き付け作業のために養生をかけたり、硬化
するまでに長時間を要するため、他の作業を制限したり
しなくてはならず工期を遅らせる要因となっていた。ま
た、このような耐火被覆材料は、施工時に現場で吹き付
け、あるいは、塗布する必要があることから、作業環境
が悪化するとともに、形成された耐火被覆層の厚さにム
ラが発生しやすく、ムラが生じた場合は充分な耐火性を
発揮させることができず、また形成された耐火被覆層に
ヒビ割れが発生して耐火性が低下することもあった。あ
る程度熟練した技能が必要となるため、施工性が低下す
るという問題があった。また、層厚み25mm程度のケ
イ酸カルシウム板をランナー部材の両外側面に積層する
方法もあるが、厚い珪酸カルシウム板を使用するため設
計時の部材間の取り合いが難しく、耐火被覆の厚みが厚
くなると室内側に張り出すため、室内空間が狭くなると
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の問題点に鑑み、耐火被覆の厚みを従来に比較して
大幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、
かつ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火
災時に熱によって膨張し優れた耐火性断熱性を発揮する
熱膨張性耐火層を両外側層として積層されてなる耐火被
覆ランナー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕
切り璧材を固定してなる耐火璧材固定構造ならびにその
組立工法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を脾決すべく鋭意研究をすすめた結果、特定の熱膨張性
耐火層をコンクリートパネル間仕切り璧材のランナー部
材の表面露出部分に積層することにより耐火性能、施工
性に優れた耐火被覆ランナー部材及び耐火壁材固定構造
が得られることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
コンクリートパネル間仕切り璧材(A)を固定するラン
ナー部材(B)の表面に熱膨張性耐火層(C)を積層し
てなる耐火被覆ランナー部材であって、熱膨張性耐火層
(C)が、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物か
らなり、かつ、50kW/m2の加熱条件下で30分間
加熱したときの体積膨張倍率が、1.1〜100倍であ
ることを特徴とすることを特徴とする耐火被覆ランナー
部材が提供される。
【0007】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、熱可塑性樹
脂及び/又はゴム物質に、熱膨張性無機化合物及び無機
充填材を配合してなる樹脂組成物からなることを特徴と
する耐火被覆ランナー部材が提供される。
【0008】また、本発明の第3の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、エポキシ樹
脂に、熱膨張性無機化合物及び無機充填材を配合してな
る樹脂組成物からなることを特徴とする耐火被覆ランナ
ー部材が提供される。
【0009】また、本発明の第4の発明によれば、第2
又は3の発明において、樹脂組成物に、更に難燃化剤を
配合することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供
される。
【0010】また、本発明の第5の発明によれば、第2
〜4のいずれかの発明において、第1の発明において、
熱膨張性耐火層(C)に配合される熱膨張性無機化合物
が、熱膨張性黒鉛であることを特徴とする耐火被覆ラン
ナー部材が提供される。
【0011】また、本発明の第6の発明によれば、第2
〜4のいずれかの発明において、熱膨張性耐火層(C)
に配合される熱膨張性無機化合物が、熱膨張性黒鉛であ
ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載
の耐火被覆ランナー部材が提供される。
【0012】一方、本発明の第7の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)の両外側面に、
さらに不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D)を積層
することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供され
る。
【0013】また、本発明の第8の発明によれば、第7
の発明において、遮炎層(D)を構成する不燃材又は準
不燃材が、金属板、金属箔又はアルミガラスクロスから
選ばれる1種以上の材料であることを特徴とする耐火被
覆ランナー部材が提供される。
【0014】また、本発明の第9の発明によれば、第1
〜8のいずれかの発明において、熱膨張性耐火層(C)
の表面又は内部に、さらに不燃材又は準不燃材からなる
燃焼残渣補強材層を積層することを特徴とする耐火被覆
ランナー部が提供される。
【0015】また、本発明の第10の発明によれば、第
1の発明において、ランナー部材(B)が、長方形金属
板を断面形状がコ字状、U字状又はL字状になるように
折り曲げ加工して作ったアングル状であることを特徴と
する耐火被覆ランナー部材が提供される。
【0016】また、本発明の第11の発明によれば、第
1の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、ランナー
部材(B)の両外側面に積層されているのみならず、ラ
ンナー部材(B)の下辺より更に下方に延長され下辺延
長部を形成することを特徴とする耐火被覆ランナー部材
が提供される。
【0017】また、本発明の第12の発明によれば、第
11の発明において、ランナー部材(B)の下辺より更
に下方に延長されている部分の熱膨張性耐火層(C)部
分は、ランナー部材(B)の下辺を起点として内側に折
り曲げられ、ランナー部材(B)の下辺の延長面上に存
在することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供さ
れる。
【0018】また、本発明の第13の発明によれば、第
11の発明において、熱膨張性耐火層(C)の下辺より
更に下方に延長されている部分の不燃材又は準不燃材か
らなる遮炎層(E)部分は、熱膨張性耐火層(C)の下
辺を起点として内側に折り曲げられ、ランナー部材
(B)の下辺の延長面上に存在することを特徴とする耐
火被覆ランナー部材が提供される。
【0019】また、本発明の第14の発明によれば、第
12の発明において、熱膨張性耐火層(C)の下辺延長
部に、下辺延長部をコンクリートパネル間仕切り璧材に
固定するためのコンクリートくぎ(F)が装着されてい
ることを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供され
る。
【0020】また、本発明の第15の発明によれば、第
13の発明において、不燃材又は準不燃材からなる遮炎
層(D)の下辺延長部に、下辺延長部をコンクリートパ
ネル間仕切り璧材(A)に固定するためのコンクリート
くぎ(E)が装着されていることを特徴とする耐火被覆
ランナー部材が提供される。
【0021】また、本発明の第16の発明によれば、第
1〜15のいずれかの発明の耐火被覆ランナー部材によ
って、上記コンクリートパネル間仕切り璧材(A)が固
定されていることを特徴とする耐火璧材固定構造が提供
される。
【0022】また、本発明の第17の発明によれば、コ
ンクリートパネル間仕切り璧材(A)をランナー部材
(B)に挿入し固定する第1工程、及びランナー部材
(B)の両外側面に熱膨張性耐火層(C)又はそれに更
に遮炎層(D)を追加して積層する第2工程からなるこ
とを特徴とする第16の発明の耐火璧材固定構造の組立
工法が提供される。
【0023】また、本発明の第18の発明によれば、さ
らに熱膨張性耐火層(C)又はそれに更に遮炎層(D)
を追加した層を、コンクリートくぎ(E)によってコン
クリートパネル間仕切り璧材(A)に固定する第3工程
からなることを特徴とする第17の発明の耐火璧材固定
構造の組立工法が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の、耐火被覆ランナ
ー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕切り璧材
を固定してなる耐火璧材固定構造ならびにその組立工法
について、各項目毎に、詳細に説明する。
【0025】1.コンクリートパネル間仕切り璧材
(A) 本発明において、コンクリートパネル間仕切り璧材
(A)とは、上床と下床で形成される空間を、間仕切り
して部屋を形成するための仕切りとなる壁を形成するた
めに用いる、例えば図1にて番号5で示す長方形の板材
である。本発明において用いるコンクリートパネル間仕
切り璧材(A)は、鉄骨構造の家屋やビルディングに用
いられるので、耐火性、遮音性、軽量性、耐震性、耐衝
撃性、耐荷重性等に優れていることが好ましい。例えば
プレキャストコンクリート(PC)、多孔質軽量発泡コ
ンクリート(ALC)等が挙げられる。
【0026】2.ランナー部材(B) 本発明において、ランナー部材(B)とは、軽量鉄骨間
仕切りの軸組のうち、上床の下と、下床の上に設けてコ
ンクリートパネル間仕切り璧材(A)を取付けるための
横架材であり、コンクリートパネル間仕切り璧材(A)
の上部及び下部を固定するためのものであるから、図7
に示す様な、長方形金属板を横断面がコ字状、U字状又
はL字状に折り曲げ加工して作ったコ溝状又はU溝状の
形状が好ましい。ランナー部材(B)でコンクリートパ
ネル間仕切り璧材(A)を挟み込むように組み合わせて
上下の床材に設置することで固定する。上記のランナー
部材(B)の材料としては、特に限定されないが、折り
曲げ加工性、耐火性、耐熱性、耐寒性、耐震性、機械的
強度等に優れている鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、
チタニウム等が好ましい。ランナー部材(B)の厚み
は、1〜10mmが好ましく、より好ましくは2〜5m
mである。厚みが、1mm未満では、機械的強度が弱く
なりコンクリートパネル間仕切り璧材(A)を固定する
ことができなく、弱い力で破壊し、また火災のとき形状
を維持するのが難しくなり耐火効果を十分に得ることが
できず、10mmを超えると過剰品質となり耐火効果は
変わらず、使用量が多くなるため経済性が損なわれ好ま
しくない。
【0027】3.熱膨張性耐火層(C) 本発明において、熱膨張性耐火層(C)とは、図8の番
号3に示すようなシートであり、上記のランナー部材
(B)の両外側面に積層され、ランナー部材(B)を火
災時に保護するためのものであり、ランナー部材(B)
と熱膨張性耐火層(C)が一体となったものを、本発明
においては耐火被覆ランナー部材(D)と呼称する。本
発明にて用いるランナー部材(B)の両外側面部分は璧
表面に露出するため、火災時に火炎によって直接曝され
たり、高温によって直接加熱されたりされる。そのた
め、耐火層で覆う必要があるので、本発明の熱膨張性耐
火層(C)が必要であり、火災時に熱膨張して耐火断熱
層を形成し、この耐火断熱層によって、ランナー部材
(B)の温度上昇を抑制することができる。
【0028】本発明において用いる熱膨張性耐火層
(C)の成分について、更に詳細に以下に説明する。
【0029】3.1 熱膨張性耐火層(C)の成分 本発明において用いる熱膨張性耐火層(C)は、ランナ
ー部材(B)の両外側面に積層され、ランナー部材
(B)を火災時に保護するためのものであるから、その
成分は、耐火性、難燃性に優れた化合物を含有してお
り、かつ、押出成形ができ、ランナー部材(B)の表面
に直接コーティングができるか、又は、シートに成形で
きるように、成形時に熱可塑性がある樹脂を含有してお
り、また、熱膨張性耐火層(C)は、ランナー部材
(B)の両外側面に積層され一体化されている方が好ま
しいので、接着性を発現する成分を含有することが必要
である。更に具体的に説明すると、本発明で用いる熱膨
張性耐火層は、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成
物からなり、加熱によって膨張し、耐火断熱層を形成し
うるものであり、50kW/m2の加熱条件下で30分
加熱した後の体積膨張倍率が1.1〜100倍であるも
のであれば、どのようなものであってもよいが、次のよ
うな熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化
合物、並びに、無機充填材からなる樹脂組成物、エポキ
シ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び、無機充填材からな
る樹脂組成物からなるものが好ましい。このような樹脂
組成物は、熱膨張により耐火断熱層を形成して充分な断
熱性能を発揮し、シート状に成形できるので取り扱い性
に優れる。上記の観点から、下記の成分が挙げられる。
【0030】3.1−1 熱可型性樹脂及び/又はゴム
物質 熱可型性樹脂及び/又はゴム物質としては、特に限定さ
れないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレ
ン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系
樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ブチル
ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン
ゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、水素添加石油
樹脂等か挙げられる。これらの熱可型性樹脂及び/又は
ゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、
2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として
用いても良い。
【0031】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の中
でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高
く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、
加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。ま
た、これらの樹脂の中で、柔軟でゴム的性質を持ってい
るものが好ましく、無機充填剤を高充填することが可能
であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなも
のとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得る
ためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用
いられる。
【0032】上記ポリエチレン系樹脂としては、例え
ば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα
−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの
(共)重合体の混合物が挙げられる。
【0033】エチレンを主成分とするエチレンと他のα
−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとし
ては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げ
られる。また、エチレンとα−オレフィン以外のモノマ
ーとの共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0034】上記エチレン単独重合体又はエチレンと他
のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー・
ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメ
タロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙
げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン
化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好
ましい。
【0035】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に
は、更に、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を
阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよく、熱可
塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期に
ついては、特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑
性樹脂及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン
化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際に同時に
架橋や変性を行ってもよい。また、熱可塑性樹脂及び/
又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性して
もよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよ
い。
【0036】上記の架橋方法については特に限定され
ず、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質について通常行わ
れる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用
する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられ
る。
【0037】本発明で用いる樹脂組成物におけるエポキ
シ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポ
キシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹
脂である。
【0038】エポキシ基をもつモノマーとしては、例え
ば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステ
ル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが挙
げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用い
てもよい。
【0039】2官能のグリシジルエーテル型のモノマー
としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプ
ロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、
1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン
型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添
ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
【0040】グリシジルエステル型としては、例えば、
ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル
酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマ
ーが挙げられる。
【0041】多官能のクリシジルエーテル型としては、
例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール
型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン−フェ
ノール型等のモノマーが挙げられる。
【0042】また、硬化剤としては、重付加型又は触媒
型のものが用いられる。重付加型としては、例えば、ポ
リアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタ
ン等が挙げられ、触媒型としては、例えば、3級アミ
ン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。こ
れらエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知
の方法により行うことができる。
【0043】上記エポキシ樹脂には、本発明の効果を損
なわない範囲で、他の樹脂が添加されてもよい。他の樹
脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現さ
れなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対して5
00重量部以下が好ましい。また、エポキシ樹脂には、
可撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓
性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有
するシートの成形が可能となり、耐火性能が要求される
様々な部位に適応可能となる。
【0044】3.1−2 熱膨張性無機機化合物 本発明で用いる熱膨張性無機機化合物は、加熱により膨
張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する機能を有
し、加熱時に膨張するものであれば、特に限定はない
が、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュ
ライト、ホウ砂等が挙げられる。これらの中でも、膨張
開始温度が低いことから中和された熱膨張性黒鉛、バー
ミキュライトが好ましい。
【0045】熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であ
り、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッ
シュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等
の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガ
ン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処
理することにより生成するグラファイト層間化合物であ
り、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であ
る。
【0046】上記のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和するこ
とによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0047】上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が
挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、
カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸
化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0048】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20メッシュを通過し、かつ、200メッシュを通
過しないものが好ましい。粒度が200メッシュより小
さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層
が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒
鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練
する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられな
い。
【0049】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGRE
P−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFG
UARD」等が挙げられる。
【0050】3.1−3 無機充填剤 本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配合するのが好
ましい。一般的に無機充填剤は、骨材的な働きをするこ
とから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考
えられる。
【0051】本発明で用いる無機充填剤としては、特に
限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化
錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭
酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等
のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸
バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアツシュ等が挙げられる。これらは、
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、
含水無機物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、
周期律表IIb族金属の金属炭酸塩が好ましく、より好
ましくは、含水無機物と金属炭酸塩の混合物である。含
水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0052】含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水
のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱
性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存
し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する
点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミ
ニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、
併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より
効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用す
ることが好ましい。
【0053】金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等の
アルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;
炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好ま
しい。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、後述の難燃剤で
あるリン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特
に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用
した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨
材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成す
る。
【0054】無機充填剤の粒径としては、0.5〜10
0μmのものが使用できる。無機充填剤は、添加量が少
ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の
小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集
が起こり、分散性が悪くなる。無機充填材の添加量が多
いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高
くなり成型性が低下するが、粒径を大きくすることで樹
脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径
の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超える
と、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下す
る。より好ましくは、約1〜50μmである。
【0055】また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小
さいものを組み台わせて使用することがより好ましく、
組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力
学的性能を維持したまま、高充填化することが可能とな
る。
【0056】無機充填剤の擬態的な市販品の例として
は、例えば、水酸化アルミニウムである粒径1μmの
「ハイジライト H−42M」(昭和電工社製)、粒径
18μmの「ハイジライト H−31」(昭和電工社
製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの
「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8
μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられ
る。
【0057】3.1−4 熱膨張性無機化合物と無機充
填剤の配合量 本発明の樹脂組成物における熱膨張性無機化合物と無機
充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、両
者の合計量50〜900重量部が好ましく、より好まし
くは100〜500重量部である。また、熱膨張性無機
化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、5
〜400重量部が好ましく、より好ましくは20〜20
0重量部であり、無機充填剤の配合量は、樹脂成分10
0重量部に対して、50〜500重量部が好ましく、よ
り好ましくは100〜300重量部である。
【0058】熱膨張性無機化合物の配合量が5重量部未
満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能
が得られない。一方、熱膨張性無機化合物の配合量が4
00重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品
としての強度が得られない。
【0059】無機充填剤の配合量が50重量部未満であ
ると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱
層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、
難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が500重量
部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するた
め、粘着力が不足する。
【0060】3.1−5 その他の添加剤 本発明においては、上記樹脂組成物には、樹脂組成物の
物性を損なわない範囲で必要に応じて、難燃剤、酸化防
止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑
剤、軟化材、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよ
い。
【0061】上記難燃剤としては、火災時の有毒ガス発
生の観点からリン化合物が好ましく、例えば、赤リン;
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニル
ホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の
各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸
アンモニウム類;下記一一般式(1)で表される化合物
等が挙げられる。これらのリン化合物は、単独で用いて
も、2種以上を併用して用いてもよい。これらのうち、
耐火性の観点から、赤リン、下記一般式(1)で表され
る化合物、及び、ポリリン酸アンモニウム類が好まし
く、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アン
モニウム類がより好ましい。
【0062】
【化1】
【0063】式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又
は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキ
シル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6
〜16のアリールオキシ基を表す。
【0064】一般式(1)で表される化合物としては、
例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチ
ル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プ
ロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロ
ピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメ
チル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニ
ルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメ
チルホスフィン酸、、メチルエチルホスフィン酸、メチ
ルプロピルホスフィン般、ジエチルホスフィン酸、ジオ
クチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチル
フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ
る。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではある
が、高難燃性の点において好ましい。
【0065】ポリリン酸アンモニウム類としては、特に
限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミ
ン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃
性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アン
モニウムが好適に用いられる。市販品としては、例え
ば、クラリアント社の「EXOLIT AP422」及
び「EXOLIT AP462」、住友化学工業社の
「スミセーフP」等が挙げられる。
【0066】3.1−6 樹脂組成物の製造方法 本発明で用いる樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出
機、二軸押出機、バンパリーミキサー、ニーダーミキサ
ー、二本ロール、らいかい機、遊星式攪拌機等の公知の
混練装置を用いて溶融混練することにより、得ることが
できる。
【0067】3.1−7 樹脂組成物の成形方法 得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出成
形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によりシー
ト状等の熱膨張性耐火層に成形することができる。
【0068】3.1−8 熱膨張性耐火層(C)に粘着
性を付与する方法 また、熱膨張性耐火層(C)として粘着性を有する材料
からなるものを用いると、耐火複合面材を作製する際の
作業性が向上する。粘着性を有するとは、後述する遮炎
層及び/又は開口部補強部材に直接に仮止め固定が可能
となるような性質を有することを意味し、広く粘着性及
び/又は接着性を有することをいう。粘着性を有する材
料としては、ポリウレタン系樹脂、ブチルゴム、ポリブ
テン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、ポリク
ロロプレン、ニトリルゴム、水素添加石油樹脂等か挙げ
られる。
【0069】3.1−9 熱膨張性耐火層(C)に遮音
・制振性能を付与する方法 さらに、熱膨張性耐火層として遮音・制振性能を有する
材料からなるものを用いると、開口部補強部材を通じて
伝播する固体伝播音を低減することができるので好まし
い。遮音・制振性能を有する材料としては、塩基性炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭
酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等
のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸
バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアツシュ等が挙げられる。特に、硫酸
バリウム、炭酸バリウムが効果が顕著である。
【0070】3.1−10 熱膨張性耐火層(C)の体
積膨張倍率 本発明で用いる熱膨張性耐火層は、該耐火層に50kW
/m2の熱量を30分照射したときの体積膨張倍率が、
1.1〜100倍であり、好ましくは5〜50倍であ
る。体積膨張倍率が1.1倍未満では、耐火性能が不十
分であり、100倍を超えると加熱により膨張して形成
された耐火断熱層の強度が低下し、崩れやすくなる。
【0071】3.1−11 熱膨張性耐火層(C)用の
商業製造されているシート及び厚み 本発明で用いることのできる熱膨張性耐火層は、上記の
ように製造したものの他に、例えば、積水化学工業社製
「S耐火シート」(ブチルゴムと熱膨張製黒鉛を含有す
る樹脂組成物からなる自己粘着シート材料:体積膨張倍
率5〜40倍)、3M社製「ファイアバリア FS−1
95AA」(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含
有する樹脂組成物からなるシート材料、体積膨張倍率4
倍)、三井金属塗料社製「メジヒカット シート材」
(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成
物からなるシート材料:体積膨張倍率6倍)等の市販品
も使用可能である。熱膨張性耐火層(C)の厚みは、
0.5〜10mmが好ましく、より好ましくは1〜5m
mである。厚みが、0.5mm未満では、火災のとき膨
張しても充分な断熱性を発現することができず、耐火効
果を十分に得ることができず、10mmを超えると過剰
品質となり耐火効果は変わらず、使用量が多くなるため
経済性が損なわれ、重くなり取り扱いが困難となり好ま
しくない。本発明のコンクリートパネル間仕切り璧材
(A)のランナー部材(B)の表面露出部分へ上記熱膨
張性耐火層(C)を被覆する施工方法としては、特に限
定されず、予めシート化した熱膨張性耐火層(C)を自
己粘着性により開口部補強部材に貼り付けてもよいし、
接着剤により貼り付けてもよい。遮炎層(E)に熱膨張
性耐火層(C)を構成する樹脂組成物をコーター、ラミ
ネーター等により直接貼付けて製造することにより、工
程数を削減することも可能である。
【0072】3.1−12 熱膨張性耐火層(C)の施
工性、及び燃焼残渣の強度改善 また、本発明の熱膨張性耐火層には施工性や燃焼残渣の
強度を改善する目的で、例えば、ラス、金網、アルミ
箔、アルミガラスクロス、布、不織布、樹脂フィルム、
割布、ガラスクロス等からなる燃焼残渣補強材層が積層
されてもよい。
【0073】4.耐火被覆ランナー部材 本発明の耐火被覆ランナー部材とは、軽量鉄骨間仕切り
の軸組のうち、上床の下と、下床の上に設けてコンクリ
ートパネル間仕切り璧材(A)を取付けるための耐火性
横架材であり、ランナー部材(B)の表面に熱膨張性耐
火層(C)が積層されているものである。耐火被覆ラン
ナー部材の基本構造は、上記のものであるが、ランナー
部材(B)の表面積に対する熱膨張性耐火層(C)の表
面積の相違、熱膨張性耐火層(C)の形状の相違、遮炎
層(D)の有無、コンクリートくぎ(E)の有無等によ
り、多数の構造体が考えられるが、代表的なものを以下
に示す。
【0074】4.1 基本型 溝状ランナー部材(B)の両外側面が、同じ面積の熱膨
張性耐火層(C)で積層されているものであり、具体的
には図8に示した。
【0075】4.2 熱膨張性耐火層(C)延長型 熱膨張性耐火層(C)が、溝状ランナー部材(B)の両
外側面に積層されているのみならず、その下辺延長部
は、溝状ランナー部材(B)の下辺より更に下方に延長
されているものであり、具体的には図9に示した。この
延長型は、熱膨張性耐火層(C)の裾がついているの
で、溝状ランナー部材(B)の下辺を、基本型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0076】4.3 熱膨張性耐火層(C)延長折り曲
げ型 溝状ランナー部材(B)の下辺より更に下方に延長され
ている部分の熱膨張性耐火層(C)部分は、溝状ランナ
ー部材(B)の下辺を起点として内側に折り曲げられ、
溝状ランナー部材(B)の下辺の延長面上に存在する熱
膨張性耐火層(C)が、溝状ランナー部材(B)の下辺
より更に下方に延長されているものであり、具体的には
図10に示した。この延長折り曲げ型は、熱膨張性耐火
層(C)の裾がついており、かつ内側に折り曲げられ、
溝状ランナー部材(B)の下辺に直接火炎が当たらない
ので、溝状ランナー部材(B)の下辺を、延長型より火
炎から保護し易い利点がある。
【0077】4.4 遮炎層(D)追加型 熱膨張性耐火層(C)の両外側面に、更に不燃材又は準
不燃材からなる遮炎層(D)が積層されてなるものであ
り、具体的には図11に示した。この遮炎層(D)追加
型は、熱膨張性耐火層(C)のみを使用した場合に比べ
て、更に遮炎層(D)が追加されているので耐火性が更
に改善される利点がある。
【0078】4.5 遮炎層(D)追加折り曲げ型 熱膨張性耐火層(C)の下辺より更に下方に延長されて
いる部分の不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D)部
分は、熱膨張性耐火層(C)の下辺を起点として内側に
折り曲げられ、上記溝状ランナー部材(B)の下辺の延
長面上に存在するものであり、具体的には図12示し
た。この遮炎層(D)追加折り曲げ型は、遮炎層(D)
の裾がついており、かつ内側に折り曲げられ、溝状ラン
ナー部材(B)の下辺に直接火炎が当たらないので、溝
状ランナー部材(B)の下辺を、上記した各型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0079】4.6 熱膨張性耐火層(C)下辺延長部
コンクリートくぎ(E)装着型 熱膨張性耐火層(C)の下辺延長部に、下辺延長部をコ
ンクリートパネル間仕切り璧材(A)に固定するための
コンクリートくぎ(E)が装着されているものであり、
具体的には図13示した。このコンクリートくぎ(E)
装着型は、熱膨張性耐火層(C)が固定されているの
で、火災時に脱落することがなく上記した各型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0080】4.7 遮炎層(D)下辺延長部コンクリ
ートくぎ(E)装着型 遮炎層(D)の下辺延長部に、下辺延長部をコンクリー
トパネル間仕切り璧材(A)に固定するためのコンクリ
ートくぎ(E)が装着されているものであり、具体的に
は図14示した。このコンクリートくぎ(E)装着型
は、遮炎層(D)が固定されているので、火災時に脱落
することがなく上記した各型より火炎から保護し易い利
点がある。
【0081】5. 耐火璧材固定構造の組立工法 本発明の耐火璧材固定構造の組立工法は、耐火璧材固定
構造を構成する各部材を工場の製造ライン又は建物建築
現場で順次組み立てる工法、及び建物建築現場でコンク
リートパネル間仕切り璧材(A)と耐火被覆ランナー部
材とを合体させる工法がある。
【0082】5.1 順次組立工法(1) コンクリートパネル間仕切り璧材(A)をランナー部材
(B)に挿入し固定する第1工程、及びランナー部材
(B)の両外側面に熱膨張性耐火層(C)又はそれに更
に遮炎層(D)を追加して積層する第2工程からなるこ
とを特徴とする工法で、具体的には図3に示した。ラン
ナー部材(B)は、最初に上床及び下床に、ボルト−ナ
ット、釘、接着剤等で所定位置に固定する。
【0083】5.2 順次組立工法(2) 上記の第1工程及び第2工程に追加して、更に熱膨張性
耐火層(C)又はそれに更に遮炎層(D)追加した層
を、コンクリートくぎ(E)によってコンクリートパネ
ル間仕切り璧材(A)に固定する第3工程からなること
を特徴とする工法で、具体的には図1に示した。
【0084】5.3 合体工法 建物建築現場でコンクリートパネル間仕切り璧材(A)
と耐火被覆ランナー部材とを合体させる工法である。耐
火被覆ランナー部材(B)は、最初に上床及び下床に、
ボルト−ナット、釘、接着剤等で所定位置に固定する。
上記のコンクリートパネル間仕切り璧材のランナー部材
としては、特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス
鋼、アルミニウム等が挙げられる。形状としてはコの
字、L字断面等のものがある。上記ランナー部材をコン
クリートパネル間仕切り璧材挟み込むように組み合わせ
て床材に設置することで固定する。この様に設置したと
きランナー部材の側面部分は璧表面に露出するため、火
災時に火炎によって直接曝されたり、高温によって直接
加熱されたりされる。そのため、耐火層で覆う必要があ
る。本発明の熱膨張性耐火層は、火災時に熱膨張して耐
火断熱層を形成し、この耐火断熱層によって、ランナー
部材の温度上昇を抑制することができる。
【0085】6.遮炎層(D) 本発明において遮炎層(D)とは、図12の番号4で示
すように、被覆積層した熱膨張性耐火層(C)の加熱面
側に更に積層され、ランナー部材(B)を火災時に保護
し、更に耐火性を増強するものであり、不燃材又は準不
燃材で構成されている。上記不燃材又は準不燃材として
は、例えば、銑板、ステンレス板、亜鉛めっき鋼板、ア
ルミ板、その他の金属板、及び、塩ビ鋼板、カラー鋼板
等更に塗装等の処理が施された金属板、金属箔、アルミ
ガラスクロス並びに、これらの複合板等が用いられる。
上記不燃材又は準不燃材は、単独で用いても、2種以上
を併用してもよい。
【0086】上記不燃材又は準不燃材の中では、表装加
工された金属板、金属箔、アルミガラスクロスが特に好
ましい。表装加工としては、意匠や錆、腐食、耐久性対
策のための塗装等の表面処理、意匠や強度向上のための
エンボス形状、波板形状、溝形状等の賦形処理などが挙
げられる。表装加工された金属板を不燃材又は準不燃材
として用いることにより、ランナー部材の優れた耐火被
覆部材とすることができる。遮炎層の厚みは0.01〜
3mmであることが好ましい。厚みが、0.01mm未
満であると、遮炎機能が不充分であり、3mmを超える
と上記熱膨張性耐火層の膨張を阻害する可能性がある。
不燃材又は準不燃材を積層した耐火被覆構造の製造方法
としては、特に限定されず、例えば、まず、カラー鋼板
の裏面に熱膨張性耐火層を積層した後、エンボス、波
板、溝形状を付与する曲げ加工を行い耐火被覆層とする
方法やランナー部材上に被覆した熱膨張性耐火層の上か
ら被覆する方法等が挙げられる。
【0087】7.コンクリートくぎ(E) 本発明において、コンクリートくぎ(E)とは、図13
の番号6で示すように、ランナー部材(B)の両外側面
に積層されている熱膨張性耐火層(C)や、(C)の両
外側面に積層されている遮炎層(D)をコンクリートパ
ネル間仕切り璧材(A)に固定するためのものである。
【0088】8.補助断熱材 さらに、本発明の耐火被覆ランナー部材は、上記熱膨張
性耐火層(C)の表面、又はランナー部材(B)との間
に補助断熱材が積層されていても良い。補助断熱材とし
ては、けい酸カルシウム板、石こうボード、ロックウー
ル、グラスウール、樹脂発泡体等の断熱効果のあるもの
であれば何でも良いが、200℃に加熱したときにも断
熱性能が保持されるものであるとさらに好ましい。
【0089】9.図面による説明 ここで、熱膨張性耐火層のコンクリートパネル間仕切り
璧材のランナー部材の露出部分への積層の状態の例を図
1〜6に示す。ただし、本発明の被覆構造は図1〜6に
限定されるものではない。例えば、図1は、遮炎層4を
横層した熱膨張性耐火層3を矢印方向にコンクリートパ
ネル間仕切り璧5のランナー部材2の表面露出部分に貼
付被覆する耐火被覆構造の施工方法を模式的に示す斜視
図である。図2は、図1で得られた耐火被覆構造の断面
図である。図3は、コンクリートパネル間仕切り壁5の
ランナー部材2の表面露出部分に熱膨張性耐火層を貼付
被覆した耐火被覆構造の斜視図であり、図4は、図3で
得られた耐火被覆構造の断面図である。図5は、遮炎層
4を積層した熱膨張性耐火層2をコンクリートパネル間
仕切り璧5のランナー部材2の表面露出部分に貼付被覆
しコンクリートくぎ6で固定した状態の断面図である。
また、図6は、コンクリートパネル間仕切り璧5のラン
ナー部材2の表面露出部分に熱膨張性耐火層3を貼付被
覆した状態の断面図である。
【0090】上記のようにして得られた本発明のコンク
リートパネル間仕切り璧ランナー部材の耐火被覆構造
は、火災等の加熱によって熱膨張性耐火材が膨張し、燃
焼残渣が耐火断熱層を形成し、この断熱層によって、ラ
ンナー部材の温度上昇を抑制する。
【0091】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではな
い。なお、使用した材料及び評価方法は、次の通りであ
る。
【0092】1.材料 (1)熱膨張性耐火層 (i)熱膨張性耐火層シートの調整 表1に示した配合量のブチルゴム(エクソン化学社製
「ブチルゴム#065」)、ポリブテン(出光石油化学
社製「ポリブテン100R」)、水素添加石油樹脂(ト
ーネックス社製「エスコレッツ5320」)、エポキシ
樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「ビスフェノールF
型エポキシモノマーE807」)、硬化剤(ジャパンエ
ポキシレジン社製「ジアミン系硬化剤FL052」)、
熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカットGREP−
EG」)、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製
「EXOLIT AP422」)、水酸化アルミニウム
(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)及び炭酸カ
ルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF300」)か
らなる樹脂組成物の配合Aと配合Bをシート化して所定
の厚みの熱膨張性耐火層を作製した。なお、配合Aは、
混練ロールで混練後、熱プレスによって所定の厚みのシ
ートに成形した。また、配合Bは、エポキシモノマーと
硬化剤の混合物を混練ロールで混練後、熱プレスにより
100℃で1時間硬化を行い、所定の厚みのシートに形
成した。
【0093】
【表1】
【0094】(ii)S耐火シート(積水化学工業社
製):ブチルゴムと熱膨張性黒鉛からなる樹脂シート材
料 (iii)メジヒカット(三井金属塗料社製):ウレタ
ン樹脂と熱膨張性黒鉛からなる樹脂シート材料 (iv)ファイアバリア FS−195AA(住友3M
社製):クロロプレンとバーミキュライトからなる樹脂
シート材料
【0095】(2)補助断熱材 (i)石こうボード GB−R(吉野石膏製):12.
5mm厚 (3)遮炎層 (i)カラー鋼板 カラーグリップ(大同鋼板製):
0.3mm厚 (ii)アルミガラスクロス(日本金属箔工業製) (4)燃焼残渣補強材層 (i)ガラスクロス(ユニチカグラスファイバー製)
【0096】2.評価方法 (1)体積膨張倍率:熱膨張性耐火層シートを100m
m×100mmのサイズに切断したサンプルを、内寸1
00mm×100×高さ30mmのステンレス製容器の
底面に配置した後、ATLAS社製コーンカロリメータ
ー「CONE2」を用いて50kW/m2の熱量を熱膨
張性耐火層側に30分間照射して燃焼、膨張(中規模火
災時の燃焼条件に相当)させ、耐火断熱層を形成した。
得られた耐火断熱層の厚みから、下式により厚み方向の
膨張倍率を算出した。その値を体積膨張倍率とした。
(容器の使用によって、膨張は厚み方向のみに限定され
るため、厚み方向の膨張倍率は体積膨張倍率とみなすこ
とができる。) 厚み方向の膨張倍率(倍)=t/t0 ここで、tは膨張後の厚み、t0は膨張前の厚みをそれ
ぞれ示す。
【0097】(2)耐火性能:被覆構造体について、I
SO 834に準拠して耐火試験を行い、60分間加熱
後のALC開口部の補強部材温度を熱電対で測定し、被
覆効果の現れたものを○とした。
【0098】実施例1 層厚み1.5mmの配合Aの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル間仕切り璧ランナー部材に被覆し、さらに遮
炎層として、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5
に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。
その耐火性能の結果を表2に示す。
【0099】実施例2 層厚み2.5mmの配合Bの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル間仕切り璧ランナー部材に被覆し、図6に示
すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その
耐火性能の結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】実施例3 アルミガラスクロスを遮炎層兼燃焼残渣補強層として表
面に積層した厚み3mmのS耐火シートをコンクリート
パネル間仕切り璧ランナー部材に被覆し、図6に示すよ
うなサイズ1m×lmの耐火被覆構造を得た。その耐火
性能の結果を表2に示す。
【0102】実施例4 層厚み0.7mmの配合A熱膨張性耐火層を、12.5
mm厚の石こうボードの補助断熱材と共にコンクリート
パネル間仕切り璧ランナー部材に被覆し、さらに遮炎層
として、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に示
すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その
耐火性能の結果を表2に示す。
【0103】実施例5 層厚み12mmのファイアバリアをコンクリートパネル
間仕切り璧ランナー部材に被覆し、さらに遮炎層とし
て、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に示すよ
うなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火
性能の結果を表2に示す。
【0104】実施例6 層厚み8mmのメジヒカットをコンクリートパネル間仕
切り璧ランナー部材に被覆し、さらに遮炎層として、
0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に示すような
サイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火性能
の結果を表2に示す。
【0105】実施例7 エポキシ樹脂をプレス成形する際にガラスクロスを挿入
することでシート内部にガラスクロスを積層した熱膨張
性耐火層を作製した。作製した2mm厚の熱膨張性耐火
層をコンクリートパネル璧開口部補強部材に被覆し、図
6に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得
た。その耐火性能の結果を表2に示す。
【0106】比較例1 熱膨張性耐火層を用いない場合の耐火性能を示す。
【0107】比較例2 層厚み25mmのけい酸カルシウム板をコンクリートパ
ネル間仕切り璧ランナー部材に被覆し、図6に示すよう
なサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火性
能の結果を表2に示す。耐火性能は、実施例と同じよう
な水平であるか、被覆総厚みが25mm以上であり、実
用的に不向きであった。
【0108】表2から明らかなように、実施例1〜7に
示す本発明の耐火被覆構造は、比較例1の耐火層を全く
被覆しない状態に比べ、補強部材の表面温度を大幅に下
げることができる優れた耐火性能を示し、さらに、比較
例2のけい酸カルシウム板等の従来品に比較して大幅に
厚みを薄くすることができることがわかる。
【0109】
【発明の効果】本発明のコンクリートパネル間仕切り璧
ランナー部材の耐火壁材固定構造は、熱膨張性耐火シー
トをランナー部材の表面に積層することで耐火性能を付
与するため、厚みが薄く、施工が簡易なランナー部材の
耐火壁材固定構造を提供できる。そのため、現場での作
業性や室内空間の確保性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐火壁材固定構造の施工方法の一例を
示す斜視図である。
【図2】図1の耐火壁材固定構造を含む状態の断面図で
ある。
【図3】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
斜視図である。
【図4】図3の耐火壁材固定構造を含む状態の断面図で
ある。
【図5】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
断面図である。
【図6】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
断面図である。
【図7】本発明のランナー部材(B)の一例を示す断面
図である。
【図8】本発明の耐火被覆ランナー部材の一例を示す断
面図である。
【図9】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を示
す断面図である。
【図10】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図11】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図12】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図13】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図14】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 床材 2 ランナー部材(B) 3 熱膨張性耐火層(C) 4 不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D) 5 コンクリート間仕切り璧(A) 6 コンクリートくぎ(E)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月25日(2001.9.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 耐火被覆ランナー部材、これを用いた
耐火壁材固定構造及びその組立工法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火被覆ランナー
部材および耐火壁材固定構造ならびにその組立工法に関
し、更に詳しくは、耐火被覆の厚みを従来に比較して大
幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、か
つ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火災
時に熱によって膨張し優れた耐火性断熱性を発揮する熱
膨張性耐火層を両外側層として積層されてなる耐火被覆
ランナー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕切
り壁材を固定してなる耐火壁材固定構造ならびにその組
立工法に関する。
【0002】
【従来の枝術】近年、建築物の構造材として用いられる
壁材には、建設省告示第2999号やJIS A130
4により耐火性能基準が定められている。その中で、壁
構造を構成する鋼材に関して、加熱試験中にその鋼材温
度が基準値以下に保持されることが記載されている。こ
のような部位としては、コンクリートパネル壁構造を構
成するランナーや開口部に接する壁材端部を補強する開
口部補強部材等が挙げられる。
【0003】従来、ランナー部材については、はり、柱
と同時に、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライ
ト、ロックウールなどの無機成分を混合した耐火被覆材
料を吹き付けをすることにより耐火被覆を済ませてしま
うことが一般的である。しかしながら、上記耐火被覆材
料の吹き付けによる鉄骨の耐火被覆を必要としないRC
造のような建物の場合、ランナー部材被覆のためだけに
吹き付け業者を手配する必要があった。この場合、微少
な部分に吹き付けが必要となるために作業工数自体がか
かることや吹き付け作業のために養生をかけたり、硬化
するまでに長時間を要するため、他の作業を制限したり
しなくてはならず工期を遅らせる要因となっていた。ま
た、このような耐火被覆材料は、施工時に現場で吹き付
け、あるいは、塗布する必要があることから、作業環境
が悪化するとともに、形成された耐火被覆層の厚さにム
ラが発生しやすく、ムラが生じた場合は充分な耐火性を
発揮させることができず、また形成された耐火被覆層に
ヒビ割れが発生して耐火性が低下することもあった。あ
る程度熟練した技能が必要となるため、施工性が低下す
るという問題があった。また、層厚み25mm程度のケ
イ酸カルシウム板をランナー部材の両外側面に積層する
方法もあるが、厚い珪酸カルシウム板を使用するため設
計時の部材間の取り合いが難しく、耐火被覆の厚みが厚
くなると室内側に張り出すため、室内空間が狭くなると
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の問題点に鑑み、耐火被覆の厚みを従来に比較して
大幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、
かつ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火
災時に熱によって膨張し優れた耐火性断熱性を発揮する
熱膨張性耐火層を両外側層として積層されてなる耐火被
覆ランナー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕
切り壁材を固定してなる耐火壁材固定構造ならびにその
組立工法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を脾決すべく鋭意研究をすすめた結果、特定の熱膨張性
耐火層をコンクリートパネル間仕切り壁材のランナー部
材の表面露出部分に積層することにより耐火性能、施工
性に優れた耐火被覆ランナー部材及び耐火壁材固定構造
が得られることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
コンクリートパネル間仕切り壁材(A)を固定するラン
ナー部材(B)の表面に熱膨張性耐火層(C)を積層し
てなる耐火被覆ランナー部材であって、熱膨張性耐火層
(C)が、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物か
らなり、かつ、50kW/m2 の加熱条件下で30分間
加熱したときの体積膨張倍率が、1.1〜100倍であ
ることを特徴とすることを特徴とする耐火被覆ランナー
部材が提供される。
【0007】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、熱可塑性樹
脂及び/又はゴム物質に、熱膨張性無機化合物及び無機
充填材を配合してなる樹脂組成物からなることを特徴と
する耐火被覆ランナー部材が提供される。
【0008】また、本発明の第3の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、エポキシ樹
脂に、熱膨張性無機化合物及び無機充填材を配合してな
る樹脂組成物からなることを特徴とする耐火被覆ランナ
ー部材が提供される。
【0009】また、本発明の第4の発明によれば、第2
又は3の発明において、樹脂組成物に、更に難燃化剤を
配合することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供
される。
【0010】また、本発明の第5の発明によれば、第2
〜4のいずれかの発明において、第1の発明において、
熱膨張性耐火層(C)に配合される熱膨張性無機化合物
が、熱膨張性黒鉛であることを特徴とする耐火被覆ラン
ナー部材が提供される。
【0011】一方、本発明の第6の発明によれば、第1
の発明において、熱膨張性耐火層(C)の両外側面に、
さらに不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D)を積層
することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供され
る。
【0012】また、本発明の第7の発明によれば、第6
の発明において、遮炎層(D)を構成する不燃材又は準
不燃材が、金属板、金属箔又はアルミガラスクロスから
選ばれる1種以上の材料であることを特徴とする耐火被
覆ランナー部材が提供される。
【0013】また、本発明の第8の発明によれば、第1
〜7のいずれかの発明において、熱膨張性耐火層(C)
の表面又は内部に、さらに不燃材又は準不燃材からなる
燃焼残渣補強材層を積層することを特徴とする耐火被覆
ランナー部が提供される。
【0014】また、本発明の第9の発明によれば、第1
の発明において、ランナー部材(B)が、長方形金属板
を断面形状がコ字状、U字状又はL字状になるように折
り曲げ加工して作ったアングル状であることを特徴とす
る耐火被覆ランナー部材が提供される。
【0015】また、本発明の第10の発明によれば、第
1の発明において、熱膨張性耐火層(C)が、ランナー
部材(B)の両外側面に積層されているのみならず、ラ
ンナー部材(B)の下辺より更に下方に延長され下辺延
長部を形成することを特徴とする耐火被覆ランナー部材
が提供される。
【0016】また、本発明の第11の発明によれば、第
10の発明において、ランナー部材(B)の下辺より更
に下方に延長されている部分の熱膨張性耐火層(C)部
分は、ランナー部材(B)の下辺を起点として内側に折
り曲げられ、ランナー部材(B)の下辺の延長面上に存
在することを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提供さ
れる。
【0017】また、本発明の第12の発明によれば、第
10の発明において、熱膨張性耐火層(C)の下辺より
更に下方に延長されている部分の不燃材又は準不燃材か
らなる遮炎層(E)部分は、熱膨張性耐火層(C)の下
辺を起点として内側に折り曲げられ、ランナー部材
(B)の下辺の延長面上に存在することを特徴とする耐
火被覆ランナー部材が提供される。
【0018】また、本発明の第13の発明によれば、第
11の発明において、熱膨張性耐火層(C)の下辺延長
部に、下辺延長部をコンクリートパネル間仕切り壁材
(A)に固定するためのコンクリートくぎ(F)が装着
されていることを特徴とする耐火被覆ランナー部材が提
供される。
【0019】また、本発明の第14の発明によれば、第
12の発明において、不燃材又は準不燃材からなる遮炎
層(D)の下辺延長部に、下辺延長部をコンクリートパ
ネル間仕切り壁材(A)に固定するためのコンクリート
くぎ(E)が装着されていることを特徴とする耐火被覆
ランナー部材が提供される。
【0020】また、本発明の第15の発明によれば、第
1〜14のいずれかの発明の耐火被覆ランナー部材によ
って、上記コンクリートパネル間仕切り壁材(A)が固
定されていることを特徴とする耐火壁材固定構造が提供
される。
【0021】また、本発明の第16の発明によれば、コ
ンクリートパネル間仕切り壁材(A)をランナー部材
(B)に挿入し固定する第1工程、及びランナー部材
(B)の両外側面に熱膨張性耐火層(C)又はそれに更
に遮炎層(D)を追加して積層する第2工程からなるこ
とを特徴とする第15の発明の耐火壁材固定構造の組立
工法が提供される。
【0022】また、本発明の第17の発明によれば、さ
らに熱膨張性耐火層(C)又はそれに更に遮炎層(D)
を追加した層を、コンクリートくぎ(E)によってコン
クリートパネル間仕切り壁材(A)に固定する第3工程
からなることを特徴とする第17の発明の耐火壁材固定
構造の組立工法が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の、耐火被覆ランナ
ー部材、およびそれにコンクリートパネル間仕切り壁材
を固定してなる耐火壁材固定構造ならびにその組立工法
について、各項目毎に、詳細に説明する。
【0024】1.コンクリートパネル間仕切り壁材
(A) 本発明において、コンクリートパネル間仕切り壁材
(A)とは、上床と下床で形成される空間を、間仕切り
して部屋を形成するための仕切りとなる壁を形成するた
めに用いる、例えば図1にて番号5で示す長方形の板材
である。本発明において用いるコンクリートパネル間仕
切り壁材(A)は、鉄骨構造の家屋やビルディングに用
いられるので、耐火性、遮音性、軽量性、耐震性、耐衝
撃性、耐荷重性等に優れていることが好ましい。例えば
プレキャストコンクリート(PC)、多孔質軽量発泡コ
ンクリート(ALC)等が挙げられる。
【0025】2.ランナー部材(B) 本発明において、ランナー部材(B)とは、軽量鉄骨間
仕切りの軸組のうち、上床の下と、下床の上に設けてコ
ンクリートパネル間仕切り壁材(A)を取付けるための
横架材であり、コンクリートパネル間仕切り壁材(A)
の上部及び下部を固定するためのものであるから、図7
に示す様な、長方形金属板を横断面がコ字状、U字状又
はL字状に折り曲げ加工して作ったコ溝状又はU溝状の
形状が好ましい。ランナー部材(B)でコンクリートパ
ネル間仕切り壁材(A)を挟み込むように組み合わせて
上下の床材に設置することで固定する。上記のランナー
部材(B)の材料としては、特に限定されないが、折り
曲げ加工性、耐火性、耐熱性、耐寒性、耐震性、機械的
強度等に優れている鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、
チタニウム等が好ましい。ランナー部材(B)の厚み
は、1〜10mmが好ましく、より好ましくは2〜5m
mである。厚みが、1mm未満では、機械的強度が弱く
なりコンクリートパネル間仕切り壁材(A)を固定する
ことができなく、弱い力で破壊し、また火災のとき形状
を維持するのが難しくなり耐火効果を十分に得ることが
できず、10mmを超えると過剰品質となり耐火効果は
変わらず、使用量が多くなるため経済性が損なわれ好ま
しくない。
【0026】3.熱膨張性耐火層(C) 本発明において、熱膨張性耐火層(C)とは、図8の番
号3に示すようなシートであり、上記のランナー部材
(B)の両外側面に積層され、ランナー部材(B)を火
災時に保護するためのものであり、ランナー部材(B)
と熱膨張性耐火層(C)が一体となったものを、本発明
においては耐火被覆ランナー部材(D)と呼称する。本
発明にて用いるランナー部材(B)の両外側面部分は壁
表面に露出するため、火災時に火炎によって直接曝され
たり、高温によって直接加熱されたりされる。そのた
め、耐火層で覆う必要があるので、本発明の熱膨張性耐
火層(C)が必要であり、火災時に熱膨張して耐火断熱
層を形成し、この耐火断熱層によって、ランナー部材
(B)の温度上昇を抑制することができる。
【0027】本発明において用いる熱膨張性耐火層
(C)の成分について、更に詳細に以下に説明する。
【0028】3.1 熱膨張性耐火層(C)の成分 本発明において用いる熱膨張性耐火層(C)は、ランナ
ー部材(B)の両外側面に積層され、ランナー部材
(B)を火災時に保護するためのものであるから、その
成分は、耐火性、難燃性に優れた化合物を含有してお
り、かつ、押出成形ができ、ランナー部材(B)の表面
に直接コーティングができるか、又は、シートに成形で
きるように、成形時に熱可塑性がある樹脂を含有してお
り、また、熱膨張性耐火層(C)は、ランナー部材
(B)の両外側面に積層され一体化されている方が好ま
しいので、接着性を発現する成分を含有することが必要
である。更に具体的に説明すると、本発明で用いる熱膨
張性耐火層は、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成
物からなり、加熱によって膨張し、耐火断熱層を形成し
うるものであり、50kW/m2の加熱条件下で30分
加熱した後の体積膨張倍率が1.1〜100倍であるも
のであれば、どのようなものであってもよいが、次のよ
うな熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化
合物、並びに、無機充填材からなる樹脂組成物、エポキ
シ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び、無機充填材からな
る樹脂組成物からなるものが好ましい。このような樹脂
組成物は、熱膨張により耐火断熱層を形成して充分な断
熱性能を発揮し、シート状に成形できるので取り扱い性
に優れる。上記の観点から、下記の成分が挙げられる。
【0029】3.1−1 熱可型性樹脂及び/又はゴム
物質 熱可型性樹脂及び/又はゴム物質としては、特に限定さ
れないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレ
ン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系
樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ブチル
ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン
ゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、水素添加石油
樹脂等か挙げられる。これらの熱可型性樹脂及び/又は
ゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、
2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として
用いても良い。
【0030】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の中
でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高
く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、
加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。ま
た、これらの樹脂の中で、柔軟でゴム的性質を持ってい
るものが好ましく、無機充填剤を高充填することが可能
であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなも
のとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得る
ためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用
いられる。
【0031】上記ポリエチレン系樹脂としては、例え
ば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα
−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの
(共)重合体の混合物が挙げられる。
【0032】エチレンを主成分とするエチレンと他のα
−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとし
ては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げ
られる。また、エチレンとα−オレフィン以外のモノマ
ーとの共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0033】上記エチレン単独重合体又はエチレンと他
のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー・
ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメ
タロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙
げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン
化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好
ましい。
【0034】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に
は、更に、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を
阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよく、熱可
塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期に
ついては、特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑
性樹脂及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン
化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際に同時に
架橋や変性を行ってもよい。また、熱可塑性樹脂及び/
又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性して
もよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよ
い。
【0035】上記の架橋方法については特に限定され
ず、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質について通常行わ
れる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用
する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられ
る。
【0036】本発明で用いる樹脂組成物におけるエポキ
シ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポ
キシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹
脂である。
【0037】エポキシ基をもつモノマーとしては、例え
ば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステ
ル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが挙
げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用い
てもよい。
【0038】2官能のグリシジルエーテル型のモノマー
としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプ
ロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、
1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン
型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添
ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
【0039】グリシジルエステル型としては、例えば、
ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル
酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマ
ーが挙げられる。
【0040】多官能のクリシジルエーテル型としては、
例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール
型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン−フェ
ノール型等のモノマーが挙げられる。
【0041】また、硬化剤としては、重付加型又は触媒
型のものが用いられる。重付加型としては、例えば、ポ
リアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタ
ン等が挙げられ、触媒型としては、例えば、3級アミ
ン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。こ
れらエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知
の方法により行うことができる。
【0042】上記エポキシ樹脂には、本発明の効果を損
なわない範囲で、他の樹脂が添加されてもよい。他の樹
脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現さ
れなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対して5
00重量部以下が好ましい。また、エポキシ樹脂には、
可撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓
性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有
するシートの成形が可能となり、耐火性能が要求される
様々な部位に適応可能となる。
【0043】3.1−2 熱膨張性無機機化合物 本発明で用いる熱膨張性無機機化合物は、加熱により膨
張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する機能を有
し、加熱時に膨張するものであれば、特に限定はない
が、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュ
ライト、ホウ砂等が挙げられる。これらの中でも、膨張
開始温度が低いことから中和された熱膨張性黒鉛、バー
ミキュライトが好ましい。
【0044】熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であ
り、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッ
シュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等
の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガ
ン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処
理することにより生成するグラファイト層間化合物であ
り、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であ
る。
【0045】上記のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和するこ
とによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0046】上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が
挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、
カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸
化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0047】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20メッシュを通過し、かつ、200メッシュを通
過しないものが好ましい。粒度が200メッシュより小
さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層
が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒
鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練
する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられな
い。
【0048】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGRE
P−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFG
UARD」等が挙げられる。
【0049】3.1−3 無機充填剤 本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配合するのが好
ましい。一般的に無機充填剤は、骨材的な働きをするこ
とから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考
えられる。
【0050】本発明で用いる無機充填剤としては、特に
限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化
錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭
酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等
のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸
バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアツシュ等が挙げられる。これらは、
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、
含水無機物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、
周期律表IIb族金属の金属炭酸塩が好ましく、より好
ましくは、含水無機物と金属炭酸塩の混合物である。含
水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0051】含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水
のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱
性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存
し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する
点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミ
ニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、
併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より
効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用す
ることが好ましい。
【0052】金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等の
アルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;
炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好ま
しい。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、後述の難燃剤で
あるリン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特
に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用
した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨
材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成す
る。
【0053】無機充填剤の粒径としては、0.5〜10
0μmのものが使用できる。無機充填剤は、添加量が少
ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の
小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集
が起こり、分散性が悪くなる。無機充填材の添加量が多
いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高
くなり成型性が低下するが、粒径を大きくすることで樹
脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径
の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超える
と、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下す
る。より好ましくは、約1〜50μmである。
【0054】また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小
さいものを組み台わせて使用することがより好ましく、
組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力
学的性能を維持したまま、高充填化することが可能とな
る。
【0055】無機充填剤の擬態的な市販品の例として
は、例えば、水酸化アルミニウムである粒径1μmの
「ハイジライト H−42M」(昭和電工社製)、粒径
18μmの「ハイジライト H−31」(昭和電工社
製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの
「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8
μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられ
る。
【0056】3.1−4 熱膨張性無機化合物と無機充
填剤の配合量 本発明の樹脂組成物における熱膨張性無機化合物と無機
充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、両
者の合計量50〜900重量部が好ましく、より好まし
くは100〜500重量部である。また、熱膨張性無機
化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、5
〜400重量部が好ましく、より好ましくは20〜20
0重量部であり、無機充填剤の配合量は、樹脂成分10
0重量部に対して、50〜500重量部が好ましく、よ
り好ましくは100〜300重量部である。
【0057】熱膨張性無機化合物の配合量が5重量部未
満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能
が得られない。一方、熱膨張性無機化合物の配合量が4
00重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品
としての強度が得られない。
【0058】無機充填剤の配合量が50重量部未満であ
ると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱
層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、
難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が500重量
部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するた
め、粘着力が不足する。
【0059】3.1−5 その他の添加剤 本発明においては、上記樹脂組成物には、樹脂組成物の
物性を損なわない範囲で必要に応じて、難燃剤、酸化防
止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑
剤、軟化材、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよ
い。
【0060】上記難燃剤としては、火災時の有毒ガス発
生の観点からリン化合物が好ましく、例えば、赤リン;
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニル
ホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の
各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸
アンモニウム類;下記一一般式(1)で表される化合物
等が挙げられる。これらのリン化合物は、単独で用いて
も、2種以上を併用して用いてもよい。これらのうち、
耐火性の観点から、赤リン、下記一般式(1)で表され
る化合物、及び、ポリリン酸アンモニウム類が好まし
く、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アン
モニウム類がより好ましい。
【0061】
【化1】
【0062】式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又
は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキ
シル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6
〜16のアリールオキシ基を表す。
【0063】一般式(1)で表される化合物としては、
例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチ
ル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プ
ロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロ
ピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメ
チル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニ
ルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメ
チルホスフィン酸、、メチルエチルホスフィン酸、メチ
ルプロピルホスフィン般、ジエチルホスフィン酸、ジオ
クチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチル
フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ
る。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではある
が、高難燃性の点において好ましい。
【0064】ポリリン酸アンモニウム類としては、特に
限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミ
ン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃
性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アン
モニウムが好適に用いられる。市販品としては、例え
ば、クラリアント社の「EXOLIT AP422」及
び「EXOLIT AP462」、住友化学工業社の
「スミセーフP」等が挙げられる。
【0065】3.1−6 樹脂組成物の製造方法 本発明で用いる樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出
機、二軸押出機、バンパリーミキサー、ニーダーミキサ
ー、二本ロール、らいかい機、遊星式攪拌機等の公知の
混練装置を用いて溶融混練することにより、得ることが
できる。
【0066】3.1−7 樹脂組成物の成形方法 得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出成
形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によりシー
ト状等の熱膨張性耐火層に成形することができる。
【0067】3.1−8 熱膨張性耐火層(C)に粘着
性を付与する方法 また、熱膨張性耐火層(C)として粘着性を有する材料
からなるものを用いると、耐火複合面材を作製する際の
作業性が向上する。粘着性を有するとは、後述する遮炎
層及び/又は開口部補強部材に直接に仮止め固定が可能
となるような性質を有することを意味し、広く粘着性及
び/又は接着性を有することをいう。粘着性を有する材
料としては、ポリウレタン系樹脂、ブチルゴム、ポリブ
テン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、ポリク
ロロプレン、ニトリルゴム、水素添加石油樹脂等か挙げ
られる。
【0068】3.1−9 熱膨張性耐火層(C)に遮音
・制振性能を付与する方法 さらに、熱膨張性耐火層として遮音・制振性能を有する
材料からなるものを用いると、開口部補強部材を通じて
伝播する固体伝播音を低減することができるので好まし
い。遮音・制振性能を有する材料としては、塩基性炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭
酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等
のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸
バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアツシュ等が挙げられる。特に、硫酸
バリウム、炭酸バリウムが効果が顕著である。
【0069】3.1−10 熱膨張性耐火層(C)の体
積膨張倍率 本発明で用いる熱膨張性耐火層は、該耐火層に50kW
/m2の熱量を30分照射したときの体積膨張倍率が、
1.1〜100倍であり、好ましくは5〜50倍であ
る。体積膨張倍率が1.1倍未満では、耐火性能が不十
分であり、100倍を超えると加熱により膨張して形成
された耐火断熱層の強度が低下し、崩れやすくなる。
【0070】3.1−11 熱膨張性耐火層(C)用の
商業製造されているシート及び厚み 本発明で用いることのできる熱膨張性耐火層は、上記の
ように製造したものの他に、例えば、積水化学工業社製
「S耐火シート」(ブチルゴムと熱膨張製黒鉛を含有す
る樹脂組成物からなる自己粘着シート材料:体積膨張倍
率5〜40倍)、3M社製「ファイアバリア FS−1
95AA」(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含
有する樹脂組成物からなるシート材料、体積膨張倍率4
倍)、三井金属塗料社製「メジヒカット シート材」
(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成
物からなるシート材料:体積膨張倍率6倍)等の市販品
も使用可能である。熱膨張性耐火層(C)の厚みは、
0.5〜10mmが好ましく、より好ましくは1〜5m
mである。厚みが、0.5mm未満では、火災のとき膨
張しても充分な断熱性を発現することができず、耐火効
果を十分に得ることができず、10mmを超えると過剰
品質となり耐火効果は変わらず、使用量が多くなるため
経済性が損なわれ、重くなり取り扱いが困難となり好ま
しくない。本発明のコンクリートパネル間仕切り壁材
(A)のランナー部材(B)の表面露出部分へ上記熱膨
張性耐火層(C)を被覆する施工方法としては、特に限
定されず、予めシート化した熱膨張性耐火層(C)を自
己粘着性により開口部補強部材に貼り付けてもよいし、
接着剤により貼り付けてもよい。遮炎層(E)に熱膨張
性耐火層(C)を構成する樹脂組成物をコーター、ラミ
ネーター等により直接貼付けて製造することにより、工
程数を削減することも可能である。
【0071】3.1−12 熱膨張性耐火層(C)の施
工性、及び燃焼残渣の強度改善 また、本発明の熱膨張性耐火層には施工性や燃焼残渣の
強度を改善する目的で、例えば、ラス、金網、アルミ
箔、アルミガラスクロス、布、不織布、樹脂フィルム、
割布、ガラスクロス等からなる燃焼残渣補強材層が積層
されてもよい。
【0072】4.耐火被覆ランナー部材 本発明の耐火被覆ランナー部材とは、軽量鉄骨間仕切り
の軸組のうち、上床の下と、下床の上に設けてコンクリ
ートパネル間仕切り壁材(A)を取付けるための耐火性
横架材であり、ランナー部材(B)の表面に熱膨張性耐
火層(C)が積層されているものである。耐火被覆ラン
ナー部材の基本構造は、上記のものであるが、ランナー
部材(B)の表面積に対する熱膨張性耐火層(C)の表
面積の相違、熱膨張性耐火層(C)の形状の相違、遮炎
層(D)の有無、コンクリートくぎ(E)の有無等によ
り、多数の構造体が考えられるが、代表的なものを以下
に示す。
【0073】4.1 基本型 溝状ランナー部材(B)の両外側面が、同じ面積の熱膨
張性耐火層(C)で積層されているものであり、具体的
には図8に示した。
【0074】4.2 熱膨張性耐火層(C)延長型 熱膨張性耐火層(C)が、溝状ランナー部材(B)の両
外側面に積層されているのみならず、その下辺延長部
は、溝状ランナー部材(B)の下辺より更に下方に延長
されているものであり、具体的には図9に示した。この
延長型は、熱膨張性耐火層(C)の裾がついているの
で、溝状ランナー部材(B)の下辺を、基本型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0075】4.3 熱膨張性耐火層(C)延長折り曲
げ型 溝状ランナー部材(B)の下辺より更に下方に延長され
ている部分の熱膨張性耐火層(C)部分は、溝状ランナ
ー部材(B)の下辺を起点として内側に折り曲げられ、
溝状ランナー部材(B)の下辺の延長面上に存在する熱
膨張性耐火層(C)が、溝状ランナー部材(B)の下辺
より更に下方に延長されているものであり、具体的には
図10に示した。この延長折り曲げ型は、熱膨張性耐火
層(C)の裾がついており、かつ内側に折り曲げられ、
溝状ランナー部材(B)の下辺に直接火炎が当たらない
ので、溝状ランナー部材(B)の下辺を、延長型より火
炎から保護し易い利点がある。
【0076】4.4 遮炎層(D)追加型 熱膨張性耐火層(C)の両外側面に、更に不燃材又は準
不燃材からなる遮炎層(D)が積層されてなるものであ
り、具体的には図11に示した。この遮炎層(D)追加
型は、熱膨張性耐火層(C)のみを使用した場合に比べ
て、更に遮炎層(D)が追加されているので耐火性が更
に改善される利点がある。
【0077】4.5 遮炎層(D)追加折り曲げ型 熱膨張性耐火層(C)の下辺より更に下方に延長されて
いる部分の不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D)部
分は、熱膨張性耐火層(C)の下辺を起点として内側に
折り曲げられ、上記溝状ランナー部材(B)の下辺の延
長面上に存在するものであり、具体的には図12示し
た。この遮炎層(D)追加折り曲げ型は、遮炎層(D)
の裾がついており、かつ内側に折り曲げられ、溝状ラン
ナー部材(B)の下辺に直接火炎が当たらないので、溝
状ランナー部材(B)の下辺を、上記した各型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0078】4.6 熱膨張性耐火層(C)下辺延長部
コンクリートくぎ(E)装着型 熱膨張性耐火層(C)の下辺延長部に、下辺延長部をコ
ンクリートパネル間仕切り壁材(A)に固定するための
コンクリートくぎ(E)が装着されているものであり、
具体的には図13示した。このコンクリートくぎ(E)
装着型は、熱膨張性耐火層(C)が固定されているの
で、火災時に脱落することがなく上記した各型より火炎
から保護し易い利点がある。
【0079】4.7 遮炎層(D)下辺延長部コンクリ
ートくぎ(E)装着型 遮炎層(D)の下辺延長部に、下辺延長部をコンクリー
トパネル間仕切り壁材(A)に固定するためのコンクリ
ートくぎ(E)が装着されているものであり、具体的に
は図14示した。このコンクリートくぎ(E)装着型
は、遮炎層(D)が固定されているので、火災時に脱落
することがなく上記した各型より火炎から保護し易い利
点がある。
【0080】5. 耐火壁材固定構造の組立工法 本発明の耐火壁材固定構造の組立工法は、耐火壁材固定
構造を構成する各部材を工場の製造ライン又は建物建築
現場で順次組み立てる工法、及び建物建築現場でコンク
リートパネル間仕切り壁材(A)と耐火被覆ランナー部
材とを合体させる工法がある。
【0081】5.1 順次組立工法(1) コンクリートパネル間仕切り壁材(A)をランナー部材
(B)に挿入し固定する第1工程、及びランナー部材
(B)の両外側面に熱膨張性耐火層(C)又はそれに更
に遮炎層(D)を追加して積層する第2工程からなるこ
とを特徴とする工法で、具体的には図3に示した。ラン
ナー部材(B)は、最初に上床及び下床に、ボルト−ナ
ット、釘、接着剤等で所定位置に固定する。
【0082】5.2 順次組立工法(2) 上記の第1工程及び第2工程に追加して、更に熱膨張性
耐火層(C)又はそれに更に遮炎層(D)追加した層
を、コンクリートくぎ(E)によってコンクリートパネ
ル間仕切り壁材(A)に固定する第3工程からなること
を特徴とする工法で、具体的には図1に示した。
【0083】5.3 合体工法 建物建築現場でコンクリートパネル間仕切り壁材(A)
と耐火被覆ランナー部材とを合体させる工法である。耐
火被覆ランナー部材は、最初に上床及び下床に、ボルト
−ナット、釘、接着剤等で所定位置に固定する。上記の
コンクリートパネル間仕切り壁材のランナー部材として
は、特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス鋼、アル
ミニウム等が挙げられる。形状としてはコの字、L字断
面等のものがある。上記ランナー部材をコンクリートパ
ネル間仕切り壁材に挟み込むように組み合わせて床材に
設置することで固定する。この様に設置したときランナ
ー部材の側面部分は壁表面に露出するため、火災時に火
炎によって直接曝されたり、高温によって直接加熱され
たりされる。そのため、耐火層で覆う必要がある。本発
明の熱膨張性耐火層は、火災時に熱膨張して耐火断熱層
を形成し、この耐火断熱層によって、ランナー部材の温
度上昇を抑制することができる。
【0084】6.遮炎層(D) 本発明において遮炎層(D)とは、図12の番号4で示
すように、被覆積層した熱膨張性耐火層(C)の加熱面
側に更に積層され、ランナー部材(B)を火災時に保護
し、更に耐火性を増強するものであり、不燃材又は準不
燃材で構成されている。上記不燃材又は準不燃材として
は、例えば、銑板、ステンレス板、亜鉛めっき鋼板、ア
ルミ板、その他の金属板、及び、塩ビ鋼板、カラー鋼板
等更に塗装等の処理が施された金属板、金属箔、アルミ
ガラスクロス並びに、これらの複合板等が用いられる。
上記不燃材又は準不燃材は、単独で用いても、2種以上
を併用してもよい。
【0085】上記不燃材又は準不燃材の中では、表装加
工された金属板、金属箔、アルミガラスクロスが特に好
ましい。表装加工としては、意匠や錆、腐食、耐久性対
策のための塗装等の表面処理、意匠や強度向上のための
エンボス形状、波板形状、溝形状等の賦形処理などが挙
げられる。表装加工された金属板を不燃材又は準不燃材
として用いることにより、ランナー部材の優れた耐火被
覆部材とすることができる。遮炎層の厚みは0.01〜
3mmであることが好ましい。厚みが、0.01mm未
満であると、遮炎機能が不充分であり、3mmを超える
と上記熱膨張性耐火層の膨張を阻害する可能性がある。
不燃材又は準不燃材を積層した耐火被覆構造の製造方法
としては、特に限定されず、例えば、まず、カラー鋼板
の裏面に熱膨張性耐火層を積層した後、エンボス、波
板、溝形状を付与する曲げ加工を行い耐火被覆層とする
方法やランナー部材上に被覆した熱膨張性耐火層の上か
ら被覆する方法等が挙げられる。
【0086】7.コンクリートくぎ(E) 本発明において、コンクリートくぎ(E)とは、図13
の番号6で示すように、ランナー部材(B)の両外側面
に積層されている熱膨張性耐火層(C)や、(C)の両
外側面に積層されている遮炎層(D)をコンクリートパ
ネル間仕切り壁材(A)に固定するためのものである。
【0087】8.補助断熱材 さらに、本発明の耐火被覆ランナー部材は、上記熱膨張
性耐火層(C)の表面、又はランナー部材(B)との間
に補助断熱材が積層されていても良い。補助断熱材とし
ては、けい酸カルシウム板、石こうボード、ロックウー
ル、グラスウール、樹脂発泡体等の断熱効果のあるもの
であれば何でも良いが、200℃に加熱したときにも断
熱性能が保持されるものであるとさらに好ましい。
【0088】9.図面による説明 ここで、熱膨張性耐火層のコンクリートパネル間仕切り
壁材のランナー部材の露出部分への積層の状態の例を図
1〜6に示す。ただし、本発明の被覆構造は図1〜6に
限定されるものではない。例えば、図1は、遮炎層4を
横層した熱膨張性耐火層3を矢印方向にコンクリートパ
ネル間仕切り壁5のランナー部材2の表面露出部分に貼
付被覆する耐火被覆構造の施工方法を模式的に示す斜視
図である。図2は、図1で得られた耐火被覆構造の断面
図である。図3は、コンクリートパネル間仕切り壁5の
ランナー部材2の表面露出部分に熱膨張性耐火層を貼付
被覆した耐火被覆構造の斜視図であり、図4は、図3で
得られた耐火被覆構造の断面図である。図5は、遮炎層
4を積層した熱膨張性耐火層2をコンクリートパネル間
仕切り壁5のランナー部材2の表面露出部分に貼付被覆
しコンクリートくぎ6で固定した状態の断面図である。
また、図6は、コンクリートパネル間仕切り壁5のラン
ナー部材2の表面露出部分に熱膨張性耐火層3を貼付被
覆した状態の断面図である。
【0089】上記のようにして得られた本発明のコンク
リートパネル間仕切り壁のランナー部材の耐火被覆構造
は、火災等の加熱によって熱膨張性耐火材が膨張し、燃
焼残渣が耐火断熱層を形成し、この断熱層によって、ラ
ンナー部材の温度上昇を抑制する。
【0090】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではな
い。なお、使用した材料及び評価方法は、次の通りであ
る。
【0091】1.材料 (1)熱膨張性耐火層 (i)熱膨張性耐火層シートの調整 表1に示した配合量のブチルゴム(エクソン化学社製
「ブチルゴム#065」)、ポリブテン(出光石油化学
社製「ポリブテン100R」)、水素添加石油樹脂(ト
ーネックス社製「エスコレッツ5320」)、エポキシ
樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「ビスフェノールF
型エポキシモノマーE807」)、硬化剤(ジャパンエ
ポキシレジン社製「ジアミン系硬化剤FL052」)、
熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカットGREP−
EG」)、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製
「EXOLIT AP422」)、水酸化アルミニウム
(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)及び炭酸カ
ルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF300」)か
らなる樹脂組成物の配合Aと配合Bをシート化して所定
の厚みの熱膨張性耐火層を作製した。なお、配合Aは、
混練ロールで混練後、熱プレスによって所定の厚みのシ
ートに成形した。また、配合Bは、エポキシモノマーと
硬化剤の混合物を混練ロールで混練後、熱プレスにより
100℃で1時間硬化を行い、所定の厚みのシートに形
成した。
【0092】
【表1】
【0093】(ii)S耐火シート(積水化学工業社
製):ブチルゴムと熱膨張性黒鉛からなる樹脂シート材
料 (iii)メジヒカット(三井金属塗料社製):ウレタ
ン樹脂と熱膨張性黒鉛からなる樹脂シート材料 (iv)ファイアバリア FS−195AA(住友3M
社製):クロロプレンとバーミキュライトからなる樹脂
シート材料
【0094】(2)補助断熱材 (i)石こうボード GB−R(吉野石膏製):12.
5mm厚 (3)遮炎層 (i)カラー鋼板 カラーグリップ(大同鋼板製):
0.3mm厚 (ii)アルミガラスクロス(日本金属箔工業製) (4)燃焼残渣補強材層 (i)ガラスクロス(ユニチカグラスファイバー製)
【0095】2.評価方法 (1)体積膨張倍率:熱膨張性耐火層シートを100m
m×100mmのサイズに切断したサンプルを、内寸1
00mm×100×高さ30mmのステンレス製容器の
底面に配置した後、ATLAS社製コーンカロリメータ
ー「CONE2」を用いて50kW/m2の熱量を熱膨
張性耐火層側に30分間照射して燃焼、膨張(中規模火
災時の燃焼条件に相当)させ、耐火断熱層を形成した。
得られた耐火断熱層の厚みから、下式により厚み方向の
膨張倍率を算出した。その値を体積膨張倍率とした。
(容器の使用によって、膨張は厚み方向のみに限定され
るため、厚み方向の膨張倍率は体積膨張倍率とみなすこ
とができる。) 厚み方向の膨張倍率(倍)=t/t0 ここで、tは膨張後の厚み、t0は膨張前の厚みをそれ
ぞれ示す。
【0096】(2)耐火性能:被覆構造体について、I
SO 834に準拠して耐火試験を行い、60分間加熱
後のALC開口部の補強部材温度を熱電対で測定し、被
覆効果の現れたものを○とした。
【0097】実施例1 層厚み1.5mmの配合Aの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル間仕切り壁のランナー部材に被覆し、さらに
遮炎層として、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図
5に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得
た。その耐火性能の結果を表2に示す。
【0098】実施例2 層厚み2.5mmの配合Bの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル間仕切り壁のランナー部材に被覆し、図6に
示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。そ
の耐火性能の結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】実施例3 アルミガラスクロスを遮炎層兼燃焼残渣補強層として表
面に積層した厚み3mmのS耐火シートをコンクリート
パネル間仕切り壁のランナー部材に被覆し、図6に示す
ようなサイズ1m×lmの耐火被覆構造を得た。その耐
火性能の結果を表2に示す。
【0101】実施例4 層厚み0.7mmの配合A熱膨張性耐火層を、12.5
mm厚の石こうボードの補助断熱材と共にコンクリート
パネル間仕切り壁のランナー部材に被覆し、さらに遮炎
層として、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に
示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。そ
の耐火性能の結果を表2に示す。
【0102】実施例5 層厚み12mmのファイアバリアをコンクリートパネル
間仕切り壁のランナー部材に被覆し、さらに遮炎層とし
て、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に示すよ
うなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火
性能の結果を表2に示す。
【0103】実施例6 層厚み8mmのメジヒカットをコンクリートパネル間仕
切り壁のランナー部材に被覆し、さらに遮炎層として、
0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5に示すような
サイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火性能
の結果を表2に示す。
【0104】実施例7 エポキシ樹脂をプレス成形する際にガラスクロスを挿入
することでシート内部にガラスクロスを積層した熱膨張
性耐火層を作製した。作製した2mm厚の熱膨張性耐火
層をコンクリートパネル壁開口部補強部材に被覆し、図
6に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得
た。その耐火性能の結果を表2に示す。
【0105】比較例1 熱膨張性耐火層を用いない場合の耐火性能を示す。
【0106】比較例2 層厚み25mmのけい酸カルシウム板をコンクリートパ
ネル間仕切り壁のランナー部材に被覆し、図6に示すよ
うなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火
性能の結果を表2に示す。耐火性能は、実施例と同じよ
うな水平であるか、被覆総厚みが25mm以上であり、
実用的に不向きであった。
【0107】表2から明らかなように、実施例1〜7に
示す本発明の耐火被覆構造は、比較例1の耐火層を全く
被覆しない状態に比べ、補強部材の表面温度を大幅に下
げることができる優れた耐火性能を示し、さらに、比較
例2のけい酸カルシウム板等の従来品に比較して大幅に
厚みを薄くすることができることがわかる。
【0108】
【発明の効果】本発明のコンクリートパネル間仕切り壁
ランナー部材の耐火壁材固定構造は、熱膨張性耐火シー
トをランナー部材の表面に積層することで耐火性能を付
与するため、厚みが薄く、施工が簡易なランナー部材の
耐火壁材固定構造を提供できる。そのため、現場での作
業性や室内空間の確保性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐火壁材固定構造の施工方法の一例を
示す斜視図である。
【図2】図1の耐火壁材固定構造を含む状態の断面図で
ある。
【図3】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
斜視図である。
【図4】図3の耐火壁材固定構造を含む状態の断面図で
ある。
【図5】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
断面図である。
【図6】本発明の耐火壁材固定構造の施工の一例を示す
断面図である。
【図7】本発明のランナー部材(B)の一例を示す断面
図である。
【図8】本発明の耐火被覆ランナー部材の一例を示す断
面図である。
【図9】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を示
す断面図である。
【図10】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図11】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図12】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図13】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【図14】本発明の耐火被覆ランナー部材の他の一例を
示す断面図である。
【符号の説明】 1 床材 2 ランナー部材(B) 3 熱膨張性耐火層(C) 4 不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D) 5 コンクリート間仕切り壁(A) 6 コンクリートくぎ(E)

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートパネル間仕切り璧材(A)
    を固定するランナー部材(B)の表面に熱膨張性耐火層
    (C)を積層してなる耐火被覆ランナー部材であって、 熱膨張性耐火層(C)が、熱膨張性無機化合物を含有す
    る樹脂組成物からなり、かつ、50kW/m2の加熱条
    件下で30分間加熱したときの体積膨張倍率が、1.1
    〜100倍であることを特徴とすることを特徴とする耐
    火被覆ランナー部材。
  2. 【請求項2】 熱膨張性耐火層(C)が、熱可塑性樹脂
    及び/又はゴム物質に、熱膨張性無機化合物及び無機充
    填材を配合してなる樹脂組成物からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の耐火被覆ランナー部材。
  3. 【請求項3】 熱膨張性耐火層(C)が、エポキシ樹脂
    に、熱膨張性無機化合物及び無機充填材を配合してなる
    樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の
    耐火被覆ランナー部材。
  4. 【請求項4】 樹脂組成物に、更に難燃化剤を配合する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の耐火被覆ラン
    ナー部材。
  5. 【請求項5】 熱膨張性耐火層(C)に配合される熱膨
    張性無機化合物が、熱膨張性黒鉛であることを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれか1項に記載の耐火被覆ランナ
    ー部材。
  6. 【請求項6】 熱膨張性耐火層(C)に配合される熱膨
    張性無機化合物が、熱膨張性黒鉛であることを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれか1項に記載の耐火被覆ランナ
    ー部材。
  7. 【請求項7】 熱膨張性耐火層(C)の両外側面に、さ
    らに不燃材又は準不燃材からなる遮炎層(D)を積層す
    ることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆ランナー
    部材。
  8. 【請求項8】 遮炎層(D)を構成する不燃材又は準不
    燃材が、金属板、金属箔又はアルミガラスクロスから選
    ばれる1種以上の材料であることを特徴とする請求項7
    に記載の耐火被覆ランナー部材。
  9. 【請求項9】 熱膨張性耐火層(C)の表面又は内部
    に、さらに不燃材又は準不燃材からなる燃焼残渣補強材
    層を積層することを特徴とする請求項1〜8のいずれか
    1項に記載の耐火被覆ランナー部材。
  10. 【請求項10】 ランナー部材(B)が、長方形金属板
    を断面形状がコ字状、U字状又はL字状になるように折
    り曲げ加工して作ったアングル状であることを特徴とす
    る請求項1に記載の耐火被覆ランナー部材。
  11. 【請求項11】 熱膨張性耐火層(C)が、ランナー部
    材(B)の両外側面に積層されているのみならず、ラン
    ナー部材(B)の下辺より更に下方に延長され下辺延長
    部を形成することを特徴とする請求項1に記載の耐火被
    覆ランナー部材。
  12. 【請求項12】 ランナー部材(B)の下辺より更に下
    方に延長されている部分の熱膨張性耐火層(C)部分
    は、ランナー部材(B)の下辺を起点として内側に折り
    曲げられ、ランナー部材(B)の下辺の延長面上に存在
    することを特徴とする請求項11に記載の耐火被覆ラン
    ナー部材。
  13. 【請求項13】 熱膨張性耐火層(C)の下辺より更に
    下方に延長されている部分の不燃材又は準不燃材からな
    る遮炎層(E)部分は、熱膨張性耐火層(C)の下辺を
    起点として内側に折り曲げられ、ランナー部材(B)の
    下辺の延長面上に存在することを特徴とする請求項11
    に記載の耐火被覆ランナー部材。
  14. 【請求項14】 熱膨張性耐火層(C)の下辺延長部
    に、下辺延長部をコンクリートパネル間仕切り璧材に固
    定するためのコンクリートくぎ(F)が装着されている
    ことを特徴とする請求項12に記載の耐火被覆ランナー
    部材。
  15. 【請求項15】 不燃材又は準不燃材からなる遮炎層
    (D)の下辺延長部に、下辺延長部をコンクリートパネ
    ル間仕切り璧材(A)に固定するためのコンクリートく
    ぎ(E)が装着されていることを特徴とする請求項13
    に記載の耐火被覆ランナー部材。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    の耐火被覆ランナー部材によって、上記コンクリートパ
    ネル間仕切り璧材(A)が固定されていることを特徴と
    する耐火璧材固定構造。
  17. 【請求項17】 コンクリートパネル間仕切り璧材
    (A)をランナー部材(B)に挿入し固定する第1工
    程、及びランナー部材(B)の両外側面に熱膨張性耐火
    層(C)又はそれに更に遮炎層(E)を追加して積層す
    る第2工程からなることを特徴とする請求項16に記載
    の耐火璧材固定構造の組立工法。
  18. 【請求項18】 さらに熱膨張性耐火層(C)又はそれ
    に更に遮炎層(D)追加した層を、コンクリートくぎ
    (E)によってコンクリートパネル間仕切り璧材(A)
    に固定する第3工程からなることを特徴とする請求項1
    7に記載の耐火璧材固定構造の組立工法。
JP2001244490A 2001-08-10 2001-08-10 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法 Pending JP2003056098A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001244490A JP2003056098A (ja) 2001-08-10 2001-08-10 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001244490A JP2003056098A (ja) 2001-08-10 2001-08-10 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003056098A true JP2003056098A (ja) 2003-02-26

Family

ID=19074407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001244490A Pending JP2003056098A (ja) 2001-08-10 2001-08-10 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003056098A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107620403A (zh) * 2017-09-21 2018-01-23 南京工业大学 橡胶连接结构的高强木剪力墙
RU196049U1 (ru) * 2019-12-10 2020-02-14 Общество с ограниченной ответственностью "МАЛАИВК" Звукоизолирующий противопожарный узел крепления
JP2020148051A (ja) * 2019-03-14 2020-09-17 日鉄鋼板株式会社 建築パネル、建築パネルユニット、建築パネルの取付構造
KR20210097281A (ko) * 2020-01-30 2021-08-09 주식회사 에스와이테크 화재 시 기밀효과를 갖는 패널 및 이의 제조방법

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000282598A (ja) * 1999-03-31 2000-10-10 Sekisui Chem Co Ltd 建物の耐火構造
JP2000282597A (ja) * 1999-03-31 2000-10-10 Sekisui Chem Co Ltd 耐火被覆鉄骨構造体
JP2000320044A (ja) * 1999-05-13 2000-11-21 Sekisui Chem Co Ltd 防・耐火壁構成体
JP2000345638A (ja) * 1999-03-31 2000-12-12 Sekisui Chem Co Ltd 耐火複合面材、折板外壁及び防・耐火壁構成体
JP2001049760A (ja) * 1999-08-04 2001-02-20 Sekisui Chem Co Ltd 鋼管柱用耐火被覆ユニット、耐火外壁構造及び耐火間仕切り壁構造
JP2001090225A (ja) * 1999-09-22 2001-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 耐火シート及び耐火被覆材
JP2002081147A (ja) * 2000-09-07 2002-03-22 Sekisui Chem Co Ltd 合成耐火被覆方法
JP2002309692A (ja) * 2001-02-08 2002-10-23 Sekisui Chem Co Ltd コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000282598A (ja) * 1999-03-31 2000-10-10 Sekisui Chem Co Ltd 建物の耐火構造
JP2000282597A (ja) * 1999-03-31 2000-10-10 Sekisui Chem Co Ltd 耐火被覆鉄骨構造体
JP2000345638A (ja) * 1999-03-31 2000-12-12 Sekisui Chem Co Ltd 耐火複合面材、折板外壁及び防・耐火壁構成体
JP2000320044A (ja) * 1999-05-13 2000-11-21 Sekisui Chem Co Ltd 防・耐火壁構成体
JP2001049760A (ja) * 1999-08-04 2001-02-20 Sekisui Chem Co Ltd 鋼管柱用耐火被覆ユニット、耐火外壁構造及び耐火間仕切り壁構造
JP2001090225A (ja) * 1999-09-22 2001-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 耐火シート及び耐火被覆材
JP2002081147A (ja) * 2000-09-07 2002-03-22 Sekisui Chem Co Ltd 合成耐火被覆方法
JP2002309692A (ja) * 2001-02-08 2002-10-23 Sekisui Chem Co Ltd コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107620403A (zh) * 2017-09-21 2018-01-23 南京工业大学 橡胶连接结构的高强木剪力墙
JP2020148051A (ja) * 2019-03-14 2020-09-17 日鉄鋼板株式会社 建築パネル、建築パネルユニット、建築パネルの取付構造
JP7273553B2 (ja) 2019-03-14 2023-05-15 日鉄鋼板株式会社 建築パネル、建築パネルユニット、建築パネルの取付構造
RU196049U1 (ru) * 2019-12-10 2020-02-14 Общество с ограниченной ответственностью "МАЛАИВК" Звукоизолирующий противопожарный узел крепления
KR20210097281A (ko) * 2020-01-30 2021-08-09 주식회사 에스와이테크 화재 시 기밀효과를 갖는 패널 및 이의 제조방법
KR102321970B1 (ko) * 2020-01-30 2021-11-04 주식회사 에스와이테크 화재 시 기밀효과를 갖는 패널 및 이의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4908920B2 (ja) 防火措置構造
JPH11323148A (ja) 耐火性シート状成形体及びシート積層体
JP2007332715A (ja) 耐火被覆構造体
JP2002114914A (ja) 耐火性樹脂組成物およびそのシート状成形体
JP4268338B2 (ja) 埋込型ボックスの防耐火構造
JP2001090225A (ja) 耐火シート及び耐火被覆材
JP3673482B2 (ja) 耐火シート並びにそれを用いた耐火鉄骨構造体及び壁用耐火構造体
JP2003293482A (ja) 耐火被覆構造及び該耐火被覆構造の施工方法
JP2002013224A (ja) 鉄骨の耐火被覆方法及び耐火被覆構造
JP2000345638A (ja) 耐火複合面材、折板外壁及び防・耐火壁構成体
JP2003056098A (ja) 耐火被覆ランナー部材、これを用いた耐火壁材固定構造及びその組立工法
JP2002115348A (ja) 耐火性防音床
JP4320108B2 (ja) 壁構造
JP2000054527A (ja) 防火屋根
JP2002309692A (ja) コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造
JP4320110B2 (ja) 防耐火壁構造
JP2000291174A (ja) 防・耐火パネル壁
JPH11141011A (ja) 耐火複合構成体及びその被覆方法
JP4137285B2 (ja) 防・耐火壁構成体
JP2002173994A (ja) 耐火性防音床
JPH11333989A (ja) 耐火性多層シート
JP2000282597A (ja) 耐火被覆鉄骨構造体
JP2000282598A (ja) 建物の耐火構造
JP3782700B2 (ja) 防火換気部構造
JPH11117424A (ja) 耐火鉄骨被覆材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110309

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110810