JP2002309692A - コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造 - Google Patents

コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造

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JP2002309692A
JP2002309692A JP2001192177A JP2001192177A JP2002309692A JP 2002309692 A JP2002309692 A JP 2002309692A JP 2001192177 A JP2001192177 A JP 2001192177A JP 2001192177 A JP2001192177 A JP 2001192177A JP 2002309692 A JP2002309692 A JP 2002309692A
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fire
reinforcing member
heat
panel wall
concrete panel
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JP2001192177A
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Bunji Yamaguchi
文治 山口
Masao Ogasa
眞男 小笠
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚みが薄く、施工が簡易なコンクリートパネ
ル壁材の開口部補強部材の耐火被覆構造の提供。 【解決手段】 コンクリートパネル壁材の開口部補強部
材の表面露出部分に熱膨張性耐火層を積層してなる耐火
被覆構造であって、前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性無
機化合物を含有する樹脂組成物からなり、かつ、50k
W/mの加熱条件下で30分間加熱することによる体
積膨張倍率が1.1〜100倍であることを特徴とする
開口部補強部材の耐火被覆構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートパネ
ル壁材に使用される開口部補強部材の耐火被覆構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物の高層化等にともない、建
築物の構造材として軽量な壁材が用いられるようになっ
てきている。建築物の構造材として用いられる壁材に
は、建設省告示第2999号やJIS A 1304に
より耐火性能基準が定められている。その中で、壁構造
を構成する鋼材に関する加熱試験において、鋼材温度が
基準値以下に保持されることが記載されている。このよ
うな部位としては、コンクリートパネル壁構造を構成す
るランナーや開口部に接する壁材端部を補強する開口部
補強部材等が挙げられる。ランナーについては、はり、
柱と同時にロックウールの吹き付けにより耐火被覆を済
ませてしまうことが可能であるが、開口部補強部材につ
いては、防火ドア等の開口部材を組み付けた後に耐火被
覆を施す必要があるため、別途耐火被覆を施す必要があ
る。
【0003】従来、このような部位に関しては、けい酸
カルシウム板やロックウールボード等の一般的な無機系
の耐火断熱材を被覆することで対応していた。しかしな
がら、所定の断熱性を発現しようとすると、断熱材の厚
みを厚くしなくてはならないために、鋼材型に出っ張り
が生じて外観上問題点があった。さらに、施工上も現場
で所定の大きさに切断した上、耐火接着剤で接着しなく
てはならず、手間がかかるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、厚みが薄く、施工が簡易なコンクリートパネル壁材
の開口部補強部材の耐火被覆構造を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究をすすめた結果、特定の体積膨張
倍率を有する熱膨張性耐火層をコンクリートパネル壁材
の開口部補強部材の表面露出部分に積層することにより
耐火性能に優れ、厚みが薄く、施工性に優れた耐火被覆
構造が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明の第1の発明は、コンク
リートパネル壁材の開口部補強部材の表面露出部分に熱
膨張性耐火層を積層してなる耐火被覆構造であって、前
記熱膨張性耐火層が、熱膨張性無機化合物を含有する樹
脂組成物からなり、かつ、50kW/mの加熱条件下
で30分間加熱することによる体積膨張倍率が1.1〜
100倍であることを特徴とするコンクリートパネル壁
開口部補強部材の耐火被覆構造である。
【0007】また、本発明の第2の発明は、樹脂組成物
が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化
合物、並びに、無機充填材を含有することを特徴とする
第1の発明に記載のコンクリートパネル壁開口部補強部
材の耐火被覆構造である。
【0008】また、本発明の第3の発明は、樹脂組成物
が、エポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び、無機充
填材を含有することを特徴とする第1の発明に記載のコ
ンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造であ
る。
【0009】また、本発明の第4の発明は、熱膨張性無
機化合物が、熱膨張性黒鉛であることを特徴とする第1
〜3のいずれかの発明に記載のコンクリートパネル壁開
口部補強部材の耐火被覆構造である。
【0010】また、本発明の第5の発明は、熱膨張性耐
火層の表面側に、更に不燃材又は準不燃材からなる遮炎
層が積層されてなる第1〜4のいずれかの発明に記載の
コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造で
ある。
【0011】また、本発明の第6の発明は、上記遮炎層
の構成に係る不燃材又は準不燃材が、表装加工された金
属板、金属箔又はアルミガラスクロス等から選ばれる1
種以上の材料であることを特徴とする第5の発明に記載
のコンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造
である。
【0012】また、本発明の第7の発明は、熱膨張性耐
火層の表面又は内部に、不燃又は準不燃材料からなる燃
焼残渣補強材層が積層されていることを特徴とする請求
項1〜6のいずれか1項に記載のコンクリートパネル壁
開口部補強部材の耐火被覆構造である。
【0013】また、本発明の第8の発明は、燃焼残渣補
強材層の構成に係る不燃又は準不燃材料が、ガラスクロ
ス、アルミガラスクロス、ラス、金網、アルミ箔、ノボ
ロイド繊維布、炭素繊維布、不織布、樹脂フィルム又は
割布等であることを特徴とする請求項7に記載のコンク
リートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のコンクリートパネル壁開
口部補強部材の耐火被覆構造は、コンクリートパネル壁
材の開口部補強部材の表面露出部分に熱膨張性耐火層を
積層してなることを特徴とするものであり、その構成に
ついて以下に詳細に説明する。
【0015】(1)熱膨張性耐火層 本発明で用いる熱膨張性耐火層は、熱膨張性無機化合物
を含有する樹脂組成物からなり、加熱によって膨張し、
耐火断熱層を形成しうるものであり、50kW/m
加熱条件下で30分加熱した後の体積膨張倍率が1.1
〜100倍であるものであれば、どのようなものであっ
てもよいが、次のような熱可塑性樹脂及び/又はゴム物
質、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材からなる
樹脂組成物、エポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及
び、無機充填材からなる樹脂組成物からなるものが好ま
しい。このような樹脂組成物は、熱膨張により耐火断熱
層を形成して充分な断熱性能を発揮し、シート状に成形
できるので取り扱い性に優れる。
【0016】熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質として
は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン系樹
脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、
ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、ブチルゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、
ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴ
ム、水素添加石油樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑
性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いても、2種以
上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性
等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものを
ベース樹脂として用いても良い。
【0017】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の中
でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高
く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、
加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。ま
た、これらの樹脂の中で、柔軟でゴム的性質を持ってい
るものが好ましく、無機充填剤を高充填することが可能
であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなも
のとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得る
ためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用
いられる。
【0018】上記ポリエチレン系樹脂としては、例え
ば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα
−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの
(共)重合体の混合物が挙げられる。
【0019】エチレンを主成分とするエチレンと他のα
−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとし
ては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げ
られる。また、エチレンとα−オレフィン以外のモノマ
ーとの共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0020】上記エチレン単独重合体又はエチレンと他
のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー・
ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメ
タロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙
げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン
化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好
ましい。
【0021】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に
は、更に、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を
阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよく、熱可
塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期に
ついては、特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑
性樹脂及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン
化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際に同時に
架橋や変性を行ってもよい。また、熱可塑性樹脂及び/
又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性して
もよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよ
い。
【0022】上記の架橋方法については特に限定され
ず、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質について通常行わ
れる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用
する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられ
る。
【0023】本発明で用いる樹脂組成物におけるエポキ
シ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポ
キシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹
脂である。
【0024】エポキシ基をもつモノマーとしては、例え
ば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステ
ル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが挙
げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用い
てもよい。
【0025】2官能のグリシジルエーテル型のモノマー
としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプ
ロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、
1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン
型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添
ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
【0026】グリシジルエステル型としては、例えば、
ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル
酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマ
ーが挙げられる。
【0027】多官能のグリシジルエーテル型としては、
例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール
型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン−フェ
ノール型等のモノマーが挙げられる。
【0028】また、硬化剤としては、重付加型又は触媒
型のものが用いられる。重付加型としては、例えば、ポ
リアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタ
ン等が挙げられ、触媒型としては、例えば、3級アミ
ン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。こ
れらエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知
の方法により行うことができる。
【0029】上記エポキシ樹脂には、本発明の効果を損
なわない範囲で、他の樹脂が添加されてもよい。他の樹
脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現さ
れなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対して5
00重量部以下が好ましい。また、エポキシ樹脂には、
可撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓
性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有
するシートの成形が可能となり、耐火性能が要求される
様々な部位に適応可能となる。
【0030】本発明で用いる熱膨張性無機化合物は、加
熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する
機能を有し、加熱時に膨張するものであれば、特に限定
はないが、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バー
ミキュライト、ホウ砂等が挙げられる。これらの中で
も、発泡開始温度が低いことから中和された熱膨張性黒
鉛、バーミキュライトが好ましい。
【0031】熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であ
り、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッ
シュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等
の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガ
ン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処
理することにより生成するグラファイト層間化合物であ
り、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であ
る。
【0032】上記のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和するこ
とによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0033】上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が
挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、
カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸
化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0034】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20メッシュを通過し、かつ、200メッシュを通
過しないものが好ましい。粒度が200メッシュより小
さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層
が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒
鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練
する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられな
い。
【0035】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGRE
P−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFG
UARD」等が挙げられる。
【0036】本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配
合するのが好ましい。一般的に無機充填剤は、骨材的な
働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に
寄与すると考えられる。
【0037】本発明で用いる無機充填剤としては、特に
限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化
錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭
酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等
のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸
バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアッシュ等が挙げられる。これらは、
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、
含水無機物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、
周期律表IIb族金属の金属炭酸塩が好ましく、より好
ましくは、含水無機物と金属炭酸塩の混合物である。含
水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0038】含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水
のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱
性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存
し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する
点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミ
ニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、
併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より
効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用す
ることが好ましい。
【0039】金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等の
アルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;
炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好ま
しい。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、後述の難燃剤で
あるリン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特
に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用
した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨
材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成す
る。
【0040】無機充填剤の粒径としては、0.5〜10
0μmのものが使用できる。無機充填剤は、添加量が少
ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の
小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集
が起こり、分散性が悪くなる。無機充填剤の添加量が多
いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高
くなり成型性が低下するが、粒径を大きくすることで樹
脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径
の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超える
と、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下す
る。より好ましくは、約1〜50μmである。
【0041】また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小
さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、
組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力
学的性能を維持したまま、高充填化することが可能とな
る。
【0042】無機充填剤の具体的な市販品の例として
は、例えば、水酸化アルミニウムである粒径1μmの
「ハイジライト H−42M」(昭和電工社製)、粒径
18μmの「ハイジライト H−31」(昭和電工社
製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの
「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8
μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられ
る。
【0043】本発明の樹脂組成物における熱膨張性無機
化合物と無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部
に対して、両者の合計量50〜900重量部が好まし
く、より好ましくは100〜500重量部である。ま
た、熱膨張性無機化合物の配合量は、樹脂成分100重
量部に対して、5〜400重量部が好ましく、より好ま
しくは20〜200重量部であり、無機充填剤の配合量
は、樹脂成分100重量部に対して、50〜500重量
部が好ましく、より好ましくは100〜300重量部で
ある。
【0044】熱膨張性無機化合物の配合量が5重量部未
満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能
が得られない。一方、熱膨張性無機化合物の配合量が4
00重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品
としての強度が得られない。
【0045】無機充填剤の配合量が50重量部未満であ
ると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱
層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、
難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が500重量
部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するた
め、粘着力が不足する。
【0046】本発明においては、上記樹脂組成物には、
樹脂組成物の物性を損なわない範囲で必要に応じて、難
燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定
剤、架橋剤、滑剤、軟化材、顔料、粘着付与樹脂等が添
加されてもよい。
【0047】上記難燃剤としては、火災時の有毒ガス発
生の観点からリン化合物が好ましく、例えば、赤リン;
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニル
ホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の
各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸
アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等
が挙げられる。これらのリン化合物は、単独で用いて
も、2種以上を併用して用いてもよい。これらのうち、
耐火性の観点から、赤リン、下記一般式(1)で表され
る化合物、及び、ポリリン酸アンモニウム類が好まし
く、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アン
モニウム類がより好ましい。
【0048】
【化1】
【0049】式(1)中、R及びRは、水素、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又
は、炭素数6〜16のアリール基を表す。Rは、水酸
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキ
シル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6
〜16のアリールオキシ基を表す。
【0050】一般式(1)で表される化合物としては、
例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチ
ル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プ
ロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロ
ピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメ
チル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニ
ルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメ
チルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチル
プロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオク
チルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフ
ェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ
る。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではある
が、高難燃性の点において好ましい。
【0051】ポリリン酸アンモニウム類としては、特に
限定されず、例えば、ポリリリン酸アンモニウム、メラ
ミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難
燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸ア
ンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例え
ば、クラリアント社の「EXOLIT AP422」及
び「EXOLIT AP462」、住友化学工業社の
「スミセーフP」等が挙げられる。
【0052】本発明で用いる樹脂組成物は、上記各成分
を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニー
ダーミキサー、二本ロール、らいかい機、遊星式攪拌機
等の公知の混練装置を用いて溶融混練することにより、
得ることができる。
【0053】得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成
形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法
によりシート状等の熱膨張性耐火層に成形することがで
きる。
【0054】また、熱膨張性耐火層として粘着性を有す
る材料からなるものを用いると、耐火複合面材を作製す
る際の作業性が向上する。粘着性を有するとは、後述す
る遮炎層及び/又は開口部補強部材に直接に仮止め固定
が可能となるような性質を有することを意味し、広く粘
着性及び/又は接着性を有することをいう。
【0055】さらに、熱膨張性耐火層として遮音・制振
性能を有する材料からなるものを用いると、開口部補強
部材を通じて伝播する固体伝播音を低減することができ
るので好ましい。
【0056】本発明で用いる熱膨張性耐火層は、該耐火
層に50kW/mの熱量を30分間照射したときの体
積膨張倍率が、1.1〜100倍であり、好ましくは5
〜50倍である。体積膨張倍率が1.1倍未満では、耐
火性能が不十分であり、100倍を超えると加熱により
膨張して形成された耐火断熱層の強度が低下し、崩れや
すくなる。
【0057】本発明で用いることのできる熱膨張性耐火
層は、上記のように製造したものの他に、例えば、積水
化学工業社製「S耐火シート」(ブチルゴムと熱膨張製
黒鉛を含有する樹脂組成物からなる自己粘着シート材
料:体積膨張倍率5〜40倍)、3M社製「ファイアバ
リア FS−195AA」(クロロプレンゴムとバーミ
キュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、
体積膨張倍率4倍)、三井金属塗料社製「メジヒカット
シート材」(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有
する樹脂組成物からなるシート材料:体積膨張倍率6
倍)等の市販品も使用可能である。
【0058】また、本発明の熱膨張性耐火層には、熱膨
張性耐火層の片面には施工性や燃焼残渣の強度を改善す
る目的で、例えば、ガラスクロス、アルミガラスクロ
ス、ラス、金網、アルミ箔、ノボロイド繊維(フェノー
ル樹脂を繊維化した後,架橋処理し、分子構造を3次元
化したもの)布、炭素繊維布、不織布、樹脂フィルム、
割布等からなる燃焼残渣補強材層が積層されてもよい。
【0059】(2)耐火被覆構造 本発明の耐火被覆構造は、上記熱膨張性耐火層をコンク
リートパネル壁材の開口部補強材の表面露出部分に積層
してなる構造体である。
【0060】上記のコンクリートパネル壁材としては,
特に限定されず,例えば,プレキャストコンクリート
(PC)、オートクレーブドライコンクリート(AL
C)、軽量発泡コンクリート等が挙げられる。
【0061】上記のコンクリートパネル壁材の開口部補
強材としては、特に限定されず、例えば、鉄、ステンレ
ス鋼、アルミニウム等が挙げられる。コンクリートパネ
ル壁同士、コンクリートパネル壁と開口部建具枠とを接
合し、その間をモルタル等で埋めもどすと一部補強材の
表面が露出するようになる。該表面露出部分は、火災時
に火炎によって直接曝されたり、高温によって直接加熱
されたりされるので、その部分を耐火層で覆う必要があ
る。本発明の熱膨張性耐火層は、火災時に熱膨張して耐
火断熱層を形成し、この耐火断熱層によって、開口部補
強材の温度上昇を抑制することができる。
【0062】また、本発明の開口部補強部材の耐火被覆
構造は、被覆積層した熱膨張性耐火層の加熱面側に更に
不燃材又は準不燃材からなる遮炎層を積層することが好
ましい。
【0063】上記不燃材又は準不燃材としては、例えば
鉄板、ステンレス板、亜鉛めっき鋼板、アルミ板、その
他の金属板、及び、塩ビ鋼板、カラー鋼板等更に塗装等
の処理が施された金属板、並びに、これらの複合板等が
用いられる。上記不燃材又は準不燃材は、単独で用いて
も、2種以上を併用してもよい。
【0064】上記不燃材又は準不燃材の中では、表装加
工された金属板、金属箔、アルミガラスクロスが特に好
ましい。表装加工としては、錆、腐食、耐久性対策のた
めのメッキ、塗装等の表面処理、意匠や強度向上のため
のエンボス形状、波板形状、溝形状等の賦形処理などが
挙げられる。表装加工された金属板を不燃材又は準不燃
材として用いることにより、開口部補強部材の優れた耐
火被覆部材とすることができる。
【0065】遮炎層の厚みは0.1〜3mmであること
が好ましい。厚みが、0.1mm未満であると、遮炎機
能が不充分であり、3mmを超えると上記熱膨張性耐火
層の膨張を阻害する可能性がある。
【0066】不燃材又は準不燃材を積層した耐火被覆構
造の製造方法としては、特に限定されず、例えば、ま
ず、カラー鋼板の裏面に熱膨張性耐火層を積層した後、
エンボス、波板、溝形状を付与する曲げ加工を行い耐火
被覆層とする方法や補強部材上に被覆した熱膨張性耐火
層の上から被覆する方法等が挙げられる。
【0067】さらに、本発明の開口部補強部材の耐火被
覆構造は、上記熱膨張性耐火層の表面又は開口部補強部
材との間に補助断熱材が積層されていても良い。補助断
熱材としては、けい酸カルシウム板、石こうボード、ロ
ックウール、グラスウール、樹脂発泡体等の断熱効果の
あるものであれば何でも良いが、200℃に加熱したと
きにも断熱性能が保持されるものであるとさらに好まし
い。
【0068】本発明のコンクリートパネル壁材の開口部
補強材の表面露出部分へ上記熱膨張性耐火層を被覆する
施工方法としては、特に限定されず、予めシート化した
熱膨張性耐火層を自己粘着性により開口部補強部材に貼
り付けてもよいし、接着剤により貼り付けてもよい。遮
炎層に熱膨張性耐火層を構成する樹脂組成物をコータ
ー、ラミネーター等により直接貼付けて製造することに
より、工程数を削減することも可能である。
【0069】ここで、熱膨張性耐火層のコンクリートパ
ネル壁材の開口部補強材の表面露出部分への積層の状態
の例を図1〜8に示す。ただし、本発明の被覆構造は図
1〜8に限定されるものではない。
【0070】例えば、図1は、遮炎層4を積層した熱膨
張性耐火層3を矢印方向にコンクリートパネル壁1の開
口部補強材2の表面露出部分に貼付被覆する耐火被覆構
造の施工方法を模式的に示す斜視図である。図2は、図
1で得られた耐火被覆構造と開口部建具枠6と補強部材
間2を固定具7で固定し、その間をモルタル5で埋めも
どした状態の断面図である。図3は、コンクリートパネ
ル壁1の開口部補強材2の表面露出部分に熱膨張性耐火
層3を貼付被覆した耐火被覆構造の斜視図であり、図4
は、図3で得られた耐火被覆構造と開口部建具枠6と補
強部材間2を固定具7で固定し、その間をモルタル5で
埋めもどした状態の断面図である。図5は、遮炎層4を
積層した熱膨張性耐火層3をコンクリートパネル壁1の
開口部補強材2の表面露出部分に貼付被覆しコンクリー
トパネル壁くぎ8で固定し、他のコンクリートパネル壁
1とつなぎ合わせた間をモルタルで埋めもどした状態の
側面図であり、図6は、図5の断面図である。また、図
7は、コンクリートパネル壁1の開口部補強材2の表面
露出部分に、熱膨張性耐火層又は内部に燃焼残渣補強材
層を積層した熱膨張性耐火層3を貼付被覆し、他のコン
クリートパネル壁1とをつなぎ合わせた間をモルタルで
埋めもどした状態の側面図であり、図8は、図7の断面
図(2種類)である。
【0071】上記のようにして得られた本発明のコンク
リートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造は、火災
等の加熱によって熱膨張性耐火材が膨張し、燃焼残渣が
耐火断熱層を形成し、この断熱層によって、開口部補強
部材の温度上昇を抑制する。
【0072】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではな
い。なお、使用した材料及び評価方法は、次の通りであ
る。
【0073】1.材料 (1)熱膨張性耐火層 (i)熱膨張性耐火層シートの調整 表1に示した配合量のブチルゴム(エクソン化学社製
「ブチルゴム#065」)、ポリブテン(出光石油化学
社製「ポリブテン100R」)、水素添加石油樹脂(ト
ーネックス社製「エスコレッツ5320」)、エポキシ
樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「ビスフェノールF
型エポキシモノマーE807」)、硬化剤(ジャパンエ
ポキシレジン社製「ジアミン系硬化剤FL052」)、
熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカットGREP−
EG」)、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製
「EXOLIT AP422」)、水酸化アルミニウム
(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)及び炭酸カ
ルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF300」)か
らなる樹脂組成物の配合Aと配合Bをシート化して所定
の厚みの熱膨張性耐火層を作製した。なお、配合Aは、
混練ロールで混練後、熱プレスによって所定厚みのシー
トに成形した。また、配合Bは、エポキシモノマーと硬
化剤の混合物を混練ロールで混練後、熱プレスにより1
00℃で1時間硬化を行い、所定厚みのシートに成形し
た。
【0074】
【表1】
【0075】(ii)S耐火シート(積水化学工業社
製):ブチルゴムと熱膨張性黒鉛からなる樹脂シート材
料 (iii)メジヒカット(三井金属塗料社製):ウレタ
ン樹脂と熱膨張製黒鉛からなる樹脂シート材料 (iv)ファイアバリア FS−195AA(住友3M
社製):クロロプレンとバーミキュライトからなる樹脂
シート材料
【0076】(2)補助断熱材 (i)石こうボード GB−R(吉野石膏製):12.
5mm厚 (3)遮炎層 (i)カラー鋼板 カラーグリップ(大同鋼板製):
0.3mm厚 (ii)アルミガラスクロス(日本金属箔工業製) (4)燃焼残渣補強材層 (i)ガラスクロス(ユニチカガラスファイバー製)
【0077】2.評価方法 (1)体積膨張倍率:熱膨張性耐火層シートを100m
m×100mmのサイズに切断したサンプルを、内寸1
00mm×100mm×高さ30mmのステンレス製容
器の底面に配置した後、ATLAS社製コーンカロリメ
ーター「CONE2」を用いて50kW/mの熱量を
熱膨張性耐火層側に30分間照射して燃焼、膨張(中規
模火災時の燃焼条件に相当)させ、耐火断熱層を形成し
た。得られた耐火断熱層の厚みから、下式により厚み方
向の膨張倍率を算出した。その値を体積膨張倍率とし
た。(容器の使用によって、膨張は厚み方向のみに限定
されるため、厚み方向の膨張倍率は体積膨張倍率とみな
すことができる。) 厚み方向の膨張倍率(倍)=t/t ここで、tは膨張後の厚み、tは膨張前の厚みをそれ
ぞれ示す。
【0078】(2)耐火性能:被覆構造体について、I
SO 834に準拠して耐火試験を行い、60分間加熱
後のコンクリートパネル壁開口部の補強部材温度を熱電
対で測定し、被覆効果の現れたものを〇とした。
【0079】実施例1 層厚み1.5mmの配合Aの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル壁開口部補強部材に被覆し、さらに遮炎層と
して、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5及び6
に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。
その耐火性能の結果を表2に示す。
【0080】実施例2 層厚み2.5mmの配合Bの熱膨張性耐火層をコンクリ
ートパネル壁開口部補強部材に被覆し、図7及び図8
(a)に示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を
得た。その耐火性能の結果を表2に示す。
【0081】実施例3 アルミガラスクロスを基材とする積層された層厚み5m
mのS耐火シートをコンクリートパネル壁開口部補強部
材に被覆し、図3及び4に示すようなサイズ1m×1m
の耐火被覆構造を得た。その耐火性能の結果を表2に示
す。
【0082】実施例4 層厚み1.5mmの配合A熱膨張性耐火層を、12.5
mm厚の石こうボードの補助断熱材と共にコンクリート
パネル壁開口部補強部材に被覆し、さらに遮炎層とし
て、0.3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5及び6に
示すようなサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。そ
の耐火性能の結果を表2に示す。
【0083】実施例5 層厚み12mmのファイアバリアをコンクリートパネル
壁開口部補強部材に被覆し、さらに遮炎層として、0.
3mm厚のカラー鋼板を被覆し、図5及び6に示すよう
なサイズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火性
能の結果を表2に示す。
【0084】実施例6 層厚み8mmのメジヒカットをコンクリートパネル壁開
口部補強部材に被覆し、さらに遮炎層として、0.3m
m厚のカラー鋼板を被覆し、図5及び6に示すようなサ
イズ1m×1mの耐火被覆構造を得た。その耐火性能の
結果を表2に示す。
【0085】実施例7 エポキシ樹脂をプレス成形するにガラスクロスを挿入
することでシート内部にガラスクロスを積層した熱膨張
性耐火層を作製した。作成した2mm厚の熱膨張性耐火
層をコンクリートパネル壁開口部補強部材に被覆し、図
7及び図8(b)に示すようなサイズ1m×1mの耐火
被覆構造を得た。その耐火性能の結果を表2に示す。
【0086】比較例1 熱膨張性耐火層を用いない場合の耐火性能を示す。
【0087】比較例2 層厚み25mmのけい酸カルシウム板をコンクリートパ
ネル壁開口部補強部材に被覆し、サイズ1m×1mの耐
火被覆構造を得た。その耐火性能の結果を表2に示す。
耐火性能は、実施例と同じような水準であるが、被覆総
厚みが25mm以上であり、実用的に不向きであった。
【0088】
【表2】
【0089】表2から明らかなように、実施例1〜6に
示す本発明の耐火被覆構造は、比較例1の耐火層を全く
被覆しない状態に比べ、補強部材の表面温度を大幅に下
げることができる優れた耐火性能を示し、さらに、比較
例2のけい酸カルシウム板等の従来品に比較して大幅に
厚みを薄くすることができることがわかる。
【0090】
【発明の効果】本発明のコンクリートパネル壁開口部補
強部材の耐火被覆構造は、熱膨張性耐火シートを開口部
補強材の表面に積層することで耐火性能を付与するた
め、厚みが薄く、施工が簡易な開口部補強部材の耐火被
覆構造を提供できる。そのため、現場での作業性や室内
空間の確保性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐火被覆構造の施工方法の例を示す斜
視図である。
【図2】図1の耐火被覆構造を含む状態の断面図であ
る。
【図3】本発明の耐火被覆構造の施工の例を示す斜視図
である。
【図4】図2の耐火被覆構造を含む状態の断面図であ
る。
【図5】本発明の耐火被覆構造の施工の例を示す側面図
である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】本発明の耐火被覆構造の施工の例を示す側面図
である。
【図8】図7の断面図(2種類)である。
【符号の説明】
1 コンクリートパネル壁材 2 開口部補強材 3 熱膨張性耐火層 4 遮炎層 5 モルタル 6 開口部建具枠 7 固定具 8 コンクリートパネル壁くぎ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 2/56 605 E04B 2/56 605A 645 645G Fターム(参考) 2E001 DE01 DE04 FA03 GA22 GA23 GA28 GA32 GA42 HB01 HB04 JA06 JA18 JA22 JA29 JD02 JD04 JD08 LA04 2E002 EC01 FB03 FB12 FB22 MA36

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートパネル壁材の開口部補強部
    材の表面露出部分に熱膨張性耐火層を積層してなる耐火
    被覆構造であって、前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性無
    機化合物を含有する樹脂組成物からなり、かつ、50k
    W/mの加熱条件下で30分間加熱することによる体
    積膨張倍率が1.1〜100倍であることを特徴とする
    コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造。
  2. 【請求項2】 樹脂組成物が、熱可塑性樹脂及び/又は
    ゴム物質、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材を
    含有することを特徴とする請求項1に記載のコンクリー
    トパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物が、エポキシ樹脂、熱膨張性
    無機化合物、及び、無機充填材を含有することを特徴と
    する請求項1に記載のコンクリートパネル壁開口部補強
    部材の耐火被覆構造。
  4. 【請求項4】 熱膨張性無機化合物が、熱膨張性黒鉛で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のコンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構
    造。
  5. 【請求項5】 熱膨張性耐火層の表面側に、更に不燃材
    又は準不燃材からなる遮炎層が積層されてなる請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のコンクリートパネル壁開口
    部補強部材の耐火被覆構造。
  6. 【請求項6】 不燃材又は準不燃材が、表装加工された
    金属板、金属箔又はアルミガラスクロスから選ばれる1
    種以上の材料であることを特徴とする請求項5に記載の
    コンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造。
  7. 【請求項7】 熱膨張性耐火層の表面又は内部に、不燃
    又は準不燃材料からなる燃焼残渣補強材層が積層されて
    いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載のコンクリートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構
    造。
  8. 【請求項8】 燃焼残渣補強材層の構成に係る不燃又は
    準不燃材料が、ガラスクロス、アルミガラスクロス、ラ
    ス、金網、アルミ箔、ノボロイド繊維布、炭素繊維布、
    不織布、樹脂フィルム又は割布から選ばれる1種以上の
    材料であることを特徴とする請求項7に記載のコンクリ
    ートパネル壁開口部補強部材の耐火被覆構造。
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