JP4065634B2 - 建築物の耐火構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の鉄骨構造体を構成する鉄骨梁や鉄骨柱の耐火構造に関し、特に、壁内の結露や、結露に伴うカビの発生を防止するため、換気を可能とした建築物の耐火構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、3階建て以上の集合住宅や、病院などの特殊建築物は、建築基準法に基づいて所定の耐火性能を有する耐火構造でなければならない。例えば、鉄骨構造体を主要構造部とする建築物に耐火性能を付与するため、図8に示すように、鉄骨構造体の鉄骨柱Cや鉄骨梁Gを耐火被覆材Fによって被覆することにより、耐火被覆構造に形成している。
【0003】
また、鉄骨構造体の鉄骨柱Cや鉄骨梁Gに耐火性能を確保する必要がある建築物においては、厚みが100mmの軽量気泡コンクリート板などの耐火性の高い外壁材や床材が使用されている。このような外壁材や床材が接する鉄骨柱Cや鉄骨梁Gの少なくとも一面は、耐火性の高い外壁材Wや床材B(図9および図10参照)によって保護されているので、外壁材Wや床材Bを一つの耐火被覆材と見做して他の耐火被覆材Fとの合成耐火被覆構造とすることが認められている。このような合成耐火被覆構造を採用すると、鉄骨柱Cや鉄骨梁Gの一面乃至三面を被覆する必要がなくなるので、大きな経済的効果が得られるばかりでなく、作業性が大きく改善されるという利点がある。
【0004】
一方、外壁材の内面側には、断熱材層、防湿層および内装下地材からなる内壁が外壁材との間に一定の空間を形成して建て込まれており、この空間を通して空気が流通することで内壁内部に結露することによるカビの発生や腐食を防止し、建築物の耐久性を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した外壁材と耐火被覆材からなる鉄骨柱や鉄骨梁の合成耐火被覆構造では、外壁材と耐火被覆材は、鉄骨柱や鉄骨梁の内部に火炎が侵入しないように隙間なく取り付ける必要があるため、外壁材と内壁間に形成される換気通路が遮断され、十分な換気を確保することができないという問題があった。
【0006】
なお、特開平6−32664号公報に記載されるように、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライト、ロックウールなどの無機成分を混合した耐火被覆材料を鉄骨構造体の鉄骨梁や鉄骨柱に吹き付けて、あるいは、塗布して鉄骨梁や鉄骨柱の耐火性能を確保するものが知られているが、このような耐火被覆材料は、施工時に現場で吹き付け、あるいは、塗布する必要があることから、作業環境が悪化するとともに、ムラが発生しやすく、ある程度熟練した技能が必要となるため、施工性が低下するという問題がある。また、建築物の外周部に設けられた鉄骨柱や鉄骨梁を被覆する場合、高所作業となり、安全性に難がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、簡単に施工することができ、優れた耐火性能を備えるとともに、換気を確保することのできる建築物の耐火構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鉄骨構造体を構成する鉄骨柱および鉄骨梁と、鉄骨柱または鉄骨梁と設定間隔をおいて取り付けられた耐火性外壁材と、鉄骨柱または鉄骨梁を被覆する耐火被覆材と、耐火性外壁材と耐火被覆材との突き合わせ部に配設された耐火性通気部材と、から構成され、前記耐火性通気部材は、通気路が形成された金属板製通気部材および該通気部材の、耐火性外壁材に面する一面に積層された熱膨張性シートからなり、耐火性通気部材の通気路を通して耐火被覆材の表面側と裏面側が連通されるとともに、熱膨張性シートが加熱により耐火性断熱層を形成して通気路を遮断することを特徴とするものである。
【0009】
この発明によれば、鉄骨柱または鉄骨梁は、耐火性外壁材と、耐火被覆材と、耐火性外壁材と耐火被覆材との突き合わせ部に配設された耐火性通気部材とによって被覆され、合成耐火被覆構造に形成されている。そして、耐火性通気部材の通気路を通して耐火被覆材の表面側と裏面側、すなわち、鉄骨柱または鉄骨梁の一方と他方とが換気される。また、耐火性通気部材の熱膨張シートが加熱により耐火性断熱層を形成することで通気路が遮断される。
【0010】
この結果、鉄骨柱または鉄骨梁は、耐火性外壁材と耐火被覆材と耐火性通気部材によって被覆されているため、鉄骨柱または鉄骨梁に火災による熱が伝わることを確実に防止することができ、また、耐火被覆材および耐火性通気部材によって鉄骨柱または鉄骨梁を被覆するだけの簡単な作業で施工することができる。一方、耐火性通気部材の通気路を通して鉄骨柱または鉄骨梁の一方と他方との換気が可能となり、内壁の内部に結露することによるカビの発生や腐食を防止することが可能となり、建築物の耐久性を高めることができる。
【0011】
本発明の鉄骨柱または鉄骨梁としては、特に限定されず、H形鋼、角鋼管、丸鋼管などが挙げられる。
【0012】
また、耐火性外壁材としては、軽量気泡コンクリート板(ALC板)、プレキャストコンクリート板(PC板)など、従来より用いられているものを採用することができる。
【0013】
一方、耐火被覆材としては、ケイ酸カルシウム板、繊維強化石膏ボード、軽量気泡コンクリート板(ALC板)または押出成型セメント板、セラミック繊維やロックウールなどの耐熱性の高い繊維からなる不織布、金属板に熱膨張性シートが積層されたものなどが挙げられる。
【0014】
ケイ酸カルシウム板の材料としては、通常、ケイ酸カルシウム板として用いられているものであれば限定されず、例えば、ケイ酸カルシウム以外に、無機質繊維、有機質などを含有するものであってもよい。特に、ケイ酸カルシウム75〜89重量%、無機質繊維11重量%以下、有機質6重量%以下を含有するケイ酸カルシウム板が好ましい。
【0015】
ケイ酸カルシウム板の厚みは、25〜50mmが好ましい。25mm未満では、耐火効果を十分に得ることができず、50mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0016】
繊維強化石膏ボード、軽量気泡コンクリート板または押出成型セメント板は、従来より用いられているものを採用することができる。
【0017】
これらの繊維強化石膏ボード、軽量気泡コンクリート板または押出成型セメント板の厚みは、10〜50mmが好ましい。10mm未満では、耐火効果を十分に得ることができず、50mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0018】
また、耐火被覆材として、亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板などの金属板に熱膨張性シートを積層したものを鉄骨柱または鉄骨梁の少なくとも一面に用いてもよい。
【0019】
金属板の厚みは、0.2〜0.6mmが好ましい。0.2mm未満では、耐火効果を十分に得ることができず、0.6mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0020】
熱膨張性シートは、例えば、火災の際に熱を受けて膨張することにより断熱層を形成し、この断熱層によって鉄骨柱または鉄骨梁に熱が伝わるのを防止する。この熱膨張性シートは金属板の内面に積層されるが、必ずしも金属板の内面全体にわたって配置される必要はない。
【0021】
熱膨張性シートは、加熱により膨張して断熱性能を発揮するものであり、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた場合の厚み方向の膨張倍率が1.1〜30倍であることが好ましい。特に、2〜20倍が好ましい。
【0022】
熱膨張性シートの厚みは、0.3〜5.0mmが好ましい。0.3mm未満では、膨張しても十分な断熱性を発揮することができず、5.0mmを超えると、重くなって取り扱いが困難になる。
【0023】
熱膨張性シートは、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、リン化合物および無機充填材を含有する樹脂組成物からなり、膨張により十分な断熱性能を発揮し、シート状に成形でき、取扱性に優れている。
【0024】
熱可塑性樹脂および/またはゴム物質としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ニトリルゴムなどが挙げられる。
【0025】
特に、ポリクロロプレン、塩素化ブチルゴムなどのハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
【0026】
これらの熱可塑性樹脂および/またはゴム物質として例示したものは、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、無機充填材を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0027】
熱可塑性機脂および/またはゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性などの調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0028】
熱可塑性樹脂および/またはゴム物質には、熱膨張性シートの耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。このような架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂および/またはゴム物質に後述のリン化合物や無機充填材などの他の成分を配合してもよく、他の成分を配合する際同時に、または、配合した後に架橋や変性を施してもよい。また、架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂またはゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物などを使用する方法、電子線照射による方法などが挙げられる。
【0029】
リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェートなどの各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類:一般式R3(R2)PO(OR1)で表される化合物などが挙げられる。
【0030】
式中、R1およびR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基または炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0031】
これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類および前記一般式で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用などの点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0032】
赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しないなどの安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたものなどが好適に用いられる。
【0033】
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられるが、取扱性などの点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージユC60」などが挙げられる。
【0034】
一般式R3(R2)PO(OR1)で表される化合物としては、特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルーブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸などが挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点においては好ましい。
【0035】
リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類などの金属酸化物; 水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウムなどのカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。なかでも、含水無機物および金属炭酸塩が好ましい。
【0036】
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点および加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0037】
炭酸カルシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩は、リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0038】
金属炭酸塩の中でも、さらに、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛などの周期律表IIb族金属の炭酸塩が好ましい。
【0039】
一般的に、無機充填材は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。
【0040】
無機充填材は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填材の粒径としては、0.5〜100μmのものが使用でき、より好ましくは、約1〜50μmである。また、粒径の大きい無機充填材と粒径の小さい無機充填材を組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性シートの力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0041】
樹脂組成物には、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、リン化合物および無機充填材の他に、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコールなどが添加されていてもよい。
【0042】
中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイトなどの粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸などの無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素などの強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0043】
このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などで中和することにより、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0044】
脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどが挙げられる。
【0045】
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどの水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
【0046】
中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」などが挙げられる。
【0047】
中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0048】
多価アルコールは、分子中に水酸基を2つ以上有する炭化水素化合物であるが、その炭素数は1〜50が好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、デンプン、セルロースなどが挙げられる。
【0049】
多価アルコールは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
多価アルコールとしては、分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.2〜2.0であるものが好ましく、より好ましくは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニトールなどに代表されるような、〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.7〜1.5のものである。中でも、ペンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いため炭化促進効果が高く、最も好ましいものである。
【0050】
分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2〜2.0の範囲にある多価アルコールは、燃焼時に脱水縮合して効果的に炭化層を形成する。上記比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合よりも炭素鎖の分解が起こり易くなるため、十分な炭化層を形成することができず、2.0を超えると、炭化層の形成には差し支えないが、耐水性が大幅に低下する。耐水性が低下すると、成形直後の樹脂組成物を水冷する際に、多価アルコールが溶出したり、成形体の保管中の湿度によって、多価アルコールがブリードアウトするなどの問題点がある。
【0051】
熱膨張性シートは、25℃での初期のかさ密度が0.8〜2.0g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、1.0〜1.8g/cm3 である。25℃での初期のかさ密度を0.8〜2.0g/cm3 の範囲内とすることによって熱膨張性シートに要求される断熱性、耐火性などの物性を損なわず、しかも、作業性に優れたものとすることができる。
【0052】
25℃における初期のかさ密度が0.8g/cm3 未満であると、樹脂組成物中に十分な量の膨張剤、炭化剤、不燃性充填剤などを添加することができず、加熱後の膨張倍率、残渣量が不十分となり、耐火断熱層を形成することができなくなる。また、25℃における初期のかさ密度が2.0g/cm3 を超えると、樹脂組成物の重量が大きくなりすぎるために、取扱性が低下する。
【0053】
熱膨張性シートは、500℃で1時間加熱したときのかさ密度が、0.05〜0.5g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.3g/cm3 である。500℃で1時間加熱したときのかさ密度が、0.05g/cm3 未満であると、隙間が多すぎるため、膨張時の崩れにより耐火断熱層がその形状を保持することができず、0.5g/cm3 を超えると、膨張倍率が不十分となり、耐火性能を十分に発揮することができず、いずれの場合も耐火断熱層を形成することができなくなる。
【0054】
熱膨張性シートは、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.01〜0.3kcal/m・h・℃であることが好ましい。50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.3kcal/m・h・℃を超えると、断熱性能が不十分であるため、十分な耐火性能を発揮することができず、0.01kcal/m・h・℃未満であるものは、有機物および無機物の混合物では作ることができない。
【0055】
熱膨張性シートは、示差走査熱量計(DSC)により、10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した場合の総吸熱量が、100J/g以上であることが好ましい。100J/g以上であると、温度上昇が遅くなり、断熱性能がより良好となる。
【0056】
熱膨張性シートを構成する樹脂組成物に、樹脂組成物の物性を損なわない範囲で、難然剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂などが添加されてもよい。
【0057】
樹脂組成物は、前述した各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロールなど公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成型、押出成型、カレンダー成型などの従来公知の方法により、熱膨張性シートに成型することができる。
【0058】
なお、熱膨張性シートの片面には、施工性や燃焼残渣強度を改善する目的で基材層が積層されていてもよい。この基材層に用いられる材料としては、例えば、布、不織布、プラスチックフィルム、割布、ラスクロス、アルミ箔、アルミガラスクロスなどが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムである。基材層の厚みは、0.25mm以下が好ましい。
【0059】
基材層が積層された熱膨張性シートは、基材層が積層された面に、ロックウール保温板などの断熱材を積層して用いることができる。
【0060】
熱膨張性シートとして粘着性を有する材料からなるものを用いると、通気部材に装着する際の作業性が向上する。粘着性を有するとは、金属板に仮止め固定が可能となるような性質を有することを意味し、広く粘着性および/または接着性を有することをいう。
【0061】
熱膨張性シートへの粘着性の付与は、例えば、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質に粘着付与剤を添加することにより行うことができる。粘着付与剤としては特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物などが挙げられる。
【0062】
ロックウール保温板としては、特に限定されず、従来ロックウール保温材として用いられるものをシート状に加工して使用することができ、例えば、ニチアス社製「MGフェルト1号」(密度80kg/m3 )などが挙げられる。
【0063】
ロックウール保温板の厚みは、25〜150mmが好ましい。25mm未満では、耐火効果を十分に得ることができず、150mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0064】
ロックウール保温板の密度は、20〜250kg/m3 が好ましく、30〜80kg/m3 がさらに好ましい。
【0065】
耐火性通気部材の通気部材を形成する金属板としては、耐火性の高い鋼板、ステンレス鋼板などが好ましい。また、1種以上の金属板を複数枚積層してもよい。
【0066】
通気部材の金属板の厚みは、0.1〜1.0mmが好ましい。0.1mm未満では、防炎材料として機能しにくく、1.0mmを超えると、重くて取扱性が悪くなる。
【0067】
耐火性通気部材の熱膨張性シートは、前述した熱膨張性シートと同一のものである。
【0068】
ただし、熱膨張性シートは、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の厚み変化が1.1〜30倍であることが好ましい。1.1倍未満では火災時に断熱性を発揮しにくく、通気路を遮断することが困難になり易い。30倍を超えると、膨張残渣がもろく、通気路を遮断したとしても、長時間維持することが困難になり易い。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至図3に本発明の建築物の耐火構造の実施例1を示す。
【0070】
この実施例1の耐火構造は、鉄骨構造体を構成するH形鋼からなる鉄骨柱Cと、該鉄骨柱CにC型チャンネル材(図示せず)を介して50mmの間隔をおいて固定された外壁材W(厚み100mmのALC板)と、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F1(厚み25mmのケイ酸カルシウム板;小野田化学社製)と、外壁材Wと耐火被覆材F1との突き合わせ部に配設された耐火性通気部材1と、から構成されている(図1参照)。
【0071】
耐火性通気部材1は、図2および図3に示すように、断面H字状に形成した通気部材2と、該通気部材2のウエブ21の一面に貼着された熱膨張性シート3とから構成されている。
【0072】
通気部材2は、厚み0.3mmの着色メッキ鋼板を断面コ字状に折曲した単位部材2A,2Bと、これらの単位部材2A,2Bを連結する連結部材2Cとによって構成され、単位部材2A,2Bのウエブ21,21同士を接合させるとともに、各単位部材2A,2Bのフランジ22,22にわたって連結部材2Cを巻き付け、一体に連結することで形成されている。そして、通気部材2を構成する単位部材2A,2Bのうち、一方の単位部材2Aの両フランジ22,22に長手方向に設定間隔をおいて複数個の換気口22xが形成され、該一方の単位部材2Aのウエブ21の内面に熱膨張性シート3が貼着されている。
【0073】
なお、通気部材2の他方の単位部材2Bのウエブ21および上下のフランジ22,22で形成される空間2bに耐火被覆材F1の端縁部が嵌挿されるように設定されている。
【0074】
また、通気部材2の換気口22xに代えて切欠部を形成してもよい。
熱膨張性シート3は、下記の表1に示す組成を表1に示す配合(重量部)で厚み2mmに形成したものであって、その一面が通気部材2の一方の単位部材2Aのウエブ21の内面に貼着されている。また、熱膨張性シート3の他面には、厚み0.25mmのポリエチレンフィルム(図示せず)が貼着されている。
【0075】
【表1】
そして、鉄骨柱Cの耐火性外壁材Wに面する一面を除く三面に対応して、耐火被覆材F1を耐火接着剤(アスク社製「キルボンド」)と釘を用いてコ字状に形成し、耐火性外壁材Wと突き合わされる耐火被覆材F1の端縁部に耐火性通気部材1を構成する通気部材2の他方の単位部材2Bの中空部2bを嵌挿し、耐火性通気部材1から耐火被覆材F1に釘を打ち込んで固定した。そして、耐火性通気部材1を取り付けた耐火被覆材F1を鉄骨柱Cに被せるとともに、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのフランジ22の端縁を耐火性外壁材Wに当接させ、鉄骨柱Cに取り付けた。ここで、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのウエブ21の内面に貼着された熱膨張性シート3が耐火性外壁材Wと対面している他、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのフランジ22に形成された換気口22xを通して空気が流通し、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F1の内外が換気される。
【0076】
なお、表1における厚みの膨張倍率は、W100×L100×tmmのシート状の熱膨張性シートサンプルを、中規模火災時の燃焼条件に相当する50kW/m2 に設定したATLAS製コーンカロリーメーターを用いて30分間加熱し、燃焼させて膨張後の耐火性断熱材を得た後、得られた耐火性断熱材の厚みt’mmを測定し、t’/tによって算出したものである。
(実施例2)
図4乃至図6に本発明の建築物の耐火構造の実施例2を示す。
【0077】
この実施例2の耐火構造は、実施例1と同様に、鉄骨構造体を構成するH形鋼からなる鉄骨柱Cと、該鉄骨柱CにC型チャンネル材(図示せず)を介して50mmの間隔をおいて固定された外壁材W(厚み100mmのALC板)と、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F1(厚み25mmのケイ酸カルシウム板;小野田化学社製)と、外壁材Wと耐火被覆材F1との突き合わせ部に配設された耐火性通気部材4と、から構成されている(図4参照)。
【0078】
耐火性通気部材4は、図5および図6に示すように、断面略C字状に形成した通気部材5と、該通気部材5のウエブ51の内面略中間部に貼着された熱膨張性シート3とから構成されている。
【0079】
通気部材5は、厚み0.4mmの着色メッキ鋼板を断面略C字状に折曲したもので、ウエブ51、該ウエブ51の両端から同方向に直角に折曲されたフランジ52,52および該フランジ52の先端から内方に直角に折曲されたリップ53を有し、ウエブ51の略中間部には内方に向かって凹状の陥没部51aが形成されている。このウエブ51の陥没部51aは、耐火被覆材F1の木口と対向するように設定されている。そして、通気部材5のウエブ51には、陥没部51aを挟んで長手方向に設定間隔をおいて複数個の換気口51xが形成され、該ウエブ51の陥没部51aの内面に熱膨張性シート3が貼着されている。
【0080】
熱膨張性シート3は、前記の表1に示す組成を表1に示す配合で厚み2mmに形成したものであって、その一面が通気部材5のウエブ51の陥没部51aの内面に貼着されている。また、熱膨張性シート3の他面には、厚み0.25mmのポリエチレンフィルム(図示せず)が貼着されている。
【0081】
そして、実施例1の場合と同様に、耐火被覆材F1を耐火接着剤(アスク社製「キルボンド」)と釘を用いてコ字状に形成し、耐火性外壁材Wと突き合わされる耐火被覆材F1の木口に耐火性通気部材4を構成する通気部材5のウエブ51の陥没部51aの外面を突き合わせ、耐火性通気部材4から耐火被覆材F1に釘を打ち込んで固定した。そして、耐火性通気部材4を取り付けた耐火被覆材F1を鉄骨柱Cに被せるとともに、耐火性通気部材4の通気部材5のリップ53の外面を耐火性外壁材Wに当接させ、鉄骨柱Cに取り付けた。ここで、耐火性通気部材4の通気部材5のウエブ51の陥没部51aの内面に貼着された熱膨張性シート3が耐火性外壁材Wと対面している他、耐火性通気部材4の通気部材5のウエブ51に形成された換気口51xを通して空気が流通し、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F1の内外が換気される。
(実施例3)
図7に本発明の建築物の耐火構造の実施例3を示す。
【0082】
この実施例3の耐火構造は、鉄骨構造体を構成するH形鋼からなる鉄骨柱Cと、該鉄骨柱CにC型チャンネル材(図示せず)を介して50mmの間隔をおいて固定された外壁材W(厚み100mmのALC板)と、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F2と、外壁材Wと耐火被覆材F2との突き合わせ部に配設された前述した耐火性通気部材1と、から構成されている。この耐火被覆材F2は、厚み0.3mmの亜鉛メッキ鋼板f21の内面側に熱膨張性シートf22を貼着するとともに、熱膨張性シートf22の他面に断熱材f23を積層して形成され、鉄骨柱Cの外壁材Wに面する一面を除く三面に沿うように、略コ字状に形成されている。この熱膨張性シートf22は、前記表1に示す組成を表1に示す配合で厚み2mmに形成したものである。また、断熱材f23は、密度80kg/m3 のロックウールを厚み25mmに形成したものである。
【0083】
そして、耐火性外壁材Wと突き合わされる耐火被覆材F2の端縁部に前述した実施例1の耐火性通気部材1を構成する通気部材2の他方の単位部材2Bの中空部2bを嵌挿して固定した。そして、耐火性通気部材1を取り付けた耐火被覆材F2を鉄骨柱Cに被せるとともに、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのフランジ22の端縁を耐火性外壁材Wに当接させ、鉄骨柱Cに取り付けた。ここで、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのウエブ21の内面に貼着された熱膨張性シート3が耐火性外壁材Wと対面している他、耐火性通気部材1の通気部材2の一方の単位部材2Aのフランジ22に形成された換気口22xを通して空気が流通し、鉄骨柱Cを被覆する耐火被覆材F1の内外が換気される。
【0084】
これらの実施例1乃至実施例3について、JIS A 1304に準じて耐火加熱試験を行い、1時間後の鉄骨柱Cの表面温度を測定した。その結果、実施例1は325℃、実施例2は330℃、実施例3は335℃であり、評価はいずれも○であった。
【0085】
なお、前述した実施例においては、鉄骨柱Cの耐火構造を説明したが、鉄骨梁Gについても同様に対応することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、鉄骨柱または鉄骨梁は、耐火性外壁材と耐火被覆材と耐火性通気部材によって被覆されているため、鉄骨柱または鉄骨梁に火災による熱が伝わることを確実に防止することができ、また、耐火被覆材および耐火性通気部材によって鉄骨柱または鉄骨梁を被覆するだけの簡単な作業で施工することができる。一方、耐火性通気部材の通気路を通して鉄骨柱または鉄骨梁の一方と他方との換気が可能となり、内壁の内部に結露することによるカビの発生や腐食を防止することが可能となり、建築物の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築物の耐火構造の実施例1を示す横断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1の耐火構造を構成する耐火性通気部材の斜視図である。
【図4】本発明の建築物の耐火構造の実施例2を示す横断面図である。
【図5】図4のB部拡大図である。
【図6】図4の耐火構造を構成する耐火性通気部材の斜視図である。
【図7】本発明の建築物の耐火構造の実施例3を示す横断面図である。
【図8】鉄骨柱や鉄骨梁の耐火被覆構造の一例を示す縦断面図である。
【図9】鉄骨梁の合成耐火被覆構造の一例を示す縦断面図である。
【図10】鉄骨柱の合成耐火被覆構造の一例を一部破断して示す斜視図およびその横断面図である。
【符号の説明】
1,4 耐火性通気部材
2 通気部材
21 ウエブ
22 フランジ
22x 換気口(通気路)
3 熱膨張性シート
5 通気部材
51 ウエブ
51x 換気口(通気路)
C 鉄骨柱
W 耐火性外壁材
F1 耐火被覆材(ケイ酸カルシウム板)
F2 耐火被覆材
f21 金属板(亜鉛メッキ鋼板)
f22 熱膨張性シート
f23 断熱材
Claims (6)
- 鉄骨構造体を構成する鉄骨柱および鉄骨梁と、鉄骨柱または鉄骨梁と設定間隔をおいて取り付けられた耐火性外壁材と、鉄骨柱または鉄骨梁を被覆する耐火被覆材と、耐火性外壁材と耐火被覆材との突き合わせ部に配設された耐火性通気部材と、から構成され、前記耐火性通気部材は、通気路が形成された金属板製通気部材および該通気部材の、耐火性外壁材に面する一面に積層された熱膨張性シートからなり、耐火性通気部材の通気路を通して耐火被覆材の表面側と裏面側が連通されるとともに、熱膨張性シートが加熱により耐火性断熱層を形成して通気路を遮断することを特徴とする建築物の耐火構造。
- 前記鉄骨柱の少なくとも一面が、金属板および該金属板に積層された熱膨張性シートからなる耐火被覆材によって被覆されていることを特徴とする請求項1記載の建築物の耐火構造。
- 前記耐火性通気部材は、ウエブおよび上下一対のフランジを有して断面H字状またはエ字状に形成され、ウエブの一面に面するフランジに複数個の換気口または切欠部からなる通気路が形成された金属板製通気部材と、該通気部材の通気路が形成された側のウエブの一面に貼着され、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、リン化合物および無機充填材を含有する樹脂組成物からなる熱膨張性シートと、からなり、通気部材の、熱膨張性シートが貼着されていない側のウエブの他面および該ウエブの他面に面する上下一対のフランジで形成される空間に耐火被覆材の端縁部が嵌挿されていることを特徴とする請求項1記載の建築物の耐火構造。
- 前記耐火性通気部材は、ウエブと、該ウエブの両端から同方向に折曲された上下一対のフランジと、該上下一対のフランジの先端から内方に折曲されたリップとを有して断面略C字状に形成され、耐火被覆材の木口と対向する部位を挟むウエブのフランジ側の両側に複数個の換気口からなる通気路がそれぞれ形成された金属板製通気部材と、該通気部材のウエブに形成される通気路間であって、ウエブのフランジの突き出し側の面に貼着され、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、リン化合物および無機充填材を含有する樹脂組成物からなる熱膨張性シートと、からなり、通気部材のウエブに形成される通気路間であって、ウエブのフランジの突き出し側の面と反対側の面に耐火被覆材の木口が突き合わされて固定されていることを特徴とする請求項1記載の建築物の耐火構造。
- 前記熱膨張性シートは、50kW/m2 の熱量で30分間加熱された時の厚み変化が1.1〜30倍であることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4記載の建築物の耐火構造。
- 前記熱膨張性シートは、熱膨張性無機物を含有することを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載の建築物の耐火構造。
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