JP4137301B2 - H型鉄骨用耐火被覆ユニット - Google Patents

H型鉄骨用耐火被覆ユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱、はり(梁)等の鉄骨に使用されるH型鉄骨用耐火被覆ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の高層化等にともない、建築物の構造材をなす梁、柱等として軽量な鉄骨が用いられるようになっている。建築物の構造材として用いられる鉄骨には、建設省告示第2999号やJIS A 1304により耐火性能基準が定められており、その基準を満たすために、鉄骨の表面を耐火性に優れた材料で被覆することが一般的に行われている。
【0003】
鉄骨に耐火性を付与するための被覆材料として、特開平6−32664号公報には、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライト、ロックウール等の無機成分を混合したものが開示されている。しかしながら、このような被覆材料は、施工時に現場で鉄骨に対して塗布又は吹き付ける必要があるため、施工性が悪かった。また、形成される耐火被覆層の厚みにムラが生じやすく、ムラが生じた場合は充分な耐火性を発揮することができなかった。また、形成される耐火被覆層にヒビ割れが発生して耐火性が低下する場合があった。更に、上記被覆材料を湿式工法又は半乾式工法により吹き付けた場合は、硬化するまでに長時間を要するため、作業効率が悪かった。
【0004】
三井金属塗料社等からは耐火塗料が市販されているが、このような耐火塗料は、施工現場において2種類の塗料を混合する必要があるため、塗りムラが発生しやすく、鉄骨に対して均一な耐火性を付与することが困難であった。
また、ケイ酸カルシウム板を鉄骨の回りを囲むように設置する方法もあるが、厚いケイ酸カルシウム板を使用し、これを大量の釘、ビス等で固定する必要があるため、施工性が非常に悪く、また、ケイ酸カルシウム板切削時に多量の粉塵が発生するという不都合があった。
【0005】
実開昭62−163206号公報には、ロックウールフェルト等からなる基材と、セラミック繊維フェルトと、金属網状物とが重ね合わされ、線材で縫合されて一体化され、一方の突き付け端部に耳部が形成された耐火被覆材が開示されている。
しかし、この耐火被覆材を用いて鉄骨を被覆するには、耐火被覆材を鉄骨に当接した後、耳部の部分を互い違いに重ね合わせて金属網状物を重ね折りする必要があり、また、耐火被覆材を鉄骨に固定するために溶接ガンを用いて溶接ピン等を立て、多数の箇所で掛け止めする必要があり、やはり施工性に問題があった。
【0006】
特開平2−108748号公報には、鉄骨構造物の周囲に耐火被覆材を取り付けた構造物が開示されている。
この構造物は、金属板の内側に無機繊維ボードやケイ酸カルシウム板からなる断熱材料等を裏張りしたものであり、施工性が改善されたものであった。
しかしながら、当該構造物は、上記無機繊維ボード等によって耐火性能を得ようとするため、その耐火性能に限度があり、必要な耐火性能を得るためには、耐火被覆材全体を厚く、大きくしなければならず、従って、耐火被覆材が重くなるため、まだ、施工性に改善の余地があった。
【0007】
特開平7−133640号公報には、吸水性ゲルをアルミ蒸着ポリエチレンでパックし、更に、セラミックマットで包んだ被覆材料が開示されている。
しかしながら、このものは、施工時にゲル部分を切断してしまったり、釘を打ちつけたりすると内部の吸水性ゲルが漏れだして使用不能になったりする等の欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、耐火性に優れると共に、現場での施工性が改善されたH型鉄骨用耐火被覆ユニットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面はケイ酸カルシウム板よりなり、残りの2面は亜鉛鋼板よりなり、前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板10の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものであることを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニットである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る耐火被覆ユニットは、図1に示すようにH型鉄骨10のフランジ面11に接する2面が、ケイ酸カルシウム板12よりなり、残りの2面が亜鉛鋼板13よりなる。
上記H型鉄骨10に配置される亜鉛鋼板13の内側には、断熱膨張シート(A)14が配置されてなり、上記亜鉛鋼板13の内側であって上記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)15が、配置されている。
本発明に係る耐火被覆ユニットにおいては、部材同士の接合部を補強するために、2枚の上記亜鉛鋼板13相互の目地上に両端を折り曲げたコ形状の鋼帯16を補強部材として取り付け、上記折り曲げた部分を鉄丸釘17等で釘打ちして、補強部材を配置してもよい。
なお、本発明において示す図は、H型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨を説明するための図であり、実際の実施形態では、H型鉄骨の周囲は全てH型鉄骨用耐火被覆ユニットにより覆われている。
【0011】
上記ケイ酸カルシウム板の材料としては、通常ケイ酸カルシウム板として用いられているものであれば限定されず、例えば、ケイ酸カルシウム以外に、無機質繊維、有機質等を含有するものであっても良い。好ましくは、ケイ酸カルシウム75〜89重量%、無機質繊維11重量%以下、有機質6重量%以下を含有するケイ酸カルシウム板である。
上記ケイ酸カルシウム板の厚みは、25〜50mmが好ましい。25mm未満では、耐火効果を充分に得ることができず、50mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0012】
上記亜鉛鋼板を上記H型鉄骨に配置する際には、上記亜鉛鋼板の両端は、上記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げて配置する。このようにすると、火災時に上記ケイ酸カルシウム板が上記H型鉄骨から脱落するおそれを回避することができる。
上記亜鉛鋼板の厚みは、0.2〜0.6mmが好ましい。0.2mm未満では、耐火効果を充分にあげることができず、0.6mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
【0013】
上記断熱膨張シート(A)は、例えば、火災の際に熱を受けて膨張することにより断熱層を形成し、この断熱層によって鉄骨へ熱が伝わるのを防止する。従って、この断熱層は、少なくとも鉄骨フランジのエッジ面に接するように形成されることが必要である。本発明では、上記断熱膨張シート(A)は亜鉛鋼板の内側に配置されるが、必ずしも亜鉛鋼板の内側全面に渡って配置されなくともよい。
【0014】
上記断熱膨張シート(A)は、加熱により膨張して断熱性能を発揮するものであり、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた場合の膨張倍率が2〜20倍であることが好ましい。
上記断熱膨張シート(A)の厚みは、0.3〜5.0mmが好ましい。0.3mm未満では、膨張しても充分な断熱性を発揮することができず、5.0mmを超えると重くて取り扱いが困難になる。
【0015】
上記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物及び無機充填剤を含有する樹脂組成物からなる。上記樹脂組成物は、膨張により充分な断熱性能を発揮し、シート状に成形でき、取り扱い性に優れている。
【0016】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0017】
上記熱可塑性樹脂及びゴム物質のなかでも、クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂等のハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
これらの樹脂は、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、上記無機充填剤を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。
より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0018】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いても良い。
【0019】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質には、更に、本発明における断熱膨張シート(A)の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されても良い。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を用いても良く、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際同時に架橋や変性しても良い。また、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性しても良く、上記架橋や変性は、いずれの段階で行っても良い。
【0020】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。
【0021】
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0022】
【化1】
Figure 0004137301
【0023】
式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0024】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0025】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0027】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。なかでも、含水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0028】
上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0029】
上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0030】
上記金属炭酸塩のなかでも、更に、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸塩等が好ましい。
一般的に、無機充填剤は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。
上記無機充填剤は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0031】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmのものが使用でき、より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、シートの力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0032】
上記断熱膨張シート(A)には、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物及び無機充填剤の他に、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール等が添加されていても良い。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0033】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
上記脂肪族低級アミンとしては特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」等が挙げられる。
【0034】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0035】
上記多価アルコールは、分子中に水酸基を2つ以上有する炭化水素化合物であるが、その炭素数は1〜50が好ましい。上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙げられる。
上記多価アルコールは、単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0036】
上記多価アルコールとしては、分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.2〜2.0であるものが好ましく、より好ましくは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニトール等に代表されるような、〔(水酸基数)/(炭素数)〕が、0.7〜1.5のものである。なかでも、ペンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いため炭化促進効果が高く、最も好ましいものである。
【0037】
上記分子中の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2〜2.0の範囲にある多価アルコールは、燃焼時に脱水縮合して効果的に炭化層を形成する。上記比〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合よりも炭素鎖の分解が起こり易くなるため、充分な炭化層を形成することができず、2.0を超えると、炭化層の形成には差し支えないが、耐水性が大幅に低下する。耐水性が低下すると、成形直後の樹脂組成物を水冷する際に、上記多価アルコールが溶出したり、成形体の保管中の湿度によって、上記多価アルコールがブリードアウトする等の問題点がある。
【0038】
本発明の上記断熱膨張シート(A)を構成する樹脂組成物は、基本成分として、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物及び無機充填剤を含有する。上記無機充填剤には、上記金属炭酸塩、上記含水無機物、カルシウム塩等が含まれる。上記断熱膨張シート(A)に用いられる好ましい樹脂組成物としては、例えば、以下に説明する樹脂組成物(1)〜(6)が挙げられる。
【0039】
上記樹脂組成物(1)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなり、上記リン化合物及び上記中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して合計量で20〜200重量部が好ましく、上記中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕は、0.01〜9が好ましい。
【0040】
上記無機充填剤の配合量は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜500重量部が好ましく、上記無機充填剤と上記リン化合物との重量比〔(無機充填剤)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5が好ましい。
【0041】
上記樹脂組成物(1)における無機充填剤としては、上記含水無機物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、周期律表IIb族金属の金属炭酸塩が好ましく、より好ましくは、含水無機物と金属炭酸塩の混合物である。
【0042】
上記樹脂組成物(1)において、中和処理された熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する。無機充填剤は、その際の熱容量の増大により寄与し、リン化合物は膨張断熱層の形状保持能力を有する。
樹脂組成物(1)の配合比は、これらの諸機能がバランスよく発現するようになされている。
【0043】
上記樹脂組成物(2)は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からなり、上記リン化合物及び金属炭酸塩の合計量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、上記金属炭酸塩と上記リン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5が好ましい。
【0044】
上記樹脂組成物(2)において、加熱時にリン化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進される。
上記リン化合物は、ポリリン酸を発生させるとともに、発泡被膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩は骨材的役割を果たす。
【0045】
上記樹脂組成物(3)は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、含水無機物及び/又はカルシウム塩、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からなり、上記リン化合物、金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、上記リン化合物に対する上記金属炭酸塩並びに上記含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量との重量比〔(金属炭酸塩並びに含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5が好ましい。
【0046】
上記含水無機物及び/又はカルシウム塩の合計量は、上記金属炭酸塩100重量部に対して1〜70重量部が好ましい。
上記カルシウム塩としては、例えば、硫酸カルシウム、石膏、二リン酸カルシウム等が挙げられる。
【0047】
上記樹脂組成物(3)において、加熱時にリン化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応により、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進される。
リン化合物はポリリン酸を発生させるとともに、発泡被膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩は骨材的役割を果たす。含水無機物及び/又はカルシウム塩は、上記金属炭酸塩と同様に骨材的役割を果たすと考えられる。
【0048】
上記樹脂組成物(4)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、多価アルコール、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からなり、上記リン化合物、多価アルコール及び金属炭酸塩の合計量は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、上記多価アルコールと上記リン化合物との重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は、0.05〜20が好ましい。
上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は、0.01〜50が好ましい。
【0049】
上記樹脂組成物(4)においては、上記リン化合物、多価アルコール及び金属炭酸塩を組み合わせることによって、充分な耐熱性を有し、かつ、燃焼後の残渣を強固なものとし、形状保持を図るものである。
また、加熱により、リン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作用する。多価アルコールは、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成する。金属炭酸塩は、骨材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
【0050】
上記樹脂組成物(5)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からなり、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール及び金属炭酸塩の合計量は、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜900重量部が好ましい。
【0051】
上記多価アルコールとリン化合物との重量比〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は、0.05〜20、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕は、0.01〜9、上記金属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸)/(リン化合物)〕は、0.01〜50がそれぞれ好ましい。
【0052】
上記樹脂組成物(5)においては、加熱によりリン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作用する。多価アルコールは、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成する。金属炭酸塩は、骨材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
中和処理された熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためにより有効に作用する。
【0053】
上記樹脂組成物(6)は、非加硫ゴム、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤からなり、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量は、非加硫ゴム100重量部に対して50〜900重量部が好ましい。
【0054】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合物)〕は、0.01〜9、上記無機充填剤とリン化合物との重量比〔(無機充填剤)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5がそれぞれ好ましい。
【0055】
上記樹脂組成物(6)においては、加熱によりリン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作用する。無機充填剤は、その際熱容量の増大に寄与し、また、リン化合物は膨張断熱層の形状保持能力を有する。
中和処理された熱膨張性黒鉛は、その際に膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためにより有効に作用する。
【0056】
上記樹脂組成物からなる断熱膨張シート(A)は、25℃での初期のかさ密度が0.8〜2.0g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、1〜1.8g/cm3 である。25℃での初期のかさ密度を0.8〜2.0g/cm3 の範囲内とすることによって、上記断熱膨張シート(A)に要求される断熱性、耐火性等の物性を損なわず、しかも、作業性に優れたものとすることができる。
【0057】
25℃における初期のかさ密度が、0.8g/cm3 未満であると、樹脂組成物中に充分な量の膨張剤、炭化剤、不燃性充填剤等を添加することができず、加熱後の膨張倍率、残渣量が不充分となり、耐火断熱層を形成することができなくなる。25℃における初期のかさ密度が、2.0g/cm3 を超えると、上記樹脂組成物の重量が大きくなりすぎるために、上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットの取扱い性が低下する。
【0058】
上記断熱膨張シート(A)は、500℃で1時間加熱したときのかさ密度が0.05〜0.5g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.3g/cm3 である。500℃で1時間加熱したときのかさ密度が、0.05g/cm3 未満であると、隙間が多すぎるため、膨張時の崩れにより耐火断熱層がその形状を保持することができず、0.5g/cm3 を超えると、膨張倍率が不充分となり、耐火性能を充分に発揮することができず、いずれの場合も耐火断熱層を形成することができなくなる。
【0059】
上記断熱膨張シート(A)は、50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.01〜0.3kcal/m・h・℃であることが好ましい。50kW/m2 の加熱条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.3kcal/m・h・℃を超えると、断熱性能が不充分であるため充分な耐火性能を発揮することができず、0.01kcal/m・h・℃未満であるものは、有機物及び無機物の混合物では作ることができない。
【0060】
上記断熱膨張シート(A)は、示差走査熱量計(DSC)により、10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した場合の吸熱量が、100J/g以上であることが好ましい。100J/g以上であると、温度上昇が遅くなり、断熱性能がより良好となる。
【0061】
本発明においては、上記断熱膨張シート(A)を構成する上記樹脂組成物に、上記樹脂組成物の物性を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等が添加されても良い。
【0062】
上記樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。
得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成型、押出し成型、カレンダー成型等の従来公知の方法により、上記断熱膨張シート(A)に成型することができる。
【0063】
また、上記断熱膨張シート(A)の片面には、施工性や燃焼残渣強度を改善する目的で基材層が積層されていても良い。この基材層に用いられる材料としては、例えば、布、不織布、プラスチックフィルム、割布、ガラスクロス、アルミ箔、アルミガラスクロス等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムである。上記基材層の厚みは、0.25mm以下が好ましい。
上記基材層が積層された上記断熱膨張シート(A)は、上記基材層のある面が、上記ロックウール保温板(B)と接するようにして使用する。
【0064】
上記断熱膨張シート(A)として粘着性を有する材料からなるものを用いると、鉄骨用耐火被覆ユニットを鉄骨に装着する際の作業性が向上する。
粘着性を有するとは、上記亜鉛鋼板及び/又は上記ロックウール保温板(B)に仮止め固定が可能となるような性質を有することを意味し、広く粘着性及び/又は接着性を有することをいう。
【0065】
上記断熱膨張シート(A)への粘着性の付与は、例えば、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に粘着付与剤を添加することにより行うことができる。
上記粘着付与剤としては特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物等が挙げられる。
【0066】
本発明においては、上記断熱膨張シート(A)に、ロックウール保温板(B)を積層する。
上記ロックウール保温板(B)としては特に限定されず、従来ロックウール保温材として用いられるものをシート状に加工して使用することができ、例えば、ニチアス社製「MGフェルト1号」(密度80kg/m3 )等が挙げられる。
上記ロックウール保温板(B)の厚みは、25〜150mmが好ましい。25mm未満では、耐火効果を充分に得ることができず、150mmを超えても耐火効果は変わらず、経済的に不利である。
上記ロックウール保温板(B)の密度は、20〜250kg/m3 が好ましく、30〜80kg/m3 がより好ましい。
【0067】
上記ロックウール保温板(B)を上記H型鉄骨の中空部分に配置する際には、上記ロックウール保温板(B)を上記H型鉄骨の中空部分のうち亜鉛鋼板側に確実に位置させる目的で、支持部材を用いて配置してもよい。上記支持部材としては、例えば、ラス金網、Zクリップ等が挙げられる。
また、上記ロックウール保温板(B)の厚みを上記H型鉄骨の中空部分の厚みと略等しくしてこのような支持部材を用いずに配置してもよい。
【0068】
本発明の鉄骨用耐火被覆ユニットを設置する際には、耐火被覆ユニットの接合目地から火焔が侵入することを防止するために、隣り合うユニット同士の亜鉛鋼板が重なるように設置することが好ましい。また、以下のような観点から補強部材を用いてもよい。
本発明の鉄骨用耐火被覆ユニットのような耐火被覆材は、例えば、JIS A 1304のような耐火試験を行う必要があり、この耐火試験には、耐衝撃試験も含まれている。
上記耐衝撃試験では、1mの高さから5kgのナス型おもりを落下させ、鉄骨用耐火被覆ユニットの破壊状態を観察する。
【0069】
上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットの接合部、及び、上記ケイ酸カルシウム板、上記亜鉛鋼板、上記断熱膨張シート(A)、上記ロックウール保温板(B)等の上記H型鉄骨用耐火被覆ユニット部材の接合部のような部分は、機械的に弱く、衝撃にも弱いため、衝撃により上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットが変形するおそれがある。実際の火災の場合においても、建築部材等が落下した場合に、上記接合部等から上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットが変形しやすく、そのために変形部分から熱が侵入し、骨材が変形や破壊を起こす原因となる。そこで、上記接合部に補強部材を配置することにより、その機械的強度及び耐衝撃性を改善するのが好ましい。
【0070】
この補強部材の配置をする方法としては、例えば、上記亜鉛鋼板相互の目地上に両端を折り曲げたコ形状の鋼帯を取り付け、上記折り曲げた部分を釘打ちして、補強部材を配置する方法等が挙げられる。上記鋼帯の材料としては、例えば、鉄、亜鉛鋼板、ステンレス、アルミニウム等が好ましく、その厚みは0.2〜3mm程度、その幅は50〜200mm程度がそれぞれ好ましい。上記釘としては、例えば、鉄丸釘等が挙げられる。
【0071】
本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットにおいては、H型鉄骨のフランジ面とケイ酸カルシウム板との間に、捨張り板が配置され、亜鉛鋼板、ケイ酸カルシウム板、及び、捨張り板は、釘打ちされていてもよい。
鉄骨造の建築物では、鉄骨の骨組みを組み立てたり、外壁材を留め付ける作業を行うために、鉄骨柱に梯子や、取っ手を溶接することが通常行われている。鉄骨に耐火被覆材を取り付けるときに、上記梯子や取っ手が残っていたり、取り去っていても部分的に溶接痕が残り、不陸が生じることが多い。このような不陸があると、ケイ酸カルシウム板を鉄骨に接着することが困難になる場合がある。これは、鉄骨の平滑な部分に捨張り板を接着し、捨張り板に耐火被覆材となるケイ酸カルシウム板を留め付けることにより、解決することができる。
【0072】
上記ケイ酸カルシウム板を上記H型鉄骨に配置する際には、上記ケイ酸カルシウム板を上記H型鉄骨のフランジ面に直接取り付けても良いが、上記ケイ酸カルシウム板と上記H型鉄骨のフランジ面との間に捨張り板を配置して上記ケイ酸カルシウム板を取り付けてもよい。
上記捨張り板の材料としては、不燃材料を用いることが好ましく、ケイ酸カルシウムを用いてもよい。上記捨張り板を用い、上記ケイ酸カルシウム板、上記亜鉛鋼板及び上記捨張り板を釘打ちすることにより、より強固に上記H型鉄骨に配置することができる。
【0073】
本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニット部材のH型鉄骨への被覆方法としては、例えば、以下に示す方法等を用いることができる。
上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットのH型鉄骨への被覆は、先ず、図2に示す用にH型鉄骨21のフランジ面22への上記ケイ酸カルシウム板23の配置を接着剤を用いて行う。このとき、上記接着剤は、仮止めできる程度の塗布量にとどめ、5点以上の点、又は、3本以上の帯状に塗布して圧着する。このとき、支持部材27は用いなくてもよいが、更に、図に示す形状の支持部材27を用いて、H型鉄骨24のフランジ面25にケイ酸カルシウム板26を固定するのが好ましい。また、上記フランジ面25は、上記ケイ酸カルシウム板26の配置に先立って、接着に支障のないように清掃しておくのが好ましい。
【0074】
次に、図3に示すように上記ロックウール保温板(B)31を、H型鉄骨の中空部分に配置する。このとき、支持部材32は用いなくてもよいが、上記ケイ酸カルシウム板を固定する際に用いる支持部材32を用いて、上記ロックウール保温板(B)31をH型鉄骨の中空部分に固定してもよい。その後、図4に示すようにH型鉄骨のフランジ面に接する2面に上記断熱膨張シート(A)を配置し、更に、両端が上記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられた上記亜鉛鋼板41を、残りの2面にH型鉄骨のウェブ部側から被せ、折り曲げられた部分に釘42を打ち、上記亜鉛鋼板41を固定する。上記釘42は、上記ケイ酸カルシウム板の木口に打っても良い。上記断熱膨張シート(A)の取り付けは、施工性を向上させることができる点から、予め上記断熱膨張シート(A)を上記亜鉛鋼板41に配置しておき、その後、上記亜鉛鋼板41と同時にH型鉄骨に配置するのが好ましい。上記亜鉛鋼板41を複数枚使用するときは、上記亜鉛鋼板41相互の目地は突きつけとし、隙間が生じないよう施工する。
【0075】
更に、2枚の上記亜鉛鋼板41相互の目地上に両端の折り曲げられた鋼帯43を被せ、両端の折り曲げられた部分に釘44を打つことにより、上記亜鉛鋼板41の接合部を補強し、上記H型鉄骨用耐火被覆ユニットの強度を高めるのが好ましい。
【0076】
本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットは施工箇所によりその構成を変更してもよく、本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットの変形例としては、以下の本発明2及び本発明3等が挙げられる。
【0077】
本発明2は、H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のウェブと平行な1面は耐火性外壁材よりなり、前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面はケイ酸カルシウム板よりなり、残りの1面は亜鉛鋼板よりなり、前記ケイ酸カルシウム板は、前記耐火性外壁材に垂直に接するように延長されており、前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものであることを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニットである。
【0078】
本発明2に係る耐火被覆ユニットは、図5に示すようにH型鉄骨50のウェブ51と平行な1面は耐火性外壁材53よりなり、H型鉄骨50のフランジ面52に接する2面が、ケイ酸カルシウム板54よりなり、残りの1面が亜鉛鋼板55よりなる。上記ケイ酸カルシウム板54は、上記耐火性外壁材53に垂直に接するように延長されている。
上記H型鉄骨50に配置される亜鉛鋼板55の内側には、断熱膨張シート(A)56が配置されてなり、上記亜鉛鋼板55の内側であって上記H型鉄骨50の中空部には、ロックウール保温板(B)57が、配置されている。
本発明に係る耐火被覆ユニットにおいては、部材同士の接合部を補強するために、2枚の上記亜鉛鋼板55相互の目地上に両端を折り曲げたコ形状の鋼帯58を補強部材として取り付けてもよく、上記ロックウール保温板(B)57を上記H型鉄骨50の中空部分に配置する際には、上記ロックウール保温板(B)57を上記H型鉄骨50の中空部分のうち上記亜鉛鋼板55側に確実に位置させる目的で、支持部材59を用いて配置してもよい。また、上記H型鉄骨50と上記耐火性外壁材53で囲まれた中空部分にもロックウール保温板(B)57を配置してもよい。
【0079】
耐火建築物の外壁材はJIS A 1304により規定された1時間耐火性能以上を有する耐火性外壁材を用いることが定められており、建物の外周部にある鉄骨は、少なくとも1つの面が上記耐火性外壁材に沿っている。
上記耐火性外壁材としては、75mm厚以上のALC板(軽量気泡コンクリート板)や、50mm厚以上のPC板(プレキャストコンクリート板)、厚み60mm以上の押出成型セメント板等が好ましい。
【0080】
なお、建物の外周部にあるH型鉄骨は、上記のとおり、少なくともウェブと平行な1つの面が上記耐火性外壁材に沿っており高い耐火性能が付与されているので、このような面に新たに耐火被覆材を取り付けるのは経済的に不利である。
【0081】
本発明3は、H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面、及び、残りの2面のうち1面はケイ酸カルシウム板よりなり、残りの1面は亜鉛鋼板よりなり、前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものであることを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニットである。
【0082】
本発明3に係る耐火被覆ユニットは、図6に示すようにH型鉄骨60のフランジ面61に接する2面、及び、残りの2面のうち1面はケイ酸カルシウム板62よりなり、残りの1面が亜鉛鋼板63よりなる。
上記H型鉄骨60に配置される亜鉛鋼板63の内側には、断熱膨張シート(A)64が配置されてなり、上記亜鉛鋼板63の内側であって上記H型鉄骨60の中空部には、ロックウール保温板(B)65が、配置されている。
本発明に係る耐火被覆ユニットにおいては、上記H型鉄骨60の平滑な部分に捨張り板66を接着し、その捨張り板に耐火被覆材となるケイ酸カルシウム板62を留め付けてもよい。
【0083】
本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットにより被覆されたH型鉄骨は、耐火効果を有することから、耐火外壁構造、耐火間仕切り壁構造等に好適に用いることができる。このような耐火外壁構造、耐火間仕切り壁構造等の材料としては、例えば、軽量気泡コンクリート板、石膏ボード板等が挙げられる。
【0084】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
断熱膨張シート(A)として表1に示す組成及び物性を有するシートを調製した。各配合のシートの物性は以下の様にして測定した。
【0086】
(イ)膨張倍率
長さ10cm、幅10cm、初期厚み0.3cmの試験片を水平に設置した状態でコーンカロリーメーター(CONE2A、アトラス社製)を用いて、50kW/m2 の照射熱量を30分間与えて燃焼させた。加熱後の厚みt’を測定し、初期厚みtとの比t’/tを算出した。
【0087】
(ロ)燃焼残渣硬さ
長さ10cm、幅10cm、初期厚み0.3cmの試験片を水平に設置した状態でコーンカロリーメーター(CONE2A、アトラス社製)を用いて、50kW/m2 の照射熱量を30分間与えて燃焼させた。加熱残渣を0.1cm/sで圧縮することによって、加熱残渣の破断強度を微小圧縮試験機(カトーテック社製)を用いて測定した。
【0088】
(ハ)酸素指数
JIS K 7201に準拠してB−1号試験片(150mm×60mm×1mm厚)を作製し酸素指数の測定を行った。
なお、酸素指数が35以上のものは空気中で燃焼を継続できず自己消火することから、延焼による火災の拡大を引き起こすことことがないものと判断される。
【0089】
(ニ)シート成形性
得られた樹脂組成物を押出によるシート成形を行った場合、シート状成形体として得られたものを○、シートとして形状を保持できなかった組成物を×とした。(ホ)樹脂シートの裏面温度
長さ10cm、幅10cm、厚み0.5mmのSUS板の裏面に、長さ10cm、幅10cm、初期厚み0.3cmの試験片を重ねて垂直に設置した状態で、コーンカロリーメーター(CONE2A、アトラス社製)を用いてSUS板側を加熱源に向けて、80kW/m2 の照射熱量で加熱したままで1時間放置し、1時間後の裏面温度を測定した。
【0090】
(ヘ)吸熱量・総吸熱量
10mgの試験片を示差熱走査計(DSC220、セイコー電子工業社製)を用いて、常温から10℃/分で600℃まで昇温した場合の吸熱量を求めた。得られた吸熱量から10cm×10cm×2mm厚の場合の総吸熱量を算出した。
【0091】
【表1】
Figure 0004137301
【0092】
実施例1
厚み25mmのケイ酸カルシウム板をH型鉄骨のフランジ面に配置し、次に、厚み50mm、密度40kg/m3 のロックウールボードをH型鉄骨の中空部分に支持部材を用いて配置した。更に、断熱膨張シート(A)として表1に示す組成及び物性を有する厚み4mmの配合1を、予め両端が折り曲げられた厚み0.25mmの亜鉛鋼板に接着し、この亜鉛鋼板を、H型鉄骨のウェブ部に蓋をするように、亜鉛鋼板を外側にして配置した。その後、亜鉛鋼板相互の目地の上に鋼帯を被せて鉄丸釘を打ち、ケイ酸カルシウム板及び亜鉛鋼板を固定し、H型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨を作製した。
得られたH型鉄骨について、JIS A 1304に準じて耐火試験を行った。1時間後の平均鉄骨温度は320℃と良好な結果が得られた。
【0093】
実施例2
厚み25mmのケイ酸カルシウム板、厚み50mm、密度80kg/m3 のロックウールボード、厚み0.3mmの亜鉛鋼板、及び、断熱膨張シート(A)として表1に示す組成及び物性を有する3mmの配合2を用いて、実施例1と同様の方法により、H型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨を作製した。
得られたH型鉄骨について、JIS A 1304に準じて耐火試験を行った。1時間後の平均鉄骨温度は310℃と良好な結果が得られた。
【0094】
実施例3
厚み25mmのケイ酸カルシウム板、厚み25mm、密度80kg/m3 のロックウールボード、厚み0.3mmの亜鉛鋼板、及び、厚み2mmの配合2を用いて、実施例1と同様の方法により、H型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨を作製した。
得られたH型鉄骨について、JIS A 1304に準じて耐火試験を行った。1時間後の平均鉄骨温度は335℃と良好な結果が得られた。
【0095】
実施例4
H型鉄骨の上部及び下部にC型チャンネルを溶接して水平に取り付けた。上記C型チャンネルにクリップを介して耐火性外壁材として厚み60mmの押出成型セメント板を取り付けた。H型鉄骨のフランジエッジと外壁材とは75mm離れた位置に配置された。
【0096】
厚み25mmのケイ酸カルシウム板をH型鉄骨の2つのフランジ面に配置し、ケイ酸ソーダ系接着剤で仮固定し、支持部材を介して釘にてH型鉄骨に固定した。ケイ酸カルシウム板は、鉄骨フランジ幅より75mm長い幅とし、外壁材と接するように取り付けた。ケイ酸カルシウム板と外壁材との間は密度80kg/m3 のロックウール保温板(B)を詰め込み炎が進入しないようにした。H型鉄骨のもうひとつの面の中空部に、厚み50mm、密度80kg/m3 のロックウール保温板(B)を支持部材を用いて配置した。断熱膨張シート(A)として厚み2mmの配合2のシートを予め両端が折り曲げられた厚み0.3mmの亜鉛鋼板に接着し、この亜鉛鋼板をH型鉄骨のウェブ面に蓋をするように、亜鉛鋼板を外側にして配置した。亜鉛鋼板の両端部を200mmピッチでケイ酸カルシウム板に鉄丸釘で留め付けて固定した。
【0097】
亜鉛鋼板の接続部の目地部が見えなくなるように、厚み0.3mmの亜鉛鋼板よりなる鋼帯を取り付け、ケイ酸カルシウム板に同じく鉄丸釘で固定した。
JIS A 1304に準じて耐火試験を行った結果、1時間後の平均鉄骨温度は280℃と良好な結果が得られた。
【0098】
実施例5
厚み25mm、幅100mmのケイ酸カルシウム板を捨張り板としてH型鉄骨の2つのフランジ面に接着剤にて取り付けた。上記捨張り板に厚み25mmのケイ酸カルシウム板を釘にて固定し、ケイ酸カルシウム板をH型鉄骨の2つのフランジ面に配置した。
H型鉄骨の1つの中空部に、厚み50mm、密度80kg/m3 のロックウール保温板(B)を支持部材を用いて配置した。断熱膨張シート(A)として厚み2mmの配合2のシートを予め両端部が折り曲げられた厚み0.3mmの亜鉛鋼板に接着し、この亜鉛鋼板をH型鉄骨のウェブ面に蓋をするように、亜鉛鋼板を外側にして配置した。亜鉛鋼板の両端部を200mmピッチでケイ酸カルシウム板に鉄丸釘で留め付けて固定した。
【0099】
もう一つの中空部のある面も厚み25mmのケイ酸カルシウム板にて被覆した。長さ50mmの鉄丸釘を用いて、H型鉄骨の両側のフランジ面に取り付けたケイ酸カルシウム板に固定した。
亜鉛鋼板の接続部の目地部が見えなくなるように、厚み0.3mmの亜鉛鋼板よりなる鋼帯を取り付け、ケイ酸カルシウム板に同じく鉄丸釘で固定した。
JIS A 1304に準じて耐火試験を行った結果、1時間後の平均鉄骨温度は288℃と良好な結果が得られた。
【0100】
実施例6
捨張り板をなくした他は実施例5と同様にH型鉄骨を被覆した。耐火試験の結果、1時間後の平均鉄骨温度は282℃と良好な結果が得られた。
【0101】
【発明の効果】
本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットは、上述の構成からなるので、耐火性に優れると共に、現場での施工性が改善されたものである。また、H型鉄骨のフランジ方向の厚みを大幅に増大させることなく優れた耐火性能を付与できるので、設計の自由度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨の実施形態の一つを説明するための断面図である。(b)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットに被覆されたH型鉄骨の実施形態の一つを説明するための斜視図である。
【図2】(a)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットを被覆する工程において、ケイ酸カルシウム板を配置する工程を説明するための斜視図である。(b)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットを被覆する工程において、ケイ酸カルシウム板を支持する支持部材を配置する工程を説明するための斜視図である。
【図3】(a)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットを被覆する工程において、ロックウール保温板(B)を配置する工程を説明するための断面図である。(b)本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットを被覆する工程において、ロックウール保温板(B)を配置する工程を説明するための斜視図である。
【図4】本発明のH型鉄骨用耐火被覆ユニットを被覆する工程に置いて、亜鉛鋼板を配置する工程を説明するための斜視図である。
【図5】本発明2における耐火被覆ユニットで被覆されたH型鉄骨を示す斜視図である。
【図6】(a)本発明3における耐火被覆ユニットで被覆されたH型鉄骨を示す断面図である。(b)本発明3の耐火被覆ユニットにおける捨張り板の取り付けを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 H型鉄骨
11 H型鉄骨のフランジ面
12 ケイ酸カルシウム板
13 亜鉛鋼板
14 断熱膨張シート(A)
15 ロックウール保温板(B)
16 鋼帯
17 鉄丸釘
21 H型鉄骨
22 H型鉄骨のフランジ面
23 ケイ酸カルシウム板
24 H型鉄骨
25 H型鉄骨のフランジ面
26 ケイ酸カルシウム板
27 支持部材
31 ロックウール保温板(B)
32 支持部材
41 亜鉛鋼板
42、44 釘
43 鋼帯
50 H型鉄骨
51 H型鉄骨のウェブ
52 H型鉄骨のフランジ面
53 耐火性外壁材
54 ケイ酸カルシウム板
55 亜鉛鋼板
56 断熱膨張シート(A)
57 ロックウール保温板(B)
58 鋼帯
59 支持部材
60 H型鉄骨
61 H型鉄骨のフランジ面
62 ケイ酸カルシウム板
63 亜鉛鋼板
64 断熱膨張シート(A)
65 ロックウール保温板(B)
66 捨張り板

Claims (5)

  1. H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面はケイ酸カルシウム板よりなり、
    残りの2面は亜鉛鋼板よりなり、前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、かつ、前記亜鉛鋼板の折り曲げられた部分に釘を打つことにより前記ケイ酸カルシウム板と亜鉛鋼板とが固定されており、
    前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、
    前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものである
    ことを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニット。
  2. H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のウェブと平行な1面は耐火性外壁材よりなり、
    前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面はケイ酸カルシウム板よりなり、
    残りの1面は亜鉛鋼板よりなり、
    前記ケイ酸カルシウム板は、前記耐火性外壁材に垂直に接するように延長されており、
    前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、かつ、前記亜鉛鋼板の折り曲げられた部分に釘を打つことにより前記ケイ酸カルシウム板と亜鉛鋼板とが固定されており、
    前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、
    前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものである
    ことを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニット。
  3. H型鉄骨の周囲を被覆するための耐火被覆ユニットであって、前記H型鉄骨のフランジ面に接する2面、及び、残りの2面のうち1面はケイ酸カルシウム板よりなり、
    残りの1面は亜鉛鋼板よりなり、
    前記亜鉛鋼板の両端は、前記ケイ酸カルシウム板に沿ってウェブ部に蓋をするような形状に折り曲げられており、かつ、前記亜鉛鋼板の折り曲げられた部分に釘を打つことにより前記ケイ酸カルシウム板と亜鉛鋼板とが固定されており、
    前記亜鉛鋼板の内側には、断熱膨張シート(A)が配置されてなり、前記亜鉛鋼板の内側であって前記H型鉄骨の中空部には、ロックウール保温板(B)が、配置されてなり、
    前記断熱膨張シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、リン化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなるものである
    ことを特徴とするH型鉄骨用耐火被覆ユニット。
  4. ケイ酸カルシウム板は、厚みが25〜50mmであり、亜鉛鋼板は、厚みが0.2〜0.6mmであり、断熱膨張シート(A)は、厚みが0.3〜5.0mmであり、ロックウール保温板(B)は、厚みが25〜150mmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のH型鉄骨用耐火被覆ユニット。
  5. H型鉄骨のフランジ面とケイ酸カルシウム板との間に、捨張り板が配置され、亜鉛鋼板、ケイ酸カルシウム板、及び、捨張り板は、釘打ちされていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のH型鉄骨用耐火被覆ユニット。
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