JP2000110275A - 耐火壁裏打ちユニットを用いた耐火外壁施工方法 - Google Patents

耐火壁裏打ちユニットを用いた耐火外壁施工方法

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JP2000110275A
JP2000110275A JP10310460A JP31046098A JP2000110275A JP 2000110275 A JP2000110275 A JP 2000110275A JP 10310460 A JP10310460 A JP 10310460A JP 31046098 A JP31046098 A JP 31046098A JP 2000110275 A JP2000110275 A JP 2000110275A
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wall
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wall lining
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Bunji Yamaguchi
文治 山口
Kenji Otsuka
健二 大塚
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】意匠性に優れた防火・耐火外壁構造を簡単な施
工のもとに実現できるようにする。 【解決手段】建築物の躯体構造を構成する梁、柱に取り
付けた間柱またはフレーム2に外壁1を固定した後に、
その間柱またはフレーム2間に、加熱により膨張する断
熱膨張材料3aと不燃材料3bとの積層体からなるパネ
ル状の耐火壁裏打ちユニット3を嵌合・固定して、防火
・耐火構造を満足する外壁を施工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅などの建築物
の耐火外壁の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】住宅などの建築物に用いられる外壁材と
しては、珪酸カルシウム板などの窯業系サイディング、
押出成形セメント板、ALC板、金属サイディングなど
が挙げられる。これらの外壁材は非耐力外壁であるた
め、一般に、躯体構造である梁、柱等に間柱またはフレ
ームを取り付けて、それに外壁材を固定する工法が採ら
れている。その例を図8〜図11に示す。
【0003】図8の工法は、上下梁111間に軽量鉄骨
(C形鋼)112を設置して格子状のフレーム113を
構築し、そのフレーム113に、珪酸カルシウム板等の
外壁材110をタッピンビス等によって固定する方法で
あり、図9の工法は、鉄骨梁121にC形鋼(鉄骨間
柱)123を設けるとともに、その鉄骨間柱123と鉄
骨柱122との間に複数本のC形鋼(鉄骨胴縁)124
を設けて、これらC形鋼123,124に、珪酸カルシ
ウム板等の外壁材120をボルト・ナット等によって固
定する方法である。また、図10及び図11の工法は、
複数本の下地鋼材(C形鋼)131,141を水平方向
に沿って設置し、それら下地鋼材131,141に、繊
維強化セメント板やALC薄型パネル等の外壁材13
0,140をボルト・ナットまたはタッピンビス等によ
って固定する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、建築物の外
壁には防火・耐火構造の基準(JIS A1304)が
定められており、その防火・耐火構造を満足する外壁
は、現在、内壁を含めた複合構成(例えば窯業系サイデ
ィング材と内壁との複合構成)のもの、あるいは60m
m以上の分厚くて重たい外壁、例えば押出成形セメント
板(60mm以上)またはALC板(100mm)など
に限られているが、複合構成の外壁では施工が複雑にな
り、また内壁構造に制限を受けるというデメリットがあ
る。一方、60mm以上の分厚くて重たい外壁は、外壁
種が限定されることから意匠面での自由度が狭く、また
重たいことから施工性も悪いという欠点がある。
【0005】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、意匠性に優れた防火・耐火外壁構造を簡単な施
工のもとに実現することが可能な耐火外壁施工方法の提
供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の耐火外壁施工方法は、建築物の躯体構造を
構成する梁、柱に取り付けた間柱またはフレームに外壁
を固定した後に、その間柱またはフレーム間に、加熱に
より膨張する断熱膨張材料と不燃材料との積層体からな
るパネル状の耐火壁裏打ちユニットを固定することによ
って特徴づけられる。
【0007】本発明の耐火外壁施工方法によれば、建築
物の躯体構造を構成する梁、柱等に取り付けられた間柱
またはフレームを利用して、軽量で取扱い性の良い耐火
壁裏打ちユニットを外壁の裏面側に追加施工するだけ
で、防火・耐火構造を満足する外壁を簡単に実現するこ
とができる。しかも、外壁材を自由に選択することがで
きるので、意匠性に優れた防火・耐火外壁構造を実現す
ることができる。
【0008】ここで、本発明の耐火外壁施工方法におい
て、耐火壁裏打ちユニットとして、断熱膨張材料と不燃
材料との積層体の周縁が折り曲げられ、全体として箱型
の形状に成形されたものを用いてもよいし、あるいは、
断熱膨張材料と不燃材料との積層体の周縁が折り曲げら
れ、その折曲部で間柱またはフレームを覆う形状に成形
されたものを用いてもよい。
【0009】本発明の耐火外壁施工方法において、建築
物の外壁の裏面と耐火壁裏打ちユニットとの間に、隙間
又は緩衝層を設けた状態で、耐火壁裏打ちユニットを設
置してもよい。その隙間は、耐火壁裏打ちユニットの断
熱膨張材料が、火災時等において膨張する際の膨らみ代
を確保するためのスペースであり、このような隙間は、
発泡体・緩衝材で塞いでおいてもよい。ここで、隙間又
は緩衝層と断熱膨張材料との厚みの寸法比〕〔(隙間又
は緩衝層)/断熱膨張材料〕は、1〜40が好ましい。
その寸法比が1未満であると、膨らみ代としてのスペー
スが小さすぎるため、断熱膨張材料が十分に膨張するこ
とができず、耐火壁裏打ちユニットとしての断熱効果が
発揮されない。厚みの寸法比が40を超えると、膨らみ
代としてのスペースが大きくなりすぎて、外層となる不
燃材料(例えば金属板等)の使用量も多くなるので経済
的でない。また、隙間又は緩衝層の厚みは0.5〜40
mmが好ましい。
【0010】本発明の耐火外壁施工方法において、耐火
壁裏打ち材ユニットの固定方法は、特に限定されない
が、裏打ちユニットを外壁の反対側から押さえつける治
具を用いて、間柱またはフレームに対して固定するとい
う方法を採用することが好ましい。
【0011】ここで、本発明に用いる耐火壁裏打ち材の
不燃材料は、不燃性を有するものであれば特に限定され
ず、例えば、鋼板、ステンレス板、アルミ・亜鉛合金
板、アルミニウム板等の金属板材料;珪酸カルシウム
板、繊維混入珪酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、石
膏ボード、強化石膏板、パーライトセメント板、繊維強
化セメント板、木片セメント板、木粉セメント板、スラ
グ石膏板等の無機質板;ロックウール保温板、セラミッ
クウールブランケット、アルミナシリカ繊維フェルト、
セラミック紙、水酸化アルミニウム紙等のシート状物が
挙げられ、また、これらのシート状物を複数枚貼り合わ
せたものであってもよい。
【0012】本発明に用いる不燃材料は、以上列記した
材料のうち、薄肉の金属板が好ましい。その金属板の形
状としては、例えば、平板形状、波板形状又は蛇腹形状
等が挙げられる。
【0013】薄肉の金属板は、断熱膨張材料が膨張して
も、変形や湾曲することによって、破れや切断を起こさ
ずに膨張を吸収する。特に、薄肉の金属板が、波板形状
又は蛇腹形状であると、膨張を吸収しやすいため、伸び
代を確保することができる。
【0014】薄肉の金属板の厚みは、0.1〜1mmが
好ましい。厚みが、0.1mm未満であると、防煙材料
や形状保持材料として機能せず、1mmを超えると、火
炎時の断熱膨張材料の膨張を許容し難くなり、断熱性能
の確保が困難になる。
【0015】本発明に用いる耐火壁裏打ち材の断熱膨張
材料は、加熱により膨張して断熱性能を発揮するもので
ある。
【0016】より具体的には、50kW/cm2 の加熱
条件下で30分間体積膨張させた場合の膨張倍率が2〜
20倍で、かつ、同条件下で体積膨張させた後の熱伝導
率が0.01〜3kcal/m・hr・℃であることが
好ましい。
【0017】このような性質の断熱膨張材料を用いるこ
とにより、通常時の耐火壁裏打ちユニットが占める厚み
を薄くして施工の自由度を担保し、かつ、火災時には充
分な断熱性能を発揮させることができる。
【0018】本発明に用いる耐火壁裏打ちユニットは、
前記したような薄肉金属板等の不燃材料と、火災時に発
泡して厚みを確保する断熱膨張材料とからなり、さら
に、それらの材料が柔軟シートの形態であることによ
り、全体に薄く、扱いやすく、加工のしやすい耐火壁裏
打ちユニットとなる。
【0019】断熱膨張材料の厚みとしては0.1〜20
mmが好ましい。経済性の観点及びユニットの重みを軽
くして取扱い性をよくするという観点から、0.1〜1
0mmがさらに好ましい。
【0020】断熱膨張材料を構成する材料としては、ウ
レタン樹脂、クロロプレン、アクリル系樹脂、熱膨張性
黒鉛、バーミキュライト、リン化合物、窒素化合物、多
価アルコール等の材料;これらと汎用の塗料組成物とを
組み合わせた組成物等が挙げられる。
【0021】上記断熱膨張材料としては、ウレタン系樹
脂と熱膨張性黒鉛とからなる組成物(三井金属塗料社
製、商品名「メジヒカット」)、クロロプレンとパーミ
キュライトとからなる組成物(住友3M社製、商品名
「ファイアバリア」)、アクリル系塗料と発泡塗料とか
らなる組成物(日本ペイント社製、商品名「タイカリッ
ト」;古河テクノマテリアル社製、商品名「ユニサー
ム」)、塗料系組成物(新日鉄社製、商品名「ピロテク
ト」)などがあげられる。
【0022】上記断熱膨張材料として、特に好ましく
は、熱可塑性樹脂又はゴム物質、リン化合物及び無機質
充填材を含有する樹脂組成物である。以下、この材料に
ついて詳述する。
【0023】熱可塑性樹脂又はゴム物質としては特に限
定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレ
ン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(1−)ブテ
ン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブ
テン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブ
チレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0024】前記した熱可塑性樹脂及びゴム物質のなか
でも、クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂等のハ
ロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、熱によ
る脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残
渣の強度が向上する点において好ましい。
【0025】これらの樹脂は、非常に柔軟でゴム的性質
を持っていることから、上記無機質充填材を高充填する
ことが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキ
シブルなものとなる。
【0026】より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得
るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に
用いられる。熱可塑性樹脂又はゴム物質は、単独で用い
ても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔
軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレン
ドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
【0027】前記した熱可塑性樹脂又はゴム物質には、
更に、本発明に用いる耐火壁裏打ちユニットの断熱膨張
材料の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施さ
れてもよい。熱可塑性樹脂又はゴム物質の架橋や変性を
行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性し
た熱可塑性樹脂又はゴム物質を用いてもよく、後述のリ
ン化合物や無機充填材等の他の成分を配合する際同時に
架橋や変性してもよい。また、熱可塑性樹脂又はゴム物
質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上
記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
【0028】熱可塑性樹脂又はゴム物質の架橋方法につ
いては特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム物質につ
いて通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸
化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法
等が挙げられる。
【0029】前記したリン化合物としては特に限定され
ず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリ
クレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、
クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニ
ルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸
金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)
で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火
性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及
び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性
能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウ
ム類がより好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜
16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素
数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、
炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16の
アリールオキシ基を表す。
【0032】上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向
上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いるこ
とができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安
全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティング
したもの等が好適に用いられる。
【0033】上記ポリリン酸アンモニウム類としては特
に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラ
ミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取
扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いら
れる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「A
P422」、「AP462」、住友化学社製「スミセー
フP」、チッソ社製「テラージュC60」等が挙げられ
る。
【0034】上記一般式(1)で表される化合物として
は特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチル
ホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン
酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホ
ン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチル
ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニル
ホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホ
スフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホ
スフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン
酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸
は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
【0035】上記リン化合物は、単独で用いても、2種
以上を併用してもよい。前記した無機質充填材としては
特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チ
タン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸
化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭
酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属
炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、けい酸カルシウム
等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫
酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい
素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫
酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化
けい素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、ス
ラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
なかでも、含水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0036】上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成
した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高
い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が
残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上
する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化ア
ルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるた
め、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、
より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併
用することが好ましい。
【0037】上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭
酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えら
れ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウム
を使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有
効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を
形成する。
【0038】上記金属炭酸塩のなかでも、さらに、炭酸
ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ
土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭
酸塩等が好ましい。
【0039】一般的に、無機質充填材は、骨材的な働き
をすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与
すると考えられる。無機質充填材は、単独で用いても、
2種以上を併用してもよい。その無機質充填材の粒径と
しては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましく
は、約1〜50μmである。また、粒径の大きい無機質
充填材と粒径の小さい無機質充填材とを組み合わせて使
用すると、シートの力学的性能を維持したまま、高充填
化することが可能となるため、前記した組み合わせで使
用するのがより好ましい。
【0040】前記した熱可塑性樹脂又はゴム物質、リン
化合物及び無機質充填材のほかに、樹脂組成物に、中和
処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール等が添加され
ていてもよい。
【0041】中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公
知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものであ
る。熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グ
ラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫
酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過
塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素
等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファ
イト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したまま
の結晶化合物である。
【0042】上述のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和すること
により、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0043】上記脂肪族低級アミンとしては特に限定さ
れず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチ
ルアミン等が挙げられる。
【0044】上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム
等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が
挙げられる。
【0045】中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品とし
ては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー
社製「GREP−EG」等が挙げられる。中和処理され
た熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ま
しい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の
膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が
20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きい
という利点はあるが、熱可塑性樹脂又はゴム物質と混練
する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられな
い。
【0046】前記した多価アルコールは、分子中に水酸
基を2つ以上有する炭化水素化合物であり、その炭素数
は1〜50が好ましい。上記多価アルコールとしては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、モノペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペン
タエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ソルビ
トール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フ
ルクトース、デンプン、セルロース等が挙げられる。
【0047】多価アルコールは、単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。多価アルコールとし
ては、分子中に少なくとも2つの水酸基を有し、分子中
の水酸基数と炭素数との比〔(水酸基数)/(炭素
数)〕が、0.2〜2.0であるものが好ましく、より
好ましくは、ペンタエリスリトール類、ソルビトール、
マンニトール等に代表されるような、〔(水酸基数)/
(炭素数)〕が、0.7〜1.5のものである。なかで
も、ペンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いた
め炭化促進効果が高く、最も好ましいものである。
【0048】上記分子中の水酸基数と炭素数との比
〔(水酸基数)/(炭素数)〕が0.2〜2.0の範囲
にある多価アルコールは、燃焼時に脱水縮合して効果的
に炭化層を形成する。上記比〔(水酸基数)/(炭素
数)〕が0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合より
も炭素鎖の分解が起こり易くなるため、充分な炭化層を
形成することができず、2.0を超えると、炭化層の形
成には差し支えないが、耐水性が大幅に低下する。耐水
性が低下すると、成形直後の樹脂組成物を水冷する際
に、多価アルコールが溶出したり、成形体の保管中の湿
度によって、上記多価アルコールがブリードアウトする
等の問題点がある。
【0049】断熱膨張材料を構成する樹脂組成物は、基
本成分として、熱可塑性樹脂又はゴム物質、リン化合物
及び無機質充填材を含有する。その無機質充填材には、
上記金属炭酸塩、上記含水無機物、カルシウム塩等が含
まれる。
【0050】断熱膨張材料に用いられる好ましい樹脂組
成物としては、以下に説明する樹脂組成物(1)〜
(6)が挙げられる。
【0051】樹脂組成物(1)は、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び
無機質充填材からなり、リン化合物及び中和処理された
熱膨張性黒鉛の配合量は、熱可塑性樹脂又はゴム物質1
00重量部に対して合計量で20〜200重量部が好ま
しく、中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リン化合物と
の重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化
合物)〕は、0.01〜9が好ましい。
【0052】無機質充填材の配合量は、熱可塑性樹脂又
はゴム物質100重量部に対して50〜500重量部が
好ましく、無機質充填材と上記リン化合物との重量比
〔(無機質充填材)/(リン化合物)〕は、0.6〜
1.5が好ましい。
【0053】樹脂組成物(1)における無機質充填材と
しては、含水無機物、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、及び、周期律表IIb族金属の金属炭酸塩が好まし
く、より好ましくは、含水無機物と金属炭酸塩の混合物
である。
【0054】樹脂組成物(1)において、中和処理され
た熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して断熱層を形成
し、熱の伝達を阻止する。無機質充填材は、その際の熱
容量の増大により寄与し、リン化合物は膨張断熱層の形
状保持能力を有する。
【0055】樹脂組成物(1)の配合比は、これらの諸
機能がバランスよく発現するようになされている。
【0056】樹脂組成物(2)は、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質、リン化合物、並びに、アルカリ金属、アルカリ
土類金属又は周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からな
り、リン化合物及び金属炭酸塩の合計量は、熱可塑性樹
脂又はゴム物質100重量部に対して50〜900重量
部が好ましく、金属炭酸塩と上記リン化合物との重量比
〔(金属炭酸塩)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.
5が好ましい。
【0057】樹脂組成物(2)において、加熱時にリン
化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応に
より、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進される。
【0058】リン化合物は、ポリリン酸を発生させると
ともに、発泡被膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩
は骨材的役割を果たす。
【0059】樹脂組成物(3)は、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質、リン化合物、含水無機物又はカルシウム塩、並
びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は周期律表II
b族金属の金属炭酸塩からなり、リン化合物、金属炭酸
塩並びに含水無機物又はカルシウム塩の合計は、熱可塑
性樹脂又はゴム物質100重量部に対して50〜900
重量部が好ましく、リン化合物に対する金属炭酸塩並び
に含水無機物又はカルシウム塩の合計量との重量比
〔(金属炭酸塩並びに含水無機物又はカルシウム塩の合
計量)/(リン化合物)〕は、0.6〜1.5が好まし
い。
【0060】含水無機物又はカルシウム塩の合計量は、
金属炭酸塩100重量部に対して1〜70重量部が好ま
しい。カルシウム塩としては、例えば、硫酸カルシウ
ム、石膏、二リン酸カルシウム等が挙げられる。
【0061】樹脂組成物(3)において、加熱時にリン
化合物より発生するポリリン酸と炭酸塩との化学反応に
より、脱炭酸、脱アンモニア反応が促進される。
【0062】リン化合物はポリリン酸を発生させるとと
もに、発泡皮膜のバインダーとして働き、金属炭酸塩は
骨材的役割を果たす。含水無機物又はカルシウム塩は、
金属炭酸塩と同様に骨材的役割を果たすと考えられる。
【0063】樹脂組成物(4)は、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質、リン化合物、多価アルコール、並びに、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属及び周期律表IIb族金属の金
属炭酸塩からなり、リン化合物、多価アルコール及び金
属炭酸塩の合計量は、熱可塑性樹脂又はゴム物質100
重量部に対して50〜900重量部が好ましく、多価ア
ルコールとリン化合物との重量比〔(多価アルコール)
/(リン化合物)〕は、0.05〜20が好ましい。金
属炭酸塩とリン化合物との重量比〔(金属炭酸塩)/
(リン化合物)〕は、0.01〜50が好ましい。
【0064】樹脂組成物(4)においては、リン化合
物、多価アルコール及び金属炭酸塩を組み合わせること
によって、充分な耐熱性を有し、かつ、燃焼後の残渣を
強固なものとし、形状保持を図るものである。
【0065】また、加熱により、リン化合物は脱水、発
泡すると共に、炭化触媒として作用する。多価アルコー
ルは、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、
形状保持性の優れた断熱層を形成する。金属炭酸塩は、
骨材的役割を果たし、炭化層をより強固なものとする。
【0066】樹脂組成物(5)は、熱可塑性樹脂又はゴ
ム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多
価アルコール、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金
属及び周期律表IIb族金属の金属炭酸塩からなり、リン
化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、多価アルコール
及び金属炭酸塩の合計量は、熱可塑性樹脂又はゴム物質
100重量部に対して50〜900重量部が好ましい。
【0067】多価アルコールとリン化合物との重量比
〔(多価アルコール)/(リン化合物)〕は、0.05
〜20、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との
重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン化合
物)〕は、0.01〜9、金属炭酸塩とリン化合物との
重量比〔(金属炭酸)/(リン化合物)〕は、0.01
〜50がそれぞれ好ましい。
【0068】樹脂組成物(5)においては、加熱により
リン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作
用する。多価アルコールは、リン化合物の触媒作用を受
けて炭化層を形成し、形状保持性の優れた断熱層を形成
する。金属炭酸塩は、骨材的役割を果たし、炭化層をよ
り強固なものとする。
【0069】中和処理された熱膨張性黒鉛は、その際に
膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためによ
り有効に作用する。
【0070】樹脂組成物(6)は、非加硫ゴム、リン化
合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機質充填
材からなり、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性
黒鉛及び無機質充填材の合計量は、非加硫ゴム100重
量部に対して50〜900重量部が好ましい。
【0071】中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物
との重量比〔(中和処理された熱膨張性黒鉛)/(リン
化合物)〕は、0.01〜9、無機質充填材とリン化合
物との重量比〔(無機質充填材)/(リン化合物)〕
は、0.6〜1.5がそれぞれ好ましい。
【0072】樹脂組成物(6)においては、加熱により
リン化合物は脱水、発泡すると共に、炭化触媒として作
用する。無機質充填材は、その際熱容量の増大に寄与
し、また、リン化合物は膨張断熱層の形状保持能力を有
する。
【0073】中和処理された熱膨張性黒鉛は、その際に
膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止するためによ
り有効に作用する。
【0074】樹脂組成物からなる断熱膨張材料は、25
℃での初期のかさ密度が0.8〜2.0g/cm3 であ
るものが好ましく、より好ましくは、1〜1.8g/c
3である。25℃での初期のかさ密度を0.8〜2.
0g/cm3 の範囲内とすることによって、断熱膨張材
料に要求される断熱性、耐火性等の物性を損なわず、し
かも、作業性に優れたものとすることができる。
【0075】25℃における初期のかさ密度が、0.8
g/cm3 未満であると、樹脂組成物中に充分な量の膨
張剤、炭化剤、不燃性充填剤等を添加することができ
ず、加熱後の膨張倍率、残渣量が不充分となり、耐火断
熱層を形成することができなくなる。25℃における初
期のかさ密度が、2.0g/cm3 を超えると、樹脂組
成物の重量が大きくなりすぎるために、耐火壁裏打ちユ
ニットの取扱い性が低下する。
【0076】本発明に用いる耐火壁裏打ちユニットの断
熱膨張材料は、500℃で1時間加熱したときのかさ密
度が0.05〜0.5g/cm3 であるものが好まし
く、より好ましくは0.1〜0.3g/cm3 である。
500℃で1時間加熱したときのかさ密度が、0.05
g/cm3 未満であると、隙間が多すぎるため、膨張時
の崩れにより耐火断熱層がその形状を保持することがで
きず、0.5g/cm3を超えると、膨張倍率が不充分
となり、耐火性能を充分に発揮することができず、いず
れの場合も耐火断熱層を形成することができなくなる。
【0077】断熱膨張材料は、50kW/cm2 の加熱
条件下で30分間体積膨張させた後の熱伝導率が、0.
01〜0.3kcal/m・h・℃であることが好まし
い。50kW/cm2 の加熱条件下で30分間体積膨張
させた後の熱伝導率が、0.3kcal/m・h・℃を
超えると、断熱性能が不充分であるため充分な耐火性能
を発揮することができず、0.01kcal/m・h・
℃未満であるものは、有機物及び無機物の混合物では作
ることができない。
【0078】断熱膨張材料は、示差走査熱量計(DS
C)により、10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温
した場合の総吸熱量が、100J/g以上であることが
好ましい。100J/g以上であると、温度上昇が遅く
なり、断熱性能がより良好となる。
【0079】本発明においては、断熱膨張材料を構成す
る樹脂組成物に、上記樹脂組成物の物性を損なわない範
囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止
剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹
脂等が添加されてもよい。
【0080】その樹脂組成物は、各成分を単軸押出機、
二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、
二本ロール等公知の混練装置を用いて溶融混練すること
により得ることができる。
【0081】得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成
型、押出し成型、カレンダー成型等の従来公知の方法に
より、断熱膨張材料を柔軟なシート状に成形することが
できる。
【0082】断熱膨張材料の片面には、施工性や燃焼残
渣を改善する目的で基材層が積層されていてもよい。こ
の基材層に用いられる材料としては、例えば、布、不織
布、樹脂フィルム、割布、ガラスクロス、アルミ箔、ア
ルミガラスクロス等が挙げられ、これらを組み合わせて
積層したものを用いてもよい。
【0083】本発明において、不燃材料と補助断熱材と
の間に補助断熱材が設けられてもよい。この場合におい
て、上記耐火壁裏打ちユニットが、外壁側から、不燃材
料、断熱膨張材料、補助断熱材、不燃材料の順で積層さ
れた積層体であることが好ましい。このことにより、実
質的な断熱材の厚みが増加し、優れた防火・耐火外壁構
造を簡単な施工のもとに実現することが可能となる。
【0084】上記補助断熱材としては、ロックウール、
石膏ボード、ガラス繊維強化ポリエステル板、化粧パル
プセメント板、木片セメント板、珪酸カルシウム板、難
燃合板等の準不燃材料などが挙げられる。
【0085】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、以下、図
面に基づいて説明する。
【0086】図1及び図2はそれぞれ本発明の耐火外壁
施工方法の実施の形態の説明図である。なお、図1は外
壁施工構造を模式的に示す要部断面図、図2はその裏面
図である。
【0087】本実施の形態に用いる耐火壁裏打ちユニッ
ト3は、断熱膨張材料3aと、その断熱膨張材料3aの
表面と裏面にそれぞれ積層された不燃材料3bによって
構成されている。断熱膨張材料3aには、1.5mm厚
の柔軟シート(ブチルゴム/ポリブテン/石油樹脂/ポ
リリン酸アンモニウム/熱膨張性黒鉛/水酸化アルミニ
ウム/炭酸カルシウム=42/50/8/100/30
/50/100)が用いられ、不燃材料3bには、0.
3mm厚の亜鉛鋼板が用いられている。また、耐火壁裏
打ちユニット3を固定するための押さえ治具(下)4及
び押さえ治具(上)5には、0.3mm厚の亜鉛鋼板の
折り曲げ加工品が用いられる。
【0088】本実施の形態では、外壁材1として窯業系
サイディング(例えば、モエンエクセラード;ニチハ
製,16mm厚)が用いられ、また、外壁材1を取り付
けるフレーム2には鉄製角パイプ(40mm×70mm
×t=2mm)が用いられる。
【0089】次に、本発明の耐火外壁施工方法の具体的
な例を説明する。まず、一般に行われている外壁施工と
同じ工法で、建築物の躯体構造を構成する梁、柱に矩形
状のフレーム2を施工し(図8〜図11参照)、次い
で、取り付けたフレーム2に外壁材1を、タッピンビス
やボルト等によって固定する。
【0090】次に、以上のような外壁施工が完了した後
に、外壁の反対側(裏面側)からの作業により、耐火壁
裏打ちユニット3をフレーム2間に取り付ける。
【0091】その取付手順は、まず、押さえ治具(下)
4をフレーム2の内周縁に沿って配置するとともに、フ
レーム2間に、耐火壁裏打ちユニット3を嵌め込み、次
いで耐火壁裏打ちユニット3の周縁の所定位置に押さえ
治具(上)5を配置して、この押さえ治具(上)5と押
さえ治具(下)4との間に耐火壁裏打ちユニット3を挟
み込んだ状態で、押さえ治具(上)5及び押さえ治具
(下)4を、フレーム2にタッピンビス6を用いて固定
する、といった手順で行う。
【0092】なお、耐火壁裏打ちユニット3の固定に用
いる押さえ治具としては、図1に示した形状のほか、例
えば図3(A)に示す形状の押さえ治具(上)51、あ
るいは同図(B)に示す押さえ治具(下)42及び押さ
え治具(上)52など、様々な形態が考えられる。
【0093】ここで、以上の実施の形態では、全体が平
板形状の耐火壁裏打ちユニット3を用いているが、これ
に代えて、図4及び図5に示すように、断熱膨張材料3
1aと不燃材料31bとの積層体の周縁が折り曲げら
れ、全体として箱型の形状に成形されてなる耐火壁裏打
ちユニット31を用いてもよい。
【0094】この場合、図5(A)及び(B)に示すよ
うに、耐火壁裏打ちユニット31をフレーム2に、押さ
え治具を用いることなく固定することが可能なり、ま
た、図5(C)に示すように、押さえ治具(上)5のみ
で、耐火壁裏打ちユニット31を固定することが可能に
なる。
【0095】さらに、耐火壁裏打ちユニットとして、図
6及び図7に示すように、断熱膨張材料32aと不燃材
料32bとの積層体の周縁が折り曲げられ、その折曲部
32cでフレーム2を覆う箱型の形状に成形されたもの
を用いてもよい。
【0096】この場合、図7(A)〜(C)に示すよう
に、耐火壁裏打ちユニット32のタッピンビス6による
固定を、耐火壁裏打ちユニット32と直交する方向から
の作業によって行うことが可能となり、先の図5示した
構造のものに比べて、ユニット施工時の作業性が良くな
る。
【0097】
【実施例】本発明の実施例を比較例とともに説明する。 (実施例1)図1及び図2に示した外壁施工構造におい
て、断熱膨張材料3aとして、1.5mm厚の柔軟シー
ト(ブチルゴム/ポリブテン/石油樹脂/ポリリン酸ア
ンモニウム/熱膨張性黒鉛/水酸化アルミニウム/炭酸
カルシウム=42/50/8/100/30/50/1
00)を用い、この断熱膨張材料3aの表面及び裏面に
0.3mm厚の亜鉛鋼板(不燃材料3b)を積層したも
のを耐火壁裏打ちユニット3とした。図1のA−A断面
図を図12に示す。
【0098】また、押さえ治具(下)4として、0.3
mm厚の亜鉛鋼板をL1=20mmL2=75mm、L3
=100mm、L=フレーム寸法に加工したもの、押さ
え治具(上)5として、同じく亜鉛鋼板をL1=20m
m、L4=55mm、L5=70mm、L6=150mm
に加工したものを用いた。
【0099】そして、鉄製角パイプ(40mm×70m
m×t=2mm)を用いて、500mm×1000mm
のフレーム2を構成し、このフレーム2に外壁材1(ニ
チハ製 モエンエクセラード16mm厚)を固定した
後、前記した要領で、耐火壁裏打ちユニット3をフレー
ム2に、押さえ治具(下)4及び押さえ治具(下)5を
用いてビス止めによって固定した。
【0100】このような施工を行った外壁構造につい
て、JIS A1304に定められた基準に基づいて耐
火試験を行ったところ、耐火1時間を満足した。また、
試験時における裏面温度は最大で220℃であった。
【0101】(実施例2)図1及び図2に示した外壁施
工構造において、図13に示すように、断熱膨張材料3
a(厚み0.5mm)と不燃材料3bとの間に、補助断
熱材3c(厚み25mmのロックウール板)を外壁材と
反対側に設けたこと以外は、実施例1と同様にして施工
を行った。この外壁構造について同様に、耐火試験を行
ったところ、耐火1時間を満足した。また、試験時にお
ける裏面温度は最大で200℃であった。
【0102】(実施例3)補助断熱材3cとして、厚み
12.5mmの石膏ボードを用いたこと以外は、実施例
2と同様にして施工を行った。この外壁構造について同
様に、耐火試験を行ったところ、耐火1時間を満足し
た。また、試験時における裏面温度は最大で180℃で
あった。
【0103】(実施例4)補助断熱材3cとして、厚み
10mmのガラス繊維強化ポリエステル板を用いたこと
以外は、実施例2と同様にして施工を行った。この外壁
構造について同様に、耐火試験を行ったところ、耐火1
時間を満足した。また、試験時における裏面温度は最大
で220℃であった。
【0104】また、加熱面が逆になるように施工して
(図14)同様に耐火試験を行ったところ、45分で補
助断熱材がくずれて燃焼したため、耐火1時間を満足で
きなかった。また、試験時における裏面温度は最大で5
00℃であった。 (実施例5)図15に示すように、補助断熱材3c(厚
み12.5mmの石膏ボード)の両面に断熱膨張材料3
a(厚み0.3mm)を、さらにその両面に不燃材料3
bを設けたこと以外は、実施例1と同様にして施工を行
った。この外壁構造について同様に、耐火試験を行った
ところ、耐火1時間を満足した。また、試験時における
裏面温度は最大で160℃であった。
【0105】(比較例1)前記した実施例と同じサイズ
のフレームに、外壁材1(ニチハ社製、商品名「モエン
エクセラード」;16mm厚)のみを取り付けた外壁構
造について、同様に耐火試験を行ったところ、40分で
外壁材1に亀裂・脱落が発生し、耐火1時間を満足でき
なかった。また、裏面温度は最大で400℃であった。
【0106】(比較例2)図16に示すように、断熱膨
張材料3aを用いずに、補助断熱材3cとして厚み25
mmのロックウール)の両面に不燃材料3bを設けたこ
と以外は、実施例2と同様にして施工を行った。この外
壁構造について同様に、耐火試験を行ったところ、45
分で補助断熱材がくずれて燃焼したため、耐火1時間を
満足できなかった。また、試験時における裏面温度は最
大で500℃であった。
【0107】実施例2と実施例4、5を比較すると、断
熱膨張材料3aと不燃材料3bを併用した方が耐火性能
に優れることが、また、実施例4から補助断熱材を外壁
材と反対側に設けた方が、耐火効果に優れることがわか
る。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐火外壁
施工方法によれば、建築物の躯体構造を構成する梁、柱
等に取り付けられた間柱またはフレームを利用して、耐
火壁裏打ちユニットを外壁の裏面側に追加施工するの
で、防火・耐火構造を満足する外壁を簡単に構築するこ
とができる。しかも、外壁材を自由に選択することがで
きるので、意匠性に優れた防火・耐火外壁構造を実現す
ることができる。また、耐火壁裏打ちユニットは工場生
産が可能であるので、全体を均一に製作することが可能
となり、これにより外壁の全体にわたってむらのない耐
火効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐火外壁施工方法の実施の形態の説明
図である。
【図2】同じく実施の形態の説明図である。
【図3】本発明の耐火外壁施工方法の実施の形態に用い
る押さえ治具の変形例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の耐火外壁施工方法の実施の形態に用い
る耐火壁裏打ちユニットの変形例を模式的に示す図であ
る。
【図5】耐火壁裏打ちユニットの固定方法の例を模式的
に示す図である。
【図6】本発明の耐火外壁施工方法の実施の形態に用い
る耐火壁裏打ちユニットの別の変形例を模式的に示す図
である。
【図7】耐火壁裏打ちユニットの固定方法の別の例を模
式的に示す図である。
【図8】外壁施工方法の一例を示す斜視図(A)及び要
部縦断面図(B)である。
【図9】外壁施工方法の他の例を示す斜視図(A)及び
要部縦断面図(B)である。
【図10】外壁施工方法の別の例を示す斜視図(A)及
び要部縦断面図(B)である。
【図11】外壁施工方法の更に別の例を示す斜視図であ
る。
【図12】実施例1における図1のA−A断面図であ
る。
【図13】実施例2〜4における図1のA−A断面図で
ある。
【図14】実施例4において、補助断熱材を外壁側に用
いた例を示す図1のA−A断面図である。
【図15】実施例5における図1のA−A断面図であ
る。
【図16】比較霊2における図1のA−A断面図であ
る。
【符号の説明】
1 外壁材 2 フレーム 3 耐火壁裏打ちユニット 3a 断熱膨張材料 3b 不燃材料 3c 補助断熱材 4 押さえ治具(下) 5 押さえ治具(上) 6 タッピンビス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DD01 DD15 DE01 DE04 FA04 GA11 GA12 GA15 GA42 GA46 HA01 HA03 HA21 HA22 HA32 HB02 HB03 HB04 HB07 HD11 HD13 HD14 HE01 HF12 JC09 LA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の躯体構造を構成する梁、柱に取
    り付けた間柱またはフレームに外壁を固定した後に、そ
    の間柱またはフレーム間に、加熱により膨張する断熱膨
    張材料と不燃材料との積層体からなるパネル状の耐火壁
    裏打ちユニットを固定することを特徴とする耐火壁裏打
    ちユニットを用いた耐火外壁施工方法。
  2. 【請求項2】 断熱膨張材料と不燃材料との積層体の周
    縁が折り曲げられ、全体として箱型の形状に成形されて
    なる耐火壁裏打ちユニットを設置することを特徴とする
    請求項1記載の耐火壁裏打ちユニットを用いた耐火外壁
    施工方法。
  3. 【請求項3】 断熱膨張材料と不燃材料との積層体の周
    縁が折り曲げられ、その折曲部で間柱またはフレームを
    覆う形状に成形されてなる耐火壁裏打ちユニットを設置
    することを特徴とする請求項2記載の耐火壁裏打ちユニ
    ットを用いた耐火外壁施工方法。
  4. 【請求項4】 建築物の外壁の裏面と耐火壁裏打ちユニ
    ットとの間に、隙間又は緩衝層を設けた状態で、耐火壁
    裏打ちユニットを設置することを特徴とする請求項1、
    2または3記載の耐火壁裏打ちユニットを用いた耐火外
    壁施工方法。
  5. 【請求項5】 断熱膨張材料が、25℃での初期のかさ
    密度が0.8〜2.0g/cm3 であり、かつ、500
    ℃で1時間加熱したときのかさ密度が0.01〜0.5
    g/cm3 であることを特徴とする請求項1、2、3ま
    たは4記載の耐火壁裏打ちユニットを用いた耐火外壁施
    工方法。
  6. 【請求項6】 断熱膨張材料が、熱可塑性樹脂又はゴム
    物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無
    機質充填材を含有することを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5記載の耐火壁裏打ちユニットを用いた耐
    火外壁施工方法。
  7. 【請求項7】 耐火壁裏打ちユニットを外壁の反対側か
    ら押さえつける治具を用いて、耐火壁裏打ちユニットを
    間柱またはフレームに対して固定することを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5又は6記載の耐火壁裏打ちユ
    ニットを用いた耐火外壁施工方法。
  8. 【請求項8】 耐火壁裏打ちユニットが、外壁側から、
    不燃材料、断熱膨張材料、補助断熱材、不燃材料の順で
    積層された積層体からなることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6又は7記載の耐火壁裏打ちユニット
    を用いた耐火外壁施工方法。
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