JP3790468B2 - 防耐火目地構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物外壁の目地部に形成される防火性及び耐火性を備えた防耐火目地構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般建築物の内外壁に用いられる部材に対して防火性及び耐火性が要求されるようになってきた。これに伴い、外壁の接続部(目地部)に対しても、従来必要とされてきた水密性に加えて、防火性及び耐火性(以下、防・耐火性という)が要求されている。
【0003】
この目地部に要求される防・耐火性としては、JIS A 1304によると、裏面への炎の貫通がない遮炎性を有すること、目地部が部材で覆われている場合は、その部材の温度が260℃以下となる遮熱性を有することが求められる。
【0004】
このような観点から、外壁の接続部に防・耐火性を付与する種々の手法が提案されている。たとえば、特開平8−81674号公報によれば加熱により発泡して形成される炭化層膜が大きな体積膨張を示して、炎の侵入を抑えることのできる防火性シーリング材(シーラント)が提案され、そのシーリング材は、目地部に注入又は塗布されて使用されている。
【0005】
また、特開平8−209891号公報によれば、耐火性を有するガスケットを目地部に取り付ける手法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シーリング材を注入又は塗布する場合は、注入又は塗布作業に技術及び施工時間を要し、施工が不十分であると火災時にシーラントが目地部から脱落し、遮炎効果が不十分となり、火災時に目地部から炎が貫通する恐れがある。また、この注入又は塗布施工は、現場にて施工をしなければならないという問題もあり、多くの場合には建築物全体に足場を設けて行われる。
【0007】
一方、耐火性を有するガスケットを取り付ける手法は、比較的簡易に短時間で施工できるが、そこに用いられるガスケット自体が高価であるという問題があった。
【0008】
また、シーラントを塗布したり、ガスケットを取り付ければ一次防水は行えるが、毛管現象による水に対応した水密性を保持するには、さらに二次防水が必要となる。
【0009】
この二次防水には、壁パネルの木口面にブチルテープなどを貼り付けたうえで発泡ポリエチレンなどのバックアップ材を嵌め込む手法があるが、この場合、ブチルテープの貼り付けとバックアップ材の嵌め込みとが必要で、施工が非常に煩雑になるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述のような問題点を解消するためになされたもので、目地部に防耐火性を持たせ、かつ、施工が簡便な目地構造を提供することを目的とする。また、この発明の更なる目的は、目地部に防耐火性を持たせ、かつ、施工が簡便な目地構造であって、さらに、水密性の保持された目地構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、外壁パネルを備えた下階建物ユニットと外壁パネルを備えた上階建物ユニット間の防耐火目地構造であって、
前記下階建物ユニットの大梁の上面、及び前記上階建物ユニットの外壁パネルの裏面から、防水シートが前記下階ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面上に延設され、
2つの前記防水シートの間に、前記上階建物ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面に向けて火災時にその体積が著しく膨張する耐火膨張層を形成しうる熱膨張性耐火部材が固定されたことを特徴とする防耐火目地構造である。
また請求項2記載の発明は、外壁パネルを備えた下階建物ユニットと外壁パネルを備えた上階建物ユニット間の防耐火目地構造であって、
前記下階建物ユニットの大梁の上面から、防水シートが前記下階ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面上に延設され、
ガスケットを保持した取付金具が、前記木口面の前面に固定され、
前記ガスケットの受け金具が、前記上階建物ユニットの外壁パネルの裏面側に固定され、
火災時にその体積が著しく膨張する耐火膨張層を形成しうる熱膨張性耐火部材が、前記ガスケットの受け金具の前面に、上階建物ユニットの木口面に向けて貼付され、
前記熱膨張性耐火材にはアルミ箔が積層されてなることを特徴とする防耐火目地構造である。
【0012】
ここで、この熱膨張性耐火部材の木口面に向けての固定は、施工現場にても行えるが、工場などで建物ユニットなどを組み立てる際に、予め、目地部を構成する外壁パネルの木口面等にこの熱膨張性耐火部材を直接又は間接に貼付又は挿入により固定してもよい。
【0013】
このような熱膨張性耐火部材の挿入又は貼付は、従来のシーラントを注入又は塗布する施工に比べて技術を要せずに行えるので、請求項1記載の発明によれば、熱膨張性耐火材部材は、防耐火性の外壁パネルのジョイント部となる木口面等に直接又は間接に貼付又は挿入するという簡単な施工方法により提供される。
【0014】
ここで、この目地構造での熱膨張性耐火部材は、目地部に充満されていてもよいが、必ずしも充満されずに隙間があってもよい。火災時には、木口面に向けて熱膨張性耐火部材が膨張して目地部が膨張された耐火膨張層により充満されれば遮炎が行え、裏面への火炎の貫通がなくなる。また、この充満された耐火膨張層により、目地部を通じた熱の伝搬が抑制され、これにより外壁パネルの裏面への温度上昇も抑制することができる。
【0015】
また、熱膨張性耐火部材の施工を工場などで行えば、高品質管理のもとに熱膨張部材を木口面に直接又は間接に固定することができる。これにより、火災時にこの熱膨張部材が目地部から脱落したりすることがなく、確実に遮炎を行うことができる。
【0016】
このような熱膨張性耐火部材としては、例えば、50kw/m2 の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張倍率が加熱前の体積の3倍以上100倍以下であるものが好ましい。3倍以上と高倍率のものを選択することにより、厚みの薄い熱膨張性耐火部材を用いることにより、ユニット建物を組み立てた場合の目地間に隙間があっても、火災時にはこの熱膨張性耐火部材を木口面に向けて膨張させて目地間を確実に充満させることができる。
【0017】
また、この熱膨張性耐火部材として、緩衝性材料が内層又は外層に積層されたものを用いれば、この緩衝性材料が緩衝材となり、熱膨張性耐火部材の挿入が容易となる。
【0018】
また、この熱膨張性耐火部材として、水密弾性材料が積層されていれば、この熱膨張性耐火部材を木口面に貼付又は挿入することにより目地部での水密性も図れる。
【0019】
以上のような熱膨張性耐火材は、例えば、熱膨張性耐火材層の一面に緩衝性材料が積層され他面に水密弾性材料が積層されたもの、熱膨張性耐火材層の一面に水密弾性材料の層が積層されたものを包含する。
【0020】
また、この熱膨張性耐火部材として、粘着剤層が最外表面に積層されているものを用いれば、木口面等への貼付が容易かつ確実となる。
【0021】
ここで、この粘着剤層は、仮止めできる程度で有ればよい。この場合には、仮止め後、タッカーや釘などにより固定される。それ故、この粘着剤層は貼付面の全面にわたっていても、部分的でも、点在されていてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施の形態に係る目地構造が適用される建物として、工場において予め組み立てられた箱形の建物ユニットを施工現場へ運搬し、施工現場において組立施工されるユニット建物の目地構造の一例を示す図である。
【0023】
下階建物ユニットU1,上階建物ユニットU2が工場から運搬され、施工現場において、下階建物ユニットU1の上に上階建物ユニットU2が不図示の箇所でボルト接合などにより接合されてユニット建物Uが形成されている。これらの上下階建物ユニットU1,U2には、工場にて予め不図示の間柱などを介して外壁パネル1、2が固定されている。
【0024】
これらの外壁パネル1,2は防・耐火性を備えたものであり、不燃材料又は準不燃材料から構成され、たとえば、石膏ボードや硬質木片セメント板、繊維混入セメント板、繊維混入アルミナシリケート板、オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート板(ALC)単体又は金属フレームなどとの積層板等が好適に用いられる。
【0025】
これにより、下階建物ユニットU1と上階建物ユニットU2とのジョイント部となる木口面1a、2aには目地部3を構成する隙間が形成されている。
【0026】
下階建物ユニット1の大梁5の上面5a及び外壁パネル2の裏面2bから防水シート6、6がそれぞれ木口1a面上に延設されている。
【0027】
外壁バネル2の下端の木口面2aには、工場にてこの発明で用いるシート状の熱膨張性耐火部材10が予め粘着剤や接着剤にて貼付され、不図示のタッカー又は釘打ちにより固定されている。
【0028】
この発明に係る防耐火目地構造では、火災時にこの熱膨張性耐火部材10が膨張して、図2に示すように、外壁パネル1,2のジョイント部となる木口面1a,2a間(木口2aと防水シート6間)を完全に充満した耐火膨張層20が形成される。
【0029】
これにより、目地部3は、この膨張により形成された耐火膨張層20により充満されて遮炎される。また、建物内部への火炎の貫通がなくなるとともに、この充満された耐火膨張層20により、目地部3を通じた熱の伝搬が抑制され、これにより外壁パネル1,2の裏面への温度上昇も抑制することができる。
【0030】
また、この木口面2aへの熱膨張性耐火部材10の貼付及び固定施工は工場などで行われるので、施工が楽であり、高品質管理のもとに熱膨張部材10を木口面2aに確実に固定することができる。これにより、長期間にわたって熱膨張部材10が木口面2aから脱落したりすることがなく、いつ起こるかわからない、火災に対しても確実に遮炎を行うことができる。
また、図20、図21のように、熱膨張性耐火部材が十分に膨張することにより目地を閉塞できるものであれば、目地の外壁木口の一方にのみ貼付されていてもよい。
【0031】
この熱膨張性耐火部材10は、図3〜図11に示すように、熱膨張性耐火材料を押出成形などにより形成される長手方向に一様に延びる、例えば、フィルム状、シート状、板状、棒状(ロッド状)等の形態であり、その断面は、方形、円形、楕円形、多角形、自由形等である。また、熱膨張性耐火部材10は、芯層又は表層に熱膨張性耐火材料よりなる層(熱膨張性耐火部材層)11を備え、表層又は芯層として緩衝性材料よりなる緩衝層13を備えたり、目地部3の木口面1a,2a等に接する面に水密弾性層14や粘着剤層12を備えていてもよい。
【0032】
この熱膨張性耐火部材10の大きさは特には制限がないが、その遮炎すべき目地部3の幅(木口面1aと木口面2aとの距離)、目地部3の形状、及び熱膨張性耐火材料の体積膨張率、形状、価格等を考慮して適宜に設定される。
【0033】
熱膨張性耐火材料から構成される部分の厚みは、目地部3の幅に対して、通常、その目地部の幅の1〜50%程度の範囲のものが好ましく用いられる。この厚みが薄すぎると、目的とする裏面への火炎の貫通を防止する遮炎性が低下し、一方、厚みが厚ければ厚いほど、耐火性、防水性等には有利であり、また遮炎性などの性能上の問題はないが、コストが増加する。なお、この幅は、熱膨張性耐火材料から構成される層が複数の場合には、それらの合計厚みである。
【0034】
このような熱膨張性耐火部材10は、たとえば、長手方向に亘って均一な隙間を備えた目地部3又は壁パネルの木口面1a,2aに貼付又は挿入が容易となり、木口間の長手方向に対して均一に貼付又は挿入が行える。
【0035】
また、緩衝層13の厚みは、用いられる目地部分の隙間に応じて設定される。目地部3の幅に対して50〜300%程度のものが一般に用いられる。目地部の幅に対して50%未満の場合には、目的とする目地部3を充填する際の緩衝機能が不十分となり、また、300%を超える場合には、目地部3に充填する際の施工性が劣る。
【0036】
また、水密弾性層14の厚みも特には限定されないが、0.1mm〜3mmの範囲内のものが一般的に用いられる。水密弾性層14の厚みが薄いと、目的とする防水性を得ることが困難となり、3mmよりも厚い場合には、熱膨張性耐火部材10自体の難燃性が低下することがある。
【0037】
また、粘着剤層12の厚みは特には限定されないが、0.1mm〜2mmの範囲内のものが一般的に用いられる。粘着剤層の厚みが薄いと、防水性を目的とする場合にはその防水性が困難となり、2mmよりも厚い場合には、熱膨張性耐火部材10自体の難燃性が低下することがある。
【0038】
図3に示す熱膨張性耐火部材10は、熱膨張性耐火材料から構成されるシート状(又はテープ状)の熱膨張性耐火部材層11から構成されている。この熱膨張性耐火部材10は、ロールなどに巻いた状態で保管したり提供したりすることができる。
【0039】
図4に示す熱膨張性耐火部材10は、熱膨張性耐火部材層11の一方の面に塗布などにより積層された粘着剤層12が設けられている。
【0040】
なお、この粘着剤層12は、図4では全面にわたって均一に設けられているが、部分的に設けられていたり、点在されていてもよい。また、この熱膨張性耐火部材10は、粘着剤層10が付与された面に離型紙を貼り付ければ、ロールなどに巻いた状態で保管したり提供したりすることができ便利である。
【0041】
図5に示す熱膨張性耐火部材10は、互いに平行な一対の熱膨張性耐火部材層11間に略方形の緩衝性材料からなる緩衝層13がサンドイッチ状に(芯層として)挟まれた構成である。このような熱膨張性耐火部材10は、たとえば、押出成形により各部材層を形成し、接着剤により接合させることにより形成される。
【0042】
また、図6に示す熱膨張性耐火部材10は、円形ロッド状の緩衝層13の周囲に円筒状の熱膨張性耐火部材層11が積層された形態である。この断面は円形に限らず、方形など多角形であっても、また、それらの角部は面取りされていてもよい。
【0043】
このような形態の熱膨張性耐火部材10は、押出成形により円筒状の熱膨張性耐火部材層11を形成し、その一側面11aを長手方向に切り開き、この開口に押出成形などにより形成されたロッド状の緩衝層13を押し込むことにより形成される。もちろん共押出により成形してもよく、その他の方法により形成されていてもよい。
【0044】
図7、図8に示すように、熱膨張性耐火部材層11を芯層に用いてもよい。これらの熱膨張性耐火部材10では、芯層として熱膨張性耐火部材層11が用いられ表層として緩衝層13が積層されている。なお、この図7、図8の熱膨張性耐火部材層11は一層であるので、図5、図6の熱膨張性耐火部材層11よりも層の厚み又は体積が増大されている。
【0045】
なお、図8においては、緩衝層13としての中空樹脂発泡体の一側面が符号13aで示すように切り裂かれて内部に円形ロッド状の熱膨張性耐火部材層11が挿嵌されているが、この切り裂き13aはなくてもよい。
【0046】
また、図9〜図11に示す熱膨張性耐火部材10はいずれも目地部3への挿嵌用の部材であり、目地部3への圧入できるように、目地間の幅よりも高さが高く構成され、適度な弾性又は柔軟性を備えている。図9に示す熱膨張性耐火部材10は、熱膨張性耐火部材層11のみからなる弾性材料であり、矢印方向に向けて中央を折り曲げられながら、木口1a,2a間に圧入されて支持されて弾性により、または適当な粘着剤、接着剤などにより固定されて支持される。
【0047】
また、図10に示す熱膨張性耐火部材10は、可撓性又は弾性を備えた熱膨張性耐火部材層11の裏面側に中央部分の厚みが減少され、両側に向かって厚みが増大された緩衝層13が接着剤などにより固定された構成とされている。これにより、中央部分で折り曲げて矢印方向に向けて木口1a,2a間に圧入されることにより緩衝層13に支持されて熱膨張性耐火部材10は目地部3に保持される。
【0048】
また、図11に示す熱膨張性耐火部材10は一方の側面10aから他方の側面10bに向かって幅が漸減され、両側面10c、10dが不連続に構成された楔型の形態である。幅が狭い側面10bから、目地部3に挿嵌容易に構成されている。このような形態の変形例は、たとえば、公知の1次止水ガスケットに用いられ、たとえば、特開平8−209891号公報の図面に記載の1次止水ガスケットと同一の形態であってもよい。
【0049】
以上の熱膨張性耐火部材10には、図12、図13に示すように、木口面2a(又は木口面1a)との間の水密性を維持させるには、これらの木口面2a等に接する側に水密性弾性材料層14を積層してもよい。
【0050】
この発明で用いられる熱膨張性耐火材料は、従来から用いられている耐火断熱層(耐火膨張層)を形成しうる材料であって火災時にその体積が著しく膨張する熱膨張性耐火材料である。
【0051】
このような熱膨張性耐火材料としては、例えば積水化学工業の商品名:フィブロック(ブチルゴムと熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料)、3M社の商品名:ファイアバリア(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料)、三井金属塗料の商品名:メジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料)等の熱膨張性シート材料が挙げられる。
【0052】
また、熱膨張性耐火材料としては、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、又はエポキシ樹脂と、加熱時に膨張する層状無機物を含有する無機充填材とからなる材料であってもよい。
【0053】
熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ブチルゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、水素添加石油樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の中でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。また、これらの樹脂の中で、柔軟でゴム的性質を持っているものが好ましく、無機充填剤を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0054】
エポキシ樹脂を用いたシートは、膨張後の耐火膨張層20が架橋構造をとるため、形状保持性に優れており、材料の厚みを薄くして発泡倍率を上げても、好適に遮炎を行うことができる。これらのエポキシ樹脂としては、特には限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。
【0055】
エポキシ基をもつモノマーとしては、たとえば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型などが挙げられる。
【0056】
この2官能のグリシジルエーテル型としては、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等が挙げられる。
【0057】
また、グリシジルエステル型としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等があげられ、多官能のグリシジルエーテル型としては、フェノールノボラック型、オルトクレゾールノボラック型、DPP(ジフェニル−p−フェノール)ノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型などが挙げられる。
【0058】
これらは、単独でも2種以上混合されていてもよい。
【0059】
また、硬化剤は、重付加型であっても、触媒型であってもよく、これらのエポキシ樹脂の硬化方法は限定されない。重付加型としては、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示され、触媒型としては、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体などが挙げられる。
【0060】
このような無機充填材としては、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、珪酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化珪素、ステンレス繊維、硼酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物などが挙げられる。これらは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0061】
これらの中で、特に骨材的役割を果たす炭酸カルシウム、炭酸亜鉛で代表される金属炭酸塩や含水無機物が好ましい。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムで代表される含水無機物は骨材的役割に加えて加熱時に吸熱効果を付与することができる。
【0062】
また、無機系リン化合物は、難燃性の向上に好適に用いられ、たとえば、赤リン;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類等が挙げられる。これらの中で、ポリリン酸アンモニウム類が好ましい。
【0063】
また、加熱時に膨張する層状無機物としては、特に限定されないが、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等が挙げられる。これらの中で、膨張開始温度が低いことから、熱膨張性黒鉛がこの発明の熱膨張性耐火部材を形成する材料として好適に用いられる。
【0064】
この熱膨張性黒鉛としては、粒度が20〜200メッシュの範囲にあるのが好ましい。この粒度が200メッシュより小さくなると黒鉛の膨張度が小さくなり、十分な耐火断熱層を得ることが困難となる。一方、この粒度が20メッシュよりも大きくなると黒鉛の膨張度が大きくなるという利点はあるが、樹脂と混練する際の黒鉛の分散性が劣り、物性が低下する場合がある。
【0065】
このような熱膨張性黒鉛は、公知物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0066】
このように、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの中和剤により中和したものを使用するのがよい。
【0067】
このような脂肪族低級アミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。また、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸鉛、有機酸塩等が挙げられる。
【0068】
このように中和処理した熱膨張性黒鉛の具体例としては、例えば、UCAR CARBON社製の商品名GRAFGUARD 、東ソー社製の商品名GREP-EG 等が挙げられる。
【0069】
これらの無機充填材は、熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂の樹脂100重量部に対し、加熱時に膨張する層状無機物が20〜350重量部の範囲で含有する無機充填材を50〜400重量部含有するのが好ましい。
【0070】
層状無機物が20重量部よりも少ないと、膨張倍率が不足して十分な遮炎効果を得ることが困難となる。また、350重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品としての形態保持性(強度)が得られにくい。
【0071】
また、この層状無機化合物を含む無機充填材の充填量が少ないと、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下する。一方、無機充填材の充填量が400重量部よりも多いと、樹脂バインダーの配合比率が減少するため、粘着力が不足する。
【0072】
この樹脂組成物は、この発明の効果を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、成形物に粘着性を付与するために粘着付与剤が添加されてもよい。
【0073】
以上の樹脂組成物は各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等従来公知の混練装置に供給して溶融混練された後、押出成形、カレンダー成形等、従来公知の成形方法によってシート状等自由な形状とすることができる。
【0074】
以上説明した熱膨張性耐火部材10としては、熱膨張性耐火部材層11の厚みが、50kw/m2 の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張倍率で加熱前の体積の3倍以上100倍以下であるものが好ましく、特にこの条件下での厚み方向の膨張が3倍以上であることが好ましい。
【0075】
膨張倍率を3倍以上と高倍率のものを選択することにより、厚みの薄い熱膨張性耐火部材を用いることにより、ユニット建物を組み立てた場合の目地間に隙間があっても、火災時にはこの熱膨張性耐火部材を木口面に向けて膨張させて目地間を確実に充満させることができる。また、体積膨張が小さい材料を用いると、分厚い熱膨張性耐火部材が必要となり、コストが上昇する。
【0076】
一方、この熱膨張倍率に上限はないが、あまり倍率が高いと、膨張後に形成される熱膨張性耐火部材層の機械的強力が弱くなり、良好な遮炎効果を得ることが困難となり、一般的には100倍以下である。
【0077】
つぎに、この発明で用いられる緩衝性材料としては、樹脂発泡体又は不織布又は織布が用いられる。
【0078】
この樹脂発泡体としては、発泡倍率が5〜100倍程度のものが好ましく用いられ、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、ポリオレフィン系発泡体、ポリスチレン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、フェノール樹脂系発泡体、イソシアネート系発泡体等の発泡体が例示され、これらの樹脂発泡体は独立気泡性発泡体であるのがよい。
【0079】
また、上記の不織布としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、アクリル樹脂系不織布などの有機繊維系不織布はもちろんのこと、セラミックブランケット、ロックウール、グラスウール等の無機系不織布が好適に用いられる。
【0080】
これらの無機系不織布は、ポリエチレンなどの樹脂フィルムで包まれることにより、水密性弾性材料などの他の材料を積層する際の接着性が高められる。
【0081】
また、上記の織布としては、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、アクリル樹脂系織布などの有機繊維系織布や無機系織布が用いられる。
【0082】
この発明で用いられる水密性弾性材料としては、ゴムや独立気泡性熱可塑性樹脂発泡体などが用いられる。
【0083】
このゴムとしては、従来用いられている天然ゴムや合成ゴムなどをそのまま用いることができる。この合成ゴムとしては、たとえば、ブチルゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上併用されていてもよい。
【0084】
また、独立気泡性熱可塑性樹脂発泡体としては、たとえば、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、ポリオレフィン系発泡体、ポリスチレン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、フェノール樹脂系発泡体、イソシアネート系発泡体等の独立気泡性発泡体が好適なものとして例示され、その発泡倍率は、5〜100倍の範囲が好ましい。また、この水密弾性材料が独立気泡性熱可塑性樹脂発泡体である場合には、防水性が劣る場合があるので、通常、粘着剤層が積層される。
【0085】
この粘着剤層としては、従来用いられている公知の粘着剤を用いることができる。たとえば、アクリル系粘着剤、ブチルゴムなどが適当な粘着付与剤であり、石油系樹脂等を適宜添加したものが用いられている。
【0086】
このような水密弾性材料は粘着性を備えていれば、粘着剤層と兼用することができ、また、上述の緩衝層が木口面に形成される場合であって、緩衝層を形成する材料が水密性と弾性を保持する材料から選択される場合には、緩衝層と兼用することができる。
【0087】
【変形例】
つぎに、図14〜図15により、ユニット建物を例とした目地構造の他の例を説明する。図1と同一乃至は均等な部位部材については詳細な説明は省略する。
【0088】
【変形例1】
図14においては、木口面1aの上方に位置する2つの防水シート6,6の間に、アルミ積層紙16が積層された熱膨張性耐火部材10が固定されている。この熱膨張性耐火部材10は、図3又は図4に示すものと略同一であり、粘着剤又は接着剤により仮固定されたのち、タッカーや釘打ち(不図示)により木口面1aに固定されている。
【0089】
また、下階建物ユニット1の大梁5と上階建物ユニット2の大梁5との間に水密性を維持するための二次防水材7が挿嵌され、目地部3を覆い隠すように、胴差しなどの化粧部材8が外壁パネル1に釘打ちなどにより固定されている。
【0090】
以上のように構成された目地構造によれば、熱膨張性耐火部材10、10間の隙間は胴差し8により覆われて外部からは視認されない。また、二次防水材7が上下階のユニット建物U1、U2間に介在されているので、水密性も保持される。
【0091】
また、熱膨張性耐火部材10は、上階のユニット建物U2の施工前に、下階のユニット建物U1の目地部3の防水シート6上に固定され、その後、上階のユニット建物U2が施工されて熱膨張性耐火部材10上に上階のユニット建物U2の防水シート6が配置されるが、熱膨張性耐火部材10の固定が容易であるとともに、防水シート6により外気から遮断されるので雨水や太陽光による劣化の影響が少なく、火災時の熱膨張性耐火部材10の膨張を確実なものとすることができる。
【0092】
【変形例2】
また、図15においては、予め工場にて、外壁パネル1の木口面1aの前面にガスケット9を保持した取付金具9aが固定され、上階建物ユニットU2を組み立てた状態で、このガスケット9を受けるガスケット受け金具9bが外壁パネル2の裏面2bに固定されている。このガスケット受け金具9bの前面には、アルミ箔17が積層された熱膨張性耐火部材10が施工現場で目地部3の木口面1a側に貼付されている。
尚、ガスケット9は、図14における上階の建物ユニットU2の防水シート6の代りに用いられるもので、このガスケット9により目地部3の防水性を確保でき、また、上階の建物ユニットU2の防水シート6を建物ユニットU1との間に取り回す作業が不要になるものである。
【0093】
以上のように構成された目地構造によれば、熱膨張性耐火部材10は、上階の建物ユニットU2の施工後に外側から配置固定することができ、さらに、アルミ箔17が積層されているので、雨水や太陽光による劣化の影響が少なく、火災時の熱膨張性耐火部材10の膨張を確実なものとすることができる。
【0094】
これらにより、目地部3は、この膨張により形成された耐火膨張層20により充満されて遮炎される。また、建物内部への火炎の貫通がなくなるとともに、この充満された耐火膨張層20により、目地部3を通じた熱の伝搬が抑制され、これにより外壁パネル1,2の裏面への温度上昇も抑制することができる。
【0095】
【実施例】
以下、この発明を具体的な実施例により説明するが、この発明はこの実施例には限定されない。
【0096】
なお、以下の実施例における厚み方向の膨張倍率及び熱伝導率は次のようにして測定された。
[厚み方向の膨張倍率]
ATLAS社製のコーンカロリーメーター(CONE2)を用いて、膨張後の耐火断熱材の作製を行った。
【0097】
幅100mm×長さ100mm×厚さtmmのシート状の熱膨張性耐火部材層単層からなる熱膨張性耐火部材10を照射サンプルとした。
【0098】
この照射サンプルを(中規模火災時の燃焼条件に相当する)照射熱量50kW/m2 に設定したコーンカロリーメーターで30分間、加熱、燃焼させて、膨張後の耐火膨張層20の厚み(t´mm)を測定し、次式により厚み方向の膨張倍率を算出した。
【0099】
なお、厚み方向の膨張倍率が20倍を超える場合には、粘着剤の塗布された熱膨張性耐火部材10が用いられ、この熱膨張性耐火部材10は、内寸、幅100mm×長さ100mm×高さ30mmの四方を囲んだ鉄板やアルミ箔の箱の底に粘着剤により固定して測定された。
【0100】
厚み方向の膨張倍率(倍)=t´/t
[熱伝導率]
英弘精機社製の保温材熱伝導率測定装置HC−073を用いて、25℃の条件下での熱伝導率が測定された。
【0101】
実施例1
シート材料用の耐火材Aとして次の組成組成物を用いた。
耐火材A:メタロセンPE(ダウケミカル社製 EG8200)の100重量部と熱膨張性黒煙(東ソー社製 フレームカットGREP−EG)の50重量部と炭酸カルシウム(備北粉化社製 ホワイトンBF−300)の100重量部。
【0102】
発泡ポリエチレンを押出成形し、その周囲を覆うように耐火材Aを厚み1mmとなるように押出成形した後、さらにその表面にブチルゴム(エクソン社製 ブチル#065)14を貼り付けて図12に示すような熱膨張性耐火部材10を得た。
【0103】
この熱膨張性耐火部材10の膨張倍率は12倍、熱伝導率は0.11kcal/m・h・℃(0.46kJ/m・h・℃)であった。
【0104】
この熱膨張性耐火部材10は、中心に緩衝層13としての発泡ポリエチレンと、その外層に被覆された厚み1mmの熱膨張性耐火部材層11と、最外周に被覆された水密弾性層14としてのブチルゴムとから構成されている。この熱膨張性耐火部材10は、図示のとおり、隣接する外壁パネル1,2間の目地部3に充填された。
実施例2
厚み2.5mmのシート状の耐火材B[3M社製 ファイアバリア(膨張倍率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃(0.84kJ/m・h・℃))]の一面にクロロプレン系接着剤を塗布して緩衝層13としての発泡ポリエチレンを接着した。さらに、この表面に水密弾性材料としてのブチルゴム(エクソン社製 ブチル#065)を貼り付けて、図13に示す形状の熱膨張性耐火部材10を得た。この熱膨張性耐火部材10は、熱膨張性耐火部材層11,緩衝層13,水密弾性層14が積層された3層構造である。得られた熱膨張性耐火部材10の中央を図示の通り折り曲げ、両方の木口面1a,2aに水密弾性材層14が接するように挿嵌して施工した。
実施例3
厚み2mmのシート状の耐火材C[三井金属塗料社製 メジヒカット(膨張倍率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃(0.88kJ/m・h・℃))]の一面にウレタン系接着剤を塗布して緩衝層13としての発泡ポリエチレンを接着し、ついで、その表面に水密弾性材料としてのブチルゴム(エクソン社製 ブチル#065)を貼り付け、図13に示す3層構造の熱膨張性耐火部材10を得た。この熱膨張性耐火部材10の中央を折り曲げ、両方の木口面1a,2aに水密弾性材層14が接するように挿嵌して施工した。
比較例1
隣接する外壁パネル1,2の目地部3に筒状の発泡ポリエチレンを挿嵌して施工した。
比較例2
隣接する外壁パネル1,2の目地部3にロックウールを施工した。
[耐火性試験]
縦150mm×横1000mm×厚さ17mmの繊維混入アルミナシリケート板(積水化学工業社製)を外壁パネル1,2として、それぞれをC型鋼150×50×厚み3.2mm、材質SS41に目地部3の間隔が32.5mmとなるようにコンクリートビスで固定した。
【0105】
これをJIS A1304(建築構造部分の耐火試験方法)に準拠して、一時間加熱した。加熱した際の表面温度(鋼管の表面温度)を測定し、裏面温度が260℃を超えるか否かで判定を行った。
【0106】
その結果、本願発明に相当する各実施例1〜3では、いずれも照射によりガスケットの脱落などは観察されたが、熱膨張性耐火部材10が膨張して得られた熱膨張性耐火部材層20は、目地部を充満し、十分に遮炎が行われた。この結果、裏面温度が260℃に達したものはなかった。
【0107】
これに対し、比較例では、裏面温度がいずれの場合にも360℃となり、判定基準である260℃を大きく超えた。
[防水試験]
実施例の内、水密弾性層14を含むものと比較例1,2について防水性試験を行ったところ、実施例に従う場合は、裏面への防水は認められなかったが、比較例ではいずれの場合にも裏面への防水が認められた。
【0108】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、防耐火性の外壁パネルのジョイント部となる木口面に向けて火災時にその体積が著しく膨張する耐火膨張層を形成しうる熱膨張性耐火部材を貼付又は挿入したので、従来のシーラントを注入又は塗布する施工に比べて技術を要せずに施工できる。
【0109】
請求項2記載の発明によれば、熱膨張性耐火部材として50kw/m2 の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張倍率が加熱前の体積の3倍以上100倍以下であるものが選択されるので、厚みの薄い熱膨張性耐火部材を用いることにより、ユニット建物を組み立てた場合の目地間に隙間があっても、火災時にはこの熱膨張性耐火部材を木口面に向けて膨張させて目地間を確実に充満させることができる。
【0110】
請求項3記載の発明によれば、熱膨張性耐火部材として、緩衝性材料が内層又は外層に積層されたものを用いているので、この緩衝性材料が緩衝材となり、熱膨張性耐火部材の挿入が容易となる。
【0111】
請求項4記載の発明によれば、この熱膨張性耐火部材として、水密弾性材料が外層に積層されているので、この熱膨張性耐火部材を木口面に貼付又は挿入することにより目地部での水密性も図れる。
【0112】
請求項5記載の発明によれば、粘着剤層が最外層に積層されているので、熱膨張性耐火部材を木口面に貼り付ける施工が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る防耐火目地構造を説明する断面図である。
【図2】 図1の防耐火目地構造において遮炎が行える状況を模式により説明する断面図である。
【図3】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図4】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図5】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図6】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図7】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図8】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図9】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例とその施工状況を模式的に説明する断面図である。
【図10】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例とその施工状況を模式的に説明する断面図である。
【図11】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例を示す部分斜視図である。
【図12】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例とその施工状況を模式的に説明する断面図である。
【図13】 この発明に係る熱膨張性耐火部材の一例とその施工状況を模式的に説明する断面図である。
【図14】 この発明に係る防耐火目地構造を説明する断面図である。
【図15】 この発明に係る防耐火目地構造を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 外壁パネル
1a 木口面
2 外壁パネル
2a 木口面
3 目地部
10 熱膨張性耐火部材
11 熱膨張性耐火部材層
12 粘着剤層
13 緩衝層
14 水密弾性層

Claims (3)

  1. 外壁パネルを備えた下階建物ユニットと外壁パネルを備えた上階建物ユニット間の防耐火目地構造であって、
    前記下階建物ユニットの大梁の上面、及び前記上階建物ユニットの外壁パネルの裏面から、防水シートが前記下階ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面上に延設され、
    2つの前記防水シートの間に、前記上階建物ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面に向けて火災時にその体積が著しく膨張する耐火膨張層を形成しうる熱膨張性耐火部材が固定されたことを特徴とする防耐火目地構造。
  2. 外壁パネルを備えた下階建物ユニットと外壁パネルを備えた上階建物ユニット間の防耐火目地構造であって、
    前記下階建物ユニットの大梁の上面から、防水シートが前記下階ユニットの外壁パネルのジョイント部となる木口面上に延設され、
    ガスケットを保持した取付金具が、前記木口面の前面に固定され、
    前記ガスケットの受け金具が、前記上階建物ユニットの外壁パネルの裏面側に固定され、
    火災時にその体積が著しく膨張する耐火膨張層を形成しうる熱膨張性耐火部材が、前記ガスケットの受け金具の前面に、上階建物ユニットの木口面に向けて貼付され、
    前記熱膨張性耐火材にはアルミ箔が積層されてなることを特徴とする防耐火目地構造。
  3. 前記熱膨張性耐火部材は、50kw/m 2 の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張倍率が加熱前の体積の3倍以上100倍以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の防耐火目地構造。
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