JP2006161435A - 鉄骨被覆構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
建築構造材用鉄骨と、
厚みが10〜50μmのアルミニウム箔および単位面積当たりの重量が30〜250g/m2の無機繊維クロスを備えた積層シートならびに耐火材料からなる鉄骨用被覆材と、
を備えた構造であって、
前記鉄骨用被覆材が、前記建築構造材用鉄骨を覆う様に設けられ、
かつ前記アルミニウム箔が、前記構造の最表面に位置する様に設けられたことを特徴とする鉄骨被覆構造。
【選択図】図3
Description
前記構造として、石膏ボード、熱膨張性耐火材および金属箔を備えた鉄骨被覆構造が提案されている(特許文献1)。
また、前記材料として、熱膨張性耐火材および金属板を備えた鉄骨被覆構造も提案されている(特許文献2)。
そしてこれらの鉄骨被覆構造においては、耐火性を発現する目的のために、石膏ボードや金属板等が必須の構成要件とされている。
一方、上記石膏ボードや金属板を使用しない鉄骨被覆構造として、水や水蒸気の遮断等を目的としてアルミニウム箔、無機クロスおよびロックウールを備えた鉄骨被覆構造も提案されている(特許文献3)。
しかしながら、これらの石膏ボードや金属板等は重量が大きいことや、施工現場において形状を自由に変形することが容易ではないこと、二種類の材料を使用すること等の理由によりその施工に時間が掛かることから、その施工性の向上が望まれていた。
一方、前記石膏ボードや前記金属板等の遮蔽板を使用しない、前記アルミニウム箔や無機繊維クロス等を備えた鉄骨被覆構造においては、火災発生時にはいずれ前記アルミニウム箔や無機繊維クロス等が溶融脱落してしまうことが上記特許文献3に開示されている。
また特許文献1には、アルミニウム箔とガラスクロスとを積層させたアルミガラスクロスを熱膨張性材料に貼着した鉄骨被覆構造が開示されている。しかしながら、アルミニウム箔の厚みが薄い場合、あるいはガラスクロスの単位面積当たりの重量が小さい場合には、火災時にアルミニウム箔が溶融脱落することがあった。
従来耐火被覆材として用いられるアルミニウム箔は、その熱反射効果により耐火性能上有利に働くが、溶融して脱落してしまうとその効果を発揮できなくなるため、耐火材料の厚みを厚くしなければならないという問題があった。
本発明の目的は、従来の耐火被覆材より厚みが薄くても耐火性を発現し、施工性に優れた簡便な構造の鉄骨被覆構造を提供することにある。
そして鋭意検討を重ねた結果、特定の厚みの前記アルミニウム箔と単位面積当たり特定の重量の無機クロスとを備えた鉄骨被覆構造が、火災による炎等にさらされた場合であっても、前記アルミニウム箔が融け落ちることなくその形状を保ち、有効に火災による炎等を遮断できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]建築構造材用鉄骨と、
厚みが10〜50μmのアルミニウム箔および単位面積当たりの重量が30〜250g/m2の無機繊維クロスを備えた積層シートならびに耐火材料からなる鉄骨用被覆材と、
を備えた構造であって、
前記鉄骨用被覆材が、前記建築構造材用鉄骨を覆う様に設けられ、
かつ前記アルミニウム箔が、前記構造の最表面に位置する様に設けられたことを特徴とする鉄骨被覆構造を提供するものであり、
[2]前記耐火材料が、熱膨張性材料であることを特徴とする上記[1]に記載の鉄骨被覆構造を提供するものであり、
[3]前記鉄骨用被覆材同士の継ぎ目部分が、前記鉄骨用被覆材同士を重ね合わせてなることを特徴とする、上記[1]または[2]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
前記積層シートは、厚みが10〜50μmのアルミニウム箔および単位面積当たりの重量が30〜250g/m2の無機繊維クロスを備えることが必要である。
前記アルミニウム箔の厚さが10μm未満の場合には、得られた鉄骨被覆構造が火災の炎等にさらされた場合に、前記無機繊維クロスに保持されなくなり脱落する。
また、前記アルミニウム箔の厚さが50μmを超える場合には、前記アルミニウム箔の重量が大きくなり、本発明の鉄骨被覆構造を施工する作業性が低下すると共に、前記無機繊維クロスとの積層が困難となる。
前記無機繊維クロスの単位面積当たりの重量が50g/m2未満の場合には、本発明の鉄骨被覆構造が火災の炎等にさらされた場合に、前記アルミニウム箔が前記無機繊維クロスに保持されなくなり脱落する。
また、前記無機繊維クロスの単位面積当たりの重量が250g/m2を超える場合には、本発明の鉄骨被覆構造を施工する作業性が低下すると共に、前記アルミニウム箔との積層が困難となる。
前記ガラスクロスの種類、形状としては、例えば、JIS R3414に規定したもの等を使用することができる。
が、通常は、前記アルミニウム箔と前記無機繊維クロスとが積層されて一体となったものを使用することができる。
前記アルミニウム箔と前記無機繊維クロスとを積層する方法としては、例えば、前記アルミニウム箔と前記無機繊維クロスとを接着剤により接着する方法、前記アルミニウム箔と前記無機繊維クロスとを、熱可塑性樹脂フィルムにより加熱溶融接着する方法等を挙げることができる。
本発明に使用する耐火材料としては、例えば、ロックウールフェルト、ガラスウールフェルト、セラミックフェルト等の無機フェルト材料、熱膨張性材料等を挙げることができる。
前記熱膨張性材料としては、具体的には、例えば、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、またはエポキシ樹脂に無機充填剤及び熱膨張性無機化合物である層状無機物を配合した樹脂組成物からなるもの等が挙げられる。
型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型等が挙げられ、グリシジルエステル型として、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等が挙げられ、多官能のグリシジルエーテル型として、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
社製「GRAFGUARD」、東ソー株式会社製「GREP−EG」等が挙げられる。
前記無機充填剤の量が50重量部未満であると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が400重量部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するため、粘着力が不足する。
前記層状無機物の量が20重量部未満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能が得られない。一方、層状無機物の量が150重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品としての強度が得られない。
レタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等の熱膨張性シート等も挙げられる。また従来公知の耐火塗料を塗布あるいは成形により得られたシートを用いてもよい。
前記鉄骨用被覆材は、前記積層シートならびに前記耐火材料からなるものである。かかる前記積層シートは少なくとも片面に、前記耐火材料を備えたものである。
前記鉄骨としては特に限定されず、例えば、H型、I型、C型(ボックス型)等の鋼材からなる鉄骨等が挙げられる。前記鉄骨は通常建築構造用材料として用いられているものであれば特に制限なく使用することができる。
前記鉄骨用被覆材を前記鉄骨に固定する手段としては、例えば、溶接ピン、セルフドリリングビス、タッピンネジ等を用いることができる。また前記鉄骨が梁の場合は、床材に前記固定手段やタッカー、釘等を用いてもよい。
前記鉄骨用被覆材は、前記鉄骨に一重に被覆されても、二重以上の多重に被覆されても良い。
図1は、本発明に係る鉄骨被覆構造の要部断面図を例示したものである。
前記鉄骨被覆構造においては、建築構造材用鉄骨1の周りに前記鉄骨用被覆材2が前記建築構造材用鉄骨1を覆う様に設けられている。
前記鉄骨用被覆材2は、溶接ピン7により、前記建築構造材用鉄骨1に固定されている。
図2に示す通り、前記鉄骨用被覆材2は、熱膨張性材料3と前記積層シート4とを備えるものである。前記積層シート4は、前記アルミニウム箔5および無機繊維クロス6が接着剤または熱可塑性樹脂フィルムにより貼着されている(図示せず。)。
前記アルミニウム箔5は、前記鉄骨被覆構造の最表面の位置に設けられている。
図3においては、前記鉄骨用被覆材2同士の継ぎ目部分(目地部分)が、前記鉄骨用被覆材2同士を重ね合わせて設けられている(図3の9参照)。前記目地部分は前記鉄骨用被覆材2同士を突き付けて設けることもできるが、確実な耐火性を確保する上で、図3に
例示される重ね合わせ部分を設けることが好ましい。前記重ね合わせ部分の幅は、5〜50mmの範囲が好ましい。
・参考例1
熱膨張性材料の作製
表1に示した配合量のブチルゴム(エクソンモービル化学社製「ブチル#065」)、ポリブテン(新日本石油化学社製「ポリブテンHV−100」)、水添石油樹脂(出光石油化学社製「アイマーブP−125」)、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「EXOLIT AP422」)、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカ
ットGREP−EG」)、水酸化アルミニウム(アルコア化成社製「B325」)および炭酸カルシウム(備北粉化工業社製「BF300」)を、ニーダーを用いて溶融混練した後、得られた樹脂組成物をカレンダー成形により、両面に表1に示した積層シートを積層させながら、所定厚みの鉄骨用被覆材を作製した。
また表1に示したエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコートE807」)、硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「エピキュアFL052」)と各種充填剤を遊星式攪拌機にて混練した後、ロールコーターにて両面に積層シートを積層させてシート化し、90℃1時間の条件にて加熱し、所定厚みの鉄骨用被覆材を得た。
ISO834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行い、前記H鋼梁表面の最高温度を測定し、載荷加熱試験における合否判定の基準である550℃以下の場合を○、550℃を超える場合を×とした。同様に表1に示した配合に従い、実施例2〜3および比較例1〜3を実施した。
[実施例4]
実施例1と同じ積層シートを用い、市販のロックウールフェルト(厚さ25mm)の片面に、積層シートを、アクリル系接着剤を用いて積層させた。実施例1の場合と同様に耐火性能評価を実施したところ、耐火性能は○であった。
[実施例5]
実施例1において、鉄骨用被覆材の継ぎ目部を突きつけにより実施した他は、実施例1と同様の耐火性能評価試験を実施した。鉄骨用被覆材の継ぎ目部を重ね合わせた場合よりも30℃H鋼梁表面の温度は上昇したが、耐火性能は○であった。
2 鉄骨用被覆材
3 熱膨張性材料
4 積層シート
5 アルミニウム箔
6 無機繊維クロス
7 溶接ピン
8 ケイ酸カルシウム板
9 鉄骨用被覆材同士の重なり部
Claims (3)
- 建築構造材用鉄骨と、
厚みが10〜50μmのアルミニウム箔および単位面積当たりの重量が30〜250g/m2の無機繊維クロスを備えた積層シートならびに耐火材料からなる鉄骨用被覆材と、
を備えた構造であって、
前記鉄骨用被覆材が、前記建築構造材用鉄骨を覆う様に設けられ、
かつ前記アルミニウム箔が、前記構造の最表面に位置する様に設けられたことを特徴とする鉄骨被覆構造。 - 前記耐火材料が、熱膨張性材料であることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨被覆構造。
- 前記鉄骨用被覆材同士の継ぎ目部分が、前記鉄骨用被覆材同士を重ね合わせてなることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
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