JP3746003B2 - 粘着性耐火性ゴム組成物及びシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着性耐火性ゴム組成物及びシートに関し、更に詳しくは、粘着性が付与されているので鉄骨、鉄板、アルミニウム板、コンクリート成形品、発泡コンクリート板、木材板、プラスチック板等に仮止め固定が容易にでき、建築物の施工、自動車、家電、船舶等の組立において、施工性、作業性、生産性を向上させることができる粘着性耐火性シート及びその原材料となる粘着性耐火性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集合住宅や戸建住宅等において、建築物の構造材をなす梁、柱等として軽量な鉄骨が用いられるようになっている。このような建築物の構造材として用いられる鉄骨には、建設省告示第2999号やJIS A 1304により耐火性能基準が定められており、その基準を満たすために、鉄骨の表面を耐火性に優れた材料(耐火被覆材)で被覆する方法が一般的に実施されている。
【0003】
また、鉄骨に耐火性を付与するための被覆材料として、特開平6−32664号公報には、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライト、ロックウール等の無機成分を混合したものが開示されている。しかしながら、このような被覆材料は、施工時に現場で鉄骨に対して塗布又は吹き付ける必要があるため、施工性が悪いという問題があった。また、形成される耐火被覆層の厚さにムラが生じ易く、ムラが生じた場合は十分な耐火性を発揮することができなかった。また、形成される耐火被覆層にひび割れが発生して耐火性が低下する場合があった。さらに、上記被覆材料を湿式工法又は半乾式工法により吹き付けた場合は、硬化するまでに長時間を要するため、作業効率が悪かった。
【0004】
このため、乾式工法としてケイ酸カルシウム板や石膏ボードなどの無機質ボード等を配置する方法が提案されているが、耐火性能を発現するためには厚みが厚くなるため、重量や施工性の点で十分な材料とはいえなかった。また、無機質ボード等の端部の突き合わせた部分で隙間が生じるため、隙間を他の材料で埋める必要があり、施工に余分の手間がかかるという問題があった。
【0005】
上記の問題を解決するための提案の一つとして、特開平6−25476号公報には、ポリオレフィン100重量部、赤燐1〜20重量部、加熱膨張性黒鉛1〜30重量部含有することを特徴とする難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されている。
その樹脂組成物は、耐火被覆の厚みを従来に比較して大幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、かつ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火災時に熱によって膨張し断熱層を形成し、熱の伝達を阻止し、熱容量が大きいので熱を吸収し、膨張断熱層の形状保持性に優れており、優れた耐火性断熱性を発揮するので、鉄骨の被覆材、複合壁材、天井、床、間仕切り壁等の裏打ち材等として利用できるが、他の材料への粘着性や接着性については全く考慮されていない。そのため、上記樹脂組成物で作った熱膨張性耐火性シートを鉄骨、鉄板、アルミニウム板、コンクリート成形品、発泡コンクリート板、木材板、プラスチック板等に仮止し、固定することによって、建築物の施工、自動車、家電、船舶等の組立において、施工性、作業性、生産性を向上させようとしても、他の材料への粘着性や接着性に乏しいので、十分な成果をあげることができなかった。
【0006】
例えば、かかる熱膨張性耐火樹脂シートとしては、住友3M社製の「ファイアバリア」(登録商標)、ケミーリンツ社製の「インツメックス」(登録商標)、三井金属塗料社製「メジヒカット」(登録商標)等が存在しているが、これらは、取り付けの際に粘着材を表面に積層することで粘着性を付与しており、そのため、製造工程が煩雑で、また端材のリサイクルも困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、粘着材を表面に積層しなくとも、鉄骨、鉄板、アルミニウム板、コンクリート成形品、発泡コンクリート板、木材板、プラスチック板等に仮止め固定が容易にでき、建築物の施工、自動車、家電、船舶等の組立において、施工性、作業性、生産性を向上させることができる粘着性耐火性シート及びその原材料となる粘着性耐火性ゴム組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、樹脂成分としてゴム成分を採用し、これに熱膨張性無機物と無機充填材とを配合してなる耐火性ゴム組成物に、さらに平均分子量3000〜4000の液状樹脂を配合すると、粘着性・接着性が顕著に増加することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、非架橋ゴム及び/又は部分架橋ゴムからなるゴム成分(A)に、熱膨張性無機物(B)、無機充填材(C)及び液状樹脂(D)を配合してなり、かつ、次のイ)〜ニ)のすべての要件を満たすことを特徴とする粘着性耐火性
ゴム組成物が提供される。
イ)ゴム成分(A)が、ブチルゴムである。
ロ)熱膨張性無機物(B)が、中和処理された熱膨張性黒鉛である。
ハ)無機充填材(C)が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムとの混合物、または炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選ばれる充填材である。
ニ)液状樹脂(D)が、平均分子量3000〜4000のポリブテンであり、かつその配合量が、ゴム成分(A)100重量部に対して50〜200重量部である。
【0010】
すなわち、本発明の第2の発明によれば、請求項1に記載の粘着性耐火性ゴム組成物から作った粘着性耐火性シートが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の粘着性耐火性ゴム組成物及びそれから作った粘着性耐火性シートについて、各項目毎に詳細に説明する。
【0017】
1.ゴム成分(A)
本発明においてゴム成分(A)とは、本発明の粘着性耐火性ゴム組成物のマトリックスとなる成分であり、大量の熱膨張性無機物(B)や無機充填材(C)を配合しても受容性があり、シートに引張強度、耐衝撃強度、柔軟性、ゴム弾性等を与え、特に本発明の特徴である粘着性・接着性を付与するものであり、非架橋ゴムおよび/または部分架橋ゴムである。
【0018】
それらの具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1、2−ポリブタジエンゴム(1、2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エプクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、シリコーンゴム、フッソゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。また溶融温度、柔軟性等を調節するために2種以上が併用されても良い。
【0019】
ゴム成分(A)としては、100℃でのムーニー粘度が40以上のものが好ましく、より好ましくは45以上、更に好ましくは55以上であり、例えば、エクソン社製#065(100℃でのムーニー粘度、45)、エクソン社製#268(125℃でのムーニー粘度、51)等を用いることができる。
ゴム成分(A)は、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
ゴム成分(A)の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性したゴム物質を用いてもよく、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際同時に架橋や変性してもよい。また、ゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
【0020】
ゴム成分(A)の架橋方法については特に限定されず、ゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法、水架橋方法等が挙げられる。
上記架橋剤を用いる方法としては、ブチルゴム、天然ゴム等のような二重結合を用いる場合は、硫黄を用いる硫黄加硫、p−キノンジオキシム等を用いるキノイド加硫、モルフォリンジスルフィド等を用いるサルファートナー加硫、メチロール化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等を用いるレジン加硫、ベンジルペルオキシド等の過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等の架橋剤を添加する方法が挙げられる。
また、水酸基変性ゴムや酸性ゴムを配合することによって、金属キレート化合物、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物等の公知の架橋剤を併用することにより架橋することができる。
上記架橋剤は、ゴム組成物中の架橋対象となるゴム100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは、0.02〜5重量部配合することが望ましい。ジオクテン錫のような触媒を配合すると、架橋速度が向上し、成形上好ましい場合もある。
本発明のゴム組成物は、架橋されたものを使用することによって、耐火性シートの強度及び粘着保持力を向上させることができる。
【0021】
2.熱膨張性無機物(B)
本発明において熱膨張性無機物(B)とは、加熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止しシートに耐熱性・耐火性を付与する機能を有し、加熱時に膨張するものである。
上記の機能・性質を有するものであれば特に限定はないが、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト、ホウ砂等が挙げられる。これらの中でも、膨張開始温度が低いことから中和された熱膨張性黒鉛、バーミキュライトが好ましい。
【0022】
熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0023】
上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20メッシュを通過し、かつ、200メッシュを通過しないものが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0024】
3.無機充填材(C)
本発明において無機充填材(C)とは、ゴム組成物中において骨材的な働きをし、ゴム組成物が火災で燃焼した後は、燃焼残渣の強度を向上したり、熱容量の増大に寄与し耐熱性・耐火性を増強すると考えられる。
本発明で用いる無機充填材としては、特に限定されず、例えば、赤リン、リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム類(ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等)等の無機リン化合物;アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機リン化合物は樹脂成分の炭化を促進するだけでなく加熱後の残渣をまとめるバインダーとして機能するため好ましい。難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
【0025】
含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0026】
金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好ましい。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、上述の無機リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、無機リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0027】
無機充填材の粒径としては、0.5〜100μmのものが使用できる。無機充填材は、添加量が少ないときは、分散性か性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。無機充填材の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高くなり成型性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填材と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0028】
無機充填材の具体的な市販品の例としては、例えば、ポリリン酸アンモニウムである「EXOLIT(登録商標) AP422」及び「EXOLIT(登録商標) AP423」(クラリアント社製)、「スミセーフP(登録商標)」(住友化学社製)等、水酸化アルミニウムである粒径1μmの「ハイジライト(登録商標) H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジライト(登録商標) H−31」(昭和電工社製)、及び、炭酸カルシウムである拉径1.8μmの「ホワイトン(登録商標) SB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられる。
【0029】
4.平均分子量2000〜4000の液状樹脂(D)
本発明において平均分子量2000〜4000の液状樹脂(D)とは、本発明の粘着性耐火性ゴム組成物及びそれから作った粘着性耐火性シートに粘着性・接着性を付与する機能を有するものであり、ポリブテン樹脂、プロセスオイル、流動パラフィン、油脂類等が挙げられる。
【0030】
ポリブテン樹脂とは、石油精製における流動床式接触分解法からのC4留分もしくはナフサクラッカーからのC4留分に含まれるイソブチレンを、塩化アルミニウム、フッ化ホウ素などのフリーデルクラフツ触媒により選択的に重合して得られるイソブチレンの単独重合体、またはイソブチレンを主体とする1−ブテン、シス−2−ブテン、またはトランス−2−ブテンとの共重合体であり、数平均分子量が2000〜4000であって、常温で液状を呈するものである。
ポリブテン樹脂としては、例えば出光石油化学のポリブテン1000H、2000Hや日本石油化学のHV−1900等が挙げられる。
【0031】
また、プロセスオイルとは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイルの三者を組み合わせた混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50重量%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ熱安定性、耐候性、無臭性等においてすぐれ、ナフテン環炭素数が全炭素中の30〜45重量%を占めるものがナフテン系オイルと呼ばれ相溶化性能、接着性増強性能等にあいてすぐれ、芳香族炭素数が全炭素中の30重量%以上を占めるものが芳香族系オイルと呼ばれ溶解性能、低価格等の利点はあるものの、臭気、凝集力低下等の問題がある。
これらのプロセスオイルは、いずれのタイプも用いることができるが、芳香族系オイルが10重量%以下で、ナフテン系オイルが30〜60重量%、残分がパラフィン系オイルであるプロセスオイルが、粘着性・接着性、熱安定性、耐候性、
低臭気性で価格も適当であるので望ましい。
【0032】
さらに、流動パラフィンとは、沸点的には潤滑油留分に属する極めて純度の高い液状飽和炭化水素の混合物であり、主成分はアルキルナフテン系炭化水素であり、パラフィン系炭化水素が副成分となっている。
また、油脂としては、特に限定されず、例えば、動物性油脂、植物性油脂、鉱物湯、シリコーン油等があげられる。
【0033】
液状樹脂の平均分子量は2000〜4000である。2000未満であると、樹脂組成物中の無機充填材に吸油され、耐火シートに粘着性・接着性を付与する性能が低下し、4000を超えると粘度が高すぎて取扱いが困難になり望ましくない。 液状樹脂の平均分子量が2000を超えると樹脂組成物中の無機充填材に吸油されにくいために、粘着力が飛躍的に向上するので特に好ましい。
ここで言う平均分子量とはASTM−D−2503に規定の数平均分子量のことをいう。
また、樹脂組成物にはタック感向上のために石油樹脂等の樹脂を添加しても良い。
【0034】
5.粘着性耐火性ゴム組成物
本発明の粘着性耐火性ゴム組成物は、火災時に膨張して耐火断熱層を形成することにより炎や熱を遮断する働きをするもので、50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱することによる体積膨張倍率が1.1〜100倍であるものが望ましい。熱膨張性耐火層の体積膨張率が1.1倍未満であると断熱性能が不充分であり、100倍を超えると耐火断熱層の崩壊を招くので、好ましくない。
【0035】
本発明のゴム組成物における熱膨張性無機化合物と無機充填材の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、両者の合計量50〜900重量部が好ましく、より好ましくは100〜500重量部である。また、熱膨張性無機化合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、5〜400重量部が好ましく、より好ましくは20〜200重量部であり、無機充填材の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、50〜500重量部が好ましく、より好ましくは100〜300重量部である。
熱膨張性無機化合物の配合量が5重量部未満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能が得られない。一方、熱膨張性無機化合物の配合量が400重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品としての強度が得られない。
無機充填材の配合量が50重量部未満であると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下する。一方、無機充填材の量が500重量部を超えると、ゴム成分の配合比率が減少するため、粘着力が不足する。
【0036】
また、平均分子量2000〜4000の液状樹脂(D)の配合量は、ゴム成分(A)100重量部に対して、50〜200重量部である。
50重量部未満であると、ゴム組成物及び粘着性耐火性シートの粘着性・接着性が不十分であり、200重量部をこえるとゴム組成物及び粘着性耐火性シートの凝集力、クリープ性、保持力が低下し、加熱時、膨張する前に粘着性耐火性シート自体の重さを保持できないために破断落下したりし、耐火性・防火性の機能を発現できず望ましくない。
【0037】
本発明においては、上記ゴム組成物には、ゴム組成物の物性を損なわない範囲で必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化材、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよい。
本発明で用いるゴム組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール、らいかい機、遊星式攪拌機等の公知の混練装置を用いて溶融混練することにより、得ることができる。
得られたゴム組成物は、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によりシート状等の粘着性耐火性シートに成形することができる。
【0038】
本発明の粘着性耐火性シートは、それ自身が粘着性を有するため、防火用部材を作製する際の作業性が向上する。
粘着性耐火性シートの厚みは、特に限定されないが、1〜20mm、好ましくは3〜10mmである。1mm未満では耐火性が不十分であり、20mmを超えると材料費用に対する耐火効果が減少し望ましくない。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお評価方法は次の通りである。
【0040】
▲1▼ 耐火性能
樹脂組成物を100mm×100mm×厚2mmのサイズに切断したサンプルを、内寸100mm×100mm×高さ30mmのステンレス製容器の底面に配置した後、ATLAS社製コーンカロリメーター「CONE2」を用いて50kW/m2の熱量を熱膨張性耐火層側に30分間照射して、耐火断熱層を形成した。得られた耐火断熱層の重量と厚みから、下式により重量残存率と膨張倍率を算出した。
重量残存率(%)=W/WO
ここで、Wは加熱後の重量、WOは加熱前の重量をそれぞれ示す。
膨張倍率(倍)=t/tO
ここで、tは加熱後の厚み、tOは膨張前の厚みをそれぞれ示す。
この結果、重量残存率が30%以上でかつ膨張倍率が1.1倍以上の場合、耐火性能を○とする。
【0041】
▲2▼ 粘着性能
樹脂組成物を25mm×200mm×厚2mmのサイズに切断し、背面側に支持基材として100μm厚のPETフィルムを積層した。このサンプルを用いて、JIS K 6854に準拠して180度引き剥がし強度を測定した。
この結果、比較例に対して向上が見られたものを○とする。
【0042】
実施例1〜3、比較例1〜5
表1に示した配合からなる混合物をニーダーで加熱混練して樹脂組成物を得、カレンダー成形機にて2mm厚シートとした。得られたシートの耐火性能と粘着性能を評価し、結果も表1に記載した。
【0043】
評価結果表1から明らかなように、平均分子量が、960である液状ポリブテンを使用した比較例1〜4は、180度引き剥がし強度がそれぞれ、1.3〜1.5kgf/25mmの範囲であり粘着性能が不十分であった。平均分子量が、1500である液状ポリブテンを使用した比較例5は、180度引き剥がし強度が、1.3kgf/25mmであり粘着性能は、改善されていなかった。平均分子量が、3000である液状ポリブテンを使用した実施例1〜3は、180度引き剥がし強度が、2.3〜2.5の範囲であり粘着性能は、有意に改善され、飛躍的に粘着力が向上していることがわかる。熱膨張性黒鉛を使用しなかった比較例3は、膨張倍率が0.5倍であり耐火性能は不十分であった。各成分の配合量が、本発明に規定する所定の範囲に入り、かつ液状樹脂の分子量が3000のポリブテンを配合した実施例1〜3の場合は、耐火性能及び粘着性能がともに優れていることが実証された。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明の粘着性耐火性樹脂組成物及びそれで作った粘着性耐火性シートは優れた粘着性能を有し、その性質を利用して鉄骨、鉄板、アルミニウム板、コンクリート成形品、発泡コンクリート板、木材板、プラスチック板等に仮止め固定が容易にでき、建築物の施工、自動車、家電、船舶等の組立において、施工性、作業性、生産性を向上させることができ、粘着性耐火性ゴム組成物及び粘着性耐火性シートの適用範囲を大幅に拡大できる効果がある。
Claims (2)
- 非架橋ゴム及び/又は部分架橋ゴムからなるゴム成分(A)に、熱膨張性無機物(B)、無機充填材(C)及び液状樹脂(D)を配合してなり、かつ、次のイ)〜ニ)のすべての要件を満たすことを特徴とする粘着性耐火性ゴム組成物。
イ)ゴム成分(A)が、ブチルゴムである。
ロ)熱膨張性無機物(B)が、中和処理された熱膨張性黒鉛である。
ハ)無機充填材(C)が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムとの混合物、または炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選ばれる充填材である。
ニ)液状樹脂(D)が、平均分子量3000〜4000のポリブテンであり、かつその配合量が、ゴム成分(A)100重量部に対して50〜200重量部である。 - 請求項1に記載の粘着性耐火性ゴム組成物から作った粘着性耐火性シート。
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JP2001394794A JP3746003B2 (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | 粘着性耐火性ゴム組成物及びシート |
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