JP2013227752A - 鉄骨梁の耐火被覆構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二階層以上の建築物に使用されるための鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
平行に対向する二本のフランジおよび前記フランジを両端に連結した一本のウェブからなる断面H字状の鉄骨梁と、
前記二本のフランジのうち、下側フランジの外面に設置された熱膨張性耐火シートと、
前記鉄骨梁の両側面を覆う吹き付け不燃材と、
を少なくとも有することを特徴とする、鉄骨梁の耐火被覆構造。
【選択図】図4
Description
この鉄骨梁は火災等の熱にさらされた場合、鉄骨梁の主成分である鉄の融点に到達しない温度であっても鉄骨梁の強度が大幅に減少する。
具体的には鉄骨梁が火災等の熱にさらされると、鉄骨梁が融ける1500℃以上の温度に到達する前に鉄骨梁が座屈等を起こし、一定形状を保つことができなくなる。この結果、建築物が倒壊等する場合もある。
火災等の熱により建築物が簡単に倒壊等すると避難、消防活動等の妨げとなるため、建築材料に使用される鉄骨梁に対して適切な耐火被覆を行うことが求められている。
鉄骨梁に求められる基準としては、国土交通省告示第2999号、JIS A 1304等による耐火性能基準があり、鉄骨梁の耐火被覆構造はこの基準を満たすことが要求される。
しかし鉄骨梁底部の耐火被覆厚を大きくすると耐火性能は向上するものの、梁下有効寸法が減少する。
前記梁下有効寸法が減少すると、梁下にダクト等を通すことが困難となる問題がある。
この問題を解決する鉄骨梁の第一の既存の耐火被覆構造として、鉄骨梁の周囲に耐火被覆を形成した構造が提案されている(特許文献1)。
この提案された鉄骨梁の耐火被覆構造は、前記梁底部以外の耐火被覆厚よりも梁底部に対する耐火被覆厚を、小さくすることを特徴としていて、前記梁下有効寸法が減少することを防止できるとされる。
前記鉄骨梁の耐火被覆構造を開示する前記先行技術文献では、梁底部の耐火被覆厚を小さくすれば梁下有効寸法を増加させることができる点に言及はあるものの、前記耐火被覆厚を小さくした梁底部を具体的にどの様にすれば火災等の熱から保護できるのかという点についての言及がない。このため鉄骨梁に対する耐火被覆厚を具体的にどの程度小さくできるかは不明である。
この提案された鉄骨梁の耐火被覆構造は、前記鉄骨梁の梁底部に設置される金属薄板の厚みが0.2〜0.8mmと薄いことが特徴である。
通常、前記鉄骨梁の梁底部の耐火被覆厚が大きい場合には、前記鉄骨梁の梁下部において天井が低くなり、部屋が狭く見えたり、部屋の容積が減少するので部屋の収納利用空間が少なくなる問題がある。天井を高くすると建築物全体の高さが大きくなり構造上強度の確保が難しく、建築費用が高くなる問題もある。
この提案された鉄骨梁の耐火被覆構造は前記鉄骨梁の梁底部の耐火被覆厚が小さいことからこれらの問題を解決することができるとされる。
しかし、鉄骨梁の両側面に無機ボードを配置する場合、無機ボードの設置が容易ではなく施工に時間を要する問題があった。
図7〜図9は、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。
上階に設置された鉄骨梁の耐火被覆構造510が火災等の熱により仮に崩壊した場合でも前記高層建築物500全体が崩壊することを避けられる可能性があるが、下階に設置された鉄骨梁の耐火被覆構造520が火災等の熱により崩壊した場合は、前記高層建築物500全体が崩壊する危険がある。
このため図7に模式的に示される高層建築物500の階層毎に使用される鉄骨梁の耐火被覆構造は、上階にある鉄骨梁の耐火被覆構造510と比較して下階にある鉄骨梁の耐火被覆構造520は、より高い耐火性能を要求される。
図8および図9は鉄骨梁の耐火被覆構造510,520における耐火被覆31の厚みの違いを説明するための模式断面図である。
耐火性向上の観点から、上階に設置された鉄骨梁の耐火被覆構造510における梁底部の耐火被覆31の厚みT510よりも、下階に設置された鉄骨梁の耐火被覆構造520における梁底部の耐火被覆の厚みT520は大きいことが要求される。
ところが前記高層建築物500の階層毎に設置される鉄骨梁の耐火被覆構造520における梁底部の耐火被覆の厚みを変化させた場合には次の問題が生じる。
この通り、前記高層建築物500の階層毎の高さを一定に設計した場合には、階層毎の部屋の高さが異なる問題が生じる。
階層毎の部屋の高さが同じ場合には、一定の高さの室内用設備を設置することができるが、階層毎に部屋の高さが異なる場合には階層毎に異なる高さの室内用設備を準備する必要があり、施工作業が煩雑となる。
これらの問題は、前記高層建築物500の階層構造が増加するに従ってより深刻となる。
[1]二階層以上の建築物に使用されるための鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
平行に対向する二本のフランジおよび前記フランジを両端に連結した一本のウェブからなる断面H字状の鉄骨梁と、
前記二本のフランジのうち、下側フランジの外面に設置された熱膨張性耐火シートと、
前記鉄骨梁の両側面を覆う吹き付け不燃材と、
を少なくとも有することを特徴とする、鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[2]前記下側フランジの外面に設置された熱膨張性耐火シートが、前記ウェブに対する垂直方向を基準として、前記下側フランジの両方の外側に張り出していて、
前記吹き付け不燃材が、前記鉄骨梁の両側面と、前記熱膨張性耐火シートのフランジの両方の外側に張り出した上面とを覆う、上記[1]に記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[3]前記下側フランジの両方の外側に張り出した熱膨張性耐火シートの端部が、折り返されて前記鉄骨梁の下側フランジの内面に貼着されている、上記[2]に記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[4]前記鉄骨梁の上側フランジが、水平区画に固定され、
前記鉄骨梁の両側面を覆う吹き付け不燃材の平均厚みがTのとき、
前記水平区画を覆う前記吹き付け不燃材の平均厚みが、前記鉄骨梁の上側フランジ両端部から外側へ0.5T〜2Tの範囲である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[5]前記熱膨張性耐火シートの厚みが、0.5〜6mmの範囲である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[6]前記吹き付け不燃材が、吹き付けロックウールである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
[7]前記二階層以上の建築物が、十階層以上の階層構造を有する建築物である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造を提供するものである。
前記熱膨張性耐火シートの厚みを薄くすることにより、鉄骨梁の下側フランジの外面に形成される耐火被覆を薄くすることができる。
このため前記二階層以上の建築物に本発明の鉄骨梁の耐火被覆構造を適用した場合には、建築物の高さにより階層毎の鉄骨梁と鉄骨梁との距離を変化させる必要がなく、建築物の階層毎の部屋の高さを一定に保つことができる。
この膨張残渣により火災等の熱が鉄骨梁に伝わることを遅延させることができることから、本発明の鉄骨梁の耐火被覆構造は耐火性に優れる。
最初に本発明に使用する鉄骨梁について説明する。
図1は、本発明に使用する鉄骨梁と水平区画との関係を説明するための模式断面図である。
図1に例示された鉄骨梁1は、その断面がH字状の構造を有するものであり、2本のフランジ2、3と1本のウェブ4とを備えるものである。前記2本のフランジ2、3のうち、上側フランジ2と下側フランジ3とは平行に対向していて、上側フランジ2および下側フランジ3の中央部に前記ウェブ4の両端が接続されている。
この鉄骨1は公知であり、市販品等を適宜選択して使用することができる。
なお水平区画5における水平方向とは、地面を基準として地面に平行な面上の方向をいう。
前記水平区画5に使用される素材は、コンクリート等の他、不燃性ボード等を使用することができる。
前記不燃性ボードとしては、例えば、無機繊維を成形した無機繊維ボード、耐熱パネル等を挙げることができる。
前記セメント系パネルとしては、例えば、硬質木片セメント板、無機繊維含有スレート板、軽量気泡コンクリート板、モルタル板、プレキャストコンクリート板等が挙げられる。
前記無機セラミック系パネルとしては、例えば、軽量気泡コンクリートパネル、石膏ボード、けい酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、ミネラルウール板、窯業系板等が挙げられる。
本発明に使用する水平区画5に限定はなく、通常建築物等に使用される水平区画を使用することができる。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、エポキシ樹脂やゴム等の樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛、無機充填材等を含有する熱膨張性樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。
前記熱膨張性耐火シートは、ガラスクロス等の無機繊維シート、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔等の不燃材層の一種もしくは二種以上を積層したものを使用することができる。
前記無機繊維層は、前記無機繊維を用いた無機繊維クロスを使用することが好ましい。
また前記無機繊維シートに使用する無機繊維は、金属箔をラミネートしたものを使用することが好ましい。
金属箔ラミネート無機繊維の具体例としては、例えば、アルミニウム箔ラミネートガラスクロス、銅箔ラミネートガラスクロス等がさらに好ましい。
前記不燃材層としては、例えば、金属箔層、無機繊維層等が挙げられる。
前記熱膨張性耐火シートは、火災等の熱にさらされた場合に前記熱膨張性樹脂組成物層が膨張して形成される熱膨張残渣が、表面の不燃材層に支持される構造であれば特に限定はない。
(1)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層
(2)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層
(3)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物
(4)不燃材層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−不燃材層
(5)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層
等の構成が挙げられる。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは不燃材層が最外面にあることが好ましく、金属箔層が最外面にあればより好ましい。
なお前記熱膨張性黒鉛を含有する前記熱膨張性耐火シートを使用する場合には、前記熱膨張性黒鉛は、中和された熱膨張性黒鉛を使用することが好ましい。
前記熱膨張性耐火シートの厚みが0.5mm以上の場合は、前記熱膨張性耐火シートが火災等の熱にさらされた場合に、耐火性に優れる膨張残渣が形成される。また前記熱膨張性耐火シートの厚みが6mm以下の場合は、本発明の鉄骨梁の耐火被覆構造の梁底部の厚みを小さくすることができる。
前記ピンを使用する場合には溶接ピン等の金属ピンを放電により溶融させて鉄骨梁に簡単に固定することができる。
本発明に使用する固定手段は一種もしくは二種以上を採用することができる。
また前記熱膨張性耐火シートを鉄骨梁の下側フランジの外面に簡単に固定することができるように、熱膨張性耐火シートに粘着性を付与することができる。この粘着性を利用して前記熱膨張性耐火シートを鉄骨梁の下側フランジの外面に簡単に固定することができる。
前記吹き付け不燃材としては、例えば、無機繊維、セメント等を混合した吹き付け用組成物等が挙げられる。
前記無機繊維としては、例えば、ロックウール、グラスウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
前記無機繊維としては、ロックウールが比較的簡単に入手でき、取り扱い易いことから好ましい。
セメント、水等を混合したセメントスラリーを準備しておき、このセメントスラリーと、無機繊維とを同時に圧縮空気を用いて噴出させる半乾式吹き付け方法、
無機繊維、セメント、水等をあらかじめ混合しておき、この無機繊維含有セメントスラリーを圧縮空気を用いて噴出させる湿式吹き付け方法等が挙げられる。
本発明の鉄骨梁の耐火被覆構造が設置される建築物は、二階層以上の階層を有するものである。前記建築物は二階層以上の構造を有するものであれば特に限定はないが、具体例を挙げるとすれば、例えば、戸建住宅、集合住宅、各種学校の校舎、各種商業施設、高層ビル等が挙げられる。
前記建築物は十階層以上であることが好ましい。本発明の鉄骨梁の耐火被覆構造は梁底部の厚みが薄いことから、十階層以上の高層建築物であっても、高層建築物の高さが増加することを抑えることができる。
このため階層毎の部屋の高さが異なる問題、階層毎に高さが異なる問題を軽減することが可能である。
なお前記建築物の階層の上限は現存する建築物と同じ階層か、それ以下であれば差支えない。通常は二百階層以下である。
先の図1で説明した通り、鉄骨梁1が水平区画5に設置されている。
図2に示される様に、鉄骨梁1の下フランジ3の外面3c(図1参照)に熱膨張性耐火シート10を設置する。前記熱膨張性耐火シート10は前記鉄骨梁1の下フランジ3の外面3cと同じ面積を有していて、前記鉄骨梁1の下フランジ3の外面3cを隙間なく覆うことができる。
前記熱膨張性耐火シート10は、鉄骨梁1に溶接ピン(図示せず)を用いて固定されている。
図2〜4に示される前記熱膨張性耐火シート10の厚みは4mmである。
この熱膨張性耐火シート10としては、例えば積水化学工業社製のフィブロック(登録商標。積水化学工業社から入手可能)等を採用することができる。
前記吹き付け用組成物は、セメントを水に縣濁させたセメントスラリーと、ロックウールとを含むものである。
前記セメントスラリーとロックウールとを別々に圧縮空気により圧送し、前記鉄骨梁1に吹き付けることにより、前記鉄骨梁1の両側面6a,6bを吹き付け不燃材30により覆うことができる。
なお前記鉄骨梁1の側面6aは、先の図1に示される様に上側フランジ2の端面2a、内面2f、ウェブ面4a、下側フランジ3の端面3a、内面2gおよび下側フランジ3の内面3dを意味する。
また前記鉄骨梁1の側面6bは、同様に先の図1に示される様に上側フランジ2の端面2b、ウェブ面4b、下側フランジ3の端面3bおよび下側フランジの内面3eを意味する。
前記吹き付け不燃材30は、前記鉄骨梁1の上側フランジ両端部から外側へ、水平区画5と平行にそれぞれ0.5T〜2Tの範囲で前記水平区画5を覆うことが、鉄骨梁1の耐火性を高められることから好ましい。
前記熱膨張性耐火シート10の厚みは4mmであることから、鉄骨梁1の梁底部の厚みは薄い。
実施例1に係る鉄骨梁の耐火被覆構造100が設置される建物は二階層以上であっても、それぞれの階層における部屋の高さを変化させる必要がない。また階層毎の高さを変化させる必要がない。
上記の通り、実施例1に係る鉄骨梁の耐火被覆構造100を採用することにより、二階層以上の建築物を簡単に設計施工することが可能となる。このため実施例1に係る鉄骨梁の耐火被覆構造100を使用した場合には二階層以上の建築物の施工性を向上させることができる。
この膨張残渣により火災等の熱が鉄骨梁1に伝わる時間を遅延させることができることから、実施例1に係る鉄骨梁の耐火被覆構造100は耐火性に優れる。
図5は実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例2に使用する前記鉄骨梁1、前記水平区画5、前記吹き付け不燃材30および前記熱膨張性耐火シート11の構成は、それぞれ実施例1の場合で使用したものと同様である。
実施例1の場合は鉄骨梁1の両側面を吹き付け不燃材30により覆う際に前記補助板20を使用した。これに対し実施例2の場合には前記熱膨張性耐火シート11に張り出し部11a,11bが存在するため、前記張り出し部11a,11bが前記補助板30の機能を果たすことができる。
このため実施例2に係る鉄骨梁の耐火被覆構造110の場合は補助板20を使用する必要がなく、簡単に前記鉄骨梁1の両側面を吹き付け不燃材30により覆うことができる。
図5に示される様に、前記吹き付け不燃材30が前記鉄骨梁1の両側面と、下側フランジ3の両方の外側に張り出した前記熱膨張性耐火シート11の張り出し部11a,11bの上面とを覆っている。
前記張り出し部11a,11bの前記鉄骨梁1のウェブ4の垂直方向のそれぞれの長さXは下側フランジ3の端部3aから張り出し部11a,11bの最も張り出した部分の長さを示す一点破線e−e間の距離により表される。通常前記長さXは1〜30cmの範囲が好ましく、3〜10cmの範囲であればより好ましい。
前記長さXが1〜30cmの範囲であれば、簡単に前記吹き付け不燃材30により前記鉄骨梁1の両側面と下側フランジ3の両方の外側に張り出した前記熱膨張性耐火シート11の張り出し部11a,11bの上面とを覆うことができる。
また実施例2に係る鉄骨梁の耐火被覆構造110が火災等の熱にさらされた場合には、実施例1の場合と同様に前記熱膨張性耐火シート11が膨張し、膨張残渣を形成する。
この膨張残渣により火災等の熱が鉄骨梁1に伝わる時間を遅延させることができることから、実施例2に係る鉄骨梁の耐火被覆構造110は耐火性も優れる。
図6は実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例3に使用する前記鉄骨梁1、前記水平区画5、前記吹き付け不燃材30および前記熱膨張性耐火シート12の構成は、それぞれ実施例2の場合で使用したものと同様である。
実施例1および2の場合は、前記熱膨張性耐火シート10および11はそれぞれ溶接ピンを用いて鉄骨梁1に固定されていた。
これに対し、実施例3に係る鉄骨梁の耐火被覆構造120の場合は溶接ピンを使用していない点が異なる。
実施例3に使用した熱膨張性耐火シート12は、熱膨張性樹脂組成物シートとアルミニウム箔ラミネートガラスクロスとを積層したものであり、熱膨張性樹脂組成物シートに粘着成分が添加されているため、前記粘着成分の粘着力を利用して前記鉄骨梁1に対して前記熱膨張性耐火シート12を貼着することができる。
また前記熱膨張性耐火シート12は実施例2に使用した前記熱膨張性耐火シート11の場合と同様に、熱膨張性樹脂組成物シートとアルミニウム箔ラミネートガラスクロスとを積層したものであり、アルミニウム箔が最外面に配置され、熱膨張性樹脂組成物シートが鉄骨梁1に貼着されている。
このため実施例3に係る鉄骨梁の耐火被覆構造120の場合は補助板30を使用する必要がなく、簡単に前記鉄骨梁1の両側面を吹き付け不燃材30により覆うことができる。
前記張り出し部12a,12bは前記吹き付け不燃材30により下側フランジ3に固定されている。このため、前記熱膨張性耐火シート12に添加された粘着成分による粘着性を利用して前記熱膨張性耐火シート12が鉄骨梁1に固定されているが、火災等の炎に実施例3に係る鉄骨梁の耐火被覆構造120がさらされた場合に、前記熱膨張性耐火シート12が鉄骨梁1から融け落ちることを防止することができる。
また実施例3に係る鉄骨梁の耐火被覆構造120が火災等の熱にさらされた場合には、実施例2の場合と同様に前記熱膨張性耐火シート12が膨張し、膨張残渣を形成する。
この膨張残渣により火災等の熱が鉄骨梁1に伝わる時間を遅延させることができることから、実施例3に係る鉄骨梁の耐火被覆構造120は耐火性も優れる。
2 上側フランジ
2a、2b、3a、3b フランジの端部
2f、2g、3d、3e フランジの内面
3 下側フランジ
3c フランジの外面
4 ウェブ
5 水平区画
5a 床
6a,6b 鉄骨梁の側面
10、11、12 熱膨張性耐火シート
11a,11b、12a,12b 熱膨張性耐火シートの張り出し部
20 補助板
30、31 吹き付け不燃材
500 高層建築物
510、520 従来の鉄骨梁の耐火被覆構造
T 吹き付け不燃材の平均厚み
T2 上側フランジの垂直方向の平均厚み
T3 下側フランジの垂直方向の平均厚み
T4 ウェブの垂直方向の平均厚み
Claims (7)
- 二階層以上の建築物に使用されるための鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
平行に対向する二本のフランジおよび前記フランジを両端に連結した一本のウェブからなる断面H字状の鉄骨梁と、
前記二本のフランジのうち、下側フランジの外面に設置された熱膨張性耐火シートと、
前記鉄骨梁の両側面を覆う吹き付け不燃材と、
を少なくとも有することを特徴とする、鉄骨梁の耐火被覆構造造。 - 前記下側フランジの外面に設置された熱膨張性耐火シートが、前記ウェブに対する垂直方向を基準として、前記下側フランジの両方の外側に張り出していて、
前記吹き付け不燃材が、前記鉄骨梁の両側面と、前記熱膨張性耐火シートのフランジの両方の外側に張り出した上面とを覆う、請求項1に記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。 - 前記下側フランジの両方の外側に張り出した熱膨張性耐火シートの端部が、折り返されて前記鉄骨梁の下側フランジの内面に貼着されている、請求項2に記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。
- 前記鉄骨梁の上側フランジが、水平区画に固定され、
前記鉄骨梁の両側面を覆う吹き付け不燃材の平均厚みがTのとき、
前記水平区画を覆う前記吹き付け不燃材の平均厚みが、前記鉄骨梁の上側フランジ両端部から外側へ0.5T〜2Tの範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。 - 前記熱膨張性耐火シートの厚みが、0.5〜6mmの範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。
- 前記吹き付け不燃材が、吹き付けロックウールである、請求項1〜5のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。
- 前記二階層以上の建築物が、十階層以上の階層構造を有する建築物である、請求項1〜6のいずれかに記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。
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