JP2020176466A - 間仕切耐火壁 - Google Patents
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しかし、ALC材を用いた間仕切耐火壁には、以下の問題点があった。
間仕切耐火壁の設置位置は、駐車装置のフレームとなる柱と梁の表面である。柱や梁の表面に間仕切耐火壁を設置する場合、柱や梁の外側表面に下地材(例えば、スタッド)を固定し、下地材のさらに外側に矩形状の複数のALC材を互いに隣接させて固定する。そのため、下地材及びALC材が、柱及び梁の外側表面から平面視で一方(又は両方)の駐車室内に突出し、駐車室の有効面積が狭くなる。この突出量は、例えば80mm以上である。
火災時の熱膨張を考慮して隣接するALC材の隙間は大きく設定する必要がある。また、地震時の柱や梁の変形により、この隙間は設置時より部分的にさらに大きくなる。
そのため、火災時にこの隙間を介して下地材が過熱されて熱変形し、火炎や煙がその隙間を通って隣接する駐車室に侵入する可能性がある。
またこの問題を回避するため、特許文献1,2のように、隙間の前後に熱膨張性耐火層や熱膨張性耐火材を設けると、間仕切耐火壁の構造がいっそう複雑となる。
前記鉄骨構造を構成する鉄骨と、
前記鉄骨構造の平面視内側で前記鉄骨に前記境目に沿って間隔を隔てて固定された複数の支持金具と、
前記平面視内側で前記支持金具に固定され前記境目に沿って前記鉄骨構造の開口部を塞ぐ開口の無い耐熱パネルと、
前記鉄骨、前記支持金具、及び前記耐熱パネルの外面に連続的に形成された耐火被覆と、を有する間仕切耐火壁が提供される。
従って、火災時に火炎や煙が隣接する駐車室に侵入する隙間を大幅に低減することができる。
また、この例において、2基のエレベータ式駐車装置90は、それぞれ格納棚6に格納されたパレット3の長手方向(以下、格納方向X)と車両1の入出庫方向Yとが直交するエレベータ式駐車装置である。
なお、本発明の駐車装置100は、この例に限定されず、その他の任意の型式の駐車装置であってもよい。
鉄骨構造10を構成する鉄骨12は、この例では駐車装置100のフレームとして機能する柱13、梁14、及び図示しない筋交い(ブレース)を有する。鉄骨構造10は、その他に図示しない中間柱や中間梁を有してもよい。
以下、境目A−Aに位置する鉄骨構造10Aを、必要な場合、単に「間仕切鉄骨構造10A」と呼ぶ。
この図において間仕切耐火壁20は、間仕切鉄骨構造10Aを構成する鉄骨12A、複数の支持金具30、開口の無い耐熱パネル40、及び耐火被覆50を有する。
以下、鉄骨12A、柱13A、梁14A、及び筋交い15Aをそれぞれ、必要な場合、「間仕切鉄骨12A」、「間仕切柱13A」、「間仕切梁14A」、及び「間仕切筋交い15A」と呼ぶ。
複数の支持金具30の間隔は、耐熱パネル40が火災時の消防作業で受ける圧力(例えば1000Pa)に耐え、大きな変形を生じない耐圧性を有するように設定することが好ましい。この間隔は、例えば700〜1000mmである。
間仕切鉄骨構造10Aの開口部11は、この例では間仕切柱13Aと間仕切梁14Aで囲まれた矩形開口部11aと、間仕切柱13A、間仕切梁14A、及び間仕切筋交い15Aで囲まれた三角開口部11bとからなる。なお開口部11は、矩形又は三角形に限定されず、その他の形状であってもよい。
外壁9の鋼板は、断面が角波形状又は丸波形状に折り曲げられた波形板であり、好ましくは波形の折曲げ部が鉛直に位置する縦張り工法で、鉄骨12に固定されている。
外壁被覆51は、ロックウールとセメントの混合物からなる吹付けロックウールであり、吹付け工法により、外壁9の外面に吹付けて形成されている。外壁被覆51の厚さは、30mm以上であることが好ましい。
上述した構成による外壁被覆51を有する外壁9は、外壁被覆51の厚さが30mm以上であれば、建築基準法による「1時間耐火」の耐火性能を有することが既に確認されている。
この例で、複数の支持金具30は、開口部11(矩形開口部11aと三角開口部11b)の内側で、間仕切梁14A、又は間仕切筋交い15Aに水平方向に間隔を隔てて固定されている。
なお、複数の支持金具30を間仕切柱13Aと間仕切筋交い15Aに上下方向に間隔を隔てて固定してもよい。
具体的には、耐熱パネル40は、断面が角波形状又は丸波形状に折り曲げられた耐熱性を有する鋼板(波形板)であることが好ましい。また、波形板の折曲げ部がこの例では水平に延びる横張り工法で支持金具30に固定されている。
また耐熱パネル40は、その中間部に開口(隙間)を有さないことが好ましい。
なお、1つの開口部11は、単一の耐熱パネル40で塞ぐことが好ましいが、複数の耐熱パネル40を部分的に重ねて用いてもよい。
支持金具30への耐熱パネル40の固定は、図示しないビスによることが好ましいが、ボルトとナット、又は溶接であってもよい。
なお、耐熱パネル40の外面(図で両面)は、間仕切鉄骨構造10Aの平面視内側に位置するように、支持金具30の位置が設定されている。
なお、吹付けロックウールを吹付ける前に、間仕切鉄骨12A、支持金具30、及び耐熱パネル40の外面に接着剤を塗布し、吹付けロックウールの接合強度を高めることが好ましい。
また、耐熱パネル40の両面に吹付け工法で間仕切被覆50を形成した後、間仕切被覆50の表面をコテ等で押えて平らにすることが好ましい。
従って、間仕切被覆50のうち、鉄骨12Aの開口部11の位置から駐車室内に突出する部分は、皆無又は間仕切被覆50の厚さ以下(例えば30mm未満)であり、鉄骨構造10Aからの突出部分を大幅に低減して駐車室の有効面積を大きくできる。
従って、火災時に火炎や煙が隣接する駐車室に侵入する隙間を大幅に低減することができる。
この図において、支持金具30が境目A−A又はその近傍に位置し、1対の耐熱パネル40が、支持金具30の外側にそれぞれ固定されている。この図で支持金具30は厚さ方向に単一でも複数でもよい。
1対の耐熱パネル40は、境目A−Aに直交する厚さ方向に間隔Lを隔てて固定されている。間隔Lは、耐熱パネル40の外面が、間仕切鉄骨構造10Aの平面視内側に位置する限りで大きいことが好ましい。間隔Lは、例えば50〜100mmである。
またこの例で、耐火被覆50(間仕切被覆50)は、1対の耐熱パネル40の外側にそれぞれ形成されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、火災時に火炎や煙が隣接する駐車室に侵入する隙間を第1実施形態よりもさらに低減することができる。
この構成によっても、間仕切被覆50のうち、鉄骨12Aの開口部11の位置から駐車室内に突出する部分は、皆無又は間仕切被覆50の厚さ以下(例えば30mm未満)であり、鉄骨構造10Aからの突出部分を大幅に低減して駐車室の有効面積を大きくできる。
この構成により、一方の耐熱パネル40が火災時に損傷し、火炎や煙が1対の耐熱パネル40の間に侵入しても、他方の耐熱パネル40の過熱を防止して第1実施形態よりもさらに健全状態に維持することができる。
その他の効果は、第1実施形態と同様である。
この構成により、吹付けロックウールの必要量を減らすと共に、間仕切被覆50のき裂や脱落をいっそう確実に防止することができる。
図7(A)(B)において、支持金具30は、開口部11の内側で、梁(間仕切梁14A)及び筋交い(間仕切筋交い15A)に上下端が固定され上下方向に延びる。また、支持金具30は、間仕切梁14A及び間仕切筋交い15Aに当接する位置で分断されている。
図7(A)において、支持金具30の水平方向の一方の面が、間仕切柱13Aの水平方向端面(図で下端)と実質的に面一に位置決めされている。
すなわち、図7(A)(B)において、耐熱パネル40は、間仕切筋交い15Aの部分では分断されず、上下に位置する梁(間仕切梁14A)の間を切欠き部(開口)なしで連続して位置する。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
この場合、耐熱パネル40は、間仕切筋交い15Aの部分では分断されず、水平方向両端部に位置する柱(間仕切柱13A)の間を切欠き部(開口)なしで連続して位置する。
(1)ALC材を用いた従来の間仕切耐火壁では、駐車装置の柱、梁、中間柱、及びブレースを耐火被覆で覆うために、ALC材の表面を養生シートで覆う等のALC材の養生が必要になる。
柱、梁、中間柱、及びブレースの耐火被覆は、例えば吹付ロックウールで形成される。しかし、ALC材を吹付ロックウールで覆うとALC材のメンテナンス(割れ等の点検や交換)に支障があり、かつ美観を損なう。そのため、吹付ロックウールを吹き付ける吹付工程の前に、ALC材の表面を養生シートで覆うALC材の養生工程が必要になり、作業工程が長期化する。
これに対し、本発明による1枚の耐熱パネル40は軽量(例えば10kg以内)であり、吹付けロックウールの吹付け作業も、例えば地上階に配置したポンプにより所定高さまで圧送して実施できる。またケージ5や格納棚6を作業台に利用できるので、高所における安全かつ容易に作業できる。
4 昇降路、5 ケージ、5a 昇降旋回装置、6 格納棚、7 入出庫フロア、
8 入出庫扉、9 外壁、10 鉄骨構造、10A 鉄骨構造(間仕切鉄骨構造)、
11 開口部、11a 矩形開口部、11b 三角開口部、12 鉄骨、
12A 鉄骨(間仕切鉄骨)、13 柱、13A 柱(間仕切柱)、14 梁、
14A 梁(間仕切梁)、15A 筋交い(間仕切筋交い、ブレース)、
20 間仕切耐火壁、30 支持金具、40 耐熱パネル、
42 メタルラス、50 耐火被覆(間仕切被覆)、51 耐火被覆(外壁被覆)、
60 断熱材、90 エレベータ式駐車装置、100 駐車装置
Claims (8)
- 複数の駐車室の境目に位置する鉄骨構造に沿って設置された間仕切耐火壁であって、
前記鉄骨構造を構成する鉄骨と、
前記鉄骨構造の平面視内側で前記鉄骨に前記境目に沿って間隔を隔てて固定された複数の支持金具と、
前記平面視内側で前記支持金具に固定され前記境目に沿って前記鉄骨構造の開口部を塞ぐ開口の無い耐熱パネルと、
前記鉄骨、前記支持金具、及び前記耐熱パネルの外面に連続的に形成された耐火被覆と、を有する間仕切耐火壁。 - 前記耐熱パネルの外面は、前記鉄骨構造の前記平面視内側に位置する、請求項1に記載の間仕切耐火壁。
- 前記鉄骨は、前記駐車室の前記境目に位置する柱、梁、又は筋交いであり、
複数の前記支持金具は、前記開口部の内側で、前記柱、前記梁、又は前記筋交いに水平方向又は上下方向に前記間隔を隔てて固定され、
前記耐熱パネルの水平方向又は上下方向の両端又は中間部が、前記開口部の前記内側において前記支持金具に固定されている、請求項1に記載の間仕切耐火壁。 - 前記支持金具は、前記柱、前記梁、又は前記筋交いに当接する位置で分断されており、かつ前記境目に直交する水平方向の一方の面が、前記柱又は前記梁の前記水平方向の端面と実質的に面一に位置決めされており、
前記耐熱パネルは、前記筋交いの部分では分断されず、連続して位置する、請求項3に記載の間仕切耐火壁。 - 前記耐熱パネルは、断面が角波形状又は丸波形状に折り曲げられた鋼板であり、折曲げ部が水平又は鉛直に延びる、請求項1に記載の間仕切耐火壁。
- 前記耐火被覆は、ロックウールとセメントの混合物からなる吹付けロックウールである、請求項1に記載の間仕切耐火壁。
- 1対の前記耐熱パネルが、前記境目に沿って前記境目に直交する方向に所定の間隔を隔てて固定され、
前記耐火被覆は、1対の前記耐熱パネルの外面にそれぞれ形成される、請求項1に記載の間仕切耐火壁。 - 1対の前記耐熱パネルの間に設置された断熱材を有する、請求項7に記載の間仕切耐火壁。
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