JP7319763B2 - 耐火構造 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火構造に関する。詳しくは、建物の外壁、内壁、屋根、天井などに適用可能な耐火構造に関する。
特許文献1には、耐火壁構造が開示されている。この耐火壁構造は、木製の間柱の片側に、珪酸カルシウム板である板材を釘で固定した後、その板材に発泡性耐火シートをタッカーで固定し、更に、木製の胴縁を間柱に釘で固定して、その上から窯業系サイディングの板材を胴縁に釘で固定して形成されている。
このような耐火壁構造では、発泡性耐火シートが火災時に加熱されることによって発泡して膨張し、珪酸カルシウム板の板材と窯業系サイディングの板材との間で、不燃性の多孔質な断熱層を形成する。したがって、屋外から屋内あるいは屋内から屋外への熱及び炎を伝わりにくくすることができる。
特開2011-94350号公報
しかし、上記のような耐火壁構造では、耐火性能を向上させるためには、発泡性耐火シートを厚くしなければならず、またこれに伴って、発泡性耐火シートの発泡膨張時に必要な空間を大きくする必要がある。このため、耐火壁構造が複雑になり、施工性が低下することがあった。
本発明は上記の点に鑑みてなされ、簡易に施工可能で耐火性能を向上させることができる耐火構造を提供することを目的とする。
本発明に係る一態様の耐火構造は、化粧材と、耐火材と、下地材と、断熱材と、がこの順に配置され、複数の支持材が、前記下地材の前記化粧材側とは反対側に、左右方向に並べて配置され、前記下地材は、複数の下地部材が上下に隣接して配置されて構成されており、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分が、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分以外の部分よりも耐火性が高く、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分が、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分以外の部分よりも厚みが大きい厚肉部であり、前記耐火材は、複数のシート部材で構成されており、正面視において、前記各シート部材は前記下地部材よりも大きく形成されており、前記複数のシート部材は各端部を重ねて施工可能であり、前記厚肉部は、前記複数のシート部材が重なって形成される。
本発明では、簡易に施工可能で耐火性能を向上させることができる、という利点がある。
図1は、本発明に係る実施形態1を示す概略の断面図である。 図2は、本発明に係る実施形態1を示す横断面図である。 図3は、本発明に係る実施形態1を示す縦断面図である。 図4は、本発明に係る実施形態1における下地材の施工状態を示す斜視図である。 図5は、本発明に係る実施形態1における耐火材の施工状態を示す斜視図である。 図6Aは、本発明に係る実施形態1における耐火材の施工方法の一例を示す斜視図である。図6Bは、本発明に係る実施形態1における耐火材の施工方法の他例を示す斜視図である。 図7は、本発明に係る実施形態1における耐火材の施工状態の他例を示す斜視図である。 図8は、本発明に係る実施形態1を示す斜視図である。 図9Aは本発明に係る実施形態1の一例を示す断面図である。図9Bは本発明に係る実施形態1の他の一例を示す断面図である。図9Cは本発明に係る実施形態1の他の一例を示す断面図である。 図10は、本発明に係る実施形態2を示す断面図である。 図11は、本発明に係る実施形態3を示す概略の断面図である。 図12Aは本発明に係る実施形態3の一例を示す断面図である。図12Bは本発明に係る実施形態3の他の一例を示す断面図である。図12Cは本発明に係る実施形態3の他の一例を示す断面図である。 図13は、本発明に係る実施形態4を示す概略の断面図である。 図14Aは、本発明に係る実施形態の変形例で使用するシート付き下地部材を示す断面図である。図14Bは、同上のシート付き下地部材を示す斜視図である。図14Cは同上のシート付き下地部材の施工状態を示す斜視図である。 図15Aは、本発明に係る実施形態の変形例で使用するシート付き下地部材を示す斜視図である。図15Bは、同上のシート付き下地部材の施工状態を示す斜視図である。
(実施形態1)
(1)概略
図1、図2及び図3は、本実施形態の耐火構造1として外壁構造2を示す。外壁構造2は、化粧材10と耐火材20と下地材30と断熱材40及び支持材50を備える。化粧材10と耐火材20と下地材30と断熱材40及び支持材50は、この順で前後方向に並んでいる。すなわち、断熱材40及び支持材50の前方に下地材30が配置されている。また下地材30の前方に耐火材20が配置されている。さらに耐火材20の前方に化粧材10が配置されている。本明細書において、前記前後方向は外壁構造2の厚み方向であって、屋内外方向と同じである。また前記前後方向と直交する方向で略水平な方向を左右方向とし、前記前後方向と直交する方向で略鉛直な方向を上下方向とする。
(2)化粧材10
化粧材10は耐火構造1の外装材であって、化粧材10によって耐火構造1が化粧される。外壁構造2の場合、化粧材10は外壁材であって、例えば、窯業系サイディングである。窯業系サイディングは、セメントを含む水硬性材料の硬化物である。化粧材10は、略平板状に形成されるが、その表面に凹凸模様や塗膜を備えて意匠性を有している。化粧材10の厚みは、例えば、10mm以上30mm以下に形成されるが、これに限定されるものではない。化粧材10の形状も任意であるが、例えば、正面視(前方から見た場合)で矩形板状に形成される。化粧材10は実を有している。化粧材10の上端部には実凹部101が設けられている。化粧材10の下端部には実凸部102が設けられている。上下に隣接して施工される化粧材10は実凹部101と実凸部102とが嵌合することにより接続される。なお、化粧材10としては、金属板を成形して得られる金属系サイディング材であってもよい。
(3)耐火材20
耐火材20は耐火構造1の耐火性を向上させる。耐火材20は火災の熱で発泡して、火災前の初期状態よりも体積を増加させる。ここで、耐火性とは、熱が前後方向に伝わるのを抑制することを意味する。
耐火材20は複数のシート部材27で形成することができる。シート部材27は、例えば、正面視で矩形状の発泡性耐火シートで形成することができ、この場合、合成樹脂、多価アルコール、及び難燃性発泡剤などを含有するものが好ましい。
合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン/酢ビ樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル共重合樹脂、酢酸ビニル/ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸/アクリル樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂等を挙げることができる。なお、ポリオレフィンとしてはポリエチレン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール等が例示される。
難燃性発泡剤としては、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アルミニウム、ポリリン酸マグネシウムリン酸塩等のリン酸塩が好適に用いられるが、スルファミン酸塩(スルファミンアンモニウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アンモニウム等)等を例示することができる。
耐火材20における合成樹脂、多価アルコール、難燃性発泡剤の含有比率は、合成樹脂100質量部に対して、多価アルコールが10質量部以上50質量部以下、難燃性発泡剤が50質量部以上200質量部以下であることが好ましい。シートの耐火材20の厚みは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましくは、0.3mm以上3mm以下であることがより好ましく、さらに0.4mm以上1mm以下が好ましい。
発泡後の耐火材20の遮熱性を高めるに、耐火材20は発泡前の体積に比べて発泡後の体積が10~30倍の発泡倍率であることが好ましい。例えば、化粧材10と下地材30の間に形成される15mmの通気層に、厚み0.6mmのシート状の耐火材20を用いることによって、発泡倍率が25倍となり、比較的安価に耐火性を高められる。また耐火性能を高める部位には、例えば、1.2mmのシート状の耐火材20を用いて発泡倍率12.5倍として使用すると更に耐火性が高まる。
(4)下地材30
下地材30は不燃性であり、また平板状で、耐火材20よりも硬質に形成される。下地材30は複数の下地部材35で形成される。下地部材35としては、例えば、正面視で矩形状で、石膏ボード及び珪酸カルシウム板などが使用される。下地部材35の厚みは、例えば、5mm以上30mm以下にすることができ、好ましくは9mm以上21mm以下にすることができるが、これに限定されない。下地部材35は、建築基準法第68条の26第1項の規定に基づき、同法第2条第九号及び同法施行令第108条の2(不燃材料)の規定に適合するものであることについて、国土交通大臣の認定を受けているものが好ましい。
(5)断熱材40
断熱材40は耐火構造1の断熱性を向上させる。すなわち。耐火構造1を前後方向で通過する熱量を低減するためのものである。ここで、断熱性とは熱の出入りを低減する性能のことを意味する。
断熱材40としては、耐火性及び不燃性の高い材料で形成されていることが好ましい。例えば、断熱材40としては人造鉱物繊維系断熱材(例えば、ロックウール又はグラスウール)などの繊維系断熱材を材料として形成される。断熱材40の形態はボード又は綿状などであるが、これに限定されるものではない。断熱材40の密度は10kg/m以上32kg/m以下、好ましくは15kg/m以上25kg/m以下で、厚みが50mm以上150mm以下、好ましくは80mm以上120mm以下である。断熱材40の密度及び厚みが上記所定の範囲であれば、断熱性能が損なわれにくく、且つ熱が内部に保留されるのを低減することができる。
(6)支持材50
図2に示すように、支持材50は、化粧材10及び下地材30が取り付けられて、これらを支持する。支持材50は上下方向に長い部材であって、例えば柱及び間柱などとして形成される。支持材50は金属製であって、例えば、C形鋼(リップ付き溝形鋼)を使用することができる。この他に、支持材50としては、各種の断面形状の形鋼が使用でき、例えば、溝形鋼、H形鋼、ハット形鋼などが挙げられる。
支持材50は取付部51を有している。取付部51は上下方向に長い平板状に形成されている。取付部51には、下地材30が取り付けられる。支持材50は対向部52を有している。対向部52は上下方向に長い平板に形成されている。対向部52は取付部51の後方に位置し、取付部51と対向している。支持材50は結合部53を有している。結合部53は上下方向に長い平板に形成されている。結合部53の短手(幅)方向の一端は取付部51の短手(幅)方向の一端と全長にわたって結合されている。結合部53の短手(幅)方向の他端は対向部52の短手(幅)方向の一端と全長にわたって結合されている。取付部51の結合部53側とは反対側の端部、及び対向部52の結合部53側とは反対側の端部には、補強部55が支持材50の上下方向の全長にわたって設けられている。
(7)全体構成
耐火構造1として形成される外壁構造2は以下のように構成される。
図4に示すように、複数の支持材50が基礎63の上側に土台64を介して設けられている。複数の支持材50は一つずつ所定の間隔を介して左右方向に並べられている。また二つ以上の支持材50を組み合わせて配置してもよい。二つの支持材50を組み合わせる場合は、各結合部53の外面同士を接合することができる。
複数の支持材50の前方には複数の下地部材35が取り付けられる。複数の下地部材35は上下方向及び左右方向に並べて配置されている。上下方向に隣接する下地部材35は、上側の下地部材35の下端と下側の下地部材35の上端とが突付けて取り付けられている。また左右方向に隣接する下地部材35は、右側の下地部材35の左端と左側の下地部材35の右端とが突付けて取り付けられている。すなわち、上下に並ぶ下地部材35は隣接部分31を介しては隣接し、左右方向に並ぶ下地部材35は隣接部分32を介しては隣接している。各下地部材35はビスや釘などの固定具33で支持材50の取付部51に取り付けて固定される。
左右方向に並ぶ下地部材35の隣接部分32は、支持材50の取付部51の前方に位置させることが望ましい。これにより、火災時に下地部材35が変形し、隣接部分32に隙間が生じても、取付部51により塞がれているため、耐火性能を向上させることができる。また、本実施形態では、矩形状の下地部材35を横長に施工しているが、縦長に施工しても良いものである。
断熱材40は下地材30の後面に配置される。複数の断熱材40はそれぞれ隣り合う支持材50の間に配置される。断熱材40は接着剤などで下地材30の後面に接着されて固定されてもよい。また断熱材40は接着の他に、粘着テープで下地材30に固定することも可能である。なお、断熱材40は、下地材30の裏面に密着するのが好ましい。これにより、下地材30と断熱材40との間に上下に連通する空間が形成されず、下地材30から伝わる熱が下地材30と断熱材40との間で上下方向に移動するのを抑制することができる。また支持材50が木材である場合は、タッカー止めなどで支持材50に固定してもよい。また、断熱材40は粘着テープで支持材50に固定することも可能である。
図5に示すように、下地材30の前側には耐火材20が配置される。耐火材20は複数のシート部材27で形成されているため、複数のシート部材27が上下左右に並べて配置される。シート部材27はタッカーなどの固定具23で下地材30に固定される。ここで、図6に示すように、シート部材27の表面にはマーク部22が設けられている。マーク部22はシート部材27を下地材30に取り付ける際の目安になる。例えば、マーク部22は左右方向に長く線状に形成されており、作業者がマーク部22と隣接部分31とを位置合わせしながら固定具23でシート部材27を固定していく。またマーク部22を目安にして隣り合うシート部材27の重ね寸法を調整することもできる。またマーク部22を破線で形成し、その破線の間隔を例えば100mmピッチなど等間隔にすることができる。この場合、破線の間隔を目安にしてシート部材27を施工することができる。さらにシート部材27の幅方向中央を中心として線対称となる位置にもマーク部22の破線をもう一方のマーク部22の破線と幅方向に一致して形成し、線対称となるマーク部22の破線同士を一致させ、シート部材27を直角での切断加工する際の目安にすることもできる。
図9Aに示すように、上下に隣接する下地部材35の隣接部分31に対応する位置において、厚肉部21が形成されている。厚肉部21は、シート部材27の端部26同士を重ねて形成している。またこれに限られず、例えば、図9Bに示すように、シート部材27の端部26を折り返すことにより、シート部材27が二重に重なった部分を厚肉部21として形成することができる。また図9Cに示すように、耐火材20の表面に短片状の他の耐火材(耐火シート部材)25を重ね、二枚のシート状の耐火材20が重なった部分を厚肉部21として形成することができる。なお、この他、例えばシート状の耐火材20の一部を他の部分よりも厚肉に形成し、この厚肉部分が下地部材35の隣接部分31に設けられてもよい。また、上記厚肉部21は、上下に隣接する下地部材35の隣接部分31に対応する部分だけではなく、左右方向に隣接する下地部材35の隣接部分32に対応する部分に形成されてもよい。すなわち、厚肉部21は、耐火材20において、隣接する下地部材35同士の境目に対応する部分に形成され、少なくとも支持材50と対向しない部分に設けられるのが好ましい。
なお、耐火材20(シート部材27)としてロール状の長尺シートを一例として説明してきたが、これに限らず、下地部材35より僅かに大きなサイズの耐火材20(シート部材27)であっても良い。例えば、図6Bに示すように、矩形状の下地部材35と矩形状のシート部材27からなり、下地部材35を横長に施工する場合で説明する。矩形状の下地部材35と矩形状のシート部材27は、長辺が略同寸法、短辺が矩形状の下地部材35より矩形状のシート部材27を長くしている。一例として、矩形状の下地部材35が1820mm(長辺)×606mm(短辺)、矩形状のシート部材27が1820mm(長辺)×700mm(短辺)である。この矩形状の下地部材35と矩形状のシート部材27を用いた施工について説明する。なお、矩形状の下地部材35および以下に説明する透湿防水シート65の施工については、同様であるので省略する。
支持材50の前方に複数の矩形状の下地部材35が縦横突き付けて取り付けられており、左右方向に並ぶ下地部材35の隣接部分32は、支持材50の取付部51の前方に位置させることが望ましい。そして、矩形状の下地部材35の前方に矩形状のシート部材27をタッカーで固定する。その際、矩形状の下地部材35の短辺と矩形状のシート部材27の短辺とを略一致させる。一方、矩形状の下地部材35の長辺と矩形状のシート部材27の長辺とは一致しておらず、矩形状のシート部材27の上下の長辺をそれぞれ、矩形状の下地部材35の上下の長辺から上下に略同寸法はみださせる。すなわち、矩形状のシート部材27の上端部26aが矩形状の下地部材35の上側の長辺よりも上方に位置し、矩形状のシート部材27の下端部26bが矩形状の下地部材35の下側の長辺よりも下方に位置する。なお、最下部の矩形状のシート部材27を施工する場合は、矩形状の下地部材35の下側の長辺は、矩形状のシート部材27の下側の長辺と一致させて、矩形状のシート部材27を矩形状の下地部材35の上側の長辺よりも上方にのみはみださせてもよい。このように矩形状のシート部材27を矩形状の下地部材35の表面に施工するにあたっては、上記と同様に、矩形状のシート部材27に設けたマーク部22を下地材30に取り付ける際の目安にすることができる。なお、図7に示すように、左右方向に並ぶシート部材27の隣接位置(境目)29が支持材50及び左右方向に並ぶ下地部材35の隣接部分32から左右にずれていてもよい。
矩形状のシート部材27は、下段から上方に施工していくことで、はみだし部分を前方(表面側)2枚重ねることができる。この重なり部分は厚肉部21として形成され、矩形状の下地部材35の隣接部分31の前方に位置することになり、耐火性を向上することができる。また、本実施形態では、矩形状の下地部材35の短辺の突き付け部分と矩形状のシート部材27の短辺の突付け部分を前後方向で略一致させたが、これに限らず、それぞれの突き付け部分を左右方向に位置ずれさせても良い。
このように、下地部材35とシート部材27のサイズを近いものにすることで、施工、梱包、運搬などを向上させることができる。なお、本実施形態では矩形状の下地部材35を横長に施工する場合について説明したが、縦長に施工しても良い。この場合、矩形状のシート部材27は、短辺が矩形状の下地部材35の短辺と略同寸法であり、長辺が矩形状の下地部材35の長辺より長くしている。
上記では厚肉部21を設けることにより、耐火材20における下地部材35の隣接部分31,32に対応する箇所が、他の箇所よりも耐火性が高くなる高耐火部24を形成したが、これに限られない。すなわち、高耐火部24は耐火材20の一部に他の部分よりも耐火性が高ければよい。したがって、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所が、例えば、他の箇所よりも熱伝導率が低ければよく、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所に、他の箇所よりも熱伝導率が低い材質の耐火材が設けられて、熱伝導率が低い材質の耐火材を設けた部分が高耐火部24として形成されてもよい。または、耐火材20が発泡シート材の場合、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所が他の箇所よりも厚肉でなくてもよく、例えば、発泡時、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所における独立気泡の割合が、他の箇所における独立気泡の割合よりも高くなるよう構成されることにより、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所を高耐火部24として形成することができる。また、例えば、耐火材20の上記隣接部分31,32に対応する箇所における発泡倍率が、他の箇所における発泡倍率よりも高くなるように構成されてもよい。
耐火材20を下地材30に全面にわたって取り付けた後、透湿防水シート65を耐火材20の前側に取り付ける。透湿防水シート65は湿気を通し、水滴は通さないシートである。透湿防水シート65もタッカーなどの固定具で取り付けられる。透湿防水シート65は耐火材20の全面にわたって取り付けられる。透湿防水シート65の前側には複数の留め具80が配置される。留め具80は透湿防水シート65の前面に配置され、ビスなどの固定具86で支持材50に固定される。
図8に示すように、化粧材10は留め具80により透湿防水シート65の前方に取り付けられる。化粧材10は複数配置され、各化粧材10が複数の留め具80に保持される。すなわち、化粧材10の上端はその化粧材10の上側に配置される留め具80に引っ掛けられて保持され、化粧材10の下端はその化粧材10の下側に配置される留め具80に引っ掛けられて保持される。また上下に隣接する化粧材10は実凸部102と実凹部101の実接合で接続される。また、図2及び図8に示すように、左右方向に隣接する化粧材10の間には目地材81が配置されている。目地材81の前側にはシーリング材83が設けられている。また最も下側の化粧材10の下方には水切り材84が設けられている。そして、化粧材10の後方には通気層85が形成されている。すなわち、化粧材10の後面と透湿防水シート65の前面との間に通気層85が形成される。
隣接する化粧材10の目地と、隣接する下地部材35の目地とは、正面視において、重ならないようにずらすことが好ましい。すなわち、左右方向に隣接する化粧材10の間のシーリング材83の位置と、左右方向に隣接する下地部材35の隣接部分32の位置とが、正面視において、重ならないようにずらすことが好ましい。また上下方向に隣接する化粧材10の隣接部分11の位置と、上下方向に隣接する下地部材35の隣接部分31の位置とが、正面視において、重ならないようにずらすことが好ましい。この場合、隣接する化粧材10の目地及び隣接部分11に前方から炎が侵入しても、その炎が隣接する下地部材35の目地及び隣接部分31に直接侵入しにくくなって、耐火性を向上させることができる。ただし、左右方向に隣接する化粧材10の目地と、左右方向に隣接する下地部材35の目地とが、正面視において、支持材50に一致する場合は、両目地をずらさなくてもよい。
上記のように形成される耐火構造1(外壁構造2)では、耐火材20を備えることにより、火災発生の際に、化粧材10の屋外側から加熱されて、耐火材20が発泡して膨張することにより通気層85内で膨張する。すなわち、通気層85は耐火材20が発泡して膨張するための発泡空間88として形成される。そして、これにより、発泡膨張した耐火材20の遮熱効果や遮炎効果により、火炎及び熱が屋外から屋内へと侵入するのを低減することができ、したがって、耐火性を向上させることができると共に、発泡膨張した耐火材20によって化粧材10と下地材30との間に上下に連通する空間が形成されず、熱がこれら化粧材10と下地材30との間で上下方向に移動するのを抑制することができる。また化粧材10の後方に耐火材20を設けることにより、耐火材20に高い耐候性や耐水性は要求されず、耐火性を向上させることができる。また耐火材20は、火災がなければ薄い材料なので、通常時は通気層85を阻害せず、また、耐火構造1の前後方向の寸法(化粧材10から下地材30までの寸法)は、従来のものと比べても大きくなりにくい。さらに断熱材40を備えることにより、下地材30よりも後方(屋内側)に熱が伝わりにくくなり、これにより、耐火性を向上させることができる。
(実施形態2)
図10に示す本実施形態の耐火構造1は、支持材50に充填材54を設けたものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
充填材54は支持材50の内側の空間である中空部56に充填することによって、中空部56は充填材54で閉塞される。すなわち、支持材50の取付部51と対向部52と結合部53及び補強部55で囲まれる空間である中空部56の上下方向の連通を充填材54で閉塞する。このように支持材50の中空部56を充填材54で充填して閉塞することによって、中空部56を通じて熱が移動することが少なくなり、耐火性を向上させることができる。
充填材54は断熱材40を延長して形成することができる。すなわち、充填材54は断熱材40と同じ材料のロックウール又はグラスウールなどの繊維系断熱材で形成される。この場合、火災発生時の熱が充填材54で断熱されて伝わりにくくなり、屋内側への熱の伝わりが低減されて耐火性を向上させることができる。また断熱材40を下地材30へ取り付ける作業と一連の作業で、充填材54も施工することができ、部材の共通化や作業の簡素化によるコストダウンを図ることができる。
(実施形態3)
上記では、実施形態1及び2では、耐火材20が下地材30の前面に沿って設けられていたが、図11に示す実施形態3では耐火材20が化粧材10の後面に沿って設けられている。この場合、実施形態1及び2に比べて、耐火材20は化粧材10に近いため、化粧材10の前方から加熱されやすくなり、屋外での火災に早期に膨張して耐火性を向上させることができる。厚肉部21は上下に隣接する化粧材10の隣接部分11に対応して設けることができる。また左右に隣接する化粧材10の隣接部分11に対応して厚肉部21を設けてもよい。このようにすると、隣接する化粧材10の隣接部分11に生じる隙間に対応して厚肉部21を配置することができ、隙間からの火炎の侵入が低減されて耐火性を向上させることができる。また実施形態3では、耐火材20と下地材30の間に通気層85が形成されることになり、通気層85が発泡空間88となる。したがって、耐火材20は火災発生時に、後方の発泡空間88に向かって膨張する。
図12Aでは、厚肉部21は、シート部材27の端部26同士を重ねて形成したが、これに限られない。例えば、図12Bに示すように、シート部材27の端部26を折り返すことにより、二枚のシート状の耐火材20が重なった部分を厚肉部21として形成することができる。図12Cに示すように、耐火材20の表面に短片状の他の耐火材25を重ね、二枚のシート状の耐火材20が重なった部分を厚肉部21として形成することができる。
上記では厚肉部21を設けることにより、耐火材20における化粧材10の隣接部分11に対応する箇所が、他の箇所よりも耐火性の高い高耐火部14として形成したが、これに限られない。すなわち、高耐火部14は耐火材20の一部に他の部分よりも耐火性が高ければよい。したがって、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所が、例えば、他の箇所よりも熱伝導率が低ければよく、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所に、他の箇所よりも熱伝導率が低い材質の耐火材が設けられて、熱伝導率が低い材質の耐火材を設けた部分が高耐火部14として形成されてもよい。または、耐火材20が発泡シート材の場合、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所が他の箇所よりも厚肉でなくてもよく、例えば、発泡時、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所における独立気泡の割合が、他の箇所における独立気泡の割合よりも高くなるよう構成されることにより、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所を高耐火部14として形成することができる。また、例えば、耐火材20の上記隣接部分11に対応する箇所における発泡倍率が、他の箇所における発泡倍率よりも高くなるように構成されてもよい。
(実施形態4)
図13に示す本実施形態では、耐火材20は、下地材30と化粧材10との間の前後方向における中間位置に設けられている。耐火材20は桟材87に取り付けられる。すなわち、支持材50に対応する位置において、下地材30の前面に複数の胴縁87が設けられており、この胴縁87に耐火材20が固定されている。このようにすると、耐火材20は火災発生時に前後方向に膨張しやすくなる。すなわち、耐火材20の前方と後方の両方に通気層85が形成されることになり、いずれの通気層85も発泡空間88となりうる。したがって、耐火材20は火災発生時に、前方の発泡空間88と、後方の発泡空間88のいずれにも膨張しやすくなる。
(変形例)
(1)耐火構造について
上記では、本実施形態の耐火構造1として外壁構造を説明したが、これに限られない。耐火構造1は、例えば、内壁構造、屋根構造、天井構造などに適用可能である。内壁構造の場合、化粧材10は合板などの内壁材となる。屋根構造の場合、化粧材10は屋根材となる。天井構造の場合、化粧材10は天井板となる。
また、上記実施形態では、例えば図4に示すように、下地部材35の左右方向の隣接部分32が支持材50と一致しているが、これに限定されず、当該隣接部分32が支持材50と一致していなくてもよい。この場合、耐火材20の上記隣接部分32に対応する部分が当該耐火材20の他の部分よりも厚肉に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、化粧材10の長手方向が水平となるように設けられた「横張り」構造であったが、これに限定されず、化粧材10の長手方向が鉛直となるように設けられた「縦張り」構造であってもよい。なお、上記実施形態が屋根構造の場合は、化粧材が屋根材であって、横葺き構造及び縦葺き構造のいずれであってもよい。
また、上記実施形態では、複数の下地部材35を施工して下地材30を形成した後、複数のシート部材27を施工して耐火材20を形成したが、これに限られず、下地部材35とシート部材27とを予め(施工前に)一体化してシート付き下地部材36を形成した後、複数のシート付き下地部材36を施工してもよい。
図14A及び図14Bは、シート付き下地部材36の一例を示している。シート付き下地部材36は、上記と同様の横長の矩形状の下地部材35の片面(表面)に、上記と同様の横長の矩形状のシート部材27が設けられている。下地部材35の左右方向の寸法とシート部材27の左右方向の寸法は同じであり、正面視において、下地部材35の左端とシート部材27の左端とが一致し、下地部材35の右端とシート部材27の右端とが一致している。シート部材27の上下方向の寸法は下地部材35の上下方向の寸法よりも長く形成されている。シート部材27の上端部26aの先端は、下地部材35の上端面よりも上側に突出している。シート部材27の下端部26bの先端は、下地部材35の下端面よりも下側に突出している。下地部材35の表面とシート部材27とは、ほぼ全面にわたって接着等されているが、図14Aのように、下地部材35の表面の下部とシート部材27の下端部26bとは剥離可能に形成されている。
上記と同様の下地材30と耐火材20は、図14Cのように、複数のシート付き下地部材36を上下方向及び左右方向に並べ、支持材50に取り付けることによって形成される。すなわち、複数の下地部材35で下地材30が形成され、複数のシート部材27で耐火材20が形成される。上下方向に隣接する下地部材35の隣接部分31に対応して、耐火材20の厚肉部21が形成される。厚肉部21は、下側のシート付き下地部材36のシート部材27の上端部26aと、上側のシート付き下地部材36のシート部材27の下端部26bとが重なって形成される。すなわち、下側の下地部材35の上端と、上側の下地部材35の下端とを突付けた後、上側の下地部材35の表面から上側のシート部材27の下端部26bを剥離した状態にし、次に、下側のシート部材27の上端部26aを上側の下地部材35の下部と上側のシート部材27の下端部26bとの間に差し入れる。この後、上側のシート部材27の下端部26bを下側のシート部材27の上端部26aに重ねる。このようにして二つのシート部材27の上端部26aと下端部26bとの重なりにより厚肉部21が形成される。なお、左右方向に隣接する下地部材35の隣接部分32に対応する部分では、左右方向に隣接するシート部材27の側端部同士が隣接する。
図15Aは、シート付き下地部材36の他例を示している。図14A及び図14Bのものに比べて、シート部材27が下地部材35に対して左右方向の一方にずれている。すなわち、例えば、シート部材27の右端部が覆い部28として下地部材35の右端面よりも側方(外側)に突出している。したがって、下地部材35の表面の左端部はシート部材27で覆われていない被覆い部37として形成されている。また逆に、シート部材27の左端部が覆い部28として下地部材35の左端面よりも側方(外側)に突出し、下地部材35の表面の右端部がシート部材27で覆われていない被覆い部37として形成されていてもよい。
図15Bのように、このようなシート付き下地部材36は、上記と同様に、上下方向及び左右方向に並べ、支持材50に取り付けることによって施工される。そして、上記と同様に、下側のシート付き下地部材36のシート部材27の上端部26aと、上側のシート付き下地部材36のシート部材27の下端部26bとが重なることにより、上下方向に隣接する下地部材35の隣接部分31に対応して、耐火材20の厚肉部21が形成される。
また左右方向に隣接するシート付き下地部材36は、下地部材35の側端部同士が突付けられて施工されるが、このとき、一方の下地部材35は覆い部28が突出した方の側端部であり、他方の下地部材35は被覆い部37側の側端部である。そして、下地部材35の側端部同士を突付けた後、一方のシート付き下地部材36の覆い部28を他方のシート付き下地部材36の被覆い部37の表面に配置する。この場合、左右方向に隣接するシート部材27の隣接位置(境目)29と隣接部分32とが正面視で一致せず、両者は左右方向にずれている。したがって左右方向に隣接する下地部材35の隣接部分32に対応する部分は、シート部材27の覆い部28で覆われて隣接部分32の隙間から炎や熱が侵入しにくくなる
そして、シート付き下地部材36を使用した場合は、下地部材35とシート部材27とを一度の作業で同時に施工することができ、施工性が向上する。また下地部材35とシート部材27とを別々に梱包、搬送する必要がなく、作業性が向上する。
(2)耐火材について
上記では、耐火材20は複数のシート部材27で形成されているが、一枚のシート部材27で耐火材20が形成されていてもよい。
またシート部材27には、水平位置を示すように、左右方向に長く線状に形成されたマーク部22だけでなく、鉛直位置を示すように、上下方向に長く線状に形成されたマーク部を設けてもよい。
また、シート部材27は、左右に隣接する下地部材35の隣接部分32に対応する位置にも厚肉部21を備えてもよい。
また耐火材20は塗膜で形成することができ、この場合、下地材30の前面に耐火材20となる塗料を塗布して乾燥・硬化させることができる。また、塗膜における下地材30の隣接部分31,32に対応する部分が他の部分よりも厚く形成されてもよい。
塗膜の耐火材20は、例えば、合成樹脂エマルション、多価アルコール、含窒素発泡剤、及び難燃性発泡剤を含有する発泡耐火塗料で形成されるのが好ましい。
合成樹脂エマルションに用いられる合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン-酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ソルビトール、レゾルシノール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどが使用できる。
含窒素発泡剤としては、ジシアンジアミド、アゾジカルボンアミド、メラミンおよびその誘導体、尿素、グアニジン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどが使用できる。
難燃性発泡剤としては、分解温度が多価アルコールの分解温度の範囲内にあるリン酸アンモニウム及び/又はポリリン酸アンモニウムを用いることが好ましい。
合成樹脂エマルション、多価アルコール、含窒素発泡剤、及び難燃性発泡剤の配合割合は、多価アルコールの配合量を100質量部としたときに、合成樹脂エマルションの不揮発分が200質量部以上500質量部以下、含窒素発泡剤が80質量部以上150質量部以下、難燃性発泡剤が280質量部以上450質量部以下であることが好ましい。乾燥硬化後の塗膜の耐火材20の厚みは、0.3mm以上10mm以下の範囲となるのが好ましい。
(3)支持材について
支持材は、上下方向に長い縦胴縁であってもよいし、左右方向に長い横胴縁であってもよい。
(4)下地材について
上記では、複数の下地部材35で下地材30を形成したが、これに限らず、一つの下地部材35で下地材30を形成してもよい。
(まとめ)
第1の態様に係る耐火構造(1)は、化粧材(10)と、耐火材(20)と、下地材(30)と、断熱材(40)と、がこの順に配置される。
この態様では、火災発生時の熱の伝わりを耐火材(20)により低減できるのに加えて、断熱材(40)によっても火災発生時の熱の伝わりを低減することができ、簡易に施工可能な断熱材(40)を利用して耐火性能を向上することができる。
第2の態様に係る耐火構造(1)は、第1の態様において、複数の支持材(50)が、下地材(30)の化粧材(10)側とは反対側に並べて配置される。複数の断熱材(40)の各々が隣り合う支持材(50)の間に配置される。耐火材(20)が発泡性を有する。化粧材(10)と下地材(30)との間に発泡空間(88)が形成されている。
この態様では、断熱材(40)が隣り合う支持材(50)の間に配置されるため、断熱材(40)を下地材(30)の化粧材(10)側と反対側に並べて配置しても、耐火構造(1)の前後方向の寸法が大きくならないようにして耐火性能を向上することができる。しかも、耐火材(20)が発泡空間(88)において発泡しやすくなり、火災発生時に耐火材(20)による熱の伝わりを低減しやすくなる。
第3の態様に係る耐火構造(1)は、第2の態様において、各支持材(50)は、中空部(56)を有し、中空部(56)には充填材(54)が配置される。
この態様によれば、充填材(54)で支持材(50)の中空部(56)の連通を遮断しやすくなり、火災発生時に、炎、熱、煙が支持材(50)の中空部(56)を伝わるのを低減することができ、耐火性能を向上することができる。
第4の態様に係る耐火構造(1)は、第3の態様において、充填材(54)は断熱材(40)を延長して形成される。
この態様では、断熱材(40)と充填材(54)とを共通の部材で形成することができ、部材の共通化によるコストダウンを図ることができる。
第5の態様に係る耐火構造(1)は、第1ないし4のいずれか一つの態様において、断熱材(40)は、繊維系断熱材であって、その密度が10kg/m以上32kg/m以下である。
この態様によれば、断熱材(40)による断熱性を確保しながら断熱材(40)による熱の保留を低減することができ、耐火性能を向上することができる。
第6の態様に係る耐火構造(1)は、第1ないし5のいずれか一つの態様において、下地材(30)は、複数の下地部材(35)が隣接して配置されて構成されている。耐火材(20)における下地部材(35)同士の境目に対応する部分であって、少なくとも支持材(50)と対向しない部分が、他の部分よりも耐火性が高い。
この態様によれば、隣接する下地部材(35)同士の境目に対応する部分の耐火性を他の部分よりも高めることができ、火災時に生じる炎や熱が前記境目に生じる隙間を通りにくくして、耐火性能を向上することができる。
第7の態様に係る耐火構造(1)は、第6の態様において、耐火材(20)における支持材(50)と対向しない部分が、他の部分の厚みよりも大きい厚肉部(21)である。
この態様によれば、隣接する下地部材(35)同士の境目に対応する部分は他の部分よりも厚肉部(21)で耐火性を高めることができ、火災時に生じる炎や熱が前記境目に生じる隙間を通りにくくして、耐火性能を向上することができる。
第8の態様に係る耐火構造(1)は、第7の態様において、耐火材(20)が複数のシート部材(27)で構成されている。正面視において、各シート部材(27)は下地部材(35)よりも大きく形成されている。複数のシート部材(27)は各端部(26)を重ねて施工可能である。
この態様によれば、隣接する下地部材(35)同士の境目をシート部材(27)の端部(26)で覆うことができ、しかも複数のシート部材(27)の端部(26)同士を重ねることにより、火災時に生じる炎や熱が前記境目に生じる隙間を通りにくくして、耐火性能を向上することができる。
第9の態様に係る耐火構造(1)は、第7または第8の態様において、厚肉部(21)は複数のシート部材(27)が重なって形成される。
この態様によれば、複数のシート部材(27)を重ね合わせるだけで厚肉部(21)を形成することができ、簡単な作業で耐火性を向上することができる。
第10の態様に係る耐火構造(1)は、第8または第9の態様において、シート部材(27)は、下地部材(35)の境目の位置の目安となるマーク部(22)を有する。
この態様によれば、シート部材(27)はマーク部(22)を目安にして配置することができ、シート部材(27)の位置決めを容易に行うことができる。
1 耐火構造
10 化粧材
20 耐火材
21 厚肉部
22 マーク部
27 シート部材
30 下地材
35 下地部材
40 断熱材
50 支持材
54 充填材
88 発泡空間

Claims (6)

  1. 化粧材と、耐火材と、下地材と、断熱材と、がこの順に配置され、
    複数の支持材が、前記下地材の前記化粧材側とは反対側に、左右方向に並べて配置され、
    前記下地材は、複数の下地部材が上下に隣接して配置されて構成されており、
    前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分が、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分以外の部分よりも耐火性が高く
    記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分が、前記耐火材における上下に隣接する下地部材同士の境目に対応する部分以外の部分よりも厚みが大きい厚肉部であり、
    前記耐火材は、複数のシート部材で構成されており、
    正面視において、前記各シート部材は前記下地部材よりも大きく形成されており、
    前記複数のシート部材は各端部を重ねて施工可能であり、
    前記厚肉部は、前記複数のシート部材が重なって形成される
    耐火構造。
  2. 請求項1において、
    複数の前記断熱材の各々が隣り合う前記支持材の間に配置され、
    前記耐火材が発泡性を有し、
    前記化粧材と前記下地材との間に発泡空間が形成されている
    耐火構造。
  3. 請求項1または2において、
    前記各支持材は、中空部を有し、
    前記中空部には充填材が配置される
    耐火構造。
  4. 請求項3において、
    前記充填材は前記断熱材を延長して形成される
    耐火構造。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記断熱材は、繊維系断熱材であって、その密度が10kg/m以上32kg/m以下である
    耐火構造。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記シート部材は、前記下地部材の境目の位置の目安となるマーク部を有する
    耐火構造。
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