JP5139693B2 - 耐火被覆構造 - Google Patents
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Description
この場合、前記耐火被覆材に対し一定の耐火性を付与するためには厚みを大きくする必要があり、前記建築物内部の室内空間を有効利用する場合には設計の自由度が制限される。
この様な問題に対応するため、アルミ箔を表面に有する無機系材料シートと熱膨張性材料とを積層してなる耐火積層体を、前記アルミ箔が梁や柱等の建築構造材とは反対側となる様に配置した耐火被覆構造が提案されている。
この耐火被覆構造によれば、耐火被覆構造の表面、すなわち火災時に炎にさらされる側にアルミ箔を配置していることから前記耐火積層体の厚みを大きくする必要がないとされる(特許文献1)。
前記熱膨張性材料の厚みを大きくすればするほど施工性が低下する場合があり、また火災発生時の熱により膨張した後の熱膨張性材料は膨張した後の形状を保ち難くなる場合がある他、従来の耐火被覆構造に比較してコスト高になるとの問題があった。
本発明の目的は、優れた施工性を有しつつ耐火性に優れた耐火被覆構造を提供することにある。
[1]金属箔および有機系材料シートを含む積層体の少なくとも一方の最外面に前記金属箔が配置されている耐火積層体と、
建築構造材と、
を備えた構造であって、
前記耐火積層体が、前記金属箔および有機系材料シートに加えて、熱膨張性耐火シートおよび/または不燃材を含み、
前記有機系材料シートが、火災時の熱により燃焼するものであり、
前記耐火積層体が、前記耐火積層体の最外面に配置されている前記金属箔を前記建築構造材に対向させて、前記建築構造材を覆う様に配置されていることを特徴とする、耐火被覆構造を提供するものであり、
[2]金属箔および有機系材料シートを含む積層体の少なくとも一方の最外面に前記金属箔が配置され、前記金属箔および有機系材料シートに加えて、熱膨張性耐火シートおよび/または不燃材を含む耐火積層体、
により建築構造材を覆う被覆方法であって、
前記有機系材料シートが、火災時の熱により燃焼するものであり、
前記耐火積層体の最外面に配置されている前記金属箔を前記建築構造材に対向させて、
前記耐火積層体により前記建築構造材を覆うことを特徴とする、耐火被覆方法を提供するものである。
本発明に使用する耐火積層体は、金属箔および有機系材料シートを含むものである。
前記金属箔は、市販品として入手できるものを適宜選択して使用することができるが、熱を反射することにより建築構造材への熱入力を軽減することができるため、放射率の低いものが好ましい。
前記放射率が低い金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等を挙げることができる。
前記金属箔は、使いやすさ、コスト等の面からアルミニウム箔が好ましい。
前記金属箔は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記有機系材料シートを構成する有機系材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂類、
ポリスチレン樹脂、ポリ−α−メチルスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポカーボネート樹脂等のポリエステル系樹脂類、
ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等のポリアミド系樹脂類、
ポリフェニレンエーテル系樹脂等のエーテル系樹脂類、
アクリル樹脂等の不飽和エステル系樹脂類、
ABS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の共重合系樹脂類、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のノボラック系樹脂類、
フッ素化樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のハロゲン系樹脂類等を挙げることができる。
具体的には、ポリオレフィン系樹脂類、ポリエステル系樹脂類、不飽和エステル系樹脂類等が好ましく、ポリオレフィン系樹脂類、ポリエステル系樹脂類等がより好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂であればさらに好ましい。
前記有機系材料は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記形状は一種もしくは二種以上を採用することができる。
この有機系材料を用いた織布は、糸状の有機系材料同士が隙間なく編み上げられたものに限定されず、例えば、粗く編み上げられた粗布、隙間のあるメッシュ等のものであってもよい。
前記有機系材料シートと前記金属箔等とを積層する方法としては、例えば、前記有機系材料シートと前記金属箔等とを熱プレスにより融着させる方法、前記有機系材料シートと前記金属箔等とを接着剤により接着させる方法等を挙げることができる。
石膏板、ケイ酸カルシウム板、繊維強化石膏板、パーライトセメント板、軽量気泡コンクリート(ALC)板、押出成形セメント板等の無機系ボード、
鉄板、鋼板、ステンレス板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板等の金属板等を挙げることができる。
前記不燃材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記熱膨張性耐火シートとしては、具体的には、例えば、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、またはエポキシ樹脂に無機充填剤及び熱膨張性無機化合物である層状無機物を配合した樹脂組成物からなるもの等が挙げられる。
型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型等が挙げられ、グリシジルエステル型として、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等が挙げられ、多官能のグリシジルエーテル型として、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
社製「GRAFGUARD」、東ソー社製「GREP−EG」等が挙げられる。
前記無機充填剤の量が50重量部未満であると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が400重量部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するため、粘着力が不足する。
前記層状無機物の量が20重量部未満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能が得られない。一方、層状無機物の量が150重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品としての強度が得られない。
本発明に使用する耐火積層体の具体例としては、例えば、次の順番に前記金属箔、前記有機系材料シート等が積層されたもの等を挙げることができる。
(A)1.金属箔、2.有機系材料シート
(B)1.金属箔、2.有機系材料シート、3.不燃材
(C)1.金属箔、2.有機系材料シート、3.不燃材、4.有機系材料シート、5.金属箔
(D)1.金属箔、2.有機系材料シート、3.熱膨張性耐火シート
(E)1.金属箔、2.有機系材料シート、3.熱膨張性耐火シート、4.不燃材
(F)1.金属箔、2.有機系材料シート、3.熱膨張性耐火シート、4.不燃材、4.有機系材料シート、5.金属箔
本発明に使用する耐火積層体は、前記(A)〜(F)等のいずれかの順番に前記金属箔、前記有機系材料シート等が積層されたものであることが好ましく、前記(B)〜(F)等に例示される様に、前記金属箔が最外面に配置され、次に前記有機系材料シートが配置されて積層されているものがより好ましい。
前記(A)〜(F)の場合は、火災の際の熱により、前記有機系材料シートは燃焼し消失する。
しかしながら前記有機系材料シートが燃焼し消失した後は、特に前記(B)〜(F)等の場合は、最外面に配置された前記金属箔と、次に配置された前記有機系材料シートとに加え、その次に不燃材等が配置されているため、前記金属箔と前記不燃材等との間に空気層が確保されることから建築構造材に対する断熱性を確保することができ、前記建築構造材の温度上昇を抑制することができる。
前記建築構造材としては、例えば、建築物等に使用される梁、柱、天井、壁、間仕切り、扉、床等を挙げることができる。
前記建築構造材は、建築物等に使用される梁、柱等であれば好ましい。
またこれらの梁、柱等は鉄骨により形成されているものであればより好ましい。
図1は、本発明の耐火被覆構造の実施態様を説明するための模式要部斜視図である。
前記耐火被覆構造では、建築構造材用鉄骨1の周りに前記耐火積層体2が前記建築構造材用鉄骨1を覆う様に設けられている。なお、参照符号4は天井の一部分を例示したものである。
前記耐火積層体2は、溶接ピン3により、建築構造材用鉄骨1に固定されている。
前記耐火積層体2を前記建築構造材用鉄骨1に固定する際には、例えば、両面粘着テープ等を用いて前記耐火積層体2を前記建築構造材用鉄骨1に仮止めしておき、ついで前記溶接ピン3により、前記耐火積層体2を前記建築構造材用鉄骨1に固定する等の方法を採用することができる。
また前記ボルトに代えてピンを使用することもできる。この場合には、複数のピンに前記耐火積層体2の穴を嵌め込み、そのピンを折り曲げることにより固定する等の方法を採用することもできる。
図2に例示される様に、前記耐火積層体2は、金属箔5、有機系材料シート6および不燃材7が積層されたものである。
図2に例示した前記耐火積層体2の最外面に配置された前記金属箔5が図1に例示した前記建築構造材用鉄骨1に対向する様に、前記耐火積層体2により前記建築構造材用鉄骨1が覆われている。
この耐火積層体20の断面構造を図3に示す。
図5に、実施例2に使用した前記耐火積層体21の模式要部断面図を示す。図5に示した耐火積層体21のうち、前記アルミニウム箔15が前記H鋼梁1と対向する様に配置されていて、前記H鋼梁1が前記耐火積層体21により覆われている。
耐火性能試験の結果、前記H鋼梁表面の最高温度は388℃であった。
実施例1に使用した前記耐火積層体20に代えて、実施例1の場合と同様の操作により、熱膨張性耐火シート12の一方の面に20μmの厚みのアルミニウム箔10および100μmの厚みのガラスクロス11を配置し、ならびに他方の面に100μmの厚みのガラスクロス11および20μmのアルミニウム箔10を積層させて得た耐火積層体22を使用した他は実施例1の場合と全く同様にして耐火被覆構造を得た。
図6に、比較例1に使用した前記耐火積層体22の模式要部断面図を示す。
耐火性能試験の結果、前記H鋼梁1表面の最高温度は451℃であった。
実施例1に使用した前記耐火積層体20に代えて、実施例1の場合と同様の操作により、熱膨張性耐火シート12の一方の面に20μmのアルミニウム箔15、20μmの厚みのポリエチレンフィルム14および90μmの厚みのポリエチレン粗布13を配置し、ならびに他方の面に100μmの厚みのガラスクロス11および20μmのアルミニウム箔10を積層させて得た耐火積層体23を使用した。
図7に、比較例2に使用した前記耐火積層体23の模式要部断面図を示す。
図7に示した耐火積層体23のうち、前記アルミニウム箔10が前記H鋼梁1(図4参照)と対向する様に被覆した他は実施例1の場合と全く同様にして耐火被覆構造を得た。
耐火性能試験の結果、前記H鋼梁1表面の最高温度は601℃であった。
実施例1に使用した前記耐火積層体20に代えて、25mmの厚みのセラミックマット16からなる耐火積層体24を使用した他は実施例1の場合と全く同様にして耐火被覆構造を得た。
図8に、比較例3に使用した前記耐火積層体24の耐火被覆構造の模式要部断面図を示す。
耐火性能試験の結果、前記H鋼梁1表面の最高温度は432℃であった。
2 耐火積層体
3 溶接ピン
4 天井
5 金属箔
6 有機系材料シート
7 不燃材
8 ケイ酸カルシウム板
10,15 アルミニウム箔
11 ガラスクロス
12 熱膨張性耐火シート
13 ポリエチレン粗布
14 ポリエチレンフィルム
16 セラミックマット
20〜24 耐火積層体
Claims (2)
- 金属箔および有機系材料シートを含む積層体の少なくとも一方の最外面に前記金属箔が配置されている耐火積層体と、
建築構造材と、
を備えた構造であって、
前記耐火積層体が、前記金属箔および有機系材料シートに加えて、熱膨張性耐火シートおよび/または不燃材を含み、
前記有機系材料シートが、火災時の熱により燃焼するものであり、
前記耐火積層体が、前記耐火積層体の最外面に配置されている前記金属箔を前記建築構造材に対向させて、前記建築構造材を覆う様に配置されていることを特徴とする、耐火被覆構造。 - 金属箔および有機系材料シートを含む積層体の少なくとも一方の最外面に前記金属箔が配置され、前記金属箔および有機系材料シートに加えて、熱膨張性耐火シートおよび/または不燃材を含む耐火積層体、
により建築構造材を覆う被覆方法であって、
前記有機系材料シートが、火災時の熱により燃焼するものであり、
前記耐火積層体の最外面に配置されている前記金属箔を前記建築構造材に対向させて、
前記耐火積層体により前記建築構造材を覆うことを特徴とする、耐火被覆方法。
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