JP4986683B2 - 耐火柱およびこれを使用したユニット建物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火柱、およびこれを使用したユニット建物に係り、特に、柱の外周を被覆する耐火材を薄くしても所望の耐火性能を確保できる耐火柱、およびこれを使用したユニット建物に関する。
従来、この種の耐火柱としては、特許文献1に記載の耐火柱がある。この特許文献1に記載の耐火柱は、図7に示されるように、4本の柱30を耐火被覆材31,32で覆ったものである。すなわち、各柱30の建物ユニット内に向くそれぞれ2つの側面には、予め工場において、厚さ12.5mmのセラミックファイバや石綿珪酸カルシウム等の耐火被覆材31が施されていて、さらに、各一階ユニット間の隙間35,36の外面にも、耐火被覆材32が被せられ、こうしてこの柱集結部における4本の柱30,30,…は、周囲を完全に耐火被覆材で覆われ、これによって、耐火時間1時間以上の耐火性能が確保されているものである。さらに、これらの耐火被覆材31,32の外面には、石膏ボード等の内装下地材33が貼設されている。
また、国土交通省告示で例示されている仕様や他の耐火柱の構造としては、厚さ75mm以上のALC板で躯体を被覆する仕様やRC造などが一般的であった。さらに、柱や梁等の躯体を構成する部材に耐火被覆を施工するためにロックウール等を吹き付ける仕様等があり、これらは現場作業で施工されている。
特開平7−54424号公報(段落[0017]、図7)
ところで、前記特許文献1に記載の耐火柱は、梁を挟んで隣接するスパン間で、梁の熱膨張が加算集積されることがなくなり、建築物全体としての過大な変形を抑止することができるという多大な効果を奏するものであるが、構成が複雑であると共に作業が煩雑であり、コストが上昇する問題点があった。また、厚さ75mm以上のALC板を柱の周囲に配置して被覆する場合は各面の被覆の目地を耐火接着剤等で処理する必要があるとともに、被覆部の容積が大きくなり、RC造等では分厚くて重いという問題点があった。そして、ロックウール等を吹き付ける仕様等では、現場作業性、安全性に劣り、かつ、作業ばらつきが大きいものが多かった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、柱を被覆する耐火材を薄くしても十分な耐火性能を確保でき、柱を耐火被覆する被覆部の容積を小さくでき、耐火材として軽量な外壁材と耐火ボードを用いてコストダウンが可能な耐火柱を提供することにある。また、作業ばらつきの影響を受けにくく、耐火性能の安定している耐火柱と、この耐火柱を用いたユニット建物を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明の請求項1に記載の発明による耐火柱は、柱の外周を耐火材で耐火被覆した耐火柱であって、この耐火材は、鋼板等の金属板材および石膏ボード等の不燃材を積層した外壁材と、不燃材および熱膨張性耐火材を積層した耐火ボードとを少なくとも備え、前記耐火柱は、前記耐火材の内側に該耐火材に沿って部分的あるいは全周に熱膨張性耐火シートをさらに備えることを特徴とする。前記の熱膨張性耐火材とは、火災等により加熱されたときに膨張して断熱層を形成するシートであり、厚さは積層される不燃材により適宜設定されるが、0.3mm〜2mm程度のものが好ましい。また、耐火ボードを構成する熱膨張性耐火材は、ベースとなる不燃材の表面に塗布等により付着・積層させることができる。
前記のごとく構成された本発明の請求項1に記載の発明による耐火柱は、建物を構成する柱を耐火被覆する際に、例えば、建物の屋外側に面する部分は鋼板等の金属板材および不燃材を積層した外壁材で被覆し、建物の内側に面する部分は不燃材と熱膨張性耐火材とを積層した耐火ボードで被覆するため、薄くて軽量で、かつ、乾式の耐火被覆を作ることができる。また、従来仕様に比して、安価に作ることができ、かつ、施工負荷も低い仕様を提供できる。さらに、施工ばらつきの影響を受けずに耐火性能を確保することができる。
また、本発明の請求項1に記載の発明による耐火柱は、外壁材の不燃材の内側や、耐火ボードの不燃材の内側に、これらの不燃材に沿って部分的あるいは全周に熱膨張性耐火シートをさらに備えているため、耐火性能をさらに向上させることができる。特に、外壁材と耐火ボードとの接合部分等に熱膨張性耐火シートを部分的に配置することで、接合部分の変形による隙間等を補填することができ、耐火性能を安定させることができる。
本発明の請求項2に記載の発明による耐火柱は、熱膨張性耐火材が、シート状に形成され、不燃材と積層されるものである。このように構成された耐火柱は、ボード状の不燃材にシート状の熱膨張性耐火シートを積層して耐火ボードを形成できるため、耐火柱の施工が容易となる。
さらに、本発明の請求項に記載の発明による耐火柱では、前記柱は、その断面が矩形状であり、矩形の屋外側の少なくとも1辺に沿って外壁材を配置し、残りの辺に沿って耐火ボードを配置している。例えば、矩形の4辺の内の、屋外側に面する2面を外壁材で被覆し、室内側に面する他の2面を耐火ボードで被覆している。このように構成された耐火柱は、柱の矩形の各辺に沿って厚さの薄い耐火材を配置し耐火被覆することで、耐火被覆された内部の柱の温度上昇を確実に低減することができる。
本発明の請求項に記載の発明による耐火柱は、前記柱は、その断面が矩形状であり、矩形の屋外側の少なくとも1辺に沿って外壁材を配置し、該外壁材に連続する室内側2辺に沿って耐火ボードを配置し、室内側の残りの1辺に沿って不燃ボードを配置している。このように構成された耐火柱は、矩形の屋外側の少なくとも1辺に沿って外壁材を配置し、この外壁材に連続させて耐火ボードを配置し、さらに室内側に不燃ボードを配置して柱の外周を耐火被覆しているため、薄い構成で十分な耐火性能を確保することができる。また、室内側の残りの1辺に耐火ボードではなく、不燃ボードを配置することで、熱膨張性耐火シートではなく不燃ボードが室内側の表面にくるため、他の室内側の面と同様にクロス貼り等の仕上げ作業をすることができる。
本発明の請求項に記載の発明による耐火柱では、柱は3本が入隅状に配置され、屋外側に面する入隅部の2辺に沿って外壁材を配置し、該外壁材に連続する2辺に沿って耐火ボードを配置し、室内側の残りの2辺に沿って不燃ボードを配置している。このように構成された耐火柱は、屋外側、室内側、および柱の側面に効果的に耐火材を配置することで、耐火性能を損なうことなく、薄い構成の耐火被覆を施工することができる。また、熱膨張性耐火シートの使用量を減らすことができる。
本発明の請求項に記載の発明による耐火柱は、前記熱膨張性耐火シートが、50kW/mの加熱条件下で30分間、加熱したあとの体積膨張率が3〜50倍であり、かつ圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて測定した体積膨張後の破断点応力が4.9kPa以上の材料で形成されることを特徴としている。このように構成された耐火柱は、耐火ボードに積層された熱膨張性耐火シート、あるいは外壁材の耐火材に沿ってさらに備えられた熱膨張性耐火シートが火災等の熱で膨張して膨張断熱層を形成したとき、所定の強度を有しており、火炎等の勢いで膨張断熱層が破壊することがないため耐火性能が安定する。
本発明の請求項に記載の発明による耐火柱は、前記熱膨張性耐火シートが、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物および無機充填材の合計量を40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成されることを特徴としている。このように構成された耐火柱は、柱を耐火被覆する外壁材および耐火ボードが火災等の熱にさらされたとき、熱膨張性耐火シートが膨張して十分な膨張断熱層が得られるため、耐火性能が安定して内部の柱への熱の遮断が安定し、柱の耐力低下を防止できる。
本発明の請求項に記載の発明によるユニット建物は、前記したいずれかに記載の耐火柱を使用して建物ユニットを構成し、該建物ユニットを複数個、連結固定したことを特徴としている。このように構成されたユニット建物は、外壁材と耐火ボードとを少なくとも備える薄く軽量な耐火材で柱を耐火被覆して十分な耐火性能を確保できるため、耐火柱の容積を減らしてユニット建物内の有効スペースを増大させることができる。また、建物ユニットは輸送の際の寸法制限があるため、柱の耐火被覆の容積が小さくなると部屋として使用できる空間を大きくできる。
本発明の耐火柱は、柱の外周を、薄くて軽量な外壁材と、薄くて軽量な耐火ボードとを少なくとも備える耐火材で覆って耐火構造とすることで十分な耐火性能を得られ、耐火被覆の施工部分の容積を小さくでき、建物内部の有効面積を大きくすることができる。また、乾式の簡便な作業で施工が容易であり、作業ばらつきを少なくすることができ、耐火性能を安定させることができる。さらに、この耐火柱をユニット建物に用いれば、ユニット建物の耐火柱の容積を少なくすることができ、建物内の有効面積を増やすことができる。
以下、本発明に係る耐火柱の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る耐火柱の水平方向の断面図、図2は、図1の耐火柱を施工する建物ユニットの要部構成を示す平面図である。そして、図2のA部の柱を耐火被覆したものが図1で示されている。
図1、図2において、耐火柱1は、建物等の躯体を構成する柱2を耐火材で耐火被覆した耐火柱である。本実施形態では、柱2は躯体として建物ユニットYを構成する鋼管柱であり、建物ユニットYは4本の柱2を上下の梁で結合して構成される。柱2は図示の例では100mm角の角部が円弧とされた矩形断面であり、肉厚が6mm程度のものを用いている。耐火柱1は断面が矩形状であり、矩形の4辺に沿って耐火材で被覆されている。この柱2により構成される建物の屋外側に面する2辺(図1では上方および右方)は、耐火材として外壁材3が使用されている。また、建物の内側に面する2辺(図1では左方および下方)は、耐火材として耐火ボード4,4Aが使用されている。耐火ボード4,4Aは、一方の耐火ボード4の端面に他方の耐火ボード4Aが対接するもので、耐火ボード4より耐火ボード4Aの幅が広く形成されている。
耐火材として、柱2の2面を被覆する外壁材3は、金属板材として鋼板3aと、不燃材として石膏ボード3b,3bとを積層して構成されている。図示の例では、12.5mm厚の石膏ボード3b,3bの端部を直角に接触させL字型とし、L字型の石膏ボードの外面を覆うように0.8mm厚の鋼板3aを折り曲げており、鋼板3aの両端部をさらに折り曲げて石膏ボードの開放端を巻き込んで折り返している。このように鋼板3aを屈曲させることで、2枚のL字型の石膏ボード3b,3bを一体化させ、柱2の2面を耐火被覆している。鋼板3aの折り返し部に、後述する耐火ボードを連結するためのコーナースタッドを取り付けるリベットが固定される。
また、耐火材として、柱2の他の2面を被覆する耐火ボード4,4Aは、12.5mm厚の石膏ボード4a,4aを2枚積層して不燃材とすると共に、1mm厚の熱膨張性耐火シートである加熱膨張シート4bを積層して構成している。すなわち、2枚の石膏ボード4a,4aの外側に加熱膨張シート4bを積層して構成している。この加熱膨張シート4bは火災等により加熱されたときに膨張して膨張断熱層を形成するシートであり、形成された膨張断熱層により柱等の躯体への熱の伝導を防止する。加熱膨張シート4bの詳細については後述する。
柱2の外周を覆う外壁材3と、2枚の耐火ボード4,4Aは柱2と平行に建物の内側に垂直に固定されたスタッド5と、コーナースタッド6,6とを介して柱2の外周に配置され、柱2を耐火被覆している。下地となるスタッド5は、例えば30〜32mm角で厚さが0.4〜0.6mm程度の鋼板を折り曲げて形成した間柱材が使用されている。また、コーナースタッド6は例えば1.6mm〜2mm厚程度の鋼板を折り曲げて形成され、各延出片の長さが30mmと60mmの長さのL型となるように折り曲げられている。コーナースタッド6,6は外壁材3の開放側の端部にリベット等の固定具7,7により固定されている。なお、外壁材3は、2枚の石膏ボード3b,3bをL型に連結した例を示したが、平板状の2枚の外壁材を直角に連結して、矩形の柱2の2辺に沿って取り付けるように構成してもよい。また、コーナースタッドは長尺のアングル材で形成しても、あるいは短尺のアングル材を部分的に取り付けてもよい。
建物の内側に面する2枚の耐火ボード4,4Aは、その一端部がスタッド5の2辺に接するようにビス等の固定具8,8で固定されている。そして、耐火ボード4,4Aの他端面には、それぞれ外壁材3のL字型の両端部が対接し、コーナースタッド6,6に固定具8,8で連結されている。すなわち、耐火ボード4,4Aの他端側に、外壁材3に固定されたコーナースタッド6の長辺がビス等の固定具8で固定され、コーナースタッド6を介して外壁材3と耐火ボード4,4Aが連結されている。このように、2枚の石膏ボードと加熱膨張シートを重ね合わせた耐火ボード4,4Aは固定具8,8により一体化されている。なお、柱2と外壁材3との間にはスペーサ9,9が介在され、所定の間隙を保つように構成されている。図示の例では、リベットやビス等の固定具7,8は柱2に直接ねじ込まれていないため、躯体である鋼管柱2に傷つけることが無い。
本実施形態の耐火柱1は、外壁材3の石膏ボード3bの内側と、耐火ボード4,4Aの石膏ボード4a,4aの内側に、これらの石膏ボードに沿って柱2とスタッド5を覆うように、0.3mm厚の加熱膨張シート10が巻回されている。この加熱膨張シート10は、基本的には耐火ボード4に積層された加熱膨張シート4bと同じ構成のシートが使用され、その厚さのみが異なっている。なお、加熱膨張シート10はスタッド5を含めて巻回されているが、柱2のみを巻回するように構成してもよい。このように、耐火材を構成する厚さが13〜15mm程度の外壁材3と、厚さが26〜27mm程度の耐火ボード4,4Aの石膏ボード3b,4aの内側に、石膏ボードに沿って厚さが0.3〜0.5mm程度の加熱膨張シート10を全周に備える薄い構造の耐火材を被覆することにより、火災等の熱をより効果的に断熱することができ、耐火性能を向上させることができる。
ここで、加熱膨張シート10,4bについて説明する。加熱膨張シートを構成する熱膨張性耐火材料は、火災等により加熱されたときに膨張して断熱層を形成し、躯体を構成する柱2を保護する材料であれば特に限定されないが、好ましくは50kW/mの加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍の材料である。体積膨張率が3倍を下回ると、膨張成分の厚さが十分でなく耐火性能が低下するため、また50倍を超えると、膨張断熱層の強度が下がり、火炎の貫通を防止する効果が低下するため、前記の範囲が好ましい。より好ましくは、体積膨張率が5〜40倍であり、さらに好ましくは8〜35倍である。
熱膨張性耐火材料は、前記のように膨張断熱層が内側の躯体を構成する柱を保護するため、炭化成分と膨張成分が複合化されて所定の強度を有する材料であることが好ましい。膨張断熱層の強度としては、圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて、前記体積膨張後のサンプルを0.1m/sの圧縮速度で測定した場合の破断点応力が4.9kPa以上が必要である。破断点応力が4.9kPaを下回ると、膨張断熱層が火勢により破壊されやすく耐火性能が低下する。より好ましい破断点応力は、9.8kPa以上である。
つぎに、前記した加熱膨張シート10,4bを構成する熱膨張性耐火材料について詳細に説明する。
前記の熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物の樹脂成分としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
また、前記の熱可塑性樹脂の代わりに、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム物質を使用することができる。さらに、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を使用することも可能である。
これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性無機物、特に熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重合体、これらの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレン部を主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体の具体的商品としては、デュポンダウ社製の「CGCT」、エクソンモービルケミカル社製の「EXACT」等の市販品が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、耐火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、上述のゴム物質が好ましい。
さらに前記したように、熱膨張性耐火材料からなる加熱膨張シート10,4bを不燃材である石膏ボード4aとの貼り合わせを可能にするため、樹脂組成物自体に粘着性を有することが好ましく、その方法としては、例えば、ゴム物質に粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、低分子量化合物等を添加することが挙げられる。粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル樹脂、コーパル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
粘着性を付与する可塑剤は、単独で粘着性を発現させることは難しいが、前記粘着付与樹脂との併用で粘着性を向上させることができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等が挙げられる。
粘着性を付与する油脂類は、可塑剤と同じ作用を有するため、可塑性付与と粘着調整剤の目的で用いることができる。油脂類としては特に限定されず、例えば、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等が挙げられる。また粘着性を付与する低分子量化合物は、粘着性付与以外に耐寒性向上、流動調整の目的を兼ねて用いることができる。低分子量化合物としては特に限定されず、例えば、低分子量ブチルゴムや、ポリブテン系化合物等が挙げられる。
さらに、樹脂自体の難燃性を上げて耐火性能を向上させるという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の耐火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹脂である。エポキシ基をもつモノマーとしては、2官能のグリシジルエーテル型、2官能のグリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型が挙げられる。
2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等が挙げられる。また、2官能のグリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等が挙げられる。
さらに、多官能のグリシジルエーテル型としては、例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。また、前記したエポキシ基を持つモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
エポキシ基を持つモノマーと反応させてエポキシ樹脂を得るための硬化剤としては、重付加型、触媒型のものが挙げられる。重付加型の硬化剤としては、脂肪族ポリアミンまたはその変性アミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる、また、触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸、ルイス塩基等が挙げられる。なお、前記硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、エポキシ樹脂には、他の樹脂が添加されていてもよい。他の樹脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現されなくなるので、エポキシ樹脂1に対して他の樹脂の添加量は5(重量比)以下が好ましい。エポキシ樹脂には、種々の板厚の不燃材に貼着できると共に、湾曲して配置することが可能になるように、可撓性が付与されてもよく、可撓性を付与する方法としては、次の方法が挙げられる。
(1)架橋点間の分子量を大きくする。
(2)架橋密度を小さくする。
(3)軟質分子構造を導入する。
(4)可塑剤を添加する。
(5)相互侵入網目(IPN)構造を導入する。
(6)ゴム状粒子を分散導入する。
(7)ミクロボイドを導入する。
前記(1)の方法は、予め分子鎖の長いエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることで、架橋点の間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えばポリプロピレンジアミン等が用いられる。前記(2)の方法は、官能基の少ないエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば2官能アミン、エポキシモノマーとして、例えば1官能エポキシ等が用いられる。
前記(3)の方法は、軟質分子構造をとるエポキシモノマー及び/又は硬化剤を導入して可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば複素環状ジアミン、エポキシモノマーとして、例えばアルキレンジグリコールジグリシジルエーテル等が用いられる。前記(4)の方法は、可塑剤として非反応性の希釈剤、例えば、DOP、タール、石油樹脂等を添加する方法である。
前記(5)の方法は、エポキシ樹脂の架橋構造に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。前記(6)の方法は、エポキシ樹脂マトリックスに液状又は粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとしてポリエステルエーテル等が用いられる。前記(7)の方法は、1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることにより、可撓性を発現させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとして、分子量1000〜5000のポリエーテルが添加される。
前記エポキシ樹脂の剛性、可撓性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有するシートが得られ、種々の板厚の不燃材に応じて、加熱膨張シートを貼着することが可能となると共に、湾曲させて設置することが可能となる。前記した樹脂は、いずれも単独で用いても、樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため2種以上の樹脂をブレンドしたものを用いてもよい。さらに、樹脂組成物の耐火性能を阻害しない範囲で、樹脂の架橋や変性が施されていてもよい。架橋又は変性の方法としては特に限定されず、公知の方法で行うことができる。架橋又は変性は、本発明で用いる各種充填剤を配合した後、又は配合と同時に行ってもよく、あるいは予め架橋又は変性した樹脂を用いてもよい。
加熱膨張シート10,4bを構成する熱膨張性耐火材料に含有される熱膨張性無機物としては、加熱して膨張する熱膨張性無機物であれば特に限定されないが、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛、ケイ酸金属塩、ホウ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、膨張開始温度が低くかつ膨張度が高いことから熱膨張性黒鉛が好ましい。
熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物に、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。無機充填剤の中でも、含水無機物及び/又は金属炭酸塩が好ましい。
前記の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて耐火性能を向上させる点、及び加熱後に酸化物が残存しこれが骨材となって働くことで膨張層の強度が向上する点で好ましい。含水無機物の中でも、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物は、生成する水の量が多く、より耐火性能を発揮するため特に好ましい。また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
前記の金属炭酸塩は、加熱中に脱炭酸反応によって炭酸ガスが発生し、膨張層の形成を促進させる点、及び加熱後に酸化物が残存しこれが骨材となって働くことで膨張層の強度が向上する点で好ましい。金属炭酸塩の中でも、周期律表II族に属する金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウムは、炭酸反応が生起しやすいため、特に好ましい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
また、無機充填剤は、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることにより、膨張断熱層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ耐火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 0004986683
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
リン化合物は、火災等の高温にさらされると、ポリリン酸系化合物へと変化し、それが無機バインダーとして働き、膨張断熱層の強度を向上させる効果を発揮する。また前記の金属炭酸塩のうち、周期律表II族に属する金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウムは、前記リン化合物、特にポリリン酸アンモニウムと併用すると、金属炭酸塩の脱炭酸反応の温度が低下するため、膨張断熱層の形成を促進する。さらに、前記化合物を併用することにより、リン化合物のポリリン酸系化合物への変化を促進し、膨張断熱層の強度をさらに向上する効果を発揮する。特に、ポリリン酸アンモニウムと炭酸カルシウムを併用すると、前記の両方の効果が最も発揮されるため好ましい。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性無機物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部未満では、体積膨張率が低く、耐火被覆された柱への断熱が十分行われないため耐火性能が低下し、300重量部を超えると機械的強度の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。より好ましくは、20〜250重量部である。樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜400重量部が好ましい。配合量が30重量部未満では、熱容量の低下に伴い十分な耐火性能が得られなくなり、400重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜300重量部である。配合量が30重量部を下回ると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分でなくなり、300重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜250重量部である。
熱膨張性無機物と無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して40〜500重量部が好ましい。合計量が40重量部未満になると、十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは、70〜400重量部である。
さらにリン化合物を添加させる場合、リン化合物、熱膨張性無機物及び無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して70〜500重量部が好ましい。合計量が70重量部未満になると十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは100〜400重量部である。
また、樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、さらにフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、一般的な難燃剤を添加してもよく、難燃剤による燃焼抑制効果により耐火性能を向上させることができる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物の成形体は、前記の樹脂組成物の混練物を作製した後成形し、シート状またはロール状の成形体を作製してから切断することにより、所定幅の加熱膨張シートを得ることができる。さらに溶剤を混練時に添加してから成形後、溶剤を揮発させる方法であってもよい。
樹脂組成物の混練物は、前記の各成分を押出機、ハンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール等、またエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の場合は、さらに、ライカイ機、遊星式撹絆機等、公知の混練装置を用いることにより得ることができる。また二液性の熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の場合は、二液それぞれと充填剤の混練物を、前記混練方法にて別々に作製しておき、プランジャーポンプ、スネークポンプ、ギアポンプ等でそれぞれの混練物を供給し、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混合を行って混錬物を作製してもよい。
樹脂組成物の成形方法としては、前記の混練物を例えば、プレス成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等、公知の方法を用いて成形することができる。また二液性の熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の成形方法としては、さらにSMC(Sheet Molding Compound)等によるロール成形、ロールコーターやブレードコーターによるコーター成形等、適宜形状に応じて公知の方法を用いることができる。
熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、前記プレスやロールによる加熱、または成形ライン中の加熱炉等、成形と硬化を連続で行う方法、あるいは成形後加熱炉に投入する方法等、公知の方法によって行うことができる。また、溶剤を用いて成形する場合は、前記と同様な方法にて溶剤を揮発することができる。
前記の成形方法によって成形されたシート状またはロール状の成形体を、所定の幅に切断する方法としては、切断加工、スリット加工、輪切り加工等公知の方法を用いることができる。樹脂組成物の成形体がシート状の場合の厚みは、0.1〜3mmが好ましい。厚みが0.1mm未満であると、加熱によって形成される膨張断熱層の厚みが薄くなり、十分な耐火性能を発揮することができない。また、3mmを超えると自由に湾曲できなくなり、下地となる不燃材との密着性が低下する。より好ましくは0.3〜2mmである。
樹脂組成物は、膨張断熱層の強度をさらに向上させるために、不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットが積層されていてもよい。不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットとしては、無機繊維あるいは金属繊維状材料からなるものが好ましく、例えば、ガラス繊維の織布(ガラスクロス、ロービングクロス、コンティニュアスストランドマット等)あるいは不織布(チョップドストランドマット等)、セラミック繊維の織布(セラミッククロス等)あるいは不織布(セラミックマット等)、炭素繊維の織布あるいは不織布、ラスまたは金網から形成されるネットまたはマットが好適に用いられる。
これらのネットまたはマットのうち、熱膨張性耐火材料を製造する場合の容易さとコストの観点から、ガラス繊維の織布あるいは不織布が好ましく、製造時にガラスの飛散が少なくないことから、ガラスクロスがより好ましい。さらに、取り扱い性が向上すること、及び樹脂との接着性がよくなることから、ガラスクロスをメラミン樹脂やアクリル樹脂等で処理してもよい。また熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の場合は、前記ネットまたはマットが樹脂組成物中に含浸されていてもよい。
不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットの1m当たりの重量は、5〜2000gである。1m当たりの重量が5g未満であると、膨張断熱層の形状保持性を向上させる効果が低下し、2000gを超えるとシートが重くなって施工が困難になる。より好ましくは10〜1000gである。この不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットの厚みは、0.05〜3mmが好ましい。厚みが0.05mm以下であると、熱膨張性耐火材が膨張する際にその膨張圧に耐えられなくなる。また、厚さが3mmを超えると、熱膨張性耐火材のシートを丸めることが困難になる。より好ましくは、0.1〜2mmである。
不燃性繊維状材料からなるネットの場合には、その開き目は0.1〜50mmであることが好ましい。開き目が0.1mm未満であると、熱膨張性耐火材が膨張する際にその膨張圧に耐えられなくなる。また、50mmを超えると膨張断熱層の形状保持性を向上させる効果が低くなる。より好ましくは0.2〜30mmである。この不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットを熱硬化性樹脂組成物に含浸させる場合、ネットまたはマットの位置は、熱膨張性耐火材の厚み方向においていずれの位置であってもよいが、膨張層の形状保持性をより高めることから、火炎にさらされる表面側であることが好ましい。
熱膨張性耐火材は、樹脂組成物の成形体の片面または両面に、施工性や膨張層の強度を改善する目的で基材層が積層されていてもよい。基材層に用いられる材料としては、例えば、布、ポリエステルやポリプロピレン等からなる不織布、紙、プラスチックフィルム、割布、ガラスクロス、アルミガラスクロス、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、アルミニウム箔積層紙、及び、これらの材料の積層体等が挙げられる。これらの基材層のうち、粘着剤または接着剤の塗工や塗布がしやすいことから、ポリエチレンラミネートポリエステル不織布が、耐火性能上有利に働くことから、アルミニウム箔積層紙、アルミガラスクロスが好ましい。また基材層の厚みは、耐火性能あるいは施工上影響を及ぼさなければいずれでもよいが、好ましくは0.25mm以下である。
さらに、熱膨張性耐火材は、不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットと基材層との積層体を、樹脂組成物からなるシート表面に積層して形成してもよい。積層体としては、例えば、アルミガラスクロスあるいはポリフィルムとガラスクロスの積層体等が挙げられる。基材層または不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットを積層あるいは含浸させる方法としては、樹脂組成物を成形する段階で一体化する方法が挙げられる。
熱膨張性耐火材に、粘着剤または接着剤を予め塗工あるいは施工時に塗布し、耐火ボードを構成する不燃材に貼り付ける場合、用いる粘着剤または接着剤としては、合成樹脂製部材の樹脂に接着または粘着するものであればいずれでもよいが、例えば、アクリル系、エポキシ系、ゴム系等が挙げられる。また、予め成形体に粘着剤または接着剤層を有する基材を積層する場合は、成形時に積層してもよく、両面に粘着剤または接着剤を有する基材を成形体に積層してもよい。
熱膨張性耐火材は、前記のように耐火性能に優れているため、耐火性能を発現するのに必要な熱膨張性材料を減らすことが可能になり、耐火ボードの薄型化、軽量化と低コスト化を図ることが可能となる。また、前記のように、公知の技術を用いて簡単にボード状積層体を製造可能であり、ベースとなる不燃材の表面に容易に貼り付けて一体化することができ、簡便に耐火柱を形成することが可能となる。
前記の如く構成された本実施形態の耐火柱の施工について以下に説明する。耐火柱1の内部の柱2は、図2に示されるように4本の柱が梁で結合され建物ユニットYが構成され、複数の建物ユニットYを連結固定することでユニット建物が構成される。
建物ユニットYの柱2を耐火被覆して耐火柱1とするには、L字型の外壁材3の内側面にスペーサ9,9を貼着し、スペーサの内側に沿わせて加熱膨張シート10を設置する。加熱膨張シート10は柱2とスタッド5を巻きつけるのに十分な幅を有し、中央部を柱2に巻回させるようにL字に湾曲させ、両端部が開放状態となっている。外壁材3の両端部の内側に、耐火ボード4,4Aを連結するためのコーナースタッド6,6をリベット7,7で固定する。このとき、加熱膨張シート10をリベット7,7で挟んで加熱膨張シートの中程を保持しておく。
柱2と平行にスタッド5を垂直に固定し、スタッドに加熱膨張シート10の開放端部を巻きつけた状態で、一方の、例えば広幅の耐火ボード4Aをスタッド5とコーナースタッド6に当接させ、ビス等の固定具8をコーナースタッド6とスタッド5にねじ込んで耐火ボード4Aを固定する。この後、同様にして他方の狭幅の耐火ボード4を耐火ボード4Aと外壁材3との間に位置させ、スタッド5とコーナースタッド6にビス等の固定具8をねじ込んで固定する。このように、柱2の外周を加熱膨張シート10で覆い、その外側に外壁材3と耐火ボード4,4Aで被覆することで耐火柱1を施工することができる。このように構成される耐火柱1は、現場での施工が容易で安全性に優れており、作業ばらつきの少なくすることができる。しかも、乾式で構成でき、薄い構造で耐火性能に優れた耐火柱1を構成させることができる。
このように構成された本実施形態の耐火柱1に対して、耐火評価を実施した。評価は、財団法人建材試験センター、試験業務方法書、耐火床評価方法に準拠して行った。その結果は、以下の表1に示されるように、判定基準全てに合格することが確認された。矩形状の柱2の2面には、12.5mmの石膏ボード3b,3bの表面に鋼板3aを積層した外壁材3を配置し、他の2面に2層の石膏ボード4a,4aと加熱膨張シート4bとを積層した耐火ボード4,4Aを配置し、柱2の全周を覆うように0.3mm厚の熱膨張性耐火シートを巻回させ、柱2の外周を耐火被覆することで、躯体を構成する柱に対する遮熱性を向上させることができ、柱の加熱による耐力低下を防止することができる。
Figure 0004986683
本発明の他の実施形態を図3、図4に基づき詳細に説明する。図3は本発明に係る耐火柱の他の実施形態の水平方向の断面図、図4は図3の耐火柱を構成する2つの建物ユニットの要部構成を示す平面図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、耐火柱を構成する柱が2本並置され長方形を形成しており、2本の柱の外周を耐火材で耐火被覆しており、屋外側に面する長方形状の柱の1辺は外壁材で被覆され、外壁材に連続する2辺は不燃材および熱膨張性耐火シートを積層した耐火ボードで被覆され、室内側の1辺は耐火材として不燃ボードで被覆されていることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図3、図4において、耐火柱1Aは、2本の並置された柱2,2を耐火材で耐火被覆して構成される。2本の柱2,2は2つの建物ユニットY、Yが連結固定され、ユニット建物Uが構成されるときに、隣接する2本の柱が並置されるものであり、柱2,2の屋外側の1辺に沿って建物の屋外側に配置される外壁材13,13は建物ユニットごとに固定されている。この実施形態の外壁材13,13は分割され、2枚の外壁材の隙間に防水用のガスケット11が圧入されている。この外壁材13は、金属板材である鋼板13aと12.5mm厚の石膏ボード13bとを積層して構成され、石膏ボード13bの外側に位置する鋼板13aの一側は前記の実施形態と同様に石膏ボード13bの一側を覆うように折り返されており、他側は内側に折り曲げられて延出し、柱へ固定するための連結部13cとなっている。
2本の柱2,2の外周を被覆する耐火材として外壁材13,13と対向する室内側の1辺には、長尺の不燃ボード14が耐火材として配置されている。この不燃ボード14は12.5mm厚の2枚の石膏ボード14a,14aが積層されて構成され、2本の柱を覆うのに必要な幅を有している。さらに、2本の柱2,2の両サイドを被覆する耐火材として外壁材13,13と不燃ボード14とを連結する2枚の耐火ボード15,15が配置されている。この短尺の耐火ボード15は外壁材13と不燃ボード14との間に隙間無く嵌合する幅に設定されており、12.5mm厚の2枚の石膏ボード15a,15aと加熱膨張シート15bが積層されて構成されている。このように耐火柱1Bは、すくなくとも外壁材13,13と、狭幅の耐火ボード15,15とを備えており、さらに広幅の不燃ボード14を備えることにより柱2,2の外周を耐火被覆している。
柱2,2の外周を覆っている外壁材13,13、広幅の不燃ボード14、および狭幅の耐火ボード15,15は、前記の実施形態のように、スタッド5,5とコーナースタッド6,6を介して固定されると共に、外壁材13,13の向かい合う端部は間隙を有して対向し、連結部13c、13cが柱2,2にビス16で固定されている。そして、対向する連結部13c,13cの間に、ストライプ状の1mm厚の加熱膨張シート17がバックアップ材18と共に圧入されている。さらに、外壁材13,13の隙間にガスケット11が圧入され、両者間の防水状態を確保している。ガスケット11は防水機能を有すると共に、耐熱性を有するもので構成されている。
この実施形態においては、外壁材13と狭幅の耐火ボード15とを連結するコーナースタッド6は、対接する外壁材と耐火ボードとの間に、0.3mm厚の加熱膨張シート19が部分的に介在されている。この加熱膨張シート19は外壁材13,13と狭幅の耐火ボード15,15との接合部の遮熱性を向上させる機能を有しており、例えば火災時に外壁材13と耐火ボード15の一方が変形して隙間が発生しても、コーナー部に配置された加熱膨張シート19が膨張断熱層を形成し、内部の柱2,2を保護するものである。この実施形態では、柱の熱容量が大きいため、加熱膨張シート19は部分的に配置するだけでも、その機能を十分に発揮でき、加熱膨張シートの使用量を減らすことができる。
このように構成された第2の耐火柱1Aは、柱2,2の外周を鋼板13aと石膏ボード13bとを積層した外壁材13,13と、外壁材と連続して、2枚の石膏ボード15a,15aと加熱膨張シート15bとを積層した耐火ボード15,15と、石膏ボード2枚を積層した不燃ボード14で耐火被覆しており、被覆部が薄い構成で十分な耐火性能を有している。また、外壁材13,13同士の隙間には、バックアップ材18と共に加熱膨張シート17が圧入されており、火災時には加熱膨張シート17が膨張断熱層を形成して隙間部分からの熱の伝達を防止する。耐火柱1Aを、前記の実施形態と同様に耐火評価した結果、前記の表1に示されるように、判定基準全てに合格することが確認された。このため、この耐火柱1Aで建物を構成したとき、内部の容積を広く活用することができる。また、構成が簡単で、乾式の施工で容易に行えるため、現場作業性、安全性に優れ、かつ、作業ばらつきを低減でき、品質を高めることができる。
本発明のさらに他の実施形態を図5、図6に基づき詳細に説明する。図6は本発明に係る耐火柱のさらに他の実施形態の水平方向の断面図、図6は図5の耐火柱を構成する3つの建物ユニットの要部構成を示す平面図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、耐火柱を構成する柱が3本で入隅状に配置され、2本が並置されていると共に、3本目の柱が2本並べられている方向と直交する方向に並置されていることを特徴とする。また、3本の柱を耐火被覆する耐火材は、外壁材と、耐火ボードの他に、耐火材として不燃ボードを用いて柱の外周を耐火被覆している。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5、図6において、耐火柱1Bは、建物ユニットYが長辺方向に2つ並べられ、さらに1つの建物ユニットYが短辺方向に並べられ、ユニット建物Uが構成されたときに、外壁が入隅状態となる場合に適用される。すなわち、この実施形態の3本の柱は、3つの建物ユニットYが連結固定されるときに、図6のC部に示される隣接する3本の柱2,2,2が入隅状に配置されるものに適用される。
耐火柱1Bは、屋外側に面する入隅部の2辺に沿って外壁材23,23が配置され、室内側に面する2辺に沿って耐火材として不燃ボード24,24Aが配置され、さらに柱の側面に沿って外壁材と不燃ボードとの間を埋めるように耐火ボード25,25が配置されており、2枚の外壁材23,23と、2枚の不燃ボード24,24Aと、耐火ボード25,25で3本の柱2,2,2の外周を覆って耐火被覆している。すなわち、耐火柱1Bは、柱2,2,2の屋外側の2面を外壁材23,23で覆い、室内側の2面を不燃ボード24,24Aで覆い、2つの側面を耐火ボード25,25で覆って耐火被覆している。
外壁材23は金属板材として鋼板23aと石膏ボード23bとを積層して構成され、石膏ボード23bの一端を鋼板23aで折り返してリベットの取付部とし、石膏ボードの他端側では鋼板23aは45度方向に折り曲げられて傾斜辺23cが形成され、さらに45度方向に折り曲げられて柱への取付部23dが形成されている。柱2,2,2の室内側に配置される不燃ボード24,24Aは、12.5mm厚の2枚の石膏ボード24a,24aを積層して構成されている。不燃ボード24と24Aは、室内側で直角に接合されるため、その幅が異なっている。また、柱2,2,2の両サイドを覆う耐火ボード25,25は、12.5mm厚の2枚の石膏ボード25a,25aと、1mm厚の加熱膨張シート25bが積層されて構成される。このように、耐火ボード25,25は外壁材23,23に連続する2辺に沿って配置されている。
柱2,2,2の外周を覆っている外壁材23,23、不燃ボード24,24A、および耐火ボード25,25は、スタッド5,5と細スタッド5A,5A、およびコーナースタッド6,6を介して固定されると共に、外壁材23,23の向かい合う端部は間隙を有して対向し、取付部23d,23dが柱2,2にビス26で固定されている。そして、対向する取付部23d,23dの間に、ストライプ状の1mm厚の加熱膨張シート27.27がバックアップ材28,28と共に圧入されている。さらに、外壁材23,33の隙間にバックアップ材29と共に、ガスケット11Aが圧入され、外壁材間の防水状態を確保している。ガスケット11Aは防水機能を有すると共に、耐熱性を有するもので構成されている。
この実施形態においては、外壁材23,23と耐火ボード25,25とを連結するコーナースタッド6は、対接する外壁材と耐火ボードとの間に、0.3mm厚の加熱膨張シート19Aが部分的に介在されている。この加熱膨張シート19Aは外壁材23,23と耐火ボード25,25との接合部の遮熱性を向上させる機能を有しており、例えば火災時に外壁材23と耐火ボード25の一方が変形して隙間が発生しても、コーナー部に配置された加熱膨張シート19Aが膨張断熱層を形成し、内部の柱2,2,2を保護するものである。この実施形態では、柱の熱容量がさらに大きいため、加熱膨張シート19Aは部分的に配置するだけでも、その機能を十分に発揮でき、加熱膨張シートの使用量を減らすことができる。
このように構成された第3の耐火柱1Bは、柱2,2,2の外周を鋼板23aと石膏ボード23bとを積層した外壁材23,23と、この外壁材と連続して、2枚の石膏ボード25a,25aと加熱膨張シート25bとを積層した耐火ボード25,25と、石膏ボード2枚を積層した不燃ボード24,24Aで耐火被覆しており、被覆部が薄い構成で十分な耐火性能を有している。また、外壁材23,23同士の隙間には、バックアップ材28と共に加熱膨張シート27が圧入されており、火災時には加熱膨張シート27が膨張断熱層を形成して隙間部分からの熱の伝達を防止する。耐火柱1Bを、前記の実施形態と同様に耐火評価した結果、前記の表1に示されるように、判定基準全てに合格することが確認された。このため、この耐火柱1Bでユニット建物Uを構成したとき、内部の容積を広く活用することができる。また、構成が簡単で、乾式の施工で容易に行えるため、現場作業性、安全性に優れ、かつ、作業ばらつきを低減でき、品質を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、不燃材として石膏ボードの例を示したが、これに限られるものでなく珪酸カルシウム板等の他の材料より形成した不燃材を用いることもできる。また、耐火ボードは2枚の石膏ボードを積層した例を示したが、厚さの大きい1枚の石膏ボードを不燃材として用いてもよい。
さらに、耐火ボードに積層される加熱膨張シートは、石膏ボードの外側に積層した例を示したが、石膏ボードの内側に積層して構成してもよいことは勿論である。外壁材と共に柱を耐火被覆する耐火ボードは加熱膨張シートが積層されており、耐火ボード同士の接合部では石膏ボード等の不燃材の端面が露出しているが、この端面を加熱膨張シートで覆うと、より耐火性能を向上させることができる。
前記した実施形態では、耐火ボードは不燃材に熱膨張性耐火シートを積層した例を示したが、耐火ボードを構成する不燃材の表面に熱膨張性耐火材を所望の厚さで塗布して耐火ボードを構成してもよい。また、熱膨張性耐火材を粉末状とし、石膏ボード等の不燃材の表面に所望の厚さで付着させて耐火ボードを構成してもよい。
本発明の活用例として、この耐火柱を用いて、建物ユニットを組み合わせるユニット建物でない一般的な鉄骨系のプレハブ住宅の用途にも適用できる。また、本発明の金属板材、不燃材、熱膨張性耐火材の少なくともいずれかの厚みを増すことで、木造の建物の柱を耐火被覆する場合にも適用できる。
本発明に係る耐火柱の一実施形態の水平方向断面図。 図1の耐火柱を施工する建物ユニットの要部構成を示す平面図。 本発明に係る耐火柱の他の実施形態の水平方向断面図。 図3の耐火柱を施工する2つの建物ユニットの要部構成を示す平面図。 本発明に係る耐火柱のさらに他の実施形態の水平方向断面図。 図5の耐火柱を施工する3つの建物ユニットの要部構成を示す平面図。 従来の耐火柱の要部構成を示す水平断面図。
符号の説明
1,1A,1B:耐火柱、2:鋼管柱(柱)、3,13,23:外壁材(耐火材)、4,4A,15,25:耐火ボード(耐火材)、3a,13a,23a:鋼板、3b,13b,23b:石膏ボード(不燃材)、4a,14a,24a:石膏ボード(不燃材)、4b,15b,25b:加熱膨張シート(熱膨張性耐火シート)、10,19,19A:加熱膨張シート(熱膨張性耐火シート)、11,11A:ガスケット、17,27:加熱膨張シート(熱膨張性耐火シート)、14,24:不燃ボード(耐火材)、Y:建物ユニット、U:ユニット建物

Claims (8)

  1. 柱の外周を耐火材で耐火被覆した耐火柱であって、
    前記耐火材は、金属板材および不燃材を積層した外壁材と、不燃材および熱膨張性耐火材を積層した耐火ボードとを少なくとも備え
    前記耐火柱は、前記耐火材の内側に該耐火材に沿って部分的あるいは全周に熱膨張性耐火シートをさらに備えることを特徴とする耐火柱。
  2. 前記熱膨張性耐火材は、シート状に形成され、前記不燃材と積層されることを特徴とする請求項1に記載の耐火柱。
  3. 前記柱は、断面が矩形状であり、前記矩形の屋外側の少なくとも1辺に沿って前記外壁材を配置し、残りの辺に沿って前記耐火ボードを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火柱。
  4. 前記柱は、断面が矩形状であり、前記矩形の屋外側の少なくとも1辺に沿って前記外壁材を配置し、該外壁材に連続する室内側の2辺に沿って前記耐火ボードを配置し、室内側の残りの1辺に沿って不燃ボードを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火柱。
  5. 前記柱は、3本が入隅状に配置され、屋外側に面する入隅部の2辺に沿って前記外壁材を配置し、該外壁材に連続する2辺に沿って前記耐火ボードを配置し、室内側の残りの2辺に沿って不燃ボードを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火柱。
  6. 前記熱膨張性耐火シートは、50kW/mの加熱条件下で30分間、加熱したあとの体積膨張率が3〜50倍であり、かつ圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて測定した体積膨張後の破断点応力が4.9kPa以上の材料で形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の耐火柱。
  7. 前記熱膨張性耐火シートは、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物および無機充填材の合計量を40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の耐火柱。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の耐火柱を使用して建物ユニットを構成し、該建物ユニットを複数個、連結固定したことを特徴とするユニット建物。
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