本発明は、長手方向に沿う空洞を有する部材からなり、耐火性を有する板材を支持する防火性サッシであって、
前記板材の面に沿う方向及び/又は板材の面に沿う方向と垂直な方向に耐火面が形成されるように、前記空洞の内の選択された空洞内にその長手方向に沿って複数の熱膨張性耐火材が挿入されている防火性サッシであって、前記空洞のうち少なくとも1つにおいて、2枚の該熱膨張性耐火材が同一空洞内で対向するように配置されている、防火性サッシを提供する。
本発明にかかる防火性サッシ部材の横断面形状は、長手方向に沿う1つ又は複数の空洞が形成され、これらの空洞の内の選択された空洞内に熱膨張性耐火材が挿入される。空洞を有するサッシ部材は、通常、開口枠体と、板材の外周を支持し空洞を有する外周枠体とからなる。これらの空洞を有するサッシ部材の素材としては特に限定されないが、アルミニウム等の金属、合成樹脂、木材、これらを組み合わせたもの等が挙げられ、断熱性、防音性に優れるものの自体の耐火性が低い合成樹脂に、耐火性を向上する本発明を提供した場合、特に有用である。熱膨張性耐火材としては、空洞内に容易に挿入することができる形態の成形体が好ましい。
本発明において、耐火面とは、熱膨張性耐火材が加熱されたとき、体積膨張して耐火断熱層が隙間無く形成され、連続して形成される面である。例えば、防火性サッシを正面方向から見たとき、合成樹脂製部材の正面をほぼ埋め尽くすように、隙間無く配置された熱膨張性耐火材で形成され、ほぼ連続した面として形成されることが好ましい。すなわち、熱膨張性耐火材からなる耐火面は複数の空洞を区切る樹脂の肉厚を除いて、ほぼ連続した面として形成される。耐火面を構成する複数の熱膨張性耐火材は、奥行き方向にずれて配置されていても機能的に問題はない。
本発明にかかる防火サッシは、当該サッシを構成する部材の空洞のうち少なくとも1つにおいて、2枚の該熱膨張性耐火材が同一空洞内で対向するように配置されていることを特徴とする。従来の防火性サッシにおける熱膨張性耐火材の配置方法(概略図を図2に示す)では、熱膨張性耐火材を空洞内の一つの面に配置していたため(図2(a))、耐火断熱層を形成するために比較的多くの量の熱膨張性耐火材が必要であった。また、熱膨張性耐火材は、加熱により膨張する際、貼付面側(図2の場合下側)から貼付面に対向する面の側(図2の場合上側)に膨張していく。そして、加熱膨張後に耐火断熱層として残る残渣の密度は、貼付面側よりも、貼付面に対向する面の側、すなわち膨張していく側のほうが小さくなる。従って、従来の熱膨張性耐火材の配置方法の場合、加熱膨張後に耐火断熱層として残る残渣の密度が貼付面とそれに対抗する面側とで均一にならないという課題があった(図2(b)。一方、本発明の防火性サッシにおける熱膨張性耐火材の配置方法を示す概略図を図3として示す。本発明によれば、当該サッシを構成する部材の空洞のうち少なくとも1つにおいて、2枚の該熱膨張性耐火材が同一空洞内で対向するように配置することによって(図3(a))、上記従来の方法よりも少ない量で耐火断熱層を形成することができる。従って、防火性サッシの軽量化及びコスト削減の点から非常に有用である。また、本発明によれば加熱膨張後に耐火断熱層として残る残渣の密度は従来よりも均一になるという効果も得られる(図3(b))。本発明において、「2枚の熱膨張性耐火材が同一空洞内で対向するように配置されている」とは、対向する1組の面に少なくとも2枚の熱膨張性耐火材が配置されておればよく、空洞の断面が5角形以上の多角形であり「対向する1組の面」が3枚以上の面から構成される場合、それらのうち対向する2面のみに熱膨張性耐火材が配置されているものも、対向する3面以上に熱膨張性耐火材が配置されているものも本発明に含まれる。例えば、図6に示すような断面を有する空洞の場合、面(i)と面(iii)とのみに熱膨張性耐火材が配置されているものであっても、面(i)と面(ii)とのみに熱膨張性耐火材が配置されているものであっても、面(i)、面(ii)及び面(iii)の全てに熱膨張性耐火材が配置されているものであってもよい。また、本発明においては、軽量化等の点から対向する面以外の面には貼り付けないのが典型的だが、本発明の効果が得られる範囲でごく僅かに貼り付けられたものも含まれ得る。
また、本発明においては、同一空洞内で対向するように配置されている2枚の該熱膨張性耐火材は、板材の面に沿う方向に耐火面が形成されるように配置されてもよく、板材の面に対し垂直な方向に耐火面が形成されるように配置されてもよい。また、2つ以上の空洞内に2組以上の該熱膨張性耐火材が対向して配置され、それらのうち少なくとも1つの空洞内で2枚の該熱膨張性耐火材が板材の面に沿う方向に耐火面が形成されるように配置され、かつ少なくとも1つの空洞内で2枚の該熱膨張性耐火材が板材の面に対し垂直な方向に耐火面が形成されるように配置されてもよい。例えば、図7に示すような実施形態においては、熱膨張性耐火材15Aは板材の面に沿う方向に耐火面が形成されるように各空洞内で対向して配置され、熱膨張性耐火材15は板材の面に垂直な方向に耐火面が形成されるように各空洞内で対向して配置されている。
また、本発明においては、熱膨張性耐火材は、板材の面に沿う方向に耐火面が形成されるように配置されても、板材の面に沿う方向と垂直な方向に耐火面が形成されるように配置されてもよい。本発明に係る防火性サッシの好ましい具体的な態様としては、前記熱膨張性耐火材は、前記防火性サッシを前記板材の面に沿う方向と直角な方向から見て、隙間無く配置されている態様が挙げられる。この場合、前記の耐火面が隙間の無い状態でほぼ連続して形成される。
前記のごとく構成された本発明の防火性サッシは、合成樹脂製部材の空洞内に熱膨張性耐火材を選択的に挿入し、耐火面が形成されるので、火災等で加熱されたときに熱膨張性耐火材が熱膨張し、合成樹脂製部材が燃焼して焼失した部分を埋めて耐火断熱層が隙間無く形成され、火炎が貫通するのを防止し、防火性能を発揮できる。また、熱膨張性耐火材は広い面積で加熱され速やかに膨張して、合成樹脂製部材が燃焼して焼失した部分を埋めて火炎が貫通するのを防止し、防火性能を発現する。このため、簡便に防火性サッシを製造することができ、金属製サッシのような結露を防止することができる。
前記防火性サッシは、前記熱膨張性耐火材が短冊状若しくはテープ状に形成され、その幅広面が前記板材の面に沿う方向及び/又は板材の面に沿う方向と垂直な方向に配置されるように挿入されていることが好ましい。幅広面とは、短冊状若しくはテープ状の熱膨張性耐火材の断面において、長辺に相当する面を言う。この構成により、熱膨張性耐火材は、その幅広面で速やかに加熱されて、瞬時に耐火断熱層が形成されるため、防火性サッシの開口部の略全面に連続した耐火面を少ない量の熱膨張性耐火材で形成でき、材料費を削減して、防火性能を向上させることができる。
前記熱膨張性耐火材は、前記空洞内に空間を有して挿入されていることが好ましい。このように構成すると、防火性サッシの防火性能を維持しつつ、軽量化を達成できる。この結果、防火性サッシの施工性を向上させることができる。
前記熱膨張性耐火材は、前記空洞内面に粘着支持されることが好ましい。熱膨張性耐火材自体に粘着性を持たせてもよく、熱膨張性耐火材の片面に粘着層を形成してもよい。粘着層の形成は、粘着剤を塗工して粘着性を持たせることができる。この構成によれば、熱膨張性耐火材を合成樹脂製部材の空洞に挿入したときに、空洞の内壁面に粘着できるため施工が容易となる。
また、本発明に係る防火性サッシの他の態様としては、前記空洞内に、さらに金属製部材を長手方向に沿って挿入したことを特徴とする。金属製部材は空洞内に大きな空間を有した状態で挿入され、熱膨張性耐火材を支持している。金属製部材としては種々の形状の型鋼部材が用いられ、空洞の一部又は全部に熱膨張性耐火材と金属製部材が、一所に又は別々に挿入される。金属製部材は補助的に防火性能を向上させる効果を発揮し、熱膨張性耐火材の厚みを抑えてコストを低減する場合や、防火上弱点となる個所に用いられる。
合成樹脂製部材の空洞内に金属製部材を挿入すると、火災等により防火性サッシが加熱され、合成樹脂製部材が焼失しても金属製部材により、火炎の貫通を確実に防止することができる。このため、熱膨張性耐火材の厚さを減少させても所望の防火性能を確保でき、コストダウンを達成することができる。この金属製部材を用いることにより、空洞内に挿入される熱膨張性耐火材を減少することが可能となり、軽量化と低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る防火性サッシの好ましい具体的な態様としては、前記熱膨張性耐火材は、600℃の加熱条件下で30分加熱したあとの体積膨張率が3〜50倍であり、かつ圧縮試験器にて0.25cm2の圧子を用いて0.1cm/sの圧縮速度で測定した体積膨張後の破断点応力が0.05kgf/cm2以上の材料で形成されることを特徴としている。
この構成によれば、サッシの部材が火災時に燃焼して焼失した部分を埋めるように熱膨張性耐火材が体積膨張し、しかも体積膨張後に所定の破断点応力を有するため、火災等の熱風で熱膨張性耐火材が吹き飛ばされることがなく、また加熱により膨張した断熱層が自立して火炎の貫通を防止できる。
さらに、本発明に係る防火性サッシの好ましい具体的な他の態様としては、前記熱膨張性耐火材は、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物及び無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成されることを特徴としており、前記の樹脂組成物の成形体が好ましい。この構成によれば、熱膨張性耐火材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することができ、安定した防火性能を達成できる。
以下、本発明に係る防火性サッシの一実施形態及び従来のサッシの一形態を図面に基づいて説明する。まず、図1として、本実施形態に係る防火性サッシ又は従来のサッシとして引き違いサッシの立面図を示す。次に、図4として、熱膨張性耐火材を配置しない従来のサッシにおける、図1の3−3線に沿う要部断面図を示す。さらに図5として、本発明の防火性サッシにおける、図1の3−3線に沿う要部断面図を示す。図1において、防火性サッシ又はサッシ1は住宅等の構造物に形成された矩形の開口部に固定されるものであり、外周の開口枠体10と、その内部に水平方向に移動可能の引き違いの2枚の障子20,20とを備えている。
開口枠体10は左右の縦枠材11,12と上下の横枠材13,14とから構成され、各枠材11〜14に囲まれた内部が開口部となっている。そして、2枚の障子20は前記の開口部を閉塞するもので構造的には略同一構成であり、左右の縦框材21,22と上下の横框材23,24から矩形に形成され、中央側の縦框材が前後に重なって召し合わせ部となっている。開口枠体10及び障子20,20は、縦横の枠材11〜14と、縦横の框材21〜24とから構成される合成樹脂製部材を組み合わせて構成されている。
防火性サッシ1は、前記のように開口枠体10に、2枚の障子20,20がスライド可能に支持されるものであり、障子20,20は外周枠体を構成する縦横の框材21〜24により内周側に位置する窓ガラス25を支持している。窓ガラス25は耐火性板材を構成するものであり、防火性サッシ1の室外と室内を仕切る仕切り面を構成している。なお、本実施形態では仕切り面を構成する部材25を窓ガラスとしたが、当該部材の素材は窓ガラスに限らず、金属板等であってもよい。また、窓ガラスは鉄製の網入り等であってもよい。
本実施形態の防火性サッシ1の構成は、特に限定されるものではなく、サッシを構成する上下左右の各枠材11〜14、各框材21〜24は合成樹脂の押出し材で形成され長手方向に沿って貫通する複数の空洞を有し、長手方向と直交する横断面の形状が一つあるいは複数の空洞の空間を有するものであれば、周知のいずれの形態であってもよい。またサッシを構成する各枠材、各框材に用いられる合成樹脂は、硬質ポリ塩化ビニルやABS樹脂等いずれでもよいが、防火性能に有利という観点からは硬質塩化ビニルが好ましい。これらの樹脂を用いて押出成形や射出成形等によって各枠材、各框材を成形することができる。
先ず、本発明の要部断面図である図5を参照して開口枠体10を構成する縦枠材11,12から詳細に説明する。縦枠材11,12は硬質塩化ビニル等の合成樹脂を押出し成型した長尺材を切断して形成したものであり、長手方向に沿って貫通する空洞を有しており、横断面形状が2つの大きい矩形の空洞11a,12aと、この空洞を形成する内外の壁面の端部から開口側に延出する2つの小幅の空洞11b,12bとを備えている。また、開口枠体10を構成する横枠材13,14も、図示していないが同様に複数個の長手方向に貫通する空洞が形成されている。
障子20を構成する左右の縦框材21,22は、同様に合成樹脂を押出し成型した長尺材を切断して形成したものであり、横断面には長手方向に貫通する6個の空洞21a,22aを有している。また、障子20を構成する横框材23,24も、図示していないが同様に複数個の長手方向に貫通する空洞が形成されている。そして、縦横の框材の内部空間には窓ガラス25が嵌め込まれている。窓ガラス25は縦框材21,22の段差部に位置しており、ゴムシール材やシーリング剤26で固定されている。
本実施形態に示す防火性サッシ1は、開口枠体10、及び障子20を構成する合成樹脂製部材である各枠材11〜14、及び各框材21〜24の空洞に熱膨張性耐火材料からなる耐火シートが挿入されており、かつ空洞のうち少なくとも1つにおいて、2枚の該熱膨張性耐火材が同一空洞内で対向するように配置されていることを特徴としている。図5に示す実施形態においては、縦枠材11の大きい空洞11a,12aには熱膨張性耐火材料のシートを短冊状に切断した耐火シート15がそれぞれ、対向する面に2枚ずつ選択的に挿入されている。耐火シート15が片面に粘着層を有し当該粘着層により空洞の内壁に貼り付けられてもよいし、粘着層を有さず、空洞に挿入することにより所望の位置に配置されるように空洞に合わせた寸法に切断、成形されていてもよい。なお、図示していないが、横枠材13,14にも長手方向に貫通する空洞内に、同様に耐火シートが挿入されている。
また、障子20の縦框材21,22の空洞21a,22aにも、熱膨張性耐火材料のシートを短冊状に切断した耐火シート15Aが8個全ての空洞にそれぞれ2枚ずつ挿入されている。耐火シート15Aは平板状であり、それぞれ空洞のガラス面と平行な壁面に対接した状態で挿入されている。そして、障子20の上下の横框材23,24にも、図示していないが長手方向に貫通する空洞内に耐火シートが挿入されている。
このように、開口枠体10の空洞と、障子20,20の空洞には、多数の耐火シート15が窓ガラス25の面に沿う方向に挿入され、空洞の内壁面に密着しており、これらの耐火シート15は耐火性板材を構成する窓ガラス25の面に沿って平行な状態に並べられ耐火面を形成している。このように形成された耐火面は、ガラス面と垂直な方向の各枠体や各框材の肉厚部分を除く窓ガラスに沿うほぼ全面を隙間無く埋め尽くしている。
すなわち、室外側、あるいは室内側の正面、すなわち、ガラス面に沿う方向と直角な方向から防火性サッシ1を見ると、中央の窓ガラス25,25の外周を囲む縦框材21,22及び横框材23,24の空洞の正面には耐火シート15が位置しており、障子20,20を支持する開口枠体10の縦枠材11,12及び横枠材13,14の空洞の正面にも耐火シート15が位置しており、全ての耐火シートの幅広面が窓ガラス25の面に沿って平行に並んで耐火面が形成されている。
耐火シート15,15Aは、熱膨張性耐火材料の厚さが数mmのシート材を短冊状に切断し、この耐火シートを空洞の窓ガラス25の面と平行な壁面に沿わせて挿入している。熱膨張性耐火材料は、合成樹脂製部材の空洞内に挿入するために、その空洞の形状と寸法に合った成形体でもよく、空洞の形状や寸法に関係なく挿入可能になることから、短冊状またはテープ状の成形体が好ましい。なお、耐火シート15,15Aを構成する熱膨張性耐火材料の詳細(組成等)については、後述する。
本実施形態で用いられる耐火シート15,15Aを構成する熱膨張性耐火材料とは、火災時等の高温にさらされると、体積膨張して膨張断熱層を形成する材料のことであり、火災の際に各枠材11〜14と各框材21〜24等の合成樹脂製部材が燃焼して焼失した部分を、熱膨張性耐火材料の膨張断熱層が埋めて、火炎の貫通を防止する材料であれば、特に限定されない。熱膨張性耐火材料としては、後述する樹脂成分に熱膨張性無機物等が含有された樹脂組成物、あるいは防火塗料から調製される成形体等が挙げられるが、製造の容易さから樹脂組成物からなる成形体が好ましい。
耐火シート15,15Aを構成する熱膨張性耐火材料は、前記のように合成樹脂製部材が燃焼して焼失した部分を膨張成分が埋める材料であれば特に限定されないが、好ましくは600℃の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍の材料である。体積膨張率が3倍を下回ると、膨張成分が合成樹脂の焼失部分を十分に埋めきれず防火性能が低下するため、また50倍を超えると、膨張断熱層の強度が下がり、火炎の貫通を防止する効果が低下するため、前記の範囲が好ましい。より好ましくは、体積膨張率が5〜40倍であり、さらに好ましくは8〜35倍である。
また、熱膨張性耐火材の膨張断熱層が、火災時に自立する材料が好ましいが、合成樹脂部分の肉厚が厚い場合、あるいは樹脂が硬質塩化ビニル製の場合は、膨張断熱層が合成樹脂部分の炭化成分を増加させるため、炭化成分と膨張成分が複合化されて自立する場合もあり、必ずしも膨張断熱層単独で自立する必要はない。
熱膨張性耐火材は、前記のように膨張断熱層が合成樹脂製部材の炭化成分を増加させるため、炭化成分と膨張成分が複合化されて自立する場合もあり、必ずしも膨張断熱層が単独で自立する必要はないが、合成樹脂製部材の肉厚が薄い場合やABS樹脂等の炭化成分が少ない場合は、自立する材料であることが好ましい。膨張断熱層が自立するためには、膨張断熱層の強度が必要であり、その強度としては、圧縮試験器にて0.25cm2の圧子を用いて、前記体積膨張後のサンプルを0.1cm/sの圧縮速度で測定した場合の破断点応力が0.05kgf/cm2以上が必要である。破断点応力が0.05kgf/cm2を下回ると、断熱膨張層が自立できなくなり防火性能が低下する。より好ましくは、0.1kgf/cm2以上である。
熱膨張性耐火材が短冊状またはテープ状の成形体の場合、その幅は防火性能を満足するのであれば、挿入する空洞の幅より短くても長くても一致してもよいが、長い場合は折り曲げ、或いは丸めた状態で挿入してもよい。また成形体の厚みは、防火性能を満足するのであれば、薄くても厚くてもよいが、前記のように変形させる場合は、挿入可能な厚みより薄くしなければならない。
熱膨張性耐火材の挿入される長さは、合成サッシを構成する各枠材、各框材の全長であることが必要であるが、空洞部分が狭く熱膨張性耐火材の膨張成分が空洞部の全長を埋める場合は、その全長よりも短くてもよい。さらに挿入される空洞の位置は、熱膨張性耐火材の膨張成分と合成樹脂の炭化成分とが、合成サッシのガラス面と平行に連続して埋まるような位置であればいずれでもよい。すなわち、耐火シートを連続して埋まるように配置しないと、埋まっていない空洞部が火災で貫通してしまい、防火機能が有効でなくなってしまう。
耐火シートの空洞内の固定は、短冊状又はテープ状の成形体の場合、粘着剤又は接着剤を用いる方法、ねじで固定する方法、空洞とシートの空間に丸型等の発泡体等を挿入する方法、あるいは発泡体の原料を注入したあと発泡させて固定する方法等が挙げられる。粘着剤又は接着剤を用いて固定する場合は、予め成形体に粘着剤又は接着剤が塗工されたものを挿入してもよく、挿入直前に成形体に塗布したものでもよい。また成形体に粘着剤又は接着剤層を有する基材が積層されていてもよく、さらに成形体自体が粘着性を有していてもよい。また空洞の形状と寸法に合った成形体の場合は、そのまま挿入するだけでもよく、前記した固定方法を用いてもよい。耐火シートを空洞に沿わせて挿入するだけで、容易に防火性サッシとすることができる。
熱膨張性耐火材は、空洞内への挿入や固定のしやすさから、剛性のある材料が好ましい。例えば、熱膨張性耐火材を形成する材料のデュロメータ硬さが、JISK7215に準拠してタイプAで測定した場合に、65以上が好ましい。75以上であれば、より好ましく、80以上であれば、さらに好ましい。デュロメータ硬さが大きくなる程、熱膨張性耐火材の剛性が増し、空洞内へ挿入することがより簡便になるばかりでなく、空洞内への固定も容易にすることができ、防火性サッシの製造を簡略化することができる。
つぎに、前記した耐火シート15,15Aを構成する熱膨張性耐火材料について詳細に説明する。
防火性サッシ1の空洞内に挿入される熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物の樹脂成分としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
また、前記の熱可塑性樹脂の代わりに、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム物質を使用することができる。また、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を使用することも可能である。
これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性無機物、特に熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重合体、これらの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレン部を主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体の具体的商品としては、デュポンダウ社製の「CGCT」、エクソンモービルケミカル社製の「EXACT」等の市販品が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、防火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、上述のゴム物質が好ましい。
さらに前記したように、熱膨張性耐火材料からなる耐火シート15,15Aを合成樹脂製部材の空洞内に固定、あるいは後述する型鋼部材との貼り合わせを可能にするため、樹脂組成物自体に粘着性を有することが好ましく、その方法としては、例えば、ゴム物質に粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、低分子量化合物等を添加することが挙げられる。粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル樹脂、コーパル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
粘着性を付与する可塑剤は、単独で粘着性を発現させることは難しいが、前記粘着付与樹脂との併用で粘着性を向上させることができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等が挙げられる。
粘着性を付与する油脂類は、可塑剤と同じ作用を有するため、可塑性付与と粘着調整剤の目的で用いることができる。油脂類としては特に限定されず、例えば、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等が挙げられる。また粘着性を付与する低分子量化合物は、粘着性付与以外に耐寒性向上、流動調整の目的を兼ねて用いることができる。低分子量化合物としては特に限定されず、例えば、低分子量ブチルゴムや、ポリブテン系化合物等が挙げられる。
さらに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の防火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹脂である。エポキシ基をもつモノマーとしては、2官能のグリシジルエーテル型、2官能のグリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型が挙げられる。
2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等が挙げられる。また、2官能のグリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等が挙げられる。
さらに、多官能のグリシジルエーテル型としては、例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。また、前記したエポキシ基を持つモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
エポキシ基を持つモノマーと反応させてエポキシ樹脂を得るための硬化剤としては、重付加型、触媒型のものが挙げられる。重付加型の硬化剤としては、脂肪族ポリアミンまたはその変性アミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる、また、触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸、ルイス塩基等が挙げられる。なお、前記硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、エポキシ樹脂には、他の樹脂が添加されていてもよい。他の樹脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現されなくなるので、エポキシ樹脂1に対して他の樹脂の添加量は5(重量比)以下が好ましい。エポキシ樹脂には、種々の形状または寸法の空洞内に挿入することが可能になるように、可撓性が付与されてもよく、可撓性を付与する方法としては、次の方法が挙げられる。
(1)架橋点間の分子量を大きくする。
(2)架橋密度を小さくする。
(3)軟質分子構造を導入する。
(4)可塑剤を添加する。
(5)相互侵入網目(IPN)構造を導入する。
(6)ゴム状粒子を分散導入する。
(7)ミクロボイドを導入する。
前記(1)の方法は、予め分子鎖の長いエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることで、架橋点の間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えばポリプロピレンジアミン等が用いられる。前記(2)の方法は、官能基の少ないエポキシモノマー及び/又は硬化剤を用いて反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば2官能アミン、エポキシモノマーとして、例えば1官能エポキシ等が用いられる。
前記(3)の方法は、軟質分子構造をとるエポキシモノマー及び/又は硬化剤を導入して可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば複素環状ジアミン、エポキシモノマーとして、例えばアルキレンジグリコールジグリシジルエーテル等が用いられる。前記(4)の方法は、可塑剤として非反応性の希釈剤、例えば、DOP、タール、石油樹脂等を添加する方法である。
前記(5)の方法は、エポキシ樹脂の架橋構造に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。前記(6)の方法は、エポキシ樹脂マトリックスに液状又は粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとしてポリエステルエーテル等が用いられる。前記(7)の方法は、1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることにより、可撓性を発現させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとして、分子量1000〜5000のポリエーテルが添加される。
前記エポキシ樹脂の剛性、可撓性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有する成形体が得られ、種々の空洞の形状及び寸法に応じて、耐火シート15,15Aを挿入することが可能となる。前記した樹脂は、いずれも単独で用いても、樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため2種以上の樹脂をブレンドしたものを用いてもよい。さらに、樹脂組成物の防火性能を阻害しない範囲で、樹脂の架橋や変性が施されていてもよい。架橋又は変性の方法としては特に限定されず、公知の方法で行うことができる。架橋又は変性は、本発明で用いる各種充填剤を配合した後、又は配合と同時に行ってもよく、あるいは予め架橋又は変性した樹脂を用いてもよい。
耐火シート15,15Aを構成する熱膨張性耐火材料に含有される熱膨張性無機物としては、加熱して膨張する熱膨張性無機物であれば特に限定されないが、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛、ケイ酸金属塩、ホウ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、膨張開始温度が低くかつ膨張度が高いことから熱膨張性黒鉛が好ましい。
熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物に、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。無機充填剤の中でも、含水無機物及び/又は金属炭酸塩が好ましい。
前記の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて防火性能を向上させる点、及び加熱後に酸化物が残存しこれが骨材となって働くことで膨張層の強度が向上する点で好ましい。含水無機物の中でも、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物は、生成する水の量が多く、より防火性能を発揮するため特に好ましい。また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
前記の金属炭酸塩は、加熱中に脱炭酸反応によって炭酸ガスが発生し、膨張層の形成を促進させる点、及び加熱後に酸化物が残存しこれが骨材となって働くことで膨張層の強度が向上する点で好ましい。金属炭酸塩の中でも、周期律表II族に属する金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウムは、炭酸反応が生起しやすいため、特に好ましい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
また、無機充填剤は、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることにより、膨張断熱層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
リン化合物は、火災等の高温にさらされると、ポリリン酸系化合物へと変化し、それが無機バインダーとして働き、膨張断熱層の強度を向上させる効果を発揮する。また前記の金属炭酸塩のうち、周期律表II族に属する金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウムは、前記リン化合物、特にポリリン酸アンモニウムと併用すると、金属炭酸塩の脱炭酸反応の温度が低下するため、膨張断熱層の形成を促進する。さらに、前記化合物を併用することにより、リン化合物のポリリン酸系化合物への変化を促進し、膨張断熱層の強度をさらに向上する効果を発揮する。特に、ポリリン酸アンモニウムと炭酸カルシウムを併用すると、前記の両方の効果が最も発揮されるため好ましい。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性無機物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部未満では、特にサッシの一部に合成樹脂を用いた場合、体積膨張率が低くサッシを構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきらないため防火性能が低下し、300重量部を超えると機械的強度の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。より好ましくは、20〜250重量部である。樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜400重量部が好ましい。配合量が30重量部未満では、熱容量の低下に伴い十分な防火性能が得られなくなり、400重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜300重量部である。配合量が30重量部を下回ると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分でなくなり、300重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜250重量部である。
熱膨張性無機物と無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して40〜500重量部が好ましい。合計量が40重量部未満になると、十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは、70〜400重量部である。
さらにリン化合物を添加させる場合、リン化合物、熱膨張性無機物及び無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して70〜500重量部が好ましい。合計量が70重量部未満になると十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは100〜400重量部である。
また、樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、さらにフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、一般的な難燃剤を添加してもよく、難燃剤による燃焼抑制効果により防火性能を向上させることができる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物の成形体は、前記の樹脂組成物の混練物を作製した後成形することにより、空洞の形状及び寸法に合った成形体を、またシート状またはロール状の成形体を作製してから切断することにより、短冊状またはテープ状の成形体を得ることができる。さらに溶剤を混練時に添加してから成形後、溶剤を揮発させる方法であってもよい。
樹脂組成物の混練物は、前記の各成分を押出機、ハンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール等、またエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の場合は、さらに、ライカイ機、遊星式撹絆機等、公知の混練装置を用いることにより得ることができる。また二液性の熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の場合は、二液それぞれと充填剤の混練物を、前記混練方法にて別々に作製しておき、プランジャーポンプ、スネークポンプ、ギアポンプ等でそれぞれの混練物を供給し、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混合を行って混錬物を作製してもよい。
樹脂組成物の成形方法としては、前記の混練物を例えば、プレス成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等、公知の方法を用いて成形することができる。また二液性の熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の成形方法としては、さらにSMC(Sheet Molding Compound)等によるロール成形、ロールコーターやブレードコーターによるコーター成形等、適宜形状に応じて公知の方法を用いることができる。
熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、前記プレスやロールによる加熱、または成形ライン中の加熱炉等、成形と硬化を連続で行う方法、あるいは成形後加熱炉に投入する方法等、公知の方法によって行うことができる。また、溶剤を用いて成形する場合は、前記と同様な方法にて溶剤を揮発することができる。
前記の成形方法によって成形されたシート状またはロール状の成形体を、短冊状またはテープ状に成形する方法としては、切断加工、スリット加工、輪切り加工等公知の方法を用いることができる。樹脂組成物の成形体が短冊状あるいはテープ状の場合の厚みは、0.1〜6mmが好ましい。厚みが0.1mm未満であると、加熱によって形成される膨張断熱層の厚みが薄くなり、十分な防火性能を発揮することができない。また、6mmを超えると空洞内に挿入できなくなる可能性がある。より好ましくは0.3〜4mmである。
樹脂組成物は、膨張断熱層の強度をさらに向上させるために、不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットが積層されていてもよい。不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットとしては、無機繊維あるいは金属繊維状材料からなるものが好ましく、例えば、ガラス繊維の織布(ガラスクロス、ロービングクロス、コンティニュアスストランドマット等)あるいは不織布(チョップドストランドマット等)、セラミック繊維の織布(セラミッククロス等)あるいは不織布(セラミックマット等)、炭素繊維の織布あるいは不織布、ラスまたは金網から形成されるネットまたはマットが好適に用いられる。
これらのネットまたはマットのうち、熱膨張性耐火材料を製造する場合の容易さとコストの観点から、ガラス繊維の織布あるいは不織布が好ましく、製造時にガラスの飛散が少なくないことから、ガラスクロスがより好ましい。さらに、取り扱い性が向上すること、及び樹脂との接着性がよくなることから、ガラスクロスをメラミン樹脂やアクリル樹脂等で処理してもよい。また熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂の場合は、前記ネットまたはマットが樹脂組成物中に含浸されていてもよい。
不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットの1m2当たりの重量は、5〜2000gである。1m2当たりの重量が5g未満であると、膨張断熱層の形状保持性を向上させる効果が低下し、2000gを超えるとシートが重くなって施工が困難になる。より好ましくは10〜1000gである。この不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットの厚みは、0.05〜6mmが好ましい。厚みが0.05mm以下であると、熱膨張性耐火材が膨張する際にその膨張圧に耐えられなくなる。また、厚さが6mmを超えると、熱膨張性耐火材を折り曲げや丸めた状態での挿入が困難になる。より好ましくは、0.1〜4mmである。
不燃性繊維状材料からなるネットの場合には、その開き目は0.1〜50mmであることが好ましい。開き目が0.1mm未満であると、熱膨張性耐火材が膨張する際にその膨張圧に耐えられなくなる。また、50mmを超えると膨張断熱層の形状保持性を向上させる効果が低くなる。より好ましくは0.2〜30mmである。この不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットを熱硬化性樹脂組成物に含浸させる場合、ネットまたはマットの位置は、熱膨張性耐火材の厚み方向においていずれの位置であってもよいが、膨張層の形状保持性をより高めることから、火炎にさらされる表面側であることが好ましい。
熱膨張性耐火材は、樹脂組成物の成形体の片面または両面に、施工性や膨張層の強度を改善する目的で基材層が積層されていてもよい。基材層に用いられる材料としては、例えば、布、ポリエステルやポリプロピレン等からなる不織布、紙、プラスチックフィルム、割布、ガラスクロス、アルミガラスクロス、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、アルミニウム箔積層紙、及び、これらの材料の積層体等が挙げられる。これらの基材層のうち、粘着剤または接着剤の塗工や塗布がしやすいことから、ポリエチレンラミネートポリエステル不織布が、防火性能上有利に働くことから、アルミニウム箔積層紙、アルミガラスクロスが好ましい。また基材層の厚みは、防火性能あるいは施工上影響を及ぼさなければいずれでもよいが、好ましくは0.25mm以下である。
さらに、熱膨張性耐火材は、不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットと基材層との積層体を、樹脂組成物からなるシート表面に積層して形成してもよい。積層体としては、例えば、アルミガラスクロスあるいはポリフィルムとガラスクロスの積層体等が挙げられる。基材層または不燃性繊維状材料からなるネットまたはマットを積層あるいは含浸させる方法としては、樹脂組成物を成形する段階で一体化する方法が挙げられる。
熱膨張性耐火材に、粘着剤または接着剤を予め塗工あるいは施工時に塗布し、合成樹脂製部材の空洞内に固定する場合、用いる粘着剤または接着剤としては、合成樹脂製部材の樹脂に接着または粘着するものであればいずれでもよいが、例えば、アクリル系、エポキシ系、ゴム系等が挙げられる。また、予め成形体に粘着剤または接着剤層を有する基材を積層する場合は、成形時に積層してもよく、両面に粘着剤または接着剤を有する基材を成形体に積層してもよい。
熱膨張性耐火材は、前記のように防火性能に優れているため、防火性能を発現するのに必要な熱膨張性材料を減らすことが可能になるため、防火性サッシの軽量化と低コスト化を図ることが可能となる。また、前記のように、公知の技術を用いて簡単に短冊状またはテープ状成形体を製造可能であり、空洞内の形状及び寸法に関係なく容易に挿入することができ、簡便に防火性サッシを製造することが可能となる。
前記の如く構成された本実施形態の防火性サッシ1は、合成樹脂からなる樹脂製部材の空洞内に、熱膨張耐火材料からなる耐火シート15,15Aを、窓ガラス等の面に沿う方向に耐火面が形成されるように選択して挿入することにより、火災時に合成樹脂製部材の樹脂部分が燃焼して焼失した部分を、耐火シートの膨張断熱層が埋めて火炎の貫通や、熱の進入を防止することができる。
防火性サッシ1の室内側、あるいは室外側で火災が発生すると、火災の熱が合成樹脂製部材の空洞内に挿入された耐火シート15,15Aを加熱する。耐火シートは全ての面が窓ガラス25に沿って平行に配置され、防火性サッシ1を例えば正面から見たときほぼ全面が埋め尽くされているため、熱膨張により形成された耐火断熱層がほぼ全面に隙間無く形成され、部分的な弱点が無くなり防火性能が安定する。
また、耐火シート15,15Aは火災の熱源と幅広面で対面するため、熱が効率良く伝わって速やかに膨張する。このため、火災が発生した場合、迅速に防火性能を発揮することができる。すなわち、耐火シートが仕切り面と垂直に配置されると、火災等の熱は耐火シートの端面から伝達されるのみで熱膨張が遅くなり、迅速に防火性能を発揮することができないが、本発明では迅速な熱膨張が可能となる。
さらに、熱膨張性耐火材である耐火シート15,15Aと、耐火性板材である鉄製網入りガラスからなる窓ガラス25とで、防火性サッシ1の開口部を覆うように構成し、開口部が耐火面で覆われているため、火災時における局所的な弱点を除去することができ、防火性能を向上させることができる。耐火シート15自体が粘着性を有するか、あるいは片面に粘着剤が塗工されていると、合成樹脂製部材の空洞に挿入されたときに、空洞の内壁面に粘着できて施工が容易となる。
そして、体積膨張率が高く、断熱暴騰層の強度がある熱膨張性耐火材を用いることにより、挿入する熱膨張性耐火材を減少することが可能となり、さらなる低コストを図ることができる。さらに樹脂組成物からなる成形体の耐火シートを用いることにより、公知の技術を用いて簡単に短冊状またはテープ状成形体を製造可能であり、空洞内の形状及び寸法に関係なく容易に挿入することができ、簡便に防火性サッシを製造することが可能となる。
次に、本発明を用いた実施例と、従来のサッシとの比較実験について説明する。
(実施例1)
表1に示した配合量の、エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン社製「E807」)、エポキシ用硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「FL052」)、ポリリン酸アンモニウム(Clariant社製「Exolit AP422」)、熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)、炭酸カルシウム(備北粉化工業社製「BF300」)を混練ロールで混練して、耐火性樹脂組成物を得た。得られた耐火性樹脂組成物を、0.5mm厚の亜鉛鉄板に塗布し、150℃で15分間プレスして硬化させ、耐火性評価に用いる所定厚みの成形体シートを得た。
図4に示す引き違いサッシの開口枠体10及び障子20の空洞に、作製した成形体を短冊状に切断し、短冊状の耐火シート15,15Aを空洞1つあたり2枚挿入し、粘着層を介して図5に示すような位置に固定した。また、図5には示していないが2枚の障子の召合わせ部においても、框材と同様な仕様にて、耐火シートを挿入し、硬質塩化ビニル製樹脂サッシ1を作製した。当該実施例1において、開口枠体10の枠材及び障子20の框材が合成樹脂(硬質塩化ビニル)であるサッシを用いた。
(実施例2、3)
上記表1に示す素材のサッシを用いる以外、実施例1と同様にして、防火性サッシ1を作製した。
各実施例3及び比較例3には、樹脂として硬質塩化ビニルを使用したアルミ樹脂複合サッシを用いた。
(比較例1)
上記表1に示す熱膨張性耐火材を用い、かつ、図5に15及び15Aとして示す空洞毎に2枚ずつ熱膨張性耐火材を配置するのではなく、それぞれの空洞につき、1枚ずつ、図5でいう下側にのみ熱膨張性耐火材を配置すること、実施例1の厚み2枚分のシート厚みであること以外、実施例1と同様にして、硬質塩化ビニル製樹脂サッシ1を作製した。
(比較例2、3)
上記表1に示す素材のサッシを用いる以外、比較例1と同様にして、防火性サ ッシ1を作製した。
(比較例4)
図4に示すように、熱膨張性耐火材を配置せずに硬質塩化ビニル製樹脂サッシ1 を作製した。
そして、前記の実施例1〜3と比較例1〜4とを以下に示す方法にて、評価を行った結果を上記表1に示す。
防火性能:ISO834に準拠して20分間耐火試験を行い、20分間裏面側の発炎及び火炎の貫通のないものを○、20分以内で発炎または火炎の貫通があるものを×とした。実験の結果は、表1に示すように実施例1〜3はいずれも防火性能の評価は○であり、比較例の場合は×であり、本実施形態の防火性樹脂サッシの確実な防火性能が確認できた。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、空洞内に挿入される金属製部材として型鋼の例を示したが、アルミニウムやアルミ合金等の金属材料でもよい。縦横の枠材、及び縦横の框材の空洞は一部が開口しており、この開口部を型鋼部材で塞ぐようにしてもよい。
また、防火性樹脂サッシの例として引き違いのガラス戸の障子の例を示したが、これに限られるものでなく、上下移動式のガラス戸、はめ殺しのガラス戸や金属製のドア、回転式の開閉戸とはめ殺し戸、スライド式扉等、適宜のものに適用できるものである。
さらに、防火性樹脂サッシに支持される耐火性板材として、鉄製網入りガラスからなる窓ガラスの例を示したが、金属製の板材を平坦な鏡板として使用してもよい。すなわち、防火性樹脂サッシを構成する障子部分は、外周を囲む枠状の框体と、該框体の内側の耐火性板材とを備えており、耐火性板材として金属製の鏡板を用いることもできる。