JP2000282601A - 建物の耐火構造 - Google Patents

建物の耐火構造

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JP2000282601A
JP2000282601A JP11092325A JP9232599A JP2000282601A JP 2000282601 A JP2000282601 A JP 2000282601A JP 11092325 A JP11092325 A JP 11092325A JP 9232599 A JP9232599 A JP 9232599A JP 2000282601 A JP2000282601 A JP 2000282601A
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fire
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JP11092325A
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Norio Numata
憲男 沼田
Taiji Murai
大治 村井
Bunji Yamaguchi
文治 山口
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐火性の高い天井材を使用することによっ
て、鉄骨構造の建築物の主要構造部分の柱や梁等を個別
に耐火被覆しなくても、優れた耐火性を発現すると共に
施工性が改善された建物の耐火構造を提供する。 【解決手段】 上階の床材4と下階の天井材7との間で
形成される建物の天井裏空間10の天井材7面上に、金
属板82と熱膨張性耐火シート81との積層体からなる
熱膨張性複合シート8が配置されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄骨構造の建物の耐
火構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、3階建以上の建築物(共同住
宅、病院、ホテル、下宿等)については、建築基準法に
基づき所定の耐火性能を有する耐火構造でなければなら
ない。鉄骨構造の建物に耐火性能を付与するために、主
要構造部に使用されている鉄骨製の柱や梁を、それぞれ
1本ずつ耐火材料で被覆する方法が採用されている。
【0003】このような耐火被覆工法を、例えば図5に
示したように、鉄骨製の梁01によって支持された階上
の床材04(100mm厚ALC等の耐火性床)と、梁
01によって吊り下げられた階下の天井材07との間で
形成される天井裏空間010に適応する場合は、床材0
4を支持する鉄骨製の梁01を1本ずつ耐火被覆材06
によって被覆する必要があるため、作業が煩雑になり施
工に長時間を要するという問題点があった。尚、01は
梁を示す。
【0004】このため、近年では、耐火性の優れた天井
材を用いることによって、天井裏空間の梁を一括して火
災加熱から保護する工法が考案されている。しかしなが
ら、この工法は、施工性やコストの面で十分満足できる
ものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、耐火性の高い天井材を使用することによって、鉄骨
構造の建築物の主要構造部分の柱や梁等を個別に耐火被
覆しなくても、優れた耐火性能を発現すると共に施工性
が改善された建物の耐火構造を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の建物の耐火構造
は、上階の床材と下階の天井材との間で形成される建物
の天井裏空間の天井材面上に、熱膨張性耐火シートが配
置されてなることを特徴とする。また、上記天井材面上
に、金属板と熱膨張性耐火シートとの積層体からなる熱
膨張性複合シートが配置されてもよい。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】上記熱膨張性耐火シートは、火災等の加熱
により膨張して形成された燃焼残渣が耐火断熱性を発現
する。
【0009】本発明の建物の耐火構造は、例えば図1に
模式図を示すように、階上の床材4と階下の天井材8と
の間で形成される天井裏空間10の天井材9面上に、熱
膨張性耐火シート81と金属板82との積層体からなる
熱膨張性複合シート8を配置することによって得られ
る。
【0010】上記熱膨張性複合シート8の配置方法とし
ては、天井材9全面に隙間なく敷き詰めるように配置す
ることが好ましい。天井材9全面に配置される熱膨張性
複合シート8として複数枚のシートが用いられる場合
は、シート端部を突き合わせるか、重ね合わせることに
より隙間を生じないように施工することが好ましい。
【0011】図中、1は梁を示し、紙面の垂直方向に延
長して配設されている。また、図中、7は野縁、6は野
縁受けを示し、野縁7は野縁受け6を介して小梁又は大
梁(いずれも図示しない)に取り付けられる。
【0012】上記熱膨張性複合シート8の厚みは0.3
〜5mmが好ましい。厚みが、0.3mm未満では熱膨
張によって十分な厚みの耐火断熱層が形成されず、5m
mを超えると重量が重くなり取扱いが困難になる。
【0013】上記熱膨張性複合シート8の片面(金属板
82の反対側)には、施工性を向上する目的で、例え
ば、不織布、織布、樹脂フィルム等が積層されてもよ
い。さらに、上記熱膨張性複合シート8の片面(金属板
82の反対側、不織布が積層される場合は該不織布面
上)には、無機材料層が積層されてもよい。
【0014】無機材料としては、例えば、石膏ボード、
ケイ酸カルシウム板、木片セメント板等の板材;セラミ
ックブランケット、ロックウールフェルト、ガラスウー
ル断熱材等の不燃性の不織布などが好ましい。
【0015】上記石膏ボードとしては、例えば、JIS
A 6901に規定された普通石膏ボード(GB−
R)、JIS A 6911に規定された化粧石膏ボー
ド(GB−D)、JIS A 6912に規定された防
水石膏ボード(GB−S)、JIS A 6913に規
定された強化石膏ボード(GB−F)、JIS A 6
301に規定された吸音石膏ボード(GB−P)等が挙
げられる。
【0016】上記天井材としては、例えば、石膏ボー
ド、ケイ酸カルシウム板、レキシブルボードが用いられ
る。上記天井材に壁紙等の内装仕上げ材を施工する場合
は、内装下地材として、7〜12.5mm厚の石膏ボー
ドを使用してもよい。
【0017】上記金属板としては、例えば、鉄板、ステ
ンレス板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板
等が挙げられる。金属板の厚みは、0.2〜1mmが好
ましい。金属板の表面にメッキや塗装コーティングを施
すことによって、長期耐久性、意匠性等が向上するので
好ましい。
【0018】上記熱膨張性耐火シートと金属板との積層
方法は、特に限定されないが、熱膨張性耐火シートが粘
着性を有する場合は、その粘着力で積層固定することが
できる。熱膨張性耐火シートに粘着力がない場合は、接
着剤を使用して接着することができる。特に樹脂成分が
後述するエポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂の硬化前
に金属板と積層すれば硬化時に金属板と接着することが
できる。
【0019】上記熱膨張性耐火シートとしては、熱膨張
性無機物を含有する樹脂組成物、熱可塑性樹脂及び/又
はゴム物質を含有する樹脂組成物(I)、又は、エポキ
シ樹脂を含有する樹脂組成物(II)から形成されるもの
が好ましい。上記樹脂組成物からなる熱膨張性耐火シー
トは、金属板の曲げ加工等に追随して変形し易くなるの
で加工性が向上する。また、エポキシ樹脂を含有する樹
脂組成物からなる熱膨張性耐火シートは、難燃性が向上
する。
【0020】上記熱膨張性無機物を含有する樹脂組成物
としては、樹脂成分、熱膨張性無機物及びその他の無機
成分を含有する樹脂組成物が挙げられ、樹脂成分として
は、例えば、後述する熱可塑性樹脂、ゴム物質、エポキ
シ樹脂等が挙げられる。上記熱膨張性無機物としては、
例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライ
ト等が挙げられる。
【0021】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を含
有する樹脂組成物(I)としては、熱可塑性樹脂及び/
又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒
鉛又はバーミキュライト、並びに、無機充填剤からなる
ものが好ましい。
【0022】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質とし
ては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、
ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ
(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエー
テル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエ
ン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム等が
挙げられる。
【0023】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、
単独で用いても、2種以上を併用しても良い。樹脂の溶
融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹
脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いても良
い。
【0024】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に
は、更に、本発明における熱膨張性耐火シートの耐火性
能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されても良い。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋方法につい
ては特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム物質につい
て通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化
物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等
が挙げられる。
【0025】上記リン化合物としては特に限定されず、
例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレ
ジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホ
スフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金
属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で
表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性
の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及
び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性
能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウ
ム類がより好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜
16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素
数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素
数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、
炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16の
アリールオキシ基を表す。
【0028】上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向
上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いるこ
とができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安
全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティング
したもの等が好適に用いられる。
【0029】上記ポリリン酸アンモニウム類としては特
に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラ
ミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取
扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用い
られる。市販品としては、例えば、クラリアント社製
「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製
「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」、
「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げ
られる。
【0030】上記一般式(1)で表される化合物として
は特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチル
ホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン
酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホ
ン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチル
ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニル
ホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホ
スフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホ
スフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン
酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸
は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用し
てもよい。
【0031】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従
来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したもので
ある。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱
分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、
濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素
酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸
化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグ
ラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持し
たままの結晶化合物である。
【0032】上述のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和すること
により、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0033】上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定
されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及
びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、
例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウ
ム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸
塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0034】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東
ソー社製「GREP−EG」、UCAR社製「GRAF
GUARD」等が挙げられる。
【0035】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メ
ッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定
の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大き
くなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、
熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質と混練する際に分散性
が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0036】上記無機充填剤としては特に限定されず、
例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチ
モン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイド
ロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸
カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウ
ム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、
タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナ
イト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサ
イト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブ
ラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉
末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム
「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミ
ニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステン
レス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フラ
イアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらは単独で
用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】上記無機充填剤としては、特に含水無機物
と金属炭酸塩との併用が好ましい。上記含水無機物及び
金属炭酸塩は、骨材的な働きをすることから、残渣強度
の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。
【0038】さらに、上記含水無機物は、加熱時の脱水
反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上
昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残
渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くこと
で残渣強度が向上する点で特に好ましい。中でも、水酸
化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発
揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発
揮する温度領域が広くなり、より効果的な温度上昇抑制
効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0039】さらに、上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等
の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促す
と考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アン
モニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。
また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高
い残渣を形成する。
【0040】上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜
100μmが好ましく、より好ましくは、約1〜50μ
mである。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さ
いものを組み合わせて使用することがより好ましく、組
み合わせて用いることによって、シートの力学的性能を
維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0041】上記含水無機物の市販品としては、例え
ば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「H−4
2M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「H−31」
(昭和電工社製)が挙げられる。
【0042】上記炭酸カルシウムの市販品としては、例
えば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カ
ルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(白石カ
ルシウム社製)等が挙げられる。
【0043】上記樹脂組成物(I)におけるリン化合物
と中和処理された熱膨張性黒鉛との配合量(両者の合計
量)は、上記熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴム100重
量部に対して20〜500重量部が好ましい。リン化合
物と中和処理された熱膨張性黒鉛の合計量が、20重量
部より少なくなると十分な熱膨張性が得られず、500
重量部を超えると均一な分散が困難となるため、均一な
厚みに施工することが難しくなり、施工方法が限定され
る。
【0044】また、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン
化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、
0.01〜9が好ましい。熱膨張性黒鉛の比率が多くな
ると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散して十分な耐火断熱
層が形成されず、リン化合物の比率が多くなると、十分
な耐火断熱層が形成されなくなるため、十分な断熱性が
得られない。
【0045】上記樹脂組成物(I)における無機充填剤
の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴム100重
量部に対して50〜500重量部が好ましい。配合量
が、50重量部未満では十分な耐火性を有する耐火膨張
性シートが得られず、500重量部を超えると耐火膨張
性シートの機械的物性が低下する。
【0046】上記エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物
(II)としては、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理
された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなるものが好ま
しい。
【0047】上記エポキシ樹脂は、特に限定されない
が、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを
反応させることにより得られる。上記エポキシ基をもつ
モノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテ
ル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエー
テル型等のモノマーが例示される。
【0048】上記2官能のグリシジルエーテル型のモノ
マーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポ
リプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール
型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロ
パン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、
水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
【0049】上記グリシジルエステル型のモノマーとし
ては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒ
ドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香
酸型等のモノマーが例示される。
【0050】上記多官能のグリシジルエーテル型のモノ
マーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オル
ソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシ
クロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示さ
れる。
【0051】これらのエポキシ基をもつモノマーは、単
独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型
のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例え
ば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメル
カプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤と
しては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス
酸錯体等が例示される。
【0053】上記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定
されず、公知の方法によって行うことができる。
【0054】上記樹脂組成物(II)において使用される
リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填
剤としては、樹脂組成物(I)で使用されるものと同様
の成分が用いられる。
【0055】上記樹脂組成物(II)において、リン化合
物の配合量が、少なくなると燃焼残渣に十分な形状保持
性が得られず、多くなると機械的物性の低下が大きくな
り、使用に耐えられなくなるので、エポキシ樹脂100
重量部に対して50〜150重量部が好ましい。
【0056】上記樹脂組成物(II)において、中和処理
された熱膨張性黒鉛の配合量が、少なくなると十分な熱
膨張性が得られず、多くなると機械的物性の低下が大き
くなり、使用に耐えられなくなるので、エポキシ樹脂1
00重量部に対して15〜40重量部が好ましい。
【0057】上記樹脂組成物(II)において、無機充填
剤の配合量が、少なくなると十分な耐火性能が得られ
ず、多くなると機械的物性の低下が大きくなり、使用に
耐えられなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対
して50〜500重量部が好ましい。
【0058】上記樹脂組成物自身が難燃性であっても形
状保持性が不十分であると、脆くなった燃焼残渣が崩れ
落ちて、火炎を貫通させてしまうため、形状保持性が十
分であるか否かによって、樹脂組成物の用途が大きく異
なる。樹脂としてエポキシ樹脂を使用することによっ
て、樹脂自身が燃焼時にチャー(炭化)層を形成し、形
状を保持するのに十分強固な耐火断熱層を形成する。
【0059】上記樹脂組成物において、中和処理された
熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して耐火断熱層を形成
し、熱の伝達を阻止する。加熱によりリン化合物は脱
水、発泡すると共に、炭化触媒として作用する。無機充
填剤は、その際熱容量の増大に寄与し、また、リン化合
物は膨張断熱層の形状保持能力を有する。
【0060】上記樹脂組成物には、その物性を損なわな
い範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化
防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋
剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0061】上記樹脂組成物は、上記各成分を、バンバ
リーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の
混練装置を用いて混練することにより得ることができ
る。上記樹脂組成物を、例えば、プレス成形、押出成
形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法により、熱
膨張性耐火シートに成形することができる。
【0062】上記熱膨張性耐火シートに50kW/m2
の熱量を30分間照射したときの厚み変化 (照射後の厚
みD1/照射前の厚みD0)は、1.1〜30(倍)が好ま
しい。厚み変化が、1.1(倍)未満では耐火性能が不
十分であり、30(倍)を超えると加熱により膨張して
形成された耐火断熱層の強度が低下し、崩れ易くなる。
【0063】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しながら、本
発明の実施の形態について説明する。
【0064】(実施例1)表1に示した配合量の、ブチ
ルゴム、ポリブテン、水添石油樹脂、中和処理された熱
膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム及び水酸化アルミ
ニウムからなる樹脂組成物を二本ロールで溶融混練し
て、粘着性を有する2mm厚の熱膨張性耐火シートを得
た。この熱膨張性耐火シートと、0.3mm厚の溶融亜
鉛メッキ鋼板とを積層して熱膨張性複合シートを得た。
上記熱膨張性複合シートを、図1に示したように、断面
寸法400mm×200mm×8mm×13mmのH鋼
(梁)1によって支持された100mm厚のALC板か
らなる床材4と、該H鋼1の下方150mmの位置に設
けられた12.5mm厚の普通石膏ボードからなる天井
材9との間の天井裏空間10の天井材9上全面に、上記
熱膨張性複合シート8を敷き詰めるように配置して、耐
火構造を形成した。尚、天井材9は野縁7に吊り下げら
れており、野縁7は野縁受け6に取り付けられている。
【0065】(実施例2)表1に示した配合量の、ブチ
ルゴム、ポリブテン、水添石油樹脂、中和処理された熱
膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニ
ウム及び炭酸カルシウムからなる樹脂組成物を二本ロー
ルで溶融混練して、粘着性を有する2mm厚の熱膨張性
耐火シートを得た。この熱膨張性耐火シートを、図2
(イ)に示したように、0.3mm厚の異形断面を有す
るステンレス鋼板内面に積層して熱膨張性複合シートを
得た。上記熱膨張性複合シートを、図2(ロ)に示した
ように、100mm厚のALC板からなる床材4を支持
するH鋼(梁)1の下方150mmの位置に設置した野
縁7に吊り下げて天井材9とし、耐火構造を形成した。
【0066】(実施例3)表1に示した配合量の、メタ
ロセンポリエチレン及びバーミキュライトからなる樹脂
組成物を二本ロールで溶融混練して、2mm厚の熱膨張
性耐火シートを得た。この熱膨張性耐火シートの片面に
12.5mm厚の普通石膏ボードを積層し、他面に0.
3mm厚の溶融亜鉛メッキ鋼板を積層して熱膨張性複合
シートを得た。この熱膨張性複合シートを、図3に示し
たように、断面寸法400mm×200mm×8mm×
13mmのH鋼(梁)1によって支持された100mm
厚のALC板からなる床材4と、該H鋼1の下方150
mmの位置に設けられた5mm厚のケイ酸カルシウム板
からなる天井材9上の全面に、上記熱膨張性複合シート
8を敷き詰めるように配置して、耐火構造を形成した。
【0067】(実施例4)表1に示した配合量の、メタ
ロセンポリエチレン、中和処理された熱膨張性黒鉛及び
ポリリン酸アンモニウムからなる樹脂組成物を二本ロー
ルで溶融混練して、0.7mm厚の熱膨張性耐火シート
を得た。この熱膨張性耐火シートを、図4(イ)に示し
たように、0.4mm厚の異形断面を有するステンレス
鋼板内面に積層し、さらに熱膨張性耐火シート上に1
2.5mm厚の普通石膏ボードを積層して熱膨張性複合
シートを得た。この熱膨張性複合シートを使用したこと
以外は、実施例2と同様にして、図4に示す耐火構造を
形成した。
【0068】(比較例)熱膨張性複合シートの代わり
に、0.3mm厚の溶融亜鉛メッキ鋼板を使用したこと
以外は、実施例1と同様にして耐火構造を形成した。
【0069】上記実施例及び比較例の熱膨張性耐火シー
ト及び耐火構造について、下記項目の性能評価を行い、
その結果を表1に示した。 (1)厚み変化 熱膨張性耐火シートに50kW/m2 の熱量を30分間
照射したときの厚みを測定し、熱量照射前後における厚
み変化 (照射後の厚みD1/照射前の厚みD0)を算出し
た。 (2)耐火性 耐火構造についてJIS A 1304に準拠して耐火
試験を行い、1時間後のH型鋼の表面温度を熱電対によ
り測定した。尚、温度の測定はH型鋼表面の8ケ所で行
い、その平均値を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明の建物の耐火構造は、上述の構成
からなり、鉄骨構造の建築物の主要構造部分の柱や梁等
を個別に耐火被覆しなくても、優れた耐火性を発現し、
現場での施工性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の建物の耐火構造を模式的に示した断
面図である。
【図2】図2(イ)は、実施例2の建物の耐火構造を模
式的に示した断面図であり、図2(ロ)は、実施例2の
建物の耐火構造に用いられる熱膨張性複合シートを模式
的に示した断面図である。
【図3】実施例3の建物の耐火構造を模式的に示した断
面図である。
【図4】図4(イ)は、実施例4の建物の耐火構造を模
式的に示した断面図であり、図4(ロ)は、実施例4の
建物の耐火構造に用いられる熱膨張性複合シートを模式
的に示した断面図である。
【図5】従来の耐火被覆工法を模式的に示した断面図で
ある。
【符号の説明】
1 梁(H型鋼) 4 床材 6 野縁受け 7 野縁 8 熱膨張性複合シート 9 天井材 81 熱膨張性耐火シート 82 金属板 01 梁 03 壁材 04 床材 06 耐火被覆材 07 天井材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DE01 EA05 FA13 FA14 FA15 GA24 GA27 GA28 GA42 HA01 HA03 HA21 HA32 HA33 HA34 HB02 HB03 JA17 JB00 JC01 JD02 JD08 LA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上階の床材と下階の天井材との間で形成
    される建物の天井裏空間の天井材面上に、熱膨張性耐火
    シートが配置されてなることを特徴とする建物の耐火構
    造。
  2. 【請求項2】 天井材面上に金属板と熱膨張性耐火シー
    トとの積層体からなる熱膨張性複合シートが配置されて
    なることを特徴とする請求項1記載の建物の耐火構造。
  3. 【請求項3】 上記熱膨張性耐火シートに50kW/m
    2 の熱量を30分間照射したときの厚み変化 (照射後の
    厚みD1/照射前の厚みD0)が、1.1〜30(倍)であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の建物の耐火構
    造。
  4. 【請求項4】 上記熱膨張性耐火シートが、熱膨張性無
    機物を含有する樹脂組成物から形成されることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物の耐火構
    造。
  5. 【請求項5】 上記熱膨張性耐火シートが、熱可塑性樹
    脂及び/又はゴム物質を含有する樹脂組成物(I)から
    なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の建物の耐火構造。
  6. 【請求項6】 上記熱膨張性耐火シートが、エポキシ樹
    脂を含有する樹脂組成物(II)からなることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の建物の耐火構
    造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009676A (ja) * 2005-05-30 2007-01-18 Sekisui Chem Co Ltd 耐火床構造およびこの耐火床構造を用いた耐火建物
JP2015031029A (ja) * 2013-08-01 2015-02-16 倉敷紡績株式会社 軒天井部材及び軒裏天井構造
JP2015031028A (ja) * 2013-08-01 2015-02-16 倉敷紡績株式会社 軒天井部材及び軒裏天井構造

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JP2007009676A (ja) * 2005-05-30 2007-01-18 Sekisui Chem Co Ltd 耐火床構造およびこの耐火床構造を用いた耐火建物
JP2015031029A (ja) * 2013-08-01 2015-02-16 倉敷紡績株式会社 軒天井部材及び軒裏天井構造
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