JP2006063791A - 防火シャッター - Google Patents

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JP2006063791A JP2005210772A JP2005210772A JP2006063791A JP 2006063791 A JP2006063791 A JP 2006063791A JP 2005210772 A JP2005210772 A JP 2005210772A JP 2005210772 A JP2005210772 A JP 2005210772A JP 2006063791 A JP2006063791 A JP 2006063791A
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Abstract

【課題】ドラムに巻き取られた状態のシャッター径を小さくすることができ、かつ、アク
チュエーターの容量を小さくでき、更に、損傷や脱落が生じ難い火災時に発泡する断熱層
を有する防火シャッターを提供すること。
【解決手段】
加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シート11を挟むようにして、該発泡断熱シー
ト11の両面に耐熱クロス12a,12bを配置し、それらを上下方向適宜間隔で、締結
手段13によって水平方向に結合している。
【選択図】図5

Description

本発明は、防火シャッターに関するもので、特に、火災時に加熱されると、発泡断熱シ
ートが発泡して厚みが厚くなり、十分な断熱効果が得られる防火シャッターに関するもの
である。
防火シャッターは、建築物の廊下,地下道等の構築物の通路,当該通路に沿って設けら
れた店舗の間口等(以下通路という。)に設置され、常時は、天井等に設置された巻上げ
装置のドラムに巻き取られて、通路を解放状態にし、火災が発生すると、自動的或いは人
為的に閉鎖され、通路を遮断することによって、火災が発生した空間から他の空間への延
焼を防止する機能をもっている。
このような防火シャッターは、上記したように、非使用状態において、巻取装置のドラ
ムに巻き取られるため、シャッターの厚みが厚過ぎると、ドラムにおけるシャッターの巻
取径が大きくなってしまい、天井裏に大きな設置スペースが必要になる。
一方、このような防火シャッターは、断熱層の厚みに制限があるため、十分な断熱性が
得られ難く、非加熱側表面の温度も火災温度に近い値となり、シャッターの非火災側表面
の近傍に可燃物が置かれている場合には、放射熱によって発火する虞がある。
そこで、このような課題を解決したシャッターが提供されている(例えば、特許文献1
参照)。
特開平6−10575公報(図1)
ところで、上記特許文献1の防火シャッターは、加熱されて発泡する不燃性発泡材で形
成された未発泡の断熱プレートが、スラットカーテンを構成する、金属板のように薄くて
剛性を有する不燃材料で形成されたスラット本体の上下インターロック部の間に取り付け
られ、当該スラットカーテンの全面に、不燃シートが前記断熱プレートを介して接着され
た構造のものである。
この防火シャッターによれば、断熱プレートが未発泡時は薄いので、シャッターカーテ
ン全体を薄く形成することができ、したがって、シャッターカーテンを巻き取ったときで
も巻き径を小さくでき、また、火災時に閉じられたシャッターカーテンが一定の温度以上
に加熱されると、断熱プレートが発泡し、不燃シートとスラットカーテンが隔てられ、両
者間には、発泡された断熱プレートにより厚い断熱層が形成されることとなり、より高い
断熱効果が得られる。
しかしながら、上記特許文献1に開示された防火シャッターでは、シャッターカーテン
が、剛性を有するスラット本体をインターロック部によって連結されているため、巻取装
置のドラムに巻き取られた状態では、巻取径がどうしても大きくなってしまうばかりでな
く、巻取装置の動力に対する負荷が不連続になり、これをスムースに巻き取るためには、
容量の大きなアクチュエータを必要とすると言う課題があった。
また、スラットカーテンを構成するスラット本体とインターロック部は金属板等の剛性
及び硬度の高い材質であり、一方、断熱プレートと該断熱プレートの表面に接着された不
燃シートは剛性が低いため、シャッターカーテンの巻き取り時に不燃シートや断熱プレー
トがスラットカーテンに接触し、圧力を受けるためにこれらが損傷する憂いがあった。
更に、断熱プレートが加熱されて形成された発泡断熱層は強度が低く、火災時における
室内外の圧力差によってシャッターカーテンが変形した場合、不燃シートが直接スラット
カーテンに結合されていないため、発泡断熱層がスラットカーテンから剥離し、脱落する
憂いもあった。
この様な脱落等が発生すると、防火シャッター本来の断熱性能を十分発揮できない場合
があった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、ドラムに巻き取られた状態のシャッター径を小
さくすることができ、かつ、アクチュエータの容量を小さくでき、更に、損傷や脱落が生
じ難い火災時に発泡する断熱層を有する、断熱性能を十分に発揮し得る防火シャッターを
提供することを目的とする。
上記した課題を解決するため、請求項1の防火シャッターでは、加熱されて発泡する、
未発泡の発泡断熱シートを挟むようにして、該発泡断熱シートの両面に耐熱クロスを配置
し、それらを上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合している。
ここで、上記発泡断熱シートとしては、黒鉛含有ブチルゴムシート、黒鉛含有エポキシ
シート、ポリリン酸アンモニウム含有樹脂系発泡断熱シート等が挙げられ、この発泡断熱
シートは、例えば、非発泡状態で、0.1〜3mm程度の厚みのものが採用されるが、好
ましくは、0.3〜1.5mm、さらに好ましくは1.0〜1.5mm程度の厚みのもの
が採用される。
また、上記耐熱クロスとしては、セラミック製クロス、シリカクロス、ガラスクロス等
が挙げられ、例えば、0.3〜1.2mm程度のものが採用される。
更に、上記締結手段による結合は、水平方向に必ずしも連続的に成されている必要はな
く、所定の間隔を開けて断続的に成されていてもよい。また、必要に応じて、鉛直方向等
にも結合されていても良い。
また、上記した課題を解決するため、請求項2の防火シャッターでは、耐熱クロスを挟
むようにして、該耐熱クロスの両面に、加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シートを
配置すると共に、それらの発泡断熱シートの外表面に耐熱クロスをそれぞれ配置し、一方
の発泡断熱シートを挟み込む両耐熱クロスを、上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合し、他方の発泡断熱シートを挟み込む両耐熱クロスを、前記締結手段の上下中間位置で、締結手段によって水平方向に結合している。
更に、上記した課題を解決するため、請求項3の防火シャッターでは、2枚の耐熱クロ
スを、上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合し、前記耐熱クロスの締結間隔より上下方向の幅の狭い、加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シートを前記2枚の耐熱クロス間に挿入している。
また、上記した課題を解決するため、請求項4の防火シャッターでは、上記請求項1〜
3のいずれかの発明において、上記締結手段を、不燃性糸とし、該不燃性糸によって、耐
熱クロスをお互いに縫合している。
ここで、上記不燃性糸としては、セラミック系の糸、ステンレスワイヤー等が挙げられ
る。
更に、上記した課題を解決するため、請求項5の防火シャッターでは、上記請求項1〜
4のいずれかの発明において、両側部の上記発泡断熱シートを取り除き、該発泡断熱シー
トを挟み込む上記耐熱クロスを互いに合わせて結合し、両側部を構成している。
一方、上記した課題を解決するため、請求6の防火シャッターでは、加熱されて発泡す
る、未発泡の発泡断熱シートおよび金属基材が備えられ、
かつ、前記金属基材が、前記発泡断熱シートの両面にそれぞれ設けられている。
また、上記した問題を解決するため、請求7の防火シャッターでは、加熱されて発泡す
る、未発泡の発泡断熱シート、金属基材および無機系クロスが備えられ、
前記発泡断熱シートが、前記耐熱クロスの両面にそれぞれ設けられ、
かつ前記金属基材が、前記発泡断熱シートのうち、前記耐熱クロスが設けられた面とは
反対側の最外面にそれぞれ設けられている。
また、上記した問題を解決するため、請求8の防火シャッターでは上記請求項6〜7の
いずれかの発明において、耐熱クロスが、前記金属基材と前記発泡断熱シートとの間にさ
らに設けられている。
上記した請求項1の本発明に係る防火シャッターによれば、常態、即ち、非加熱常態で
は、発泡断熱シートが未発泡なので、シャッターの厚みが薄く、かつ全長に亘って連続的
に可撓性を有するので、巻取装置のドラムに巻き取られた状態で巻き径が小さくて済み、
かつ、スムースに巻き取れるためにアクチュエータの容量を小さくすることができる。ま
た、発泡断熱シートの両面が柔軟性を有する耐熱クロスにより覆われていると共に、上下
方向適宜間隔で締結手段によって水平方向に連続して、或いは断続して結合させているた
め、発泡断熱シートの損傷や脱落が生じ難いものとなる。更に、火災時に加熱されると、
発泡断熱シートが発泡して厚みが厚くなり、十分な断熱効果が得られる。
また、上記した請求項2の本発明に係る防火シャッターによれば、上記した効果に加え
、発泡断熱シートが2層に配設され、それらの各発泡断熱シートの締結部の位置が互いに
オフセットされているので、シャッターの厚みが全長に亘ってほぼ均一になると共に、遮
熱効果がさらに向上する。
また、上記した請求項3の本発明に係る防火シャッターによれば、上記した請求項1の発明の効果に加え、発泡断熱シートが硬い柔軟性に乏しいものである場合でも、締結手段による締結部は耐熱クロスのみであるため、この締結部においては容易に屈曲し、発泡断熱シートを損傷させることなくドラムにコンパクトに巻き取ることができる。
更に、上記した請求項4の本発明に係る防火シャッターによれば、耐熱クロスが不燃性
糸によって互いに縫合されるので、火災時においても、発泡断熱シートが上下の締結部間
に確実に確保され、安定した断熱効果が保障される。
更に、上記した請求項5の本発明に係る防火シャッターによれば、両側部が耐熱クロス
のみによって構成されるので、板厚が火災時においても変わらず、安定して案内される。
更に、上記した請求項6〜8の本発明に係る防火シャッターによれば、前記金属基材に
より、非加熱側への放射量を小さくすることができ、前記防火シャッターの非加熱側への
輻射熱を小さくすることが可能となる。
さらには、前記金属基材により、火災が発生した場合には前記防火シャッターに対する
熱の伝わり方が速くなることから、より速やかに膨張断熱層の形成を促進し、その断熱効
果を十分に発揮することができる。
以下に、上記した本発明に係る防火シャッターを、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る防火シャッターを含む防火設備の全体を概念的に示した斜視図、
図2は、図1の防火設備における防火シャッターのA−A線に沿う部分の拡大断面図、図
3は、図1の防火シャッターのB−B線に沿う部分の拡大断面図、図4は、防火シャッタ
ーを降下させて通路を遮断した状態を示した概念的な斜視図、図5は、図4における防火
シャッターのC−C線に沿う部分の拡大断面図、図6は、図4における防火シャッターの
D−D線に沿う部分の拡大断面図である。
図1に示した防火設備では、通路1を構成する天井壁2に巻取装置3が設置されている
。この巻取装置3は、通路1のほぼ全幅に渡ってドラム(図示せず)が配設され、該ドラ
ムの両端には、該ドラムのアクチュエータとしてのモータ4,4が配設されている。
また、この防火設備では、通路1を構成する両側壁5,5に、ガイド溝6aを有する側
板6,6が設けられ、床壁7に、両側壁5,5に達する底板8が敷設されている。
防火シャッター10は、図2および図3に示したように、発泡断熱シート11を挟むよ
うにして、セラミック製クロス,シリカクロス,ガラスクロス等の耐熱クロス 12a,
12bが配置され、それらが、セラミック系の糸またはステンレスワイヤー等の締結手段
13によって、50〜500mm、好ましくは150〜300mm程度の間隔で水平方向
に連続して、例えば50mm連続して縫合し、100mm間隔を置き、また50mm連続
して縫合すると言った、断続して縫合し、或いは、例えば1〜5mmの間隔で点状に縫合
し、10〜100mm間隔を置き、また1〜5mmの間隔で点状に縫合されている。
また、この防火シャッター10では、両側部10a,10aが、図3に示したように耐
熱クロス12a,12bのみによって構成され、その上下方向の適宜な位置に、上記側板6のガイド溝6aに案内される鋼球14が、ステンレスプレート15を介して取付けられて
いる。また、この防火シャッター10の下端には、図2に示したように全幅に亘り鉄板1
6が配設され、マグネットやメカニカルな手段により、上記床壁7に敷設された底板8との間で戻りがないようにされている。
そして、この防火シャッター10は、上端が上記巻取装置3のドラムに固着され、両側
部10a,10aが上記側板6,6のガイド溝6a,6aに鋼球14と共に嵌装され、常
時は、ドラムによって巻き取られ、火災発生時に、自動的或いは人為的に降下されて通路
1を遮断する。
そして、防火シャッター10が200〜300℃に加熱されると、図5および図6に示
したように、発泡断熱シート11が発泡して厚くなり、高い断熱効果が生じ、火災が発生
した空間から他の空間への延焼を効果的に防止する。
なお、この防火シャッター10は、発泡断熱シート11の発泡により耐熱クロス12a,12bが湾曲するため、その高さ方向に10〜25%程度の余裕は必要となる。
次に本発明の防火シャッターの態様について、さらに具体的に説明する。
かかる防火シャッターについて図面を参照しつつ説明する。
図7は、本発明の防火シャッターの一態様を説明するための模式図である。
前記本発明の防火シャッターの一態様は未発泡の発泡断熱シートおよび前記金属基材を
備え、かつ、前記金属基材が、前記発泡断熱シートの両面にそれぞれ設けられていること
が好ましい。
図7に例示される様に、前記金属基材50、前記発泡断熱シート60、前記金属基材5
1の順番に各部材が設けられている。これらの部材を一体化することにより本発明の第一
の態様である防火シャッターを得ることができる。
また図8は、本発明の防火シャッターの別の一態様を説明するための模式図である。
本発明の防火シャッターはさらに前記耐熱クロスを備えるものであってもよい。
図8に例示される様に、前記金属基材52、前記発泡断熱シート61、前記耐熱クロス
70、前記発泡断熱シート62および前記金属基材53の順番に各部材は配置されている

これらの部材を一体化することにより本発明の第二の態様である防火シャッターを得る
ことができる。
また、図9は、本発明の防火シャッターの別の一態様を説明するための模式図である。
図9は、図7の前記金属基材50および前記発泡断熱シート60との間、ならびに前記
発泡断熱シート60および前記金属基材51との間に、それぞれ耐熱クロス71および7
2が設けられた様子を例示したものである。
これらの部材を一体化することにより本発明の第三の態様である防火シャッターを得る
ことができる。
また、図10は、本発明の防火シャッターの別の一態様を説明するための模式図である

図10は、図8の前記金属基材52および前記発泡断熱シート61との間、ならびに前
記発泡断熱シート62および前記金属基材53との間に、それぞれ耐熱クロス73および
74が設けられた様子を例示したものである。
これらの部材を一体化することにより本発明の第四の態様である防火シャッターを得る
ことができる。
上記の様に、前記防火シャッターは、図7〜図10にその態様を例示した様に、その最
外面の両面に前記金属基材を備えていることが好ましい。
さらに前記金属基材は、前記防火シャッター表面の金属基材の損傷等を防止することが
できることから、その表面に保護層が設けられているものを使用することが好ましい。
前記保護層としては、例えば、金属コーティング層、樹脂コーティング層、緩衝層等を
挙げることができる。
前記金属コーティング層としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム等の一種もし
くは二種以上からなるコーティング層を挙げることができる。
かかる金属コーティング層は、前記金属基材に対し、前記アルミニウム、マグネシウム
等の一種もしくは二種以上を用いてスパッタリング、蒸着、電解等の方法により形成する
ことができる。
前記樹脂コーティング層としては、例えば、具体的には、シリコン樹脂、アクリル樹脂
、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等の一種もしくは二種以上からなるコー
ティング層、
前記樹脂コーティング層の樹脂に、さらにアルミニウム、マグネシウム等の金属粉の一
種もしくは二種以上を含むコーティング層等を挙げることができる。
前記樹脂コーティング層は、可燃性成分を含むため耐火、耐熱性能上は有効なものでは
ないが、火災発生時には加熱側表面にコーティングされたこれらの可燃性成分は短時間の
間に燃焼し焼失するため、非加熱側への耐火、耐熱性能に大きく影響を与えるものではな
い。
また、前記緩衝層としては、例えば、ガラス、セラミック、シリカ、アルミナ、金属等
の一種もしくは二種以上からなるネット等が挙げられる。
前記ネット等は、耐熱接着剤等を用いて前記金属基材に貼着する方法、前記金属基板に
直接縫い付ける方法等により前記金属基材に設置することができる。
前記ネット等が金属基材の表面に設けられることにより、前記防火シャッターの作動時
に、前記防火シャッターが障害物などに接触した場合や、前記防火シャッターの作製時や
取付時に表面に工具などに金属基材が直接接触することを防ぐことが可能となる。
また、前記金属基材は、防火シャッターの巻取に障害が出ない範囲で厚いことが好まし
い。
なお、本発明の防火シャッターは、その最外面に前記金属以外の耐熱クロス等が配置さ
れている場合には、その耐熱クロス等の表面に、さらに前記保護層が設けられていること
が好ましい。
本発明の防火シャッターは、前記金属基材を備える場合には、前記第一〜第四の態様の
ものに限定されることはなく、前記第一〜第四の態様のものに加えて、さらに前記耐熱ク
ロス、前記金属基材等を追加して含む態様のものであってもよい。
次に前記防火シャッターの製造方法について説明する。
前記防火シャッターに使用する前記発泡断熱シートと前記金属基材とが互いに隣接する
位置関係にある場合には、前記発泡断熱シートと前記金属基材とは互いに貼着されて使用
される。
かかる貼着方法としては、例えば、前記発泡断熱シートと前記金属基材とを、前記発泡
断熱シートが膨張しない温度未満、前記発泡断熱シートが軟化する温度以上の温度範囲で
熱プレスにより圧着する方法、前記発泡断熱シートの構成成分である熱膨張耐火材を有機
溶剤に懸濁させた分散液を前記金属基材に塗布した後、前記有機溶剤を除去する方法等が
挙げられる。
本発明の防火シャッターに使用する前記発泡断熱シートと前記耐熱クロスとが互いに隣
接する位置関係にある場合についても同様である。
さらに、本発明の防火シャッターに使用する前記金属基材と前記耐熱クロスとが互いに
隣接する位置関係にある場合には、これらは互いに耐熱接着剤等を用いて貼着される。
前記発泡断熱シートと前記金属基材のみが本発明の防火シャッターに使用される場合に
は、まず前記発泡断熱シートの一方の面に前記金属基材を貼着してから、残る他方の面に
前記金属基材を貼着することもできるし、前記発泡断熱シートの両方の面に、同時にそれ
ぞれ前記金属基材を貼着することもできる。
また、前記発泡断熱シートと前記金属基材とに加えて、前記耐熱クロスが使用される場
合には、その貼着順序は任意に設定することができる。前記発泡断熱シート、前記金属基
材および前記耐熱クロスの任意の二種以上を互いに貼着してから、さらに別のものを貼着
する順序でもよいし、全てを一度に貼着してもよい。
上記の方法により、前記防火シャッターを得ることができる。
次に前記防火シャッターの形状について説明する。
前記防火シャッターの大きさは、前記防火シャッターを設置する場所等にも依存するが
、その幅は10mを超える場合のものも要求される。
この様な幅が広い前記防火シャッターは、例えば、図11に例示される様に、あらかじ
め幅が30cm〜2mの範囲、好ましくは50cm〜1.5mの範囲の幅のものを作製し
ておき、先に説明した通り、これらの一部分を互いに重ね合わせて縫いつけることにより
得ることができる。
図11の破線80は不燃性糸等の締結手段により縫合した縫い目を模式的に例示したも
のである。
かかる不燃性糸等の締結手段の具体例としては、例えば、セラミック系の糸、ステンレ
スワイヤー等が挙げられる。
また、図12に例示される様に、前記防火シャッター10は、前記不燃性糸等の締結手
段により一定間隔で水平方向に前記防火シャッターの最外面から縫合することができる。
この縫合を行なうことにより、前記防火シャッター10の最外面にある前記金属基材に
より膨張残渣が包み込まれるため、さらに前記膨張残渣の形状保持を向上することが可能
となる。
先の一定間隔とは製造上簡易な寸法で良いが、間隔が小さいと膨張残渣が両側の基材に
拘束され膨張を阻害するおそれがあるため好ましくは50〜500mmの範囲、さらに好
ましくは150〜300mmの範囲である。
次に、図1の斜視図により例示される様に、本発明の防火シャッターの構造および作動
装置について例示すれば、一般的なスクリーン型シャッターと同様に、天井内に巻取装置
3が設けられ、モーター4,4にて巻き取る機構等を挙げることができる。
また両側壁5,5には側板6が設けられ、そのガイド溝6aを本発明の防火シャッター
10が上下する構造とすることができる。
火災発生時には自動あるいは手動にて前記防火シャッター10が降下し、建物内部に防
火区画を形成し延焼を防止することができる。
前記防火シャッターの閉鎖方法としては、特に限定はなく、例えば熱感知機、煙感知器
、温度ヒューズ等で前記防火シャッターの動作時期を自動的に検知し、自動閉鎖させるこ
ともできるし、手動での閉鎖も可能である。
前記発泡断熱シートは加熱されると膨張するため前記防火シャッターの上下動のために
設けられたガイド溝の隙間を塞ぐことが可能であるが、さらにガイド溝内部に発泡断熱シ
ートを取付することにより隙間を塞ぐ時間が短縮される。
あるいは前記発泡断熱シートの端部でガイド溝に隠れる部位に磁石等を取り付け、前記防火シャッター閉鎖時に相対するガイド溝に磁石等を取り付ける等して、隙間を物理的に閉塞する方法等がある。
前記防火シャッターの下端は棒状などの錘を取付するなどして床面からの隙間を無くす
などの一般的なスクリーン型のシャッター等の方法で良い。それ以外の方法として電気制御により閉鎖を調整するなどの方法も挙げられる。
次に本発明に使用する、加熱されて発泡する未発泡の発泡断熱シートは発泡断熱材から
なるものであるが、この発泡断熱材について説明する。
かかる発泡断熱材は、火災等の熱により膨張する材料であれば特に限定はないが、この
様な発泡断熱材としては、例えば、具体的には熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分
、熱膨張性層状無機物、無機充填材等を含む樹脂組成物等を挙げることができる。
前記樹脂組成物の各成分のうち、まず前記樹脂成分について説明する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポ
リ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化
ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリイソブチレン
等の合成樹脂類、
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1.2−ポリブタジエンゴム、スチレン
−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、
エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロル
ヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の
ゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することがで
きる。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃
性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上
する点において好ましい。
また、これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、柔軟でゴム的性質を持ってい
るものが好ましい。この様な性質を持つものは無機充填材を高充填することが可能であり
、得られる樹脂組成物が柔軟で扱い易いものとなる。
より柔軟で扱い易い樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好
適に用いられる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分と
するエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィン以外のモノ
マーとの共重合体及びこれらの共重合体や重合体の混合物等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体におけるα−
オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン
、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。
また、前記エチレンとα−オレフィン以外のモノマーとの共重合体としては、例えば、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メ
タクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレン単独重合体又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体としては、例
えば、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタロセン化合
物等を重合触媒として重合されたものが挙げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメ
タロセン化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好ましい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質には、更に、本発明における発泡断熱材の耐火性能
を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については、特に限定され
ず、予め架橋、変性した前記合成樹脂類及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述するリ
ン化合物や無機充填材等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性を行ってもよい。
また、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性しても
よく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
前記の架橋方法については特に限定されず、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質につい
て通常行われる架橋方法により実施することができる。例えば、各種架橋剤、過酸化物等
を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられる。
また、本発明に使用する樹脂成分のうち、先に示したエポキシ樹脂としては、特に限定
はないが、例えば、エポキシ基を持つモノマーと硬化剤とを反応させて得られる樹脂等を
挙げることができる。
前記エポキシ基を持つモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型とし
て、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール
型、1.6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ポロピレンオキサイド−
ビスフェノールA、水添ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
一方、グリシジルエステル型として、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水
フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが挙げられる。
更に多官能のグリシジルエーテル型として、フェノールノボラック型、オルトクレゾー
ル型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン、フェノール型等のモノマーが挙げら
れる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
また、前記硬化剤としては、例えば、重付加型硬化剤、触媒型硬化剤等が挙げられる。
前記重付加型硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリ
メルカプタン等が挙げられる。
前記触媒型硬化剤としては、例えば三級アミン類、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が
挙げられる。
これらエポキシ樹脂の硬化方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる

なお、前記樹脂成分の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、二種以上の樹脂成分
をブレンドしたものを使用することができる。
次に先の樹脂組成物の各成分のうち、前記熱膨張性層状無機物について説明する。
前記熱膨張性層状無機物は加熱時に膨張するものであるが、かかる熱膨張性層状無機物
に特に限定はなく、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等を挙
げることができる。
前記熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラフ
ァイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝
酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン
、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好まし
い。
前記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
前記アルカリ金属化合物および前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、
硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
前記熱膨張性亜鉛の粒度は、20〜200メッシュの範囲のものが好ましい。
粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、充分な耐火断熱層が
得られず、また、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利
点はあるが、前記熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性
が低下することがある。
上記中和された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製の「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」、東ソー株社製の「GREP−EG」等が挙げられる。
次に先の樹脂組成物の各成分のうち、前記無機充填材について説明する。
前記無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アン
チモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、
塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム
、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ
酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記無機充填材は骨材的役割を果たして、加熱後に生成する膨張断熱層強度の向上や熱
容量の増大に寄与する。
このため、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛で代表される金属炭酸塩、骨材的役割の他に加熱
時に吸熱効果も付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムで代表される含水無機
物が好ましく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期律表IIbの金属炭酸塩又は
これらと前記含水無機物との混合物が好ましい。
また、無機系リン化合物は、難燃性を向上させる為に用いられる。
無機系リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;リン酸ナトリウム、リ
ン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類等が挙
げられる。
なかでも性能、安全性、コスト等の点において、ポリリン酸アンモニウム類が好ましい
本発明に使用する無機充填剤が粒状の場合には、その粒径としては、0.5〜200μ
mの範囲のものが好ましく、より好ましくは、1〜50μmの範囲のものである。
無機充填剤の添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さ
いものが好ましいが、粒径0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなることがある。
また、無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が
高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることによって樹脂組成物の粘度を低下さ
せることができる点から、上記範囲の中でも粒径の大きいものが好ましい。
この一方、粒径が200μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が
低下することがある。
前記無機充填剤の中でも、特に骨材的役割を果たす炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属
炭酸塩;骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果を付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム等の含水無機物が好ましい。
前記含水無機物及び金属炭酸塩を併用することは、燃焼残渣の強度向上や熱容量増大に
大きく寄与すると考えられる。
前記無機充填剤の中で、特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物
は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて
高い耐熱性が得られる点、及び、燃焼残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働
くことで燃焼残渣の強度が向上する点で好ましい。
また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異
なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より効果的な温度上昇抑
制効果が得られることから、併用することが好ましい。
前記含水無機物の粒径は、小さくなると嵩が大きくなって高充填化が困難となるので、
脱水効果を高めるために高充填するには粒径の大きなものが好ましい。
具体的には、粒径が18μmでは、1.5μmの粒径に比べて充填限界量が約1.5倍
程度向上することが知られている。
さらに、粒径の大きいものと小さいものとを組み合わせることによって、より高充填化
が可能となる。
前記記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μm
の「商品名:ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「商品名:ハイジライトH−31」(昭和電工社製)等が挙げられる。
前記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「商品名:ホワイト
ンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「商品名:BF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
粒径の大きいものと小さいものとを組み合わせることによって、より高充填化が可能と
なる。
また、本発明に使用する無機充填剤が繊維状の場合には、シリカアルミナ繊維、アルミ
ナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等のセラミック繊維を使用することが好ましい。
前記セラミック繊維の直径は、通常0.01〜100μmの範囲であり、好ましくは0
.1〜30μmの範囲である。また前記無機繊維はシランカップリング剤等の集束剤によ
り複数の繊維を一本にまとめたものを使用することができる。
前記セラミック繊維を得るための製造方法に限定はないが、例えば、このセラミック繊
維の原料を軟化させて線引きして得られた繊維を巻き取るロッド法、溶融させた前記原料
をノズルから排出し、得られた繊維を巻き取るポット法、有機溶剤に溶かした前記原料の
前駆体を繊維状にし、これをプレカーサーとして焼結して得られた繊維を巻き取る前駆ポ
リマー法等の方法により得られたもの等を市販品として入手することができる。
前記セラミック繊維を使用する場合には、焼結性無機質材をさらに併用することが好ま
しい。
かかる焼結性無機質材としては、例えば、電気絶縁性ガラス等を例示することができる

前記電気絶縁性ガラスとしては、例えば、具体的には二酸化ケイ素が50〜60重量%
、酸化アルミニウムが10〜20重量%、酸化カルシウムが10〜20重量%、酸化マグ
ネシウムが1〜10重量%、酸化ホウ素が8〜13重量%等の範囲で含まれるEガラスと
呼ばれるもの等を挙げることができる。
本発明に使用する焼結性無機質材は、650〜1000℃の範囲の融点を有するもので
ある。これにより、本発明の熱膨張性無機質材料が火災等の熱により膨張した後であって
も前記熱膨張性無機質材料に含まれる無機繊維等を一体のまとまりのある形状に保つこと
ができることに加え、長時間高温にさらされた場合であってもその形状保持性が維持され
る。
前記融点が650℃未満の場合には、火災等の熱により、本発明の熱膨張性無機質材料
が十分に膨張する前に前記焼結性無機質材と前記無機繊維とが焼結一体化するため、長時
間高温にさらされた場合の形状保持性に劣り、前記融点が1000℃を超える場合には、
本発明の熱膨張性無機質材料が十分に膨張した後になっても、前記焼結性無機質材と前記
無機繊維とが十分焼結一体化しないことがあり、同様に長時間高温にさらされた場合の形
状保持性に劣る。
前記融点の範囲は700〜900℃であれば好ましく、750〜850℃の範囲であれ
ばさらに好ましい。
本発明に使用する無機充填剤は、前記粒状の一種もしくは二種以上ならびに繊維状の一
種もしくは二種以上を併用することができる。
冒頭に説明したとおり、本発明に使用する発泡断熱材としては、上記に説明した熱可塑
性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分、前記熱膨張性層状無機物、前記無機充填材等を含む
樹脂組成物を挙げることができるが、次にこの樹脂組成物について説明する。
前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し
、前記熱膨張性層状無機物を20〜350重量部及び前記無機充填材を50〜400重量
部の範囲で含むものが好ましい。
また、前記熱膨張性層状無機物および前記無機充填材の合計は、200〜600重量部
の範囲であれば好ましい。
また、前記無機充填剤の一部もしくは全部に、前記セラミック繊維を使用する場合には
、前記セラミック繊維は、前記発泡断熱材の重量を基準として、55〜85重量%の範囲
であることが好ましく、60〜80重量%の範囲であればさらに好ましい。
また前記セラミック繊維の重量の5〜50重量%の前記焼結性無機質材を併用すること
が好ましい。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、発
泡断熱材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は
所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することができ、安定した
防火性能を達成することができる。
前記層状無機物の量が20重量部未満であると、膨張倍率が不足し、充分な耐火、防火
性能が得られ難くなる。
一方、層状無機物の量が350重量部を越えると、擬集力が不足するため、成形品とし
ての強度が得られ難くなる。
また前記無機充填材の量が50重量部未満であると、燃焼後の残体積量が減少するため
、充分な耐火断熱層が得られ難い。
さらに可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下することがある。
一方、前記無機充填材の量が400重量部を越えると樹脂バインダーの配合比率が減少するため、凝集力が不足して成形品としての強度が得られ難い。
前記樹脂組成物における熱膨張性層状無機物及び無機充填剤の合計量は、200重量部
未満では燃焼後の残渣量が不足して十分な耐火性能が得られ難く、600重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用し難くなる。
さらに本発明に使用する前記樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に
応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、耐電防
止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石
油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
前記難燃剤としては、火災時の有毒ガス発生の観点からリン化合物が好ましく、例えば
、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホス
フェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各
種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸
金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;化学式1で表される化合物等が挙げられる。
これらのリン化合物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、下記の化学式で表される化合物、及び、ポ
リリン酸アンモニウム類が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アン
モニウム類がより好ましい。
Figure 2006063791

上記化学式中、Rl及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキ
ル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。
2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜1
6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素
数6〜16のアリールオキシ基を表す。
前記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸
ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチル
ホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル
−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホ
スホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフ
ィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエ
チルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホ
スフィン酸等が挙げられる。
中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウ
ム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃性、安全性、コスト、
取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、クラリアント社製の「EXOLIT AP422」及び「EXOLIT AP462」、住友化学工業社製の「スミセーフP」、チッソ社製「テラルージュC70」、「テラルージュC80」等が挙げられる。
前記リン化合物は、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩と反応して、金属炭酸塩
の膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した
場合に、高い膨張効果が得られる。
また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
次に、前記樹脂組成物の製造方法について説明する。
前記樹脂組成物の製造方法に特に限定はないが、例えば、前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が熱可塑性樹脂である場合は、前記樹脂組成物の各成分を押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー等公知の混練装置に供給して溶融混練する方法や、前記樹脂組成物の各成分を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする等の方法により、前記樹脂組成物を得ることができる。
また、前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が前記エポキシ樹脂である場合は、例えば、前記樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする
方法や、前記樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法により前記樹脂組成物を得ること
ができる。
前記樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニ
ーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練する
ことにより得ることができる。
また、エポキシ基をもつモノマーと硬化剤とに別々に充填剤を混練しておき、シート成
形直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
また、必要に応じて有機溶剤と共に加温撹拌することにより得ることもできる。
次に本発明に使用する前記発泡断熱シートについて説明する。
前記発泡断熱シートは、上記で説明した樹脂組成物を用いて得ることができる。
例えば、前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が前記熱可塑性樹脂である場合には、前記樹脂組成物をプレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によってシート状に成形する方法や、前記樹脂組成物を塗料状に調整しておき、金属基材に塗布することにより、前記発泡断熱シートを得ることができる。
また前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が前記エポキシ樹脂である場合は、前記樹脂
組成物の各成分を塗料状とした後、例えば、金属基材に塗布後加熱硬化させることにより
、発泡断熱シートを得ることができる。
前記加熱硬化させる方法としては、例えば、プレス成形、ロール成形、コーター成形に
よる成形方法等により上記エポキシ樹脂混練物をシート化する際、不燃性繊維材料からな
るネット又はマットをエポキシ樹脂中に含浸した後、エポキシ樹脂を硬化させる方法が挙
げられる。
前記エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、プレスやロールによる加熱、加熱炉
による加熱等、公知の方法の一種もしくは二種以上を組み合わせて行うことができる。
上記に説明した方法により、本発明に使用する前記発泡断熱シートを得ることができる

前記発泡断熱シートは市販品として入手可能であり、例えば、住友スリ―エム社製のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなる発泡断熱シート、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社製のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなる発泡断熱シート、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等の発泡断熱シート等も挙げられる。また従来公知の耐火塗料を塗布あるいは成形により得られたシートを用いてもよい。
前記発泡断熱シートは、火災時などの高温に晒された際にその膨張層により断熱し、か
つその膨張層の強度があるものであれば特に限定されないが、50kW/mの加熱条件
下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨
張率が3倍を下回ると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めきれず防火性能
が低下することがある。また50倍を超えると、膨張層の強度が下がり、火炎の貫通を防止する効果が低下することがある。より好ましくは、体積膨張率が5〜40倍の範囲であり、さらに好ましくは8〜35倍の範囲である。
前記膨張層が自立するためには、前記膨張層は強度の大きいことが必要であり、その強
度としては、圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて、前記膨張層のサンプルを0
.1m/sの圧縮速度で測定した場合の破断点応力が0.05kgf/cm以上であれ
ば好ましい。破断点応力が0.05kgf/cmを下回ると、断熱膨張層が自立できな
くなり防火性能が低下することがある。より好ましくは、0.1kgf/cm以上である。
発泡断熱シートの厚みは0.1〜3mmの範囲であることが好ましい。この厚みが大き
いことにより断熱性能は向上するが、シャッター格納時の巻き取り径が大きくなるため、
より好ましくは0.3〜1.5mmの範囲であり、さらに好ましくは1.0〜1.5mm
の範囲である。
次に、本発明の防火シャッターに使用する金属基材について説明する。
本発明に使用する前記金属基材としては、例えば、具体的にはアルミニウム箔、銅箔、
ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等の金属からなるもの
、合成樹脂に対し、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉を分散させたもの等が挙げら
れる。
前記合成樹脂は特に限定されないが、例えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
前記金属基材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記金属基材は放射率が低いものが好ましい。
放射率は黒体で1とされるが、本発明に使用する前記金属基材の放射率は0.03から
0.7のものが好ましい。
放射率が小さい場合、本発明の防火シャッターは火災が発生している側とは反対側への
熱放射が小さく、輻射熱によって火災室裏面の人間が避難可能な断熱性や内装部材などの
発火を防ぐことが容易となる。
さらには、本発明の防火シャッターは火災が発生している側では、前記金属基材の影響
により、前記金属基材が存在しない場合に比較して前記防火シャッターに短時間に熱が伝
わり易い。このため火災発生の際には前記防火シャッターはより速やかに断熱層を形成し
、本発明の防火シャッターの断熱性能を十分に発揮させることができる。
金属基材はさらにアルミニウム箔からなるものが好ましい。一般的に放射率が小さいも
のが裏面の輻射熱を小さくすることが可能である。例えば常温では銅箔の放射率は0.0
2程度であり、アルミニウム箔は0.04程度であり、放射率では銅箔の方が良いが、火
災時に加熱されると銅箔は0.5程度となる。
その他の金属基材も加熱されると放射率が大きく変化するのに対し、アルミニウム箔は
0.3程度までしか変化がなく、他の金属基材と比較して優れた断熱性が期待できる。
次に、本発明の防火シャッターには、先に説明した通り、さらに耐熱クロスを使用する
ことができる。
前記耐熱クロスとしては、例えば、具体的にはガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維
、セラミック繊維等が挙げられる。
前記耐熱クロスは、耐熱性の観点から融点が1500℃以上のものであれば好ましい。
かかる耐熱クロスは市販品として販売されており、これらのものを使用することができ
る。
前記耐熱クロスは一種もしくは二種以上を併用して使用することができる。
前記耐熱クロスを使用することにより、本発明の防火シャッターの耐熱性、防火性をさ
らに向上させることができ、十分な強度を付与することが可能となる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
より何ら限定されるものではない。
図13のグラフは、一般に、建築物における鉄骨の耐火被覆材として使用されている発
泡性耐火塗料と同等の熱伝導率を有する発泡断熱シートを採用し、該シートの一方面を8
00℃に加熱した場合のシート内部の温度を計算により求めた結果を示している。
また、図14のグラフは、防火シャッターの非火災側の面の温度と、該面から離れた距
離における放射熱受熱量を測定した結果を示している。
ここで、可燃物の発火を防止するための限界受熱量は、一般に、10〜20kWと言わ
れている。可燃物の限界受熱量を20kWとすると、防火シャッターの非火災側の面を5
00℃以下に抑えれば、防火シャッターの非火災側の面から1m以内に可燃物があったと
しても、発火を防止することができ、また、可燃物の限界受熱量を10kWとした場合に
は、防火シャッターの非火災側の面を400℃以下に抑えれば、可燃物の発火防止が可能
である。
このような知見に基づき、図13のグラフから、発泡断熱シート11の厚みは28mm
以上、好ましくは、35mm以上あればよいことが理解できる。発泡状態で発泡断熱シー
トの厚みが35〜40mmの場合は、未発泡状態では、その厚みは1.0〜1.5mm程
度である。
上記防火シャッター10では、該シャッター10が加熱され、発泡断熱シート11が発
泡した場合にも、図5に示したように、締結手段13により縫合された部分においては、
該発泡断熱シート11の発泡は規制され、その厚みは厚くならない。しかしながら、この
部分は、全表面積の10パーセント程度に過ぎないので、その部分が、加熱側温度と同じ
になったとしても、殆ど問題にならない。
しかし、このような問題を完全に解消するには、防火シャッター20を、図15に示し
たように構成すればよい。
この防火シャッター20では、発泡断熱シート21a,21bを耐熱クロス22a、2
2b、22cで挟んで、2層に構成している。
即ち、この防火シャッター20では、耐熱クロス(以下、内側耐熱クロスという。)2
2cを挟んで発泡断熱シート21a、21bが配置され、それらの発泡断熱シート21a
、21bの外側表面に耐熱クロス(以下、外側耐熱クロスという。)22a、22bがそ
れぞれ配置されている。
そして、内側耐熱クロス22cと、一方の外側耐熱クロス22aとがセラミック系の糸
またはステンレスワイヤー等の締結手段23aによって、150〜300mm程度の間隔
で水平方向に連続して、或いは断続して縫合され、内側耐熱クロス22cと、他方の外側
耐熱クロス22bとをセラミック系の糸またはステンレスワイヤー等の締結手段23bに
よって、締結手段23aで縫合された箇所の中間の位置で、150〜300mm程度の間
隔で水平方向に連続して、或いは断続して縫合されている。
この防火シャッター20の場合は、該シャッター20が加熱され、内装された発泡断熱
シート21a、21bが発泡されると、図16に示したように、一方の発泡断熱シート、
例えば発泡断熱シート21aの締結部(締結手段23a)が他の発泡断熱シート21bに
よって覆われる。
したがって、この防火シャッター20の場合は、該シャッター20の全長(全高)に亘
ってほぼ均一な厚みになり、断熱効果がより向上し、火災時の延焼防止性能は更に向上し
たものとなる。
また、発泡断熱シートには、硬くて柔軟性に乏しいものがある。この場合には、防火シ
ャッター30を、図17に示したように構成すると共に、巻取装置3のドラム40の断面を、図18に示したように多角形とすればよい。
即ち、この防火シャッター30では、2枚の耐熱クロス31a,31bを、セラミック
系の糸またはステンレスワイヤー等の締結手段32によって、水平方向に適宜な間隔で連
続して、或いは断続して縫合し、発泡断熱シート33の幅を、前記耐熱クロス31a,3
1bの縫合間隔より若干狭い幅に切断し、該切断した発泡断熱シート33を、縫合した2
枚の耐熱クロス31a,31b間に挿入した構成となっている。
この防火シャッター30の場合には、締結手段32による締結部は耐熱クロス31a,
31bのみであるため、発泡断熱シート33が硬くて柔軟性に乏しいものがある場合にも
、この締結部においては容易に屈曲し、図18に概念的に示したように、多角形のドラム
40に、発泡断熱シートを損傷させることなくコンパクトに巻き取ることができる。
なお、この防火シャッター30の場合、締結手段32による耐熱クロス31a,31b
の水平方向の各々の縫合間隔は、多角形としたドラム40の一辺の長さ、防火シャッター
30の厚み、更には何重目に巻き取られる部分であるかを考慮し、適宜な間隔に設定する
必要がある。
下記の表1に示された各成分を配合した樹脂組成物からなる発泡断熱シートを作製した
。次に厚さ1.5mmの前記発泡断熱シートの両面にアルミニウム箔を積層した。この積
層体の形状は、幅1050mm、長さ3000mmであった。
次に前記積層体3枚を、幅50mmづつの範囲で重ね合わせ、これらをステンレス鋼線
の締結手段によって縫合し、幅3000mm、長さ3000mmの防火シャッターを作製
した。
この防火シャッターの一面を加熱側が一様に加熱されるようにして60分間加熱試験を
行った。
前記加熱の条件は、ISO834曲線として規定されている温度上昇曲線に従って実施
した。
判定項目は次の通りである。
(1)判定項目1:非加熱側で10秒以上火炎の噴出のない場合を○、ある場合を×とし
た。
(2)判定項目2:非加熱側で10秒以上の発炎のない場合を○、ある場合を×とした。
(3)判定項目3:火炎の噴出等のおそれのある亀裂および損傷のない場合を○、ある場
合を×とした。
(4)判定項目4:非加熱面より0.2mの距離において受熱放射量が5.0kW/m
以下である場合を○、ない場合を×とした。
結果を表2に示した。
表2における体積膨張率および破断点応力の測定法は次の通りである。
(5)体積膨張率:コーンカロリーメーター(アトラス社製「CONE2A」)を用いて、長さ10mm、幅100mmm、表1記載の厚みのサンプルに、50kW/m2の照射熱量下で30分間加熱した時のサンプルの寸法を測定し、下記式にて体積膨張率を算出した。
体積膨張率={加熱後の長さ(mm)×加熱後の幅(mm)×加熱後の厚み(mm)/100
}×100×加熱前の厚み(mm)
(6)破断点加重:上記体積膨張後のサンプルを、圧縮試験機(カトーテック社製「フィンガーフィーリングテスター」)を用いて、0.25cm2の圧子で0.1m/sの圧縮速度にて測定した。
なお、本実施例に使用した防火シャッターの構造および作動装置については一般的なス
クリーン型シャッターと同様である。
例えば図1に示す様に、天井内に開閉装置が設けられ、モーター4,4にて前記防火シ
ャッター10を巻き取る構造となっており、また、両側壁5にはガイド溝6aが設けられ
ている。
図1では、前記防火シャッター10が床壁7に向かって閉まる様子が示されている。
前記測定項目を調べる際には、前記防火シャッター10が閉鎖されている状態で測定し
た。以下、同様である。
前記アルミニウム箔に替えて表面にアルミニウム箔を備えたガラスクロスを、前記アル
ミニウム箔が最外面となる様に用いた他は、実施例2の場合と同様の操作により防火シャ
ッターを得た。
この防火シャッターを用いて、実施例1の場合と同様の測定を実施した。
結果を表2に示す。
片側にアルミニウム箔を備えたガラスクロスのガラスクロス側と、実施例2に使用した
樹脂組成物と同じ配合の樹脂組成物からなる、厚みが0.75mmの発泡断熱シートとを
積層した積層体Aを二つ準備した。
次にこの積層体の前記発泡断熱シート側を、厚さ0.6mmのシリカ繊維クロスの両面
に積層し、幅1050mm、長さ3000mmの積層体Bを得た。
この積層体Bの3枚を、幅50mmづつの範囲で重ね合わせ、これらをステンレス鋼線
にて縫合し、幅3000mm、長さ3000mmの防火シャッターを作製した。
この防火シャッターを用いて、実施例2の場合と同様の測定を実施した。
結果を表2に示す。
比較例1
厚さ1.2mmのシリカ繊維クロスからなる、幅1050mm、長さ3000mmのシ
ートを水平方向にステンレス鋼線にて縫合し、幅3000mm、長さ3000mmの防火
シャッターを作製した。
この防火シャッターを用いて、実施例2の場合と同様の測定を実施した。
結果を表2に示す。
Figure 2006063791
Figure 2006063791
本発明に係る防火シャッターを含む防火設備の全体を概念的に示した斜視図である。 図1の防火シャッターにおけるA−A線に沿う部分の拡大断面図である。 図1の防火シャッターにおけるB−B線に沿う部分の拡大断面図である。 本発明に係る防火シャッターを含む防火設備の全体を概念的に示した斜視図である。 図4の防火シャッターにおけるC−C線に沿う部分の拡大断面図である。 図4の防火シャッターにおけるD−D線に沿う部分の拡大断面図である。 本発明の防火シャッターの構成を説明するための模式図である。 本発明の防火シャッターの構成を説明するための模式図である。 本発明の防火シャッターの構成を説明するための模式図である。 本発明の防火シャッターの構成を説明するための模式図である。 本発明の防火シャッターの使用形態を説明するための模式図である。 本発明の防火シャッターの使用形態を説明するための模式図である。 発泡した発泡断熱シートの一方表面を加熱したときの、該表面からの深さにおける温度の変化を示したグラフである。 シャッターの表面温度とそれに比較的近い位置で可燃物が受ける放射受熱量との関係を示したグラフである。 防火シャッターの他の実施の形態を示したもので、非加熱状態にある断面図である。 図9に示した防火シャッターの加熱状態を示した断面図である。 防火シャッターの更に他の実施の形態を示したもので、非加熱状態にある断面図である。 断面が多角形の巻き取りドラムに図11に示した防火シャッターが巻き取られる状態を示した概念図である。
符号の説明
1 通路
2 天井壁
3 巻取装置
4 モータ
5 側壁
6 側板
6a ガイド溝
7 床壁
8 底板
10 防火シャッター
10a 側部
11 発泡断熱シート
12a,12b 耐熱クロス
13 締結手段
14 鋼球
15 ステンレスプレート
16 鉄板
20 防火シャッター
21a,21b 発泡断熱シート
22a,22b,22c 耐熱クロス
23a,23b 締結手段
30 防火シャッター
31a,31b 耐熱クロス
32 締結手段
33,60,61,62 発泡断熱シート
40 ドラム
50,51,52,53 金属基材
70,71,72,73,74 耐熱クロス
80 縫い目

Claims (8)

  1. 加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シートを挟むようにして、該発泡断熱シートの
    両表面に耐熱クロスを配置し、それらを上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合したことを特徴とする、防火シャッター。
  2. 耐熱クロスを挟むようにして、該耐熱クロスの両面に、加熱されて発泡する、未発泡の
    発泡断熱シートを配置すると共に、それらの発泡断熱シートの外表面に耐熱クロスをそれ
    ぞれ配置し、一方の発泡断熱シートを挟み込む両耐熱クロスを、上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合し、他方の発泡断熱シートを挟み込む両耐熱クロスを、前記締結手段の上下中間位置で、他の締結手段によって水平方向に結合したことを特徴とする、防火シャッター。
  3. 2枚の耐熱クロスを、上下方向に適宜間隔で、締結手段によって水平方向に結合し、前記耐熱クロスの締結間隔より上下方向の幅の狭い、加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シートを前記2枚の耐熱クロス間に挿入したことを特徴とする、防火シャッター。
  4. 上記締結手段を、不燃性糸とし、該不燃性糸によって、上記耐熱クロスを互いに縫合し
    たことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の防火シャッター。
  5. 両側部の上記発泡断熱シートを取り除き、該発泡断熱シートを挟み込む上記耐熱クロス
    を互いに合わせて結合し、両側部を構成したことを特微とする、請求項1〜4のいずれか
    に記載の防火シャッター。
  6. 加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シートおよび金属基材を備え、
    かつ、前記金属基材が、前記発泡断熱シートの両面にそれぞれ設けられた防火シャッタ
    ー。
  7. 加熱されて発泡する、未発泡の発泡断熱シート、金属基材および耐熱クロスを備え、
    前記発泡断熱シートが、前記耐熱クロスの両面にそれぞれ設けられ、
    かつ前記金属基材が、前記発泡断熱シートのうち、前記耐熱クロスが設けられた面とは
    反対側の最外面にそれぞれ設けられていることを特徴とする防火シャッター。
  8. 上記に加えて、耐熱クロスが、前記金属基材と前記発泡断熱シートとの間にさらに設け
    られたことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の防火シャッター。
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