JP5903354B2 - アウトレットボックスの防火措置構造およびその施工方法 - Google Patents
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Description
火災の炎が中空壁等の壁の内部に侵入すると、コンセントやスイッチ等に接続されている電線ケーブル等を伝わって延焼が生じる問題がある。
この問題に対応するため、室内に設けられたコンセントやスイッチ等の背面、すなわち中空壁等の壁の内部にアウトレットボックスを設けた防火措置構造が提案されている。
中空壁を形成する壁40,40に貫通孔が設けられ、前記壁40,40の内側から前記貫通孔を覆う様にアウトレットボックス1が設置されている。前記アウトレットボックス1は開口部を有する金属製の箱形状である。前記壁40,40の貫通孔に前記アウトレットボックス1の開口部を向けた状態により、金具等でスタッドに取り付けられた前記アウトレットボックス1が前記壁40,40の内側に設置されている。
前記アウトレットボックス1の上面には挿通孔が設けられていて、この挿通孔を電線ケーブル類50が挿通している。この電線ケーブル類50の外周に密着するように、熱膨張性樹脂組成物からなる延焼防止部21がアウトレットボックス1の外側に設けられている。前記延焼防止部21は、アウトレットボックス1の内側に露出していて、前記アウトレットボックス1の挿通孔と前記電線ケーブル類50とを閉塞している。
また前記電線ケーブル類50の末端は配線端末74に接続されている。さらに、前記配線端末74を保持した保持枠73が前記壁40,40に取り付けられている。
この第一の従来のアウトレットボックスの防火措置構造によれば、前記アウトレットボックスが火災等の炎にさらされた場合でも延焼を防止することができるとされる(特許文献1)。
このため前記アウトレットボックス1に前記電線ケーブル類50を挿通させ、前記延焼防止部21を設置した後でなければ前記アウトレットボックス1を前記壁40,40の内部に設置することが非常に難しくなることから、施工者の習熟度に依存して施工時間が遅延したり、仕上がり精度に不備が生じたりする問題があった。
さらには前記アウトレットボックス1を前記壁40,40の内部に設置した後は、設置された第一の従来のアウトレットボックスの防火措置構造に不具合があるかどうかを前記壁40,40の外部から検査することが困難である問題もあった。
前記第二の従来のアウトレットボックスの防火措置構造は、先の第一の従来のアウトレットボックスの防火措置構造と比較して、電線ケーブル類50をアウトレットボックス1の挿通孔に固定する際に、筒状固定具60と筒状固定受具61とを使用している点が異なる。
前記電線ケーブル類50に筒状固定具60を耐熱接着剤等により固定し、前記アウトレットボックス1の挿通孔に筒状固定受具61を固定し、前記筒状固定具60と筒状固定受具61とをはめ合わせることにより、前記電線ケーブル類50をアウトレットボックス1の挿通孔に固定することができる。
また前記第二の従来のアウトレットボックスの防火措置構造は、先の第一の従来のアウトレットボックスの防火措置構造と比較して、前記筒状固定受具61と前記電線ケーブル類50との隙間ならびに前記アウトレットボックス1と壁41との隙間を耐熱パテ80で閉塞し、前記アウトレットボックス1の内部に熱膨張性耐火シート20を挿入した点、さらに円筒状の筒状固定具60と筒状固定受具61との周囲を熱膨張性耐火シート81により巻いた点が異なる。
この第二の従来のアウトレットボックスの防火措置構造によれば、より確実な防火性能を確保することができるとされる(特許文献2)。
また前記アウトレットボックス1を前記壁41の内部に設置した後は壁41の外側から前記筒状固定具60と筒状固定受具61との接続状態を観察できないことから、設置された第二の従来のアウトレットボックスの防火措置構造に不具合があるかどうかを前記壁41の外部から検査することが困難である問題も依然として残る。
先に説明した第二の従来のアウトレットボックスの防火措置構造が火災等の熱にさらされると、前記筒状固定具60と筒状固定受具61とが溶融、焼失等し、前記筒状固定受具61内部に設置された耐熱パテ80が、前記電線ケーブル類50に沿って前記アウトレットボックス1の内部に垂れ下がる場合がある。
前記耐熱パテ80が前記アウトレットボックス1の内部にあると、前記アウトレットボックス1の内部に挿入された熱膨張性耐火シート20の自由な膨張が妨げられる。
この結果、前記アウトレットボックス1の内部が、前記熱膨張性耐火シート20による膨張残渣により完全には閉塞されず、火災等の炎、煙等が通過してしまう可能性がある。
[1]貫通孔を有する壁に対して、前記貫通孔を覆う様に設置されたアウトレットボックスの構造であって、
前記アウトレットボックスが、背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有し、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて壁に設置され、
前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間があり、
電線ケーブル類が、前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔を挿通し、
第一の熱膨張性耐火シートが、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入され、
第二の熱膨張性耐火シートが、前記壁の貫通孔の内周に設置されていることを特徴とする、アウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[2]前記アウトレットボックスが、アウトレットボックス本体と開口部を有する鍔板とを着脱自在に組み合わせてなり、
前記開口部を有する鍔板が、前記アウトレットボックス本体の開口部側に設置され、
支持枠体が、前記アウトレットボックスが設置された側とは反対側の壁の貫通孔外部に設置され、
連結部材が、前記壁の貫通孔を挿通し、前記開口部を有する鍔板と前記支持枠体とを着脱自在に連結し、
前記第二の熱膨張性耐火シートの端部が、前記鍔板の開口部に達している、上記[1]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[3]前記連結部材が、前記第二の熱膨張性耐火シートを支持している、上記[2]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[4]前記第一の熱膨張性耐火シートが、二以上の熱膨張性耐火シートからなり、
前記二以上の熱膨張性耐火シートが、前記二以上の熱膨張性耐火シートの側面を互いに対向させて、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入されている、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[5]前記第一の熱膨張性耐火シートが、二以上の熱膨張性耐火シートからなり、
前記二以上の熱膨張性耐火シートが、低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)と、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)とを含み、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)よりも低い温度で膨張を開始し、
前記アウトレットボックスの背面板に対する垂直方向を基準として、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)および前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)が、(A)、(B)の順に配置され、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記アウトレットボックス内部の背面板側と反対側に配置され、
前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)が、前記アウトレットボックス内部の背面板側に配置されている、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[6]前記第一の熱膨張性耐火シートが、低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(a)および高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(b)を少なくとも積層してなり、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(a)が、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)に対応し、
前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(b)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)に対応する、上記[5]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[7]前記電線ケーブル類が、端部に筒状固定具が設置された可撓電線管の内部を挿通し、
筒状固定受具が、前記アウトレットボックスの挿通孔に設置され、
前記可撓電線管の端部に設置された筒状固定具が、前記アウトレットボックスの挿通孔に設置された筒状固定受具にはめ合わされ、
配電盤が、前記支持枠体に設置され、
前記可撓電線管の内部を挿通する前記電線ケーブル類が、前記アウトレットボックス内部に導入されて、前記配電盤に接続され、
前記配電盤が、有線通信用コンセント、電源用コンセント、電源用スイッチ、電源用ブレーカー、通電表示灯および情報表示装置からなる群より選ばれる少なくとも一つを備え、
前記配電盤および前記支持枠体が、化粧板により前記壁の外部から覆われ、前記化粧板の開口部を通じて、前記配電盤の電源用コンセント、電源用スイッチおよび電源用ブレーカーを操作でき、前記配電盤の通電表示灯および情報表示装置を視認できる、上記[2]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造を提供するものである。
[8]背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有するアウトレットボックスを、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて、壁に設置する工程(1)と、
前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔に、電線ケーブルを挿通させる工程(2)と、
前記壁の垂直方向を基準として、前記壁の貫通孔の一部または全部と、前記アウトレットボックスの開口部の一部または全部とが互いに重なる位置に、前記壁に貫通孔を設ける工程(3)と、
第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入する工程(4)と、
第二の熱膨張性耐火シートを、前記壁の貫通孔の内周に設置する工程(5)と、
を少なくとも有するアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法であって、
前記工程(1)を実施する際に、前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間が設置され、
前記工程(1)の実施後に、前記工程(4)および前記工程(5)が順不同に実施されることを特徴とする、アウトレットボックスの防火措置構造の施工方法を提供するものである。
[9]支持枠体を、前記アウトレットボックスが設置された側とは反対側の壁の貫通孔外部に設置する工程(6)と、
アウトレットボックス本体と開口部を有する鍔板とを着脱自在に組み合わせてなるアウトレットボックスに設置された前記開口部を有する鍔板と、
前記支持枠体と、を、
前記壁の貫通孔を挿通させた連結部材により、着脱自在に連結する工程(7)と、
を有し、
前記工程(5)の第二の熱膨張性耐火シートを前記壁の貫通孔の内周に設置する際に、前記第二の熱膨張性耐火シートの端部が、前記鍔板の開口部に達して設置される、上記[8]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法を提供するものである。
[10]前記工程(4)が、二以上の熱膨張性耐火シートからなる第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、
前記二以上の熱膨張性耐火シートの側面を互いに対向させる工程である、上記[8]または[9]に記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法を提供するものである。
[11]前記工程(4)が、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)を前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、次に低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)を前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入することにより、前記アウトレットボックスの背面板に対する垂直方向を基準として(A)、(B)の順に、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)を前記アウトレットボックス内部の背面板側と反対側に配置し、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)を、前記アウトレットボックス内部の背面板側に配置する工程であり、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)よりも低い温度で膨張を開始する、上記[8]〜[10]のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法を提供するものである。
[12]貫通孔を有する壁に対して、前記貫通孔を覆う様に設置されたアウトレットボックスの構造であって、
前記アウトレットボックスが、背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有し、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて壁に設置され、
前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間があり、
電線ケーブル類が、前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔を挿通したアウトレットボックスの構造に対し、
第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、
第二の熱膨張性耐火シートを、前記壁の貫通孔の内周に設置することを特徴とする、アウトレットボックスの構造に対する防火補強方法を提供するものである。
従来のアウトレットボックスの防火措置構造では、アウトレットボックスを壁に設置する前に、熱膨張性耐火シート、耐熱パテ等の耐火のための材料を設計上定められた位置に設置しなければ防火措置を行うことができなかった。このため従来のアウトレットボックスの防火措置構造では、前記アウトレットボックスの防火措置構造が完成した後でなければ壁等を設置することができず、前記アウトレットボックスの防火措置構造の施工に時間がかかると建築作業全体が遅延する問題があった。
これに対し本発明のアウトレットボックスの防火措置構造は、前記アウトレットボックスを壁に設置した後に、熱膨張性耐火シートを用いて得られることから簡単に施工することができる。
前記アウトレットボックスを壁に先に設置することができれば、次の施工作業を行う際に本発明のアウトレットボックスの防火措置構造の完成を待つ必要がなく、短時間で効率よく建築作業を進めることができる。
本発明のアウトレットボックスの防火措置構造は設計通りに施工されているかどうかの検査を簡単に行うことができる。
さらに前記アウトレットボックスと前記壁との隙間も前記第二の熱膨張性耐火シートによる膨張残渣により閉塞される。
このため前記アウトレットボックス内部を火災等の炎、煙等が通ることを防ぐことができることから、本発明のアウトレットボックスの防火措置構造は防火性に優れる。
しかし実際の火災現場では前記アウトレットボックスが直接火災等の炎にさらされることなく、前記壁の貫通孔側から前記アウトレットボックスの開口部に向けて火災等の炎が浸入してくる場合も生じることがある。
前記アウトレットボックスが直接火災等の炎にさらされない場合には、前記アウトレットボックス内に設置された第一の熱膨張性耐火シートが膨張する前に、火災等による炎、煙等が前記アウトレットボックス内を通過することが懸念される。
この問題に対し、本発明のアウトレットボックスの防火措置構造に低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)と、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)とを組み合わせて使用することにより解決することができる。
比較的十分に前記アウトレットボックスが加熱されない場合でも低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が膨張して膨張残渣を形成するため、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)が十分膨張しない段階から前記アウトレットボックス内部が低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)による膨張残渣により閉塞される。
これにより前記アウトレットボックス内に設置された第一の熱膨張性耐火シートが膨張する前に、火災等による炎、煙等が前記アウトレットボックス内を通過してしまう問題を解決することができる。
これに対し本発明のアウトレットボックスの防火措置構造を施工する際には、第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートを使用することにより施工することが可能であり、耐熱パテ等のシール剤を使用する必要がなく、これらの熱膨張性耐火シートを使用するだけで施工することができるため、誰でも簡単に施工することが可能であり、耐熱パテ等のシール剤により施工現場付近が汚れる問題が発生しない。
図1および図2は本発明に使用するアウトレットボックスを例示した模式斜視図である。
背面板5の外周に上側面板2、横側面板3および下側面板4が隙間無く接合されることによりアウトレットボックス本体1aが形成されている。このアウトレットボックス本体1aの内部には背面板5、上側面板2、横側面板3および下側面板4により囲まれた直方体形状の空間が形成され、この空間に外部から電線ケーブル類を導入することができる。
前記上側面板2、横側面板3および下側面板4からなる側面板と、前記背面板5とは直角に接合されていてもよいし、曲面を含むように接合されていてもよい。
本発明に使用するアウトレットボックス1は、例えば、前記アウトレットボックス本体1aと、前記鍔板6とを着脱自在に組み合わせること等により得ることができる。
これにより、前記上側面板2、横側面板3および下側面板4からなる側面板の端面側、すなわち前記アウトレットボックス本体1aの開口部10側を壁側に向けて前記貫通孔を覆う様にアウトレットボックスを設置することができる。
なお前記鍔板6には適宜配電盤等を固定するための螺子孔を設けることができる。
無機製のものとしては、例えば、セラミック製、陶磁器製等のものが挙げられる。
また金属製のものとしては、例えば、アルミニウム、銅、鋼鉄、ステンレス、錫、鉛等のものの一種もしくは二種以上の合金のもの等が挙げられる。
本発明に使用するアウトレットボックス1は、一例を挙げるとすれば、例えば、IJS C 8340に規定されている電線管用金属製ボックスおよびボックスカバー等が挙げられる。具体的には、軟鉄鋼製のものが好ましく、熱間圧延軟鉄鋼板により形成されているものであればさらに好ましい。前記熱間圧延軟鉄鋼板はJIS G3131に規定されているものであればさらに好ましい。
図3は本発明に使用する第一の熱膨張性耐火シート20の形状を説明するための模式斜視図である。
本発明に使用する第一の熱膨張性耐火シート20は、例えば、図3(a)に例示されるように二以上の短冊状の熱膨張性耐火シート20aからなるものであってもよいし、図3(b)に例示されるように、熱膨張性耐火シートの厚み方向に、二以上の熱膨張性耐火シート20b1、20b2等を組み合わせてなるものであってもよいし、図3(c)に例示されるように、熱膨張性耐火シート20の厚み方向に、樹脂組成物の成分がそれぞれ異なる熱膨張耐火層20c1、20c2等が積層されてなるものであってもよい。
本発明における熱膨張開始温度とは熱機械分析装置を用いて10℃/minの昇温速度で測定を行った際に、第一の熱膨張性耐火シート20の体積増加が開始された時の温度をいう。
前記第一の熱膨張性耐火シート20の熱膨張開始温度を変化させるには、前記第一の熱膨張性耐火シート20に含まれる熱膨張成分について、異なる熱膨張開始温度を持つものを適宜選択すればよい。なお前記第一の熱膨張性耐火シート20の詳細な組成については後述する。
前記熱膨張性耐火シート20a等をアウトレットボックスの内壁に固定する方法としては、例えば、片面または両面に粘着層を備えた粘着テープを使用して前記熱膨張性耐火シート20a等をアウトレットボックスの内部の背面板5に固定する方法、接着剤を使用して前記熱膨張性耐火シート20a等をアウトレットボックス1の内部の背面板5に固定する方法、粘着性を有する熱膨張性耐火シート20a等を使用して前記熱膨張性耐火シート20a等をアウトレットボックス1の内部の背面板5に固定する方法、ビス等を使用して前記熱膨張性耐火シート20a等をアウトレットボックス1の内部の背面板5に固定する方法等が挙げられる。
粘着性を有する熱膨張性耐火シートについては後述するが、例えば、熱膨張性耐火シートを構成する樹脂成分に粘着成分を添加する方法、熱膨張性耐火シートに粘着層を追加して積層する方法等が挙げられる。
本発明に使用するアウトレットボックス1は、前記側面板の端面11(図2参照)を壁側に向けて壁に設置されるものである。図4における一点破線a−aは、アウトレットボックスの側面板により囲まれる内部の空間を、壁と平行な面により切断する切断面を例示したものである。
本発明に使用される前記第一の熱膨張性耐火シート20の面積、すなわちそれぞれの前記熱膨張性耐火シート20aの縦および横により表される面積は、前記アウトレットボックス1の側面板2,3,4により囲まれる内部の空間を、壁と平行な面により切断して得られる断面15の断面積の最大値に対して55〜100%の範囲であることが好ましい。
前記熱膨張性耐火シート20の面積が前記断面15の断面積の最大値に対して55%以上の場合には、本発明のアウトレットボックスの防火措置構造が火災等の熱にさらされた場合でも、炎等がアウトレットボックスを通過することを防止することができる。
この範囲は65〜100%の範囲であれば好ましく、71%〜100%の範囲であればより好ましい。
本発明に使用する前記第一の熱膨張性耐火シート20の熱膨張倍率は、3〜100倍の範囲であることが好ましい。
前記熱膨張倍率が3倍以上の場合は、前記第一の熱膨張性耐火シート20の膨張残渣が前記アウトレットボックス1の内部を十分に閉塞する。また前記熱膨張倍率が100倍以下の場合には前記熱膨張性耐火シートの膨張残渣の密度が小さくなることを防止できるため膨張残渣の強度を維持することができ、火災等で生じた熱風等により膨張残渣が崩れることを防止できる。
また前記第一の熱膨張性耐火性シート20の熱膨張倍率は、20〜60の範囲であることがより好ましく、20〜50の範囲であればさらに好ましい。
前記第二の熱膨張性耐火シートについても先に説明した第一の熱膨張性耐火シートの場合と同様であり、火災等の熱にさらされた場合に、前記壁の貫通孔内部を十分に閉塞できる膨張倍率を有するものが使用される。
先に説明した図4におけるアウトレットボックス1の背面板5の内面から、アウトレットボックス1の鍔板6の最外面までの距離がアウトレットボックス1内部の奥行きの長さLである。
なおアウトレットボックス1の背面板5に曲面が含まれる場合等、前記奥行きの長さLが場所によって変化する場合には、前記Lの値は、アウトレットボックス1の背面板5の内面からアウトレットボックス1の鍔板6の最外面までの最大距離を採用するものとする。
t×(t1/t0)/Lの値が1.5以上の場合は、前記熱膨張性耐火シート20の膨張残渣が前記アウトレットボックス1の内部を十分閉塞することができる。また t×(t1/t0)/Lの値が8以下の場合は、熱膨張性耐火シート20の膨張残渣を緻密に維持することができる。
t×(t1/t0)/Lの値は、1.5〜5の範囲が好ましく、2〜4の範囲であればより好ましい。
前記熱膨張性耐火シート20の材料としては、例えば、熱膨張性樹脂組成物をシートの形状に成形したもの、熱膨張性樹脂組成物と基材とを積層してシートの形状に成形したもの等が挙げられる。
前記基材としては、例えば、金属板、金属箔、金属繊維シート、金属網、無機板、無機繊維シート、無機繊維網、有機樹脂板、有機樹脂フィルム、有機繊維シート、有機繊維網等が挙げられる。
後述する有機樹脂板および有機樹脂フィルムとの関係についても、前記金属板と金属箔との関係と同様である。
前記金属網としては、例えば、金属線を組み合わせて網状に成形したもの、前記金属板、金属繊維シートを金型等を使用して打ち抜くことにより多数の孔を形成したもの等が挙げられる。
前記無機繊維シートおよび前記無機繊維網に使用する無機繊維としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
前記無機繊維シートとしては、例えば、無機繊維を編むことによりシート状に成形したもの、無機繊維を編まずに樹脂等を使用してシート状に成形したもの等が挙げられる。
前記無機繊維網としては、例えば、無機繊維を組み合わせて網状に成形したもの、前記無機板、無機繊維シートを金型等を使用して打ち抜くことにより多数の孔を形成したもの等が挙げられる。
前記有機樹脂フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルム等が挙げられる。
前記有機繊維シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂繊維シート、熱硬化性樹脂繊維シート等が挙げられる。
前記有機繊維網としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維網、熱硬化性樹脂繊維網等が挙げられる。
前記有機繊維網としては、例えば、有機繊維を組み合わせて網状に成形したもの、前記有機樹脂板、有機繊維シートを金型等を使用して打ち抜くことにより多数の孔を形成したもの等が挙げられる。
前記熱膨張性樹脂組成物と基材とを積層してシートの形状に成形する方法としては、例えば、前記基材に対して熱膨張性樹脂組成物を溶融押出して積層する方法、前記基材と熱膨張性樹脂組成物とを熱プレス成形等により積層する方法、熱膨張性樹脂組成物を溶剤に溶解または縣濁させた塗料を前記基材に吹き付けたり、塗布したりする方法等が挙げられる。
前記熱膨張性樹脂組成物としては、例えば、樹脂成分、熱膨張成分、無機充填材等を含むものが挙げられる。
前記樹脂成分に限定はないが、一例を挙げるとすれば、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム等のゴム樹脂等が挙げられる。
前記樹脂成分を使用する際は、樹脂成分の原料となるモノマーを予備的に反応させたプレポリマーを使用することができる。
前記樹脂成分は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記イソシアネート類としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また前記多価アルコールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
前記重付加型硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる。
前記リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン、
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、
ポリリン酸アンモニウム類、
化学式1で表される化合物等が挙げられる。
前記熱膨張成分は、構成成分等によってその熱膨張開始温度が異なるものを市販品として入手することができる。本発明では、異なる熱膨張開始温度を有する前記熱膨張成分を選択することにより、第一の熱膨張性耐火シート20の熱膨張開始温度を変化させることができる。
の「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」、東ソー社製の「GREP−EG」等が挙げられる。
前記無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果を付与する水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム等の含水無機物が好ましい。
一方、熱膨張成分の量が350重量部以下であると、擬集力が向上するため、成形品の強度が大きくなる。
また前記無機充填材の量が50重量部以上であると、燃焼後の残体積量を確保することができるため、十分な膨張残渣が得られる。さらに可燃物の比率が減少するため、難燃性が向上する。
前記熱膨張性樹脂組成物の製造方法に特に限定はないが、例えば、前記熱膨張性樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法、前記熱膨張性樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法により前記熱膨張性樹脂組成物を得ることができる。
本発明に使用される壁としては、例えば、建築物の壁、間仕切り壁、床、天井等、船舶の防水区画や船室に設けられた鋼板等が挙げられる。
前記不燃性ボードとしては、例えば、無機繊維を成形した無機繊維ボード、耐熱パネル等が挙げられる。
前記セメント系パネルとしては、例えば、硬質木片セメント板、無機繊維含有スレート板、軽量気泡コンクリート板、モルタル板、プレキャストコンクリート板等が挙げられる。
前記無機セラミック系パネルとしては、例えば、石膏ボード、けい酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、ミネラルウール板、窯業系板等が挙げられる。
前記中空壁としては、例えば、金属フレーム、鉄骨等の枠材に、前記耐熱パネル等を固定した構造のもの等が挙げられる。
前記壁として中空壁を使用する場合には、前記中空壁の内部に無機繊維等を設置することもできる。
前記無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
図6に示されるように、金具等でスタッドに取り付けられた前記アウトレットボックス1が前記壁40の内側に設置されている。
前記アウトレットボックスは金属製であり、前記壁40は厚さ21mmの強化石膏ボード41aを2枚重ねて形成されている。
また実施例1に使用したアウトレットボックス1の構造は、図1および2に使用したものと同様である。
図6に示されるアウトレットボックス1は、金具等を使用してスタッドに固定することにより、壁に設置することができる(図示せず)。前記アウトレットボックス1を壁に設置するための金具、スタッド等は市販されていて、市販されている金具、スタッド等を適宜選択して使用することができる。
図6に示される実施例1に使用した前記アウトレットボックス1の場合は、前記アウトレットボックス1の開口部14側に前記螺子7が突き出ている。このため前記アウトレットボックス1を壁に固定する際には前記壁と前記アウトレットボックス1との間に隙間44ができている。
本発明に使用する電線ケーブル類50としては、例えば、電力線用ケーブル、アンテナ線用ケーブル、光ファイバーケーブル等が挙げられる。電線ケーブル類は単芯もしくは2芯以上のものを使用することができる。
前記光ファイバーケーブルは、光ファイバーが合成樹脂製のもの、ガラス製のもの等を使用することができる。
前記可撓電線管52は合成樹脂製で自由に曲げることができるものであり、市販品を適宜選択して使用することができる。前記可撓電線管52はJIS C8411に準拠するものであれば好ましい。
前記筒状固定具60と前記筒状固定受具61とはそれぞれ配管コネクターとして市販されているもの等を適宜選択して使用することができる。
これに対して前記壁40に貫通孔43を開けてから、金具等でスタッドに取り付けられた前記アウトレットボックス1を前記貫通孔43を覆う様に前記壁40に設置することもできる。
前記第一の熱膨張性耐火シート20の形状は、図3(a)に示されている二以上の短冊状の熱膨張性耐火シート20aの場合と同様である。
前記熱膨張性耐火シート20aは、粘着成分が添加されていることから、前記アウトレットボックス1の内部の背面板5に貼着することができる。
前記熱膨張性耐火シート20aを前記アウトレットボックス1の内部の背面板5に、前記二以上の熱膨張性耐火シート20aの側面が互いに対向するように並べて敷き詰めた。
実施例1に使用される前記第一の熱膨張性耐火シート20は、前記アウトレットボックス1が火災等の炎により加熱された場合に、前記アウトレットボックス1の内部を十分閉塞するだけの膨張残渣が生じるように、その膨張倍率、厚み等を決定することができる。
実施例1に使用される前記第二の熱膨張性耐火シート30は、前記アウトレットボックス1が火災等の炎により加熱された場合に、前記壁40に形成された貫通孔43の内部ならびに前記壁40と前記アウトレットボックス1との隙間44を十分閉塞するだけの膨張残渣が生じるように、その膨張倍率、厚み等を決定することができる。
ここで前記第二の熱膨張性耐火シート30の端部が、前記アウトレットボックス1の前記鍔板6の開口部14に達しているとの意味は、前記壁40と平行な面により前記鍔板6を切断した断面を基準として、前記第二の熱膨張性耐火シート30の端部が前記アウトレットボックス1の内部にある場合をいい、前記アウトレットボックス1の開口部14の最外面と前記第二の熱膨張性耐火シート30の端部とが一致する場合、および前記アウトレットボックス1の最外面よりも前記アウトレットボックス1の内側に前記第二の熱膨張性耐火シート30の端部がある場合が含まれる。
なお説明の便宜上図10では、前記壁40、前記鍔板6、前記第一の熱膨張性耐火シート20および前記第二の熱膨張性耐火シート30のみが記載されている。
なお図10では前記第一の熱膨張性耐火シート20が見えている部分は実線で表現され、前記第一の熱膨張性耐火シート20のうち、前記第二の熱膨張性耐火シート30により覆われて見えない部分は破線で表現されている。
また前記鍔板6に連結部材62を前記壁40の手前側から設置することができるように、前記第二の熱膨張性耐火シート30に切り込み31が設けられている。
これに対し、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100の場合は、設計通りにアウトレットボックス1に対して防火措置が実施されているかどうかを壁40の外側から簡単に確認することができる。この点は以下の実施例の場合も同様である。
前記配電盤70には、インターネット回線、電話回線等を接続するための有線通信用コンセント、100V、200V等の電源を供給するための電源用コンセント、電源の供給を制御するための電源用スイッチ、一定以上の電力を使用した場合に電流を遮断するための電源用ブレーカー、通電中であるかどうかを表示するための通電表示灯、現在の時刻、制御機器の作動状況等を表示するための情報表示装置等を設置することができる。
前記電力線用ケーブル51の末端を配電盤70に接続した後、前記配電盤70を支持枠体71に設置する。
続いて連結部材62を前記壁40の貫通孔43に挿通させ、前記アウトレットボックス1の前記鍔板6と前記支持枠体71とを螺子により着脱自在に固定した。
前記支持枠材71および前記連結部材62は金属製であり、前記アウトレットボックス1の場合と同様、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100が火災等の熱にさらされた場合でも一定形状を維持することができる。
前記連結部材62が前記壁40に形成された貫通孔43の内周42に設置された前記第二の熱膨張性耐火シート30を支持することにより、前記第二の熱膨張性耐火シート30が前記壁40に形成された貫通孔43の内部で垂れ下がることを防止することができ、設計通りの耐火性能を発揮することができる。
前記連結部材62の形状は、前記鍔板6と前記支持枠体71とを着脱自在に固定することができるものであれば特に限定はなく、前記アウトレットボックス1の形状等に合致するものを適宜選択して使用することができる。
前記化粧板72には開口部が設けられていて、前記壁40の外部から前記化粧板72の開口部を通じて、前記配電盤の有線通信用コンセント、電源用コンセント、電源用スイッチ、電源用ブレーカー等を操作することができ、前記配電盤の通電表示灯、情報表示装置等を視認することができる。
実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100が火災等の熱にさらされると、前記第一の熱膨張性耐火シート20により生成した膨張残渣が前記アウトレットボックス1の内部を閉塞する。また前記第二の熱膨張性耐火シート30により生成した膨張残渣が、前記壁40の貫通孔43の内部ならびに前記壁40および前記アウトレットボックス1の隙間44を閉塞する。
この様に、前記第一の熱膨張性耐火シート20および前記第二の熱膨張性耐火シート30のそれぞれにより生成した膨張残渣により、前記壁40の貫通孔43、前記アウトレットボックス1の内部、前記アウトレットボックス1と前記壁40との隙間44等を通じて火災等の炎、煙等が拡散することを防止することができる。
また実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100は耐熱パテ等のシール剤を使用する必要がなく、簡単に施工することができる。
実施例2に係るアウトレットボックスの防火措置構造110は、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100の変形例である。
図12の場合は、説明の便宜上、前記第一の熱膨張性耐火シート20、前記鍔板6、前記壁40および前記第二の熱膨張性耐火シート30のみが実線により記載されていて、前記第二の熱膨張性耐火シート30により覆われる前記鍔板6の一部および前記壁40の裏側の空間90が破線により記載されている。
前記壁40に設けられた貫通孔43が大きい場合には、前記アウトレットボックス1の鍔板6と壁40との間に隙間が生じやすい。
しかし実施例2に係るアウトレットボックスの防火措置構造110の場合も、前記壁40に形成された貫通孔43の内周42に前記第二の熱膨張性耐火シート30が設置されている。このため、実施例2に係るアウトレットボックスの防火措置構造110が火災等の熱にさらされた場合には、前記第二の熱膨張性耐火シート30により生成した膨張残渣が、前記壁40の貫通孔43の内部ならびに前記壁40および前記アウトレットボックス1の隙間を閉塞する。これにより、実施例2に係るアウトレットボックスの防火措置構造110は防火性に優れる。
また実施例2に係るアウトレットボックスの防火措置構造100は耐熱パテ等のシール剤を使用する必要がなく、簡単に施工することができる。
実施例3に係るアウトレットボックスの防火措置構造120は、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100の変形例である。
図13の場合は、説明の便宜上、前記第一の熱膨張性耐火シート20の一部、前記第二の熱膨張性耐火シート30、前記鍔板6の一部および前記壁40のみが実線により記載されていて、前記第一の熱膨張性耐火シート20の一部および前記鍔板6の一部が破線により記載されている。
しかし実施例3に係るアウトレットボックスの防火措置構造120の場合も、前記アウトレットボックス1の内部に前記第一の熱膨張性耐火シート20が設置されている。このため前記第一の熱膨張性耐火シート20の膨張倍率と厚みを調節することにより、実施例3に係るアウトレットボックスの防火措置構造120が火災等の熱にさらされた場合でも、前記第一の熱膨張性耐火シート20により生成した膨張残渣が、前記壁40および前記アウトレットボックス1の隙間を閉塞する。これにより、実施例3に係るアウトレットボックスの防火措置構造120は防火性に優れる。
また実施例3に係るアウトレットボックスの防火措置構造100は耐熱パテ等のシール剤を使用する必要がなく、簡単に施工することができる。
実施例4に係るアウトレットボックスの防火措置構造130は、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100の変形例である。
実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100に使用されるアウトレットボックス1は、壁40の内部に設置されている。このため前記アウトレットボックス1が火災等の炎により直接加熱されず、前記壁40の貫通孔43側から前記アウトレットボックス1の開口部14に向けて火災等の炎が浸入してくる場合がある。
前記アウトレットボックス1が直接火災等の炎にさらされない場合には、前記アウトレットボックス1内に設置された第一の熱膨張性耐火シート20が膨張する前に、火災等による炎、煙等が前記アウトレットボックス1内を通過することが考えられる。
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)の熱膨張開始温度は、80℃を超えて150℃以下の範囲であることが好ましく、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)の熱膨張開始温度は、150℃を超えて250℃以下の範囲であることが好ましい。
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)は、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)よりも低い温度から膨張を開始する。
前記アウトレットボックス1の内部で、前記壁40の垂直方向を基準として、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)を前記アウトレットボックス1の開口部14側に配置し、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)を前記アウトレットボックス1の背面板5側に配置することにより、火災の初期段階の比較的低い温度でも前記アウトレットボックス1の内部を閉塞させることができる。
実施例5に係るアウトレットボックスの防火措置構造140は、実施例4に係るアウトレットボックスの防火措置構造130の変形例である。
実施例4の場合は、前記第一の熱膨張性耐火シート20として二以上の熱膨張性耐火シート20b1、20b2が組み合わせて使用された。これに対し、実施例4の場合は、前記第一の熱膨張性耐火シート20として、図3(c)に例示されるように、熱膨張性耐火シート20cの厚み方向に、樹脂組成物の成分がそれぞれ異なる熱膨張耐火層20c1および20c2が積層されてなる点が異なる。
前記熱膨張耐火層20c1は実施例4における熱膨張性耐火シート20b1に対応し、前記熱膨張耐火層20c2は熱膨張性耐火シート20b2に対応する。
本発明に使用する前記第一の熱膨張性耐火シート20として、異なる熱膨張開始温度を有する熱膨張耐火層を複数含むものを使用することもできる。
実施例6に係るアウトレットボックスの防火措置構造150は、実施例1に係るアウトレットボックスの防火措置構造100の変形例である。
前記アウトレットボックス1と前記壁40との隙間44は、1〜50mmの範囲であることが好ましく、5〜40mmの範囲であることがより好ましく、10〜30mmの範囲であればさらに好ましい。
実施例6に係るアウトレットボックスの防火措置構造150の場合は、前記第二の熱膨張性耐火シート30を連結部材62が支持している。このため前記第二の熱膨張性耐火シート30は前記壁40に形成された貫通孔43の内周に固定されている。
実施例6に係るアウトレットボックスの防火措置構造150が火災等の熱にさらされた場合には前記第二の熱膨張性耐火シート30が膨張する。
この通り前記アウトレットボックス1と前記壁40とが離れていても、前記第二の熱膨張性耐火シート30が前記隙間44を埋めることができる。
1a アウトレットボックス本体
2 上側面板
3 横側面板
4 下側面板
5 背面板
6 鍔板
7 螺子
8 挿通孔
9 不燃材
10 アウトレットボックス本体の開口部
11 端面
12、13 螺子孔
14 アウトレットボックス1の開口部
15 アウトレットボックスの断面形状
20 第一の熱膨張性耐火シート
20a、20b1、20b2、81 熱膨張性耐火シート
20c1、20c2 熱膨張性耐火層
21 延焼防止部
30 第二の熱膨張性耐火シート
31 切り込み
40、41 壁
41a 強化石膏ボード
42 貫通孔の内周
43 貫通孔
44 隙間
50 電線ケーブル類
51 電力線用ケーブル
52 可撓電線管
60 筒状固定具
61 筒状固定受具
62 連結部材
70 配電盤
71 支持枠体
72 化粧板
73 保持枠
74 配線端末
80 耐熱パテ
90 壁内部の空間
100、110、120、130、140、150 アウトレットボックスの防火措置構造
一点破線a−a アウトレットボックスの切断面
L アウトレットボックス内部の奥行きの長さ
Claims (12)
- 貫通孔を有する壁に対して、前記貫通孔を覆う様に設置されたアウトレットボックスの構造であって、
前記アウトレットボックスが、背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有し、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて壁に設置され、
前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間があり、
電線ケーブル類が、前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔を挿通し、
第一の熱膨張性耐火シートが、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入され、
第二の熱膨張性耐火シートが、前記壁の貫通孔の内周に設置されていることを特徴とする、アウトレットボックスの防火措置構造。 - 前記アウトレットボックスが、アウトレットボックス本体と開口部を有する鍔板とを着脱自在に組み合わせてなり、
前記開口部を有する鍔板が、前記アウトレットボックス本体の開口部側に設置され、
支持枠体が、前記アウトレットボックスが設置された側とは反対側の壁の貫通孔外部に設置され、
連結部材が、前記壁の貫通孔を挿通し、前記開口部を有する鍔板と前記支持枠体とを着脱自在に連結し、
前記第二の熱膨張性耐火シートの端部が、前記鍔板の開口部に達している、請求項1に記載のアウトレットボックスの防火措置構造。 - 前記連結部材が、前記第二の熱膨張性耐火シートを支持している、請求項2に記載のアウトレットボックスの防火措置構造。
- 前記第一の熱膨張性耐火シートが、二以上の熱膨張性耐火シートからなり、
前記二以上の熱膨張性耐火シートが、前記二以上の熱膨張性耐火シートの側面を互いに対向させて、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入されている、請求項1〜3のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造。 - 前記第一の熱膨張性耐火シートが、二以上の熱膨張性耐火シートからなり、
前記二以上の熱膨張性耐火シートが、低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)と、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)とを含み、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)よりも低い温度で膨張を開始し、
前記アウトレットボックスの背面板に対する垂直方向を基準として、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)および前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)が、(A)、(B)の順に配置され、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記アウトレットボックス内部の背面板側と反対側に配置され、
前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)が、前記アウトレットボックス内部の背面板側に配置されている、請求項1〜4のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造。 - 前記第一の熱膨張性耐火シートが、低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(a)および高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(b)を少なくとも積層してなり、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(a)が、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)に対応し、
前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火層(b)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)に対応する、請求項5に記載のアウトレットボックスの防火措置構造。 - 前記電線ケーブル類が、端部に筒状固定具が設置された可撓電線管の内部を挿通し、
筒状固定受具が、前記アウトレットボックスの挿通孔に設置され、
前記可撓電線管の端部に設置された筒状固定具が、前記アウトレットボックスの挿通孔に設置された筒状固定受具にはめ合わされ、
配電盤が、前記支持枠体に設置され、
前記可撓電線管の内部を挿通する前記電線ケーブル類が、前記アウトレットボックス内部に導入されて、前記配電盤に接続され、
前記配電盤が、有線通信用コンセント、電源用コンセント、電源用スイッチ、電源用ブレーカー、通電表示灯および情報表示装置からなる群より選ばれる少なくとも一つを備え、
前記配電盤および前記支持枠体が、化粧板により前記壁の外部から覆われ、前記化粧板の開口部を通じて、前記配電盤の電源用コンセント、電源用スイッチおよび電源用ブレーカーを操作でき、前記配電盤の通電表示灯および情報表示装置を視認できる、請求項2に記載のアウトレットボックスの防火措置構造。 - 背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有するアウトレットボックスを、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて、壁に設置する工程(1)と、
前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔に、電線ケーブルを挿通させる工程(2)と、
前記壁の垂直方向を基準として、前記壁の貫通孔の一部または全部と、前記アウトレットボックスの開口部の一部または全部とが互いに重なる位置に、前記壁に貫通孔を設ける工程(3)と、
第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入する工程(4)と、
第二の熱膨張性耐火シートを、前記壁の貫通孔の内周に設置する工程(5)と、
を少なくとも有するアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法であって、
前記工程(1)を実施する際に、前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間が設置され、
前記工程(1)の実施後に、前記工程(4)および前記工程(5)が順不同に実施されることを特徴とする、アウトレットボックスの防火措置構造の施工方法。 - 支持枠体を、前記アウトレットボックスが設置された側とは反対側の壁の貫通孔外部に設置する工程(6)と、
アウトレットボックス本体と開口部を有する鍔板とを着脱自在に組み合わせてなるアウトレットボックスに設置された前記開口部を有する鍔板と、
前記支持枠体と、を、
前記壁の貫通孔を挿通させた連結部材により、着脱自在に連結する工程(7)と、
を有し、
前記工程(5)の第二の熱膨張性耐火シートを前記壁の貫通孔の内周に設置する際に、前記第二の熱膨張性耐火シートの端部が、前記鍔板の開口部に達して設置される、請求項8に記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法。 - 前記工程(4)が、二以上の熱膨張性耐火シートからなる第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、
前記二以上の熱膨張性耐火シートの側面を互いに対向させる工程である、請求項8または9に記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法。 - 前記工程(4)が、高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)を前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、次に低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)を前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入することにより、前記アウトレットボックスの背面板に対する垂直方向を基準として(A)、(B)の順に、前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)を前記アウトレットボックス内部の背面板側と反対側に配置し、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)を、前記アウトレットボックス内部の背面板側に配置する工程であり、
前記低熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(A)が、前記高熱膨張開始温度の熱膨張性耐火シート(B)よりも低い温度で膨張を開始する、請求項8〜10のいずれかに記載のアウトレットボックスの防火措置構造の施工方法。 - 貫通孔を有する壁に対して、前記貫通孔を覆う様に設置されたアウトレットボックスの構造であって、
前記アウトレットボックスが、背面板および前記背面板の外周に接合された側面板により囲まれた空間を有し、前記アウトレットボックスの開口部側を壁側に向けて壁に設置され、
前記壁と前記アウトレットボックスとの間に隙間があり、
電線ケーブル類が、前記アウトレットボックスの側面板に形成された挿通孔を挿通したアウトレットボックスの構造に対し、
第一の熱膨張性耐火シートを、前記アウトレットボックス内部の背面板側に挿入し、
第二の熱膨張性耐火シートを、前記壁の貫通孔の内周に設置することを特徴とする、アウトレットボックスの構造に対する防火補強方法。
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