JP5588186B2 - 耐火処理具及び耐火処理構造 - Google Patents
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Description
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の耐火処理具において、前記熱膨張性耐火材は、前記基板の一面の全面に亘って設けられていることを要旨とする。
図1に示すように、防火区画体としての壁Wは、図示しない複数の形鋼材を挟むように一対の壁材Waを立設することによって形成された中空壁である。形鋼材の側面には配線ボックスBが固設されるとともに、この配線ボックスBは一対の壁材Waの間に配設されている。配線ボックスBの上面には接続具Sを介して3本の電線管Dの一端が接続されるとともに、各電線管D内にはケーブル(図示せず)が挿通されている。なお、3本の電線管Dは、配線ボックスB上面の中央に接続された電線管Dが残りの2本の電線管Dより太くなっている。また、一方(図1では左方)の壁材Waには横長四角形状の貫通孔Wbが壁材Waを厚み方向に貫通するように形成されている。そして、図4に示すように、3本の電線管Dは、貫通孔Wbの長辺方向(横方向)へ並んだ状態で貫通孔Wbから壁Wの表側へ引き出されている。よって、本実施形態では、電線管Dが配線・配管材となっている。
まず、図4に示すように、貫通孔Wbから3本の電線管Dが引き出された状態において、貫通孔Wbの両長辺の延長線に沿って直線状に延びる第1罫書線21aと、貫通孔Wbの両短辺の延長線に沿って直線状に延びる第2罫書線21bを壁材Waに記入する。次に、剥離紙18を第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19から剥離し、耐火処理具11を第1基板形成部材13及び第1熱膨張性耐火シート15と、第2基板形成部材14及び第2熱膨張性耐火シート19とに分割する。また、閉鎖板16aを基板12から除去するとともに、その閉鎖板16a裏面に貼着された第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19の一部を基板12から除去する。
(1)耐火処理具11の基板12には複数の挿通孔16が互いに離間して形成されるとともに、基板12の裏面において各挿通孔16を取り囲む位置には第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19の一部によって熱膨張性耐火材が配設されている。また、基板12は、貫通孔Wbを閉鎖可能な大きさに形成されている。そして、耐火処理具11を壁Wに固定するだけで基板12により貫通孔Wbを閉鎖することができるとともに、各電線管Dを熱膨張性耐火材で取り囲むことができる。したがって、例えば、複数本のケーブルが束になって貫通部形成体内で密集している背景技術のように、熱膨張性耐火材で束全体を外側から圧縮させてケーブルの周りに熱膨張性耐火材を設ける必要がない。その結果として、本実施形態では、各電線管Dの周りに個別に熱膨張性耐火材を設ければよく、多量の熱膨張性耐火材を必要としなくて済む。また、電線管D同士の間に熱膨張性耐火材を充填する必要もないため、耐火処理構造を簡単に形成することができる。
○ 図9に示すように、挿通孔16の孔径より電線管Dの外径が小さかったり、電線管Dが波付管であったりして、挿通孔16と電線管Dとの間に隙間Kが形成される場合には、その隙間Kを塞ぐべく、基板12の表面(他面)側に耐火性を有する隙間閉塞部材30を、電線管Dを取り囲むように設けてもよい。隙間閉塞部材30は、粘性があり、自身で形状を維持可能な性質を有し、さらに、接着性があるものが好ましく、熱発泡性があるとより好ましい。このように構成した場合、火災等が壁Wの表側で発生した場合、隙間閉塞部材30が隙間Kを閉鎖しているため、隙間Kが火炎、煙等の通路になることが防止される。そして、基板12の表側に隙間閉塞部材30が設けられ、裏側に第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19が設けられることにより、隙間閉塞部材30は隙間Kを塞ぐ機能を担い、第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19は貫通孔Wbを塞ぐ機能を担う。よって、基板12の表側と裏側で別の材料を用いることができる。なお、隙間閉塞部材30は、粘性が低くてもよく、アルミ箔等の金属シートで隙間Kを閉鎖し、落下しないように設ければよい。
○ 熱膨張性耐火材として、パテ状のものを基板12の裏面における挿通孔16を取り囲む位置のみに塗布して基板12と熱膨張性耐火材を一体化してもよい。
○ 挿通孔16の閉鎖板16aを削除するとともに、挿通孔16を第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19によって閉鎖してもよく、この場合、挿通孔16に対向する位置にある第1及び第2熱膨張性耐火シート15,19が閉鎖部材となる。
○ 実施形態では、基板12は第1基板形成部材13と第2基板形成部材14を剥離紙18で一体化して形成したが、基板12を一枚の金属板で形成してもよい。
○ 三つの挿通孔16は、1つ又は2つが閉鎖板16aにより閉鎖されていてもよい。
○ 挿通孔16に挿通されるのは、配線としてのケーブルや配管材としてのダクト等であってもよい。
○ 防火区画体として、コンクリート壁のような中実壁や床、天井の貫通孔に耐火処理具11を用いて耐火処理構造を設けてもよい。
(イ)前記基板の上端縁からは前記熱膨張性耐火材がはみ出している請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の耐火処理具。
Claims (8)
- 配線・配管材を防火区画体の表側へ引き出すために前記防火区画体に形成された貫通孔に耐火処理を施すために用いられる耐火処理具であって、
前記貫通孔の全体を閉鎖する大きさに形成される不燃材製の基板を備え、該基板に複数の配線・配管材を挿通させる挿通孔が互いに離間して形成され、
前記基板の前記防火区画体側となる一面に熱膨張性耐火材が一体に設けられるとともに、火災発生時に前記熱膨張性耐火材を前記貫通孔内及び前記配線・配管材の中心軸に向けて熱膨張させ、該膨張した熱膨張性耐火材で前記貫通孔を閉鎖するべく、該熱膨張性耐火材が前記貫通孔内を臨むように少なくとも前記貫通孔の開口縁の内側で各挿通孔をそれぞれ取り囲み、且つ各挿通孔同士の間の位置に設けられている耐火処理具。 - 前記挿通孔の少なくとも一つが開放可能に閉鎖部材により閉鎖されている請求項1に記載の耐火処理具。
- 前記熱膨張性耐火材は、前記基板の一面の全面に亘って設けられている請求項1又は請求項2に記載の耐火処理具。
- 前記熱膨張性耐火材は、シート状に成形されるとともに粘着性を有し、前記基板の一面に貼着されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の耐火処理具。
- 配線・配管材を防火区画体の表側へ引き出すために前記防火区画体に形成された貫通孔に設けられる耐火処理構造であって、
前記防火区画体には耐火処理具が固定されるとともに、該耐火処理具が備える不燃材製の基板により前記貫通孔全体が閉鎖され、
前記基板に形成された複数の挿通孔には前記配線・配管材が互いに離間した状態で挿通されるとともに該挿通孔から前記防火区画体の表側へ配線・配管材が引き出され、
前記基板の前記防火区画体側となる一面に熱膨張性耐火材が一体に設けられるとともに、火災発生時に前記熱膨張性耐火材を前記貫通孔内及び前記配線・配管材の中心軸に向けて熱膨張させ、該膨張した熱膨張性耐火材で前記貫通孔を閉鎖するべく、該熱膨張性耐火材が前記貫通孔内を臨むように少なくとも前記貫通孔の開口縁の内側で各挿通孔をそれぞれ取り囲み、且つ各挿通孔同士の間の位置に設けられている耐火処理構造。 - 前記熱膨張性耐火材が、前記貫通孔を取り囲むように前記貫通孔の開口縁を越える位置まで延びている請求項5に記載の耐火処理構造。
- 前記基板は前記防火区画体に固定部材により固定されるとともに、該固定部材は前記熱膨張性耐火材によって取り囲まれ、さらに、前記熱膨張性耐火材が前記基板により前記防火区画体の表面に向けて押圧されている請求項6に記載の耐火処理構造。
- 前記挿通孔と前記配線・配管材との間の隙間を塞ぐべく、前記基板の他面側には耐火性を有する隙間閉塞部材が前記配線・配管材を取り囲むように設けられている請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の耐火処理構造。
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