JP3898531B2 - 高耐久耐火性樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材等の耐火被覆材及び目地、通気部等の建築物に存在する隙間部分充填材などに用いることができる高耐久耐火性樹脂シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、製品を製造した後、保管、流通又は使用の過程において、長時間にわたり紫外線に曝されても劣化しない高耐久耐火性樹脂シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集合住宅や戸建住宅等において、建築物の構造材をなす梁、柱等として軽量な鉄骨が用いられるようになっている。このような建築物の構造材として用いられる鉄骨には、建設省告示第2999号やJIS A 1304により耐火性能基準が定められており、その基準を満たすために、鉄骨の表面を耐火性に優れた材料(耐火被覆材)で被覆する方法が一般的に実施されている。
【0003】
また、鉄骨に耐火性を付与するための被覆材料として、特開平6−32664号公報には、水ガラスや水硬性セメントにバーミキュライト、ロックウール等の無機成分を混合したものが開示されている。しかしながら、このような被覆材料は、施工時に現場で鉄骨に対して塗布又は吹き付ける必要があるため、施工性が悪いという問題があった。また、形成される耐火被覆層の厚さにムラが生じ易く、ムラが生じた場合は十分な耐火性を発揮することができなかった。また、形成される耐火被覆層にひび割れが発生して耐火性が低下する場合があった。さらに、上記被覆材料を湿式工法又は半乾式工法により吹き付けた場合は、硬化するまでに長時間を要するため、作業効率が悪かった。
【0004】
このため、乾式工法としてケイ酸カルシウム板や石膏ボードなどの無機質ボード等を配置する方法が提案されているが、耐火性能を発現するためには厚みが厚くなるため、重量や施工性の点で十分な材料とはいえなかった。また、無機質ボード等の端部の突き合わせた部分で隙間が生じるため、隙間を他の材料で埋める必要があり、施工に余分の手間がかかるという問題があった。
【0005】
上記の問題を解決するため、本出願人は、先に、特願平10−534093号(再公表特許WO−98/31730公報)で、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質及び/又はエポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材を含有する樹脂組成物からなる耐火性樹脂シートを提案した。
【0006】
上記の耐火性樹脂シートは、耐火被覆の厚みを従来に比較して大幅に薄くすることで設計上の取り合いが容易になり、かつ室内空間を広くすることができ、施工が簡易で、火災時に熱によって膨張し断熱層を形成し、熱の伝達を阻止し、熱容量が大きいので熱を吸収し、膨張断熱層の形状保持性に優れており、優れた耐火性断熱性を発揮するので、鉄骨の被覆材、複合壁材、天井、床、間仕切り壁等の裏打ち材などとして好適なものである。
さらに、上記耐火性樹脂シートは、建築物の目地や通気部等の防火上欠損部分となりうる隙間に充填することで、火災時に隙間を閉塞することにより、その防火性能を向上させるものとして好適なものである。
【0007】
このような熱膨張性耐火樹脂シートは、バインダーとして樹脂やゴムを使用しているために屋外など紫外線が当たる部分では、樹脂やゴムの劣化が生じてしまうため耐久性に問題が生じる可能性があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、製品を製造した後、保管、流通又は使用の過程において、長時間にわたり紫外線に曝されても劣化しない高耐久耐火性樹脂シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、特定の熱膨張性耐火材層の両面に紫外線防止層を積層させ、一体化させた樹脂シートは、長時間にわたり、紫外線に曝されても劣化しないことを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱膨張性耐火材層の両方の面に、片面に粘着剤層を有するアルミテープからなる紫外線防止層を積層してなる樹脂シートであって、前記樹脂シートは、前記熱膨張性耐火材層の一方の面に、アルミテープを、その粘着剤層面側を当接して積層貼付していると共に、他方の面に、他のアルミテープを、その粘着剤層面側を前記熱膨張性耐火材層の外側に向けて積層しており、前記アルミテープ相互が前記熱膨張性耐火材層を上下から挟み込むようにして前記粘着材層により貼り合わされていることを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートが提供される。
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記熱膨張性耐火材層が、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物からなり、かつ、50kW/m 2 の加熱条件下で30分間加熱すると、1.1〜100倍の体積膨張倍率を示すことを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートが提供される。
【0012】
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、上記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質及び/又はエポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材を含有することを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートが提供される。
【0013】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、上記熱膨張性無機物が、中和処理された熱膨張性黒鉛であることを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートが提供される。
【0014】
さらに、本発明の第5の発明によれば、第3の発明において、上記無機充填材が、無機リン化合物、金属炭酸塩又は含水無機物から選ばれる1種以上の充填材であることを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートが提供される。
【0015】
さらにまた、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、上記熱膨張性耐火材層の片面に、アルミテープ(a)の接着面を貼付し、もう一方の面にアルミテープ(b)の非接着面を熱膨張性耐火材層側に向けて積層した後、アルミテープ(a)の接着力により両側のアルミテープをその端部で貼り合わせることを特徴とする高耐久耐火性樹脂シートの製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高耐久耐火性樹脂シート及びその製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0019】
1.高耐久耐火性樹脂シート
本発明の高耐久耐火性樹脂シートは熱膨張性耐火材層(熱膨張性耐火材層用シートと呼ぶこともある)の表面に紫外線防止層(紫外線防止層用シートと呼ぶこともある)が積層されていることを特徴とし、具体例としては、図1及び図2に示した構造のものが挙げられるが、これらに限定されない。
図1(A)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されている。図1(B)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられている。図1(C)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられている。
【0020】
図1(D)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、下側紫外線防止層との間は熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されており、さらにその外側に粘着剤層が設けられている。
図1(E)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層との間は、熱膨張性耐火材の粘着力により接着されている。さらにその両方の外側に粘着剤層が設けられている。
【0021】
図1の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、高耐久耐火性樹脂シートの長手方向の両端は開放になっている。このタイプの利点は、紫外線防止層を取り除き使用する場合は、両端を切断する手間が省け、また材料費及び製作費が安くなりトータルコストは低減できることである。
但し、高耐久耐火性樹脂シートの長手方向の両端は開放になっているので、長時間紫外線に曝し、両端部分の劣化が問題となる用途や、両端部分に塵や埃が付着し問題となる用途の場合は、後述する高耐久耐火性樹脂シートの長手方向の両端が閉鎖されている図2の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)のタイプの高耐久耐火性樹脂シートを使用した方がよい。
また、図1の(D)及び(E)のタイプは、高耐久耐火性樹脂シートの片面又は両面に接着剤層を有するので、鉄骨、鉄板、アルミ板、ステンレス板、コンクリート壁材、発泡コンクリート板、木材、セラミック板等と張合わせ複合材を製造する場合に便利である。
【0022】
図2の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)のタイプの高耐久耐火性樹脂シートは、図1の(A)、(B)(C)、(D)及び(E)のタイプの高耐久耐火性樹脂シートにおいて、高耐久耐火性樹脂シートの長手方向の両端が閉鎖されているので、長時間紫外線に曝しても、両端部分は劣化することはなく、両端部分に塵や埃が付着することもないので、両端部分の劣化や塵埃が問題となる用途の場合は、このタイプを使用した方がよい。
【0023】
図2の(A)、(B)及び(C)は両端部が熱融着して閉鎖された構成例で、(D)、(E)及び(F)は両端部が接着剤で閉鎖された構成例である。
なお、本発明の高耐久耐火性樹脂シートの幅及び長さは、任意に選択でき、長尺ロール状としたり、長方形又は正方形としてもよい。長方形又は正方形とした場合は、それらを、複数枚、例えば10枚重ねて全体を紫外線防止性包装資材(クラフト紙、遮光性フィルム等)で梱包してもよい。
【0024】
2.熱膨張性耐火材層
本発明の高耐久耐火性樹脂シートの熱膨張性耐火材層は、火災時に膨張して耐火断熱層を形成することにより炎や熱を遮断する働きをするもので、50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱することによる体積膨張倍率が1.1〜100倍であれば特に限定されない。熱膨張性耐火層の体積膨張率が1.1倍未満であると断熱性能が不充分であり、100倍を超えると耐火断熱層の崩壊を招く。
【0025】
上記熱膨張性耐火材としては、例えば、積水化学社製「フィブロック」(ブチルゴムと熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなる自己粘着性シート材料:体積膨張率5〜40倍)、住友3M社製「ファイアバリア FS−195AA」(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料:体積膨張率4倍)、三井金属塗料社製「メジヒカット シート状」(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料:体積膨張率6倍)等の市販品が使用可能である。特に積水化学社製の「フィブロック」はそれ自身粘着力を有しているために紫外線防止材層の積層が容易となるので好ましい。熱膨張性耐火材層の厚みは、特に限定されないが、1〜20mm、好ましくは3〜10mmである。1mm未満では耐火性能が不十分であり、20mmを超えると材料費用に対する耐火性能が減少し望ましくない。
【0026】
3.熱膨張性無機化合物
上記熱膨張性無機化合物としては、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト、ホウ砂等が挙げられるが、これらの中で、中和処理された熱膨張性黒鉛が好ましい。
上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0027】
上述のように酸処理された熱膨張性黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0028】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、200メッシュより大きく、20メッシュより小さいものが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、後述の樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。上記樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛は、加熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する。
【0029】
4.樹脂組成物
上記樹脂組成物は熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質及び/又はエポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材を含有するのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ブチルゴム、ポリブテン、水素漆加石油樹脂、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ニトリルゴム等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質のなかでも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
【0030】
これらの樹脂は、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、上記無機充填剤を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重合体及びこれらの(共)重合体の混合物の他、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0031】
上記エチレンを主成分とする共重合体としては例えば、エチレン部を主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられ、上記α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。
上記エチレン単独重合体、及び、上記エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙げられるが、なかでも、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0032】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いても良い。
【0033】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質には、更に、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際同時に架橋や変性してもよい。また、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム物質について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。
【0034】
また、上記樹脂組成物で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。上記エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが例示される。
【0035】
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが挙げられる。
上記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが挙げられる。
これらのエポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。
重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、三級アミン、イミダゾール類、ルイス酸、ルイス塩基等が例示される。
上記エポキシ樹脂には他の樹脂が添加されてもよい。他の樹脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現されなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対して500重量部以下が好ましい。
上記エポキシ樹脂には、可撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有するシートの成形が可能となり、耐火性能が要求される様々な部位に適応可能となる。
上記エポキシ樹脂には、可撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有するシートの成形が可能となり、耐火性能が要求される様々な部位に適応可能となる。
上記樹脂組成物において、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填材の配合量は、樹脂成分100重量部に対して合計量で50〜900重量部が好ましい。
【0037】
5.無機充填材
本発明で用いる無機充填材としては、特に限定されず、例えば、赤リン、リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム類(ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等)等の無機リン化合物;アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0038】
無機リン化合物は樹脂成分の炭化を促進するだけでなく加熱後の残渣をまとめるバインダーとして機能するため好ましい。難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0039】
金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好ましい。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、上述の無機リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、無機リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0040】
無機充填材の粒径としては、0.5〜100μmのものが使用できる。
無機充填材は、添加量が少ないときは、分散性か性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。無機充填材の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。より好ましくは、約1〜50μmである。
また、粒径の大きい無機充填材と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0041】
無機充填材の具体的な市販品の例としては、例えば、ポリリン酸アンモニウムである「EXOLIT AP422」及び「EXOLIT AP423」(クラリアント社製)、「スミセーフP」(住友化学社製)等、水酸化アルミニウムである粒径1μmの「ハイジライト H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジライト H−31」(昭和電工社製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられる。
上記無機充填材は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0042】
また、粒径の大きい無機充填材と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火材層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
上記無機充填材の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。
無機充填材は、熱膨張性黒鉛が加熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する際に、熱容量の増大により寄与する。
【0043】
なお、無機充填材の表面は、分散性や流動性を向上するために、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アマイド、高級アルコール、硬化油、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤等から選ばれた1種以上0.5〜5重量%で表面被覆してもよい。
具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸;これら高級脂肪酸のナトリウム塩、カルシウム塩マグネシウム塩;これらの高級脂肪酸のメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル;これらの高級脂肪酸のアマイド;オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール;牛脂硬化油;イソプロピル−トリ(ジオクチルホスフェート)チタネート;ビニルトリエトキシシラン、エポキシシラン、アミノシラン等を例示することができる。表面処理法としては、湿式法又は乾式法のいずれも用いることができる。
【0044】
5.その他の添加剤
本発明においては、上記樹脂組成物に、上記樹脂組成物の物性を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよい。
上記添加剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
6.樹脂組成物の製造方法
上記樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール、らいかい機、遊星式撹拌機等公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。
【0046】
7.熱膨張性耐火材層の成形方法
得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法によりシート状等の熱膨張性耐火材層に成形することができる。
【0047】
8.紫外線防止層
上記紫外線防止層としては、例えば、アルミニウム箔に代表される金属箔;二酸化チタンに代表される既存の紫外線反射剤;ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシン桂皮酸誘導体に代表される紫外線吸収剤;カーボンブラックに代表される紫外線遮断剤等を含有する樹脂シート等が挙げられるが、長期間の耐久性の観点からはアルミニウム箔に代表される金属箔が好ましい。
【0048】
樹脂シートの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−ペンテン−1、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート等を用い、熱融着を重視する場合は積層シートとし、熱融着層の材料として、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メタロセン触媒によるポリエチレン等の80〜105℃の融点のポリエチレンを使用することが好ましい。
【0049】
樹脂シートの厚さは用途、使用期間によって異なるが0.05〜2mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。
樹脂シートには、その片面又は両面に接着剤層を設けてもよい。
接着剤層の材料としては、アクリル系、ポリウレタン系、エポキシ系、酢酸ビニル系、ゴム系等の接着剤を用いるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
紫外線反射剤としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられる。これらは、紫外線防御能を高めるために微粒子化、シリコン、ジルコニア・アルミナ等による表面処理や複合化処理を施したものを用いることが好ましい。
ベンゾフェノン誘導体としては、2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
【0051】
パラアミノ安息香酸誘導体としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
パラメトキシン桂皮酸誘導体としては、パラメトキシン桂皮酸イソプロピル、パラメトキシン桂皮酸エチル、パラメトキシン桂皮酸カリウム、パラメトキシン桂皮酸ナトリウム、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸2−エトキシエチル等が挙げられる。
【0052】
これらの紫外線防止層には、必要に応じて、その片面又は両面に接着剤層、熱融着フィルム層等の接着層が積層されているものを用いることができる。
【0053】
9.高耐久耐火性樹脂シートの製造方法
本発明の高耐久耐火性樹脂シートの製造方法としては特に限定されないが、生産性よく、各種のタイプの製品が製造できるので、図3の製造装置の使用が好ましい。図3の製造装置を使用して本発明の高耐久耐火性樹脂シートを製造する方法について下記に更に詳細に説明する。
【0054】
まず、図1(A)は両端が開放された高耐久耐火性樹脂シートの製造方法について図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5のロール巻き及び下側の紫外線防止層用シート6のロール巻きから引き出された2枚の紫外線防止層用シートで、熱膨張性耐火材層用シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通して圧着し、製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。但し、熱膨張性耐火材層用シートの幅1と紫外線防止層用シート5,6の幅は同じ長さである。
【0055】
次いで、図1(B)は両端が開放された高耐久耐火性樹脂シートであり、かつ熱膨張性耐火材層用シートと上側紫外線防止層用シートとの間に接着剤層が設けられているものについて図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5は、その下層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有するロール巻きとなっており、ロール巻きから引き出されたものは、離型紙4を引き剥がし離型紙4を系外に放棄し、上下2枚の紫外線防止層用シート5,6で、耐火性樹脂シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通して圧着し、製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。但し、熱膨張性耐火材層用シート1の幅と紫外線防止層用シート5,6の幅は同じ長さである。
【0056】
さらに、図1(C)は両端が開放された高耐久耐火性樹脂シートであり、かつ熱膨張性耐火材層と上下の紫外線防止層との間に接着剤層が設けられているものについて図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5は、その下層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有するロール巻きとなっており、下側の紫外線防止層用シート6は、その上層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有するロール巻きとなっており、上下のロール巻きから引き出されたものは、それぞれ離型紙4を引き剥がし離型紙4を系外に放棄し、接着剤層13を有する紫外線防止層用シート5,6で、熱膨張性耐火材層用シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通して圧着し、製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。但し、熱膨張性耐火材層用シート1の幅と紫外線防止層用シート5,6の幅は同じ長さである。
【0057】
更に、図2(A)の両端が閉鎖された耐久耐火性樹脂シートの製造方法について図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5のロール巻き5及び下側の紫外線防止層用シート6のロール巻きから引き出された2枚の紫外線防止層用シート5,6(それぞれのシートの幅は、耐火性樹脂シートのロールから引き出されたシートの幅より約2mm以上広いことが好ましい)で、熱膨張性耐火材層用シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通し圧着し、2枚の紫外線防止層用シート5,6の端部を端部ラミ用ロール7で熱融着し、次いで製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。
【0058】
次いで、図2(B)は両端が閉鎖された耐久耐火性樹脂シートであり、かつ熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられているものについて図3に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5は、その下層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有するロール巻きとなっており、ロール巻きから引き出されたものは、離型紙4を引き剥がし離型紙4を系外に放棄し、上下2枚の紫外線防止層用シート5,6(それぞれのシートの幅は、耐火性樹脂シートのロール1から引き出されたシートの幅より約2mm以上広いことが好ましい)で、熱膨張性耐火材層用シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通し圧着し、2枚の紫外線防止層用シート5,6の端部を端部ラミ用ロール7で熱融着し、次いで製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。
【0059】
さらに、図2(C)は両端が閉鎖された耐久耐火性樹脂シートであり、熱膨張性耐火材層と上下の紫外線防止層との間にそれぞれ接着剤層が設けられているものについて図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側の紫外線防止層用シート5は、その下層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有しロール巻きとなっており、また下側の紫外線防止層用シートは、その上層として接着層及び剥離層(離型紙)を有しロール巻き6となっており、ロール巻き5及びロール巻き6から引き出されたものは、それぞれ離型紙4を引き剥がし離型紙4を系外に放棄し、上下2枚の接着層付き紫外線防止層用シート5,6(それぞれのシートの幅は、熱膨張性耐火材層用シート1のロールから引き出されたシートの幅より約2mm以上広いことが好ましい)で、熱膨張性耐火材層用シート1を上下から挟み込む様にして積層してガイドロール間を通し圧着し、製品引取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。
【0060】
さらに、図2(D)は熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、下側紫外線防止層との間は熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されているものについて図3の製造装置に基づき説明する。
熱膨張性耐火材層1のロール巻きからシートを引き出し、各ロール間を走行させる。上側紫外線防止層用シート5は、その下層として接着剤層13及び剥離層(離型紙)4を有するロール巻きとなっており、また下側紫外線防止層用シート6はロール巻きとなっており、ロール巻きから引き出されたものは、離型紙4を剥がし系外に放棄し、ロール巻きより引き出されたものはそのまま引き出されて、熱膨張性耐火材層用シート1の上下から挟み込むようにして積層して、端部ラミネート用ロール7で端部を圧着して上下紫外線防止層を接着する。さらに、製品引き取りロール9で左方向に送り、定尺プレスカッター10で切断して、長方形の高耐久耐火性樹脂シート12を得る。
【0061】
さらに上記紫外線防止層の具体例として片面に粘着剤層を有するアルミテープを用いた場合〔図2(F)〕について説明する。
熱膨張性耐火材層用シート1の片面にアルミテープaを粘着剤層13を介して貼付し、もう一方の面にアルミテープbをその粘着剤層13を熱膨張性耐火材層用シート1の外側に向けて積層した後、アルミテープaの粘着力により端部で両側のアルミテープa,bを貼り合わせて製造することができる。このようにして製造した高耐久耐火性樹脂シート12はアルミテープbの粘着剤層13が高耐久耐火性樹脂シート12の表面に位置するため高耐久耐火性樹脂シート12を他材料に仮留めする事が可能となり、非常に好ましい。
【0062】
さらにまた、紫外線防止層の具体例として紫外線反射剤配合樹脂シート、紫外線吸収剤配合樹脂シート又は紫外線遮断剤配合樹脂シートから選ばれたシートを用いる場合は、熱膨張性耐火材層用シートの両面に、紫外線反射剤配合樹脂シート、紫外線吸収剤配合樹脂シート又は紫外線遮断剤配合樹脂シートから選ばれたシートを積層した後、両方のシート端部で両側のシートを熱融着することにより製造することができる。この場合において、紫外線防止層シートに接着剤層を積層して設けてもよい。
【0063】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
・熱膨張性耐火材の調製
表1に示した成分からなる配合物をニーダーで加熱混練して得られた樹脂組成物を、カレンダー成形機にて2mm厚のシートに成形して熱膨張性耐火材(ハ)〜(ホ)を作製した。尚、熱膨張性耐火材(イ)として積水化学社製「フィブロック」、熱膨張性耐火材(ロ)として住友3M社製「ファイヤバリア」をそれぞれ使用した。
【0064】
【表1】
【0065】
(実施例1〜6、比較例6)
表2に示したように、上記熱膨張性耐火材(イ)〜(ホ)のいずれか1種の両面に、紫外線防止層用シート(アルミテープ使用)で挟み込むように貼付して、図1又図2の構成を有する高耐久耐火性樹脂シートを得た。
【0066】
(比較例1〜5)
表3に示したように、上記熱膨張性耐火材(イ)〜(ニ)のいずれか1種を、そのまま高耐久耐火性樹脂シートとして使用した。
【0067】
上記実施例及び比較例の高耐久耐火性樹脂シートについて、下記の性能評価を行いし、結果を表2及び3に記載した。
【0068】
▲1▼耐火性能
100mm×l00mm×厚2mmのサイズの高耐久耐火性樹脂シートサンプルを、内寸100mm×100mm×高さ30mmのステンレス製容器の底面に配置した後、ATLAS社製コーンカロリメーター「CONE2」を用いて50kW/m2の熱量を熱膨張性耐火層側に30分間照射して、耐火断熱層を形成した。得られた耐火断熱層の重量と厚みから、下式により重量残存率と膨張倍率を算出した。
重量残存率(%)=W/W0
ここで、Wは加熱後の重量、W0 は加熱前の重量をそれぞれ示す。
膨張倍率(倍)=t/t0
ここで、tは加熱後の厚み、t0 は膨張前の厚みをそれぞれ示す。
この結果、重量残存率が30%以上でかつ膨張倍率が1.1倍以上の場合、耐火性能を○とする。
【0069】
▲2▼耐久性能
100mm×100mm×厚2mmのサイズの高耐久耐火性樹脂シートサンプルを、サンシャインウェザオメータ(促進耐候試験機)で3000時間紫外線を照射した後シート弾力を評価した。この結果、紫外線照射前後で変化のないものを○とする。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
評価結果
表2及び3から明らかなように、サンシャインウェザオメータで3000時間紫外線を照射後、アルミテープ被覆のない比較例1〜5の樹脂シートは、シート弾性を失い脆く壊れ易いシートに劣化してしまったが、アルミテープ層の被覆のある実施例1〜8の樹脂シートは、シート弾性を失うことなく、初期の物性を維持しており、サンシャインウェザオメータで3000時間紫外線を照射したことは、屋外において日光による曝露年数に換算すると少なくとも20年に相当しており、耐紫外線性能が向上していることがわかる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の耐久耐火性樹脂シートは、約20年という長期間にわたり、屋外で使用しても劣化することなく耐久性能にすぐれているので、耐久耐火性樹脂シートの保管、流通時に劣化することなく、鉄骨、鉄板、アルミ板、ステンレス板、コンクリート壁材、発泡コンクリート板、木材、セラミック板等と貼り合わせた複合材とすることにより、様々な建材、構造材料、部品、部材等として屋外に露出する部分での使用が可能となり、耐久耐火性樹脂シートの適用範囲が大幅に拡大することができる。
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、両端が開放状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図1(B)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層シートとの間に接着剤層が設けられており、両端が開放状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図1(C)のものは、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層シートとの間に接着剤層が設けられており、両端が開放状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図1(D)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、下側紫外線防止層との間は熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されており、さらにその外側に粘着剤層が設けられており、両端が開放状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図1(E)のものは、熱膨張性耐火材層と両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層との間は、熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されている。さらにその両方の外側に粘着剤層が設けられており、両端が開放状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
【図2】図2(A)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、両端が熱融着等により閉鎖状態になっている耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図2(B)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層シートとの間に接着剤層が設けられており、両端が熱融着等により閉鎖状態になっている耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図2(C)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層シートとの間に接着剤層が設けられており、両端が熱融着等により閉鎖状態になっている高耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図2(D)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、下側紫外線防止層との間は熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されており、両端が上側の粘着剤層により閉鎖状態になっている耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図2(E)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と両側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、両端が両側の粘着剤層により閉鎖状態になっている耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
図2(F)は、熱膨張性耐火材層の両表面に紫外線防止層が積層されており、熱膨張性耐火材層と上側紫外線防止層との間に接着剤層が設けられており、下側紫外線防止層との間は熱膨張性耐火材料の粘着力により接着されており、さらにその外側に粘着剤層が設けられており、両端が上側の粘着剤層により閉鎖状態になっている耐久耐火性樹脂シートの模式断面図である。
【図3】本発明の高耐久耐火性樹脂シートの製造プロセスを示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱膨張性耐火材層用シート
2 フッ素樹脂ロール
3 離型紙剥離用ロール
4 離型紙
5 上側紫外線防止層用シート
6 下側紫外線防止層用シート
7 端部ラミ用ロール
8 巾スリッター
9 製品引取り用ロール
10 定尺プレスカッター
11 搬出コンベヤー
12 高耐久耐火性樹脂シート
13 接(粘)着剤層
a,b アルミテープ
Claims (6)
- 熱膨張性耐火材層の両方の面に、片面に粘着剤層を有するアルミテープからなる紫外線防止層を積層してなる樹脂シートであって、
前記樹脂シートは、
前記熱膨張性耐火材層の一方の面に、アルミテープを、その粘着剤層面側を当接して積層貼付していると共に、他方の面に、他のアルミテープを、その粘着剤層面側を前記熱膨張性耐火材層の外側に向けて積層しており、
前記アルミテープ相互が前記熱膨張性耐火材層を上下から挟み込むようにして前記粘着材層により貼り合わされていることを特徴とする高耐久耐火性樹脂シート。 - 上記熱膨張性耐火材層が、熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物からなり、かつ、50kW/m 2 の加熱条件下で30分間加熱すると、1.1〜100倍の体積膨張倍率を示すことを特徴とする請求項1に記載の高耐久耐火性樹脂シート。
- 上記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質及び/又はエポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、並びに、無機充填材を含有することを特徴とする請求項2に記載の高耐久耐火性樹脂シート。
- 上記熱膨張性無機物が、中和処理された熱膨張性黒鉛であることを特徴とする請求項3に記載の高耐久耐火性樹脂シート。
- 上記無機充填材が、無機リン化合物、金属炭酸塩又は含水無機物から選ばれる1種以上の充填材であることを特徴とする請求項3に記載の高耐久耐火性樹脂シート。
- 上記熱膨張性耐火材層の片面に、アルミテープ(a)の接着面を貼付し、もう一方の面にアルミテープ(b)の非接着面を熱膨張性耐火材層側に向けて積層した後、アルミテープ(a)の接着力により両側のアルミテープをその端部で貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載の高耐久耐火性樹脂シートの製造方法。
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