JP4157888B2 - 耐火性部材 - Google Patents
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外壁の接続部(目地部)に要求される防・耐火性能としては、裏面への炎の貫通がないこと、目地部が部材で覆われている場合は、その部材の温度が260℃以下となることが必要である。
また、ガスケットを取り付ける方法は、比較的簡単に施工ができるが、耐火性を有するガスケット自体が高価であるという問題点があった。
第1発明の耐火性部材は、緩衝性材料層の少なくとも一面に熱膨張性粘着剤層が積層された積層体からなり、第2発明の耐火性部材は、筒状緩衝性材料層の表面に熱膨張性粘着剤層が積層された積層体からなる。
上記樹脂発泡体としては、例えば、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体等のポリオレフィン系発泡体、ポリスチレン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、フェノール樹脂系発泡体、イソシアヌレート系発泡体等の独立気泡発泡体が好適に用いられる。発泡倍率は5〜100倍の範囲が好ましい。
上記ポリブテンの割合が、40重量%未満になると可塑化効果が不十分であるため、無機充填剤の均一混合が困難となり、60重量%を超えると他の樹脂成分の割合が少なくなるため、成形体の強度が不足する。
また、上記粘着付与剤の割合が、5重量%未満になると十分な粘着性が得られず、25重量%を超えると樹脂成分中の他の成分の割合が減少するため、成形体の強度が不足する。
上記重量平均分子量は、ASTM D2503に準拠して測定される値である。
無機充填剤の配合量が、50重量部未満になると燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱層が形成されず、可燃物の配合比率が増加するため難燃性が低下する。また、無機充填剤の配合量が、400重量部未満を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するため、粘着力が不足する。
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
上記含水無機物及び金属炭酸塩を併用は、燃焼残渣の強度向上や熱容量増大に大きく寄与すると考えられる。
また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張性粘着剤層の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
上記ポリリン酸アンモニウムの市販品としては、例えば、クラリアント社製「エキソリット422」、「エキソリット462」;住友化学工業社製「スミセーフP」;チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
また、上記熱膨張性粘着剤は、緩衝性材料層の必ずしも全面に積層される必要はなく、部分的に積層されてもよい。
また、ゴム成分を含有するので、目地部に防水性を付与することができ、しかも施工が容易である。
表1に示した配合量の、ブチルゴム、ポリブテン、低分子石油樹脂、メタロセンPE、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムからなる樹脂組成物を二軸押出機で混練して、所定厚みの熱膨張性粘着剤A,B及びCのシートを離型紙の離型面に押出した。
上記熱膨張性粘着剤A,B及びCのシートを100mm×100mmのサイズに切断したサンプルに、ATLAS社製コーンカロリメーター「CONE2」を用いて50kW/m2 の熱量を30分間照射して燃焼、膨張させ、耐火断熱層を形成した。得られた耐火断熱層の厚みから、下式により厚み方向の膨張倍率を算出した。厚み方向の膨張倍率(倍)=t/t0 、ここでtは膨張後の厚み、t0は膨張前の厚みをそれぞれ示す。厚み方向の膨張倍率は体積膨張率と見なされる。尚、厚み方向の膨張倍率が20倍を超える場合は、内寸が100mm×100mm×高さ30mmの鉄製又はアルミ箔製の箱を作製し、箱の下にサンプルを配置して測定した。
表2に示した緩衝性材料の一面に、表1に示した熱膨張性粘着剤のシートの離型紙を剥離して貼付けた後、幅30mmに切断して耐火性部材を作製した。
この目地部3に一方の外壁材1a側面に耐火性部材5の粘着剤5a側を貼付け、他方の外壁材1b側面に緩衝性材料5bが接するように耐火性部材5を挿入して目地部3を塞いだ後、この目地部3の外側からコーキング材6(積水化学社製変性シリコーン樹脂コーキング材)を充填してシールし、耐火性試験体を得た。
上記耐火性試験体について、JIS A 1304に準拠して1時間加熱した際の裏面温度(図1の上方から加熱し、図1中7の位置で温度測定)を測定し、表2に示した。表中、裏面温度が260℃未満のものを○、260℃以上のものを×でそれぞれ示した。
熱膨張性粘着剤のシートを全く使用せず、実施例1と同様に作製した目地部にロックウールフェルトのみを挿入した後、さらにロックウールフェルト上に実施例1と同様のコーキング材を充填して、耐火性試験体を得た。
上記目地試験体につき、実施例1と同様の耐火性試験を行い、その結果を表2に示した。
表3に示した配合量の、ブチルゴム、ポリブテン、低分子石油樹脂、メタロセンPE、中和処理された熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムをニーダーで混練した後、得られた樹脂組成物をカレンダー成形機でシートに成形して、熱膨張性粘着剤D,E及びFのシートを得た。
上記熱膨張性粘着剤D,E及びFのシートについて、熱膨張性粘着剤Aのシートと同様の方法により、加熱膨張させて耐火断熱層を形成した後、耐火断熱層の厚みから体積膨張率を算出し、表3に示した。
上記熱膨張性粘着剤D,E及びFのシートについて、英弘精機社製保温材熱伝導率測定装置「HC−073」を用いて、25℃における熱伝導率を測定し、表3に示した。
表4に示した上記熱膨張性粘着剤の配合物をニーダーで混練し、得られた組成物をカレンダー成形機でシート状に成形して、60mm幅の熱膨張性粘着剤のシートを得た後、このシートを表4に示した60mm幅の緩衝性材料層に積層して、図2に示した耐火性部材を作製した。この耐火性部材を、図3に示したように、緩衝性材料層51bを内側にしてU字状に折り曲げて熱膨張性粘着剤層51aが外壁材1a及び1bの側面に接するように、実施例1と同様の目地部に挿入した後、目地部の外側からコーキング材の代わりにEPDM製のガスケット61(目地幅10mm用、挿入深さ30mm)を充填して、耐火性試験体を作製した。
尚、実施例7では、図4に示したように、60mm幅のシートからなる熱膨張性粘着剤層52aの両端に、20mm幅の緩衝性材料層52bをそれぞれ積層した耐火性部材52を、熱膨張性粘着剤層52aが外側となるようにU字状に折り曲げて使用した。
緩衝性材料層として円筒状のポリエチレン発泡体を押出成形し、その周囲に表4に示した熱膨張性粘着剤を押出成形して被覆し、図5に示した耐火性部材を得た。この耐火性部材をU字状に折り曲げて、熱膨張性粘着剤層53aが外壁材側面に接するように挿入したこと以外は、実施例4と同様にして耐火性試験体を作製した。
目地部に耐火性部材の代わりに、円筒状のポリエチレン発泡体のみを挿入したこと以外は、実施例1と同様にして耐火性試験体を作製した。
目地部に耐火性部材の代わりに、ロックウールを挿入したこと以外は、実施例1と同様にして耐火性試験体を作製した。
縦200mm×横200mm×厚さ30mmのアクリル樹脂板を、目地部が10mm間隔となるように配置し、この目地部に耐火性部材を充填した。次いで、耐火性部材上に、直径75mm×長さ600mmの硬質塩化ビニル管を立て、アクリル樹脂板との隙間がないようにシーリング材でシールした後、硬質塩化ビニル管内に550mmの高さまで水を注入し、目地部裏側への漏水の有無を目視観察した。表中、漏水のないものを×、漏水のないものを○で示した。
防水性試験において、実施例は目地部裏側への漏水はなかったのに対して、比較例では目地部裏側への漏水が認められた。
・ブチルゴム:エクソン化学社製「ブチルゴム#065」
・メタロセンPE(ポリエチレン):ダウケミカル社製「EG8200」
・ポリブテン:出光石油化学社製「ポリブテン100R」
・低分子石油樹脂:トーネックス社製「エスコレッツ5320」
・中和処理された熱膨張性黒鉛:東ソー社製「フレームカットGREP−EG」
・水酸アルミニウム:昭和電工社製「ハイジライトH−31」
・炭酸カルシウム:備北粉化社製「ホワイトンBF300」
・セラミックブランケット:ニチアス社製「ファインフレックブランケット」
・ロックウールフェルト:ニチアス社製「MGフェルト」(40k、アルミクラフト紙付)
2 角形鋼管
3 目地部
4 コンクリート用ビス
5,51,52,53 耐火性部材
5a,51a,52a,53a 熱膨張性粘着剤層
5b,51b,52b,53b 緩衝性材料層
6 コーキング材
61 ガスケット
Claims (2)
- 緩衝性材料層の少なくとも一面に加熱によって膨張して耐火断熱層を形成しうる熱膨張性粘着剤層が積層されてなり、かつ、該熱膨張性粘着剤層を50kW/m2 の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜100倍である外壁の目地部用耐火性部材を、U字状に折り曲げる工程と、
一方の外壁材と他方の外壁材との間に設けられた目地部に対し、緩衝性材料層を内側にして前記耐火性部材を挿入することにより前記目地部を塞ぐ工程と、
を有することを特徴とする、外壁の目地部用耐火性部材の施工方法。 - 筒状緩衝性材料層の表面に加熱によって膨張して耐火断熱層を形成しうる熱膨張性粘着剤層が積層されてなり、かつ、該熱膨張性粘着剤層が50kW/m2 の加熱条件下で30分間加熱された後の体積膨張率が3〜100倍である外壁の目地部用耐火性部材を、U字状に折り曲げる工程と、
一方の外壁材と他方の外壁材との間に設けられた目地部に対し、前記熱膨張性粘着剤層が前記一方の外壁材と他方の外壁材と接する様に前記耐火性部材を挿入することにより前記目地部を塞ぐ工程と、
を有することを特徴とする、外壁の目地部用耐火性部材の施工方法。
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