本発明の粘着テープ又はシートは、基材の片面に粘着剤層を有する粘着テープ又はシートであって、前記基材が、100℃における10%歪み時の引張り応力が0.1〜3MPaであるシリコーン樹脂シートであることを特徴とする。基材の100℃における10%歪み時の引張り応力が0.1MPa未満では、強靱性が足りず、接炎時に基材が割れて、被着体に着火する。また、基材の100℃における10%歪み時の引張り応力が3MPaを超える場合、及び基材が10%まで伸びない場合には、接炎時において、被着体あるいは粘着剤層の硬化収縮、膨張等の変形に耐えられず、割れて、被着体に着火する。また、基材が硬すぎるため、貼り付け時に、基材が割れる。基材の100℃における10%歪み時の引張り応力は、好ましくは0.2〜2.5MPaであり、さらに好ましくは0.25〜2MPaである。
図1は、本発明の粘着テープ又はシートの一例を示す概略断面図である。この例では、粘着テープ又はシート3は、基材1の片面に粘着剤層2を有している。
[シリコーン樹脂シート(基材)]
基材1として用いるシリコーン樹脂シートとしては、前記特性を有するシリコーン樹脂シートであれば特に限定されないが、ポリシロキサン樹脂中に分散した無機酸化物粒子と該ポリシロキサン樹脂とが化学結合により架橋した架橋構造体を含むシリコーン樹脂組成物から形成された無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートを好適に使用できる。このような無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートは、強靱性と柔軟性とをバランスよく備えている。また、透明性にも優れている。さらに、有機基含有量が少ないので、それ自体燃えにくいという性質を有する。以下、この無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートについて説明する。
前記無機酸化物粒子としては、粒子表面に反応性官能基を有する無機酸化物粒子であればよく、例えば、シリカ(SiO2あるいはSiO)、アルミナ(Al2O3)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、ジルコニア(ZrO2)などが挙げられる。これらの中でも、特にシリカが好ましい。無機酸化物粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル型不飽和基、ハロゲン原子、イソシアヌレート基などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基が好ましい。シリカ粒子表面のヒドロキシル基はシラノール基として存在する。
無機酸化物粒子の平均粒子径(一次粒子径)としては、上限は、例えば1000nm、好ましくは500nm、さらに好ましくは200nm、特に好ましくは100nmであり、下限は、例えば1nmである。なお、平均粒子径は、動的光散乱法などにより測定することができる。
無機酸化物粒子の粒度分布は狭い方が望ましく、また、一次粒子径のまま分散している単分散状態であることが望ましい。さらに、無機酸化物粒子の表面電位は、酸性領域(例えば、pH2〜5、好ましくはpH2〜4)にあるのが好ましい。ポリシロキサン樹脂との反応時にそのような表面電位を有していればよい。
前記無機酸化物粒子としては、コロイド状の上記無機酸化物粒子を用いるのが好ましい。コロイド状の無機酸化物粒子としては、例えば、コロイド状シリカ(コロイダルシリカ)、コロイド状アルミナ(アルミナゾル)、コロイド状酸化スズ(酸化スズ水分散体)、コロイド状酸化チタン(チタニアゾル)などが挙げられる。
コロイダルシリカとしては、例えば、特開昭53−112732号公報、特公昭57−9051号公報、特公昭57−51653号公報などにも記載されるように、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)の微粒子(平均粒子径が、例えば、5〜1000nm、好ましくは、10〜100nm)のコロイドなどが挙げられる。
また、コロイド状シリカは、必要により、例えば、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含有することができ、また、必要により、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や、有機塩基(例えば、テトラメチルアンモニウムなど)などの安定剤を含有することもできる。
このようなコロイド状シリカは、特に制限されず、公知のゾル−ゲル法など、具体的には、例えば、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Langmuir 6, 792−801(1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493(1988)などに記載されるゾル−ゲル法などにより、製造することができる。
コロイダルシリカは表面処理を施していない裸の状態であることが好ましい。コロイダルシリカには、表面官能基としてシラノール基が存在する。
また、このようなコロイダルシリカとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、商品名「スノーテックス−XL」、「スノーテックス−YL」、「スノーテックス−ZL」、「PST−2」、「スノーテックス−20」、「スノーテックス−30」、「スノーテックス−C」、「スノーテックス−O」、「スノーテックス−OS」、「スノーテックス−OL」、「スノーテックス−50」(以上、日産化学工業社製)、商品名「アデライトAT−30」、「アデライトAT−40」、「アデライトAT−50」(以上、日本アエロジル社製)などが挙げられる。これらの中でも、商品名「スノーテックス−O」、「スノーテックス−OS」、「スノーテックス−OL」などが特に好ましい。
また、上記のコロイダルシリカ以外のコロイド状の無機粒子としても、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、商品名「アルミナゾル100」、「アルミナゾル200」、「アルミナゾル520」(以上、日産化学工業製)などのアルミナゾル(ヒドロゾル)、例えば、商品名「TTO−W−5」(石原産業社製)や商品名「TS−020」(テイカ社製)などのチタニアゾル(ヒドロゾル)、例えば、商品名「SN−100D」、「SN−100S」(以上、石原産業社製)などの酸化スズ水分散体などが挙げられる。
本発明では、無機酸化物粒子が、その一次粒子径が1〜100nmの範囲にあり、その表面電位がpH2〜5の範囲にあるコロイダルシリカであって、該コロイダルシリカ表面のシラノール基がポリシロキサン樹脂と化学結合して該ポリシロキサン樹脂を架橋しているのが好ましい。
前記ポリシロキサン樹脂(無機酸化物粒子との反応に供するポリシロキサン樹脂)としては、無機酸化物粒子表面の官能基に対して反応性を有するポリシロキサン化合物であれば特に限定されない。前記ポリシロキサン化合物としては、なかでも縮合反応性シリコーン樹脂が好ましい。縮合反応性シリコーン樹脂としては、例えば、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサン(以下、「D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサン」と称する場合がある)、基本構成単位がT単位である縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサン(以下、「縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサン」と称する場合がある)などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記縮合反応性シリコーン樹脂のなかでも、特に、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンと縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとの組合せが好ましい。D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンと縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとを組み合わせることにより、強靱性と柔軟性とのバランスが特に良好なシートを形成することができる。
前記縮合反応性基としては、シラノール基、アルコキシシリル基(例えば、C1-6アルコキシシリル基等)、シクロアルキルオキシシリル基(例えば、C3-6シクロアルキルオキシシリル基等)、アリールオキシシリル基(例えば、C6-10アリールオキシシリル基等)などが挙げられる。これらの中でも、シラノール基、アルコキシシリル基、シクロアルキルオキシシリル基、アリールオキシシリル基が好ましく、特に、シラノール基、アルコキシシリル基が好ましい。
D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンは、具体的には、基本構成単位として、下記式(1)で表されるD単位と、下記式(2)で表されるT単位とを含有する。
上記式(1)中、R1は、同一又は異なって、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。式(2)中、R2は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。
前記R1、R2における飽和炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基などが挙げられる。また、前記R1、R2における芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基などが挙げられる。
R1、R2としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
式(1)で表されるD単位は、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサン中において、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。また、式(2)で表されるT単位は、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサン中において、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
また、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンは、対応するシリコーン単量体の部分縮合物[例えば、ジアルキル(又は、アリール)ジアルコキシシラン等の2官能のシリコーン単量体と、アルキル(又は、アリール)トリアルコキシシラン等の3官能のシリコーン単量体との部分縮合物]であって、その構成単位中に、D単位、T単位、及び下記式(3)
−OR3 (3)
で表される基を含有する。式(3)で表される基はケイ素原子に結合しており、分子末端に存在する。
前記R3は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、上記式(1)中のR1における飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。R3としては、好ましくは飽和炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
このようなD・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンとしては、例えば、アルコキシシリル基(例えば、C1-6アルコキシシリル基)含有ポリメチルシロキサン、アルコキシシリル基(例えば、C1-6アルコキシシリル基)含有ポリメチルフェニルシロキサン、アルコキシシリル基(例えば、C1-6アルコキシシリル基)含有ポリフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらのD・T単位アルコキシシリル基含有ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンの中でも、好ましくは、C1-6アルコキシシリル基含有ポリシロキサンであり、さらに好ましくは、メトキシシリル基含有ポリシロキサン又はエトキシシリル基含有ポリシロキサンであり、特に好ましくは、メトキシシリル基含有ポリメチルシロキサン又はエトキシシリル基含有ポリメチルシロキサンである。
このようなD・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンの縮合反応性基(例えば、アルコキシシリル基)の含有量としては、上限は、例えば30重量%、好ましくは25重量%であり、下限は、例えば8重量%、好ましくは10重量%、さらに好ましくは12重量%である。縮合反応性基(例えば、アルコキシシリル基)の含有量は、TGA(示差式重量減少測定装置)にて、室温から300℃まで昇温したときの重量減少の割合から求めることができる。
D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンの数平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算)としては、上限は、例えば6000、好ましくは5500、さらに好ましくは5300であり、下限は、例えば800、好ましくは1000、さらに好ましくは1200である。
D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンとして、商品名「X−40−9246」、「X−40−9250」(以上、信越化学工業社製)などの市販品(D・T単位アルコキシシリル基含有ポリシロキサン)を用いることもできる。
前記縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンは、具体的には、基本構成単位として、前記式(2)で表されるT単位を含有する。式(2)で表されるT単位は、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサン中において、それぞれ、同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは、同一である。
また、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンは、対応するシリコーン単量体の部分縮合物[例えば、アルキル(又は、アリール)トリアルコキシシラン等の3官能のシリコーン単量体の部分縮合物]であって、その構成単位中に、T単位、及び下記式(4)
−OR4 (4)
で表される基を含有する。式(4)で表される基はケイ素原子に結合しており、分子末端に存在する。
前記R4は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、上記式(1)中のR1における飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。R4としては、好ましくは飽和炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンは、ランダム型、ラダー型、カゴ型などのいずれであってもよいが、柔軟性の観点からは、ランダム型が最も好ましい。これらの縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの中でも、好ましくは、C1-6アルコキシシリル基含有ポリシルセスキオキサンであり、さらに好ましくは、メトキシシリル基含有ポリシルセスキオキサン又はエトキシシリル基含有ポリシルセスキオキサンであり、特に好ましくは、メトキシシリル基含有ポリメチルシルセスキオキサン又はエトキシシリル基含有ポリメチルシルセスキオキサンである。
このような縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの縮合反応性基(例えば、アルコキシシリル基)の含有量としては、上限は、例えば50重量%、好ましくは48重量%、さらに好ましくは46重量%であり、下限は、例えば10重量%、好ましくは15重量%、さらに好ましくは20重量%である。縮合反応性基(例えば、アルコキシシリル基)の含有量は、TGA(示差式重量減少測定装置)にて、室温から300℃まで昇温したときの重量減少の割合から求めることができる。
縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの数平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算)としては、上限は、例えば6000、好ましくは3500、さらに好ましくは3000であり、下限は、例えば200、好ましくは300、さらに好ましくは400である。
縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとして、商品名「KC−89」、商品名「KR−500」、「X−40−9225」(以上、信越化学工業社製)などの市販品(アルコキシシリル基含有ポリシルセスキオキサン)を用いることもできる。
このほか、分子内(末端)に反応性のシラノール基を有するポリシロキサン化合物として、商品名「X−21−3153」、「X−21−5841」(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることもできる。
前記ポリシロキサン化合物全体に占める、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンと縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの総量の割合は、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
本発明では、上記のように、シートに強靱性と柔軟性とをバランスよく具備させるため、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとD・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンとを併用するのが好ましい。この場合、両者の割合[前者/後者(重量比)]としては、上限は、好ましくは4.9、さらに好ましくは4、特に好ましくは3であり、下限は、好ましくは0.2、さらに好ましくは0.5、特に好ましくは1である。縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの比率が高くなりすぎると、シートの柔軟性が低下し、該シートを基材とする粘着テープ又はシートを被着体に貼着する際に、基材が割れやすくなる。また、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンの比率が高くなりすぎると、シート中の有機基含量が増えるので、着火しやすくなる。また、シートの強靱性が低下し、該シートを基材とする粘着シート又はテープを被着体に貼付した場合、接炎時に基材が割れて、被着体に着火しやすくなる。
前記無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートにおいて、無機酸化物粒子の含有量としては、上限は、例えば19重量%、好ましくは17重量%、さらに好ましくは15重量%であり、下限は、例えば2重量%、好ましくは3重量%、さらに好ましくは4重量%である。無機酸化物粒子の含有量が少なすぎると、機械的強度が低下しやすく、無機酸化物粒子の含有量が多すぎると、シートが脆くなりやすい。
本発明において、基材の100℃における10%歪み時の引張り応力は、前記のように、0.1〜3MPaである。基材の100℃における10%歪み時の引張り応力の上限は、好ましくは2MPa、さらに好ましくは1.5MPaであり、下限は、好ましくは0.2MPa、さらに好ましくは0.25MPaである。前記無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの100℃における10%歪み時の引張り応力は、無機酸化物粒子の含有量、ポリシロキサン樹脂の種類、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとD・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンとを併用する場合におけるこれらの配合比等により調整できる。
前記無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの全光線透過率(例えば、厚み100μm)は、用途に応じて適宜選択できるが、被着体の意匠性を損なわないという観点からは、80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの全光線透過率は、例えば、無機酸化物粒子の種類、無機酸化物粒子の平均一次粒子径等により調整できる。無機酸化物粒子の平均一次粒子径を小さくすることにより、シートの全光線透過率を高くすることができる。
次に、前記無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの製造法について説明する。
前記無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートは、例えば、前記無機酸化物粒子とポリシロキサン樹脂(好ましくは、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサン及び/又は縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサン)とを、溶媒中、好ましくは酸の存在下で反応させることにより製造できる。
前記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール;これらの混合液などが挙げられる。これらのなかでも、水とアルコールの混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは、水と2−プロパノールとの混合溶媒、水と2−プロパノールと2−メトキシエタノールとの混合溶媒である。
前記酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸;酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。これらのなかでも、無機酸が好ましく、特に硝酸が好ましい。これらの酸は水溶液として使用することができる。酸の使用量は、反応系のpHを2〜5(好ましくは、2〜4)程度に調整できる量であればよい。
反応の方法としては特に限定されず、例えば、(i)無機酸化物粒子と溶媒との混合液中にポリシロキサン樹脂と溶媒との混合液を添加する方法、(ii)ポリシロキサン樹脂と溶媒との混合液中に無機酸化物粒子と溶媒との混合液を添加する方法、(iii)溶媒中に、無機酸化物粒子と溶媒との混合液、及びポリシロキサン樹脂と溶媒との混合液をともに添加する方法等のいずれであってもよい。
反応温度としては、上限は、例えば150℃、好ましくは130℃であり、下限は、例えば、40℃、好ましくは50℃である。また、反応時間としては、上限は、例えば24時間、好ましくは12時間であり、下限は、例えば0.3時間、好ましくは0.5時間である。
なお、ポリシロキサン樹脂として、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンと縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとを併用する場合には、無機酸化物粒子と、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンと縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとの混合物とを反応させてもよく、また、無機酸化物粒子に、まず、D・T単位縮合反応性基含有含有ポリシロキサンを反応させ、次いで、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンを反応させてもよく、さらには、無機酸化物粒子に、まず、縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンを反応させ、次いで、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンを反応させてもよい。
これらの中でも、無機酸化物粒子に、まず、縮合反応性基シリル基含有ポリシルセスキオキサンを反応させ、次いで、D・T単位縮合反応性基含有ポリシロキサンを反応させる方法を採用すると、強靱性と柔軟性とを極めてバランスよく備えるシートを得ることができる。以下、この方法について説明する。
すなわち、無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの好ましい製造法は、無機酸化物粒子と基本構成単位がT単位である縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとを反応させる第1の反応工程と、前記第1の反応工程で得られた反応生成物に、さらに、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサンを反応させる第2の反応工程と、前記第2の反応工程で得られた反応生成物を成膜化する工程とを少なくとも具備する。
まず、第1の反応工程について説明する。第1の反応工程では、無機酸化物粒子と基本構成単位がT単位である縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとを反応させる。
反応は、溶媒中、好ましくは酸の存在下で行われる。溶媒としては、前記の溶媒を使用できる。酸としても、前記の酸を使用できる。酸の使用量は、反応系のpHを2〜5(好ましくは、2〜4)程度に調整できる量であればよい。反応の方法としては、特に限定されず、前記の(i)〜(iii)の方法を採りうる。
第1の反応工程での反応温度としては、上限は、例えば150℃、好ましくは100℃であり、下限は、例えば40℃、好ましくは50℃である。また、反応時間としては、上限は、例えば8時間、好ましくは6時間であり、下限は、例えば0.3時間、好ましくは0.5時間である。
次に、第2の反応工程について説明する。第2の反応工程では、前記第1の反応工程で得られた反応生成物に、さらに、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサンを反応(縮合)させる。前記第1の反応工程で得られた反応液そのものを第2の反応工程に供してもよいが、前記反応液に、液性調整、濃縮、希釈、溶媒交換等の適宜な処理を施した後、第2の反応工程に供することもできる。この工程では、第1の反応工程で無機酸化物粒子と反応させた前記基本構成単位がT単位である縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンの有する縮合反応性基と、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサンの縮合反応性基とを反応させる。
反応は、溶媒中で行われる。溶媒としては、前記の溶媒を使用できる。反応は、酸性下で行うのが好ましい。反応系のpHは、例えば2〜5、好ましくは2〜4である。反応の方法としては、特に限定はなく、前記第1の反応工程で得られた反応生成物を含む液中に、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサンと溶媒との混合液を添加する方法、基本構成単位がD単位及びT単位である縮合反応性基含有ポリシロキサンと溶媒との混合液中に、前記第1の反応工程で得られた反応生成物を含む液を添加する方法等のいずれであってもよい。
第2の反応工程での反応温度としては、上限は、例えば150℃、好ましくは130℃であり、下限は、例えば50℃、好ましくは60℃である。また、反応時間としては、上限は、例えば8時間、好ましくは6時間であり、下限は、例えば0.3時間、好ましくは0.5時間である。
この好ましい方法によれば、強度を有する無機酸化物粒子を、硬さを付与できるT単位からなるポリシルセスキオキサンと強固に結合することにより高い耐熱性と強度を保持でき、次に柔軟なD単位を有するDTレジンを結合させるので、強靱性と柔軟性とをバランスよく備えることができる。また、第1の段階で無機酸化物粒子と前記基本構成単位がT単位である縮合反応性基含有ポリシルセスキオキサンとを反応させた後、DTレジンを結合させるので、無機酸化物粒子に最初にDTレジンを結合させる場合と比較して、柔軟なDTレジンの量を稼ぐことができる。そのため、柔軟性に著しく優れた無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートを得ることができる。
成膜化工程では、第2の反応工程で得られた反応生成物を成膜化する。第2の反応工程で得られた反応液をそのまま成膜に供してもよいが、前記反応液に、液性調整、濃縮、希釈、溶媒交換、洗浄等の適宜な処理を施した後、成膜化工程に供することもできる。また、硬化触媒を添加した後、成膜化に付すこともできる。
成膜法としては、特に限定されず、公知乃至慣用の成膜法を採用できるが、反応生成物を含む溶液又は分散液(無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂組成物)を転写用基材上に塗工し、乾燥し、必要に応じて、反応を完結させるため加熱硬化することにより成膜化する方法が好ましく用いられる。乾燥温度は、例えば、50〜150℃程度である。また、加熱硬化する際の温度は、例えば、40〜250℃程度である。成膜工程に関しては、上記2段階反応法に限らず、無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートの製造全般に適用できる。
前記転写用基材としては、表面に剥離処理が施されたものを使用できる。転写用基材の材質は、特に限定されず、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、ガラス等が挙げられる。
このようにして、強靱性と柔軟性とをバランスよく具備した無機酸化物粒子含有シリコーン樹脂シートを得ることができ、本発明の粘着テープ又はシートの基材として好適に使用できる。
本発明において、基材の厚みは、強靱性の付与、及び被着体への熱の伝導を防止するという観点から、通常、10μm以上(例えば、10〜10000μm)、好ましくは20μm以上(例えば、20〜5000μm)、さらに好ましくは30μm以上(例えば、30〜1000μm)である。
基材中に、必要に応じて顔料等の着色剤を添加し、基材に色彩やデザインを施してもよい。
基材の全光線透過率(厚み:例えば100μm)は、用途等に応じて適宜選択できるが、被着体の意匠性を損なわないという観点からは、80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。
[粘着剤層]
本発明の粘着テープ又はシート3は、前記基材1の片面に粘着剤層2を有する。基材(シリコーン樹脂シート)のみでは強度が低いため、被着体の接炎時の変形等により割れやすいが、粘着剤層を設け、粘着剤層を介して被着体に貼付することで、シート全体が補強され、被着体の耐火性を大きく向上でき、着火、炭化を防止し、不燃化できる。
粘着剤層2を構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、これらの粘着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリ−プ特性改良型粘着剤などの公知の粘着剤を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。粘着剤は、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型、UV硬化型等の公知のいずれの粘着剤であってもよい。
一般には、前記粘着剤として、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤などが用いられる。本発明においては、特にアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
なお、粘着剤として、基材を構成するシリコーン樹脂と膨張係数が大きく異なるアクリル系粘着剤等を用いると、粘着剤層と基材との膨張係数の違いにより、接炎時に、基材が粘着剤層から浮いて、空気の断熱層が形成され、被着体が炭化しにくくなる場合がある。
前記アクリル系ポリマーの単量体成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルなどが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシルメチル、(メタ)アクリル酸ボルニルなどの脂肪族環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族炭素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子などを有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アクリル系ポリマーは、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知のラジカル重合法等により製造できる。アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト重合体等のいずれであってもよい。重合においては、通常用いられる重合開始剤、連鎖移動剤を使用できる。
粘着剤を構成するベースポリマーの重量平均分子量は、例えば、1万〜200万、好ましくは30万〜150万である。ベースポリマーの重量平均分子量が低すぎると、被着体との追従性の点では優れるものの、例えば剥離が必要な場合、被着体に糊残り等の汚染が生じやすくなる。一方、ベースポリマーの重量平均分子量が高すぎると、被着体への追従性が低下しやすくなる。
粘着剤には、ベースポリマーのほか、必要に応じて、架橋剤(エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート化合物等)、架橋促進剤(架橋触媒)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、増粘剤、可塑剤、充填剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、着色剤、難燃剤、シランカップリング剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。前記難燃剤としては、後述する断熱層に用いる無機難燃剤等を使用できる。粘着剤に難燃剤を添加することで、被着体の耐火性をより向上できる。
粘着剤層の形成は公知乃至慣用の方法により行うことができる。例えば、粘着剤組成物を基材(基材上に中間層が存在する場合は、該中間層)上に塗布する方法、粘着剤組成物を適当な転写用基材上に塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を、基材(基材上に中間層が存在する場合は、該中間層)上に転写(移着)する方法、適当な基板上に基材と粘着剤組成物とを同時塗工する方法等が挙げられる。塗布、塗工は、一般に粘着剤層の形成に用いられるコーター、押出機、印刷機などにより行うことができる。
粘着剤層の厚さとしては、用途等に応じて適宜選択でき、上限は、例えば3000μm、好ましくは500μmであり、下限は、例えば5μm、好ましくは10μmである。
粘着剤層の全光線透過率(例えば、厚み20μm)は、用途に応じて適宜選択できるが、被着体の意匠性を損なわないという観点からは、80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。
本発明の粘着テープ又はシートは、基材と粘着剤層との間に、必要に応じて他の層(中間層;例えば、印刷層、断熱層、弾性層、剛性層等)を有していてもよい。
基材と粘着剤層との間に印刷層を設けることで、粘着テープ又はシートに意匠性を付与することができる。
また、基材と粘着剤層との間に断熱層を設けることで、被着体への熱の伝導をより一層抑制することができ、被着体の耐火性をより向上でき、被着体の炭化、着火をより確実に防止できる。
断熱層は、例えば、無機難燃剤等の難燃剤を含有する難燃性組成物により形成できる。前記無機難燃剤としては、例えば、加熱時に発泡し、気泡の低い熱伝導性により断熱層を形成することが可能となる、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やポリホウ酸ナトリウム;加熱時に吸熱分解して水を生成することで断熱が可能となる、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
断熱層に柔軟性を付与するため、前記難燃性組成物に有機ポリマーを配合するのが好ましい。有機ポリマーとしては、上記無機難燃剤等の難燃剤を配合可能なものであれば特に限定されず、例えば、前記粘着剤のベースポリマーとして示したポリマーなどが挙げられる。
前記難燃性組成物としては、断熱層に柔軟性と透明性を付与できる点で、ケイ酸ナトリウム水溶液と水分散型ポリマー(例えば、水分散型アクリル系ポリマー)とを混合した組成物が特に好ましい。
断熱層中の無機難燃剤の含有量(固形分換算)としては、上限は、例えば70重量%、好ましくは40重量%であり、下限は、例えば1重量%、好ましくは、5重量%である。また、断熱層の厚みとしては、上限は、例えば3000μm、好ましくは500μmであり、下限は、例えば5μm、好ましくは10μmである。
断熱層の形成方法としては、特に制限はなく、例えば、前記粘着剤層と同様の方法で形成できる。
また、本発明の粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層上には、粘着テープ又はシートを使用するまでの間、粘着剤層を保護するためのセパレータが設けられていてもよい。
本発明の粘着テープ又はシートの全光線透過率(例えば、厚み120μm)は、用途に応じて適宜選択できるが、被着体の意匠性を損なわないという観点からは、80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。
本発明の粘着テープ又はシートの被着体への貼り付け方法としては、特に制限はなく、基材(シリコーン樹脂シート)を外側にして、粘着剤層を被着体に貼り付ければよい。なお、基材の粘着剤層とは反対側の面に、剥離可能なフィルム(剥離性フィルム)を積層しておき、剥離性フィルム/基材/粘着剤層の形態で被着体に貼り付けた後、該剥離性フィルムを剥離してもよい。剥離性フィルムとしては、例えば、低極性フィルム(ポリオレフィン系フィルム等)を使用できる。基材が軟らかく、腰がない場合には、このように、剥離性フィルムを積層することにより、取扱性、貼付作業性が向上する。なお、被着体に耐火性を付与する保護シートとして機能させる際、被着体に貼付した状態で最表面に可燃性のフィルムが存在すると着火するので、前記基材(シリコーン樹脂シート)の外側表面に可燃性のフィルムを積層した状態で使用しないことが重要である。
本発明の粘着テープ又はシートによれば、基材として特定の物性を有するシリコーン樹脂シートが用いられているので、貼付するだけで被着体(被着物)の耐火性を大幅に向上させることができ、可燃性の被着体に不燃性を付与できる。また、被着体に貼付することにより、被着体の耐摩耗性(耐傷付き性を含む)を向上できる。例えば、JIS K5400で規定する鉛筆硬度評価法において、本発明の粘着テープ又はシートが貼付された被着体の表面の硬度を「H」以上とすることができる。従って、例えば、木材に本発明の粘着テープ又はシートを貼付することで、木材にハードコート効果を与えることができる。さらに、本発明の粘着テープ又はシートが貼付された被着体の表面に、ポスター等を粘着テープ等で貼り付けても、基材が極性基の少ないシリコーン樹脂で構成されているので、粘着力の上昇が無く、剥がすときには糊残り無く剥離できる。すなわち、被着体にテープ剥離性を付与できる。
また、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付すると、被着体表面の凹凸が本発明の粘着テープ又はシートの粘着剤層の粘着剤により埋まり、最表面が平滑化して、被着体に光沢を付与できる。例えば、光沢計で測定される光沢度(60°−60°反射における光沢度)を、例えば60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上とすることができ、木材等の被着体表面に艶を与えることができる。
さらに、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付すると、耐水性が向上する。例えば、本発明の粘着テープ又はシートを貼付した被着体(縦10cm×横10cmのサンプル片)を水平に置き、表面(貼付した粘着テープ又はシートの表面)に、水温23℃の水を5g垂らして24時間放置した後、該サンプル片を垂直にし、吸水されなかった水を落とした後、サンプル片の重量を測定し、下記式で求められる吸水率は、例えば1%以下、好ましくは0.1%以下であり、0%とすることもできる。そのため、被着体中に添加されている薬剤の効果が持続するとともに、外観が良好である。
吸水率(%)={(試験後のサンプル重量−試験前のサンプル重量)/(試験前のサンプル重量)}×100
また、本発明の粘着テープ又はシートは、基材がシリコーン樹脂シートで構成されているため、耐候性に優れる。本発明の粘着テープ又はシートの粘着剤層(或いは、粘着剤層及び基材)に光安定剤を加えると、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付することで、被着体の耐候性をより向上でき、被着体のやけ、黄変、割れ等を防止できる。
さらに、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付することにより、被着体に含まれるヤニや薬剤、低分子量成分等の表面へのブリードを防止でき、被着体が本来有する意匠性を長期間維持できる。本発明の粘着テープ又シートは水を通さないので、薬剤等が凝集しにくくなるためと考えられる。
また、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付することにより、外部の水が被着体に浸入しないので、被着体の腐食を防止できる。
さらに、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付した後、所定の役割を終えた後には、粘着テープ又はシートを剥がして、被着体を焼却、廃棄することができる。すなわち、本発明の粘着テープ又はシートは被着体廃棄性に優れる。
また、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼付しても、被着体加工性が良好である。すなわち、従来の難燃化木材は硬くて重く、加工性が悪いのに対し、本発明の粘着テープ又はシートを貼付した被着体(木材等)は、被着体本来の物性を損なわないので、良好な加工性(釘打ち込み性、釘引き抜き性等)を保有する。
さらに、本発明の粘着テープ又はシートは、被着体に、防菌、防かび性、耐溶剤性、耐薬品性、耐酸性を付与することもできる。
また、本発明の粘着テープ又シートにおいて、シリコーン樹脂基材層中及び/又は粘着剤層に適宜な添加剤を添加したり、適宜な層を設けることにより、種々の特性を付与できる。例えば、親水層(ゾルゲル、酸化チタン等を含む層)を設けることにより、被着体の耐汚染性を向上できる。また、本発明の粘着テープ又シートにおいて、シリコーン樹脂基材層中及び/又は粘着剤層中に防虫(シロアリ)成分、抗菌成分を添加したり、防虫(シロアリ)成分、抗菌成分を含む層を別途設けることにより、被着体に、高い防虫(シロアリ)・抗菌性を付与できる。さらに、本発明の粘着テープ又シートの基材の少なくとも表層部に粒子を添加したり、基材表面に転写により凹凸をつけることにより、被着体に反射防止性を付与できる。
[耐火性部材]
本発明の耐火性部材は、被着体に、前記の粘着テープ又はシートが貼着されている。
被着体としては、可燃性であって、耐火性向上の対象となるものであれば特に限定されない。被着体として、例えば、木材製品、プラスチック製品、紙製品、布製品などが挙げられる。
耐火性部材としては、例えば、在来軸組工法や枠組壁工法などの木造住宅、鉄筋コンクリート造住宅、軽量鉄骨造や軽量鉄骨や重量鉄骨造の鉄骨造住宅、プレハブ工法住宅などの一般住宅や、超高層マンション、高層マンション、中低層マンション、アパートなどの集合住宅、喫茶店、レストラン、オフィスビル、デパート、スーパーマーケット、屋内駐車場、映画館、ホテル、各種スポーツ施設、体育館、コンサートホール、ドーム型の野球場やサッカー場、室内サッカー場、室内プール、工場建屋などの大型建造物や公共施設の外壁材、外壁仕上げ材、内壁材、内壁仕上げ材、壁断熱材、天井材、天井仕上げ材、屋根材、床材、床仕上げ材、間仕切り材、浴室の壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、キッチンの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、トイレの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、柱材や柱保護材、トイレや室内や玄関や襖など各種の扉の内部材や表面仕上げ材、間仕切り材、カーテン、特にキッチンの壁材や天井材、クリーンルームの間仕切り材などが挙げられる。
また、耐火性部材として、排気ダクトや防火戸や防火シャッターなど防火設備の表面仕上げ材、テーブルなど家具の表面仕上げ材、窓ガラス、鏡、タイルなどの飛散防止材や表面仕上げ材、看板や電子看板の表面仕上げ材、ロールスクリーンなどが挙げられる。
さらに、耐火性部材として、船舶や航空機、自動車、鉄道車両のボディ保護材、内外の壁材、天井材、屋根材、また、鉄道車両内外に貼着される印刷物の表面保護材、インクジェットメディア材の表面保護材、太陽電池の外部保護材や内部保護材、リチウムイオンバッテリーなどの電池用保護材、電気機器内部のパーテーションなどの電気・電子機器部材などが挙げられる。
さらに、耐火性部材として、灰皿周辺具、ゴム箱の表面仕上げ材、パチンコ台の前面パネルや筐体保護材などが挙げられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、それらに何ら制限されるものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
実施例1
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、平均粒子径8−11nmのコロイダルシリカ溶液(商品名:スノーテクスOS、日産化学社製、固形分濃度20%)15g、2−プロパノール15g、2−メトキシエタノール5gを加えた。濃硝酸を加えて液の酸性度(pH)を2〜4の範囲内に調整した。次いで70℃に昇温したのち、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有するシルセスキオキサン化合物(商品名:X−40−9225、信越化学社製、メトキシ含有量24%)35gを2−プロパノール35gに溶解した液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下し、シルセスキオキサン化合物とコロイダルシリカ粒子表面の反応を行った。
次いで、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有する3官能アルコキシシラン及び2官能アルコキシシランから誘導されるポリシロキサン化合物(商品名:X−40−9246、信越化学社製、メトキシ含有量12%)25gを2−プロパノール25gに溶解した液を1時間かけて滴下して、前記コロイダルシリカ上のシルセスキオキサン化合物と反応を行った。100℃で1時間加熱撹拌を行った後、室温(25℃)まで冷却して、減圧下、溶媒を留去して濃縮した。その液に、触媒(商品名「CAT−AC」、信越化学社製)0.05gを加え、液状の透明樹脂組成物Aを得た。
透明樹脂組成物Aを、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF−38」、三菱樹脂社製)のシリコーン処理された面上に、テスター産業社製のアプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが100μmになるように塗布し、その後、熱風循環式オーブンで130℃、5分間乾燥させてシリコーン樹脂基材を得た。
水分散型アクリル系粘着剤[ベースポリマー:アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸=30/70/3(重量比)、固形分40%]をシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF−38」、三菱樹脂社製)のシリコーン処理された面上に、テスター産業社製のアプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、その後、熱風循環式オーブンで130℃、5分間乾燥させてアクリル系粘着剤層を得た。
上記で作製したシリコーン樹脂基材とアクリル系粘着剤層とを貼り合わせることで、粘着テープ(シリコーン樹脂基材/アクリル系粘着剤層)を得た。これを被着体に貼付すると、シリコーン樹脂基材が最表面となる。なお、シリコーン樹脂基材の全光線透過率(厚み:100μm)は94%、粘着剤層の全光線透過率(厚み:20μm)は90%、粘着テープ全体の全光線透過率(厚み:120μm)は92%であった。
実施例2
水分散型アクリル系粘着剤[ベースポリマー:アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸=30/70/3(重量比)、固形分40%]100部に、ケイ酸ナトリウム水溶液25部(珪酸ソーダ3号、アデカ社製、固形分38%)を加え撹拌した後、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF−38」、三菱樹脂社製)のシリコーン処理された面上に、テスター産業社製のアプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが100μmになるように塗布し、その後、熱風循環式オーブンで90℃、5分間乾燥させて断熱層を得た。
実施例1で作製したシリコーン樹脂基材とアクリル系粘着剤層と、上記の断熱層を、シリコーン樹脂基材/断熱層/アクリル系粘着剤層の層構成となるように貼り合わせることで、粘着テープを得た。これを被着体に貼付すると、シリコーン樹脂基材が最表面となる。なお、断熱層の全光線透過率(厚み:100μm)は89%、粘着テープ全体の全光線透過率(厚み:220μm)は89%であった。
比較例1
実施例1と同様にして調製した透明樹脂組成物Aを、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm、商品名「T100N38」、三菱樹脂社製)の表面に、テスター産業社製のアプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが100μmになるように塗布し、その後、熱風循環式オーブンで130℃、5分間乾燥させてPET基材上にシリコーン樹脂層を形成した。このシリコーン樹脂層上に、実施例1と同様にして調製したアクリル系粘着剤層を貼り合わせることで、粘着テープ(PET基材/シリコーン樹脂層/アクリル系粘着剤層)を得た。これを被着体に貼付すると、PET基材が最表面となる。
比較例2
実施例1と同様にして作製したシリコーン樹脂基材のみで評価を行った(ベニヤ板に貼り付けない)。
比較例3
実施例1において、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有するシルセスキオキサン化合物(商品名:X−40−9225、信越化学社製、メトキシ含有量24%)を10g、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有する3官能アルコキシシラン及び2官能アルコキシシランから誘導されるポリシロキサン化合物(商品名:X−40−9246、信越化学社製、メトキシ含有量12%)を50g用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、シリコーン樹脂基材、アクリル系粘着剤層、及び粘着テープ(シリコーン樹脂基材/アクリル系粘着剤層)を作製した。
比較例4
実施例1において、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有するシルセスキオキサン化合物(商品名:X−40−9225、信越化学社製、メトキシ含有量24%)を60g用い、分子末端に反応性のメトキシシリル基を有する3官能アルコキシシラン及び2官能アルコキシシランから誘導されるポリシロキサン化合物(商品名:X−40−9246、信越化学社製、メトキシ含有量12%)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、シリコーン樹脂基材、アクリル系粘着剤層、及び粘着テープ(シリコーン樹脂基材/アクリル系粘着剤層)を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたシリコーン樹脂基材、粘着テープ等について、以下の評価を行った。
(1)着火、炭化試験
図2に示す燃焼試験装置を用い、社団法人日本鉄道車両機械技術協会の燃焼試験(一般材;鉄道車両用非金属材料の45°エチルアルコール試験)に準じて燃焼試験を行った。図2において、11は供試体(182mm×257mm)、12はアルコール容器(鉄製17.5φ×7.1 0.8t)、13は容器受台(コルク等熱伝導率の低いもの)を示す。供試体下面中心から容器底面までの距離は25.4mm(1インチ)である。
182mm×257mm×2.3mmのベニヤ板に上記で作製された粘着テープ(比較例2については、シリコーン樹脂基材のみで評価(ベニヤ板に貼り付けない))を貼り、粘着テープ面がアルコール容器12側に向くようにして、図2のように、45°傾斜に保持し、燃料容器(アルコール容器)12の底の中心が、供試体の下面中心の垂直下方25.4mmのところに来るように、燃料容器12をコルクの台(容器受台)13に乗せ、燃料容器12にエチルアルコール0.5ccを入れて、着火し、燃料が燃え尽きるまで放置した。粘着テープ(比較例2ではシリコーン樹脂基材)の着火、及び炭化(エタノール燃焼後の状態)の有無を目視観察し、下記の基準で評価した。
<着火>
○:エタノール燃焼中に着火無し
△:エタノール燃焼中に着火するが、エタノール燃焼中に消える
×:エタノール燃焼中に着火し、エタノール燃焼後も燃えている
<炭化>
◎:炭化無し
○:炭化無し、黄変あり
△:供試体の上端に達しない程度の炭化あり
×:供試体の上端に達する炭化あり
(2)応力−歪み測定
実施例、比較例で作製したシリコーン樹脂基材を、縦50mm、横10mmにカットして、オートグラフ(SHIMAZU社製)のチャック部に長さ10mmになるようにセットして、100℃下、50mm/minの速度で引張試験を行い、100℃における10%歪み時の引張り応力(MPa)を測定した。
(3)耐摩耗性試験(鉛筆硬度)
前記着火、炭化試験を行ったサンプル形状の接炎面に対して、JIS K5400で規定する鉛筆硬度評価方法に従い、鉛筆硬度を測定した(ベニヤ板に貼り付けた状態で評価)。
(4)光沢度
前記着火、炭化試験を行ったサンプル形状の接炎面に対して、デジタル変角光沢計(スガ試験機社製、商品名「UGV−5K」)にて60°−60°反射における光沢度(%)を測定した。
(5)耐水性(吸水率)
10cm×10cmに切断した前記着火、炭化試験を行ったサンプルを、接炎面を上にして水平な台の上に置き、その上から、水温23℃の水を5g垂らして24時間放置した。サンプル片を垂直にし、吸水されなかった水を落とした後、サンプル片の重量を測定し、下記式により吸水率(%)を測定した。
吸水率(%)={(試験後のサンプル重量−試験前のサンプル重量)/(試験前のサンプル重量)}×100
結果を表1に示す。