JP2013129161A - 飛散防止性難燃ポリマー部材、飛散防止性難燃性物品、及び飛散防止性難燃化方法 - Google Patents

飛散防止性難燃ポリマー部材、飛散防止性難燃性物品、及び飛散防止性難燃化方法 Download PDF

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浩平 土井
Takafumi Hida
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Abstract

【課題】透明性、フレキシブル性、飛散防止性、かつ、高度の難燃性を有する難燃部材を提供する。
【解決手段】本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)と難燃層(A)をこの順に含む、飛散防止性難燃ポリマー部材であって、該難燃層(A)は、ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、飛散防止性難燃ポリマー部材に関する。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、透明性、フレキシブル性に優れており、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に飛散防止性を付与できるとともに、各種被着体を難燃化することができる。また、各種の被着体に貼り合わすことにより、飛散防止性および難燃性が付与された物品を提供することができる。
燃焼性の基準は、燃え難いものから順に、不燃性、極難燃性、難燃性、緩焼性、可燃性の5段階に区分されている。ビルや住宅の内装材や、外装材、化粧板といった建材や、鉄道車両や船舶、航空機といった輸送機内での内装材、ガラス部分に貼着される印刷物においては、その用途ごとに使用できる難燃性が規定されている。
通常の店舗内などの壁面や、鉄道車両内の壁面や鉄道車両内外のガラス部分に貼着される印刷物は、紙やフィルムなどの基材シートの一方の面に表示すべき図柄を印刷し、他方の面に粘着剤層が設けられ、この粘着剤層を介して貼着される。しかし、このような印刷物は可燃性であり、燃焼を放置すればほとんど焼失してしまう。
このため、上記基材シートに難燃性を付与するには、上記基材シートとして難燃性の樹脂シートを用いることが考えられる。従来、このような難燃性といわれている樹脂シートとしては、フッ素系樹脂や塩化ビニル樹脂などのハロゲン系樹脂が用いられている(特許文献1)。
しかし、ハロゲン含有物質は、焼却した場合に有害性ガスを発生するという問題や、ダイオキシンを発生させるといった問題から、ハロゲン系の難燃部材の使用が規制されるようになってきている。そのため、近年は樹脂材料に難燃性を付与する為に、リン酸エステルや金属水和物といったノンハロゲン系の難燃剤を樹脂に添加する方法が広く知られている(特許文献2)。しかし、この場合は、難燃剤を大量に添加しなければならず、その結果、樹脂の透明性が低下するという問題や、外観欠点などの問題を引き起こしている。
また、ポリプロピレン系樹脂に、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物から選ばれる無機系難燃剤を添加した、絶縁材料として用いられる難燃部材が知られている(特許文献3)。しかし、電線の被覆を主目的とした絶縁材料として用いられることを念頭においた技術であり、透明性については全く考慮されていない。
また、これら難燃部材は、ある程度の難燃性は示すものの、炎を遮断できるほどの難燃性を有するものではなく、炎に直接接触した場合の難燃性は十分ではない。
また、窓ガラスなどのフロートガラスは、燃焼によって割れて飛散してしまうという危険性がある。このため、窓ガラスなどのフロートガラスに貼着する透明性の高い難燃シートに飛散防止性を付与できれば、火災時などの燃焼に曝されても難燃性と飛散防止性との両方を発現できることになり、極めて実用性が高い。
特開2005−015620号公報 特開2001−040172号公報 特開2003−313377号公報
本発明は、透明性、フレキシブル性、飛散防止性、かつ、高度の難燃性を有する難燃部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記難燃部材を各種の被着体に貼り合わせた難燃性物品を提供することを目的とする。さらには、上記難燃部材を各種被着体に貼り合わせる、被着体の難燃化方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、下記の難燃ポリマー部材によって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、
無機基材(L)と難燃層(A)をこの順に含む、飛散防止性難燃ポリマー部材であって、
該難燃層(A)は、ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層である。
好ましい実施形態においては、上記無機基材(L)が、繊維状無機基材である。
好ましい実施形態においては、上記繊維状無機基材がガラスクロスである。
好ましい実施形態においては、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、
上記飛散防止性難燃ポリマー部材を、上記難燃層(A)側を下面にして、かつ該下面は空気に接触するように水平に設置し、
該難燃層(A)側の下面から45mm離れた下部にブンゼンバーナーの火炎口が位置するようにブンゼンバーナーを設置し、
該火炎口から55mmの高さのブンゼンバーナーの炎を該難燃層(A)の下面に30秒間接炎させる(但し、飛散防止性該難燃ポリマー部材の端部には接炎しないようにする)水平燃焼試験において、該炎を遮炎できる難燃性を有する。
好ましい実施形態においては、上記難燃層(A)の厚みが3〜1000μmである。
好ましい実施形態においては、上記難燃層(A)における灰分の含有割合が、60重量%以上90重量%未満である。
好ましい実施形態においては、上記難燃層(A)中の粒子状無機系化合物(f)が、二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物である。
好ましい実施形態においては、上記二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物が、ガラスまたはシリカである。
好ましい実施形態においては、上記難燃層(A)が粘着性を有する。
好ましい実施形態においては、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、全光線透過率が70%以上である。
好ましい実施形態においては、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、
重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)と上記無機基材(L)とを積層し、重合を行うことにより得られる。
本発明の別の実施形態においては、飛散防止性難燃性物品が提供される。本発明の飛散防止性難燃性物品は、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材が、被着体に貼り合わされている。
好ましい実施形態においては、上記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である。
本発明の別の実施形態においては、被着体の飛散防止性難燃化方法が提供される。本発明の被着体の飛散防止性難燃化方法は、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を被着体に貼り合わせることで該被着体を飛散防止性難燃化させる。
好ましい実施形態においては、上記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)とポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層である難燃層(A)をこの順に含む。
上記のような構成で、無機基材(L)を有することにより、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、優れた飛散防止性を有することができ、例えば、窓ガラス等に貼着した場合に、燃焼によって窓ガラス等が割れて飛散してしまうことを効果的に防止できる。
難燃層(A)は、ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層であることで高度の難燃性を発揮する。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、ポリマーを有しているにも拘らず、直接に炎に接した場合にも、ある程度の時間は、燃焼することがなく、炎を遮炎することができる。
難燃層(A)は、ポリマーを有しているので、フレキシブル性を良好に維持することができ、適用の範囲が広く各種の用途に応用できる。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材においては、ハロゲン系樹脂を含有させる必要がない。
また、難燃層(A)においては、ポリマー(X)中の粒子状無機系化合物(f)の割合を比較的に少なく制御することができるので、透明性の点で非常に優れている。特に、難燃層(A)における灰分の含有割合が、60重量%以上90重量%未満という少ない含有割合の場合にも、難燃性を発揮することができる。
以上のように、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、飛散防止性、フレキシブル性、透明性を満足しながら、効果的に難燃性を発揮することができる。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、その製造にあたり、重合性組成物(α)に含まれる揮発性成分(例えば、有機溶剤や有機化合物など)の蒸発除去を必要としないため、環境への負荷を低減でき、環境面で有利である。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の概略断面図の一例である。 本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材に係る難燃性を評価するための水平燃焼試験の方法の概略図である。
≪≪1.飛散防止性難燃ポリマー部材≫≫
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)と難燃層(A)をこの順に含む。難燃層(A)は、ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層である。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の概略図を図1に示す。なお、図1では、無機基材(L)の一方の側に難燃層(A)を有するが、難燃層(A)は無機基材(L)の両方の側に設けることができる。なお、無機基材(L)が空隙部分を有する場合には、難燃層(A)の構成成分や、難燃層(A)の形成材料成分など、任意の適切な成分が含有されていても良い。
≪1−1.難燃層(A)≫
難燃層(A)は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有する。ポリマー(X)は、好ましくは、架橋ポリマーを含む。難燃層(A)は粘着性を有していても良い。難燃層(A)の全体の厚さは、薄すぎると、十分な難燃性を示さない場合があり、厚すぎると、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、好ましくは3〜1000μmであり、より好ましくは4〜800μmであり、さらに好ましくは5〜500μmであり、特に好ましくは10〜200μmである。
<1−1−1.ポリマー(X)>
ポリマー(X)は、難燃層(A)を構成するポリマー成分であり、1種のポリマーであっても良いし、2種以上のポリマーであっても良い。また、ポリマー(X)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。
ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む場合、ポリマー(X)中の架橋ポリマーの含有割合は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%、最も好ましくは実質的に100重量%である。ポリマー(X)中の架橋ポリマーの含有割合が上記範囲内にあることによって、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、優れた難燃性を発現し得る。
ポリマー(X)中に含まれ得る架橋ポリマーは、好ましくは、多官能性モノマーを含む重合性モノマーを重合して得られる。架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合は、好ましくは5〜100重量%であり、より好ましくは10〜100重量%であり、さらに好ましくは15〜100重量%であり、特に好ましくは20〜100重量%であり、最も好ましくは25〜100重量%である。架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合が上記範囲内にあることによって、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、より優れた難燃性を発現できる。
ポリマー(X)中に含まれ得る架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー(多官能性モノマーを含む)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。また、ポリマー(X)中の架橋ポリマーを得るために用い得る多官能性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、優れた難燃性を発現し得る点で、好ましくはアクリレート系の多官能性モノマーであり、より好ましくは、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートである。
ポリマー(X)中に含まれ得る架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマーは、多官能性モノマー以外に、単官能性モノマーを含んでいても良い。ここで、単官能性モノマーとは、重合性基を1つのみ有する重合性モノマーである。単官能性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
単官能性モノマーとしては、任意の適切な単官能性モノマーを採用し得る。好ましくは、アクリル系モノマーである。アクリル系モノマーとしては、好ましくは、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表す。
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。なお、ここでいう(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステルを意味する。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは、アルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリマー(X)に含まれ得る架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマーは、多官能性モノマーや単官能性モノマー以外に、極性基含有モノマーやその他の共重合性モノマーを含んでいても良い。これらのモノマーを含むことにより、ポリマー(X)の凝集力が向上可能となったり、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の被着体への接着力が向上可能となったりする。極性基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。その他の共重合性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;などが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、好ましくは、カルボキシル基含有モノマーまたはその無水物であり、より好ましくは、アクリル酸である。
その他の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
ポリマー(X)には、これらを形成するポリマー材料の選択により粘着性を付与することができる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂は、それぞれ、アクリル系感圧性接着剤(粘着剤)のベースポリマー、エポキシ系感圧性接着剤のベースポリマー、オキセタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ビニルエーテル系感圧性接着剤のベースポリマー、ウレタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ポリエステル系感圧性接着剤のベースポリマー等として機能する。
ポリマー(X)としては、その製造のために用いる重合性モノマーとしてアクリル系モノマーが好ましく採用され得る。したがって、ポリマー(X)は、好ましくは、アクリル系ポリマーである。
<1−1−2.粒子状無機系化合物(f)>
ポリマー(X)中に含有される粒子状無機系化合物(f)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粒子状無機系化合物を採用し得る。粒子状無機系化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ポリマー(X)に対する粒子状無機系化合物(f)の含有割合は、好ましくは110〜530重量%、より好ましくは120〜520重量%、さらに好ましくは130〜510重量%、特に好ましくは140〜500重量%である。ポリマー(X)に対する粒子状無機系化合物(f)の含有割合が110重量%以上であると、十分な難燃性を発現できる。ポリマー(X)に対する粒子状無機系化合物(f)の含有割合が530重量%以下であると、難燃層(A)の透明性、フレキシブル性が良好である。
粒子状無機系化合物(f)としては、例えば、ガラス、シリカ等のケイ素化合物;アルミナ等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;セラミック等の磁器製化合物;などが挙げられる。
粒子状無機系化合物(f)としては、好ましくは、二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物である。二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物としては、好ましくは、ガラス、シリカが挙げられる。
粒子状無機系化合物(f)の粒子径(平均粒子径)としては、優れた難燃性を得る観点から、ポリマー(X)中になるべく緻密に詰まっている方が好ましく、他方、該粒子径(平均粒子径)が小さくなるにつれて透明性が良好となることから、例えば、粒子状無機系化合物(f)を希薄溶液中に分散させたときの一次粒子径の平均値としては、レーザー散乱法や動的光散乱法におけるメジアン径で、好ましくは0.5〜100μmであり、より好ましくは0.7〜50μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。なお、粒子は、粒径の異なる粒子を2種以上組み合わせてもよい。
粒子状無機系化合物(f)の粒子の形状は、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状、薄片状、中空管状などのいずれの形状であってもよい。粒子は、その表面に、孔や突起などを有していても良い。
粒子状無機系化合物(f)は、難燃層(A)の表面において、例えば、該粒子による表面凹凸の形成に寄与できることがある。
難燃層(A)においては、ポリマー(X)と粒子状無機系化合物(f)とが混在しているため、ポリマー(X)に基づく特性を発揮することができるとともに、粒子状無機系化合物(f)が元来有する特性を発揮することができる。難燃層(A)における灰分の含有割合(難燃層(A)の形成材料の全量に対する粒子状無機系化合物(f)の含有割合)は、粒子状無機系化合物(f)の種類に応じて適宜に設定することができる。上記含有割合は、好ましくは60重量%以上90重量%未満である。上記含有割合が90重量%未満であると、粒子状無機系化合物(f)が良好に分散し、ダマが発生しにくく、粒子状無機系化合物(f)が均一に分散した難燃層(A)を作製しやすくなる。また、上記含有割合が90重量%未満であると、難燃層(A)の透明性、フレキシブル性が良好である。一方、上記含有割合が60重量%以上であると、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材が十分な難燃性を有する。難燃層(A)における灰分の含有割合は、好ましくは65〜85重量%であり、さらに好ましくは70〜80重量%である。
<1−1−3.添加剤>
ポリマー(X)中には、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、溶剤(有機溶剤)などが挙げられる。
ポリマー(X)中には、例えば、意匠性、光学特性等の観点から、顔料(着色顔料)が含まれていても良い。黒色が望まれる場合には、着色顔料として、カーボンブラックを用いることができる。顔料(着色顔料)の使用量としては、着色度合いを阻害しない観点から、例えば、ポリマー(X)に対して、好ましくは0.15重量%以下であり、より好ましくは0.001〜0.15重量%であり、さらには好ましくは0.02〜0.1重量%である。
≪1−2.無機基材(L)≫
無機基材(L)としては、任意の適切な無機基材を採用し得る。このような無機基材としては、例えば、繊維状無機基材、網目状無機基材など、空隙を有する無機基材が挙げられる。無機基材(L)としては、好ましくは、繊維状無機基材である。なお、無機基材の空隙部分には、難燃層(A)の構成成分や、難燃層(A)の形成材料成分など、任意の適切な成分が含有されていても良い。
繊維状無機基材の形態としては、例えば、織布、不織布などが挙げられる。
繊維状無機基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、石綿、カーボンファイバー、繊維状金属酸化物などが挙げられる。繊維状無機基材としては、好ましくは、ガラスクロスである。
網目状無機基材としては、具体的には、例えば、金属網などが挙げられる。
無機基材(L)の厚みは、その種類によって任意の適切な厚みを採用し得る。例えば、好ましくは1〜500μmである。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)を有しているので、高度の難燃性を発現できる。特に、無機基材が繊維状無機基材の場合は一層高度の難燃性を発現でき、該繊維状無機基材がガラスクロスの場合は非常に高度の難燃性を発現できる。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)を有しているので、優れた飛散防止性を発現でき、例えば、窓ガラス等に貼着した場合に、燃焼によって窓ガラス等が割れて飛散してしまうことを効果的に防止できる。
≪1−3.飛散防止性難燃ポリマー部材≫
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の全体の厚さは、薄すぎると、十分な難燃性を示さない場合があり、厚すぎると、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、好ましくは10〜5000μmであり、より好ましくは20〜4000μmであり、さらに好ましくは30〜3000μmである。
<1−3−1.難燃性>
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、好ましくは、下記の難燃性を満足するものである。すなわち、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、難燃層(A)側を下面にして、かつ該下面は空気に接触するように水平に設置し、該難燃層(A)側の下面から45mm離れた下部にブンゼンバーナーの火炎口が位置するようにブンゼンバーナーを設置し、前記火炎口から55mmの高さのブンゼンバーナーの炎を該難燃層(A)の下面に30秒間接炎させる水平燃焼試験において、該炎を遮炎できる難燃性を有するものである。上記水平燃焼試験は、飛散防止性難燃ポリマー部材の難燃層(A)側からの炎の遮断性を示す。従って、上記水平燃焼試験では、飛散防止性難燃ポリマー部材の端部には接炎しないようにして、ブンゼンバーナーの炎を難燃層(A)側から接炎させる。通常は、飛散防止性難燃ポリマー部材の全ての端部から少なくとも50mm以上は離れた箇所に、ブンゼンバーナーの炎が接炎するように、ブンゼンバーナーが設置して行なわれる。水平燃焼試験に供される、飛散防止性難燃ポリマー部材の大きさとしては、任意の適切な大きさを採用し得る。飛散防止性難燃ポリマー部材の大きさとしては、例えば、縦:5〜20cm、横:10〜20cm、の矩形を用いることができる。図2、実施例では、5cm×12cmの矩形のものが用いられている。
水平燃焼試験は、具体的には図2に示されるように、矩形の飛散防止性難燃ポリマー部材Sは、難燃層(A)側を下面にして、矩形の両サイドを、それぞれ、2枚の上側と下側の支持板1により水平に固定される。支持板1は、飛散防止性難燃ポリマー部材Sの下面が空気に接触して、かつブンゼンバーナーを設置できるように、下側の支持板1の長手方向の両側には、支柱2が設けられている。図2では、5cm×12cmの矩形の飛散防止性難燃ポリマー部材Sが用いられており、12cmの辺が支持板1(幅10cm)により固定されている。ブンゼンバーナー3は、その火炎口4と、飛散防止性難燃ポリマー部材Sの下面が45mmになるように設置される。また、ブンゼンバーナー3は、その火炎口4が、飛散防止性難燃ポリマー部材Sの中心の下に位置する。ブンゼンバーナー3の炎の高さは、火炎口からの高さが55mmに調整される。なお、ブンゼンバーナー3は飛散防止性難燃ポリマー部材Sの下に位置されるが、図2では、便宜上、ブンゼンバーナー3は支持板1の外側に記載している。
難燃性は、ブンゼンバーナーの炎を30秒間、1cm(ブンゼンバーナー3の火炎口4からの炎の高さ:55mmと、難燃層(A)側の下面とブンゼンバーナー3の火炎口4の距離:45mmとの差)を接炎させた際の、飛散防止性難燃ポリマー部材の遮炎性と飛散防止性難燃ポリマー部材の形状維持性を評価することができる。ブンゼンバーナー3のガスは、プロパンガスを用い、大気中で行なわれる。
飛散防止性難燃ポリマー部材の遮炎性の評価は、実施例に示されるように、飛散防止性難燃ポリマー部材Sの上方3mmの位置(両サイドの上側の支持体1の上側)にコピー用紙であるホワイトエコノミー314−048(Biznet社製)を設置し、上記水平燃焼試験において、コピー用紙の燃焼の有無を観察することにより行なうことができる。また、飛散防止性難燃ポリマー部材の形状維持性の評価は、飛散防止性難燃ポリマー部材の無機基材(L)側にコピー用紙であるホワイトエコノミー314−048(Biznet社製)を貼着したサンプル(難燃化処理した物品)を、上記水平燃焼試験に供して、上記サンプルの燃焼の有無を観察することにより行なうことができる。
<1−3−2.透明性>
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、実質的に透明であり、全光線透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは72%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。また、ヘイズは、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
<1−3−3.フレキシブル性>
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、プラスチック特有のフレキシブル性を有している。例えば、5cm×10cmの飛散防止性難燃ポリマー部材の5cm辺の両端を曲げて、山折、谷折で繰り返し50回くっ付けても傷やクラックを生じない場合には、良好なフレキシブル性を有すると判断できる。また、5cm×10cmのポリマー部材を直径1cmの棒に巻きつけ、その後、飛散防止性難燃ポリマー部材を剥がしても、5cm×10cmのポリマー部材に傷やクラックが生じない場合には、良好なフレキシブル性を有すると判断できる。
<1−3−4.飛散防止性>
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、無機基材(L)を有することにより、優れた飛散防止性を有することができ、例えば、窓ガラス等に貼着した場合に、燃焼によって窓ガラス等が割れて飛散してしまうことを効果的に防止できる。
飛散防止性は、例えば、ガラスに本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を貼り付け、該飛散防止性難燃ポリマー部材の中心部にブンゼンバーナーの炎をガラスが割れるまで接炎し、割れた後の飛散したガラス片の重量を測定し、元のガラスがどれだけ維持できているかを算出することによって評価できる。飛散防止性の評価方法の詳細は、後述する。
≪≪2.飛散防止性難燃ポリマー部材の製造≫≫
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、好ましくは、例えば、(1)無機基材(L)の少なくとも一方の面上に難燃層(A)を形成させる材料を塗布して層を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、(2)難燃層(A)を形成させる材料を適切な基材上に塗布して得られる層の上に無機基材(L)を配置し、必要に応じて、さらにその無機基材(L)の上に難燃層(A)を形成させる材料を塗布して層を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、などによって製造し得る。
難燃層(A)は、好ましくは、重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)の重合を行うことにより得られる。この重合を行う工程を重合工程と称する。
すなわち、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の好ましい製造方法としては、例えば、(1)無機基材(L)の少なくとも一方の面上において、重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)からシロップ状の重合性組成物層(a)を形成し、該重合性組成物層(a)の重合を行う方法、(2)重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)を適切な基材上に塗布して得られるシロップ状の重合性組成物層(a)の上に無機基材(L)を配置し、必要に応じて、さらにその無機基材(L)の上に、重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)を塗布してシロップ状の重合性組成物層(a)を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、などが挙げられる。
≪2−1.重合性組成物(α)≫
重合性組成物(α)は、重合可能な重合性モノマー(m)および粒子状無機系化合物(f)を少なくとも含んでいる。重合性組成物(α)は適宜に重合開始剤を含有し得る。重合性モノマー(m)を光硬化させる場合には、重合性組成物(α)は、重合開始剤として光重合開始剤を含有し得る。
重合性組成物(α)は、取り扱い性、塗工性等の点から、重合性モノマー(m)の一部分が重合した部分重合組成物であっても良い。
重合性モノマー(m)の具体的な説明としては、<1−1−1.ポリマー(X)>の項における重合性モノマーの説明を援用し得る。
粒子状無機系化合物(f)の具体的な説明としては、<1−1−2.粒子状無機系化合物(f)>の項における説明を援用し得る。
重合性組成物(α)は、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤の具体的な説明としては、<1−1−3.添加剤>の項における説明を援用し得る。
重合開始剤は、必要に応じて用いることができる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
光重合開始剤としては、任意の適切な光重合開始剤を採用し得る。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤として、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など)等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤として、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが挙げられる。
光重合開始剤の使用量としては、例えば、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01〜5重量部であり、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
熱重合開始剤としては、任意の適切な熱重合開始剤を採用し得る。熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど)、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば、有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン;等の組み合わせなど)などが挙げられる。
熱重合開始剤の使用量としては、例えば、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)に対して、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは0.01〜5重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%である。
熱重合開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いれば、常温で重合させることが可能である。
あるポリマーに対してある物質が、非相溶性の物質であるか否かの判断は、目視、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回析などにより、一般的な方法(例えば、ある物質を重合性モノマーに溶解させ、重合性モノマーを重合してポリマー化して判断する方法;ポリマーをそのポリマーを溶解する溶媒に溶解し、そこへ物質を添加し、攪拌後溶媒を除去して判断する方法;ポリマーが熱可塑性ポリマーであればポリマーを加熱溶解して、そこへ物質を配合し、冷却後判断する方法;など)において、そのポリマー中の物質またはその集合体がどの程度の大きさで分散しているかにより判断することができる。その判断基準は、物質またはその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似できる場合には5nm以上の直径を有すること、また、棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似できる場合には最も長い辺の長さが10nm以上であることである。
物質をポリマー中に分散した際において、そのポリマー中の物質またはその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似でき、該球体状の物質またはその集合体が5nm以上の直径を有する場合には、そのポリマーに対して非相溶であるとみなすことができる。また、ポリマー中の物質またはその集合体が、棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似でき、該柱体状の物質又はその集合体の最も長い辺の長さが10nm以上である場合には、そのポリマーに対して非相溶であるとみなすことができる。
ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を分散させる方法としては、例えば、ポリマー(X)を構成する重合性モノマー(m)に、光重合開始剤、粒子状無機系化合物(f)を添加あるいは均一分散させた後、PETフィルム等の基材フィルム上に10〜500μm程度の厚さにコーティングして、窒素などの不活性ガス中あるいはカバーフィルムで酸素の影響を排除してブラックライトによる紫外線照射で重合させる方法;予めポリマー(X)を溶液重合や紫外線重合など任意の方法で作製しておき、該ポリマー(X)を溶剤に溶解させた溶媒系に、粒子状無機系化合物(f)を添加し、攪拌などにより均一分散して、PETフィルム等の基材フィルム上に塗布し、乾燥による溶剤除去後の厚さを10〜500μm程度とする方法;などが挙げられる。
重合性組成物(α)は、上記各成分を均一に混合・分散させることにより調製することができる。この重合性組成物(α)は、通常、基材上に塗布するなどしてシート状に成形するので、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。重合性組成物(α)の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)を光の照射や加熱などにより一部重合させることにより調製することができる。なお、望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度30℃の条件で設定された粘度として、好ましくは5〜50Pa・sであり、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s以上であると、基材上に塗布したときに液が流れにくくなる。粘度が50Pa・s以下であると、粘度が高すぎることを抑制でき、塗布がしやすい。
≪2−2.重合性組成物層(a)≫
重合性組成物層(a)は、重合性組成物(α)により形成される層である。
重合性組成物層(a)の厚みとしては、例えば、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは15〜800μmであり、さらに好ましくは20〜600μmである。重合性組成物層(a)の厚みが10μm以上であると、均一に塗工しやすくなり、得られる飛散防止性難燃ポリマー部材が十分な難燃性を有する。重合性組成物層(a)の厚みが1000μm以下であると、得られる飛散防止性難燃ポリマー部材にうねりが発生しにくく、平滑なポリマー部材が得られやすい。
重合性組成物(α)は、重合性モノマー(m)および粒子状無機系化合物(f)を含有する。粒子状無機系化合物(f)の含有割合は、重合性モノマー(m)に対して、好ましくは110〜530重量%であり、より好ましくは120〜520重量%であり、さらに好ましくは130〜510重量%である。粒子状無機系化合物(f)の含有割合が重合性モノマー(m)に対して530重量%以下であると、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の作製がしやすくなり、得られる飛散防止性難燃ポリマー部材において強度低下の問題が生じにくい。粒子状無機系化合物(f)の含有割合が重合性モノマー(m)に対して110重量%以上であると、得られる飛散防止性難燃ポリマー部材が十分な難燃性を有する。
≪2−3.カバーフィルム≫
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の作製にあたり、重合性組成物層(a)の支持体として、カバーフィルムを用いることができる。カバーフィルムは、剥離性を有していてもよいし、剥離性を有していなくてもよい。なお、重合工程において光重合法を用いる場合、空気中の酸素により反応が阻害されるため、重合工程ではカバーフィルムを用いて空気中の酸素を遮断することが好ましい。
カバーフィルムとしては、酸素を透過し難い薄葉体であれば、任意の適切なカバーフィルムを採用し得る。カバーフィルムとしては、光重合反応を用いる場合は透明なものが好ましく、例えば、任意の適切な剥離紙などが挙げられる。具体的には、カバーフィルムとしては、例えば、離型処理剤(剥離処理剤)による離型処理層(剥離処理層)を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。なお、低接着性基材では、両面を離型面として利用することができ、一方、離型処理層を有する基材では、離型処理層表面を離型面(離型処理面)として利用することができる。
カバーフィルムとしては、例えば、カバーフィルム用基材の少なくとも一方の面に離型処理層が形成されているカバーフィルム(離型処理層を有する基材)を用いてもよいし、カバーフィルム用基材をそのまま用いてもよい。
カバーフィルム用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。カバーフィルム用基材としては、透明性の高いプラスチック系基材フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレートフィルム)が用いられたカバーフィルム用基材が特に好ましい。
離型処理剤としては、任意の適切な離型処理剤を採用し得る。離型処理剤としては、例えば、シリコーン系離型処理剤、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキル系離型処理剤などが挙げられる。離型処理剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。なお、離型処理剤により離型処理が施されたカバーフィルムは、例えば、任意の適切な形成方法により、形成され得る。
カバーフィルムの厚みとしては、任意の適切な厚みを採用し得る。カバーフィルムの厚みとしては、取り扱い易さと経済性の点から、例えば、好ましくは12〜250μmであり、より好ましくは20〜200μmである。
カバーフィルムは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
≪2−4.重合工程≫
重合工程は、シロップ状の重合性組成物層(a)を重合する工程である。重合工程における重合方法は、重合性モノマーの重合を行うことができる方法であれば、任意の適切な方法を採用することができる。
重合工程における重合方法としては、例えば、光照射による重合方法が挙げられる。光照射における重合方法における、光源、照射エネルギー、照射方法、照射時間等については、任意の適切な装置や条件を採用し得る。
光照射に用いる活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられる。特に好ましくは紫外線である。なお、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射方法、照射時間等については、任意の適切な装置や条件を採用し得る。
活性エネルギー線の照射としては、具体的には、例えば、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線の照射が挙げられる。
重合工程においては、加熱を施すことができる。加熱は、任意の適切な加熱方法を採用し得る。加熱方法としては、例えば、電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法などが挙げられる。
≪≪3.ポリマー部材の形態≫≫
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の形態としては、任意の適切な形態を採用し得る。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の形態としては、例えば、シート状やテープ状が挙げられる。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、シート状やテープ状のものがロール状に巻回された形態を有していてもよい。また、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、シート状やテープ状のものが積層された形態を有していてもよい。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、ポリマー(X)に粘着性を付与することにより、粘着テープまたは粘着シートとして用いることができる。なお、「テープ」と「シート」を総称して単に「テープ」あるいは「シート」と称する場合がある。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材に、任意の適切な粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)により構成される粘着剤層をさらに設けることによって、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を粘着テープまたは粘着シートとして用いることができる。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を有していてもよい。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の表面は、カバーフィルムで保護されていてもよい。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を使用する際、カバーフィルムは、剥がされてもよいし、あるいは剥がされることなくそのままの状態を維持し、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材の一部を構成していてもよい。
≪≪4.飛散防止性難燃性物品≫≫
飛散防止性難燃性物品は、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を、被着体に貼り合せたものであり、高度の難燃性を有する。被着体としては、例えば、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材などを用いることができる。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は被着体の少なくとも一部に貼り合わせられる。なお、被着体はシートの少なくとも一方の面に図柄層が設けられた印刷物であってもよいし、意匠性を有するものであってもよい。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、透明性に非常に優れているので、被着体の意匠性を確保しながら、被着体を高度に難燃化することができ、優れた飛散防止性を発現できる。したがって、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材を用いると、被着体の意匠性を十分に発現することができ、意匠性に優れた飛散防止性難燃性物品を提供し得る。
被着体の紙としては、例えば、上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙などが挙げられる。
被着体の木材としては、例えば、樫、桐、欅、チーク、ローズウッドなどの広葉樹;杉、檜、松、ヒバなどの針葉樹;集成材;合板;などが挙げられる。
被着体のプラスチック材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、AS樹脂などが挙げられる。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材と印刷物を積層する際は、任意の適切な粘着剤を、任意の適切な塗布方法によって塗布して貼り合わせても良いし、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材が粘着性を有する場合は、そのまま印刷物に張り合わせてもよい。本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材と印刷物を張り合わせる方法としては、例えば、ラミネーターを用いて貼り合わせる方法が挙げられる。このようにして得られた印刷物は、本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材が積層された面の反対面に貼着層を設けて、貼着層を介して、鉄道車両などの壁面やガラス面、また、住宅などの壁面や化粧板やガラス面などに貼着され得る。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、例えば、建材として、在来軸組工法や枠組壁工法などの木造住宅、鉄筋コンクリート造住宅、軽量鉄骨造や重量鉄骨造の鉄骨造住宅、プレハブ工法住宅などの一般住宅や、超高層マンション、高層マンション、中低層マンション、アパートなどの集合住宅、喫茶店、レストラン、オフィスビル、デパート、スーパー、屋内駐車場、映画館、ホテル、各種スポーツ施設、体育館、コンサートホール、ドーム型の野球場やサッカー場、室内サッカー場、室内プール、工場建屋などの大型建造物や公共施設の外壁材、外壁仕上げ材、内壁材、内壁仕上げ材、壁断熱材、天井材、天井仕上げ材、屋根材、床材、床仕上げ材、間仕切り材、浴室の壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、キッチンの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、トイレの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、柱材や柱保護材、トイレや室内や玄関や襖など各種の扉の内部材や表面仕上げ材、間仕切り材、カーテン、特にキッチンの壁材や天井材、クリーンルームの間仕切りなどに好適に用いることができる。また、排気ダクトや防火戸や防火シャッターなど防火設備の内部材あるいは表面仕上げ材、テーブルなど家具の表面仕上げ材、扉の表面仕上げ材、窓ガラスの表面仕上げ材、テーブルなど家具の表面仕上げ材、窓ガラス、鏡、タイルなどの飛散防止材や表面仕上げ材、また、看板や電子看板の表面仕上げ材、ロールスクリーンなどに用いることができる。また、船舶や航空機、自動車、鉄道車両のボディ保護材、内外の壁材、天井材、屋根材、床材、また、鉄道車両内外に貼着される印刷物の表面保護材、インクジェットメディア材の表面保護材、他にも太陽電池の外部保護材や内部保護材、リチウムイオンバッテリーなどの電池用保護材、電気機器内部のパーテーションなどの電気・電子機器部材に用いることができる。さらに、灰皿周辺具、ゴミ箱の表面仕上げ材、パチンコ台の前面パネルや筐体保護材としても用いることができる。さらに、透明性を有している点から、飲食店のカウンター、広告などの意匠物の保護にも用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の各例で用いたカバーフィルムは、片面がシリコーン系離型処理された、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRN38」、三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製)を用いた。
〔合成例1〕:光重合性シロップ(A)の調製
ウレタンアクリレート(商品名「EBECRYL9260」、ダイセル・サイテック社製):70重量部、2−エチルヘキシルアクリレート:24重量部、ブチルアクリレート:4.5重量部、アクリル酸:1.5重量部に、光重合開始剤(商品名「イルガキュア819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.3重量部、分散剤(商品名「プライサーフA212E」、第一工業製薬社製):0.3重量部を均一に混合し、光重合性シロップ(A)を調製した。
〔合成例2〕(層状無機系化合物含有光重合性組成物(B)の調製)
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:100重量部に、層状粘土鉱物(商品名「ルーセンタイトSPN」、コープケミカル社製、形状:平板状):30重量部を加え、室温(25℃)で24時間静置することによって、層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物(白濁)を得た。その後、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、超音波分散機(日本精機社製)により、500mWの照射強度で超音波を3分間照射して、層状無機系化合物含有光重合性組成物(B)を調製した。なお、該超音波処理により、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物は透明になった。
〔実施例1〕
光重合性シロップ(A):100重量部に、ガラス粉末(商品名「VYO−114M2」、タカラスタンダード社製):150重量部を加えて均一に混合したシロップ組成物を、離型処理されたカバーフィルムの離型処理面に、硬化後の厚みが100μmとなるように塗布した。その上に、ガラスクロス(商品名「E10T−4W」、ユニチカ社製、厚み:100μm)を置き、積層体とした。得られた積層体上に、離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、積層体を硬化させて、ポリマー部材(1)を作製した。
〔実施例2〕
光重合性シロップ(A):100重量部に、ガラス粉末(商品名「VYO−114M2」、タカラスタンダード社製):400重量部を加えて均一に混合したシロップ組成物を、離型処理されたカバーフィルムの離型処理面に、硬化後の厚みが100μmとなるように塗布した。その上に、ガラスクロス(商品名「E10T−4W」、ユニチカ社製、厚み:100μm)を置き、積層体とした。得られた積層体上に、離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、積層体を硬化させて、ポリマー部材(2)を作製した。
〔実施例3〕
光重合性シロップ(A):100重量部に、シリカ粒子(商品名「SC1000−SYP」、アドマファイン社製):150重量部を加えて均一に混合したシロップ組成物を、離型処理されたカバーフィルムの離型処理面に、硬化後の厚みが100μmとなるように塗布した。その上に、ガラスクロス(商品名「E10T−4W」、ユニチカ社製、厚み:100μm)を置き、積層体とした。得られた積層体上に、離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、積層体を硬化させて、ポリマー部材(3)を作製した。
〔実施例4〕
光重合性シロップ(A):100重量部に、ガラス粉末(商品名「VYO−114M2」、タカラスタンダード社製):100重量部を加えて均一に混合したシロップ組成物を、離型処理されたカバーフィルムの離型処理面に、硬化後の厚みが100μmとなるように塗布した。その上に、ガラスクロス(商品名「E10T−4W」、ユニチカ社製、厚み:100μm)を置き、積層体とした。得られた積層体上に、離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、積層体を硬化させて、ポリマー部材(4)を作製した。
〔比較例1〕
層状無機系化合物含有光重合性組成物(B):130重量部を、離型処理されたカバーフィルムの離型処理面に、硬化後の厚みが100μmとなるように塗布した。その上に、ガラスクロス(商品名「E10T−4W」、ユニチカ社製、厚み:100μm)を置き、積層体とした。得られた積層体上に、離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、積層体を硬化させて、ポリマー部材(C1)を作製した。
実施例および比較例のポリマー部材について下記評価を行なった。結果を表1に示す。
<透明性>
ポリマー部材の両面のカバーフィルムを剥がして、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて、JIS7361に準じて、全光線透過率を測定した。
<難燃性>
ポリマー部材について下記の難燃性を評価した。
図2に示す水平燃焼試験により難燃性を評価した。測定方法を図2に示す。各ポリマー部材を5cm×12cmに裁断して評価に供した。なお、各ポリマー部材は、その両面のカバーフィルムを剥離した。
難燃層(A)に該当する側(ガラスクロスの反対側)を下面にした。
ポリマー部材の下面の中心部分から45mm離れた下部にブンゼンバーナーの火炎口が位置するようにブンゼンバーナーを設置し、前記火炎口から55mmの高さのブンゼンバーナーの炎を30秒間接炎した。ブンゼンバーナーのガスはプロパンガスを用い、大気中でおこなった。
≪難燃性:*1≫
ポリマー部材について水平燃焼試験を行い、ポリマー部材の燃焼の有無を観察することにより、ポリマー部材の難燃性を下記の基準で評価した。
○:ポリマー部材が接炎30秒で着火せず、形状を維持している。
△:ポリマー部材が接炎30秒以内に着火するが、形状を維持している。
×:ポリマー部材が接炎30秒以内に着火し、形状も維持していない。
≪遮炎性:*2≫
ポリマー部材の上方3mmの位置にコピー用紙であるホワイトエコノミー314−048(Biznet社製)を設置した、上記同様の水平燃焼試験により、コピー用紙の燃焼の有無を観察することにより、ポリマー部材の遮炎性を評価した。
○:接炎30秒でポリマー部材の3mm上方のコピー用紙が着火しない。
△:接炎30秒でポリマー部材の3mm上方のコピー用紙が着火するが、10秒以内に着火しない。
×:接炎10秒でポリマー部材の3mm上方のコピー用紙が着火する。
≪難燃化処理物の難燃性:*3≫
ポリマー部材の上面にコピー用紙であるホワイトエコノミー314−048(Biznet社製)を貼着したサンプルについて、上記同様の水平燃焼試験により、難燃化処理した物品としての燃焼の有無を観察することにより、難燃化処理物の難燃性を評価した。
○:難燃化処理物が接炎30秒で着火しない。
△:難燃化処理物が接炎30秒で着火するが、接炎10秒以内に着火しない。
×:難燃化処理物が接炎10秒以内に着火する。
<飛散防止性>
100mm×100mm四方の2mm厚のフロートガラスにポリマー部材を貼り付け、該ポリマー部材の中心部にブンゼンバーナーの炎をガラスが割れるまで接炎した。試験後の飛散したガラスの重さを測定し、元のガラスがどれだけ維持できているかを評価した。
○:95重量%以上のガラスが維持されている。
×:95重量%以上のガラスが維持されていない。
Figure 2013129161
実施例1〜4のポリマー部材は、透明性、フレキシブル性、飛散防止性、かつ、高度の難燃性を有する。実施例1〜3は、特に、難燃性に優れている。
本発明の飛散防止性難燃ポリマー部材は、優れた飛散防止性を有することができ、例えば、窓ガラス等に貼着した場合に、燃焼によって窓ガラス等が割れて飛散してしまうことを効果的に防止できる。
100 飛散防止性難燃ポリマー部材
10 無機基材(L)
20 難燃層(A)

Claims (15)

  1. 無機基材(L)と難燃層(A)をこの順に含む、飛散防止性難燃ポリマー部材であって、
    該難燃層(A)は、ポリマー(X)中に粒子状無機系化合物(f)を含有する層である、
    飛散防止性難燃ポリマー部材。
  2. 前記無機基材(L)が、繊維状無機基材である、請求項1に記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  3. 前記繊維状無機基材がガラスクロスである、請求項2に記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  4. 前記飛散防止性難燃ポリマー部材を、前記難燃層(A)側を下面にして、かつ該下面は空気に接触するように水平に設置し、
    該難燃層(A)側の下面から45mm離れた下部にブンゼンバーナーの火炎口が位置するようにブンゼンバーナーを設置し、
    該火炎口から55mmの高さのブンゼンバーナーの炎を該難燃層(A)の下面に30秒間接炎させる(但し、該飛散防止性難燃ポリマー部材の端部には接炎しないようにする)水平燃焼試験において、該炎を遮炎できる難燃性を有する、
    請求項1から3までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  5. 前記難燃層(A)の厚みが3〜1000μmである、請求項1から4までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  6. 前記難燃層(A)における灰分の含有割合が、60重量%以上90重量%未満である、請求項1から5までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  7. 前記難燃層(A)中の粒子状無機系化合物(f)が、二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物である、請求項1から6までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  8. 前記二酸化ケイ素含有粒子状無機系化合物が、ガラスまたはシリカである、請求項1から7までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  9. 前記難燃層(A)が粘着性を有する、請求項1から8までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  10. 全光線透過率が70%以上である、請求項1から9までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  11. 重合性モノマー(m)と粒子状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)と前記無機基材(L)とを積層し、重合を行うことにより得られる、請求項1から10までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材。
  12. 請求項1から11までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材が、被着体に貼り合わされている、飛散防止性難燃性物品。
  13. 前記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である、請求項12に記載の飛散防止性難燃性物品。
  14. 請求項1から11までのいずれかに記載の飛散防止性難燃ポリマー部材を被着体に貼り合わせることで該被着体を飛散防止性難燃化させる、被着体の飛散防止性難燃化方法。
  15. 前記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である、請求項14に記載の被着体の飛散防止性難燃化方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015030253A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 日本ウェーブロック株式会社 透明不燃シート、その製造方法、および、防煙垂壁
JP2017206030A (ja) * 2017-08-21 2017-11-24 日本ウェーブロック株式会社 透明不燃シート、その製造方法、および、防煙垂壁
JP2018140616A (ja) * 2017-07-05 2018-09-13 ユニチカ株式会社 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法

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